(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011314
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】シート排出装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/06 20060101AFI20161006BHJP
B65H 31/26 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
B65H31/06
B65H31/26
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-276825(P2012-276825)
(22)【出願日】2012年12月19日
(65)【公開番号】特開2014-118298(P2014-118298A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年7月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】特許業務法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100090446
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 司朗
(74)【代理人】
【識別番号】100125597
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 国人
(74)【代理人】
【識別番号】100146798
【弁理士】
【氏名又は名称】川畑 孝二
(74)【代理人】
【識別番号】100121027
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100175411
【弁理士】
【氏名又は名称】土田 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100174861
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 安洋
(74)【代理人】
【識別番号】100148194
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義周
(72)【発明者】
【氏名】秦 政輝
(72)【発明者】
【氏名】小山 清光
(72)【発明者】
【氏名】秋山 修
(72)【発明者】
【氏名】水野 浩
(72)【発明者】
【氏名】供田 泰明
(72)【発明者】
【氏名】野々山 直己
【審査官】
松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−002769(JP,A)
【文献】
特開2000−118838(JP,A)
【文献】
実開昭60−023163(JP,U)
【文献】
特開平03−205257(JP,A)
【文献】
特開平10−053368(JP,A)
【文献】
特開平07−267459(JP,A)
【文献】
特開平03−132814(JP,A)
【文献】
実開昭59−173655(JP,U)
【文献】
特開2007−153454(JP,A)
【文献】
実開平4−24559(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00−31/40
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを鉛直方向上方へ排出する排出ローラーと、
前記排出ローラーによるシートの排出方向前方にガイド面を有し、シートを前記排出方向に対し斜めとなる方向へ案内する通紙ガイドと、
シートの排紙経路を挟んで前記通紙ガイドと反対側に配設されており、前記通紙ガイドにて斜行案内されてくるシートを下方から支持案内する排紙ガイドと、
前記排紙経路と連通し、排出方向におけるシート後端側を収納するストッカーと、
前記排出ローラーを通過したシート後端を前記ストッカーへ誘導する誘導手段と、
シートを前記排出ローラーに向かって導くシート搬送経路と、を備え、
シート後端が当接する前記ストッカーの底面から、シートを下方から支持する前記排紙ガイドの支持端までの距離が、シートの排出方向における長さよりも短く、
前記排紙ガイドの支持端と前記ストッカーの底面とが何れも前記通紙ガイドのガイド面の延長面よりも下方に位置しており、
前記通紙ガイドのガイド面は、前記ストッカーに収納されているシートに当接することによって、当該シートの湾曲を規制し、
前記ストッカーは、前記排出ローラーを通過した後、前記シート搬送経路に並行して落下した前記シート後端を受ける位置に前記底面が配されている
ことを特徴とするシート排出装置。
【請求項2】
前記排出ローラーは前記誘導手段を兼ねており、
回転摩擦力によってシートの後端を前記ストッカーへ誘導する
ことを特徴とする請求項1に記載のシート排出装置。
【請求項3】
前記ストッカーに収納されているシートが、前記排紙ガイドに支持されることにより当該排紙ガイドから突出しているシート部分が自重により排紙ガイドを支点にして湾曲し、上方から視認可能になっている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート排出装置。
【請求項4】
前記ストッカーの底面を鉛直方向に移動させる移動手段を備える
ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のシート排出装置。
【請求項5】
前記移動手段は、排出方向におけるシートの長さが短いほど高くなるように前記ストッカーの底面を移動させる
ことを特徴とする請求項4に記載のシート排出装置。
【請求項6】
前記ストッカーの底面にシート後端が当接しているシートが前記排出ローラーに接触するのを防止する防止部材を備える
ことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のシート排出装置。
【請求項7】
前記排出ローラーによって排出されたシートの後端の移動を防止する防止手段を備え、
前記排出ローラーはローラー対になっており、
前記規制手段は、前記ローラー対を構成するローラーのうち、前記ストッカーの底面から遠い方のローラー側へ前記後端が移動するのを防止する
ことを特徴とする請求項1から6の何れかに記載のシート排出装置。
【請求項8】
請求項1から7の何れかに記載のシート排出装置を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
ユーザーに対して情報表示を行う表示手段を備えており、
前記シート排出装置は、前記表示手段に正対するユーザーに向かってシートを排出するように、前記通紙ガイドのガイド面が傾斜している
ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート排出装置及び画像形成装置に関し、特に、装置の大型化を招くことなく、かつ、ユーザーが取り易いように記録シートを排出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置の設置面積を削減するための技術開発が盛んになされている。このために、記録シートに画像を形成する画像形成部の小型化だけでなく、画像形成した記録シートを排出して保持するシート排出装置の省スペース化も検討されている。
例えば、
図6に示されるように、縦型シート排出トレイ600においては、前面排出ローラー601fと後面排出ローラー601rとからなる排出ローラー装置601によって排出された記録シートを載置する後面支持部材602の傾斜がきつくなっている。このような縦型シート排出トレイ6を採用すれば、記録シートを水平に載置する場合よりも画像形成装置6の設置面積を小さくすることができる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−002769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、縦型シート排出トレイ600においては、後面支持部材602の斜面上に記録シートが載置されるので、記録シートが後面支持部材602に密着してしまい、記録シートを取り出すためには後面支持部材602から引き剥がさなければならない。このため、ユーザーにとって取扱い難い。
また、排出された記録シートの後端は前面排出ローラー601fによって底部材603上へ誘導され、前面支持部材604の内壁に当接して停止する。このため、縦型シート排出トレイ600上で記録シートが自重によって曲がってしまい、好ましくない曲り癖がつくおそれがある。後面支持部材602の傾斜をきつくするほど記録シートの自重によって記録シートが曲り易くなるので、後面支持部材602の傾斜をきつくして画像形成装置6の設置面積を縮小するのには限界がある。
【0005】
更に、この状態で排出ローラー装置601が次の記録シートを排出すると、次の記録シートは前の記録シートのほぼ全面に亘って摩擦接触する。このため、前の記録シートが上方へずれる等してしまい、縦型シート排出トレイ600上で記録シートが揃わず、乱雑に蓄積される。
本発明は、上述のような問題に鑑みて為されたものであって、装置の大型化を招くことなく、かつ、記録シートを取り出し易い状態で揃えることができるシート排出装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るシート排出装置は、シートを鉛直方向上方へ排出する排出ローラーと、前記排出ローラーによるシートの排出方向前方にガイド面を有し、シートを前記排出方向に対し斜めとなる方向へ案内する通紙ガイドと、シートの排紙経路を挟んで前記通紙ガイドと反対側に配設されており、前記通紙ガイドにて斜行案内されてくるシートを下方から支持案内する排紙ガイドと、前記排紙経路と連通し、
排出方向におけるシート後端側を収納するストッカーと、前記排出ローラーを通過した
シート後端を前記ストッカーへ誘導する誘導手段と、
シートを前記排出ローラーに向かって導くシート搬送経路と、を備え、
シート後端が当接する前記ストッカーの底面から、シートを下方から支持する前記排紙ガイドの支持端までの距離が、シートの排出方向における長さよりも短く、前記排紙ガイドの支持端と前記ストッカーの底面とが何れも前記通紙ガイドのガイド面の延長面よりも下方に位置しており、前記通紙ガイドのガイド面は、前記ストッカーに収納されているシートに当接することによって、当該シートの湾曲を規制
し、前記ストッカーは、前記排出ローラーを通過した後、前記シート搬送経路に並行して落下した前記シート後端を受ける位置に前記底面が配されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このようにすれば、シートを鉛直方向上方へ排出するので、水平方向に突出する排紙トレイが不要になり、画像形成装置の大型化を回避することができる。また、シートの後端を収容するストッカーの底面から、シートの先端付近を指示する排紙ガイドの上端部までの距離が、シートの後端から先端までの長さよりも短く、シートの先端が排紙ガイドの上端を超えて突出するので、シートが取り出し易い。
【0008】
更に、シートの後端を収容するストッカーの底面が排出ローラーよりも低い位置にあるので、排出ローラーから排出されるシートが、既にストッカーに収容されているシートと擦れ合う摩擦距離が短くなる。したがって、シートどうしの摩擦による排紙挙動の不安定化を防止して、排出されたシートを揃えることができる。
この場合において、前記排出ローラーは前記誘導手段を兼ねており、回転摩擦力によってシートの後端を前記ストッカーへ誘導すれば、シート排出装置を構成する部品点数を抑制することができる。従って、コスト面で有利である。
【0009】
また、前記ストッカーに収納されているシートが、前記排紙ガイドに支持されることにより当該排紙ガイドから突出しているシート部分が自重により排紙ガイドを支点にして湾曲し、上方から視認可能になっていれば、画像形成したシートの印刷内容がユーザーから見易くなって便利である。
また、前記ストッカーの底面を鉛直方向に移動させる移動手段を備えても良く、更に、前記移動手段が、排出方向におけるシートの長さが短いほど高くなるように前記ストッカーの底面を移動させれば、シートのサイズに関わらず、ユーザーの視認性や操作性を向上させることができる。
また、前記ストッカーの底面にシート後端が当接しているシートが前記排出ローラーに接触するのを防止する防止部材を備えてもよい。
また、前記排出ローラーによって排出されたシートの後端の移動を防止する防止手段を備え、前記排出ローラーはローラー対になっており、前記規制手段は、前記ローラー対を構成するローラーのうち、前記ストッカーの底面から遠い方のローラー側へ前記後端が移動するのを防止してもよい。
【0010】
また、本発明に係る画像形成装置は、本発明に係るシート排出装置を備えることを特徴とする。このようにすれば、上記のような効果を奏することができる。更に、ユーザーに対して情報表示を行う表示手段を備えており、前記シート排出装置は、前記表示手段に正対するユーザーに向かってシートを排出するように、前記通紙ガイドのガイド面が傾斜していれば、ユーザーは前記表示手段に正対した姿勢を維持したまま、排出されるシートを視認することができるので、画像形成装置の操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の外観斜視図である。
【
図3】シート排出装置206の構成を示す断面図である。
【
図4】シート排出装置206のシート排出動作を(a)から(c)の順に示す断面図である。
【
図5】シート排出装置206のシート排出動作を
図4に引き続いて(a)から(c)の順に示す断面図である。
【
図6】従来技術に係る縦型シート排出トレイの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るシート排出装置及び画像形成装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[1]画像形成装置の構成
まず、本実施の形態に係る画像形成装置の構成について説明する。
図1に示されるように、本実施の形態に係る画像形成装置1は、底板100上に筐体101を固定設置してなり、筐体101の上側部分に情報端末として機能するタッチパネル付液晶ディスプレイ装置(LCD: Liquid Crystal Display)110を備えている。また、当該LCD110の直下には画像を形成した記録シートを排出するためのシート排出口120が設けられている。シート排出口120は鉛直方向上方に開口しており、LCD100に正対直立してタッチパネル入力を行うユーザーに向かって斜め上方に記録シートを排出する。
【0013】
このように、LCD100の直下の位置にシート排出口120を設ければ、排出される記録シートが視認し易くなるので、記録シートの取り忘れを防止することができる。また、画像形成装置1の低い位置に排出口を設けると記録シートを取るためにユーザーは屈まなければならないが、本実施の形態によれば、屈むことなく記録シートを取ることができる。
【0014】
また、後述のように、記録シートはユーザーに取られるまでは一部をシート排紙口120から突出させた状態で保持されるので、ユーザーにとって記憶シートを取り易くなっており、かつ、記録シートの視認性を高めることもできる。更に、記録シートを水平方向に排出する場合には水平方向に突出する排紙トレイを設ける必要があるが、本実施の形態においてはそのような排紙トレイを設ける必要がないので、画像形成装置1の大型化を招かない。
【0015】
また、排紙トレイ上ではなく、シート排出口120から空中に記録シートを突出させるので、画像形成装置1に正対するユーザー以外の者、例えば、画像形成装置1の管理者が離れた所から見た場合においても、記録シートの取り忘れを見つけ易くなる。
画像形成装置1の筐体101内には、
図2に示されるように、画像形成ユニット200、電源装置210及びパーソナル・コンピューター(PC: Personal Computer)220が収容されている。画像形成ユニット200は、所謂中間転写方式のタンデム型カラー画像形成装置である。電源装置210は、商用電源などの外部電源から電力供給を受けて、LCD110、画像形成ユニット200及びPC220に電力を供給する。PC220はLCD110に画像を表示し、タッチパネル入力に応じて画像形成ユニット200に印刷ジョブを発行して、画像形成を実行させる。このため、PC220は、例えば、USB(Universal Serial Bus)にて画像形成ユニット200に接続される。
【0016】
PC220がLCD110に表示する画像の画像データや印刷ジョブに添付する画像データはPC220の記憶装置に格納された画像データであっても良いし、ネットワーク等を介して取得した画像データであっても良い。また、PC220は、LCD110に静止画のみならず、動画を表示しても良い。
画像形成ユニット200は、給紙カセット201、画像形成プロセス装置202、メカコン基板203、コントローラー基板204、定着装置205及びシート排出装置206を備えており、PC220から受け付けた印刷ジョブに従って、給紙カセット201から供給された記録シート上に、画像形成プロセス装置202が形成したトナー像を転写し、定着装置205にて熱定着する。トナー像を定着された用紙は、シート排出装置206により、後述するストッカーに蓄積される。この場合において、記録シートは先端部分をシート排出口120から突出させた状態で蓄積される。
【0017】
メカコン基板203は主に画像形成プロセスユニット202の機械的動作を制御する。また、コントローラー基板204はPC202とのインタフェースとして機能し、画像形成ユニット200全体の動作を統括する。
[2]シート排出装置206の構成
次に、シート排出装置206の構成について更に詳しく説明する。
【0018】
図3に示されるように、シート排出装置206は、シート搬送経路300から矢印A方向に搬送されてきた記録シートを更にシート排出口120に向けて搬送する排出ローラー対301を備えており、排出ローラー対301は駆動ローラー301dと従動ローラー301fとから構成されている。排出ローラー対301によって搬送される記録シートの搬送方向の先には通紙ガイド302が設けられており、記録シートは通紙ガイド302のガイド面302gに当接すると、排紙ガイド303の方向へ導かれる。
【0019】
排紙ガイド303は板状の本体部分303mと、当該本体部分303mから排出ローラー対301の上部に向かって突出する落下防止リブ303rと、を有する部材である。排紙ガイド303はその上端が、通紙ガイド302のガイド面302gの延長面Pよりも低い位置にある。また落下防止リブ303rは、シート排出口120から入り込んだ異物が画像形成ユニット200の内部に落下するのを防止する。
【0020】
ストッカー304は、排出ローラー対301を通過した記録シートを蓄積する容器である。ストッカー304の底面304bは前記ガイド面302gの延長面Pよりも低い位置にある。また、ストッカー304の排出ローラー対301寄りの内壁面は一部膨出しており、干渉防止リブ304rを形成している。干渉防止リブ304rはストッカー304内に蓄積された記録シートが駆動ローラー301dに接触するのを防止する。これによって、接触による異音の発生が防止される。
【0021】
従動ローラー301fの上部にはガイド部材305が設けられている。ガイド部材305は排出ローラー対301を通過した記録シートの後端が従動ローラー301f側へ移動するのを防止する。
なお、排紙ガイド303が画像形成装置1の正面に向かって手前側に、ストッカー304が奥側になるようにシート排出装置206は配設される。
【0022】
[3]シート排出動作
次に、シート排出装置206のシート排出動作について説明する。
図4、5はシート排出装置206のシート排出動作を(a)から(c)の順に示す図である。
図4(a)に示されるように、シート排出装置206は、シート搬送路300を搬送された記録シートを排出ローラー対301によって略鉛直方向上方に排出する。排出された記録シートは、通紙ガイド302のガイド面302gに当接して傾斜し、湾曲しながら矢印B方向に導かれる。これによって、記録シートの先端がシート排出口120の外部のユーザー側に向かって大きく突出し、更に、重力によって下方に押し下げられる。この押下力によって記録シートが更に湾曲する。
【0023】
一般的に、シート状の部材は、曲率が大きいほど復元力が大きく作用する。従って、剛性が高い(腰が強い)ほど曲率が小さくなり、また、シート全体として曲率が平均化される。このため、記録シート400は、先端が押し下げられることによって湾曲すると、その剛性によって湾曲部が通紙ガイド面302側に湾出し、ガイド面302gに押し付けられる。
【0024】
その後、記録シート400の後端が排出ローラー対301を通過すると、湾曲した記録シート400の弾性復元力によって、記録シート400の後端が駆動ローラー301dに押し付けられる(
図4(b))。すると、記録シート400の後端が、駆動ローラー301dとの摩擦によって、ストッカー304側へ誘導される(
図4(c)の矢印C方向)。駆動ローラー301d上を通過した記録シート400の後端は、更に重力によって矢印D方向へと落下し、ストッカー304の底面304bに到達する(
図5(a))。
【0025】
また、ストッカー304の底面304bに記録シート400の後端が到達した状態においては、ストッカー304の干渉防止リブ304rが記録シート400に当接することによって、記録シート400が駆動ローラー301d側に倒れるのが防止されるので、ギャップ510が生じて、記録シート400と駆動ローラー301dが離隔される。これによって記録シート400と駆動ローラー301dとの干渉摩擦が防止されるので、記録シート400と駆動ローラー301dとの擦過によるトナーの剥離や異音の発生が防止される。
【0026】
ストッカー304の底面304bは、記録シート400の後端がストッカー304の底面304bに到達した状態において、記録シート400の先端がシート排出口120から10[mm]から50[mm]程度、突出するような位置に配設されている。この突出した先端の重みによって、記録シート400の先端が矢印F方向に垂下しようとすると、記録シート400が湾曲しようとして、当該湾曲部が通紙ガイド302のガイド面302gに対して矢印E方向に押し付けられる。このため、記録シート400の湾曲が制限され、記録シート400の先端の垂下もまた制限される。従って、ストッカー304に蓄積された記録シート400が折れ曲るのが防止される(
図5(b))。
【0027】
記録シート400がストッカー304に蓄積された状態で、次の記録シート500が排出ローラー対301から排出されると、記録シート500と記録シート400に当接し、両者の間で摩擦力が生じる(
図5(c))。しかしながら、本実施の形態においては、記録シート500は記録シート400の湾曲部から先端部までの間のみで記録シート400に摩擦するので、摩擦距離が短い。
【0028】
摩擦距離が長いと、先に排出された記録シートと後から排出される記録シートとの間に作用する摩擦力が大きくなる。このため、先に排出された記録シートが後の記録シートの排出に伴って持ち上げられてストッカー304中で記録シートが不揃いになったり、甚だしくは先に排出された記録シートがシート排出口120の外へ落下したりするおそれもある。一方、本実施の形態によれば、摩擦距離が短いので、先に排出された記録シート400が後から排出された記録シート500に連れ動きせず、排紙挙動が安定するので、ストッカー304内に記録シート400、500を揃えて蓄積させることができる。
【0029】
また、後から排出された記録シート500は前に排出された記録シート400の必ず排紙ガイド303側に排出されるので、記録シートは排出順を保った状態でストッカー304に蓄積される。
[4]変形例
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
【0030】
(1)上記実施の形態においては、ストッカー304の底面304bが固定されている場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて、蓄積する記録シートのサイズに応じて底面304bを鉛直方向に上下駆動する駆動機構を備えても良い。記録シートのサイズに応じて底面304bを上下に移動させれば、シート排出口120からの記録シートの飛び出し部分を最適な長さにすることができるし、記録シートの湾曲部分(腰)を最適な状態で保持することができる。
【0031】
なお、ストッカー304の底面304bを上下動させる場合には、底面304bのみを上下動させても良いし、ストッカー304全体を上下動させても良い。何れの場合においても、底面304bは前記ガイド面302gの延長面Pよりも重力方向下側になるように上下動させるのが望ましい。また、干渉防止リブについても底面304bの高さに関わらず記録シートと駆動ローラー301dとの干渉を防止できる形状であるのが望ましい。
【0032】
(2)上記実施の形態においては、シート排出口120からの記録シートの飛び出し長さが10[mm]〜50[mm]程度である場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて、記録シートのシート排出口120から飛び出した部分が自重で撓むぐらい飛び出し長さを大きくし、かつ、記録シートの印刷面がユーザー側に向くように記録シートを排出しても良い。このようにすれば、画像形成装置1に正対しているユーザーに対して、シート排出装置206のストッカー304内に蓄積されている記録シートに何が印刷されているかをユーザーに見易くすることができる。
【0033】
(3)上記実施の形態においては、ストッカー304に蓄積された記録シートの先端が画像形成装置1のタッチパネルを操作するユーザー側に向かって突出する場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて、先端がユーザー側ではなくLCD110側に向かって突出するように記録シートをストッカー304に蓄積しても良い。このようにしても上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0034】
(4)上記実施の形態においては、ストッカー304の内壁面を一部膨出させた干渉防止リブを設けることによってストッカー304に蓄積された記録シートが排出ローラー対301の特に駆動ローラー301dに干渉するのを防止する場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて、リブ形状以外の形状としても良い。また、ストッカー304の内壁面の一部を膨出させる代わりに、他の部材を干渉防止部材として配設しても良い。このようにしても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0035】
(5)上記実施の形態においては、記録シートの後端が排出ローラー対301の排出ニップを通過した後、駆動ローラー301dによってストッカー304側に誘導される場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、駆動ローラー301d以外の手段を用いて記録シート後端をストッカー304側に誘導しても良い。そのような誘導手段としては、例えば、ファンを用いた送風による誘導や、パドルを記録シート後端に当接させることによる誘導が挙げられる。言うまでもなく、誘導手段の如何に関わらず本発明の効果は同じである。
【0036】
(6)上記実施の形態においては、排出ローラー対301が記録シートを略鉛直方向上方へ搬送する場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて、次にようにしても良い。すなわち、通紙ガイド302によって記録シートの先端を排紙ガイド303へ導くことができれば、画像形成装置1のLCD110に向かって奥側に傾斜して記録シートを排出しても良い。
【0037】
また、逆に、LCD110に向かって手前側に傾斜して、排出ローラー対301が記録シートを排出しても良い。この場合においては、ストッカー304に蓄積した際に記録シートの湾曲部分が通紙ガイド302のガイド面302gに当接しさえすれば、記録シートの先端を通紙ガイド302に当接させることなく、排紙ガイド303の上側へ記録シートを排出しても良い。
【0038】
何れの場合にも上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(7)上記実施の形態においては、通紙ガイド302のガイド面302gが略平面形状である場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて非平面形状としても良い。記録シートの先端を排紙ガイド303の上側へ導き、かつ、ストッカー304に蓄積された記録シートの湾曲部分に当接すれば、平面以外の形状をとっても効果は同じである。
【0039】
(8)上記実施の形態においては、画像形成ユニット200が中間転写方式のタンデム型画像形成装置である場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて直接転写方式の画像形成装置を用いても良い。また、タンデム型には限定されず、カラー画像形成装置に代えてモノクロ画像形成装置であるとしても良い。更に、インクジェット方式や感熱方式等、電子写真方式外の方式を適用しても良い。画像形成ユニット200が採用する画像形成方式の如何に関わらず本発明の効果は同じである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係るシート排出装置及び画像形成装置は、装置の大型化を招くことなく、かつ、ユーザーが取り易いように記録シートを排出する装置として有用である。
【符号の説明】
【0041】
1…………画像形成装置
101……筐体
120……シート排出口
200……画像形成ユニット
206……シート排出装置
300……シート搬送経路
301……排出ローラー対
301d…駆動ローラー
301f…従動ローラー
302……通紙ガイド
302g…ガイド面
303……排紙ガイド
303m…本体部分
303r…落下防止リブ
304……ストッカー
304b…ストッカーの底面
304r…干渉防止リブ
305……ガイド部材