(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記印刷データを含むジョブは、前記印刷用の画像データに基づく印刷処理を実行することなく当該画像データを記憶部に記憶する保存ジョブであることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷制御装置。
前記サムネイル用の画像データおよび前記印刷用の画像データは、前記第1のジョブおよび第2のジョブに対してラスタライズ処理を実行することによりそれぞれ生成され、
前記実行部は、前記ラスタライズ処理を分散して実行する複数の処理モジュールを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
前記印刷データを含むジョブは、前記印刷用の画像データに基づく印刷処理を実行することなく当該画像データを前記印刷制御装置の記憶部に記憶する保存ジョブであることを特徴とする請求項5または6に記載の印刷制御プログラム。
前記サムネイル用の画像データおよび前記印刷用の画像データは、前記第1のジョブおよび第2のジョブに対してラスタライズ処理を実行することによりそれぞれ生成され、
前記印刷制御装置は、前記ラスタライズ処理を分散して実行する複数の処理モジュールを含むことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の印刷制御プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものである。したがって、本発明の目的は、印刷データを含むジョブを受信してサムネイル用の画像データと印刷用の画像データとを生成する際に、サムネイル用の画像データと印刷用の画像データの生成順序を変更可能にして、ユーザーの利便性を向上させることができる印刷制御装置および印刷制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0009】
(1)印刷データを含むジョブを受信する受信部と、前記受信部により受信されたジョブに基づいて、サムネイル用の画像データを生成する第1のジョブと、印刷用の画像データを生成する第2のジョブとを生成する生成部と、前記生成部により生成された第1のジョブおよび第2のジョブに優先順位を付与する制御部と、前記制御部により付与された優先順位にしたがって、前記第1のジョブおよび第2のジョブを実行する実行部と、を有する
印刷制御装置であって、前記印刷制御装置は、前記サムネイル用の画像データに基づく画像を表示してユーザーによるジョブのページ編集を受け付ける端末装置に接続されており、前記印刷制御装置は、前記端末装置における前記ページ編集を監視する監視部をさらに有し、前記制御部は、前記監視部による監視結果に基づいて、前記ページ編集がされているジョブの前記第2のジョブの優先順位を変更することを特徴とする印刷制御装置。
【0010】
(2)前記制御部は、前記第2のジョブよりも高い優先順位を前記第1のジョブに付与し、前記実行部は、前記第2のジョブよりも先に前記第1のジョブを実行することを特徴とする上記(1)に記載の印刷制御装置。
【0012】
(
3)前記印刷データを含むジョブは、前記印刷用の画像データに基づく印刷処理を実行することなく当該画像データを記憶部に記憶する保存ジョブであることを特徴とする上記(1)
または(2)に記載の印刷制御装置。
【0013】
(
4)前記サムネイル用の画像データおよび前記印刷用の画像データは、前記第1のジョブおよび第2のジョブに対してラスタライズ処理を実行することによりそれぞれ生成され、前記実行部は、前記ラスタライズ処理を分散して実行する複数の処理モジュールを含むことを特徴とする上記(1)〜(
3)のいずれか1つに記載の印刷制御装置。
【0014】
(
5)印刷データを含むジョブを受信する手順(a)と、前記手順(a)において受信されたジョブに基づいて、サムネイル用の画像データを生成する第1のジョブと、印刷用の画像データを生成する第2のジョブとを生成する手順(b)と、前記手順(b)において生成された第1のジョブおよび第2のジョブに優先順位を付与する手順(c)と、前記手順(c)において付与された優先順位にしたがって、前記第1のジョブおよび第2のジョブを実行する手順(d)と、を印刷制御装置に実行させる
印刷制御プログラムであって、前記印刷制御装置は、前記サムネイル用の画像データに基づく画像を表示してユーザーによるジョブのページ編集を受け付ける端末装置に接続されており、前記印刷制御プログラムは、前記端末装置における前記ページ編集を監視する手順(e)と、前記手順(e)における監視結果に基づいて、前記ページ編集がされているジョブの前記第2のジョブの優先順位を変更する手順(f)と、を前記印刷制御装置にさらに実行させることを特徴とする印刷制御プログラム。
【0015】
(
6)前記手順(c)において、前記第2のジョブよりも高い優先順位が前記第1のジョブに付与され、前記手順(d)において、前記第2のジョブよりも先に前記第1のジョブが実行されることを特徴とする上記(
5)に記載の印刷制御プログラム。
【0017】
(
7)前記印刷データを含むジョブは、前記印刷用の画像データに基づく印刷処理を実行することなく当該画像データを前記印刷制御装置の記憶部に記憶する保存ジョブであることを特徴とする上記(
5)
または(6)に記載の印刷制御プログラム。
【0018】
(
8)前記サムネイル用の画像データおよび前記印刷用の画像データは、前記第1のジョブおよび第2のジョブに対してラスタライズ処理を実行することによりそれぞれ生成され、前記印刷制御装置は、前記ラスタライズ処理を分散して実行する複数の処理モジュールを含むことを特徴とする上記(
5)〜(
7)のいずれか1つに記載の印刷制御プログラム。
【0019】
(
9)上記(
5)〜(
8)のいずれか1つに記載の印刷制御プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、印刷データを含むジョブが、サムネイル用の画像データを生成する第1のジョブと印刷用の画像データを生成する第2のジョブとに分割され、第1のジョブおよび第2のジョブが優先順位にしたがって実行されるため、印刷用の画像データとサムネイル用の画像データの生成順序を変更することが可能になる。その結果、ユーザーの利便性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る印刷制御装置が適用された印刷システムの全体構成を示すブロック図である。
【0024】
本実施形態に係る印刷システムは、端末装置としてのPC1と、印刷制御装置としてのプリントコントローラー5と、印刷装置としてのプリンター4とを備えている。PC1およびプリントコントローラー5は、ネットワーク6を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク6は、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI(Fiber Distributed Data Interface)等の規格によりコンピューターやネットワーク機器同士を接続したLAN(Local Area Network)、あるいはLAN同士を専用線で接続したWAN(Wide Area Network)等からなる。プリントコントローラー5は、ブレードサーバーであり、マスター装置2と複数のスレーブ装置3a〜3cとを備える。マスター装置2および複数のスレーブ装置3a〜3cは、LAN等のネットワークを介して相互に通信可能に接続されている。また、マスター装置2は、専用回線を介して、プリンター4とローカル接続されている。なお、ネットワーク6に接続される機器の種類および台数は、
図1に示す例に限定されない。
【0025】
図2は、PC1の概略構成を示すブロック図である。PC1は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ハードディスク14、ディスプレイ15、入力装置16、およびネットワークインターフェース17を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス18を介して相互に接続されている。
【0026】
CPU11は、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理を行う。ROM12は、各種プログラムや各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶する。
【0027】
ハードディスク14は、オペレーティングシステム(OS)を含む各種プログラムや、各種データを格納する。ハードディスク14には、文書ファイルを作成するための文書ファイル作成アプリケーションと、文書ファイルをプリントコントローラー5が解釈可能なページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述された印刷データに変換するためのプリンタードライバーと、プリントコントローラー5に保存されているジョブを編集するためのジョブ編集アプリケーションとがインストールされている。
【0028】
ディスプレイ15は、たとえば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。入力装置16は、マウス等のポインティングデバイス、およびキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。ネットワークインターフェース17は、ネットワーク6を介し他の機器と通信するためのインターフェースであり、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格が用いられる。
【0029】
図3は、マスター装置2の概略構成を示すブロック図である。マスター装置2は、CPU21、ROM22、RAM23、ハードディスク24、プリンターインターフェース25、およびネットワークインターフェース26を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス27を介して相互に接続されている。なお、マスター装置2の上記各部のうち、PC1の上記各部と同様の機能を有する部分については、説明の重複を避けるためその説明を省略する。
【0030】
ハードディスク24には、印刷データを翻訳してビットマップ形式の画像データに展開するためのRIP処理プログラム、および、印刷データをスレーブ装置3a〜3cに転送してページ単位のRIP処理をスレーブ装置3a〜3cに要求するための要求プログラム等が格納されている。
【0031】
プリンターインターフェース25は、ローカル接続されたプリンター4と通信するためのインターフェースである。ネットワークインターフェース26は、受信部として、印刷データを含むジョブを受信する。
【0032】
マスター装置2のCPU21は、ハードディスク24に記憶されているプログラムを実行することによって、生成部、制御部、実行部、および監視部として機能する。ここで、生成部は、印刷データを含むジョブから、サムネイル用の画像データ(以下、「サムネイル画像データ」と称する)を生成する第1のジョブと、印刷用の画像データ(以下、「印刷画像データ」と称する)を生成する第2のジョブとを生成する。制御部は、第1および第2のジョブに優先順位を付与する。実行部は、優先順位にしたがって第1および第2のジョブを実行する。監視部は、PC1におけるジョブのページ編集を監視する。なお、各部の具体的な処理内容については後述する。
【0033】
図4は、スレーブ装置3a〜3cの概略構成を示すブロック図である。スレーブ装置3a〜3cは、相互に同様の構成であるため、以下、スレーブ装置3aを代表として用いて説明する。
【0034】
スレーブ装置3aは、CPU31、ROM32、RAM33、ハードディスク34、およびネットワークインターフェース35を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス36を介して相互に接続されている。なお、スレーブ装置3aの上記各部のうち、PC1の上記各部と同様の機能を有する部分については、説明の重複を避けるためその説明を省略する。
【0035】
ハードディスク34には、マスター装置2から受信したデータを翻訳してビットマップ形式の画像データに展開するためのRIP処理プログラム、ならびに、画像データおよびRIP完了通知をマスター装置2に送信するための送信プログラムが格納されている。
【0036】
図5は、プリンター4の概略構成を示すブロック図である。プリンター4は、CPU41、ROM42、RAM43、ハードディスク44、操作パネル45、印刷部46、およびコントローラーインターフェース47を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス48を介して相互に接続されている。なお、プリンター4の上記各部のうち、PC1の上記各部と同様の機能を有する部分については、説明の重複を避けるためその説明を省略する。
【0037】
操作パネル45は、タッチパネル、テンキー、スタートボタン、ストップボタン等を備えており、各種情報の表示および各種指示の入力に使用される。
【0038】
印刷部46は、電子写真式プロセス等の周知の作像プロセスを用いて、プリントコントローラー5から受信した画像データに基づく画像を用紙等の記録媒体に印刷する。コントローラーインターフェース47は、ローカル接続されたプリントコントローラー5と通信するためのインターフェースである。
【0039】
なお、PC1、マスター装置2、スレーブ装置3a〜3c、およびプリンター4は、上記構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上記構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。
【0040】
以上のとおり構成される印刷システムでは、印刷データを含むジョブをプリントコントローラー5が受信した場合、サムネイル画像データを生成する第1のジョブと、印刷画像データを生成する第2のジョブとに受信したジョブが分割される。そして、第1および第2のジョブに優先順位が付与され、優先順位にしたがって第1および第2のジョブが実行される。
【0041】
以下、
図6〜
図9を参照して、印刷システムの動作について説明する。なお、以下では、プリントコントローラー5が、印刷データを含むジョブとして、保存ジョブを受信した場合を例に挙げて説明する。
【0042】
図6は、マスター装置により実行されるジョブ受信処理の手順を示すフローチャートである。なお、
図6のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、マスター装置2のハードディスク24にプログラムとして記憶されており、CPU21によって実行される。
【0043】
まず、マスター装置2は、保存ジョブを受信する(ステップS101)。より具体的には、マスター装置2は、印刷処理を実行することなく印刷画像データをハードディスク24等の記憶部に記憶することを指示する保存ジョブをPC1から受信する。
【0044】
続いて、マスター装置2は、サムネイル画像データを生成するサムネイル作成処理と、印刷画像データを生成する本身ページ作成処理とに処理を分割する(ステップS102)。より具体的には、マスター装置2は、ステップS101に示す処理で受信した保存ジョブに基づいて、サムネイル画像データを生成する第1のジョブ(以下、「サムネイル作成ジョブ」と称する)と、印刷画像データを生成する第2のジョブ(以下、「本身ページ作成ジョブ」と称する)とを生成する。ここで、本身ページ作成ジョブは、印刷データのRIP処理を実行して印刷画像データを生成するジョブであり、サムネイル作成ジョブも、本身ページ作成ジョブと同様、印刷データのRIP処理を実行してサムネイル画像データを生成するジョブである。
【0045】
続いて、マスター装置2は、各ジョブの優先度を決定する(ステップS103)。より具体的には、マスター装置2は、ステップS102に示す処理で生成したサムネイル作成ジョブおよび本身ページ作成ジョブのそれぞれに優先順位を付与する。本実施形態では、ユーザー操作により、マスター装置2にサムネイル作成ジョブを優先するサムネイル優先モードが予め設定されている場合、サムネイル作成ジョブに対して本身ページ作成ジョブよりも1段階上位の優先順位が付与される。一方、マスター装置2にサムネイル優先モードが設定されていない場合、本身ページ作成ジョブに対してサムネイル作成ジョブよりも1段階上位の優先順位が付与される。
【0046】
続いて、マスター装置2は、サムネイル作成ジョブと本身ページ作成ジョブを実行中ジョブリストに追加する(ステップS104)。より具体的には、マスター装置2は、ステップS103に示す処理で優先順位をそれぞれ付与したサムネイル作成ジョブおよび本身ページ作成ジョブを、実行中および実行待ちのジョブを管理する実行中ジョブリストに追加する。
【0047】
そして、マスター装置2は、リソース分配処理を実行し(ステップS105)、処理を終了する。より具体的には、ステップS104に示す処理で実行中ジョブリストに追加したサムネイル作成ジョブおよび本身ページ作成ジョブが優先順位にしたがって実行されるように、マスター装置2は、ジョブを実行するリソース(マスター装置2およびスレーブ装置3a〜3c)を計算し、ジョブ実行中状態に移行する。ジョブ実行中状態では、マスター装置2およびスレーブ装置3a〜3cにより、優先順位にしたがってサムネイル作成ジョブおよび本身ページ作成ジョブが実行される。
【0048】
以上のとおり、
図6に示されるフローチャートの処理によれば、プリントコントローラー5が保存ジョブを受信した場合、保存ジョブに基づいて、サムネイル画像データを生成するサムネイル作成ジョブと、印刷画像データを生成する本身ページ作成ジョブとが生成される。そして、ユーザー設定に基づいて、サムネイル作成ジョブおよび本身ページ作成ジョブに優先順位が付与され、優先順位にしたがってサムネイル作成ジョブおよび本身ページ作成ジョブが実行される。
【0049】
より具体的には、サムネイル優先モードが予め設定されている場合、サムネイル作成ジョブに本身ページ作成ジョブよりも高い優先順位が付与され、本身ページ作成ジョブより先にサムネイル作成ジョブが実行される。一方、サムネイル優先モードが設定されていない場合、本身ページ作成ジョブにサムネイル作成ジョブよりも高い優先順位が付与され、サムネイル作成ジョブより先に本身ページ作成ジョブが実行される。
【0050】
図7は、ジョブ受信処理の効果を説明するための図である。
図7(A)は、一般的なジョブ実行処理を示す図であり、
図7(B)は、本実施形態に係るジョブ受信処理後のジョブ実行処理を示す図である。なお、
図7では、2ページの保存ジョブを実行する場合を例に挙げて説明する。
【0051】
図7(A)に示されるとおり、一般的なジョブ実行処理では、保存ジョブが受信された場合、まず、印刷データのRIP処理が実行され、1ページ目の印刷画像データ(本身1P)が生成される。その後、1ページ目の印刷画像データに対して縮小処理(解像度変換処理)が施され、1ページ目のサムネイル画像データ(サムネ1P)が生成される。続いて、印刷データのRIP処理が実行され、2ページ目の印刷画像データ(本身2P)が生成される。その後、2ページ目の印刷画像データに対して縮小処理が施され、2ページ目のサムネイル画像データ(サムネ2P)が生成される。このため、一般的なジョブ実行処理では、印刷画像データのRIP処理が完了しない限り、全ページのサムネイル画像データが揃わず、PC上でのジョブの編集の開始が遅くなる。
【0052】
一方、
図7(B)に示されるとおり、本実施形態のジョブ実行処理では、サムネイル優先モードが設定されている場合、まず、サムネイル作成ジョブに基づいて、印刷データのRIP処理が実行され、1ページ目および2ページ目のサムネイル画像データ(サムネ1Pおよびサムネ2P)が生成される。続いて、本身ページ作成ジョブに基づいて、印刷データのRIP処理が再び実行され、1ページ目および2ページ目の印刷画像データ(本身1Pおよび本身2P)が生成される。このため、本実施形態のジョブ実行処理では、印刷画像データのRIP処理が完了するのを待たずに、全ページのサムネイル画像データが生成され、ユーザーは、PC上でジョブの編集をいち早く開始することが可能になる。なお、低解像度(たとえば、150dpi)のサムネイル画像データを生成するためのRIP処理に要する時間は、高解像度(たとえば、1200dpi)の印刷画像データを生成するためのRIP処理に要する時間よりも短い。
【0053】
したがって、プリントコントローラーに保存ジョブを投入した後、保存ジョブの編集をいち早く開始することを望むユーザーにとっては、ジョブ編集アプリケーションの応答性が向上し、生産性が向上する。
【0054】
また、その一方で、PC上でジョブの編集を開始するよりも先に確認印刷を行うことを望むユーザーにとっては、サムネイル優先モードを設定しないことにより、印刷画像データが優先的に生成され、確認印刷をいち早く行うことが可能になる。
【0055】
以上のとおり、本実施形態によれば、保存ジョブが、サムネイル画像データを生成するサムネイル作成ジョブと印刷画像データを生成する本身ページ作成ジョブとに分割される。そして、サムネイル作成ジョブおよび本身ページ作成ジョブに優先順位が付与され、サムネイル作成ジョブおよび本身ページ作成ジョブが優先順位にしたがって実行される(優先順位の高いものから実行される)。その結果、ユーザー設定に応じて、印刷画像データとサムネイル画像データの生成順序を変更することが可能になり、ユーザーの利便性が向上する。
【0056】
加えて、本実施形態では、プリントコントローラー5が複数の保存ジョブを受信した場合、複数の保存ジョブに対応する複数のサムネイル作成ジョブが、複数の本身ページ作成ジョブよりも先に実行されるように、複数のサムネイル作成ジョブおよび本身ページ作成ジョブに優先順位が付与される。具体的には、プリントコントローラー5が2つの保存ジョブを受信した場合、先頭ジョブのサムネイル画像データを生成した後、先頭ジョブの印刷画像データを生成する前に、次ジョブのサムネイル画像データが生成されるように、サムネイル作成ジョブおよび本身ページ作成ジョブに優先順位が付与される(
図9(A)参照)。このような構成によれば、先頭ジョブの印刷画像データが生成されるよりも先に、次ジョブのサムネイル画像データが生成されるため、次ジョブを投入したユーザーが次ジョブの編集を開始することが遅くなるという問題がなくなる。つまり、次ジョブを投入したユーザーに対するジョブ編集アプリケーションの応答性も向上する。
【0057】
なお、プリントコントローラー5が複数の保存ジョブを受信している場合、各保存ジョブのサムネイル作成ジョブおよび本身ページ作成ジョブに付与される優先順位は、動的に変更され得る。以下、
図8および
図9を参照して、プリントコントローラー5がジョブの優先順位を変更する動作について説明する。
【0058】
図8は、マスター装置2により実行されるジョブ優先度変更処理の手順を示すフローチャートである。なお、
図8のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、マスター装置2のハードディスク24にプログラムとして記憶されており、CPU21によって実行される。
【0059】
まず、マスター装置2は、アプリ操作を監視する(ステップS201)。より具体的には、マスター装置2は、ネットワーク6上のPC1におけるジョブ編集アプリケーションの使用状況を監視する。なお、本実施形態では、複数のPCにより同一の保存ジョブを同時に編集することは禁止されている。
【0060】
続いて、マスター装置2は、編集中のジョブがあるか否かを判断する(ステップS202)。より具体的には、マスター装置2は、PCのユーザーが、ジョブ編集アプリケーションを起動し、サムネイルを見ながら編集している保存ジョブがあるか否かを判断する。
【0061】
編集中のジョブがないと判断する場合(ステップS202:NO)、マスター装置2は、ステップS206の処理に移る。
【0062】
一方、編集中のジョブがあると判断する場合(ステップS202:YES)、マスター装置2は、編集中のジョブをジョブ編集中リストに追加する(ステップS203)。より具体的には、マスター装置2は、ステップS202に示す処理で編集中であることを認識した保存ジョブを、編集中のジョブを示すジョブ編集中リストに追加する。
【0063】
続いて、マスター装置2は、ジョブの優先度を変更する(ステップS204)。より具体的には、マスター装置2は、ステップS203に示す処理でジョブ編集中リストに追加された保存ジョブについて、対応する本身ページ作成ジョブの優先順位を繰り上げる。なお、本実施形態では、優先順位の変更は1回のみ許可される。
【0064】
続いて、マスター装置2は、リソース再分配処理を実行する(ステップS205)。より具体的には、ステップS204に示す処理で変更した優先順位にしたがって、サムネイル作成ジョブおよび本身ページ作成ジョブが実行されるように、マスター装置2は、リソースの再計算やジョブの入れ替えを行う。その結果、マスター装置2およびスレーブ装置3a〜3cにより、変更後の優先順位にしたがってサムネイル作成ジョブおよび本身ページ作成ジョブが実行される。
【0065】
そして、マスター装置2は、すべてのジョブが終了したか否かを判断する(ステップS206)。より具体的には、マスター装置2は、マスター装置2が受信している保存ジョブのサムネイル作成ジョブおよび本身ページ作成ジョブをすべて実行したか否かを判断する。
【0066】
すべてのジョブが終了していないと判断する場合(ステップS206:NO)、マスター装置2は、すべてのジョブが終了するまで、ステップS202〜ステップS205の処理を繰り返す。一方、すべてのジョブが終了したと判断する場合(ステップS206:YES)、マスター装置2は、処理を終了する。
【0067】
以上のとおり、
図8に示されるフローチャートの処理によれば、PC1による保存ジョブの編集が監視され、保存ジョブを編集していることが認識された場合、当該保存ジョブに対応する本身ページ作成ジョブが他の保存ジョブのサムネイル作成ジョブに優先して実行される。このような構成によれば、編集が行われることにより確認印刷が行われる可能性のある保存ジョブについて、印刷画像データが優先的に生成され、確認印刷を直ちに実行することが可能になる。
【0068】
図9は、ジョブ優先度変更処理の効果を説明するための図である。
図9(A)は、ユーザーによるジョブの編集が確認されない場合のジョブ実行処理を示す図であり、
図9(B)は、ユーザーによるジョブの編集が確認された場合のジョブ実行処理を示す図である。なお、
図9では、プリントコントローラー5が2つの保存ジョブを受信している場合を例に挙げて説明する。
【0069】
図9(A)に示されるとおり、ユーザーによるジョブ編集が確認されない場合、先頭ジョブの1ページ目および2ページ目のサムネイル画像データが生成された後、次ジョブの1ページ目および2ページ目のサムネイル画像データが生成される。その後、先頭ジョブの1ページ目および2ページ目の印刷画像データが生成されて、先頭ジョブの確認印刷が可能になる。
【0070】
一方、
図9(B)に示されるとおり、ユーザーのジョブ編集が確認された場合、次ジョブのサムネイル作成ジョブが中断され、先頭ジョブの本身ページ作成ジョブの優先順位が繰り上げられる。このため、次ジョブの1ページ目および2ページ目のサムネイル画像データよりも先に、先頭ジョブの1ページ目および2ページ目の印刷画像データが生成される。したがって、確認印刷を開始可能な時点が早くなり、ジョブの編集を開始したユーザーが、続けて確認印刷を行うことが可能になる。
【0071】
このような構成によれば、本当に必要なRIP処理を優先的に実行することが可能になり、全体的な生産性が向上する。
【0072】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0073】
たとえば、上述した実施形態では、サムネイル画像データと印刷画像データのいずれを優先的に生成するかは、プリントコントローラー側でサムネイル優先モードを設定することにより決定された。しかしながら、サムネイル画像データと印刷画像データのいずれを優先的に生成するかは、プリンタードライバーの機能により保存ジョブに付加される情報に基づいて決定されてもよい。
【0074】
また、上述した実施形態では、保存ジョブを受信した場合に、本身ページ作成ジョブとサムネイル作成ジョブとが生成された。しかしながら、印刷ジョブを受信した場合に、本身ページ作成ジョブとサムネイル作成ジョブとが生成されてもよい。
【0075】
また、上述した実施形態では、印刷データのRIP処理が、処理モジュールであるマスター装置および複数のスレーブ装置によりページ単位で実行された。しかしながら、RIP処理が施されるジョブの単位は、ページ単位に限定されず、たとえば、オブジェクト単位でRIP処理が実行されてもよい。
【0076】
また、上述した実施形態では、プリントコントローラーがブレードサーバーである場合を例に挙げて説明した。しかしながら、プリントコントローラーは、ブレードサーバーに限定されるものではなく、複数のコアが内蔵されているマルチCPUを備えたコンピューターであってもよい。あるいは、プリントコントローラーは、1つのコアが内蔵されているCPUを備えたコンピューターであってもよい。
【0077】
また、上述した実施形態では、プリントコントローラーは、プリンターとは別に設けられた。しかしながら、プリントコントローラーは、プリンターおよびMFP(Multi−Function Peripheral)等の画像形成装置に内蔵されてもよい。
【0078】
上述した実施形態に係る印刷制御装置における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウエア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえば、フレキシブルディスクおよびCD−ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、印刷制御装置の一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。