(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1台の冷凍機と複数のショーケースとを冷媒配管で接続した冷凍回路を備え、前記冷凍機の運転を停止することで前記複数のショーケースの除霜運転を同期させて開始すると共に、個々のショーケース毎に設定された終了条件に基づいて除霜の終了判断を行う冷凍システムであって、
個々のショーケース毎の除霜の状態を収集する除霜状態収集手段と、
個々のショーケースに要求される冷却能力である要求冷却能力を算出する演算手段と、
前記除霜状態収集手段によって除霜の終了が判断された各ショーケースについての前記演算手段で算出された要求冷却能力を積算する積算手段と、
前記冷凍機が最低出力で運転される場合の冷却能力である最低冷却能力のデータを保持する保持手段と、
除霜が終了した各ショーケースの要求冷却能力の合計値が前記冷凍機の最低冷却能力を上回った場合に、又は前記合計値と前記最低冷却能力との比が基準比率を上回った場合に、前記冷凍機に対して運転開始を指示する冷凍機運転判定手段と、
を備えることを特徴とする冷凍システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載の構成は、複数のショーケースをいくつかのグループに振分け、各グループ毎に除霜運転を行うことを前提としており、このため、除霜運転中は冷凍機の出力を低下させた制御を行うものとしている。従って、例えば、所定の冷凍機に接続された全てのショーケースで除霜運転を同時に行なう場合にも冷凍機の運転が継続されることになり、システム全体での電力消費量を十分に低減することはできない。
【0006】
一方、従来よりショーケースの除霜運転時に冷凍機の運転を停止する制御を行うシステムも用いられているが、このようなシステムでは、冷凍機の運転停止をショーケースでのバルブの閉塞による吸入圧の低下検知によって行なっている。この場合にはショーケースの残留冷媒が気化し、冷凍機の吸入圧力が上昇するため、ショーケースの除霜終了を待たずに冷凍機の運転が開始されたり、着霜の少ないショーケースに依拠して極めて低負荷の状態で冷凍機の運転が開始されたりすることがある。すなわち、冷却負荷が冷凍機の最低運転負荷を下回る場合は冷凍機の吸入圧力が低下し、運転開始後すぐに停止するような短時間の間欠運転が冷凍機に繰り返され、無駄な電力消費を生じることになる。
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、ショーケースの除霜運転での冷凍機の運転開始制御を適切に行い、消費電力量を低減することができる冷凍システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る冷凍システムは、少なくとも1台の冷凍機と複数のショーケースとを冷媒配管で接続した冷凍回路を備え、前記冷凍機の運転を停止することで前記複数のショーケースの除霜運転を同期させて開始すると共に、個々のショーケース毎に設定された終了条件に基づいて除霜の終了判断を行う冷凍システムであって、個々のショーケース毎の除霜の状態を収集する除霜状態収集手段と、個々のショーケースに要求される冷却能力である要求冷却能力を算出する演算手段と、前記除霜状態収集手段によって除霜の終了が判断された各ショーケースについての前記演算手段で算出された要求冷却能力を積算する積算手段と、前記冷凍機が最低出力で運転される場合の冷却能力である最低冷却能力のデータを保持する保持手段と、除霜が終了した各ショーケースの要求冷却能力の合計値が前記冷凍機の最低冷却能力を上回った場合に、又は前記合計値と前記最低冷却能力との比が基準比率を上回った場合に、前記冷凍機に対して運転開始を指示する冷凍機運転判定手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、冷凍機を停止して各ショーケースの除霜運転を一括して開始した後、個々のショーケース毎に温度や経過時間等の終了条件に基づき除霜の終了判断を行う。この際、除霜状態収集手段により個々のショーケース毎の除霜終了の状況を監視し、積算手段により除霜が終了したショーケースについての要求冷却能力を積算し、冷凍機運転判定手段により除霜が終了した各ショーケースの要求冷却能力の合計値と冷凍機の最低冷却能力とを比較し、要求冷却能力の合計値が冷凍機の最低冷却能力を上回った場合に、冷凍機を運転開始する。このため、冷凍機を除霜運転中に停止しておくことで消費電力を抑えることができ、さらに、冷凍機の運転開始タイミングを最適化することができるため、システム全体での消費電力量を低減し、省エネルギ化を実現することができる。
【0010】
前記除霜状態収集手段は、収集した個々のショーケース毎の除霜の状態を前記保持手段に集約して登録し、前記積算手段は、前記保持手段に登録された個々のショーケース毎の除霜の状態に基づき、前記要求冷却能力の積算処理を行うものとしてよい。そうすると、積算手段は、保持手段に登録された個々のショーケース毎の除霜の状態を利用して、要求冷却能力の積算処理を円滑に行うことができる。
【0011】
前記演算手段は、前記ショーケースの仕様、設定温度、又は除霜運転開始前の運転状態を指標として前記要求冷却能力を算出するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、冷凍機を除霜運転中に停止しておくことで消費電力を抑えることができ、さらに、冷凍機の運転開始タイミングを最適化することができるため、システム全体での消費電力量を低減し、省エネルギ化を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る冷凍システムについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る冷凍システム10の全体構成図である。冷凍システム10は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗やその他一般的産業分野の工場等に設置され、商品等の冷凍や冷蔵を行うためのものである。
【0016】
図1に示すように、冷凍システム10は、1台の冷凍機12と、冷凍機12と冷媒配管14で接続された複数(
図1では5台)のショーケース16a,16b,16c,16d,16eと、これら冷凍機12及びショーケース16a〜16eと信号線18で接続され、ショーケース16a〜16eとはシリアル通信、冷凍機12とはシリアル通信やON−OFF通信が行なわれる除霜制御装置20とを備える。
【0017】
冷凍機12は、図示しない圧縮機及び熱交換器(凝縮器)等を備える公知の構成である。冷凍機12は、冷媒配管14を介して圧縮機で圧縮した液相冷媒をショーケース16a〜16eに供給する。この液相冷媒は、ショーケース16a〜16eに備えられた図示しない熱交換器(蒸発器)で蒸発した後、気相冷媒となって冷媒配管14を介して冷凍機12の圧縮機に戻るサイクル(冷凍サイクル)を繰り返す。すなわち、冷媒配管14は、冷凍機12とショーケース16a〜16eとの間に冷媒の往復分の2本が配設され、冷凍機12とショーケース16a〜16eは2本の冷媒配管14に対してそれぞれ並列に接続されることで冷凍回路が構築されている。冷凍機12は、2台以上としてもよく、この場合には2台以上の冷凍機12を冷媒配管14に対して並列に接続するとよい。
【0018】
各ショーケース16a〜16eは、上記した熱交換器(蒸発器)及び商品等の収納スペースとなる冷凍室(冷蔵室)等を備える公知の構成である。これら冷凍室や冷蔵室は、熱交換器で冷媒が蒸発する際の吸熱作用により室内の温度が低下する。冷凍システム10では、5台のショーケース16a〜16eを冷凍機12に冷媒配管14で接続した構成を例示しているが、その設置台数は適宜変更可能である。
【0019】
除霜制御装置(制御装置)20は、
図1中に破線で示す通信線18によって冷凍機12及び各ショーケース16a〜16eと電気的に接続されることで情報の授受が可能となっており、当該冷凍システム10におけるショーケース16a〜16eの除霜運転を制御することができる。本実施形態の場合、除霜制御装置20は、基本的には除霜運転の制御のみを担当するが、当該冷凍システム10の全体制御を行うように構成してもよく、反対に、当該冷凍システム10の全体制御を行う制御装置の一機能として構成してもよい。
【0020】
図2は、除霜制御装置20の構成を示すブロック図である。
【0021】
図2に示すように、除霜制御装置20は、インタフェースとなる入力装置22及び出力装置24と、除霜状態収集装置(除霜状態収集手段)26と、演算データ保持装置(保持手段)28と、要求冷却能力演算装置(要求冷却能力演算手段)30と、冷凍機運転判定装置(冷凍機運転判定手段)32とを備え、外部入力部も兼ねる設定装置(設定手段)34によって予め設定された運転条件等に基づき、冷凍システム10の除霜運転を制御する。
【0022】
入力装置22は、信号線18を介して各ショーケース16a〜16eから提供される蒸発器温度や運転時間等の除霜状態に関する情報を受ける入力用のインタフェースであり、取得した除霜状態に関する情報を除霜状態収集装置26に送信する。出力装置24は、冷凍機運転判定装置32から提供される冷凍機12の運転開始や運転停止に関する情報を発信する出力用のインタフェースであり、信号線18を介して運転開始や運転停止の情報(指示)を冷凍機12に送信する。これら入力装置22及び出力装置24は、例えば一体的な入出力用インタフェースとして構成されており、入力装置22は冷凍機12等の他の機器からの情報も受信し、出力装置24はショーケース16a〜16e等の他の機器にも情報を送信することができる。
【0023】
除霜状態収集装置26は、当該除霜制御装置20が制御する冷媒系統(冷凍回路)に接続された個々のショーケース16a〜16eの除霜の状態の情報、例えば蒸発器温度や除霜運転開始からの経過時間等の情報を出力装置22を介して収集する。そして、収集した情報(終了条件)に基づき、各ショーケース16a〜16eが除霜中か否か、つまり個々のショーケース16a〜16eの除霜が終了したか否かをショーケース単位で演算データ保持装置28に書き込み、この演算データ保持装置28に各ショーケース16a〜16eの除霜状態情報を集約する。
【0024】
演算データ保持装置28は、例えば読み書き可能なRAM(Random Access Memory)であり、上記のように、個々のショーケース16a〜16eの除霜状態がそれぞれ書き込まれる。さらに、演算データ保持装置28は、設定装置34によって予め設定されたショーケース16a〜16eの識別番号と冷却能力(W)の対応データ(テーブルデータ)を保持する。
【0025】
図3に演算データ保持装置28で保持する対応データの一例を示す。
図3に示すように、この対応データは、例えば、5台のショーケース16a〜16eをそれぞれ識別番号1〜5として定義し、この識別番号1〜5に対してそれぞれ、基準設定温度(℃)での冷却能力(W)と、実際の運転時の温度変化に伴う冷却能力の補正値(W/K)とをテーブルデータとして設定したものである。
【0026】
設定装置34は、当該冷凍システム10の管理者等がキーボードやタッチパネル等の図示しない入力手段を用いて各装置に関するデータを設定するものであり、例えば、
図3に示す対応データが入力されるとこれを演算データ保持装置28に登録する。また、設定装置34は、各ショーケース16a〜16eの型式毎の冷却能力のデータと、冷凍機12の型式毎の最低冷却能力のデータとを記憶したデータベース34aを備える。ここで、最低冷却能力とは、冷凍機12がその最低出力で運転される場合の冷却能力を示すものである。
【0027】
要求冷却能力演算装置30は、演算データ保持装置28から供給される各ショーケース16a〜16e(各識別番号1〜5)毎の基準設定温度(℃)での冷却能力(W)の対応データ(
図3参照)に基づき、個々のショーケース16a〜16eに実際に要求される冷却能力である要求冷却能力を算出する演算手段30aとしての機能を有する。具体的には、
図3に示される各識別番号1〜5毎の基準設定温度(℃)での冷却能力(W)を、各ショーケース16a〜16eの種類・型式等の仕様、実際に設定された設定温度、又は(及び)除霜運転開始前の運転状態(蒸発器温度等)を指標とし、例えば
図3中の補正値(W/K)を用いて補正することにより、その補正後の冷却能力を要求冷却能力として算出する。
【0028】
要求冷却能力演算装置30は、さらに、演算データ保持装置28を介して、除霜状態収集装置26によって除霜の終了が判断された各ショーケース16a〜16eについての演算手段30aで算出された要求冷却能力を積算する積算手段30bとしての機能も有する。この積算手段30bは、例えば、5台のショーケース16a〜16eのうち、識別番号1のショーケース16aと識別番号3のショーケース16cの除霜が終了したと判断されている場合に、これら識別番号1,3について演算手段30aで算出済みの要求冷却能力を積算(加算)する。これにより、各タイミングでの冷凍システム10全体での合計要求冷却能力、この例では識別番号1,3の合計要求冷却能力を算出し、他の識別番号2,4,5についてもその除霜が終了次第、順次積算される。
【0029】
冷凍機運転判定装置32は、要求冷却能力演算装置30の積算手段30bで算出された除霜が終了した各ショーケース16a〜16eの要求冷却能力の合計値(合計要求冷却能力)と、演算データ保持装置28に保持されている冷凍機12の最低冷却能力とを比較し、合計要求冷却能力が最低冷却能力を上回った場合に、出力装置24を介して冷凍機12に対する運転開始の指示を行う。この運転開始の指示は、単純に合計要求冷却能力と最低冷却能力とを比較する以外にも、例えば、合計要求冷却能力と最低冷却能力との比が予め設定された基準比率を上回った場合等に発せられるものとしてもよい。
【0030】
冷凍機運転判定装置32は、さらに、当該除霜制御装置20に備えられた図示しないタイマによって除霜運転開始時間となった場合、設定装置34により予め設定されたタイミングとなった場合、又は各ショーケース16a〜16eに備えられたタイマや制御装置により除霜運転開始が指示された場合等に、出力装置24を介して冷凍機12に対する運転停止の指示も行う。
【0031】
次に、以上のように構成される冷凍システム10での除霜運転の制御手順について、
図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0032】
先ず、冷凍システム10が通常運転され、各ショーケース16a〜16eの庫内温度が所定の設定温度に維持されている状態において、除霜制御装置20は、
図4中のステップS1に示すように、上記タイマ等を参照して除霜運転開始時間であるか否かの判定を継続実施する。
【0033】
除霜運転開始時間であると判定されると(ステップS1のYES)、冷凍機運転判定装置32から出力装置24を介して冷凍機12へと運転停止指示が送信される(ステップS2)。これにより、冷凍システム10では、冷凍機12の運転が停止され、ショーケース16a〜16eに備えられた図示しない膨張弁や電磁弁が閉じられ、除霜運転が一括して開始される(ステップS3)。
【0034】
除霜運転が開始されると、除霜状態収集装置26は、入力装置22を介して供給される各ショーケース16a〜16eの蒸発器温度やタイマで計測される除霜運転開始からの経過時間等の除霜状態の情報(終了条件)を収集し(ステップS4)、個々のショーケース16a〜16e毎の除霜の終了判断を行う(ステップS6)。この終了判断は、ステップS4で収集する除霜状態の情報に基づき、各ショーケース16a〜16eが除霜中か否か、つまり個々のショーケース16a〜16eの除霜が終了したか否かを判断し、その判断結果をショーケース単位で演算データ保持装置28に書き込み、演算データ保持装置28に全てのショーケース16a〜16eのその時点での除霜状態を集約する。
【0035】
他方、ステップS3で除霜運転が開始されると、ステップS4,S6の処理と並列して又は多少前後してステップS5が実行される。ステップS5において、要求冷却能力演算装置30を構成する演算手段30aは、
図3に示す対応データに基づき、各識別番号1〜5毎の基準設定温度(℃)での冷却能力(W)を、実際の設定温度や除霜運転開始前の運転状態等に基づき、例えば
図3中の補正値を用いて補正し、その補正後の冷却能力を個々ショーケース16a〜16e毎の要求冷却能力として算出する。
【0036】
ステップS7では、除霜状態収集装置26によって除霜の終了が判断された各ショーケース16a〜16eについての演算手段30aで算出された要求冷却能力を積算手段30bで積算し、この時点での冷凍システム10全体での合計要求冷却能力が算出される。例えば、ステップS7の時点で、識別番号1,3のショーケース16a,16cのみが除霜終了と判断されている場合には、これら識別番号1,3の要求冷却能力を積算した合計値がこの時点での合計要求冷却能力として算出される。
【0037】
ステップS8において、冷凍機運転判定装置32は、ステップS7で算出された合計要求冷却能力(上記の例では、識別番号1,3の要求冷却能力の合計値)と、設定装置34によって予め演算データ保持装置28に設定されている冷凍機12の最低冷却能力とを比較する。
【0038】
その結果、合計要求冷却能力が最低冷却能力より小さい場合には(ステップS8のNO)、冷凍機運転判定装置32は、冷凍機12の運転開始が不要であると判断し、再びステップS4〜S7の処理が実行される。例えば、上記の例において、再び実行されたステップS4,S6により、識別番号1,3に加えて、例えば識別番号4のショーケース16dが除霜終了と判断された場合には、次のステップS7において、積算手段30bは、識別番号1,3の要求冷却能力の合計値に識別番号4の要求冷却能力を積算する。続いて、今度のステップS8において、冷凍機運転判定装置32は、識別番号1,3,4の要求冷却能力の合計値と、冷凍機12の最低冷却能力とを比較することになる。
【0039】
合計要求冷却能力が最低冷却能力を上回った場合には(ステップS8のYES)、冷凍機運転判定装置32は、冷凍機12の運転開始が必要であると判断し、出力装置24を介して冷凍機12へと運転開始指示を送信する(ステップS9)。これにより、冷凍システム10では、冷凍機12の運転が開始され、除霜が終了しているショーケース16a〜16e(上記例では、識別番号1,3又は1,3,4)では、図示しない膨張弁や電磁弁が開かれ、庫内の冷却運転が再開される(ステップS10)。一方、ステップS10の時点で除霜が終了していないと判断されているショーケース16a〜16e(上記例では、識別番号2,4,5又は2,5)は、ショーケース16a〜16e側にて除霜の終了判断処理が行われ、除霜が終了したと判断された際には、図示しない膨張弁や電磁弁等が開かれて庫内の冷却運転が再開されることになる。
【0040】
以上のように、本実施形態に係る冷凍システム10は、少なくとも1台の冷凍機12と複数のショーケース16a〜16eとを冷媒配管14で接続した冷凍回路を備え、冷凍機12の運転を停止することでショーケース16a〜16eの除霜運転を同期させて開始する(ステップS3)と共に、個々のショーケース16a〜16e毎に設定された終了条件(蒸発器温度や除霜運転開始からの経過時間等)に基づいて除霜の終了判断を行う。そして、冷凍システム10は、個々のショーケース16a〜16e毎の除霜の状態を収集する除霜状態収集装置26と、個々のショーケース16a〜16eに要求される冷却能力である要求冷却能力を算出する演算手段30aと、除霜状態収集装置26によって除霜の終了が判断された各ショーケース16a〜16eについての演算手段30aで算出された要求冷却能力を積算する積算手段30bと、冷凍機12が最低出力で運転される場合の冷却能力である最低冷却能力のデータを保持する演算データ保持装置28と、除霜が終了した各ショーケース16a〜16eの要求冷却能力の合計値が冷凍機12の最低冷却能力を上回った場合に、又は合計値と最低冷却能力との比が基準比率を上回った場合に、冷凍機12に対して運転開始を指示する冷凍機運転判定装置32とを備える。
【0041】
このように、冷凍システム10は、冷凍機12を停止して各ショーケース16a〜16eの除霜運転を一括して開始した後、個々のショーケース16a〜16e毎に温度や経過時間等による所定の終了条件に基づき除霜の終了判断を行う。この際、除霜状態収集装置26により個々のショーケース16a〜16e毎の除霜の状況を監視し、積算手段30bにより除霜が終了したショーケース16a〜16eについての要求冷却能力を積算し、冷凍機運転判定装置32により除霜が終了した各ショーケース16a〜16eの要求冷却能力の合計値と冷凍機12の最低冷却能力とを逐次比較し、この比較結果に基づき冷凍機12の運転開始を判断する。このため、冷凍機12を除霜運転中に停止しておくことで消費電力を抑えることができ、さらに、冷凍機12の運転開始タイミングを最適化することができるため、システム全体での消費電力量を低減し、省エネルギ化を実現することができる。
【0042】
この場合、除霜状態収集装置26は、収集した個々のショーケース16a〜16e毎の除霜の状態を演算データ保持装置28に集約して登録するため、積算手段30bは、演算データ保持装置28に登録された個々のショーケース16a〜16e毎の除霜の状態を利用して、要求冷却能力の積算処理を円滑に行うことができる。
【0043】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。