特許第6011280号(P6011280)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ノーリツの特許一覧

<>
  • 特許6011280-貯湯式給湯装置 図000002
  • 特許6011280-貯湯式給湯装置 図000003
  • 特許6011280-貯湯式給湯装置 図000004
  • 特許6011280-貯湯式給湯装置 図000005
  • 特許6011280-貯湯式給湯装置 図000006
  • 特許6011280-貯湯式給湯装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011280
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】貯湯式給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/18 20060101AFI20161006BHJP
   F24H 9/00 20060101ALI20161006BHJP
   F24H 4/02 20060101ALI20161006BHJP
   F24D 17/00 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   F24H1/18 A
   F24H9/00 M
   F24H4/02 F
   F24D17/00 H
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-260491(P2012-260491)
(22)【出願日】2012年11月29日
(65)【公開番号】特開2014-105949(P2014-105949A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】米田 修朗
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−225610(JP,A)
【文献】 特開平03−084359(JP,A)
【文献】 特開2002−221358(JP,A)
【文献】 特開2006−284080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24H 1/18 − 1/20
F24H 4/00 − 4/06
F24H 9/00
F24D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクの上部から出湯される高温水と、この高温水より温度が低い低温水とを混合して混合湯水を出湯するように構成された貯湯式給湯装置であって、ケース本体内の軸心方向に進退移動する弁体を介して前記高温水と前記低温水の混合比率を調整可能な湯水混合手段を備えた貯湯式給湯装置において、
前記湯水混合手段は、前記ケース本体の軸心方向の一端部近傍に設けられ且つ前記高温水を導入可能な第1導入口と、前記ケース本体の軸心方向の他端部近傍に設けられ且つ前記低温水を導入可能な第2導入口と、前記ケース本体の軸心方向の途中部に設けられ且つ前記混合湯水を吐出する導出口とを備え、
前記導出口は、前記ケース本体の軸心方向と直交する方向に開口するように前記ケース本体に設けられ、前記湯水混合手段は、前記第1導入口が前記第2導入口よりも高い位置に設定されると共に前記導出口が斜め下方に向くように組付けられていることを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記貯湯タンクの上端部分はドーム状の鏡板で構成され、
前記鏡板の中心部から径方向に離間した位置に前記鏡板の表面に対して直交する方向に開口し且つ前記高温水を吐出する吐出口が設けられると共に、前記吐出口は前記第1導入口に接続され、
前記湯水混合手段は、前記吐出口の開口方向と前記ケース本体の軸心とが直交するように組付けられていることを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は貯湯式給湯装置に関し、特に貯湯タンクの上側に組付けられる出湯配管と湯水混合弁の内部に自然対流が発生するのを防止する構造を備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、貯湯式給湯装置は、湯水を貯留する大容量の貯湯タンクと、この貯湯タンクの下部に接続された給水配管及び上部に接続された出湯配管と、前記貯湯タンクの下部から熱源機を経由して貯湯タンクの上部へ水を循環させて加熱する循環加熱配管等を有する。前記熱源機としては、ヒートポンプユニットや燃料電池発電ユニットの排熱回収熱交換器等が活用される。
【0003】
ところで、貯湯タンクに対する出湯配管の接続構造として、例えば、特許文献1の給湯機では、貯湯タンクの上端部の中心部に上方に開口した吐出口が設けられ、この吐出口にT字状の継手部材が設けられ、この継手部材の水平方向に向かって開口した給湯口に出湯配管が接続されて高温の湯水が出湯される構造が開示されている。尚、T字状の継手部材の上方の開口には、圧力逃し弁が設けられている。
【0004】
また、貯湯タンクの上側において、出湯配管の途中部には、貯湯タンクの上部から出湯される高温水とこの高湯水より温度が低い低温水とを混合する湯水混合弁が設けられている場合がある。この湯水混合弁は、高温水と低温水の比率を調整しながら混合調温して所望の温度の湯水を生成して給湯栓等から供給する。この湯水混合弁の構造は、一般的に特許文献2で開示されているような混合弁が広く採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平7−35927号公報
【特許文献2】特開2006−266403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の貯湯タンクの吐出口の構造の場合、出湯配管はT字状の継手部材を介して吐出口に接続される構造上、出湯配管は貯湯タンクの上側を水平方向に延びるように組付けられることになる。出湯配管の途中部に設置される湯水混合弁も同様に、湯水が導入される導入口の開口方向や混合湯水を吐出する導出口の開口方向が水平方向に夫々向いた水平状態に組付けられる場合が多い。
【0007】
しかし、貯湯タンクの上側において、出湯配管や湯水混合弁を水平状態になるように組付けると、出湯を停止した瞬間、出湯配管や湯水混合弁の内部で低温水と高温水との比重差による自然対流が発生し、出湯配管の上流側の高温水の温度が低下したり、下流側の低温水の温度が上昇したり、貯湯タンク内の上端部に低温水が流入してしまう虞がある。このため、再度の出湯の際に冷水サンドイッチ現象が発生することによって、出湯特性が悪化するという問題がある。
【0008】
そこで、出湯配管や湯水混合弁の内部に自然対流を発生させないように、貯湯タンクの上側の吐出口近傍部の出湯配管を、湯水の比重差を考慮して下り傾斜状に組付ける必要があるが、既存の直管状の配管を使用して出湯配管を下り傾斜状に組付ける為には、出湯配管を曲げ加工しなければならず、配管作業に手間がかかり製造コストが上昇してしまう上、貯湯タンクの上側の配管構造が複雑化してしまう虞がある。
【0009】
本発明の目的は、貯湯タンクの上側において、出湯配管や湯水混合弁の内部の自然対流の発生を防止可能な貯湯式給湯装置を提供すること、出湯配管や湯水混合弁を低コストで且つ簡単な構成で下り傾斜状に取り付け可能な貯湯式給湯装置を提供すること、等である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の貯湯式給湯装置は、貯湯タンクの上部から出湯される高温水と、この高温水より温度が低い低温水とを混合して混合湯水を出湯するように構成された貯湯式給湯装置であって、ケース本体内の軸心方向に進退移動する弁体を介して前記高温水と前記低温水の混合比率を調整可能な湯水混合手段を備えた貯湯式給湯装置において、前記湯水混合手段は、前記ケース本体の軸心方向の一端部近傍に設けられ且つ前記高温水を導入可能な第1導入口と、前記ケース本体の軸心方向の他端部近傍に設けられ且つ前記低温水を導入可能な第2導入口と、前記ケース本体の軸心方向の途中部に設けられ且つ前記混合湯水を吐出する導出口とを備え、前記導出口は、前記ケース本体の軸心方向と直交する方向に開口するように前記ケース本体に設けられ、前記湯水混合手段は、前記第1導入口が前記第2導入口よりも高い位置に設定されると共に前記導出口が斜め下方に向くように組付けられていることを特徴としている。
【0011】
請求項2の貯湯式給湯装置は、請求項1の発明において、前記貯湯タンクの上端部分はドーム状の鏡板で構成され、前記鏡板の中心部から径方向に離間した位置に前記鏡板の表面に対して直交する方向に開口し且つ前記高温水を吐出する吐出口が設けられると共に、前記吐出口は前記第1導入口に接続され、前記湯水混合手段は、前記吐出口の開口方向と前記ケース本体の軸心とが直交するように組付けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、湯水混合手段の導出口は、ケース本体の軸心方向と直交する方向に開口するようにケース本体に設けられ、湯水混合手段は、高温水側の第1導入口が低温水側の第2導入口よりも高い位置に設定されると共に導出口が斜め下方に向くように組付けられているので、湯水混合手段を下り傾斜状に組付けることで、簡単な構成で自然対流の発生を抑制することができ、故に、湯水混合手段の内部の混合湯水が貯湯タンク側に逆流するのを防止したり、湯水混合手段の導出口から出湯された混合湯水が湯水混合手段側に逆流するのを防止することができるので、出湯特性を改善することができる。また、第1導入口に貯湯タンクから延びる配管を接続した状態でケース本体を回転させると導出口が斜め下方に向くので、湯水混合手段を簡単な作業で下り傾斜状に組付けることができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、貯湯タンクのドーム状の鏡板の中心部から径方向に離間した位置に鏡板の表面に対して直交する方向に開口し且つ高温水を吐出する吐出口が設けられ、湯水混合手段は、吐出口の開口方向とケース本体の軸心とが直交するように組付けられているので、既存の直管状の配管を出湯配管として吐出口や導出口に接続するだけ配管を下り傾斜状に組付けることができる。従って、直管状の配管の曲げ加工を必要としないので、簡単な構成で且つ低コストで貯湯タンクの吐出口近傍の配管や湯水混合手段近傍の配管を下り傾斜状に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例に係る貯湯式給湯装置の概略構成図である。
図2】貯湯タンクの平面図である。
図3図2のA矢視図である。
図4図2のB矢視図である。
図5】出湯配管と高温側湯水混合弁と低温側湯水混合弁の断面図である。
図6】部分変更形態に係る出湯配管と高温側湯水混合弁と低温側湯水混合弁の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0016】
先ずは、貯湯式給湯装置1の全体構成について説明する。
図1に示すように、貯湯式給湯装置1は、貯湯、給湯等の機能を有するものであり、貯湯タンク5、給水配管6、出湯配管7、貯湯タンク5の下部から外部熱源機2を経由して貯湯タンク5の上部へ水を循環させて加熱する循環加熱回路8、高温側湯水混合弁21及び低温側湯水混合弁22、これらを収納する外装ケース10(図2参照)等を備え、貯湯タンク5の上部から出湯される高温水と、この高温水より温度が低い低温水とを混合して混合湯水を出湯するように構成されている。尚、外部熱源機2としては、ヒートポンプ式熱源機や燃料電池発電ユニットの排熱回収熱交換器等が活用される。
【0017】
貯湯タンク5は、外部熱源機2で加熱された高温の温水(例えば、80〜90℃)を貯留可能な上下方向に細長い密閉タンクで構成され、貯留された湯水の放熱を防ぐ為にタンク周囲は断熱材で覆われている。貯湯タンク5内の複数の貯留層の湯水の温度が複数の貯湯水温度センサ11a〜11eにより検出される。
【0018】
図1図4に示すように、貯湯タンク5は、縦長筒状の外周面を有し且つ耐腐食性に優れたステンレス板製の胴部材5aと、この胴部材5aの上下両端部分を塞ぐ1対のドーム状の鏡板5b,5cとから一体的に構成されている。
【0019】
貯湯タンク5の上端部分の鏡板5bには、出湯配管7の上流端が接続される吐出口12と、循環加熱回路8の下流端が接続される循環用戻り側接続口13とが形成され、貯湯タンク5の下端部分の鏡板5cには、給水配管6の下流端が接続される給水口14と、循環加熱回路8の上流端が接続される循環用往き側接続口15とが形成されている。尚、貯湯タンク5の上側の配管構造については後述する。
【0020】
給水配管6は、上水源から低温の上水を貯湯タンク5に供給するものであり、上流端が上水源に接続され、貯湯タンク5の下部に下流端が接続されている。給水配管6には、貯湯タンク5へ上水を供給する為の開閉弁16が設けられており、通常は開閉弁16が開弁されていて、上水を貯湯タンク5内に供給するようになっている。
【0021】
出湯配管7は、貯湯タンク5内に貯湯された湯水を給湯栓17等の所望の給湯先に供給するものであり、高温の湯水が流れる上流出湯配管7a、高温の湯水と中温の湯水が混合された混合湯水が流れる中間出湯配管7b、混合湯水と水が混合された混合湯水が流れる下流出湯配管7cを有し、下流出湯配管7cの下流端に給湯栓17が接続されている。
【0022】
図1図5に示すように、上流出湯配管7aと中間出湯配管7bとの間には高温側湯水混合弁21が設置され、この高温側湯水混合弁21に貯湯タンク5の中段部から延びる中温湯水配管18の下流端が接続されている。中間出湯配管7bと下流出湯配管7cとの間には低温側湯水混合弁22が設置され、この低温側湯水混合弁22に給水配管6から分岐したバイパス通路19の下流端が接続されている。
【0023】
循環加熱回路8は、外部熱源機2と貯湯タンク5との間に湯水を循環させる閉回路であり、往き側通路8a、戻り側通路8bを有し、貯湯タンク5の下部に往き側通路8aの上流端が接続され、貯湯タンク5の上部に戻り側通路8bの下流端が接続されている。往き側通路8aには、循環ポンプ8cが設置されている。
【0024】
次に、高温側湯水混合弁21の構造について説明する。
図5に示すように、高温側湯水混合弁21(湯水混合手段に相当する)は、略円筒状に構成されたケース本体23、このケース本体23の内部の混合室24、混合室24内を貫通する弁軸25、この弁軸25を進退駆動する為の駆動モータ26、前記弁軸25に設けられ且つケース本体23内の軸心23A方向に進退移動する弁体27、この弁体27に対応する弁座28a,28b、ケース本体23の軸心23A方向の一端部近傍に設けられた第1導入口31A、ケース本体23の軸心23A方向の他端部近傍に設けられた第2導入口32A、ケース本体23の軸心23A方向の途中部に設けられた導出口33A等を備えている。
【0025】
第1導入口31Aと第2導入口32Aと導出口33Aに関して、さらに具体的に、第1導入口31Aは、駆動モータ26とは反対側の端部であって軸心23A方向と平行な方向に開口するようにケース本体23に設けられている。第2導入口32Aは、駆動モータ26側の端部近傍であって軸心23A方向と直交する方向に開口するようにケース本体23に設けられている。導出口33Aは、ケース本体23の軸心23A方向と直交する方向に且つ第2導入口32Aとは反対側に開口するように設けられている。
【0026】
図5に示すように、高温側湯水混合弁21は、上流出湯配管7aが接続された第1導入口31Aに高温水として貯湯タンク5の上部の高温の湯水が導入され、中温湯水配管18が接続された第2導入口32Aに低温水として貯湯タンク5の中段部の中温の湯水が導入され、混合室24において弁体27を介して混合比率が調整された混合湯水が導出口33Aから中間出湯配管7bに吐出されるように構成されている。
【0027】
次に、低温側湯水混合弁22の構造について説明する。
図5に示すように、低温側湯水混合弁22(湯水混合手段に相当する)は、基本的に高温側湯水混合弁21と同じ構造のものであり、ケース本体23、混合室24、弁軸25、駆動モータ26、弁体27、弁座28a,28b、ケース本体23の軸心23B方向の駆動モータ26とは反対側の一端部近傍に設けられた第1導入口31B、ケース本体23の軸心23B方向の駆動モータ26側の他端部近傍に設けられた第2導入口32B、ケース本体23の軸心23B方向の途中部に設けられ且つ第2導入口32Bとは反対側に開口する導出口33B等を備えている。
【0028】
図5に示すように、低温側湯水混合弁22は、中間出湯配管7bが接続された第1導入口31Bに高温水として高温側湯水混合弁21の混合湯水が導入され、バイパス通路19が接続された第2導入口32Bに低温水として上水源から低温の上水が導入され、混合室24において弁体27を介して混合比率を調整された混合湯水が導出口33Bから下流出湯配管7cに吐出されるように構成されている。
【0029】
貯湯式給湯装置1の給湯運転は給湯栓17の開栓と共に開始される。貯湯式給湯装置1において、上水源の水圧により上水が給水配管6から貯湯タンク5内の下部に入り込み、これにより、高温の湯水と中温の湯水とを混合する場合は、高温の湯水が貯湯タンク5内の上部から上流出湯配管7aに押し出され、中温の湯水が貯湯タンク5内の中段部から中温湯水配管18に押し出され、これら押し出された湯水は高温側湯水混合弁21に導入される。
【0030】
次に、高温側湯水混合弁21で混合された混合湯水は、低温側湯水混合弁22に導入され、上水はバイパス通路19を介して低温側湯水混合弁22に導入される。出湯温度が指令温度になるように、高温側湯水混合弁21を介して混合される高温の湯水と中温の湯水の流量比が制御され、低温側湯水混合弁22を介して混合される混合湯水と水の流量比が夫々制御される。尚、高温側湯水混合弁21だけを作動させて混合湯水を生成するように制御しても良いし、低温側湯水混合弁22だけを作動させて混合湯水を生成するように制御しても良い。
【0031】
次に、貯湯タンク5の上端部分の鏡板5b上の出湯配管7と高温側湯水混合弁21と低温側湯水混合弁22の取り付け構造について説明する。
図2図4に示すように、貯湯タンク5の高温の湯水を吐出する吐出口12が、鏡板5bの中心部から径方向に離間した位置に鏡板5bの表面に対して直交する方向に開口するように設けられている。即ち、吐出口12は、この吐出口12を接点とする接線35と直交する方向に開口している(図4参照)。
【0032】
この吐出口12には、L字状の継手部材12aが設けられている。この継手部材12aの一端部は、吐出口12に接続され、他端部は接線35と平行な方向で且つ傾斜方向の下方に向けて開口され、この他端部に出湯配管7の上流出湯配管7aの上流端が接続されている。上流出湯配管7aは下り傾斜状に真っ直ぐ延び、その下流端が高温側湯水混合弁21の第1導入口31Aに接続されている。
【0033】
吐出口12は、継手部材12aと上流出湯配管7aを介して高温側湯水混合弁21の第1導入口31Aに接続され、高温側湯水混合弁21は、吐出口12の開口方向(図4の矢印aが示す方向)とケース本体23の軸心23Aとが直交するように組付けられている。即ち、高温側湯水混合弁21は、第1導入口31Aが第2導入口32Aよりも高い位置に設定される。さらに、高温側湯水混合弁21は、導出口33Aが斜め下方に向くように組付けられている(図3図4参照)。高温側湯水混合弁21の第2導入口32Aには、中温湯水配管18の下流端が接続されている。
【0034】
図3図4に示すように、高温側湯水混合弁21の導出口33Aには、中間出湯配管7bの上流端が接続され、この中間出湯配管7bは下り傾斜状に真っ直ぐに延び、その下流端が低温側湯水混合弁22の第1導入口31Bに接続されている。即ち、低温側湯水混合弁22の第1導入口31Bは、高温側湯水混合弁21の導出口33Aに同軸状に接続されている。
【0035】
低温側湯水混合弁22は、中間出湯配管7bを介して高温側湯水混合弁21に連続的に接続され、低温側湯水混合弁22は、そのケース本体23の軸心23Bと高温側湯水混合の軸心23Aとが直交するように組付けられている。即ち、低温側湯水混合弁22は、第1導入口31Bが第2導入口32Bよりも高い位置に設定される。さらに、低温側湯水混合弁22は、導出口33Bが斜め下方に向くように組付けられている(図3図4参照)。第2導入口32Bには、バイパス通路19の下流端が接続され、導出口33Bには、下流出湯配管7cの上流端が接続されている。
【0036】
次に、本発明の貯湯式給湯装置1の作用及び効果について説明する。
貯湯タンク5の上端部分の鏡板5bの上側に出湯配管7と高温側湯水混合弁21と低温側湯水混合弁22とを組付ける場合、先ずは、吐出口12に設けられたL字状の継手部材12aに、出湯配管7の直管状の上流出湯配管7aを接続し、この下り傾斜状の上流出湯配管7aに高温側湯水混合弁21の第1導入口31Aを接続する。この状態で、高温側湯水混合弁21をケース本体23の軸心23Aを軸として回転させることで、導出口33Aが斜め下方に向くように調整し、高温側湯水混合弁21を下り傾斜姿勢にて取り付ける。次に、高温側湯水混合弁21の第2導入口32Aに、中温湯水配管18を接続する。
【0037】
次に、高温側湯水混合弁21の斜め下方に開口している導出口33Aに直管状の中間出湯配管7bを接続し、下り傾斜状の中間出湯配管7bに低温側湯水混合弁22の第1導入口31Bを接続する。この状態で、低温側湯水混合弁22をケース本体23の軸心23Bを軸として回転させることで、導出口33Bが斜め下方に向くように調整し、低温側湯水混合弁22を下り傾斜姿勢に取り付ける。次に、低温側湯水混合弁22の第2導入口32Bに、バイパス通路19を接続し、低温側湯水混合弁22の斜め下方に開口している導出口33Bに下流出湯通路7cを接続する。
【0038】
このように、出湯配管7と高温側湯水混合弁21と低温側湯水混合弁22との配列関係が、高い方から低い方に向って順に出湯配管7の上流出湯配管7a、高温側湯水混合弁21の高温の湯水が導入される第1導入口31A、高温の湯水と中温の湯水の中間温度の混合湯水が導出される導出口33A、中温の湯水が導入される第2導入口32A、出湯配管7の中間出湯配管7b、低温側湯水混合弁22の中間温度の混合湯水が導入される第1導入口31B、中間温度の混合湯水と低温の上水とで調温された混合湯水が導出される導出口33B、低温の上水が導入される第2導入口32Bとなり、上流側から下流側に向って温度の下降勾配が形成されるので、出湯が停止された際にこれらの内部に滞留する高温水と低温水による自然対流の発生が防止される。
【0039】
以上説明したように、高温側湯水混合弁21及び低温側湯水混合弁22の導出口33A,33Bは、ケース本体23の軸心23A,23B方向と直交する方向に開口するようにケース本体23に設けられ、高温側湯水混合弁21及び低温側湯水混合弁22は、高温水側の第1導入口31A,31Bが低温水側の第2導入口32A,32Bよりも高い位置に設定されると共に導出口33A,33Bが斜め下方に向くように組付けられている。
【0040】
従って、高温側湯水混合弁21及び低温側湯水混合弁22を下り傾斜状に組付けることで、簡単な構成で自然対流の発生を抑制することができ、故に、高温側湯水混合弁21及び低温側湯水混合弁22の内部の混合湯水が貯湯タンク5側に逆流するのを防止したり、高温側湯水混合弁21及び低温側湯水混合弁22の導出口33A,33Bから出湯された混合湯水が逆流するのを防止することができるので、出湯特性を改善することができる。また、第1導入口31A,31Bに貯湯タンク5から延びる配管を接続した状態でケース本体23を回転させると導出口33A,33Bが斜め下方に向くので、高温側湯水混合弁21及び低温側湯水混合弁22を簡単な作業で下り傾斜状に組付けることができる。
【0041】
さらに、貯湯タンク5のドーム状の鏡板5bの中心部から径方向に離間した位置に鏡板5bの表面に対して直交する方向に開口し且つ高温水を吐出する吐出口12が設けられ、高温側湯水混合弁21及び低温側湯水混合弁22は、吐出口12の開口方向とケース本体23の軸心23A,23Bとが直交するように組付けられているので、既存の直管状の配管を出湯配管7として吐出口12や導出口33Aに接続するだけ配管を下り傾斜状に組付けることができる。従って、直管状の配管の曲げ加工を必要としないので、簡単な構成で且つ低コストで貯湯タンク5の吐出口12近傍の配管や高温側湯水混合弁21及び低温側湯水混合弁22近傍の配管を下り傾斜状に設けることができる。
【0042】
次に、前記実施例を部分的に変更する例について説明する。
[1]前記実施例において、湯水混合手段として、高温側湯水混合弁21と低温側湯水混合弁22とが組付けられているが、特にこの構造に限定する必要はなく、貯湯タンク5の上部の高温の湯水と水とを混合して混合湯水を生成する1つの湯水混合弁を組付け、この湯水混合弁に本発明の構造を適用しても良い。
【0043】
[2]前記実施例の高温側湯水混合弁21と低温側湯水混合弁22において、ケース本体23の駆動モータ26とは反対側の端部を一端部として、ケース本体23の駆動モータ26側の端部を他端部として説明しているが、これに限定する必要はなく、実施例とは逆構造となるように、ケース本体23の駆動モータ26側の端部を一端部として、ケース本体23の駆動モータ26とは反対側の端部を他端部としても良い。
【0044】
つまり、図6に示すように、高温側湯水混合弁21と低温側湯水混合弁22において、第1導入口31A,31Bは、ケース本体23の軸心23A,23B方向の一端部近傍であって軸心23A方向と直交する方向に開口するようにケース本体23に設けられても良く、第2導入口32A,32Bは、ケース本体23の軸心23A,23B方向の他端部近傍であって軸心23A方向と平行な方向に開口するようにケース本体23に設けられても良い。
【0045】
尚、上記の構造の場合、高温側湯水混合弁21と低温側湯水混合弁22は、高温水側の第1導入口31A,31Bが低温水側の第2導入口32A,32Bよりも高い位置(ケース本体23の駆動モータ26側の端部の方が高い位置)に設定されると共に導出口33A,33Bが斜め下方に向くように組付けられている。
【0046】
[3]その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0047】
1 貯湯式給湯装置
5 貯湯タンク
5b,5c 鏡板
12 吐出口
21 高温側湯水混合弁
22 低温側湯水混合弁
23 ケース本体
23A,23B 軸心
27 弁体
31A,31B 第1導入口
32A,32B 第2導入口
33A,33B 導出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6