(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一対のケーブル固定部品の前記回路基板に近い側に縦列配置されるケーブル固定部品の前記取付孔の軸中心が、該ケーブル固定部品の軸中心位置に設けられ、前記回路基板から遠い側に縦列配置されるケーブル固定部品の前記取付孔の軸中心が該ケーブル固定部品の軸中心に対して偏心した位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電気ケーブル固定構造。
前記一対のケーブル固定部品のそれぞれ前記取付孔の軸中心が、各々対応するケーブル固定部品の軸中心に対して偏心した位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電気ケーブル固定構造。
前記一対のケーブル固定部品の互いに対峙する端面に、ケーブル固定部品同士を係合させる係合部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電気ケーブル固定構造。
前記ケーブル引出孔と前記一対のケーブル固定部品の間に、前記ケーブル固定部品の前記ケーブル引出孔に対する回転を抑える回転防止手段を設けていることを特徴とする請求項1に記載の電気ケーブル固定構造。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、添付図面に基づい
て詳細に説明する。
【0024】
図1〜
図4は本発明の実施形態に係る電気ケーブル固定構造の第1実施例を示すもので
、
図1は第1実施例を適用した電子機器の一例として示す車載用カメラ装置の斜視図、図
2は
図1のA―A線に沿う断面図である。
【0025】
この車載用カメラ装置10は、
図1、
図2に示すように、前部に撮像光を導入する撮像
レンズ部11を設けたフロントケース12aと、そのフロントケース12aの後部にねじ1
3で固定されるリヤケース12bとを有した、筐体12を備えている。
【0026】
図2に示すように、フロントケース12aの内部には、撮像レンズ部11を保持したレ
ンズホルダ14、CCD等の撮像素子15、映像回路基板16等が格納され、リヤケース
12bの後部には前後方向に貫通したケーブル引出孔17が設けられている。
【0027】
そして、映像信号線や電源線等を結束して一本のケーブルとしてなる電気ケーブル18
を、リヤケース12bのケーブル引出孔17を通して筐体12内に挿入し、その筐体12
内で電気ケーブル18の先端に予め圧着されているコンタクトをコネクタ19aに挿入装
着し、映像回路基板16に設けたコネクタ19bに接続させて、筐体12内と外部との電
気接続を図っている。また、リヤケース12bのケーブル引出孔17を貫通した電気ケー
ブル18の途中の部分はケーブル引出孔17内に、後述する本発明の電気ケーブル固定構
造としてのケーブル固定手段20により固定されている。そして、この固定により、電気
ケーブル18が筐体12の外部から引っ張られても、その固定部分で外力が筐体12内部
に伝わるのを抑え、筐体12内部の映像回路基板16への影響を無くすようにしている。
【0028】
なお、本例の車載用カメラ装置10では、電気ケーブル18の先端にコネクタ19aを
取り付ける前に、筐体12の外側で電気ケーブル18に一対のケーブル固定部品21A、
21Bを取り付け、その電気ケーブル18をケーブル引出孔17に挿通して筐体12内に
導く。また、筐体12内に挿入された電気ケーブル18の先端にコネクタ19aを取り付
け、そのコネクタ19aを映像回路基板16上のコネクタ19bに接続するようにしてい
る。しかし、この取り付け手順については、これ以外の手順を用いても何ら差し支えはな
く、適宜変更されるものである。
【0029】
また、ケーブル引出孔17を貫通している電気ケーブル18は、コネクタ19aをコネ
クタ19bに接続する前の状態では、ケーブル引出孔17内で前後方向に自由に動くこと
ができ、この動きにより筐体12内に設けられる電気ケーブル18の長さを調整すること
ができる。
【0030】
更に、コネクタ19bにコネクタ19aを接続させ、その後、フロントケース12aに
リヤケース12bを取り付けた状態でも、電気ケーブル18は、コネクタ19aとコネク
タ19bとの固定で規制される範囲内において筐体12内から引き出すことができる。す
なわち、この車載用カメラ装置10では、フロントケース12aにリヤケース12bを取
り付ける前でも、または後からでも筐体12内に配置される電気ケーブル18の長さを簡
単に調整することができる。
【0031】
また、調整後は、電気ケーブル18上に装着されている一対のケーブル固定部品21A
、21Bをケーブル引出孔17内に順に配置し、その後からケーブル引出孔17の開口の
一部を押さえ部材22で塞ぎ、ケーブル固定部品21A,21Bの抜け止めを行う。この
ようにして、一対のケーブル固定部品21A、21Bをケーブル引出孔17内に保持して
おくことにより、ケーブル引出孔17内に電気ケーブル18を固定することができるよう
になっている。
【0032】
なお、押さえ部材22は、
図2に示すように、中心に電気ケーブル18を貫通させるた
めの挿通孔22Aを有し、リヤケース12bにはねじ28で固定される。また、
図2中に
示す符号23は撮像レンズ部11とフロントケース12aとの間に設けられた防水用のシ
ール部材、符号24はフロントケース12aとリヤケース12bとの間に設けられた防水
用のシール部材、符号25はケーブル引出孔17内で電気ケーブル18とリヤケース12
bとの間に設けられた防水用のシール部材である。
【0033】
次に、本発明の電気ケーブル固定構造である前記電気ケーブル固定手段20の第1実施
例の構成を、
図2〜
図4を用いて更に詳細に説明する。
【0034】
図2〜
図4に第1実施例として示す電気ケーブル固定手段20は、リヤケース12bに
設けられた前記ケーブル引出孔17と、その電気ケーブル18に取り付けられてケーブル
引出孔17内に装着される前記一対のケーブル固定部品21A、21Bと、ケーブル引出
孔17の開口の一部を塞いでリヤケース12bに取り付けられる前記押さえ部材22等に
より構成されている。
【0035】
ケーブル引出孔17は、リヤケース12bの背面に開口を設けて形成された断面円形を
した大径部17aと、その大径部17aの内径よりも小さな内径で、大径部17aからリ
ヤケース12b側に向かって形成されている断面円形状をした小径部17bと、この小径
部17bの内径より小さい内径で小径部17bから連続してリヤケース12b内に貫通し
て形成された断面円形をしたケーブル挿通孔17cとを一体に設けてなり、リヤケース1
2bの背面を貫通している。
【0036】
前記ケーブル固定部品21A、21Bは、同一部品である。そのケーブル固定部品21
A、21Bは、
図2、
図3、
図4に示すようにケーブル引出孔17の大径部17aの内径
と略等しい外径を有して、ケーブル引出孔17内に挿入可能に形成された円柱状の部材で
あり、中央には電気ケーブル18の挿通を可能にした径を有する断面円形をした取付孔2
6が、両側の端面27a、27bに貫通して設けられている。その取付孔26は、
図4(
b)に示すように、その軸中心O1がケーブル固定部品21A、21Bの軸中心O2から
距離δ分ずれ、軸中心O1が軸中心O2に対して偏心した位置に設けられている。また、
ケーブル固定部品21A、21Bの端面27bは軸中心O2に対して直角な水平な面で形
成され、端面27aは軸中心O2に対して約45度、偏心方向側に傾斜する傾斜面(以下
、これを「傾斜面27a」という)として形成されている。
【0037】
前記シール部材25は、中心に電気ケーブル18が貫通する孔を有してリング状に形成
された部材で、例えばゴムや軟質樹脂で形成されており、ケーブル引出孔17の小径部1
7bに装着される。また、シール部材25の厚みは小径部17bの深さよりも大きい。し
たがって、シール部材25は、ケーブル固定部品21A、21Bがケーブル引出孔17の
大径部17a内に所定の位置まで、すなわち後述するようにしてケーブル固定部品21B
の端面27bがリヤケース12bの外面とほぼ同じ面になる位置まで挿入されると、ケー
ブル固定部品21Aの端面27bに押されて小径部17b内で潰れ、電気ケーブル18と
リヤケース12bとの間を密にシールして防水することができるようになっている。
【0038】
次に、第1実施例における電気ケーブル固定手段20の作用を、
図3(a)〜(c)を参照
して説明する。シール部材25と一対のケーブル固定部品21A、21B及び押さえ部材
22は、電気ケーブル18がケーブル引出孔17を貫通して筐体12内に導かれる前に、
筐体12の外側において電気ケーブル18に装着される。この装着では、
図3(a)に示す
ように、一対のケーブル固定部品21A、21Bは、互いの傾斜面27a、27aを対峙
させた状態、すなわち互いに向きをそれぞれ反転させた状態で電気ケーブル18上に縦列
配置される。
【0039】
そして、電気ケーブル18の先端を筐体12内に挿通して、筐体12内で電気ケーブル
18の先端にコネクタ19aを取り付け、この取り付けたコネクタ19aを映像回路基板
16のコネクタ19bに接続する。また、フロントケース12aにリヤケース12bを取
り付け、更に筐体12内における電気ケーブル18の長さ調整を済ませる。更に、電気ケ
ーブル18の長さ調整が済んだら、
図3(a)に示すように、シール部材25と一対のケー
ブル固定部品21A、21Bを順にケーブル引出孔17内に挿入させる。なお、これらシ
ール部材25と一対のケーブル固定部品21A、21Bの、ケーブル引出孔17内への取
り付けは、フロントケース12aにリヤケース12bを取り付ける前であっても良い。
【0040】
これによりシール部材25が小径部17b内に配置され、更に一対のケーブル固定部品
21A、21Bが大径部17a内に積み重ねられた状態で縦列配置される。ここで、一対
のケーブル固定部品21A、21Bが大径部17a内に縦列配置されたときに、大径部1
7a内で一対のケーブル固定部品21A、21Bが占める長さは、
図3(a)に示すように
、傾斜面27a、27aを互いに当接して縦列配置されたときの、ケーブル固定部品21
Aの一端27bからケーブル固定部品21Bの一端27bまでの長さLに、後述する理由
により電気ケーブル18の一部18aが大径部17内で屈曲してケーブル固定部品21A
とケーブル固定部品21Bとの間に発生する隙間σ1(
図3(c)参照) を加えた距離(L+
σ1)で与えられ、また大径部17aの深さは、前記距離(L+σ1)と等しいか、若干小
さく形成されている。
【0041】
その大径部17a内で、電気ケーブル18の一部18aが屈曲してケーブル固定部品2
1Aとケーブル固定部品21Bとの間に隙間σ1を発生させる理由を、次に説明する。
【0042】
まず、ケーブル固定部品21A、21Bは、各取付孔26、26の軸中心O1がケーブ
ル固定部品21A、21Bの軸中心O2から距離δだけ各々偏心している。したがって、
傾斜面27a、27aを対峙させて、ケーブル固定部品21A、21Bを大径部17a内
に縦列配置すると、ケーブル固定部品21Aにおける取付孔26の軸中心O1と、固定部
品21Bにおける取付孔26の軸中心O1間の偏心量は、各ケーブル固定部品21A、2
1Bの軸中心O2から外側に距離δずつずれた量、すなわち2倍(2δ)になる。
【0043】
そのため、
図3(b)に示すように、大径部17a内にケーブル固定部品21A、21B
を順に挿入した状態では、そのケーブル固定部品21A、21Bが対向している部分にお
ける電気ケーブル18の一部分18aは、取付孔26、26のずれ(2δ)により傾斜した
状態に屈曲されてケーブル固定部品21A、21Bの間に挟まれている。しかも、電気ケ
ーブル18の一部分18a自身が直線状に戻ろうとする復元力で、上側のケーブル固定部
品21Bがリヤケース12bの背面側に押し上げられてケーブル固定部品21A、21B
の傾斜面27a、27aの間は互いに離れ、上記隙間σ1よも若干大きな隙間σ0が形成
されている。したがって、この電気ケーブル18による押し上げ力と、シール部材25が
大径部17a側へ突出している高さとにより、この積み重ねの初期状態では、ケーブル固
定部品21Bの端面27bは、ケーブル引出孔17から外側に僅かに突出されている。
【0044】
次いで、ケーブル固定部品21Bの端面27bがリヤケース12bの外面とほぼ同じ面
となるまで、ケーブル固定部品21Bをケーブル引出孔17内に押し込むと、この押し力
が電気ケーブル18の一部分18aを介してケーブル固定部品21Aに伝達され、ケーブ
ル固定部品21Aでシール部材25を押し潰しながら、押し込むことができる。
【0045】
このように、ケーブル固定部品21Bをケーブル引出孔17内に押し込むと、ケーブル
固定部品21Bが所定の位置、すなわちケーブル固定部品21Bの端面27bがリヤケー
ス12bの外面とほぼ同じ面となるまで押し込まれる直前で、ケーブル固定部品21Aの
端面27bが大径部17aの底面(大径部17aと小径部17との段差部分)に当接し、ケ
ーブル固定部品21Aがケーブル引出孔17内に位置決めされる。そして、更にケーブル
固定部品21Bが上記所定の位置まで押し込まれると、電気ケーブル18の屈折された一
部18aが各取付孔26の開口縁26aで更に強く挟まれ、最終的にケーブル固定部品2
1Aの傾斜面27aとケーブル固定部品21Bの傾斜面27aとの間の隙間が、
図3(c)
に示すように上記隙間σ1となる。このようにして、ケーブル固定部品21Bが上記所定
の位置まで押し込まれたら、ケーブル引出孔17の一部を塞ぐようにして押さえ部材22
をリヤケース12bの後面にねじ28で固定して取り付けると、そのケーブル固定部品2
1Bの押し込み状態を保持できる。
図3(c)は、その電気ケーブル固定後の状態を示して
いる。
【0046】
したがって、このようにしてケーブル引出孔17内にケーブル固定部品21A、21B
と共に配置された電気ケーブル18は、
図2(b)及び
図3(b)に示すように、そのケーブ
ル固定部品21A、21Bが対向している部分では、一部分18aが傾斜した状態に屈曲
され、その屈曲された電気ケーブル18の一部分18aが各取付孔26の開口縁26a、
26aで強く挟まれて各開口縁26a、26aに各々圧接される。この圧接は、電気ケー
ブル18とケーブル固定部品21A、21Bの間の摩擦抵抗を発生させ、電気ケーブル1
8が外部から引っ張られた場合に、その摩擦抵抗により電気ケーブル18が引き出される
のを抑え、筐体12内部の映像回路基板16に影響を与えないようにする。すなわち、電
気ケーブル18は、ケーブル引出孔17内で固定される。
【0047】
したがって、この第1実施例の電気ケーブル固定手段20を用いた場合では、筐体12
内部のコネクタ19bに電気ケーブル18側のコネクタ19aを固定して、更に電気ケー
ブル18の長さを調整した後から、ケーブル引出孔17内における電気ケーブル18の固
定を行うことができるので、コネクタの接続作業及び電気ケーブル18の長さ調整の作業
を簡略化できる。また、筐体12内に引き回す電気ケーブルの長さを最小限にすることが
できるので、筐体の小形化も可能になる。
【0048】
また、一対のケーブル固定部品21A、21Bは、同一部品を使用しているので、部品
点数の増加を抑えることができる。
【0049】
更に、その同一部品を、電気ケーブル18上に互いに向きを反転させた状態で縦列配置
し、傾斜面27a、27aを対峙させた状態で取り付けるようにしているので、組立作業
時の誤装着を減らすことができる。
【0050】
ところで、ケーブル固定部品21A、21Bを各々断面円形の柱状に形成し、これを断
面円形のケーブル引出孔17内に配置した場合では、例え電気ケーブル18の一部18a
が屈曲するように、ケーブル固定部品21A、21Bにおける取付孔26の軸中心O1の
位置を互いにずらして配置しても、ケーブル引出孔17内では電気ケーブル18が真っ直
ぐに延びようとする復元力により、ケーブル固定部品21A、21Bが個々に回転をし、
偏心している取付孔26の軸中心O1が一致してケーブル固定部品21A、21Bの間の
屈曲部分が直線状に戻る。しかし、傾斜面27a、27aを対峙させた状態で取り付ける
ことにより、ケーブル固定部品21A、21Bが互いに回転しようとした場合に、傾斜面
27a、27aは互いの回転軌跡内に配置されているので互いにぶつかり合って個々に回
転するのを抑える。したがって、屈曲された一部分18aが直線状に戻るのを無くし、一
部分18a屈曲された状態を常に保持しておくことができる。
【0051】
図5〜
図7は、電気固定ケーブル固定手段20の第2実施例を示すものである。この第
2実施例の電気固定ケーブル固定手段20は、第1の実施例の固定手段20における一対
のケーブル固定部品21A、21Bの構造を一部変更したものであり、他の構成は第1実
施例と同一であるから、同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0052】
図5に示すように、第2実施例の電気固定ケーブル固定手段20は、リヤケース12b
に設けられた前記ケーブル引出孔17と、その電気ケーブル18に取り付けられてケーブ
ル引出孔17内に装着される前記一対のケーブル固定部品31A、31Bと、ケーブル引
出孔17の開口の一部を塞いでリヤケース12bに取り付けられる前記押さえ部材22等
により構成されている。
【0053】
一対のケーブル固定部品31A、31Bは、
図5〜
図7に示すようにケーブル引出孔1
7の大径部17aの内径と略等しい外径を有して、ケーブル引出孔17内に挿入可能に形
成された円柱状の部材であり、中央には電気ケーブル18の挿通を可能にした径を有する
断面円形の取付孔32a、32bが両側の端面31a、31bに貫通して設けられている
。その各端面31a、31bは平面、すなわち各ケーブル固定部品31A、31Bの軸中
心O2(
図6、
図7参照)に対して直角な水平な面として形成されている。
【0054】
また、一対のケーブル固定部品31A、31Bのうち、回路基板16に近い側に縦列配
置されるケーブル固定部品31Aの取付孔32aは、
図6(b)に示すように、その軸中心
O1がケーブル固定部品21A、21Bの軸中心O2と同じ位置、すなわち同心上に設け
られている。これに対して、回路基板16から遠い側に縦列配置されるケーブル固定部品
31Bの取付孔32bは、
図7(b)に示すように、その軸中心O1がケーブル固定部品3
1Bの軸中心O2から距離δ分ずれて偏心した位置に設けられている。
【0055】
次に、第2実施例における電気ケーブル固定手段20の作用を、
図5(a)〜(c)を参照
して説明する。シール部材25と一対のケーブル固定部品31A、31B及び押さえ部材
22は、電気ケーブル18がケーブル引出孔17を挿通して筐体12内に導かれる前に、
筐体12の外側において電気ケーブル18に装着される。この装着では、
図5(a)に示す
ように、一対のケーブル固定部品31A、31Bは、互いの端面31a、31bを対峙さ
せた状態で電気ケーブル18上に縦列配置される。
【0056】
そして、電気ケーブル18の先端を筐体12内に挿通して、筐体12内で電気ケーブル
18の先端にコネクタ19aを取り付け、この取り付けたコネクタ19aを映像回路基板
16のコネクタ19bに接続する。また、フロントケース12aにリヤケース12bを取
り付け、更に筐体12内における電気ケーブル18の長さ調整を済ませる。更に、電気ケ
ーブル18の長さ調整が済んだら、
図5(b)に示すように、シール部材25と一対のケー
ブル固定部品31A、31Bを順にケーブル引出孔17内に挿入させる。なお、これらシ
ール部材25と一対のケーブル固定部品31A、31Bの、ケーブル引出孔17内への取
り付けは、第1実施例の場合と同様に、フロントケース12aにリヤケース12bを取り
付ける前であっても良い。
【0057】
これによりシール部材25が小径部17b内に配置され、更に一対のケーブル固定部品
31A、31Bが大径部17a内に積み重ねられた状態で縦列配置される。また、この第
2実施例の場合でも、第1実施例の場合と同じ様に、一対のケーブル固定部品31A、3
1Bが大径部17a内に縦列配置されたときに、大径部17a内で一対のケーブル固定部
品31A、31Bが占める長さは、
図5(a)に示すように、端面31a、31bを互いに
当接して縦列配置されたときの、ケーブル固定部品31Aの一端31aからケーブル固定
部品21Bの一端31bまでの長さLに、後述する理由により
図5(c)に示すように電気
ケーブル18の一部18が大径部17内で屈曲してケーブル固定部品31Aとケーブル固
定部品31Bとの間に発生する隙間σ1を加えた距離(L+σ1)で与えられ、また大径部
17aの深さは、前記距離(L+σ1)と等しいか、若干小さく形成されている。
【0058】
その大径部17a内で、電気ケーブル18の一部18aが屈曲してケーブル固定部品3
1Aとケーブル固定部品31Bとの間に隙間σ1を発生させる理由を、次に説明する。
【0059】
まず、ケーブル固定部品31Aは、取付孔32aの軸中心O1とケーブル固定部品31
Aの軸中心O2が同心で、ケーブル固定部品31Bは、取付孔32aの軸中心O1がケー
ブル固定部品31Bの軸中心O2から距離δだけ偏心し、またケーブル固定部品31A、
31Bの端面31a、31bを対峙させて縦列配置している。したがって、ケーブル固定
部品31A、31Bをケーブル引出孔17内に取り付けるときには、ケーブル引出孔17
内に縦列配置されたケーブル固定部品31Aにおける取付孔32aの軸中心O1に対して
ケーブル固定部品31Bにおける取付孔32bの軸中心O1は、ケーブル固定部品21A
の軸中心O2から外側に距離δずれた状態になる。
【0060】
そのため、
図5(b)に示すように、大径部17a内にケーブル固定部品31A、31B
を順に挿入した状態では、そのケーブル固定部品31A、31Bが対向している部分にお
ける電気ケーブル18の一部分18aは、ケーブル固定部品31Bの取付孔26のずれδ
により傾斜した状態に屈曲されてケーブル固定部品31A、31Bの間に挟まれている。
しかも、電気ケーブル18の一部分18a自身が直線状に戻ろうとする復元力で、上側の
ケーブル固定部品31Bがリヤケース12bの背面側に押し上げられてケーブル固定部品
31A、31Bの端面31a、31bの間は互いに離れ、上記隙間σ1よも若干大きな隙
間σ0が形成されている。したがって、この電気ケーブル18による押し上げ力と、シー
ル部材25が大径部17a側へ突出している高さとにより、この積み重ねの初期状態では
、ケーブル固定部品31Bの端面31bは、ケーブル引出孔17から外側に僅かに突出さ
れている。
【0061】
次いで、ケーブル固定部品31Bの端面31bがリヤケース12bの外面とほぼ同じ面
となるまで、ケーブル固定部品31Bをケーブル引出孔17内に押し込むと、この押し力
が電気ケーブル18の一部分18aを介してケーブル固定部品31Aに伝達され、ケーブ
ル固定部品31Aでシール部材25を押し潰しながら押し込むことができる。
【0062】
このように、ケーブル固定部品31Bをケーブル引出孔17内に押し込むと、ケーブル
固定部品31Bが所定の位置、すなわちケーブル固定部品31Bの端面31bがリヤケー
ス12bの外面とほぼ同じ面となるまで押し込まれる直前で、ケーブル固定部品31Aの
端面31aが大径部17aの底面(大径部17aと小径部17との段差部分)に当接し、ケ
ーブル固定部品31Aがケーブル引出孔17内に位置決めされる。そして、更にケーブル
固定部品31Bが上記所定の位置まで押し込まれると、電気ケーブル18の屈折された一
部18aが各取付孔26の開口縁32cで更に強く挟まれ、最終的にケーブル固定部品3
1Aの端面31bとケーブル固定部品31Bの端面31aとの間の隙間が
図5(c)に示す
ように上記隙間σ1となる。このようにして、ケーブル固定部品31Bが上記所定の位置
まで押し込まれたら、ケーブル引出孔17の一部を塞ぐようにして押さえ部材22をリヤ
ケース12bの後面に固定して取り付けると、そのケーブル固定部品31Bの押し込み状
態を保持することができる。
図5(c)は、その電気ケーブル固定後の状態を示している。
【0063】
したがって、このようにしてケーブル引出孔17内にケーブル固定部品31A、31B
と共に配置された電気ケーブル18は、
図5(b)に示すように、そのケーブル固定部品3
1A、31Bが対向している部分では、電気ケーブル18の一部分18aが傾斜した状態
に屈曲され、その屈曲された電気ケーブル18の一部分18aが各取付孔32a、32b
で強く挟まれて開口縁32c、32cに各々圧接される。この圧接は、電気ケーブル18
とケーブル固定部品31A、31Bの間の摩擦抵抗を発生させ、電気ケーブル18が外部
から引っ張られた場合に、その摩擦抵抗により電気ケーブル18が引き出されるのを抑え
、筐体12内部の映像回路基板16に影響を与えないようにする。すなわち、電気ケーブ
ル18は、ケーブル引出孔17内で固定される。
【0064】
したがって、この第2実施例の電気ケーブル固定手段20を用いた場合でも、筐体12
内部のコネクタ19bに電気ケーブル18側のコネクタ19aを固定して、更に電気ケー
ブル18の長さを調整した後から、ケーブル引出孔17内における電気ケーブル18の固
定を行うことができるので、コネクタの接続作業及び電気ケーブル18の長さ調整の作業
を簡略化できる。また、筐体に引き回す電気ケーブルの長さを最小限にすることができる
ので、筐体の小形化も可能になる。
【0065】
また、一対のケーブル固定部品31A、31Bは、ケーブル固定部品31Aの取付孔3
2aは、その軸中心O1をケーブル固定部品31Aの軸中心O2と同じ同心位置に設け、
ケーブル固定部品31Bの取付孔32bは、その軸中心O1をケーブル固定部品31Bの
軸中心O2から距離δだけ偏心させて設けているので、ケーブル固定部品31Aとケーブ
ル固定部品31Bの区別が分かり易く、組立作業時の誤装着を減らすことができる。尚、
ケーブル固定部品31Aは回路基板16に近い側に配置され、またケーブル固定部品31
Bは回路基板16から遠い位置に配置される。
【0066】
更に、ケーブル固定部品31A、31Bを各々断面円形の柱状に形成し、これを断面円
形のケーブル引出孔17内に配置した場合ではケーブル固定部品31A、31Bの個々の
回転をし易くするが、本実施例のようにケーブル固定部品31Aにおける取付孔32aの
軸中心O1とケーブル固定部品31Aの軸中心O2を同心に設け、ケーブル固定部品31
Bにおける取付孔32bの軸中心O1をケーブル固定部品31Bの軸中心O2から距離δ
だけずらして偏心した位置に設けた場合では、例えケーブル引出孔17内でケーブル固定
部品31A、31Bが個々に回転しても、互いの取付孔32a、32bの軸中心O1が一
致することが無いので、屈曲された一部分18aを、その屈曲された状態に常に保持して
おくことができる。
【0067】
またこのときケーブル挿通孔17cとケーブル固定部品31Aの取付孔32aの軸中心は
揃っているため、電気ケーブル18は屈曲することなくその間を貫通することができ、電
気ケーブル18の不要な屈曲を防ぐことが可能となる。
【0068】
図8及び
図9は、電気固定ケーブル固定手段20の第3実施例を示すものである。この
第3実施例の電気固定ケーブル固定手段20は、第2の実施例の固定手段20における一
対のケーブル固定部品31A、31Bの構造を一部変更したものであり、他の構成は第1
実施例と同一であるから、同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0069】
図8に示すように、第3実施例の電気固定ケーブル固定手段20は、リヤケース12に
設けられた前記ケーブル引出孔17と、その電気ケーブル18に取り付けられてケーブル
引出孔17内に装着される前記一対のケーブル固定部品41A、41Bと、ケーブル引出
孔17の開口の一部を塞いでリヤケース12bに取り付けられる前記押さえ部材22等に
より構成されている。
【0070】
一対のケーブル固定部品41A、41Bは、同一部品である。そのケーブル固定部品4
1A、41Bは、
図8、
図9に示すようにケーブル引出孔17の大径部17aの内径と略
等しい外径を有して、ケーブル引出孔17内に挿入可能に形成された円柱状の部材であり
、中央には電気ケーブル18の挿通を可能にした径を有する断面円形の取付孔42が両側
の端面41a、41bに貫通して設けられている。その取付孔42は、
図9(b)、(c)に
示すように、軸中心O1がケーブル固定部品41A、41Bの軸中心O2からそれぞれ距
離δ分外側にずれて偏心した位置に設けられている。また、固定部品42A、42Bの端
面41a、41bは軸中心O2に対して直角な水平な面で形成されている。
【0071】
次に、第3実施例における電気ケーブル固定手段20の作用を、
図8(a)〜(c)を参照
して説明する。シール部材25と一対のケーブル固定部品41A、41B及び押さえ部材
22は、電気ケーブル18がケーブル引出孔17を貫通して筐体12内に導かれる前に、
筐体12の外側において電気ケーブル18に装着される。この装着では、
図8(a)に示す
ように、一対のケーブル固定部品41A、41Bは、互いの端面41a、41bを対峙さ
せた状態で電気ケーブル18上に縦列配置される。
【0072】
そして、電気ケーブル18の先端を筐体12内に挿通して、筐体12内で電気ケーブル
18の先端にコネクタ19aを取り付け、この取り付けたコネクタ19aを映像回路基板
16のコネクタ19bに接続する。また、フロントケース12aにリヤケース12bを取
り付け、更に筐体12内における電気ケーブル18の長さ調整を済ませる。更に、電気ケ
ーブル18の長さ調整が済んだら、
図8(b)に示すようにシール部材25と一対のケーブ
ル固定部品41A、41Bを順にケーブル引出孔17内に挿入させる。この挿入では、一
対のケーブル固定部品41A、41Bは、
図8(b)、
図9(b)、(c)に示すように、それ
ぞれ偏心している取付孔42、42の位置が互いに外側に離れるように回転させて、ケー
ブル引出孔17内に挿入させる。すなわち、
図9(b)ではケーブル固定部品41Aの挿入
時における回転位置、
図9(c)ではケーブル固定部品41Bの挿入時における回転位置を
示している。なお、シール部材25と一対のケーブル固定部品41A、41Bのケーブル
引出孔17内への取り付けは、第1実施例の場合と同様に、フロントケース12aにリヤ
ケース12bを取り付ける前であっても良い。
【0073】
これによりシール部材25が小径部17b内に配置され、更に一対のケーブル固定部品
41A、41Bが大径部17a内に積み重ねられた状態で縦列配置される。また、この第
3実施例の場合でも、第1、第2実施例の場合と同じ様に、一対のケーブル固定部品41
A、41Bが大径部17a内に縦列配置されたときに、大径部17a内で一対のケーブル
固定部品41A、41Bが占める長さは、
図8(a)に示すように、端面41a、41bを
互いに当接して縦列配置されたときの長さLに、後述する理由により電気ケーブル18の
一部18が大径部17内で屈曲してケーブル固定部品41Aとケーブル固定部品41Bと
の間に発生する隙間σ1(
図8(c)参照) を加えた距離(L+σ1)で与えられ、また大径
部17aの深さは、前記距離(L+σ1)と等しいか、若干小さく形成されている。
【0074】
その大径部17a内で、電気ケーブル18の一部18aが屈曲してケーブル固定部品4
1Aとケーブル固定部品41Bとの間に隙間σ1を発生させる理由を、次に説明する。
【0075】
まず、ケーブル固定部品41A、41Bは、各取付孔26、26の軸中心O1がケーブ
ル固定部品41A、41Bの軸中心O2から距離δだけ各々偏心している。したがって、
偏心している取付孔42、42の位置が互いに外側に離れるように回転させて、ケーブル
固定部品41A、41Bを大径部17a内に縦列配置すると、ケーブル固定部品41Aに
おける取付孔42の軸中心O1と、固定部品41Bにおける取付孔42の軸中心O1間の
偏心量は、各ケーブル固定部品41A、41Bの軸中心O2から外側に距離δずつずれた
量、すなわち2倍(2δ)になる。
【0076】
そのため、
図8(b)に示すように、大径部17a内にケーブル固定部品41A、41B
を順に挿入した状態では、そのケーブル固定部品41A、41Bが連結している部分にお
ける電気ケーブル18の一部分18aは、取付孔42、42のずれ(2δ)により傾斜した
状態に屈曲されてケーブル固定部品41A、41Bの間に挟まれている。しかも、電気ケ
ーブル18の一部分18a自身が直線状に戻ろうとする復元力で、上側のケーブル固定部
品41Bがリヤケース12bの背面側に押し上げられてケーブル固定部品41A、41B
の端面41a、41bの間は互いに離れ、上記隙間σ1よも若干大きな隙間σ0が形成さ
れている。したがって、この電気ケーブル18による押し上げ力と、シール部材25が大
径部17a側へ突出している高さとにより、この積み重ねの初期状態では、ケーブル固定
部品41Bの端面41bは、ケーブル引出孔17から外側に僅かに突出されている。
【0077】
次いで、ケーブル固定部品41Bの端面41bがリヤケース12bの外面とほぼ同じ面
となるまで、ケーブル固定部品41Bをケーブル引出孔17内に押し込むと、この押し力
が電気ケーブル18の一部分18aを介してケーブル固定部品41Aに伝達され、ケーブ
ル固定部品41Aがシール部材25を押し潰しながら押し込むことができる。
【0078】
このように、ケーブル固定部品41Bをケーブル引出孔17内に押し込むと、ケーブル
固定部品41Bが所定の位置、すなわちケーブル固定部品41Bの端面41bがリヤケー
ス12bの外面とほぼ同じ面となるまで押し込まれる直前で、ケーブル固定部品41Aの
端面41aが大径部17aの底面(大径部17aと小径部17との段差部分)に当接し、ケ
ーブル固定部品41Aがケーブル引出孔17内に位置決めされる。そして、更にケーブル
固定部品41Bが上記所定の位置まで押し込まれると、電気ケーブル18の屈折された一
部18aが各取付孔42の開口縁42aで更に強く挟まれ、最終的にケーブル固定部品4
1Aの端面41bとケーブル固定部品31Bの端面41aとの間の隙間が、
図8(c)に示
すように上記隙間σ1となる。このようにして、ケーブル固定部品41Bが上記所定の位
置まで押し込まれたら、ケーブル引出孔17の一部を塞ぐようにして押さえ部材22をリ
ヤケース12bの後面に固定して取り付けると、そのケーブル固定部品41Bの押し込み
状態を保持することができる。
図8(c)は、その電気ケーブル固定後の状態を示している
。
【0079】
したがって、このようにしてケーブル引出孔17内にケーブル固定部品41A、41B
と共に配置された電気ケーブル18は、
図8(b)に示すように、そのケーブル固定部品4
1A、41Bが対向している部分では、電気ケーブル18の一部分18aが傾斜した状態
に屈曲され、その屈曲された電気ケーブル18の一部分18aが各取付孔42、42の開
口縁42a、42aに各々圧接される。この圧接は、電気ケーブル18とケーブル固定部
品41A、41Bの間の摩擦抵抗を発生させ、電気ケーブル18が外部から引っ張られた
場合に、その摩擦抵抗により電気ケーブル18が引き出されるのを抑え、筐体12内部の
映像回路基板16に影響を与えないようにする。すなわち、電気ケーブル18は、ケーブ
ル引出孔17内で固定される。
【0080】
したがって、この第3実施例の電気ケーブル固定手段20を用いた場合でも、筐体12
内部のコネクタ19bに電気ケーブル18側のコネクタ19aを固定して、更に電気ケー
ブル18の長さを調整した後から、ケーブル引出孔17内における電気ケーブル18の固
定を行うことができるので、コネクタの接続作業及び電気ケーブル18の長さ調整の作業
を簡略化できる。また、筐体に引き回す電気ケーブルの長さを最小限にすることができる
ので、筐体の小形化も可能になる。
【0081】
なお、ケーブル固定部品41A、41Bを各々断面円形の柱状に形成し、これを断面円
形のケーブル引出孔17内に配置した場合では、電気ケーブル18の一部18aが屈曲す
るようにケーブル固定部品41A、41Bの取付孔42の軸中心O1の位置を互いにずら
して配置しても、ケーブル引出孔17内では電気ケーブル18が真っ直ぐに延びようとす
る復元力が発生する。そして、この復元力により、ケーブル固定部品41A、41Bが個
々に回転をし、偏心している取付孔42、42の軸中心O1が一致して、ケーブル固定部
品41A、41Bの間の屈曲部分が直線状に戻る虞がある。これは、必要に応じて、例え
ばケーブル引出孔17とケーブル固定部品41A、41Bの間をボンドで固定して、ケー
ブル固定部品41A、41Bが個々に回転するのを抑えるようにした回転防止手段を設け
ることにより解決することができる。
【0082】
また、その回転防止手段としては、ケーブル引出孔17とケーブル固定部品41A、4
1Bの間をボンド等で固定する構造以外に、例えば
図10、
図11、
図12に示す構造に
してもよい。
【0083】
図10は、回転防止手段の一例を、電気ケーブル固定手段20の第3実施例に適用した
ものである。
図10に示すケーブル固定部品41A、41Bは、回転防止手段として、端
面41bにケーブル固定部品41A、41Bの端面41bに、その軸中心O2を挟んで対
称な位置にそれぞれ、ピン状の凸部43と、この凸部43の外径よりも僅かに大きな内径
を有する凹部44を設けたものである。
【0084】
そして、ケーブル固定部品41A、41Bは、凸部43と凹部44を設けた端面41b
を、
図10(b)及び
図10(c)に示すように、互いに180度回転方向にずらして対峙さ
せ、ケーブル引出孔17内に積み重ねた状態で縦列配置するようにしたものである。これ
により、ケーブル引出孔17内では、ケーブル固定部品41Aの凸部43がケーブル固定
部品41Bの凹部44内に挿入係合され、ケーブル固定部品41Bの凸部43がケーブル
固定部品41Aの凹部44内に挿入係合された状態で組み合わされる。尚、凸部43はケ
ーブル固定部品41Aとケーブル固定部品41Bがケーブル引出孔17に電気ケーブル1
8と共に配置されたときに、凹部44内に確実に挿入されるだけの高さを有し、凹部44
は凸部43が確実に挿入されるだけの深さを有する。
【0085】
したがって、この回転防止手段を用いた電気ケーブル固定手段20の構造では、ケーブ
ル固定部品41A、41Bは、互いに一体に回転をするが、個々には回転しないので、ケ
ーブル固定部品41A、41Bの間の偏心位置の関係は常に保持され、ケーブル固定部品
41A、41Bの間に形成された電気ケーブル18の屈曲部分18を常に保持することが
できる。
【0086】
図11は、回転防止手段の他の例を、電気ケーブル固定手段20の第3実施例に適用し
たものである。
図11に示す回転防止手段は、ケーブル固定部品41A、41Bの各周面
に、それぞれ軸方向に沿って延びる凸条部45を設け、ケーブル引出孔17の大径部17
a内に、凸条部45と係合可能な一対の凹条部46a、46bを互いに180度変位した
位置に設けたものである。
【0087】
そして、ケーブル固定部品41A、41Bは、
図11(b)及び
図11(c)に示すように
、それぞれ凸部43を互いに180度回転方向にずらして対峙させ、ケーブル固定部品4
1Aの凸条部45をケーブル引出孔17の凹条部46a内に係合させるとともに、ケーブ
ル固定部品41Bの凸条部45をケーブル引出孔17の凹条部46b内に係合させて積み
重ねて、縦列配置するようにしたものである。これにより、ケーブル固定部品41Aの取
付孔42とケーブル固定部品41Bの取付孔42を互いに180度変位させた状態に保持
することができる。
【0088】
したがって、この回転防止手段を用いた電気ケーブル固定手段20の構造では、ケーブ
ル固定部品41A、41Bは、凸条部45と凹条部46a、46bとの係合により、ケー
ブル引出孔17内では回転しないので、一度形成されたケーブル固定部品41A、41B
の間の偏心位置の関係は常に崩れることなく保持され、ケーブル固定部品41A、41B
の間に形成された電気ケーブル18の屈曲部分18を常に保持することができる。
【0089】
図12は、回転防止手段の更に他の例を、電気ケーブル固定手段20の第3実施例に適
用したものである。
図12に示す回転防止手段は、ケーブル固定部品41A、41Bの断
面を矩形状に形成し、ケーブル引出孔17の大径部17a内の断面をケーブル固定部品4
1A、41Bの断面に合わせてほぼ同じ大きさの矩形状で、ケーブル固定部品41A、4
1Bが大径部17a内に略隙間を無くして挿入できるように形成したものである。
【0090】
そして、ケーブル固定部品41A、41Bは、
図12(b)及び
図12(c)に示すように
、それぞれ偏心している取付孔42、42の位置が互いに外側に向かって離れるように回
転させ、ケーブル引出孔17内に挿入して縦列配置するようにしたものである。
【0091】
したがって、この回転防止手段を用いた電気ケーブル固定手段20の構造では、ケーブ
ル引出孔17内に配設されたケーブル固定部品41A、41Bは、大径部17aとケーブ
ル固定部品41A、41Bを共に矩形状に形成し、互いに嵌合しているので、ケーブル固
定部品41A、41Bはケーブル引出孔17内では回転できないので、ケーブル固定部品
41A、41Bの間の偏心位置の関係は常に保持され、ケーブル固定部品41A、41B
の間に形成された電気ケーブル18の屈曲部分18を常に保持することができる。
【0092】
なお、上記実施例では、電子機器として車載用カメラ装置の場合で説明したが、この車
載用カメラ装置に限定されることなく、広く一般の電子機器に適用できるものであり、本
発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれものである。