特許第6011270号(P6011270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011270
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】荷重検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/22 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
   G01L1/22 F
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-254433(P2012-254433)
(22)【出願日】2012年11月20日
(65)【公開番号】特開2014-102155(P2014-102155A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2014年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100114959
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 徹也
(72)【発明者】
【氏名】家里 直哉
(72)【発明者】
【氏名】尾島 靖國
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−194709(JP,A)
【文献】 特開2004−156938(JP,A)
【文献】 特開2000−346723(JP,A)
【文献】 実開平7−41437(JP,U)
【文献】 米国特許第8256306(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0067502(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/00− 1/26
G01L 5/00− 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象からの荷重が入力される平面状の入力面と前記入力面の反対側に形成された曲面状の出力面とを有し前記出力面から荷重を出力する荷重入力部と、
前記荷重入力部の曲面と前記荷重入力部の中心を中心とする連続した円状線又は破断された円状線で接触する接触部を有する円板状の円板状部と、
前記円板状部を載置面との間で支える支持部材と、
前記入力面に載置される環状の中間押圧部材と、を備え、
前記入力面の範囲は、前記荷重の入力に伴う前記円板状部の撓みに応じて変化する前記接触部の径方向に沿った変化量が同じ領域に設定されてある荷重検出装置。
【請求項2】
検出対象からの荷重が入力される平面状の入力面と前記入力面の反対側に形成された曲面状の出力面とを有し前記出力面から荷重を出力する荷重入力部と、
前記荷重入力部の曲面と前記荷重入力部の中心を中心とする連続した円状線又は破断された円状線で接触する接触部を有する円板状の円板状部と、
前記円板状部を載置面との間で支える支持部材と、
前記入力面に載置される環状の中間押圧部材と、を備え、
前記入力面の範囲が前記荷重の入力に伴う前記円板状部の撓みに応じて変化する前記接触部の径に基づいて設定され、
前記入力面は、前記円板状部の撓みに伴って前記接触部の径が変化した場合でも、軸方向に沿って見た場合に前記接触部と重複する領域に設定されてある荷重検出装置。
【請求項3】
前記入力面、前記荷重の入力に伴う前記円板状部の撓みに応じて変化する前記接触部の径方向に沿った最大変化量に基づいて設定されてある請求項1又は2に記載の荷重検出装置。
【請求項4】
前記荷重入力部と接触する前記中間押圧部材の面の周方向に垂直な断面及び前記中間押圧部材と接触する前記荷重入力部の面の周方向に垂直な断面の少なくとも一方が曲面である請求項1から3のいずれか一項に記載の荷重検出装置。
【請求項5】
前記荷重入力部は前記中間押圧部材が載置される側の面が平面であり、前記中間押圧部材のうち前記荷重入力部に接触する面の前記周方向に垂直な断面が曲面である請求項4に記載の荷重検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両に備えられる各種装置に入力される荷重を検出する荷重検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような荷重を検出する技術として、例えば特許文献1に記載の荷重センサがある。この荷重センサは、歪検出素子が載置され、歪みに応じて変形する中央に穴を有するベースと、当該ベースに支持され、荷重入力部となる球体とを備えて構成される。
【0003】
このような荷重センサは、例えば車両の各機能部に作用する荷重を検出するのに利用される。車両に搭載される場合には、特に低燃費化の観点から軽量化及び小型化が要求される。軽量化及び小型化の方法の一つとして、荷重検出装置の製品高さを低くする(低背化する)ことが考えられる。例えば、特許文献1に記載の荷重センサを低背化する場合には、球体を半球状、更にはそれ以上に薄くカットした形状とすることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−194709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように荷重入力部を薄くカットした形状で構成すると、入力される荷重の大きさ(検出対象としての荷重の大きさ)、及び荷重が入力される位置によっては、当該荷重入力部に大きな曲げ応力が加わり、その形状によっては当該荷重入力部に塑性変形や破断等が発生する可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、信頼耐久性の優れた荷重入力部を有する荷重検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る荷重検出装置の特徴構成は、検出対象からの荷重が入力される平面状の入力面と前記入力面の反対側に形成された曲面状の出力面とを有し前記出力面から荷重を出力する荷重入力部と、前記荷重入力部の曲面と前記荷重入力部の中心を中心とする連続した円状線又は破断された円状線で接触する接触部を有する円板状の円板状部と、前記円板状部を載置面との間で支える支持部材と、前記入力面に載置される環状の中間押圧部材と、を備え、前記入力面の範囲は、前記荷重の入力に伴う前記円板状部の撓みに応じて変化する前記接触部の径方向に沿った変化量が同じ領域に設定されてある点にある。
【0008】
このような特徴構成とすれば、荷重入力部の高さを低くして構成することができる。このため、荷重検出装置を小型化することができる。また、荷重検出装置を軸方向に見た場合に、荷重が入力される入力面と接触部の位置とを近づけることができる。このため、荷重入力部に入力される荷重の位置と接触部との位置ずれに伴う曲げ応力を低減することができる。したがって、荷重入力部が変形し難く、耐久信頼性が優れた荷重入力部を有する荷重検出部を実現できる。
また、環状の中間押圧部材を備えることで、周方向に設けられる接触部の位置に対して確実に荷重を入力することができる。この結果、荷重入力部に生じる曲げ応力をさらに低減することが可能となる。
【0009】
【0010】
【0011】
本発明に係る荷重検出装置の特徴構成は、検出対象からの荷重が入力される平面状の入力面と前記入力面の反対側に形成された曲面状の出力面とを有し前記出力面から荷重を出力する荷重入力部と、前記荷重入力部の曲面と前記荷重入力部の中心を中心とする連続した円状線又は破断された円状線で接触する接触部を有する円板状の円板状部と、前記円板状部を載置面との間で支える支持部材と、前記入力面に載置される環状の中間押圧部材と、を備え、前記入力面の範囲が前記荷重の入力に伴う前記円板状部の撓みに応じて変化する前記接触部の径に基づいて設定され、前記入力面は、前記円板状部の撓みに伴って前記接触部の径が変化した場合でも、軸方向に沿って見た場合に前記接触部と重複する領域に設定されある点にある。
【0012】
このような構成とすれば、荷重の入力に応じて接触部の位置が最も大きく移動した場合でも、荷重検出装置を軸方向に見た場合に、荷重が入力された入力面と接触部の位置とを一致させることができる。したがって、荷重の入力に伴って生じる曲げ応力の抑制効果を更に高めることが可能となる。
【0013】
また、前記入力面は、前記荷重の入力に伴う前記円板状部の撓みに応じて変化する前記接触部の径方向に沿った最大変化量に基づいて設定されてあると好適である。
【0014】
このような構成とすれば、荷重の入力に応じて接触部の位置が最も大きく移動した場合でも、荷重検出装置を軸方向に見た場合に、荷重が入力された入力面と接触部の位置とが離れすぎないように設定することができる。したがって、荷重入力部に入力される荷重に伴う曲げ応力の低減効果を更に高めることが可能となる。
【0015】
また、前記荷重入力部と接触する前記中間押圧部材の面の周方向に垂直な断面及び前記中間押圧部材と接触する前記荷重入力部の面の周方向に垂直な断面の少なくとも一方が曲面であると好適である。
【0016】
このような構成であっても、曲面で形成された部位を荷重に応じて変形させることができる。このため、荷重の入力に応じて位置が変わる接触部と同様に、荷重の入力中心の位置も移動させることができるので、荷重検出装置を軸方向に見た場合に、荷重が入力された入力面と接触部の位置とを近づけることができる。したがって、荷重の入力に伴って生じる曲げ応力を抑制することが可能となる。
【0017】
また、前記荷重入力部は前記中間押圧部材が載置される側の面が平面であり、前記中間押圧部材のうち前記荷重入力部に接触する面の前記周方向に垂直な断面が曲面であると好適である。
【0018】
このような構成とすれば、荷重入力部に接する中間押圧部材を、荷重に応じて変形させることができる。このため、荷重の入力に応じて位置が変わる接触部と同様に、荷重の入力中心の位置も移動させることができるので、荷重検出装置を軸方向に見た場合に、荷重が入力された入力面と接触部の位置とを近づけることができる。したがって、荷重の入力に伴って生じる曲げ応力を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】荷重検出装置の側方断面を模式的に示す図である。
図2】荷重検出装置を模式的に示した展開斜視図である。
図3】荷重検出装置を下方から見た図である。
図4】センサの接続形態を示す回路図である。
図5】接触部よりも径方向外側において荷重が入力された場合の形態について示す図である。
図6】接触部よりも径方向内側において荷重が入力された場合の形態について示す図である。
図7】荷重入力中心と接触部との関係を示す図である。
図8】その他の実施形態に係る中間押圧部材について示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る荷重検出装置は、製品の高さを低くした低背仕様であっても外部から入力される荷重を適切に検出することができるように構成されている。以下、本実施形態の荷重検出装置について、図面を用いて説明する。
【0021】
図1には本実施形態に係る荷重検出装置100の側方断面図が示される。図2には荷重検出装置100の一部を断面にした展開斜視図が示される。図3には荷重検出装置100を下方から見た模式図が示される。図1及び図2に示されるように、荷重検出装置100は、起歪体10、荷重入力部20、センサ30を備えて構成される。起歪体10は、支持部材11と円板状部15とを備えて構成される。
【0022】
本実施形態では、支持部材11は筒状からなり、円筒状で構成されている。すなわち、支持部材11は、軸方向に直交する断面が円形である筒状で構成される。
【0023】
荷重入力部20は、検出対象からの荷重が入力される入力面24と当該入力面24の反対側に形成された曲面状の出力面29とを有し当該出力面29から荷重を出力する。本実施形態では、荷重入力部20は、例えば球体を中心からずれた位置においてカットした場合の容積が小さい側の物体や、楕円球体を中心からずれた位置において長軸に平行に切断した場合の容積が小さい側の物体のような形状で形成される。したがって、荷重入力部20は、図1に示されるように側方視において平たい状態で構成される。入力面24は、このようなカットした際に生じる面に設けられる。一方、出力面29は、カット前からの曲面に設けられる。この出力面29は、少なくとも一部が後述する円板状部15と接触するように構成され、入力面24に入力された荷重は円板状部15に対して出力される。
【0024】
また、本実施形態では、本実施形態では、荷重入力部20は軸方向に貫通する孔部26が設けられる。したがって、荷重入力部20は上面視が円板状に構成される。また、図1及び図2に示されるように、荷重入力部20は、その外径が支持部材11の内径よりも小さく構成される。したがって、荷重入力部20は、空間42に収納可能に構成される。
【0025】
円板状部15は円板状に形成され、荷重入力部20の曲面と荷重入力部20の中心を中心とする連続した円状線又は破断された円状線で接触する接触部22を有して構成される。本実施形態では、円板状部15の中心部には貫通孔16が形成され、当該貫通孔16は円板状部15を軸方向に貫通している。したがって、円板状部15は、いわゆるドーナツ状に構成される。このような円板状部15は、当該円板状部15の外周面が支持部材11の内周面12に当接して固定される。この場合、支持部材11と円板状部15の固定は、円板状部15に作用する荷重が支持部材11に伝達される際に減衰されないように行うと好適である。
【0026】
このため、支持部材11及び円板状部15は、荷重を受けて変形可能な材料、例えば、セラミックやアルミニウム、ステンレス等の材料を用いて、一体で形成されると好適である。しかしながら、円板状部15に作用する荷重が支持部材11に伝達される際に減衰されないようであれば、支持部材11と円板状部15とは別体で形成しても良い。
【0027】
円板状部15は、載置面40との間で支持部材11により支えられる。本実施形態では、円板状部15は支持部材11の軸方向中央の側で支持される。すなわち、円板状部15は、支持部材11の双方の軸方向端部から離間して支持部材11の内周面12に支持される。このため、支持部材11を一方の軸方向端部を底部として載置面40に載置すると、円板状部15と載置面40との間に隙間を有するように構成される。したがって、円板状部15よりも載置面40とは反対側の支持部材11を第1支持部材51とし、円板状部15よりも載置面40側の支持部材11を第2支持部材52とすると、第2支持部材52と円板状部15と載置面40とにより空間41が形成される。一方、第1支持部材51の軸方向端面と第1支持部材51と円板状部15とにより空間42が形成される。
【0028】
また、円板状部15は、外環部17と内環部18とを有して構成される。図3に示されるように、外環部17と内環部18とは径方向に連続して構成される。円板状部15を軸方向に見て、径方向外側の部位が外環部17に相当する。また、外環部17の径方向内側が内環部18に相当する。本実施形態では、外環部17は厚さが均一に形成される。一方、内環部18は、径方向内側になる程、厚さが薄く形成される。上述のように、円板状部15の径方向中央部には、貫通孔16が形成される。このため、内環部18は、外環部17との境界(図3にあっては、破線で示した部位)から貫通孔16に向かって次第に薄くなるように形成される。本実施形態では、図1に示されるように、円板状部15を径方向から見た場合、円板状部15の載置面40に対向する側の面71が平坦になるように外環部17と内環部18とが形成され、円板状部15の載置面40に対向する側の面71とは反対側の面72の径方向内側にテーパー状部73を有するように形成される。
【0029】
円板状部15は径方向中央の側がテーパー状部73を有して構成される。本実施形態では、このようなテーパー状部73に荷重入力部20が載置される。したがって、荷重入力部20は、貫通孔16を貫通することなく、テーパー状部73と円環状に線接触することが可能となる。このような線接触する部分が接触部22に相当する。図2においては、接触部22は一点鎖線で示される。
【0030】
また、上述のように、本実施形態に係る荷重入力部20には、当該荷重入力部20を軸方向に貫通する孔部26が設けられる。荷重入力部20は、この孔部26の軸心が貫通孔16の軸心と同軸になるよう円板状部15に載置される。
【0031】
図3に示されるように、センサ30は、円板状部15を軸方向に見て、貫通孔16に対して点対象となるように円板状部15に配置される。本実施形態では、センサ30は公知の歪検出素子により構成される。詳細説明は省略するが、歪検出素子は外部から入力される荷重に応じて自己が歪むことにより、抵抗値が変化する。この抵抗値の変化に基づき歪みを検出することが可能となる。このようなセンサ30は、円板状部15の面71に配置される。これにより、荷重入力部20に入力される荷重に応じて円板状部15が撓んで変形し、当該変形によりセンサ30に歪みが生じる。本荷重検出装置100は、このセンサ30に生じた歪みを検出することで荷重を検出する。
【0032】
本実施形態では、センサ30は長尺状に形成される。すなわち、上面視が長方形の形状を有して構成される。また、本実施形態では、センサ30は複数から構成され、第1のセンサ群31と第2のセンサ群32とを構成する。本実施形態では、第1のセンサ群31及び第2のセンサ群32も、夫々複数の長尺状のセンサ30から構成される。
【0033】
第1のセンサ群31は、センサ30が貫通孔16の周囲に長尺方向(本実施形態のセンサ30の感度方向は、長尺方向とする)を周方向に沿わせて周方向に均等配置される。センサ30の長尺方向を周方向に沿わせるとは、センサ30の長尺方向が、貫通孔16の外縁の接線と平行になるように配置することをいう。本実施形態では、第1のセンサ群31は、4つのセンサ30を備えて構成される。これら4つのセンサ30は、貫通孔16を中心として均等に、すなわち円板状部15の軸心を回転軸として90度毎に位置をずらして配置される。
【0034】
これにより、荷重入力部20に外力が作用すると、内環部18は下方に撓む。この時、内環部18では貫通孔16の周方向に沿って引張力が作用する。よって、第1のセンサ群31は主に引張歪みを検出することになる。
【0035】
また、第2のセンサ群32は、貫通孔16の周囲に長尺方向を径方向に沿わせて周方向に均等配置される。センサ30の長尺方向を径方向に沿わせるとは、センサ30の長尺方向が、円板状部15の径方向に一致させて配置することをいう。本実施形態では、第2のセンサ群32は、4つのセンサ30を備えて構成される。これら4つのセンサ30は、貫通孔16を中心として均等に、すなわち円板状部15の軸心を回転軸として90度毎に位置をずらして配置される。
【0036】
これにより、荷重入力部20に外力が作用すると、内環部18は下方に撓む。この時、外環部17に曲げが生じ、当該外環部17の裏面には圧縮力が作用する。よって、第2のセンサ群32は主に圧縮歪みを検出することになる。
【0037】
このような第1のセンサ群31と第2のセンサ群32とは、第1のセンサ群31が第2のセンサ群32の径方向内側になるように配設される。また、本実施形態では、第1のセンサ群31と第2のセンサ群32とが、周方向に位置をずらして配置される。すなわち、図3に示されるように、第1のセンサ群31と第2のセンサ群32とは、円板状部15の軸心を回転軸として45度毎に位置をずらして、第1のセンサ群31を構成する長尺方向が周方向に沿ったセンサ30と、第2のセンサ群32を構成する長尺方向が径方向に沿ったセンサ30とが周方向に交互に並んで配置される。
【0038】
本実施形態では、センサ30は、公知の歪検出素子を用いて構成される。本実施形態では、第1のセンサ群31及び第2のセンサ群32の夫々を構成する4つの歪検出素子のうち、径方向に互いに対向する2つの歪検出素子を直列接続して図4に示されるようにホイートストンブリッジ回路を構成する。このホイートストンブリッジ回路は、歪検出素子に引張力が作用した場合には抵抗値が増大し、歪検出素子に圧縮力が作用した場合には抵抗値が減少するように構成されている。このような抵抗値の変化を電圧又は電流の変化により求め、荷重を検出している。このような歪検出素子及びホイートストンブリッジ回路については、公知であるので説明は省略する。
【0039】
このように荷重検出装置100を構成することにより、荷重入力部20に荷重が与えられた場合には、第1のセンサ群31では圧縮歪みが生じ、第2のセンサ群32では引張歪みを生じさせることができる。したがって、感度良く荷重を検出することが可能となる。
【0040】
本荷重検出装置100の荷重入力部20には、入力面24の径の範囲が荷重の入力に伴う円板状部15の撓みに応じて変化する接触部22の径に基づいて設定される。円板状部15は、荷重入力部20に入力された荷重に応じて撓む。この撓みにより接触部22の径が変化する。入力面24は、荷重入力部20の面28に円環状に形成される。上述の検出対象の荷重は、この入力面24に入力される。したがって、本実施形態に係る荷重検出装置100においては、検出対象の荷重が円環状に入力される。
【0041】
ここで、荷重入力部20に対して入力された荷重は、接触部22を介して円板状部15に伝達され、円板状部15を撓ませる。この撓みにより、センサ30を歪ませて荷重を検出する。したがって、荷重入力部20に入力された荷重を適切に検出するには、当該荷重が接触部22に対して減衰することなく伝達する必要がある。
【0042】
以下、入力面24の設定について説明する前に、荷重入力部20に対する荷重が入力される位置と、接触部22との関係について説明する。まず、図5の上段に示されるように、荷重検出装置100を側方から見て、荷重を入力する前の接触部22よりも径方向外側の位置で荷重入力部20に荷重が入力される例について考える。係る場合、図5の下段に示されるように、円板状部15が入力された荷重に応じて円板状部15のうち接触部22よりも径方向外側の部分が荷重の入力方向(紙面下方向)へ撓むので接触部22が径方向外側に移動する。したがって、接触部22は拡径する。なお、図5の下段では、移動前(図5の上段と同じ状態)の接触部22の位置が白丸で示され、移動後の接触部22の位置が黒丸で示される。
【0043】
また、図6の上段に示されるように、荷重検出装置100を側方から見て、荷重を入力する前の接触部22よりも径方向内側の位置で荷重入力部20に荷重が入力される場合も、図6の下段に示されるように、円板状部15が入力された荷重に応じて円板状部15のうち接触部22よりも径方向外側の部分が荷重の入力元の方向(紙面上方向)へ撓むので接触部22がやや径方向外側に移動する。したがって、この場合も接触部22は拡径する。このように、接触部22と荷重の入力する位置との関係により、円板状部15の撓む形態が異なるが、いずれにしても荷重が入力された際の接触部22の位置は径方向外側に移動する。
【0044】
本荷重検出装置100では、上述のように入力面24が設定されている。入力面24は、荷重の入力に伴う円板状部15の撓みに応じて変化する接触部22の径方向に沿った最大変化量に基づいて設定される。上述のように接触部22は荷重の入力に応じて径が大きくなる(拡径する)。径方向に沿った最大変化量とは、荷重検出装置100が検出可能な荷重の入力を行った場合に、接触部22の径が最も大きく変化した場合の変化量をいう。
【0045】
より具体的には、入力面24は、円板状部15の撓みに伴って接触部22の径が変化した場合でも、軸方向に沿って見た場合に接触部22と重複する領域に設定されると好適である。すなわち、荷重検出装置100を軸方向に沿って見た場合に、荷重の入力の有無に拘らず、接触部22が入力面24と軸方向に重複するように入力面24を設定すると好適である。このような構成を実現するために、入力面24は径方向に所定の幅を有して構成する。この所定の幅は、荷重が入力されるにつれて接触部22が径方向外側へと移動した場合でも、荷重の入力位置と接触部22とが常に軸方向に重複するように設定される。これにより、図7に示されるように、荷重の入力に伴って接触部22が径方向外側に移動した場合には、荷重入力中心も径方向外側に移動することになる。したがって、荷重入力部20を介して荷重の入力中心と接触部22とが軸方向に常に一致させることが可能となるので、荷重が入力された際に荷重入力部20に作用する曲げモーメントを小さくすることができる。したがって、荷重入力部20に入力される荷重と接触部22との位置ずれに伴う曲げ応力を常にゼロにすることができる。よって、曲げ力に対して強い材料や繰り返し曲げ耐久性能(信頼耐久性)の高い安価な材料を使用することなく、信頼耐久性の優れた荷重入力部20を構成することができる。
【0046】
このような入力面24には環状の中間押圧部材50を載置すると好適である。上記のように入力面24は円環状に構成される。このような円環状の入力面24に対して、中間押圧部材50を載置すると好適である。これにより接触部22の位置が径方向外側に移動した場合であっても、接触部22が荷重入力位置と軸方向に重複するように構成することができる。
【0047】
なお、本荷重検出装置100によれば、上述のように強度や繰り返し曲げ耐久性能(信頼耐久性)の低い安価な材料を用いて荷重入力部20の信頼耐久性を向上させることができる。したがって、コストアップすることなく耐久性の優れた荷重検出装置100を安価に実現することができる。
【0048】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、接触部22が円板状部15と周方向に沿って連続する線の形態で接触するとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。例えば周方向に沿って断続的な線の形態で接触する構成とすることも可能であるし、点状に接触するように構成することも当然に可能である。
【0049】
上記実施形態では、入力面24が、荷重の入力に伴う円板状部15の撓みに応じて変化する接触部22の径方向に沿った最大変化量に基づいて設定されるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。接触部22の最大変化量を考慮せずに入力面24を設定することも当然に可能である。
【0050】
上記実施形態では、入力面24には環状の中間押圧部材50が載置されてあるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。すなわち、中間押圧部材50を備えずに構成することも当然に可能である。
【0051】
また、上記実施形態では、図1において中間押圧部材50及び荷重入力部20が互いに接触する面が平面であるように図示した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。荷重入力部20と接触する中間押圧部材50の面の周方向に垂直な断面及び中間押圧部材50と接触する荷重入力部20の面の周方向に垂直な断面の少なくとも一方を曲面で構成することも可能である。すなわち、荷重入力部20は中間押圧部材50が載置される面が平面であり、中間押圧部材50のうち荷重入力部20に接触する面の周方向に垂直な断面が曲面であっても良い。或いは、中間押圧部材50は荷重入力部20に載置される面が平面であり、荷重入力部20のうち中間押圧部材50に接触する面の周方向に垂直な断面が曲面であっても良い。更には、中間押圧部材50のうち荷重入力部20に接触する面の周方向に垂直な断面、及び荷重入力部20のうち中間押圧部材50に接触する面の周方向に垂直な断面の双方を曲面で構成することも当然に可能である。
【0052】
図8には、上記一例として荷重入力部20は中間押圧部材50が載置される面が平面であり、中間押圧部材50のうち荷重入力部20に接触する面の周方向に垂直な断面が曲面である場合の例が示される。中間押圧部材50は、荷重が入力されていない状態における接触部22の上方に配設される。すなわち、中間押圧部材50が荷重入力部20と接触する位置と、接触部22との位置は、荷重検出装置100を軸方向に見て一致している。
【0053】
係る場合、図8の上段に示されるように、中間押圧部材50に荷重が入力されると、図8の下段に示されるように、荷重入力部20が荷重の入力方向(紙面下方向)に沈み込む。これにより、荷重入力部20は、荷重入力部20のうち接触部22よりも径方向外側の部位が荷重の入力元の方向(紙面上方向)に撓む。この場合、中間押圧部材50の曲面に沿って接触部22も径方向外側に移動するので、接触部22が縮径する。一方、荷重が入力される位置も、やや径方向外側に移動する。このため、荷重が入力された場合の接触部22と、荷重を入力する位置とを軸方向に見て近づけることができるので、荷重が入力された際に荷重入力部20に作用する曲げモーメントを小さくすることができる。したがって、荷重入力部20に入力される荷重と接触部22との位置ずれに伴う曲げ応力を小さくすることができる。よって、曲げ力に対して強い材料や信頼耐久性の高い高価な材料を使用することなく、信頼耐久性の優れた荷重入力部20を有する荷重検出装置100を実現することが可能となる。
【0054】
上記実施形態では、荷重入力部20に孔部26が設けられているとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。孔部26を備えずに荷重入力部20を構成することも当然に可能である。
【0055】
上記実施形態では、支持部材11が円筒状であるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。支持部材11を円筒状以外の形状で構成することも当然に可能である。
【0056】
上記実施形態では、支持部材11が第1支持部材51と第2支持部材52とを有するとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。第1支持部材51を有さずに支持部材11を構成することも当然に可能である。
【0057】
本発明は、例えば車両に備えられる各種装置に入力される荷重を検出する荷重検出装置に用いることが可能である。
【符号の説明】
【0058】
11:支持部材
15:円板状部
20:荷重入力部
22:接触部
24:入力面
29:出力面
40:載置面
50:中間押圧部材
100:荷重検出装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8