特許第6011292号(P6011292)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011292
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】カップホルダー
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/10 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
   B60N3/10 A
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-267320(P2012-267320)
(22)【出願日】2012年12月6日
(65)【公開番号】特開2014-113846(P2014-113846A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000176811
【氏名又は名称】三菱自動車エンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】中村 誠志
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06010047(US,A)
【文献】 実開平05−056607(JP,U)
【文献】 特開2003−267116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/10
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一円弧,第二円弧及び第三円弧を持つルーローの三角形において前記第一円弧を中央で分割してなる一方の半円弧とこれに隣接する前記第二円弧とに対応する水平断面形状を有する第一腕部と、
前記第一円弧を中央で分割してなる他方の半円弧とこれに隣接する前記第三円弧とに対応する水平断面形状を有する第二腕部と、
前記一方の半円弧と前記他方の半円弧とが重合するように、前記第二円弧と前記第三円弧との交点に対応する位置で前記第一腕部と前記第二腕部とを軸支する軸部と、
を備えたことを特徴とする、カップホルダー。
【請求項2】
前記第一腕部と前記第二腕部との間に介装され、前記第二円弧と前記第三円弧とのなす角度が増加する方向に互いを付勢する弾性部材と、
前記軸部を受ける軸受けを介して前記第一腕部及び前記第二腕部を支持する本体部と、
前記本体部を引き出し自在に収容し、前記本体部の収容時に前記第一腕部及び前記第二腕部のそれぞれに当接する壁面を有するケース部と、をさらに備えた
ことを特徴とする、請求項1記載のカップホルダー。
【請求項3】
前記本体部の引き出し時に前記第一腕部及び前記第二腕部のそれぞれに当接し、前記角度の最大値を制限する角度制限部をさらに備えた
ことを特徴とする、請求項2記載のカップホルダー。
【請求項4】
前記第一腕部が、前記一方の半円弧及び前記第二円弧から前記第二腕部側に向かって水平方向に延在し半円状の切り欠きが形成された第一面状部を有し、
前記第二腕部が、前記他方の半円弧及び前記第三円弧から前記第一腕部側に向かって水平方向に延在し半円状の切り欠きが形成された第二面状部を有するとともに、
前記第一面状部の切り欠き及び前記第二面状部の切り欠きは、前記角度が前記最大値に制限されたときに円形の輪郭をなすように欠成されている
ことを特徴とする、請求項3記載のカップホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の飲料用容器を安定して保持させるべく、乗物室内に設けられるカップホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両や飛行機,船舶等の車室内における座席の周囲には、各種の飲料用容器を安定的に保持するカップホルダー(ドリンクホルダ−)が装備されている。一般的なカップホルダーには、乗物の振動時や加減速時に容器内の飲料をこぼすことなく、容器をしっかりと保持する機能が求められ、容器の底面を支持する部位や側面を把持する把持部位等が設けられる。近年では、把持部位を揺動可能に設けることで、多様な形状,外径の容器に対応するものも知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、薄型四角箱状のユニット本体の内部に略板状のホルダー本体を前後方向移動可能に収容し、ホルダー本体にカップ保持穴を設けるとともに、ホルダー本体の上面にアーム体をスイング可能に取り付けたカップホルダーユニットが記載されている。この技術では、アーム体とカップ保持穴の内周面とで囲まれたカップ保持領域の内径が、ホルダー本体の引き出し量に応じて変化するように構成されている。このような構造より、外径の異なる容器を保持することができるとされている。
【0004】
また、特許文献2には、ホルダー本体のホルダー収納室に対する出し入れに伴い、保持アームを保持凹部に対して離反・接近させるように構成された乗物用カップホルダーが記載されている。この技術では、保持アームに突設された被ガイド軸が弾性部材で形成されている。これにより、被ガイド軸に外力を作用させて保持アームと保持凹部との間のカップ保持空間を大きくすることができ、径の異なるカップを保持することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-186808号公報
【特許文献2】特開2004-161124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような従来のカップホルダーには以下のような技術課題が存在する。
第一に、カップホルダーの引き出し方向の寸法を短縮しようとしても、把持部位の揺動中心をカップの保持領域に近づけることができない場合があり、すなわち、引き出し方向についての小型化が困難であるという課題がある。例えば、把持部位の揺動中心を保持領域に近接する位置に設けると、把持領域の内側に向かって把持部位を揺動させるに連れて、把持部位の先端部が把持領域の外側に向かって突出する。したがって、ある程度の揺動量を確保しようとすれば、その揺動量に応じて、把持部位の揺動中心をカップの保持領域から遠ざけなければならない。なお、把持領域の外縁から把持部位の先端部までの突出量は、把持部位の形状や長さに依存し、例えば把持部位を短くすれば突出量を抑えることも不可能ではない。しかしながら、把持部位を短くするほど把持性が低下し、容器をしっかりと保持することが困難になる。
【0007】
第二に、カップホルダーの引き出し方向の寸法との関係で、幅方向の寸法を短縮することが難しく、すなわち、幅方向についての小型化が困難であるという課題がある。例えば、カップホルダーが収容されるインストルメントパネル内の空間サイズの制限により、把持部位の揺動中心を保持領域から遠ざけることができなければ、把持部位の回動量を確保できず、カップホルダーの幅方向の寸法が増大する。
このように、ホルダー本体に対して揺動可能に取り付けられた把持部位を有する従来のカップホルダーでは、機能性を維持しつつ小型化を図ることが難しいという課題がある。
【0008】
本件の目的の一つは、上記のような課題に鑑み創案されたもので、簡素な構成でホルダーとしての機能を満足しつつ、容易に小型化することができるようにしたカップホルダーを提供することである。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも、本件の他の目的として位置づけることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)ここで開示するカップホルダーは、第一円弧,第二円弧及び第三円弧を持つルーローの三角形において前記第一円弧を中央で分割してなる一方の半円弧とこれに隣接する前記第二円弧とに対応する水平断面形状を有する第一腕部を備える。また、前記第一円弧を中央で分割してなる他方の半円弧とこれに隣接する前記第三円弧とに対応する水平断面形状を有する第二腕部を備える。さらに、前記一方の半円弧と前記他方の半円弧とが重合するように、前記第二円弧と前記第三円弧との交点に対応する位置で前記第一腕部と前記第二腕部とを軸支する軸部を備える。
【0010】
ここで、前記第一円弧,前記第二円弧及び前記第三円弧のそれぞれに対向する頂点を、第一頂点,第二頂点及び第三頂点と呼ぶ。前記第一円弧は前記第一頂点を中心とした円弧であり、前記第二円弧は前記第二頂点を中心とした円弧であり、前記第三円弧は前記第三頂点を中心とした円弧である。
【0011】
また、前記第一円弧を中央で分割してなる二つの半円弧のそれぞれを左半円弧,右半円弧と呼び、前記左半円弧は前記第二円弧に隣接する円弧であって、前記右半円弧は前記第三円弧に隣接する円弧であるとする。前記左半円弧及び前記右半円弧はともに、前記第一頂点を中心とした円弧である。なお、前記第一腕部及び前記第二腕部は、前記左半円弧と前記右半円弧とが重合するように軸支されるため、前記第一腕部における前記左半円弧に対応する部位の曲率半径と、前記第二腕部における前記右半円弧に対応する部位の曲率半径とが僅かに相違することが好ましい。
【0012】
(2)また、前記第一腕部と前記第二腕部との間に介装され、前記第二円弧と前記第三円弧とのなす角度が増加する方向に互いを付勢する弾性部材と、前記軸部を受ける軸受けを介して前記第一腕部及び前記第二腕部を支持する本体部とを備えることが好ましい。この場合、前記本体部を引き出し自在に収容し、前記本体部の収容時に前記第一腕部及び前記第二腕部のそれぞれに当接する壁面を有するケース部をさらに備えることが好ましい。
【0013】
(3)また、前記本体部の引き出し時に前記第一腕部及び前記第二腕部のそれぞれに当接し、前記角度の最大値を制限する角度制限部をさらに備えることが好ましい。
(4)また、前記第一腕部が、前記一方の半円弧及び前記第二円弧から前記第二腕部側に向かって水平方向に延在し半円状の切り欠きが形成された第一面状部を有し、前記第二腕部が、前記他方の半円弧及び前記第三円弧から前記第一腕部側に向かって水平方向に延在し半円状の切り欠きが形成された第二面状部を有することが好ましい。この場合、前記第一面状部の切り欠き及び前記第二面状部の切り欠きは、前記角度が前記最大値に制限されたときに円形の輪郭をなすように欠成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
開示のカップホルダーでは、水平断面形状がルーローの三角形を分割した形状に形成された第一腕部及び第二腕部が対をなして設けられる。これらの第一腕部と第二腕部とを第二円弧と第三円弧との交点に対応する位置で軸支することで、第一円弧を分割した半円弧同士を重ね合わせて、腕部の幅を狭めることができ、収容性を高めることができる。また、ルーローの三角形構造を利用することで、第一円弧から軸部の回転軸までの距離を短縮することができ、容易に小型化することができる。一方、円弧同士が重なり合わない位置まで第一腕部と第二腕部とを相対回転させることで、二つの腕部間に円筒状の空間を形成することができ、飲料用容器を適切に保持することができる。このように、カップホルダーに要求される機能を満たしつつ、簡素な構造で容易に小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態に係るカップホルダーが取り付けられた車室内を示す斜視図である。
図2図1に示すカップホルダーの全体構造を示す分解斜視図である。
図3図1に示すカップホルダーの腕部を示す分解斜視図である。
図4図3に示す腕部の上面図であり、(a)は第一腕部及び第二腕部を開いた状態、(b)は第一腕部及び第二腕部を閉じた状態に対応する。
図5】(a),(b)はそれぞれ、図4(a),(b)に対応するルーローの三角形を説明するための図である。
図6図1に示すカップホルダーの本体部を示す分解斜視図である。
図7図1に示すカップホルダーのケース部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることが可能である。
【0017】
[1.構成]
本実施形態のカップホルダー1は、図1に示す自動車のインストルメントパネル2に対して、車両前後方向に出し入れ自在に収容される、引き出し式のホルダーである。図1中のカップホルダー1の配設位置は、インストルメントパネル2の車室側に面した部位のうち、運転席と助手席とに挟まれた位置に設定されている。以下の説明では、図1中に示すように、車幅方向のことを「幅方向」と呼び、車両前後方向のことを「引き出し方向」と呼ぶ。ここでいう幅方向の左右は、車幅方向の左右に対応する。一方、引き出し方向の前方は車両の後方向に対応し、引き出し方向の後方は車両の前方向に対応するものとする。
【0018】
図2に示すように、このカップホルダー1には、一対の腕部10,20と、これらを支持する本体部30と、本体部30が収容されるケース部40とが設けられる。一対の腕部10,20は、飲料用容器の側面を把持する部位であり、本体部30は、それぞれの腕部10,20を同一の回転軸Cで軸支しつつ、飲料用容器の底面を支持する部位である。また、ケース部40は、一対の腕部10,20を含む本体部30の全体が引き出し方向にスライド自在となるように、これらを収容する部位である。
【0019】
以下、一対の腕部10,20,本体部30,ケース部40のそれぞれの構造について順に説明する。また、インストルメントパネル2の正面に向かって右側に配置される腕部のことを第一腕部10と呼び、第一腕部10と対をなして向かって左側に配置される腕部のことを第二腕部20と呼ぶ。回転軸Cを基準とすれば、本体部30の引き出し方向の前方に向かって左側に配置される腕部が第一腕部10であり、右側に配置される腕部が第二腕部20である。
【0020】
[1−1.第一腕部]
図3に示すように、第一腕部10及び第二腕部20はともに、上面視で略L字状に屈曲した形状に形成されている。第一腕部10の形状は、第二腕部20の形状と略鏡映対称形状であるが、第一腕部10の方が若干大きめに形成される。第一腕部10には、その先端側に配置される第一半円弧面11と、基端側に配置される第一円弧面12とが設けられる。
【0021】
第一半円弧面11は、回転軸Cが曲率の中心となる曲面状の部位であり、水平面に対して略鉛直に配置される。また、第一円弧面12は、第一半円弧面11と略同一の曲率半径を持つ曲面状の部位であり、水平面に対して略鉛直に配置され、第一半円弧面11と一体に形成される。言い換えれば、第一半円弧面11,第一円弧面12はそれぞれ、水平面状に描かれた円弧を鉛直方向に延設してなる部分的な筒面形状を持ち、これらを連結したものが第一腕部10である。
【0022】
これらの第一半円弧面11及び第一円弧面12は、上面視における接合部近傍でのそれぞれの法線同士のなす角度が約120°となるように接合される。第一半円弧面11及び第一円弧面12のそれぞれの高さ方向の寸法は、略同一とされる。また、上面視における第一半円弧面11の表面に沿った長さは、第一円弧面12の表面に沿った長さの略半分程度とされる。
【0023】
第一半円弧面11及び第一円弧面12の上端辺には、水平な平面状に展開する第一上面13(第一面状部)が延設される。第一上面13の延設方向は、図3に示すように、回転軸Cから見て第一円弧面12よりも右側(円弧の内側であって、円弧よりも中心側)であり、上面視で第一半円弧面11と第一円弧面12とによって挟まれる領域に面する側である。また、第一上面13と同様に、第一半円弧面11及び第一円弧面12の下端辺には、第一下面15(第一面状部)が延設される。第一下面15は、第一上面13と略同一形状に形成され、第一上面13の鉛直下方で第一上面13に対して略平行に配置される。
【0024】
第一上面13及び第一下面15のそれぞれには、略同一な半円形状の切り欠きが形成される。ここで、第一上面13の切り欠きを第一上面欠成部14と呼び、第一下面15の切り欠きを第一下面欠成部16と呼ぶ。これらの第一上面欠成部14,第一下面欠成部16は、図3に示すように円弧状に湾曲した輪郭を持ち、第一腕部10と第二腕部20との間に把持される飲料用容器の側面に接触する部位となる。
【0025】
第一半円弧面11には、その先端側の端辺から第一円弧面12側に向かって切り欠かれた形状の第一フラップ欠成部19が設けられる。これは、第一腕部10が後述するフラップ50と干渉しないように切除された部位である。第一フラップ欠成部19の具体的な形状は任意であるが、本実施形態では上面視で第一半円弧面11の先端部に位置する端辺から、第一円弧面12側に向かって矩形の窓状に欠成されている。第一フラップ欠成部19の高さ方向の位置は、フラップ50の回動代を考慮して、第一半円弧面11の上端部寄りの位置(第一上面13に近接する位置)とされる。
【0026】
また、第一円弧面12には、その表面から第一上面13の延設方向と同一方向(第一腕部10の内側方向)に向かって膨出した第一膨出部18が設けられる。第一膨出部18は、第一上面欠成部14や第一下面欠成部16と同様に、飲料用容器の側面に接触して押止するように機能する。つまり、上面視において、第一膨出部18の輪郭線が第一上面欠成部14及び第一下面欠成部16の輪郭線に接するような形状とされる。
【0027】
第一腕部10の基端側には、第一腕部10の回転軸Cとして機能する第一軸部17(軸部)が設けられる。第一腕部10は、第一軸部17を介して本体部30に対して回動可能に支持される。第一軸部17の形状は例えば中空円筒状に形成され、その内筒面側で後述する第二腕部20の第二軸部27と摺接するとともに、その外筒面側で後述する本体部30の軸受け孔34と摺接する。なお、本実施形態の第一腕部10は樹脂製であり、上記の各要素が一体に成型された一部品として製造される。
【0028】
[1−2.第二腕部]
第二腕部20には、第一軸部17と同一の回転軸Cを持つ第二軸部27が設けられる。第二軸部27の形状は、例えば中空円筒状の第一軸部17の内径に対応する外径を持つ円筒状とされる。第一軸部17及び第二軸部27は、第一腕部10と第二腕部20とが互いに回転軸Cを中心として回転自在となるように、滑らかに嵌合する。これにより、第二腕部20は、第一腕部10とともに本体部30に対して回動可能に支持されるとともに、第一腕部10に対しても回動可能となる。
【0029】
この第二腕部20には、第一腕部10と同様の各要素が設けられる。つまり、第一腕部10の第一半円弧面11,第一円弧面12,第一上面13,第一下面15のそれぞれに対応するように、第二腕部20には第二半円弧面21,第二円弧面22,第二上面23,第二下面25が設けられる。
【0030】
第二半円弧面21は、回転軸Cを曲率の中心とする曲面形状である。第二半円弧面21の曲率半径は、第一半円弧面11の曲率半径と略同一とされ、あるいはそれよりもやや小さい値に設定される。なお、第二半円弧面21の曲率半径は、好ましくは、第一半円弧面11の曲率半径から第一半円弧面11の板厚を減じた値よりも小さく設定される。また、第二円弧面22の曲率半径は、第一円弧面12又は第二半円弧面21の曲率半径と略同一とされる。これらの第二半円弧面21及び第二円弧面22は、上面視における接合部近傍でのそれぞれの法線同士のなす角度が約120°となるように接合される。第二半円弧面21及び第二円弧面22の高さ寸法は略同一であり、第一半円弧面11及び第一円弧面12の高さ寸法よりも若干小さい寸法とされる。また、上面視における第二半円弧面21の表面に沿った長さは、第二円弧面22の表面に沿った長さの略半分程度とされる。
【0031】
第二上面23及び第二下面25(第二面状部)はそれぞれ、第二半円弧面21及び第二円弧面22の上端辺及び下端辺から水平に延設された平面状の部位である。これらの第二上面23及び第二下面25の延設方向は、回転軸Cから見て第二円弧面22よりも左側である。また、これらの第二上面23及び第二下面25のそれぞれには、第一上面欠成部14や第一下面欠成部16と同様に、第二上面欠成部24及び第二下面欠成部26が設けられる。第二上面欠成部24及び第二下面欠成部26は、上面視において略同一の半円形状の切り欠きであり、円弧状に湾曲した輪郭を持つ。第二上面欠成部24及び第二下面欠成部26の輪郭線となる円の半径は、第一上面欠成部14及び第一下面欠成部16の輪郭線となる円の半径と同一とする。
【0032】
第二半円弧面21には、その先端側の端辺から第二円弧面22側に向かって切り欠かれた形状の第二フラップ欠成部29が設けられる。また、第二円弧面22には、その表面から第二腕部20の内側方向に向かって膨出した第二膨出部28が設けられる。第二膨出部28の膨出形状は、その輪郭線が上面視において第二上面欠成部24及び第二下面欠成部26の輪郭線に接触するような形状である。
【0033】
第一軸部17及び第二軸部27の近傍には、第一腕部10と第二腕部20との組み付け時に、第一円弧面12と第二円弧面22との隙間を広げる方向(拡開方向)に互いを付勢するための腕部ばね52(コイルスプリング,弾性部材)が介装される。例えば、図3中に示すように、第二軸部27の近傍に腕部ばね52を固定するためのばね止め部53が形成され、このばね止め部53に腕部ばね52が係止される。このとき、腕部ばね52の一端が第一円弧面12を押圧し、他端が第二円弧面22を押圧するように、第一腕部10と第二腕部20との間に腕部ばね52が介装される。なお、ばね止め部53の位置は任意であり、例えば第一腕部10側にばね止め部53を形成してもよい。
【0034】
[1−3.第一腕部と第二腕部との関係]
図4(a),(b)は、第一腕部10と第二腕部20とを組み付けた状態の上面図であり、図4(a)は、第一腕部10と第二腕部20との間の保持幅(開き幅)が、例えば円筒状の飲料用容器を保持対象としたときに適した保持幅の状態(通常状態)を示す。飲料用容器を保持する際には、第一腕部10の第一上面欠成部14の輪郭線と、第二腕部20の第二上面欠成部24の輪郭線とが上面視で略円形となるような保持幅とされる。このとき、第一軸部17近傍における第一腕部10の外表面の接線(一点鎖線で示す)と、第二腕部20の外表面の接線(二点鎖線で示す)とのなす角度は、図4(a)中に示すように、約120°である。なお、図4(a)に示す状態は、本実施形態の第一腕部10と第二腕部20との間の角度が最大角度である状態に対応する。
【0035】
図4(b)は、第一腕部10及び第二腕部20をケース部40の中に収納するときに適した保持幅の状態(収納状態)を示す。カップホルダー1を使用しないときには、例えば第二腕部20の第二半円弧面21の先端が第一腕部10の第一円弧面12に当接するように、第一腕部10と第二腕部20とが重なり合った状態とされる。このとき、第一軸部17近傍における第一腕部10の外表面の接線(一点鎖線で示す)と、第二腕部20の外表面の接線(二点鎖線で示す)とのなす角度は、図4(b)中に示すように、約90°である。本実施形態の第一腕部10と第二腕部20との間の角度が最小角度となるのは、図4(b)に示す状態である。
【0036】
ここで、図5(a),(b)を用いて、第一腕部10及び第二腕部20の形状を概念的に説明する。図5(a)中に示す図形はルーローの三角形であり、正三角形ABCのそれぞれの頂点から各辺の長さに等しい半径を持つ三本の円弧を描いて繋いだものである。また、点Dは、角BACの二等分線と円弧BCとの交点である。上記の第一腕部10の上面視での形状(水平断面形状)は、図5(a)中の円弧AB及び円弧BDに対応する形状である。同様に、第二腕部20の上面視での形状(水平断面形状)は、円弧AC及び円弧CDに対応する形状である。
【0037】
図5(b)は、図5(a)中の点Aを中心として、半径ABと半径ADとで囲まれる扇形ABD及び円弧ABを時計回りに15°回転させるとともに、半径ADと半径ACとで囲まれる扇形ADC及び円弧ACを反時計回りに15°回転させた図形である。これらのような回転操作により、二つの扇形ABD,ADCが完全一致し、点Bと点Cとを結ぶ直線の延在方向についての幅寸法が減少することになる。なお、図5(b)中に示す寸法Lの大きさは、図5(a)中に示す寸法Lのおよそ6割弱となる。
【0038】
同様の原理により、図4(a)に示す状態から第一軸部17(第二軸部27)の回転軸Cを中心として、第一腕部10及び第二腕部20を互いに接近する方向に回転させると、図4(b)に示すように、第一半円弧面11と第二半円弧面21とが半径方向に重合した状態となる。このとき、図4(b)に示す状態での第一腕部10及び第二腕部20の幅寸法Mは、図4(a)に示す状態での幅寸法Mのおよそ6割弱となる。このように、第一腕部10,第二腕部20は、水平断面形状がルーローの三角形を分割した形状に形成され、互いに回動可能となるように連結される。
【0039】
ルーローの三角形の内接円は、第一腕部10と第二腕部20との間に保持される保持対象の形状に対応する。この内接円は、図5(a)に示すように、三角形ABCの重心Oを中心として、点Dを通る円となる。このとき寸法Lは、内接円の直径のおよそ1.18倍となる。つまり、内接円の直径を1としたとき、その内接円の先端部分(点D)からの引き出し方向の距離が1.18倍程度となる位置に回転軸Cを設ければ、図5(a)に示すようなルーローの三角形に対応する第一腕部10及び第二腕部20の回転軌跡が描かれることになる。
【0040】
なお、ここで図5(a)中の正三角形ABCの点A,点C,点Bのそれぞれを第一頂点,第二頂点,第三頂点と呼び、各頂点に対向する各円弧を第一円弧,第二円弧,第三円弧と呼ぶ。また、第一円弧を中央で分割してなる二つの半円弧のそれぞれを左半円弧,右半円弧と呼ぶ。上記の第一腕部10は、左半円弧と第二円弧とに対応する断面形状を持ち、第二腕部20は、右半円弧と第三円弧とに対応する断面形状を持つ。そして、第一腕部10と第二腕部20とが第一頂点で回動可能に軸支される。
【0041】
[1−4.本体部]
図6に示すように、本体部30には、箱状部31,本体底面部37及び取手部39が設けられる。箱状部31は、第一腕部10及び第二腕部20を軸支する部位であり、本体底面部37は飲料用容器の底面を支持する部位である。本体底面部37は、平面状の部材であり、第一腕部10及び第二腕部20の下方で水平に設けられる。また、取手部39は、本体部30を後述するケース部40から引き出すときに指を掛ける取手となる部位であり、本体底面部37における引き出し方向の前端から鉛直上方に立設された立設面39aと、立設面39aに対してその引き出し方向前方に所定の間隔をあけて並設された指掛け部39bとを有する。
【0042】
図6に示すように、箱状部31には、本体底面部37と略平行に配置された平面状の上板部32と、上板部32の幅方向端部から本体底面部37までの間を鉛直方向に接続する鉛直板部33とが設けられる。上板部32と本体底面部37との間の鉛直方向の隙間寸法は、第一腕部10及び第二腕部20の鉛直方向の最大寸法よりも僅かに大きく形成される。また、鉛直板部33は、その法線が幅方向に向かうように配置される。
【0043】
上板部32には、軸受け孔34(軸部)と本体外れ止め部35とが設けられる。軸受け孔34は、第一腕部10の第一軸部17及び第二腕部20の第二軸部27を支持する軸受けとして機能する部位であり、例えば第一軸部17の外径に対応する内径を持つ丸穴として形成される。軸受け孔34は、回転軸Cを中心として第一軸部17を回転自在に支持する。また、本体外れ止め部35は、後述するケース部40から本体部30が脱落することを防止するための突起である。この本体外れ止め部35は、上板部32の表面から僅かに上方に突出した状態で上下方向に出没自在に設けられる。
【0044】
上板部32における引き出し方向の前方には、水平断面形状が前方側に向かってV字状に拡開した形状を持つ角度制限部36が設けられる。この角度制限部36は、一対の腕部10,20が本体部30に取り付けられた状態で、第一腕部10と第二腕部20とのなす角度の最大値を制限するための部材である。角度制限部36には、第一円弧面12に接触する第一角度制限面36aと、第二円弧面22に接触する第二角度制限面36bとが設けられる。第一角度制限面36a及び第二角度制限面36bのなす角度は約120°である。
【0045】
上記の軸受け孔34は、図6に示すように、第一角度制限面36aと第二角度制限面36bとの間に挟まれたV字状の空間内に配置される。これにより、第一腕部10及び第二腕部20は、その外側に配置される第一角度制限面36a及び第二角度制限面36bのそれぞれによって回動範囲を外側から制限される。
【0046】
取手部39における引き出し方向の後側には、フラップ50が取り付けられる。このフラップ50は、一対の腕部10,20間に例えば飲料用容器が置かれたときに、その飲料用容器の側面を係止するように機能するものである。図6に示すように、フラップ50は取手部39に対して幅方向に延在する回転軸について回動可能に枢支される。また、フラップ50と取手部39との間には、フラップばね51(コイルスプリング,弾性部材)が介装される。フラップばね51は、フラップ50の姿勢が水平となるような方向に付勢力を与える。
【0047】
本体底面部37の左右幅方向の端辺には、ケース部40に対して本体部30を引き出し方向に摺動自在に支持するためのレール部38が設けられる。本実施形態のレール部38は、図6に示すように、縦断面で幅方向に突出した凸形状に形成されるとともに、本体底面部37の端辺において、引き出し方向に沿って直線状に設けられる。
【0048】
[1−5.ケース部]
ケース部40は、少なくとも引き出し方向の前側が開放された筒状(又は箱状)の部材であり、本体部30を引き出し方向の前後に摺動自在に収容するものである。このケース部40には、図7に示すように、第一壁部41,第二壁部42,レール受け部43及び外れ止め部44が設けられる。
【0049】
第一壁部41は、一対の腕部10,20が取り付けられた本体部30を収容したときに、第一腕部10の第一円弧面12に接触する部位である。第一腕部10の第一円弧面12は、第一壁部41と接触することによって第二腕部20側へと押圧される。また、第二壁部42は、一対の腕部10,20が取り付けられた本体部30を収容したときに、第二腕部20の第二円弧面22に接触する部位である。第二腕部20の第二円弧面22は、第二壁部42と接触することによって第一腕部10側へと押圧される。つまり、本体部30をケース部40の内部に向かって移動させると、第一腕部10及び第二腕部20は、第一壁部41及び第二壁部42によって互いに接近する方向(閉じる方向)に押し付けられた状態で収容される。
【0050】
レール受け部43は、本体部30のレール部38を摺動自在に支持する部位であり、レール部38に対応する形状に形成される。本実施形態のレール受け部43は、図7に示すように、ケース部40の幅方向左右の壁面をなす壁部41,42の下端部近傍において、引き出し方向に沿った直線状に形成される。また、レール受け部43の断面形状は、縦断面でケース部40の外側に凹んだ凹形状とされる。
【0051】
外れ止め部44は、ケース部40からの本体部30の脱落を防止するための部位であり、例えば上板部32から突設された本体外れ止め部35を係止しうる大きさの孔として設けられる。外れ止め部44は、本体部30がある程度引き出されると、本体外れ止め部35に対して係合し、本体部30がそれ以上引き出されないように働く。本実施形態の外れ止め部44は、図7に示すように、ケース部40の天井面の幅方向中央部に設けられる。外れ止め部44の引き出し方向の位置は、本体部30の引き出し量を最大としたときに、第一腕部10,第二腕部20のそれぞれが第一壁部41,第二壁部42に接触せず、最大まで開いた状態となるように設定される。
【0052】
[2.作用,効果]
(1)上記のカップホルダー1の第一腕部10は、図5(a)に示すルーローの三角形の円弧ABに対応する水平断面形状の第一円弧面12と、円弧BDに対応する水平断面形状の第一半円弧面11とを有している。同様に、第二腕部20は、円弧ACに対応する水平断面形状の第二円弧面22と、円弧CDに対応する水平断面形状の第二半円弧面21とを有している。これらの第一腕部10及び第二腕部20は、第一半円弧面11及び第二半円弧面21が互いに重なり合うように、第一軸部17及び第二軸部27を介して本体部30の軸受け孔34に軸支される。
【0053】
このような構造により、図4(b),図5(b)に示すように、扇形ABDに対応する第一腕部10の内側部分と、扇形ADCに対応する第二腕部20の内側部分とを重ね合わせることができ、腕部同士の幅を狭めて収容性を高めることができる。一方、図5(a)に示すように、腕部同士の幅を過度に広げなくても、それぞれの腕部10,20を約15°回転させれば、ルーローの三角形に内接する最大円を得ることができ、すなわち外径の大きな飲料用容器にも対応することができる。
【0054】
また、ルーローの三角形の構造を利用することで、例えば特許文献1,2に記載されたような従来のカップホルダーと比較して、飲料用容器の表面から回転軸Cまでの距離を短縮することができる。つまり、第一腕部10及び第二腕部20の引き出し方向の寸法を短縮することができ、容易に小型化することができる。
したがって、上記のカップホルダー1によれば、要求される機能を満たしつつ、簡素な構造で小型化を図ることができる。
【0055】
(2)上記のカップホルダー1のケース部40には、本体部30の収容時に第一腕部10及び第二腕部20のそれぞれに当接する第一壁部41及び第二壁部42が設けられる。つまり、腕部ばね52によって拡開方向に付勢されている一対の腕部10,20は、ケース部40の壁面によってその拡開を抑え込まれた状態で収容される。このように、ケース部40の壁面を第一腕部10及び第二腕部20のそれぞれに当接させることで、複雑な構造を用いることなく、収容時の腕部の幅(拡開寸法)を容易に狭めることができる。また、本体部30を引き出すことで自動的に、腕部の幅(拡開寸法)を広げることができる。
【0056】
また、第一腕部10の第一円弧面12,第二腕部20の第二円弧面22は、図4(a)に示すように、上面視で円弧状の曲面となっているため、本体部30の収容過程で第一壁部41,第二壁部42との接触面に生じる抵抗を小さくすることができ、本体部30を滑らかに出し入れすることができるとともに、第一腕部10及び第二腕部20の開閉動作もスムーズにすることができる。
【0057】
(3)上記の一対の腕部10,20は、腕部ばね52によって拡開方向に付勢されている。一方、上記のカップホルダー1の本体部30には、第一腕部10と第二腕部20とのなす角度の最大値を約120°に制限する角度制限部36が設けられる。これにより、本体部30をケース部40から引き出すと、第一腕部10及び第二腕部20が角度制限部36に接触し、それ以上の拡開が阻止される。
このように、角度制限部36を用いて第一腕部10と第二腕部20との間の角度に制限を加えることで、本体部30の引き出し時にルーローの三角形の構造を容易に形成することができ、円筒状の飲料用容器の把持性を向上させることができる。
【0058】
(4)上記のカップホルダー1の一対の腕部10,20には、第一上面欠成部14及び第二上面欠成部24が設けられる。これらの輪郭形状は、図4(a)に示すように、第一腕部10と第二腕部20とのなす角度が約120°であるときに略円形となるように形成されている。このように、第一腕部10と第二腕部20とのなす角度が最大値のときに、第一上面13及び第二上面23の切り欠きの形状が略円形となるため、円筒状の飲料用容器の保持性を向上させることができる。
【0059】
[3.変形例]
上述の実施形態は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができ、上述の実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択してもよく、あるいは適宜組み合わせてもよい。
例えば上述の実施形態では、図3に示すように、第一腕部10の上端辺及び下端辺のそれぞれから、第一上面13及び第一下面15が水平に延設されているものを示したが、これらを省略することも可能である。また、第一膨出部18についても省略可能である。さらに、第一腕部10だけでなく第二腕部20についても同様である。少なくとも、第一半円弧面11,第一円弧面12,第二半円弧面21,第二円弧面22で形成されるルーローの三角形状の構造を形成すれば、その内側に飲料用容器を内接させて保持することができる。
【0060】
また、上述の実施形態では、自動車のインストルメントパネル2に収容されるカップホルダー1を例示したが、カップホルダー1の具体的な適用対象はこれに限定されず、例えばトラックやバス,電車等の車両や飛行機,船舶など、乗物全般の室内に設けることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 カップホルダー
10 第一腕部
11 第一半円弧面
12 第一円弧面
13 第一上面(第一面状部)
15 第一下面(第一面状部)
17 第一軸部(軸部)
20 第二腕部
21 第二半円弧面
22 第二円弧面
23 第二上面(第二面状部)
25 第二下面(第二面状部)
27 第二軸部(軸部)
30 本体部
34 軸受け孔(軸部)
40 ケース部
52 腕部ばね(弾性部材)
C 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7