(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011305
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】リニアガイド装置のキャップ
(51)【国際特許分類】
F16C 29/06 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
F16C29/06
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-274260(P2012-274260)
(22)【出願日】2012年12月17日
(65)【公開番号】特開2013-177966(P2013-177966A)
(43)【公開日】2013年9月9日
【審査請求日】2015年11月26日
(31)【優先権主張番号】特願2011-275195(P2011-275195)
(32)【優先日】2011年12月16日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-13947(P2012-13947)
(32)【優先日】2012年1月26日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-27131(P2012-27131)
(32)【優先日】2012年2月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】金子 進
(72)【発明者】
【氏名】深瀬 幸介
【審査官】
尾形 元
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−010036(JP,A)
【文献】
特開2007−321856(JP,A)
【文献】
特開平06−330925(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0040314(US,A1)
【文献】
西独国特許出願公開第3046590(DE,A)
【文献】
独国実用新案第202011050670(DE,U1)
【文献】
米国特許第2968375(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 29/06
F16C 35/06
F16B 37/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リニアガイド装置の案内レールに形成された取付穴の座ぐり部を塞ぐキャップであって、
前記座ぐり部の開口面に入る面形状を有する板状部材の外周面に、複数の凹部が等間隔で配置され、前記板状部材の略中心位置で厚さ方向に貫通する穴部を有する第1部材と、エラストマーからなり、第1部材と重ねて使用される第2部材と、を有し、
第2部材は、第1部材と同じ板状部材の外縁部に、板面に対して垂直に延びて、第1部材と重ねた状態で前記複数の凹部に嵌まる複数の凸部が配置された形状であり、第1部材と重ねた状態で前記穴部に嵌まる軸部を有し、
前記複数の凸部で形成される外周寸法は、前記凸部が前記座ぐり部内で弾性変形する寸法であることを特徴とするリニアガイド装置のキャップ。
【請求項2】
前記第2部材の軸部に軸方向に延びる雌ねじが形成され、前記雌ねじの少なくとも前記第1部材側が開口している請求項1記載のリニアガイド装置のキャップ。
【請求項3】
前記第2部材の軸部に軸方向に延びる貫通穴が形成され、前記貫通穴の一部である前記第1部材側に雌ねじが形成されている請求項1記載のリニアガイド装置のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リニアガイド装置の案内レールに形成された取付穴を塞ぐキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
リニアガイド装置は、
図7に示すように、案内レール1とスライダ2と複数個の転動体3とを備えている。案内レール1およびスライダ2は、互いに対向配置されて転動体3の転動通路を形成する転動面11,21を有する。スライダ2は、転動体3の戻し通路22と、この戻し通路22と前記転動通路とを連通させる方向転換路を有する。そして、前記転動通路、戻し通路、および方向転換路で転動体の循環経路が構成され、この循環経路内を転動体3が循環することにより、案内レール1およびスライダ2の一方が他方に対して相対的に直線運動する。
【0003】
リニアガイド装置の案内レール1には、基台等の被取付部にボルトを用いて取り付けるための取付穴4が形成されている。
この取付穴4は、
図8に示すように、ボルトの頭部を収める座ぐり部41と、ボルトの軸部を収める軸収納部42とからなる。また、座ぐり部41の開口端に面取り部43が形成されている。この取付穴4にボルトを入れて螺合させることにより、案内レール1を基台等にボルトで固定した後、ゴミが入ることを防止する目的で、座ぐり部41の上部をキャップで塞いでいる。
【0004】
このキャップを取り付ける際には、一般に、キャップを座ぐり部41の上に載せ、そのキャップの上に当て板を当て、その当て板をプラスチックハンマー等で叩くことにより、座ぐり部41内にキャップを埋め込んでいる。
このキャップの従来例として、特許文献1には、取付穴4の座ぐり部41の内径より小さい外径を有する短円柱部と、短円柱部の外周に沿って等間隔で配置された、座ぐり部41に対して締め代となる複数の凸部と、を有するキャップが記載されている。このキャップは、前記複数の凸部が削り取られながら座ぐり部41内に埋め込まれることで、キャップが座ぐり部41に固定されて取付穴4を閉塞する。
【0005】
このキャップは、時間の経過に伴って前記凸部と座ぐり部41との間に緩みが生じる場合がある。すなわち、このキャップには、長期に渡って座ぐり部に対する固定力を維持するという点で改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−227838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の課題は、リニアガイド装置の案内レールに形成された取付穴の座ぐり部を塞ぐキャップとして、長期に渡って座ぐり部に対する固定力を維持できるものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明の第一態様であるリニアガイド装置のキャップは、リニアガイド装置の案内レールに形成された取付穴の座ぐり部を塞ぐキャップであって、下記の構成(1) 〜(3) を有することを特徴とする。
(1) 前記座ぐり部の開口面に入る面形状を有する板状部材の外周面に、複数の凹部が等間隔で配置され、前記板状部材の略中心位置で厚さ方向に貫通する穴部を有する第1部材と、エラストマー(合成ゴム、熱可塑性エラストマー等)からなり、第1部材と重ねて使用される第2部材と、を有する。
(2) 第2部材は、第1部材と同じ板状部材の外縁部に、板面に対して垂直に延びて、第1部材と重ねた状態で前記複数の凹部に嵌まる複数の凸部が配置された形状であり、第1部材と重ねた状態で前記穴部に嵌まる軸部を有する。
(3) 前記複数の凸部で形成される外周寸法は、前記凸部が前記座ぐり部内で弾性変形する寸法である。
【0009】
このキャップは、第2部材の軸部を第1部材の穴部に通し、第2部材の凸部を第1部材の凹部に嵌めることで、組み立てられる。このキャップの第2部材側を前記座ぐり部の上に置いて、前述のようにハンマーなどで叩くことにより、キャップ全体が前記座ぐり部に埋め込まれる。その際に、エラストマー製の第2部材が弾性変形して、前記凸部が前記座ぐり部内で弾性変形した状態となることにより、このキャップが座ぐり部に摩擦力で固定される。
このキャップは、第1部材が第2部材の凸部を内側から支えることで、時間が経過しても、凸部の弾性力による座ぐり部に対する摩擦力が維持されるため、キャップと座ぐり部との間に緩みが生じにくくなる。
【0010】
このキャップは下記の構成(4) または(5) を有することが好ましい。
(4) 前記第2部材の軸部に軸方向に延びる雌ねじが形成され、前記雌ねじの少なくとも前記第1部材側が開口している。
(5) 前記第2部材の軸部に軸方向に延びる貫通穴が形成され、前記貫通穴の一部である前記第1部材側に雌ねじが形成されている。
前記構成(4) または(5) を有することで、前記雌ねじを利用してキャップを座ぐり部から傷つけずに外すことができるため、キャップの再使用が可能である。前記構成(5) を有する場合は、前記貫通穴の雌ねじが形成されていない部分に雌ねじを形成することで、雌ねじの部分を長くすることができる。
【0011】
この発明の第二態様に係るリニアガイド装置のキャップは、リニアガイド装置の案内レールに形成された、ボルトの頭部を収める座ぐり部と軸部を収める軸収納部とを備えた取付穴の、前記座ぐり部を塞ぐキャップであって、前記座ぐり部の開口面に入る面形状を有する板状部材の外周面に、複数の凹部が等間隔で配置され、厚さ方向に貫通する中心穴を有する第1部材と、エラストマーからなり、第1部材と重ねて使用される第2部材と、を有し、第2部材は、第1部材と同じ板状部材の外縁部に、板面に対して垂直に延びて、第1部材と重ねた状態で前記複数の凹部に嵌まる複数の凸部(突起)が配置された形状であり、第1部材と重ねた状態で前記中心穴に嵌まる中心軸を有し、前記複数の凸部で形成される外周寸法は、全ての凸部が均等に前記座ぐり部内で弾性変形する寸法であることを特徴とする。
【0012】
第二態様のキャップは、第2部材の中心軸を第1部材の中心穴に通し、第2部材の凸部を第1部材の凹部に嵌めることで、組み立てられる。このキャップの第2部材側を前記座ぐり部の上に置いて、前述のようにハンマーなどで叩くことにより、キャップ全体が前記座ぐり部に埋め込まれる。その際に、エラストマー製の第2部材が弾性変形して、全ての凸部が均等に前記座ぐり部内で弾性変形した状態となることにより、このキャップが座ぐり部に摩擦力で固定される。
第二態様のキャップは、第1部材が第2部材の凸部を内側から支えることで、時間が経過しても、凸部の弾性力による座ぐり部に対する摩擦力が維持されるため、キャップと座ぐり部との間に緩みが生じにくくなる。
【発明の効果】
【0013】
この発明のキャップによれば、案内レールに形成された取付穴の座ぐり部を塞ぎ、長期に渡って座ぐり部に対する固定力を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態のキャップを示す平面図(a)と、そのA−A断面図(b)と、このキャップを挿入する案内レールの取付穴を示す断面図(c)である。
【
図2】実施形態のキャップを構成する第1部材と第2部材をそれぞれ示す斜視図である。
【
図3】実施形態のキャップを取付穴の座ぐり部の上に置いて、当て板を介してプラスチックハンマーで叩く状態を示す断面図(a)と、実施形態のキャップが座ぐり部に固定された状態を示す断面図(b)である。
【
図4】第2部材の軸部に雌ねじが形成されているキャップを説明する断面図である。
【
図5】第2部材の軸部の貫通穴の一部に雌ねじが形成されているキャップを説明する断面図である。
【
図6】実施形態のキャップの形成方法の一例を説明する図である。
【
図7】リニアガイド装置を示す部分断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態について説明する。
図1および
図2を用いて、この実施形態のキャップの構成を説明する。
これらの図に示すように、この発明のキャップ5は、重ねて使用される略円板状の第1部材51と第2部材52とからなる。第1部材51および第2部材52をなす円板(板状部材)の外径Bは、案内レール1の取付穴4を構成する座ぐり部41の内径Cより少し小さい。
【0016】
第1部材51には、円板の外周面に6個の円弧状の凹部51aが等間隔で配置されている。第1部材51は、また、円板の略中心位置で厚さ方向に貫通する穴部51bを有する。6個の円弧状の凹部51aは直径Dの円に沿って形成されている。この直径Dは、取付穴4を構成する軸部42の内径Eより大きい。
第2部材52には、円板の外縁部に、板面に対して垂直に延びる6個の円柱状の凸部52aが等間隔で配置されている。第2部材52は、また、板面に対して垂直に突出する軸部52bを有する。
【0017】
6個の円柱状の凸部52aで形成される外周寸法(直径F)は、座ぐり部41の内径Cより少し大きい。すなわち、6個の円柱状の凸部52aで形成される外周寸法は、全ての凸部52aが均等に座ぐり部41内で弾性変形する寸法である。
凸部52aをなす円柱の直径は凹部51aをなす円弧の直径とほぼ同じであり、軸部52bの直径は穴部51bの直径とほぼ同じである。
ここで、凸部52aは円柱状に限らず、半円柱状、円錐状でも良い。また、凹部51aの円弧は、円または半円である。凹部51aの断面形状は、長方形または台形でもよい。凸部52aと凹部51aの組み合わせは適宜可能である。
【0018】
第1部材51は、合成樹脂(スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等)の射出成形により作製されている。第2部材52は、熱可塑性エラストマー(オレフィン系、スチレン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、フッ素系、シリコーン系、ニトリル系、塩化ビニル系、ポリアセタール系)の射出成形により作製されている。
【0019】
射出成形により作製されている第1部材51を構成する合成樹脂と、射出成形により作製されている第2部材52を構成する熱可塑性エラストマーと、の組み合わせは、耐油性を考慮すれば、ポリアミド系合成樹脂とポリアミド系熱可塑性エラストマーとの組み合わせである。
また、コストと耐油性を考慮すれば、ポリオレフィン系合成樹脂とポリアミド系熱可塑性エラストマーとの組み合わせである。さらに、高温性を考慮すれば、ポリアセタール系合成樹脂とポリアセタール系熱可塑性エラストマーとの組み合わせである。ポリアミド系合成樹脂としては、ポリアミド66またはポリアミド6が使用できる。ポリオレフィン系合成樹脂としてはポリエチレンが使用できる。ポリアセタール系合成樹脂としてはポリアセタールが使用できる。
【0020】
ここで、スライダ2がキャップ5を通過する際にキャップ5が高温になったり、スライダ2の端に備えられた不図示のエンドキャップが高温になったりする場合がある。その場合でも高温に耐えられるように、キャップ5の第1部材51とエンドキャップの材料をポリアセタール系樹脂とし、キャップ5の第2部材52の材料をポリアセタール系熱可塑性エラストマーとすることが考えられる。
このキャップ5は、第2部材52を弾性変形させながら、第2部材52の軸部52bを第1部材51の穴部51bに通し、第2部材52の凸部52aを第1部材51の凹部51aに嵌めることで、組み立てられる。
第2部材52を第1部材51に嵌め易くするため、第1部材51の硬度を第2部材52の硬度より大きくする。
【0021】
このキャップ5は、案内レールを基台にボルトで固定した後、ボルトの取付穴を塞ぐために使用される。キャップ5の取付方法について
図3を使用して説明する。
案内レールを基台に固定する際には、先ず、基台6の上に案内レール1を置き、基台6の取付穴の雌ねじ部61と、案内レール1の取付穴4の軸収納部42を合わせる。この状態で、案内レール1の取付穴4からボルト7を入れて、軸部の雄ねじを、基台6の雌ねじ部61に螺合し、頭部を座繰り部41の面41aに当てて締めつける。これにより、案内レール1が基台6にボルト7で固定される。
【0022】
次に、
図3(a)に示すように、キャップ5の第2部材52側を、取付穴4の座ぐり部41の上に置いて、当て板70を介してプラスチックハンマー71で叩くことにより、エラストマー製の第2部材52が弾性変形して、キャップ5全体が座ぐり部41に埋め込まれる。その際に、全ての凸部52aが均等に座ぐり部41内で弾性変形した状態となり、キャップ5が座ぐり部41に固定される。
図3(b)はこの状態を示す。
このキャップ5は、第1部材51が第2部材52の凸部52aを内側から支えるため、時間が経過しても、凸部52aの弾性力による座ぐり部41に対する摩擦力が維持されるため、キャップ5と座ぐり部41との間に緩みが生じにくい。よって、長期に渡って座ぐり部41に対する固定状態が維持される。
【0023】
図4に示すように、キャップ5を構成する第2部材の軸部52bに、雌ねじ52cが形成されていてもよい。雌ねじ52cは、第1部材51側から軸方向に延びて反対側に貫通していない。
図4に示すキャップ5であれば、雌ねじ52cに、先端に雄ねじ部を有する道具(アイボルト等)の雄ねじ部を螺合して、キャップ5を座ぐり部41から外すことができるため、キャップ5を再使用することができる。
【0024】
なお、雌ねじ52cは、
図4の例のように、少なくとも第1部材51側が開口していればよいが、軸方向に貫通する雌ねじが軸部52bに形成されていてもよい。
また、
図5に示すように、キャップ5を構成する第2部材の軸部52bに、軸方向に延びる貫通穴が形成され、その一部である第1部材51側に雌ねじ52cが形成されていてもよい。この貫通穴のうち、雌ねじ52cが形成されていない部分を通し穴52dと称する。
【0025】
図5に示すキャップ5であれば、通し穴52dに雌ねじを形成することで、雌ねじ52cの部分を長くすることができる。そのため、キャップ5に最初から形成されていた雌ねじ52cの長さが、先端に雄ねじ部を有する道具(アイボルト等)の雄ねじ部の長さより短い場合であっても、その場で通し穴52dに雌ねじを形成することで、キャップ5を座ぐり部41から外すことができる。
【0026】
第1部材51および第2部材52は、二色射出成形法により一体に形成することができる。その一例について
図6を用いて説明する。
図6で使用する射出成形機80は、上型81と、下型82と、射出機83と、上型81を回転させる回転装置84とからなる。射出機83は、上型81と下型82にそれぞれ異なる材料(合成樹脂または熱可塑性エラストマー)が注入できるように構成され、第1部材51を成形する材料85が入った容器と、第2部材52を成形する材料86が入った容器を備えている。
【0027】
先ず、射出成形機80を
図6(a)の状態に組み立て、射出機83により、材料85を下型82の金型82aに注入して中間部品87を成形する。次に、回転装置84で上型81を180°回転させて、中間部品87が存在する上型81を材料86の注入位置に移動する。この状態で、材料86を上型81と下型82の間に注入して、中間部品87を材料86で覆う。これにより、完成部品88として、材料85からなる第1部材51と、材料86からなる第2部材52とが一体化されたキャップ5が成形される。
【0028】
次に、
図6(b)に示すように、射出成形機80を上型81と下型82と射出機83とに分離して、射出成形機80から完成部品88を取り出す。
この実施形態では、座ぐり部41の開口面が円形であるため、第1部材51および第2部材52の面形状を略円板状にしている。しかし、第1部材51および第2部材52の面形状は、座ぐり部41の開口面に入る面形状であれば多角形の面形状であってもよい。また、座ぐり部41の開口面が楕円形であれば、第1部材51および第2部材52の面形状を略楕円板状にすることが好ましく、座ぐり部41の開口面が長穴状であれば、第1部材51および第2部材52の面形状を略長穴板状にすることが好ましい。
【0029】
また、この実施形態では、第1部材51は合成樹脂製、第2部材52は熱可塑性エラストマー製としているが、第1部材51は鉄製やアルミニウム製であってもよく、第2部材52は合成ゴム製であってもよい。
また、この発明のキャップの取付対象となるリニアガイド装置は、座ぐり部を有する取付穴が案内レールに形成されているものであれば、転動体がボールであってもローラーであってもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 案内レール
11 転動面
2 スライダ
21 転動面
22 戻し通路
3 転動体
4 取付穴
41 座ぐり部
42 軸収納部
43 面取り部
5 キャップ
51 第1部材
51a 凹部
51b 穴部
52 第2部材
52a 凸部
52b 軸部
52c 雌ねじ
52d 通し穴(貫通穴)
6 基台
61 基台の取付穴の雌ねじ部
7 ボルト