(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関等で使用される紙幣処理装置等においては、顧客との取引内容に応じて、例えば顧客に紙幣や硬貨等の現金を入金させ、また顧客へ現金を出金するようになされている。
【0003】
紙幣処理装置としては、例えば顧客との間で紙幣の授受を行う紙幣入出金口と、投入された紙幣の金種及び真偽を鑑別する鑑別部と、投入された紙幣を一時的に保留する一時保留部と、金種毎に紙幣を格納する金種カセットとを有するものがある。
【0004】
この紙幣処理装置においては、筐体内部に設けられた搬送路で紙幣入出金口、鑑別部、一時保留部、金種カセット等の各部を繋ぐことにより紙幣を搬送するようになされている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このような紙幣処理装置においては、搬送路の一部として、
図18乃至
図21に示す機構により紙幣を搬送するローラ搬送部220が用いられるものがある。
【0006】
図18はフレーム右側板19Rの右側から見たローラ搬送部220を、
図19はフレーム右側板19R、上側ガイド右側板44R及び下側ガイド右側板46Rを透過して右側から見たローラ搬送部220を示しており、
図19においてはフレーム右側板19R及び上側ガイド右側板44Rを仮想的に2点鎖線で示している。
【0007】
図20は上側ガイド前側板44F及び下側ガイド前側板46Fの前側から見たローラ搬送部220を、
図21は上側ガイド前側板44F及び下側ガイド前側板46Fを透過して前側から見たローラ搬送部220を示している。
【0008】
このローラ搬送部220は、複数の機構部品が組み合わされた上側搬送ユニット262がサブアセンブリ化されており、予め組み上げられた当該上側搬送ユニット262がフレーム19に嵌め込まれることにより、ローラ搬送部220が組み立てられる。
【0009】
ローラ搬送部220の左右端部には、金属でなる板状のフレーム右側板19Rとフレーム左側板19Lとが鉛直方向に沿って延びている。以下ではフレーム右側板19Rとフレーム左側板19Lとをまとめてフレーム19とも呼ぶ。
【0010】
フレーム19には、上側搬送ユニット262を上方から覆う外側板金16が取り付けられている。外側板金16は金属板により構成され、水平方向に広がる平面視長方形状の四隅において下方に屈曲し、フレーム19に固定されることにより、当該フレーム19と電気的に導通している。
【0011】
外側板金16の下方には、金属板により構成された内側板金17が設けられ、当該内側板金17は、水平方向に広がる内側板金天板17Uの左右端部が下方向にほぼ垂直に屈曲し、内側板金右側板17Rと内側板金左側板17Lとを構成している。
【0012】
この内側板金17は、内側板金天板17Uが外側板金16に固定されることにより、当該外側板金16と電気的に導通すると共に、上側搬送ガイド44を保持している。
【0013】
このローラ搬送部220には、左右端部がフレーム19に保持された板状の上側搬送ガイド44及び下側搬送ガイド46によりそれぞれ上側及び下側をガイドされ紙幣が搬送される紙幣搬送路48が形成されている。
【0014】
この上側搬送ガイド44は、樹脂成形され透明に形成されていることにより、外部から紙幣搬送路48内部を視認しやすくなされている。
【0015】
ローラ搬送部220は、回転自在に設けられた駆動ローラ26と、紙幣の面が延びる方向である面方向に対し垂直方向に当該紙幣を当該駆動ローラ26に押し付ける金属製でなる押圧ローラ30とを有している。
【0016】
押圧ローラ30は、金属製の押圧シャフト32を中心に回転し、当該押圧シャフト32は内側板金右側板17R及び内側板金左側板17Lに穿設された押圧シャフト孔部76に摺動可能に挿嵌することにより、内側板金17と電気的に導通している。
【0017】
押圧シャフト32は金属製の押圧スプリング38により下方向に向かって付勢されており、この押圧スプリング38は支点シャフト236に支持されている。
【0018】
支点シャフト236は円筒形状であり金属により形成されて左右方向に延び、内側板金右側板17R及び内側板金左側板17Lに穿設された支点シャフト孔部74に嵌め込まれ固定されることにより、内側板金17と電気的に導通している。
【0019】
支点シャフト236は、押圧スプリング38が押圧シャフト32に加える押圧力に応じて上方向に向かって発生する反力により、支点シャフト孔部74の上端面に押し付けられている。
【0020】
このようなローラ搬送部220は、上側搬送ガイド44と、当該上側搬送ガイド44内部の機構部品である押圧ローラ30、押圧シャフト32、押圧スプリング38及び支点シャフト236と、内側板金17と、外側板金16とが一体化した状態で上側搬送ユニット262としてサブアセンブリ化しており、外側板金16がフレーム19に固定されることでローラ搬送部220が組み立てられる。
【0021】
ところで、金属製であるため帯電する押圧ローラ30、押圧シャフト32、押圧スプリング38及び支点シャフト236は、静電気による誤動作やノイズ対策のため、電気を通す導体によりフレーム19に繋げる必要がある。
【0022】
しかしながら上側搬送ガイド44は透明な樹脂成形であり電気的な導通がないため、ローラ搬送部220は、上側搬送ガイド44内部の機構部品を、当該上側搬送ガイド44を介してフレーム19に導通させることができない。
【0023】
このためローラ搬送路220は、内側板金17で支点シャフト236を保持し、当該内側板金17を当該外側板金16に固定し、さらに当該外側板金16をフレーム19に固定することにより、上側搬送ユニット262をサブアセンブリ化しつつ、上側搬送ガイド44内部の機構部品をフレーム19まで電気的に導通させていた。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0034】
[1.第1の実施の形態]
[1−1.紙幣処理装置の外観構成]
図1に示すように、紙幣処理装置1は金融機関の行員(例えば受付窓口員)が操作する行員操作型端末であり、行員の操作に基づいて紙幣の入出金処理を行うようになされている。
【0035】
この紙幣処理装置1は、箱型の筐体2の上端部に、入金部3の投入口3A、出金部4の排出口4A、表示部5及び操作部6が設けられている。
【0036】
入金部3は、行員により投入口3Aから入金紙幣が投入されると、これを1枚ずつ分離して紙幣処理装置1内に取り込んでいくようになされている。
【0037】
出金部4は、出金紙幣を集積して、これを排出口4Aから行員に取り出させるようになされている。またこの出金部4には、排出口4Aを開閉するシャッタ(図示せず)が設けられ、紙幣の排出時に開くようになっている。
【0038】
表示部5は液晶ディスプレイにより構成され、メニュー画面、各種処理の結果画面等を表示する。操作部6は押しボタンにより構成され、紙幣処理装置1に対する操作を受け付ける。
【0039】
さらにこの紙幣処理装置1は、図示していないが、ネットワークを介して金融機関の端末やホストコンピュータと通信でき、端末やホストコンピュータとの間で各種情報を送受したり、端末側から操作したりできるようにもなされている。
【0040】
[1−2.紙幣処理装置の内部構成]
図2に示すように、紙幣処理装置1の筐体2内には、上述した入金部3、出金部4に加えて、鑑別部10、一時保留部11、紙幣カセット12A〜12D、リジェクト庫付き紙幣カセット13及び搬送路14が設けられている。
【0041】
筐体2内の上部には、入金部3が後側、出金部4が前側となるように前後方向に並んで設けられている。また、出金部4の前方斜め下には一時保留部11が設けられ、この一時保留部11より後方で入金部3の後方斜め下には、鑑別部10が設けられている。
【0042】
さらに筐体2内の下部には、紙幣カセット12A〜12Dとリジェクト庫付き紙幣カセット13とが前後方向に並べて設けられている。
【0043】
この紙幣処理装置1では、リジェクト庫付き紙幣カセット13が最も前側で、その後ろに紙幣カセット12A、12B、12C、12Dの順で、紙幣カセット12A〜12Dが並べて設けられている。
【0044】
さらに筐体2内には、これら入金部3、出金部4、鑑別部10、一時保留部11、紙幣カセット12A〜12D及びリジェクト庫付き紙幣カセット13の各部を繋ぐ搬送路14が設けられている。搬送路14は、紙幣を短手方向に沿って搬送する。
【0045】
搬送路14は、複数のベルト搬送部及び後述するローラ搬送部20により構成される。ベルト搬送部は、互いに対向配置された一対のローラ間に掛け回され当該ローラ間を周回するテープが2組設けられ、この2組のテープにより紙幣を両面側から挟持して搬送する。
【0046】
ローラ搬送部20は、主に隣り合うベルト搬送部の間か、又は当該ローラ搬送部が互いに隣り合って設けられ、後述する押圧ローラ及び駆動ローラにより紙幣を挟持して搬送する。
【0047】
入金部3は、上面が開口する箱型の収納部3Bを有している。この収納部3Bの開口の一部が上述した投入口3Aとなる。この入金部3は、入金取引時に、投入口3Aから収納部3B内に投入された入金紙幣を1枚ずつ分離して紙幣処理装置1内に取り込んでいく。
【0048】
出金部4は、上面が開口する箱型の集積部4Bを有している。この集積部4Bの開口が上述した排出口4Aとなる。この出金部4は、出金取引時に、紙幣カセット12A〜12D等から搬送されてくる出金紙幣を集積部4Bに集積する。
【0049】
また出金部4には、排出口4Aを開閉するシャッタ(図示せず)が設けられている。このシャッタは、出金紙幣が集積部4Bに集積された後に開くようになっており、このシャッタが開くことで、行員が集積部4Bに集積されている出金紙幣を排出口4Aから取り出すことができるようになされている。
【0050】
これら入金部3及び出金部4は、下端部より上端部が前方に位置するよう前方に傾いた状態で固定されている。なおこれら入金部3及び出金部4については、このような固定式に限らず、例えば、前後方向の傾きを調整可能な可動式であってもよい。
【0051】
鑑別部10は、搬送路14を介して1枚ずつ搬送されてくる紙幣の金種、真偽、正損、走行状態等を鑑別する。この鑑別部10は、取り扱うことのできる正常紙幣か取り扱うことのできないリジェクト紙幣かをその鑑別結果に基づいて紙幣毎に判定する。
【0052】
一時保留部11は、入金部3から取り込まれ鑑別部10により正常紙幣と判定された紙幣を一時的に集積する。一時保留部11に集積された紙幣は、取引成立後に一時保留部11から繰り出されて鑑別部10に搬送され、鑑別部10により金種が特定された後、紙幣カセット12A〜12Dに搬送され収納される。
【0053】
紙幣カセット12A〜12Dは、それぞれ、紙幣を金種毎に収納可能な縦長の紙幣収納庫15A〜15Dを有し、搬送路14を介して搬送されてくる紙幣をこの紙幣収納庫15A〜15D内に上下方向に重ねて集積する。
【0054】
また紙幣カセット12A〜12Dは、紙幣を収納するだけでなく、紙幣収納庫15A〜15D内に集積されている紙幣を1枚ずつ搬送路14に繰り出すことができるようにもなされている。さらに紙幣カセット12A〜12Dは、それぞれ個別に紙幣処理装置1から着脱可能な着脱式となっている。
【0055】
リジェクト庫付き紙幣カセット13は、上側に紙幣収納庫13A、下側にリジェクト庫13Bを有している。このリジェクト庫付き紙幣カセット13も、紙幣処理装置1から着脱可能な着脱式となっている。
【0056】
このリジェクト庫付き紙幣カセット13では、例えば、紙幣回収時に紙幣カセット12A〜12Dから繰り出された紙幣を紙幣収納庫13Aに収納する。その後、行員がこのリジェクト庫付き紙幣カセット13を紙幣処理装置1から取り外すことで紙幣を回収するようになっている。
【0057】
また紙幣補充時には、紙幣収納庫13Aに補充紙幣を収納したリジェクト庫付き紙幣カセット13を、行員が紙幣処理装置1にセットする。その後、紙幣収納庫13Aに収納されている補充紙幣は、リジェクト庫付き紙幣カセット13から繰り出されて、鑑別部10を経由して紙幣カセット12A〜12Dに搬送され補充される。紙幣処理装置1では、このようにして紙幣の補充を行うようになっている。
【0058】
このように、リジェクト庫付き紙幣カセット13の紙幣収納庫13Aは、複数の用途に利用できるようになっている。
【0059】
またリジェクト庫付き紙幣カセット13のリジェクト庫13Bは、鑑別部10によってリジェクト紙幣と判定された紙幣を集積するようになっている。
【0060】
またこの紙幣処理装置1の筐体2内には、全体を制御する制御部(図示せず)が所定箇所に設けられている。
【0061】
かかる構成において紙幣処理装置1は、鑑別部10による紙幣の鑑別結果等をもとに制御部が各部を制御して、紙幣の入金処理及び出金処理を行う。
【0062】
すなわち紙幣処理装置1は、入金取引時、行員により操作部6を介して入金取引が選択され、さらに投入口3Aから入金部3に紙幣が投入されると、投入された紙幣を1枚ずつ鑑別部10に搬送する。
【0063】
ここで紙幣処理装置1は、鑑別部10により正常紙幣と判定された紙幣については一時保留部11に搬送して一時的に収納する。一方で紙幣処理装置1は、入金に適さない入金リジェクト紙幣と判定された紙幣については出金部4へ戻して、シャッタを開くことで行員に返却する。
【0064】
その後行員により入金金額が確定されると、紙幣処理装置1は一時保留部11に収納している紙幣を鑑別部10に搬送して金種を鑑別し、その金種に応じて、各紙幣カセット12A〜12Dへ搬送して保管する。
【0065】
一方出金取引時、紙幣処理装置1は、行員により操作部6を介し出金取引が選択され出金金額等が入力されると、要求金額に応じて必要な金種毎の紙幣枚数を認識し、この金種毎の紙幣枚数に応じて各紙幣カセット12A〜12Dから紙幣を1枚ずつ繰り出して、鑑別部10に搬送する。
【0066】
ここで紙幣処理装置1は、鑑別部10により正常紙幣と判定された紙幣については出金部4に搬送する一方で、出金に適さない出金リジェクト紙幣と判定された紙幣については一時保留部11に搬送して一時的に収納する。
【0067】
そして要求金額分の紙幣が出金部4へ集積されると、紙幣処理装置1は、シャッタを開ける。これにより出金部4内に集積されている紙幣の受け取りが可能な状態となり、行員がこの紙幣を受け取る。
【0068】
その後紙幣処理装置1は、一時保留部11に収納している出金リジェクト紙幣をリジェクト庫付き紙幣カセット13のリジェクト庫13Bへと搬送して保管する。
【0069】
このように紙幣処理装置1は、紙幣の入金処理及び出金処理を行うようになされている。
【0070】
[1−3.ローラ搬送部の構成]
図18乃至
図21との対応部分に同一符号を付した
図3乃至
図6に、第1の実施の形態によるローラ搬送部20を示す。
【0071】
図3はフレーム右側板19Rの右側から見たローラ搬送部20を、
図4はフレーム右側板19R、上側ガイド右側板44R及び下側ガイド右側板46Rを透過して右側から見たローラ搬送部20を示しており、
図4においてはフレーム右側板19R及び上側ガイド右側板44Rを仮想的に2点鎖線で示している。
【0072】
図5は上側ガイド前側板44F及び下側ガイド前側板46Fの前側から見たローラ搬送部20を、
図6は上側ガイド前側板44F及び下側ガイド前側板46Fを透過して前側から見たローラ搬送部20を示している。
【0073】
このローラ搬送部20は、複数の機構部品が組み合わされた上側搬送ユニット62がサブアセンブリ化されている。紙幣処理装置1を製造する際は、予め組み上げられた上側搬送ユニット62がフレーム19に嵌め込まれることにより、ローラ搬送部20が組み立てられる。
【0074】
図4に示すようにローラ搬送部20は、前側搬送部22と後側搬送部24とにより構成されている。前側搬送部22と後側搬送部24とは互いにほぼ同様に形成されているため、以下では主に前側搬送部22について説明する。
【0075】
ローラ搬送部20は、金属製の支点シャフト36を中心として、駆動ローラ26F、押圧ローラ30F及び押圧ローラレール34F等からなる前側搬送部22と、駆動ローラ26B、押圧ローラ30B及び押圧ローラレール34B等からなる後側搬送部24が前後対称(紙面上での左右対称)に配置されている。以下では、駆動ローラ26F及び26Bをまとめて駆動ローラ26と、押圧ローラ30F及び30Bをまとめて押圧ローラ30と、押圧ローラレール34F及び34Bをまとめて押圧ローラレール34とも呼ぶ。
【0076】
このローラ搬送部20は、上側搬送ガイド44及び下側搬送ガイド46によりそれぞれ上側及び下側をガイドされ紙幣が搬送される紙幣搬送路48が形成されている。
【0077】
紙幣搬送路48の上側には、板状でなり樹脂成形された透明な上側搬送ガイド44が設けられている。
【0078】
上側搬送ガイド44は、押圧ローラ30の下端部付近において前後左右に水平方向に沿って延設された上側ガイド底板44Dの左右端部が上方向に屈曲しそれぞれ上側ガイド左側板44L及び上側ガイド右側板44Rが形成されている。また上側ガイド底板44Dの前後端部は上方向に屈曲しそれぞれ上側ガイド前側板44F及び上側ガイド後側板44Bが形成されている。
【0079】
これにより上側搬送ガイド44は、上側ガイド底板44Dの上側において機構部品を配置する内部空間を有している。
【0080】
上側ガイド底板44Dにおいて押圧ローラ30と対向する位置には、開口(図示せず)が穿設されることにより、当該押圧ローラ30の下端部を上側ガイド底板44Dの下側に突出させる。
【0081】
一方紙幣搬送路48の下側には、板状でなり板金により形成され不透明な下側搬送ガイド46が設けられている。下側搬送ガイド46は、駆動ローラ26の上端部付近において上側ガイド底板44Dと平行に延設された下側ガイド天板46Uの前後左右端部が下方向に屈曲し、それぞれ下側ガイド前側板46F、下側ガイド後側板46B、下側ガイド右側板46R及び下側ガイド左側板46Lが形成されている。
【0082】
下側ガイド天板46Uにおいて駆動ローラ26と対向する位置には、開口(図示せず)が穿設されることにより、当該駆動ローラ26の上端部を下側ガイド天板46Uの上側に突出させる。
【0083】
ローラ搬送部20においては、このような上側搬送ガイド44と下側搬送ガイド46との隙間の空間で、搬送路14(
図2)の一部分であるベルト搬送部又はローラ搬送部から搬送された紙幣が前方から後方へ、又は後方から前方へ搬送される紙幣搬送路48を形成している。
【0084】
上側搬送ガイド44及び下側搬送ガイド46の左右方向の外側には、金属でなる板状のフレーム右側板19Rとフレーム左側板19Lとが鉛直方向に沿って延び筐体2(
図2)に固定されている。以下ではフレーム右側板19Rとフレーム左側板19Lとをまとめてフレーム19とも呼ぶ。
【0085】
上側搬送ガイド44及び下側搬送ガイド46は、その左右端部がフレーム19に保持されている。
【0086】
このようにローラ搬送部20は、上側搬送ガイド44、下側搬送ガイド46及びフレーム19によって紙幣搬送路48における紙幣の搬送範囲を規制している。
【0087】
前側搬送部22の下部分には、フレーム19に左右方向に沿って取り付けられた円筒形状でなる金属製の駆動ローラシャフト28Fを軸として、金属製の駆動ローラ26F(26FL及び26FR)が、
図4中時計回り及び反時計回りに回転自在に、紙幣の長辺方向の長さよりも短い間隔を空けて左右に並び2つ設けられている。
【0088】
それぞれの駆動ローラ26Fの上部には、当該駆動ローラ26Fと対向して金属製の押圧ローラ30F(30FL及び30FR)が設けられている。押圧ローラ30Fは、左右方向に延びる円筒形状でなる金属製の押圧シャフト32Fを軸として
図4中時計回り及び反時計回りに回転自在に、左右に並び2つ設けられている。このため押圧ローラ30Fと押圧シャフト32Fとは電気的に導通している。
【0089】
押圧ローラ30FRの右側及び押圧ローラ30FLの左側には、上方が開口するよう樹脂成形された透明な押圧ローラレール34F(34FR及び34FL)が上側搬送ガイド44と一体に設けられている。
【0090】
押圧ローラレール34Fの前後方向の開口幅は、押圧シャフト32Fの前後幅よりもやや大きく形成されている。これにより押圧ローラレール34Fは、押圧シャフト32Fを上下方向に摺動させる。
【0091】
このような前側搬送部22と同様に、後側搬送部24が支点シャフト36の後側に構成されている。
【0092】
支点シャフト36は円筒形状であり金属により形成されて左右方向に延び、右端部である支点シャフト右端部36Rと、左端部である支点シャフト左端部36Lとが、左右方向の中央部分である支点シャフト中央部36Cよりも細く形成されている。
【0093】
上側ガイド左側板44L及び上側ガイド右側板44Rには、支点シャフト36と対向する位置に、
図7に示す略瓢箪形のガイド孔部50が穿設されている。
【0094】
ガイド孔部50は、下部分に円形の差込孔部52が形成され、当該差込孔部52の上側に、差込孔部52よりも前後方向の幅がやや小さい嵌込孔部54が形成されている。この嵌込孔部54には、上端部に支点シャフト36の外周面とほぼ同じように湾曲する嵌込上端面54Uが、後端部に嵌込後端面54Bが、前端部に嵌込前端面54Fがそれぞれ形成されている。
【0095】
この嵌込孔部54の前後方向の幅は、支点シャフト36の支点シャフト左端部36L及び支点シャフト右端部36Rの外形よりも僅かに大きく形成されていることにより、当該支点シャフト36を内部に挿通し得るように構成されている。
【0096】
またフレーム19には、支点シャフト36と対向する位置に、
図8に示すL字型のフレーム孔部56が穿設されている。
【0097】
このフレーム孔部56は、フレーム19の上端から下方に向かって切り欠く縦長孔部58と、縦長孔部58の下端から後方向に向かってフレーム19を切り欠く横長孔部60とから構成されている。
【0098】
横長孔部60の上端である横長上端面60Uは、ガイド孔部50における嵌込孔部54の嵌込上端面54Uよりもやや下方に位置している。
【0099】
支点シャフト36は、支点シャフト左端部36L及び支点シャフト右端部36Rがガイド孔部50を挿通し、フレーム孔部56に差し込まれて固定されている。これにより支点シャフト36は、フレーム19と電気的に導通している。
【0100】
また支点シャフト36は、支点シャフト中央部36Cの右側面が、上側ガイド右側板44Rの左側面に当接しており、支点シャフト中央部36Cの左側面が、上側ガイド左側板44Lの右側面に当接している。
【0101】
これにより支点シャフト36は、上側搬送ガイド44に対する左右方向の位置ずれが規制されている。
【0102】
図4及び
図6に示すように支点シャフト36には、金属製のトーションバースプリングでなる押圧スプリング38における1本の金属棒の前後方向の中央部分である巻装部40が巻装されている。巻装部40からは、トーションバースプリングの一部分である前腕部41が前方向へ、後腕部42が後ろ方向へそれぞれ延びている。
【0103】
押圧スプリング38は、前腕部41の前端部及び後腕部42の後端部が自然状態よりも上方向に位置する状態で、押圧シャフト32Fの上端と、押圧シャフト32Bの上端とにそれぞれ当接し電気的に導通している。
【0104】
このため押圧スプリング38においては、自然状態に戻ろうとする反発力により、前腕部41は押圧シャフト32Fに対し下方向の付勢力である押圧力を加えると共に、後腕部42は押圧シャフト32Bに対し下方向の付勢力である押圧力を加える。
【0105】
これにより押圧スプリング38は、押圧シャフト32F及び32Bにそれぞれ支持された押圧ローラ30F及び30Bに対し下方向の押圧力を加え、当該押圧ローラ30F及び30Bの外周面を駆動ローラ26F及び26Bの外周面に押し付ける。
【0106】
この状態において押圧シャフト32は、押圧ローラレール34において当該押圧シャフト32の下方向への移動を規制するレール下端面34Dに接触しておらず、当該レール下端面34Dよりもやや上方に位置している。
【0107】
ローラ搬送部20においては、下向きの押圧力に応じた上向きの反力が、押圧スプリング38を介し支点シャフト36に加わる。
【0108】
このため支点シャフト36は、フレーム孔部56の横長上端面60Uに押し付けられることによりフレーム19に直接接触し、電気的に導通する。
【0109】
押圧ローラ30(30F及び30B)は、駆動ローラ26(26F及び26B)に押し付けられているため、当該駆動ローラ26の回転に合わせて共に回転する。
【0110】
このようにローラ搬送部20においては、押圧スプリング38により、押圧ローラ30F及び30Bを付勢し、搬送される紙幣の前部分と後ろ部分とを、それぞれ前方に配された押圧ローラ30F及び駆動ローラ26Fと、後方に配された押圧ローラ30B及び駆動ローラ26Bとにより挟持するようになされている。
【0111】
すなわちローラ搬送部20は、例えば
図4中後側から搬送されてきた紙幣を上側搬送ガイド44及び下側搬送ガイド46により折れ曲がり等を防ぎながら、回転する押圧ローラ30及び駆動ローラ26により挟持して図中前側へ搬送する。
【0112】
ローラ搬送部20においては、上側搬送ガイド44が透明な部材により構成されているため、作業者は、上側からローラ搬送部20を目視するだけで、紙幣搬送路48を搬送される紙幣の様子を容易に確認し、紙幣が詰まった場合当該紙幣を迅速に発見することができる。
【0113】
[1−4.ローラ搬送部の組立]
図9乃至
図12に、第1の実施の形態による上側搬送ユニット62を示す。
図9は上側ガイド右側板44Rの右側から見た上側搬送ユニット62を、
図10は上側ガイド右側板44Rを透過して右側から見た上側搬送ユニット62を示しており、
図10において上側ガイド右側板44Rを仮想的に2点鎖線で示している。
【0114】
図11は上側ガイド前側板44Fの前側から見た上側搬送ユニット62を、
図12は上側ガイド前側板44Fを透過して前側から見た上側搬送ユニット62を示している。
【0115】
ローラ搬送部20は、上側搬送ユニット62がサブアセンブリ化されており、紙幣処理装置1が製造される際は、予め組み上げられた当該上側搬送ユニット62がフレーム19に嵌め込まれることにより、ローラ搬送部20が組み立てられる。
【0116】
このような上側搬送ユニット62を組み立てる際、作業者はまず、押圧ローラ30に挿通した押圧シャフト32の左右端部を上側搬送ガイド44の押圧ローラレール34に嵌め込むことにより、押圧ローラ30及び押圧シャフト32を上側搬送ガイド44に取り付ける。
【0117】
続いて作業者は、上側ガイド右側板44R又は上側ガイド左側板44Lのいずれかの外側から、支点シャフト36をガイド孔部50の差込孔部52に差し込み、押圧スプリング38の巻装部40に支点シャフト36を挿通させる。
【0118】
さらに作業者は、押圧スプリング38の前腕部41及び後腕部42をそれぞれ押圧シャフト32F及び32Bの上側に当接させつつ、支点シャフト左端部36L及び支点シャフト右端部36Rをガイド孔部50に嵌め込むことにより、支点シャフト36及び押圧スプリング38を上側搬送ガイド44に取り付ける。
【0119】
このとき支点シャフト36は、押圧スプリング38からの反力により上端部がガイド孔部50における嵌込孔部54の嵌込上端面54Uに当接するよう押し付けられると共に、前端部が嵌込前端面54Fに、後端部が嵌込後端面54Bにそれぞれ当接することにより、移動が規制される。以上の工程により上側搬送ユニット62が1つのサブアセンブリとして組み立てられる。
【0120】
この状態において支点シャフト36は、上側搬送ガイド44に対する上下方向の位置が、ローラ搬送部20として組み上がった状態よりも上側に位置している。また押圧ローラ30は、押圧スプリング38からの押圧力により、押圧ローラレール34のレール下端面34Dに押し付けられている。
【0121】
このため押圧スプリング38からの反力がローラ搬送部20として組み上がった状態よりもやや弱くなるものの、支点シャフト36は押圧スプリング38からの反力により付勢され、上側搬送ガイド44から外れないようになっている。これにより上側搬送ユニット62をサブアセンブリ化することができる。
【0122】
続いて作業者は、ローラ搬送部20を組み立てる。作業者はまず、駆動ローラ26に挿通した駆動ローラシャフト28の左右端部を、フレーム19に穿設された図示しない孔部に差し込む。
【0123】
続いて作業者は、フレーム19に穿設された図示しない孔部に下側搬送ガイド46を上から嵌め込むことにより、フレーム19に下側搬送ガイド46を固定する。
【0124】
続いて作業者は、サブアセンブリ化された上側搬送ユニット62をフレーム19に取り付ける。具体的には作業者は、上側ガイド右側板44R及び上側ガイド左側板44Lから外部に突出している支点シャフト36を、フレーム孔部56の縦長孔部58から
図8中の矢印に沿って下方向に差し込んだ後に、横長孔部60に沿って後方向に移動させる。
【0125】
このときフレーム19においてフレーム孔部56と共に設けられた所定の孔部に、上側搬送ガイド44の所定の突起が嵌め込まれることにより、上側搬送ユニット62がフレーム19に位置決めされる。以上の工程によりローラ搬送部20が組み立てられる。
【0126】
ローラ搬送部20においては、フレーム孔部56の横長上端面60Uが、ガイド孔部50の嵌込上端面54Uよりもやや下側に位置している。
【0127】
このため支点シャフト36は、押圧スプリング38からの反力により上端部が横長孔部60の横長上端面60Uに当接するよう押し付けられる。
【0128】
また支点シャフト36は、フレーム19に組み込まれていない上側搬送ユニット62単体の状態よりも押圧スプリング38が圧縮され、さらに大きな反力が加わる。これにより支点シャフト36は、上側搬送ガイド44単体の状態よりも強く上方向に付勢され、フレーム19に接触する。
【0129】
また支点シャフト36は、左端部がガイド孔部50における嵌込孔部54の嵌込前端面54Fに、後端部が嵌込後端面54Bにそれぞれ当接することにより移動が規制される。
【0130】
このようにローラ搬送部20は、押圧スプリング38から支点シャフト36に反力を加え、当該支点シャフト36をフレーム孔部56に差し込むことにより、直接フレーム19に接触させ、電気的に導通させることができる。
【0131】
これによりローラ搬送部20は、金属製でなる押圧シャフト32に押圧スプリング38を接触させ、当該押圧スプリング38に支点シャフト36を接触させ、さらに当該支点シャフト36をフレーム19に接触させることにより、金属製でなるこれら押圧シャフト32、押圧スプリング38及び支点シャフト36を、フレーム19に電気的に導通させることができる。
【0132】
[1−5.動作及び効果]
以上の構成においてローラ搬送部20は、ガイド孔部50の嵌込孔部54に支点シャフト36を嵌め込むことにより、上側搬送ガイド44に対する支点シャフト36の前後方向の位置決めを行うと共に、押圧スプリング38の反力を利用して支点シャフト36をガイド孔部50の嵌込上端面54Uに押し付けることにより、上側搬送ガイド44に対する支点シャフト36の上方向の位置決めを行うようにした。
【0133】
これにより、上側搬送ガイド44内部の機構部品が当該上側搬送ガイド44に固定され、上側搬送ユニット62を1つのサブアセンブリとして構成できるため、ローラ搬送部20を組み立てる際、既に組み上がっている上側搬送ユニット62をフレーム19に組み付けるだけでローラ搬送部20を組み立てることができ、組み立てを容易にすることができる。
【0134】
ここで、上側搬送ユニット62を組み立てる際、仮に支点シャフト36が上側搬送ガイド44に対し所定位置で所定方向に押し付けられつつ接触していないと、上側搬送ガイド44内部の構成部材を当該上側搬送ガイド44に固定できないため、上側搬送ユニット62をサブアセンブリ化することができない。
【0135】
これに対し上側搬送ユニット62においては、押圧スプリング38の反力を利用して、当該反力の方向に沿って支点シャフト36を上側搬送ガイド44に押し付けることにより、上側搬送ガイド44に対し支点シャフト36の上下方向の位置を位置決めして固定すると共に、嵌込孔部54に支点シャフト36を嵌め込むことにより当該支点シャフト36の前後方向の位置を位置決めするようにしたため、上側搬送ユニット62をサブアセンブリ化することができる。
【0136】
またローラ搬送部20は、上側搬送ユニット62をフレーム19に取り付け、押圧スプリング38の反力を利用して支点シャフト36をフレーム孔部56の横長上端面60Uに押し付けることにより、フレーム19に対し支点シャフト36を直接接触させ、導通させるようにした。
【0137】
これによりローラ搬送部20は、上側搬送ユニット62をサブアセンブリ化しローラ搬送部20の組立効率を向上させると共に、支点シャフト36をフレーム19に接触させることにより、金属部品である押圧ローラ30、押圧シャフト32、押圧スプリング38をフレーム19に導通させ、上側搬送ガイド44内部の機構部品における静電気の発生を簡易な構成で防止することができる。
【0138】
またローラ搬送部20は、従来のローラ搬送部220と比較して外側板金16、内側板金17を省略できるため、静電気対策で繋げる必要がある導通部品を削減でき、ローラ搬送部20の軽量化、コストダウンを行うことができる。
【0139】
またローラ搬送部20においては、上側搬送ガイド44を樹脂成形で透明に形成することにより外部から内部を視認できるようにした。しかしながらその場合、上側搬送ガイド44は絶縁体であるため、上側搬送ガイド44内部の機構部品を、当該上側搬送ガイド44を介してフレーム19に導通させることができない。
【0140】
このため、上側搬送ガイド44内部の機構部品をフレーム19に導通させる構成が複雑になってしまう可能性があった。
【0141】
これに対しローラ搬送部20においては、押圧スプリング38の反力を利用して支点シャフト36をフレーム19に接触させることにより、簡易な構成で上側搬送ガイド44内部の機構部品をフレーム19に導通させることができる。
【0142】
また仮に、樹脂成形の際導電材料を混ぜることにより上側搬送ガイドに導電性を持たせた場合、上側搬送ガイド内部の部品を当該上側搬送ガイドを介してフレームに導通させることは可能になる。
【0143】
しかしながらその場合、上側搬送ガイドが透明でなくなり紙幣搬送路48の視認性が低下してしまう。これに対しローラ搬送部20は、紙幣搬送路48の視認性を保ちつつ、上側搬送ガイド44内部の機構部品をフレーム19に導通させることができる。
【0144】
以上の構成によれば、紙幣処理装置1における媒体搬送装置としてのローラ搬送部20は、紙幣が面方向に沿って搬送される紙幣搬送路48の1側面を形成し、内部空間を有する非導電性の上側搬送ガイド44と、上側搬送ガイド44を保持する導電性のフレーム19と、上側搬送ガイド44の内部空間に設けられ、紙幣搬送路48を挟んで対向する駆動ローラ26との間に紙幣を挟持して回転することにより紙幣を搬送する押圧ローラ30と、押圧ローラ30を駆動ローラ26に向けて付勢する押圧力を加える押圧スプリング38と、長手方向の両端部近傍である支点シャフト左端部36L及び支点シャフト右端部36Rにおいて当該長手方向及び押圧力方向に略直交する方向の位置が上側搬送ガイド44により位置決めされ、長手方向の中央部近傍である支点シャフト中央部36Cにおいて押圧スプリング38を支持し、押圧力に応じて紙幣搬送路48から離隔する方向へ発生する反力を受けることによりフレーム19の支点シャフト当接部としての横長上端面60Uに当接する導電性の支点シャフト36とを設けるようにした。
【0145】
これによりローラ搬送部20は、上側搬送ユニット62をサブアセンブリ化しつつ、当該上側搬送ユニット62内部の部品を外部のフレーム19に導通させることができる。
【0146】
[2.第2の実施の形態]
[2−1.ローラ搬送部の構成]
第2の実施の形態による紙幣処理装置1は、
図3乃至
図6との対応部分に同一符号を付した
図13乃至
図16に示すように、第1の実施の形態による紙幣処理装置1と比べて、ローラ搬送部120がローラ搬送部20と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
【0147】
また第2の実施の形態によるローラ搬送部120は、フレーム119が第1の実施の形態によるフレーム19と異なっている。
【0148】
フレーム119は、上側搬送ガイド144及び下側搬送ガイド46の左右方向の外側において鉛直方向に沿って延びるフレーム左側板119L及びフレーム右側板119Rに加えて、当該フレーム左側板119L及びフレーム右側板119Rの上端部を水平方向に沿って繋げ、上側搬送ガイド144を上側から覆うフレーム天板119Uが設けられている。
【0149】
またフレーム天板119Uの下面において支点シャフト136と対向する箇所には、下方向に突出する直方体形状の位置規制部70が形成され、当該支点シャフト136における支点シャフト中央部136Cの左右方向の端部近傍に当接している。
【0150】
また支点シャフト136は、支点シャフト36(
図6)よりも左右方向の長さが短く形成されていることにより、当該支点シャフト136における支点シャフト左端部136L及び支点シャフト右端部136Rは上側搬送ガイド144に穿設されたガイド孔部50に嵌め込まれているものの、フレーム119には接触していない。またフレーム19と異なり、フレーム119にはフレーム孔部56は穿設されていない。
【0151】
[2−2.ローラ搬送部の組立]
このローラ搬送部120は、上側搬送ユニット62同様に上側搬送ユニット162がサブアセンブリ化されており、紙幣処理装置1が製造される際は、予め組み上げられた当該上側搬送ユニット162がフレーム119に嵌め込まれることにより、ローラ搬送部120が組み立てられる。
【0152】
このような上側搬送ユニット162を組み立てる際、作業者は、上述した上側搬送ユニット62と同様の工程を行い、上側搬送ユニット162を1つのサブアセンブリとして組み上げる。
【0153】
上側搬送ユニット162単体の状態において支点シャフト136は、上側搬送ガイド44に対する上下方向の位置が、ローラ搬送部120として組み上がった状態よりも上側に位置している。また押圧ローラ30は、押圧スプリング38からの押圧力により、押圧ローラレール34のレール下端面34Dに押し付けられている。
【0154】
このため押圧スプリング38からの反力がローラ搬送部120として組み上がった状態よりもやや弱くなるものの、支点シャフト136は押圧スプリング38からの反力により付勢され、上側搬送ガイド144から外れないようになっている。これにより上側搬送ユニット162をサブアセンブリ化することができる。
【0155】
続いて作業者は、ローラ搬送部120を組み立てる。作業者はまず上述したローラ搬送部20と同様の工程を行い、駆動ローラ26、駆動ローラシャフト28及び下側搬送ガイド46をフレーム119に組み付ける。
【0156】
続いて作業者は、サブアセンブリ化された上側搬送ユニット162をフレーム119に取り付ける。具体的には作業者は、支点シャフト136を位置規制部70の下端面である位置規制下端面70Dの下方に位置させ、フレーム19に設けられた所定の孔部に、上側搬送ガイド144の所定の突起を嵌め込む。これにより上側搬送ユニット162がフレーム119に位置決めされる。以上の工程によりローラ搬送部20が組み立てられる。
【0157】
図17に示すように、ローラ搬送部120においては、位置規制下端面70Dが、ガイド孔部50の嵌込上端面54Uよりもやや下側に位置している。
【0158】
このため支点シャフト136は、押圧スプリング38からの反力により上端部が位置規制部70の位置規制下端面70Dに当接するよう押し付けられる。
【0159】
また支点シャフト136は、フレーム119に組み込まれていない上側搬送ユニット162単体の状態よりも押圧スプリング38が圧縮され、さらに大きな反力が加わる。これにより支点シャフト136は、上側搬送ガイド144単体の状態よりも強く上方向に付勢され、フレーム119に接触する。
【0160】
また支点シャフト136は、左端部がガイド孔部50における嵌込孔部54の嵌込前端面54Fに、後端部が嵌込後端面54Bにそれぞれ当接することにより移動が規制される。
【0161】
このようにローラ搬送部120は、押圧スプリング38から支点シャフト136に反力を加え、当該支点シャフト136を位置規制下端面70Dの下方に当接させることにより、直接フレーム119に接触させ、電気的に導通させることができる。
【0162】
これによりローラ搬送部120は、金属製でなる押圧シャフト32に押圧スプリング38を接触させ、当該押圧スプリング38に支点シャフト136を接触させ、さらに当該支点シャフト136をフレーム119に接触させることにより、金属製でなるこれら押圧シャフト32、押圧スプリング38及び支点シャフト136を、フレーム119に電気的に導通させることができる。
【0163】
このように、ローラ搬送部20(
図4)においてはフレーム孔部56に支点シャフト36を差し込むことにより当該支点シャフト36をフレーム19に接触させたが、ローラ搬送部120においては、フレーム119の位置規制部70に支点シャフト136を下から上に向かって押圧するようにした。
【0164】
これによりローラ搬送部120は、上側搬送ユニット162をサブアセンブリ化しローラ搬送部120の組立効率を向上させると共に、支点シャフト136をフレーム119に接触させることにより、金属部品である押圧ローラ30、押圧シャフト32、押圧スプリング38をフレーム119に導通させ、上側搬送ガイド144内部の機構部品における静電気の発生を簡易な構成で防止することができる。
【0165】
以上の構成によれば、紙幣処理装置1における媒体搬送装置としてのローラ搬送部120は、紙幣が面方向に沿って搬送される紙幣搬送路48の1側面を形成し、内部空間を有する非導電性の上側搬送ガイド144と、上側搬送ガイド144を保持する導電性のフレーム119と、上側搬送ガイド144の内部空間に設けられ、紙幣搬送路48を挟んで対向する駆動ローラ26との間に紙幣を挟持して回転することにより紙幣を搬送する押圧ローラ30と、押圧ローラ30を駆動ローラ26に向けて付勢する押圧力を加える押圧スプリング38と、長手方向の両端部近傍である支点シャフト左端部136L及び支点シャフト右端部136Rにおいて当該長手方向及び押圧力方向に略直交する方向の位置が上側搬送ガイド144により位置決めされ、長手方向の中央部近傍である支点シャフト中央部136Cにおいて押圧スプリング38を支持し、押圧力に応じて紙幣搬送路48から離隔する方向へ発生する反力を受けることによりフレーム119の支点シャフト当接部としての位置規制下端面70Dに当接する導電性の支点シャフト136とを設けるようにした。
【0166】
これによりローラ搬送部120は、上側搬送ユニット162をサブアセンブリ化しつつ、当該上側搬送ユニット162内部の部品を外部のフレーム119に導通させることができる。
【0167】
[3.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、上側搬送ガイド44を透明に形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば半透明に形成しても良く、要は外部から内部を透過して視認可能に形成されていれば良い。
【0168】
また上述した上述の形態においては、上側搬送ガイド44を透明に形成し、下側搬送ガイド46は不透明で強度が高い板金により形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、下側搬送ガイド46を透明に形成しても良い。
【0169】
さらに上述した実施の形態においては、前側搬送部22と、後側搬送部24との前後2組の搬送部によりローラ搬送部20を構成する場合について述べた。
【0170】
本発明はこれに限らず、前側搬送部22又は後側搬送部24のいずれか一方の搬送部のみによりローラ搬送部20を構成しても良い。
【0171】
さらに上述した実施の形態においては、トーションバースプリングである押圧スプリング38により押圧ローラ30を付勢する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば板ばね等、種々の機構を用いて押圧ローラ30を付勢しても良い。
【0172】
さらに上述した実施の形態においては、ガイド孔部50を略瓢箪形とする場合について述べた。本発明はこれに限らず、支点シャフト36を挿通させると共に嵌込上端面54Uに当接させることができる種々の形状であって良い。
【0173】
さらに上述した実施の形態においては、下方向に発生する押圧力に応じて押圧スプリング38に発生する上方向の反力の方向に沿って、支点シャフト36をフレーム19に接触させる場合について述べた。
【0174】
本発明はこれに限らず、下方向から前後又は左右方向に傾いた方向に沿う押圧力を押圧スプリング38から押圧シャフト32に加え、当該押圧力に応じて発生し、上方向から前後又は左右方向に傾いた反力に沿って、支点シャフト36をフレーム19に接触させても良い。
【0175】
また、上方向の反力の方向に沿う反力の方向を所定の部材により変換し、上方向から前後又は左右方向に傾いて支点シャフト36をフレーム19に接触させてもよい。
【0176】
要は、押圧ローラ30を押圧する押圧力に応じて押圧スプリング38に発生する反力により支点シャフト36を付勢して、上側搬送ガイド44を保持するフレーム19に接触させることにより、押圧ローラ30、押圧シャフト32、押圧スプリング38及び支点シャフト36をフレーム19に導通させれば良い。
【0177】
さらに上述した実施の形態においては、押圧ローラ30を金属により構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ゴム等により構成しても良い。
【0178】
さらに上述した実施の形態においては、押圧ローラ30、押圧シャフト32、押圧スプリング38及び支点シャフト36を、金属により構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば表面を導電製の材料によりメッキした絶縁体により構成しても良い。要は、互いに表面が接触することにより、電気的に導通すれば良い。
【0179】
さらに上述した実施の形態においては、現金を処理する紙幣処理装置1のローラ搬送部20において紙幣を搬送する際に本発明を適用する場合について述べた。
【0180】
本発明はこれに限らず、例えば現金等の媒体を投入して所望の取引を行う現金自動預払機において媒体を搬送する際に適用して良い。
【0181】
さらに上述した実施の形態においては、媒体として紙幣について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば商品券や金券、入場券等のような薄い紙状の媒体であれば良い。
【0182】
さらに上述した実施の形態においては、搬送ガイドとしての上側搬送ガイド44と、フレームとしてのフレーム19と、押圧ローラと押圧ローラ30と、押圧ローラ付勢部としての押圧スプリング38と、支点シャフトとしての支点シャフト36とによって媒体搬送装置としてのローラ搬送部20を構成する場合について述べた。
【0183】
本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる搬送ガイドと、フレームと、押圧ローラと、押圧ローラ付勢部と、支点シャフトとによって媒体搬送装置を構成しても良い。
【0184】
さらに上述した実施の形態においては、操作部としての操作部6と、搬送路としての紙幣搬送路48と、搬送ガイドとしての上側搬送ガイド44と、フレームとしてのフレーム19と、押圧ローラと押圧ローラ30と、押圧ローラ付勢部としての押圧スプリング38と、支点シャフトとしての支点シャフト36とによって媒体処理装置としての紙幣処理装置を構成する場合について述べた。
【0185】
本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる操作部と、搬送路と、搬送ガイドと、フレームと、押圧ローラと、押圧ローラ付勢部と、支点シャフトとによって媒体処理装置を構成しても良い。