特許第6011321号(P6011321)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011321
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】印刷制御装置、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
   B41J2/01 203
   B41J2/01 205
   B41J2/01 107
   B41J2/01 213
   B41J2/01 401
【請求項の数】13
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2012-282316(P2012-282316)
(22)【出願日】2012年12月26日
(65)【公開番号】特開2014-124822(P2014-124822A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001058
【氏名又は名称】特許業務法人鳳国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久野 雅司
【審査官】 有家 秀郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−254712(JP,A)
【文献】 特開2005−144893(JP,A)
【文献】 特開2007−196446(JP,A)
【文献】 特開2001−162841(JP,A)
【文献】 特開平08−025700(JP,A)
【文献】 特開2001−180017(JP,A)
【文献】 特開平07−242025(JP,A)
【文献】 特開2007−203717(JP,A)
【文献】 特開2006−027131(JP,A)
【文献】 特開平11−020238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向のノズルピッチが所定のノズルピッチであるL個(Lは2以上の整数)のノズルを有するヘッドを備える印刷実行部を制御する印刷制御装置であって、
画像データを取得する取得部と、
前記取得された画像データを用いて、前記印刷実行部に印刷を実行させる印刷データを生成する印刷データ生成部と、
を備え、
前記印刷データ生成部は、第1の駆動制御データ生成部を含み、
前記第1の駆動制御データ生成部は、
前記印刷実行部に、前記ヘッドを前記印刷媒体に対して前記第1の方向と交差する第2方向と平行に相対的に移動させて前記印刷媒体上に前記第2方向に沿ったライン上のドットを形成する処理であるパス処理と、前記ヘッドを前記印刷媒体に対して前記第1方向に相対的に移動させる処理である移動処理と、を実行させるための第1の駆動制御データを生成し、
前記第1の駆動制御データは、
N回(Nは2以上の整数)の前記パス処理と、前記N回のパス処理によって前記ドットが形成され得る複数の前記ラインの前記第1方向のピッチが前記ノズルピッチの1/N倍となるように、前記N回のパス処理のそれぞれの間に前記ヘッドを前記印刷媒体に対して前記第1方向に相対的に移動させる処理である第1の移動処理と、を前記印刷実行部に実行させ、
前記N回のパス処理によって前記第1方向の幅が所定幅の領域である単位領域を印刷する単位印刷と、前記単位印刷の後に前記ヘッドを前記印刷媒体に対して前記第1方向に相対的に移動させる処理である第2の移動処理とを、前記印刷実行部に繰り返し実行させることによって、前記印刷媒体上の複数の前記単位領域の印刷を前記第1方向に沿って1つずつ前記印刷実行部に実行させ、
前記N回のパス処理のそれぞれを、前記L個のノズルのうちの少なくとも1つを使用せずに前記印刷実行部に実行させ、
前記N回のパス処理のそれぞれを、互いに異なる組み合わせのノズルを使用して前記印刷実行部に実行させ、
前記第1の移動処理における前記印刷媒体の相対的な移動量と、前記第2の移動処理における前記印刷媒体の相対的な移動量とが異なるように、前記第1の移動処理と前記第2の移動処理とを前記印刷実行部に実行させ、
前記N回のパス処理のそれぞれを、前記L個のノズルのうちの前記単位領域の外に位置するノズルを使用せずに、前記単位領域の内に位置するノズルを用いて前記印刷実行部に実行させるためのデータであり、
前記第1の駆動制御データ生成部は、前記L個のノズルが不良ノズルを含む場合に、前記第1の移動処理における相対的な移動量と前記第2の移動処理における相対的な移動量とのそれぞれが互いに異なる第1と第2を含む搬送パターンのうちの前記不良ノズルが前記単位領域の外に位置する頻度が高い搬送パターンに従って、前記印刷実行部に、前記N回のパス処理の少なくとも1回のパス処理を、前記不良ノズルの少なくとも一部を用いずに行わせるための前記第1の駆動制御データを生成する、
印刷制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷制御装置であって、
前記第1の駆動制御データ生成部は、前記第1と前記第2を含む前記搬送パターンの間で前記不良ノズルが前記単位領域の外に位置する頻度が同じである場合には、前記頻度が同じである搬送パターンのうちの1回のパス処理で使用されるノズル数が多い搬送パターンに従って、前記第1の駆動制御データを生成する、
印刷制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の印刷制御装置であって、
前記第1の駆動制御データ生成部は、前記ヘッドの全ての前記不良ノズルの使用頻度の合計値が最も小さい搬送パターンに従って、前記第1の駆動制御データを生成する、
印刷制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記ヘッドは、複数種類のインクを吐出するための複数のノズルを有し、
前記第1の駆動制御データ生成部は、前記複数種類のインクのうち前記不良ノズルが画質に及ぼす影響が大きい一部のインクの前記不良ノズルに応じて選択した搬送パターンに従って、前記第1の駆動制御データを生成する、
印刷制御装置。
【請求項5】
請求項1ないしのいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記印刷データ生成部は、さらに、
前記L個のノズルの全てを用いる前記パス処理と、前記パス処理の後に前記ヘッドを前記印刷媒体に対して前記第1方向に一定の移動量で相対的に移動させる一定移動処理と、を前記印刷実行部に繰り返し実行させることによって、前記印刷媒体の全体の印刷を前記印刷実行部に実行させるための第2の駆動制御データを生成する、第2の駆動制御データ生成部を含む、
印刷制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の印刷制御装置であって、
前記印刷データ生成部は、さらに、
印刷すべき画像である対象画像を解析することによって、文字を表す文字領域と、写真を表す写真領域と、文字と写真以外の画像を表すグラフィック領域と、を検出し、前記文字領域と前記グラフィック領域とを合わせた領域の割合を算出し、前記割合が閾値以上である場合には、前記第1の駆動制御データ生成部を選択して前記第1の駆動制御データを生成させ、前記割合が前記閾値未満である場合には、前記第2の駆動制御データ生成部を選択して前記第2の駆動制御データを生成させる、選択部を含む、
印刷制御装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記第1の駆動制御データ生成部は、前記印刷媒体上に前記第1方向に沿って並ぶ前記複数の単位領域のうちのi番目(iは1以上の整数)の単位領域の前記第1方向側にドットが無い空白領域が続く場合に、i+1番目の単位領域が前記空白領域の前記第1方向側に配置されるように、i番目の単位印刷とi+1番目の単位印刷との間の前記第2の移動処理を、前記印刷実行部に実行させるための前記第1の駆動制御データを生成する、
印刷制御装置。
【請求項8】
請求項1ないしのいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記第1の駆動制御データ生成部は、前記印刷実行部に、繰り返し実行される前記単位印刷の前記N回のパス処理のそれぞれの間に、前記ヘッドを前記印刷媒体に対して前記第1方向に一定の移動量で相対的に移動させる前記第1の移動処理を実行させるための前記第1の駆動制御データ生成する、印刷制御装置。
【請求項9】
請求項1ないしのいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記L個のノズルのそれぞれは、第1インクを吐出するためのノズルであり、
前記L個のノズルの前記第1方向のノズルピッチは第1ノズルピッチK1であり、
前記ヘッドは、さらに、第2インクを吐出するための複数のノズルであって、前記第1方向のノズルピッチが第2ノズルピッチK2であるN×L個のノズルを有し、
前記第2ノズルピッチK2は、K1/Nである、
印刷制御装置。
【請求項10】
請求項に記載の印刷制御装置であって、
前記第1の駆動制御データ生成部は、前記印刷実行部に、前記単位印刷の前記N回のパス処理のうちの1回のパス処理において、前記N×L個のノズルの少なくとも一部を用いて、前記第2インクのドットを、前記第1方向に前記第2ノズルピッチK2で並ぶ複数のライン上に、形成させるための前記第1の駆動制御データを生成する、印刷制御装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記L個のノズルのそれぞれは、第1インクを吐出するためのノズルであり、
前記ヘッドは、さらに、第3インクを吐出するためのL個のノズルであって、前記第1方向の位置が前記第1インクのための前記L個のノズルの位置とそれぞれ同じである、前記第3インクを吐出するための前記L個のノズルを有し、
前記第1の駆動制御データ生成部は、
前記N回のパス処理のそれぞれにおいて、前記第1インクのドットと前記第3インクのドットとを前記印刷実行部に形成させるための前記第1の駆動制御データを生成し、
前記単位領域内のインクの使用量に応じて、前記N回のパス処理のそれぞれにおける前記印刷媒体に対する前記ヘッドの相対的な移動方向を、前記第2方向と平行な2つの方向から、決定する、
印刷制御装置。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記印刷データ生成部は、さらに、第3の駆動制御データ生成部を含み、
前記第3の駆動制御データ生成部は、
前記印刷実行部に、前記パス処理と、前記移動処理と、を実行させるための第3の駆動制御データを生成し、
第3の駆動制御データは、
前記L個のノズルの全てを用いる前記パス処理である全ノズルパス処理であってN回の前記全ノズルパス処理と、前記N回の全ノズルパス処理によって前記ドットが形成され得る複数の前記ラインの前記第1方向のピッチが前記ノズルピッチの1/N倍となるように、前記N回の全ノズルパス処理のそれぞれの間に前記ヘッドを前記印刷媒体に対して前記第1方向に相対的に移動させる処理である第3の移動処理を前記印刷実行部に実行させ、
前記N回の全ノズルパス処理によって前記第1方向の幅が前記所定幅よりも広い領域にドットを形成する拡張単位印刷と、前記拡張単位印刷の後に前記ヘッドを前記印刷媒体に対して前記第1方向に相対的に移動させる処理である第4の移動処理とを、前記印刷実行部に繰り返し実行させ、
前記第3の移動処理における前記印刷媒体の相対的な移動量と、前記第4の移動処理における前記印刷媒体の相対的な移動量とが異なるように、前記第3の移動処理と前記第4の移動処理とを前記印刷実行部に実行させるためのデータである、
印刷制御装置。
【請求項13】
第1方向のノズルピッチが所定のノズルピッチであるL個(Lは2以上の整数)のノズルを有するヘッドを備える印刷実行部を制御する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムであって、
画像データを取得する取得機能と、
前記取得された画像データを用いて、前記印刷実行部に印刷を実行させる印刷データを生成する印刷データ生成機能と、
をコンピュータに実現させ、
前記印刷データ生成機能は、第1の駆動制御データ生成機能を含み、
前記第1の駆動制御データ生成機能は、
前記印刷実行部に、前記ヘッドを前記印刷媒体に対して前記第1の方向と交差する第2方向と平行に相対的に移動させて前記印刷媒体上に前記第2方向に沿ったライン上のドットを形成する処理であるパス処理と、前記ヘッドを前記印刷媒体に対して前記第1方向に相対的に移動させる処理である移動処理と、を実行させるための第1の駆動制御データを生成する機能を含み、
前記第1の駆動制御データは、
N回(Nは2以上の整数)の前記パス処理と、前記N回のパス処理によって前記ドットが形成され得る複数の前記ラインの前記第1方向のピッチが前記ノズルピッチの1/N倍となるように、前記N回のパス処理のそれぞれの間に前記ヘッドを前記印刷媒体に対して前記第1方向に相対的に移動させる処理である第1の移動処理と、を前記印刷実行部に実行させ、
前記N回のパス処理によって前記第1方向の幅が所定幅の領域である単位領域を印刷する単位印刷と、前記単位印刷の後に前記ヘッドを前記印刷媒体に対して前記第1方向に相対的に移動させる処理である第2の移動処理とを、前記印刷実行部に繰り返し実行させることによって、前記印刷媒体上の複数の前記単位領域の印刷を前記第1方向に沿って1つずつ前記印刷実行部に実行させ、
前記N回のパス処理のそれぞれを、前記L個のノズルのうちの少なくとも1つを使用せずに前記印刷実行部に実行させ、
前記N回のパス処理のそれぞれを、互いに異なる組み合わせのノズルを使用して前記印刷実行部に実行させ、
前記第1の移動処理における前記印刷媒体の相対的な移動量と、前記第2の移動処理における前記印刷媒体の相対的な移動量とが異なるように、前記第1の移動処理と前記第2の移動処理とを前記印刷実行部に実行させ、
前記N回のパス処理のそれぞれを、前記L個のノズルのうちの前記単位領域の外に位置するノズルを使用せずに、前記単位領域の内に位置するノズルを用いて前記印刷実行部に実行させるためのデータであり、
前記第1の駆動制御データ生成機能は、前記L個のノズルが不良ノズルを含む場合に、前記第1の移動処理における相対的な移動量と前記第2の移動処理における相対的な移動量とのそれぞれが互いに異なる第1と第2を含む搬送パターンのうちの前記不良ノズルが前記単位領域の外に位置する頻度が高い搬送パターンに従って、前記印刷実行部に、前記N回のパス処理の少なくとも1回のパス処理を、前記不良ノズルの少なくとも一部を用いずに行わせるための前記第1の駆動制御データを生成する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルからインク滴を吐出して印刷媒体上にインクドットを形成する印刷に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ノズルからインク滴を吐出して印刷媒体上にインクドットを形成するプリンタが利用されている。このようなプリンタとしては、例えば、ノズルを有するヘッドが、主走査方向に移動しながら、ノズルからインク滴を吐出してインクドットを形成する動作と、主走査方向と直交する副走査方向に印刷媒体を搬送する動作と、を交互に行うものが知られている。また、主走査方向に沿った筋(バンディングとも呼ばれる)が周期的に発生することを防止するために、主走査動作毎に、前回の主走査動作時と異なる搬送量を用いる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−27131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、移動しながらヘッドがインクドットを形成する動作と、印刷媒体を搬送する動作と、を組み合わせて画像を印刷する場合には、印刷に関連して種々の不具合が生じ得る。例えば、画質向上を考慮した構成を採用した場合には、印刷に要する時間が長くなる場合があった。また、印刷速度向上を考慮した構成を採用した場合には、画質が低下する場合があった。
【0005】
本発明の主な利点は、印刷の不具合を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
第1方向のノズルピッチが所定のノズルピッチであるL個(Lは2以上の整数)のノズルを有するヘッドを備える印刷実行部を制御する印刷制御装置であって、
画像データを取得する取得部と、
前記取得された画像データを用いて、前記印刷実行部に印刷を実行させる印刷データを生成する印刷データ生成部と、
を備え、
前記印刷データ生成部は、第1の駆動制御データ生成部を含み、
前記第1の駆動制御データ生成部は、
前記印刷実行部に、前記ヘッドを前記印刷媒体に対して前記第1の方向と交差する第2方向と平行に相対的に移動させて前記印刷媒体上に前記第2方向に沿ったライン上のドットを形成する処理であるパス処理と、前記ヘッドを前記印刷媒体に対して前記第1方向に相対的に移動させる処理である移動処理と、を実行させるための第1の駆動制御データを生成し、
前記第1の駆動制御データは、
N回(Nは2以上の整数)の前記パス処理と、前記N回のパス処理によって前記ドットが形成され得る複数の前記ラインの前記第1方向のピッチが前記ノズルピッチの1/N倍となるように、前記N回のパス処理のそれぞれの間に前記ヘッドを前記印刷媒体に対して前記第1方向に相対的に移動させる処理である第1の移動処理と、を前記印刷実行部に実行させ、
前記N回のパス処理によって前記第1方向の幅が所定幅の領域である単位領域を印刷する単位印刷と、前記単位印刷の後に前記ヘッドを前記印刷媒体に対して前記第1方向に相対的に移動させる処理である第2の移動処理とを、前記印刷実行部に繰り返し実行させることによって、前記印刷媒体上の複数の前記単位領域の印刷を前記第1方向に沿って1つずつ前記印刷実行部に実行させ、
前記N回のパス処理のそれぞれを、前記L個のノズルのうちの少なくとも1つを使用せずに前記印刷実行部に実行させ、
前記N回のパス処理のそれぞれを、互いに異なる組み合わせのノズルを使用して前記印刷実行部に実行させ、
前記第1の移動処理における前記印刷媒体の移動量と、前記第2の移動処理における前記印刷媒体の移動量とが異なるように、前記第1の移動処理と前記第2の移動処理とを前記前記印刷実行部に実行させるためのデータである、
印刷制御装置。
【0008】
この構成によれば、互いに異なる組み合わせのノズルを使用するN回のパス処理を行う単位印刷が繰り返されるので、印刷の不具合を容易に抑制できる。
【0009】
[適用例2]
適用例1に記載の印刷制御装置であって、
前記第1の駆動制御データ生成部は、前記N回のパス処理のそれぞれを、前記L個のノズルのうちの前記単位領域の外に位置するノズルを使用せずに、前記単位領域の内に位置するノズルを用いて前記印刷実行部に実行させるための前記第1の駆動制御データを生成する、印刷制御装置。
【0010】
この構成によれば、単位印刷を簡素化できるので、印刷の不具合を容易に抑制できる。
【0011】
[適用例3]
適用例2に記載の印刷制御装置であって、
前記第1の駆動制御データ生成部は、前記印刷媒体上に前記第1方向に沿って並ぶ前記複数の単位領域のうちのi番目(iは1以上の整数)の単位領域の前記第1方向側にドットが無い空白領域が続く場合に、i+1番目の単位領域が前記空白領域の前記第1方向側に配置されるように、i番目の単位印刷とi+1番目の単位印刷との間の前記第2の移動処理を、前記印刷実行部に実行させるための前記第1の駆動制御データを生成する、
印刷制御装置。
【0012】
この構成によれば、空白領域がスキップされるので、印刷に要する時間が長くなるという不具合を容易に抑制できる。
【0013】
[適用例4]
適用例1ないし3のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記第1の駆動制御データ生成部は、前記印刷実行部に、前記N回のパス処理のそれぞれの間に、前記ヘッドを前記印刷媒体に対して前記第1方向に一定の移動量で相対的に移動させる前記第1の移動処理を実行させるための前記第1の駆動制御データ生成する、印刷制御装置。
【0014】
この構成によれば、単位印刷を簡素化できるので、印刷の不具合を容易に抑制できる。
【0015】
[適用例5]
適用例1ないし4のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記L個のノズルのそれぞれは、第1インクを吐出するためのノズルであり、
前記L個のノズルの前記第1方向のノズルピッチは第1ノズルピッチK1であり、
前記ヘッドは、さらに、第2インクを吐出するための複数のノズルであって、前記第1方向のノズルピッチが第2ノズルピッチK2であるN×L個のノズルを有し、
前記第2ノズルピッチK2は、K1/Nである、
印刷制御装置。
【0016】
この構成によれば、第2インクのN×L個のノズルと比べて、粗い密度で配置された第1インクのL個のノズルを用いて印刷を行う場合に、印刷の不具合を容易に抑制できる。
【0017】
[適用例6]
適用例5に記載の印刷制御装置であって、
前記第1の駆動制御データ生成部は、前記印刷実行部に、前記単位印刷の前記N回のパス処理のうちの1回のパス処理において、前記N×L個のノズルの少なくとも一部を用いて、前記第2インクのドットを、前記第1方向に前記第2ノズルピッチK2で並ぶ複数のライン上に、形成させるための前記第1の駆動制御データを生成する、印刷制御装置。
【0018】
この構成によれば、第1インクと第2インクとを用いた印刷を行う場合に、印刷の不具合を容易に抑制できる。
【0019】
[適用例7]
適用例1ないし6のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記第1の駆動制御データ生成部は、前記L個のノズルが不良ノズルを含む場合に、前記印刷実行部に、前記N回のパス処理の少なくとも1回のパス処理を、前記不良ノズルの少なくとも一部を用いずに行わせるための前記第1の駆動制御データを生成する、印刷制御装置。
【0020】
この構成によれば、L個のノズルが不良ノズルを含む場合であっても、印刷の不具合を容易に抑制できる。
【0021】
[適用例8]
適用例1ないし7のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記L個のノズルのそれぞれは、第1インクを吐出するためのノズルであり、
前記ヘッドは、さらに、第3インクを吐出するためのL個のノズルであって、前記第1方向の位置が前記第1インクのための前記L個のノズルの位置とそれぞれ同じである、前記第3インクを吐出するための前記L個のノズルを有し、
前記第1の駆動制御データ生成部は、
前記N回のパス処理のそれぞれにおいて、前記第1インクのドットと前記第3インクのドットとを前記印刷実行部に形成させるための前記第1の駆動制御データを生成し、
前記単位領域内のインクの使用量に応じて、前記N回のパス処理のそれぞれにおける前記印刷媒体に対する前記ヘッドの相対的な移動方向を、前記第2方向と平行な2つの方向から、決定する、
印刷制御装置。
【0022】
この構成によれば、第1インクと第3インクとの重ね順に起因する印刷の不具合を抑制できる。
【0023】
[適用例9]
適用例1ないし8のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記印刷データ生成部は、さらに、
前記L個のノズルの全てを用いる前記パス処理と、前記パス処理の後に前記ヘッドを前記印刷媒体に対して前記第1方向に一定の移動量で相対的に移動させる一定移動処理と、を前記印刷実行部に繰り返し実行させることによって、前記印刷媒体の全体の印刷を前記印刷実行部に実行させるための第2の駆動制御データを生成する、第2の駆動制御データ生成部を含む、
印刷制御装置。
【0024】
この構成によれば、パス処理間の移動量が一定であり、そして、パス処理はL個のノズルの全てを用いるので、印刷に要する時間が長くなるという不具合を容易に抑制できる。
【0025】
[適用例10]
適用例1ないし9のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記印刷データ生成部は、さらに、第3の駆動制御データ生成部を含み、
前記第3の駆動制御データ生成部は、
前記印刷実行部に、前記パス処理と、前記移動処理と、を実行させるための第3の駆動制御データを生成し、
第3の駆動制御データは、
前記L個のノズルの全てを用いる前記パス処理である全ノズルパス処理であってN回の前記全ノズルパス処理と、前記N回の全ノズルパス処理によって前記ドットが形成され得る複数の前記ラインの前記第1方向のピッチが前記ノズルピッチの1/N倍となるように、前記N回の全ノズルパス処理のそれぞれの間に前記ヘッドを前記印刷媒体に対して前記第1方向に相対的に移動させる処理である第3の移動処理を前記印刷実行部に実行させ、
前記N回の全ノズルパス処理によって前記第1方向の幅が所定幅よりも広い領域にドットを形成する拡張単位印刷と、前記拡張単位印刷の後に前記ヘッドを前記印刷媒体に対して前記第1方向に相対的に移動させる処理である第4の移動処理とを、前記印刷実行部に繰り返し実行させ、
前記第3の移動処理における前記印刷媒体の移動量と、前記第4の移動処理における前記印刷媒体の移動量とが異なるように、前記第3の移動処理と前記第4の移動処理とを前記前記印刷実行部に実行させるためのデータである、
印刷制御装置。
【0026】
この構成によれば、パス処理はL個のノズルの全てを用いるので、印刷に要する時間が長くなるという不具合を容易に抑制できる。
【0027】
[適用例11]
第1方向のノズルピッチが所定のノズルピッチであるL個(Lは2以上の整数)のノズルを有するヘッドを備える印刷実行部を制御する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムであって、
画像データを取得する取得機能と、
前記取得された画像データを用いて、前記印刷実行部に印刷を実行させる印刷データを生成する印刷データ生成機能と、
をコンピュータに実現させ、
前記印刷データ生成機能は、第1の駆動制御データ生成機能を含み、
前記第1の駆動制御データ生成機能は、
前記印刷実行部に、前記ヘッドを前記印刷媒体に対して前記第1の方向と交差する第2方向と平行に相対的に移動させて前記印刷媒体上に前記第2方向に沿ったライン上のドットを形成する処理であるパス処理と、前記ヘッドを前記印刷媒体に対して前記第1方向に相対的に移動させる処理である移動処理と、を実行させるための第1の駆動制御データを生成する機能を含み、
前記第1の駆動制御データは、
N回(Nは2以上の整数)の前記パス処理と、前記N回のパス処理によって前記ドットが形成され得る複数の前記ラインの前記第1方向のピッチが前記ノズルピッチの1/N倍となるように、前記N回のパス処理のそれぞれの間に前記ヘッドを前記印刷媒体に対して前記第1方向に相対的に移動させる処理である第1の移動処理と、を前記印刷実行部に実行させ、
前記N回のパス処理によって前記第1方向の幅が所定幅の領域である単位領域を印刷する単位印刷と、前記単位印刷の後に前記ヘッドを前記印刷媒体に対して前記第1方向に相対的に移動させる処理である第2の移動処理とを、前記印刷実行部に繰り返し実行させることによって、前記印刷媒体上の複数の前記単位領域の印刷を前記第1方向に沿って1つずつ前記印刷実行部に実行させ、
前記N回のパス処理のそれぞれを、前記L個のノズルのうちの少なくとも1つを使用せずに前記印刷実行部に実行させ、
前記N回のパス処理のそれぞれを、互いに異なる組み合わせのノズルを使用して前記印刷実行部に実行させ、
前記第1の移動処理における前記印刷媒体の移動量と、前記第2の移動処理における前記印刷媒体の移動量とが異なるように、前記第1の移動処理と前記第2の移動処理とを前記前記印刷実行部に実行させるためのデータである、
プログラム。
【0028】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、印刷実行部を制御する印刷制御方法および印刷制御装置、印刷実行部と印刷制御装置とを備える印刷装置、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体(例えば、一時的ではない記録媒体)、等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施例としての複合機を示す説明図である。
図2】印刷実行部300の構成を示す概略図である。
図3】印刷ヘッド320に設けられたノズルの配列を示す説明図である。
図4】印刷処理のフローチャートである。
図5】搬送パターンの説明図である。
図6】搬送量が「1」である搬送パターンの説明図である。
図7】ブラックインクのドット形成の説明図である。
図8】印刷データ生成のフローチャートである。
図9】別の搬送パターンの例を示す説明図である。
図10】移動方向の決定例の説明図である。
図11】搬送パターンの別の実施例を示す説明図である。
図12】第2実施例における印刷データ生成(図4のS140)のフローチャートである。
図13】第3実施例における印刷データの生成処理のフローチャートである。
図14】搬送パターンの別の実施例を示す説明図である。
図15】第4実施例における印刷データの生成処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
A.第1実施例:
図1は、本発明の一実施例としての複合機を示す説明図である。この複合機100は、複合機100の全体を制御するCPU110と、DRAM等の揮発性記憶装置120と、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置130と、ユーザによって操作される操作部160(例えば、ボタンやタッチパネル)と、画像を表示する表示部170(例えば、液晶ディスプレイ)と、印刷媒体(例えば、紙)に画像を印刷する印刷実行部300と、他の装置と通信するためのインタフェース180(例えば、ネットワークインタフェースや、USBインタフェース)と、を含んでいる。不揮発性記憶装置130は、プログラム132を格納している。
【0031】
CPU110は、揮発性記憶装置120と不揮発性記憶装置130とを用いて、プログラム132を実行することによって、印刷実行部300を制御する。このように、CPU110と揮発性記憶装置120と不揮発性記憶装置130との全体は、印刷制御装置190に対応する。図示するように、CPU110は、取得部260と、印刷データ生成部200と、データ送信部250と、として機能する。取得部260は、印刷対象の画像データ(「入力画像データ」と呼ぶ)を取得する。以下、入力画像データによって表される画像、すなわち、印刷すべき画像を、「対象画像」とも呼ぶ。印刷データ生成部200は、取得部260によって取得された入力画像データを用いて、印刷実行部300に印刷を実行させる印刷データを生成する。データ送信部250は、印刷データ生成部200によって生成された印刷データを、印刷実行部300に送信する。印刷データ生成部200は、ラスタライザ210と、色変換部220と、ハーフトーン処理部230と、第1駆動制御データ生成部241(単に「第1データ生成部241」とも呼ぶ)と、を含んでいる。各処理部の詳細については、後述する。
【0032】
なお、破線で示された処理部242、243、249、270については、以下の通りである。すなわち、第2駆動制御データ生成部242(単に「第2データ生成部242」とも呼ぶ)は、後述の第3実施例の印刷データ生成部200に設けられ、第3駆動制御データ生成部243(単に「第3データ生成部243」とも呼ぶ)は、後述の第4実施例の印刷データ生成部200に設けられ、選択部249は、第3と第4の実施例の印刷データ生成部200に設けられ、不良ノズル特定部270は、第2と第4実施例の印刷データ生成部200に設けられている。従って、処理部242、243、249、270については、後述の実施例で説明する。
【0033】
図2は、印刷実行部300の構成を示す概略図である。本実施例では、印刷実行部300は、ブラックKとシアンCとマゼンタMとイエロYとの4種類のインクを用いたカラー印刷が可能な装置であり、ヘッド駆動装置340と、媒体搬送装置390と、印刷データに従ってヘッド駆動装置340と媒体搬送装置390とを制御する駆動回路310と、を含んでいる。
【0034】
媒体搬送装置390は、搬送方向DFに向かって印刷媒体PMを搬送する装置であり、本実施例では、第1ローラ392と、第2ローラ394と、それらのローラ392、394を回転させる第1モータ396と、を含んでいる。印刷媒体PMは、ローラ392、394によって、搬送方向DFに搬送される。
【0035】
ヘッド駆動装置340は、キャリッジ330に搭載された印刷ヘッド320を、搬送方向DFと交差する方向D2(以下「走査方向D2」とも呼ぶ)と平行に往復移動させる装置である。本実施例では、ヘッド駆動装置340は、印刷ヘッド320と、印刷ヘッド320を搭載するキャリッジ330と、走査方向D2と平行に摺動可能にキャリッジ330を保持するガイドレール342と、ガイドレール342と平行に張られたベルト344と、ベルト344を駆動する第2モータ346と、を含んでいる。キャリッジ330は、ベルト344に固定されており、第2モータ346の駆動力によって、走査方向D2と平行に往復移動可能である。
【0036】
以下、搬送方向DFと反対の方向を「第1方向D1」と呼び、走査方向D2を「第2方向D2」とも呼ぶ。印刷媒体PMが搬送方向DFに搬送される場合、印刷媒体PMからは、印刷ヘッド320が第1方向D1に移動するように、見える。また、本実施例では、第2方向D2は、第1方向D1と直交する。以下、第2方向D2のことを、「右方向DR」とも呼び、第2方向D2と反対の方向を、「左方向DL」とも呼ぶ。
【0037】
印刷ヘッド320は、各インク(ブラックK、イエロY、シアンC、マゼンタM)毎に、図示しない複数のノズルを有している。また、印刷ヘッド320には、図示しないインクタンクが接続されている。ヘッド駆動装置340は、印刷ヘッド320を、右方向DR、または、左方向DLに移動させつつ、印刷ヘッド320を駆動してノズルから印刷媒体PMに向かってインク滴を吐出させる(以下、「パス処理」と呼ぶ)。パス処理により、印刷媒体PM上の第2方向D2に沿ったライン上に、インクドットが形成される。媒体搬送装置390は、パス処理と他のパス処理との間に、印刷媒体PMを搬送方向DFに搬送する(以下「搬送処理」と呼ぶ)。搬送処理は、印刷ヘッド320を、印刷媒体PMに対して第1方向D1に相対的に移動させる処理である(「移動処理」とも呼ぶ)。パス処理と搬送処理とを繰り返すことにより、印刷媒体PM上に画像が印刷される。
【0038】
図3は、印刷ヘッド320に設けられたノズルの配列を示す説明図である。図3は、印刷媒体PMから離れた位置から印刷媒体PMに向かって印刷ヘッド320を透視した場合の、ノズル配置を示している。印刷ヘッド320は、左方向DL側から右方向DR(すなわち、第2方向D2)に向かって並ぶ、ブラックインクのためのブラックヘッドユニット11Kc、11Kb、11Kaと、イエロインクのためのイエロヘッドユニット12Yと、シアンインクのためのシアンヘッドユニット12Cと、マゼンタインクのためのマゼンタヘッドユニット12Mと、を有している。
【0039】
ヘッドユニット11Kc、11Kb、11Ka、12Y、12C、12Mのそれぞれは、第1方向D1の位置が互いに異なるL個のノズルNzを有している(本実施例では、L=13)。第1方向D1のピッチ(隣り合う2つのノズルNzの間の距離)は、所定の第1ノズルピッチK1である(単に「第1ピッチK1」とも呼ぶ)。図3では、L個のノズルNzが第1方向D1に延びる1本の直線上に配置されているが、第2方向D2の位置が複数の位置に分散するように、L個のノズルNzが配置されてもよい。また、ノズル数Lは、13未満であってもよく、13よりも多くてもよい。
【0040】
図示するように、第1ブラックヘッドユニット11Kaと、カラーインクのための3つのヘッドユニット12Y、12C、12Mと、のそれぞれの第1方向D1の位置は、同じである。従って、これらのヘッドユニット11Ka、12Y、12C、12Mは、1回のパス処理によって、第2方向D2に沿った同じライン上に、インクドットを形成可能である。
【0041】
第2ブラックヘッドユニット11Kbは、第1ブラックヘッドユニット11Kaよりも、「第1ピッチK1/3」だけ第1方向D1にシフトした位置に配置され、第3ブラックヘッドユニット11Kcは、第2ブラックヘッドユニット11Kbよりも、「第1ピッチK1/3」だけ第1方向D1にシフトした位置に配置されている。従って、ブラックインクのための3×L個のノズルNzの全体の第1方向D1のピッチ(隣り合う2つのノズルNzの間の距離)は、「第1ピッチK1/3」である(以下、「第2ノズルピッチK2」または、単に「第2ピッチK2」と呼ぶ)。
【0042】
各ノズルNzには、第1方向D1に沿った順番を示す番号が、付されている。この番号は、インク毎に割り振られている。イエロとシアンとマゼンタとのヘッドユニット12Y、12C、12MのノズルNzには、1から13までのいずれかの番号が割り振られている。ブラックヘッドユニット11Ka、11Kb、11Kcのノズルには、1から39までのいずれかの番号が割り振られている。
【0043】
本実施例では、第1方向D1のドット間距離(すなわち、印刷解像度)は、第2ピッチK2と同じである。カラーインク(シアン、マゼンタ、イエロ)を用いる場合には、同じ領域を3回のパス処理で印刷することによって、第1ピッチK1の1/3の印刷解像度を実現する(詳細は、後述)。
【0044】
本実施例の複合機100は、印刷に要する時間を短くするために、いわゆる双方向印刷を行う。すなわち、印刷ヘッド320は、右方向DRに移動する場合と、左方向DLに移動する場合と、のそれぞれの場合に、シアンCとマゼンタMとイエロYのインクドットを形成する。印刷ヘッド320の移動方向が右方向DRである場合には、インクの重ね順は、マゼンタM、シアンC、イエロYの順である。印刷ヘッド320の移動方向が左方向DLである場合には、インクの重ね順は、逆の、イエロY、シアンC、マゼンタMの順である。インクの重ね順が異なると、各インクのインク量に変更が無い場合であっても、印刷された画像の色が違って見える場合がある。このような色の違いは、濃い領域、すなわち、インクの使用量が多い領域で、目立ちやすい。本実施例では、そのような色の違いが目立つことを抑制するように、パス処理における印刷ヘッド320の移動方向が決定される(詳細は後述)。
【0045】
図4は、印刷処理のフローチャートである。印刷データ生成部200(図1)は、ユーザからの印刷指示に応じて、図4の処理を開始する。ユーザの指示は、操作部160を介して、複合機100に入力される。
【0046】
最初のステップS100では、取得部260(図1)が、ユーザの指示に従って、入力画像データを取得する。取得部260は、例えば、インタフェース180に接続されたUSBメモリから、入力画像データを取得する。入力画像データは、例えば、JPEGデータや文書データである。
【0047】
次のステップS110では、ラスタライザ210(図1)は、入力画像データを、印刷用の処理解像度のビットマップデータに変換する。以下、画像データを処理解像度のビットマップデータに変換する処理を「ラスタライズ」とも呼ぶ。生成されるビットマップデータは、例えば、赤Rと緑Gと青Bとの3つの色成分の階調値(例えば、256階調)で複数の画素(以下「印刷画素」とも呼ぶ)のそれぞれの色を表している。生成されるビットマップデータは、入力画像データと同じ対象画像を表している。
【0048】
次のステップS120では、色変換部220(図1)は、ビットマップデータの色変換を実行する。本実施例では、印刷画素毎に、赤Rと緑Gと青Bの階調値が、複数のインクのそれぞれの階調値(ここでは、シアンC、マゼンタM、イエロY、ブラックKのそれぞれの階調値)に、変換される。このように互いに異なる色空間の間での色変換は、色空間変換とも呼ばれる。CMYKの階調値は、CMYKのインク量を、それぞれ表している。RGBとCMYKとの間の対応関係は、図示しない色変換プロファイルによって、予め定められている。
【0049】
次のステップS130では、ハーフトーン処理部230(図1)は、色変換部220によって生成された画像データ(すなわち、CMYKの階調値を表すビットマップデータ)を用いて、全てのインクのそれぞれのハーフトーン処理を行う。ハーフトーン処理部230は、ハーフトーン処理によって、各印刷画素のドットサイズをインク毎に決定する。本実施例では、ドットサイズは、「ドット無し(dN)」、「小ドット(dS)」、「中ドット(dM)」、「大ドット(dL)」の4つのドットサイズの中から決定される。「ドット無し(dN)」のインク量はゼロである。ドットサイズが大きいほど、ドットの形成に用いられるインク量が多い。また、本実施例では、ハーフトーン処理として、いわゆる誤差拡散法に従った処理が行われる。ただし、ハーフトーン処理としては、ディザマトリクスを用いる方法等の他の公知の方法を採用可能である。
【0050】
次のステップS140では、第1データ生成部241(図1)は、ハーフトーン処理部230によって決定されたドットサイズを表す印刷データを生成する。印刷データは、ハーフトーン処理の結果を表すデータであり、印刷実行部300(具体的には、駆動回路310)によって解釈可能な形式のデータである。印刷データは、印刷画素と、その印刷画素にドットを形成すべきパス処理と、その印刷画素にドットを形成すべきノズルNzと、の対応関係と、パス処理毎の印刷ヘッド320の移動方向と、パス処理の間に行われる搬送処理の搬送量と、を定めている。次のステップS150では、データ送信部250は、印刷データを印刷実行部300に送信する。印刷実行部300の駆動回路310は、受信した印刷データに従って、対象画像を印刷する。以上により、図4の処理が終了する。
【0051】
図5(A)は、本実施例の印刷における、各パス処理の印刷ヘッド320の第1方向D1の相対位置と、搬送処理の搬送量と、の基本的なパターンを示す説明図である。以下、各パス処理の印刷ヘッド320の第1方向D1の相対位置と、搬送処理の搬送量と、のパターンを「搬送パターン」と呼ぶ。図5(A)は、シアンヘッドユニット12Cによる印刷の例を示している。図5(A)の左側には、パス処理毎のシアンヘッドユニット12Cの第1方向D1の位置が示されている。ヘッドユニット12Cに付された符号「P#(#は数字)」は、パス処理の順番を表している。例えば、符号「P2」は、2回目のパス処理を示し、符号「P2」が付されたヘッドユニット12Cは、2回目のパス処理におけるヘッドユニット12Cの第1方向D1の位置を示している。連続する2つのパス処理の間を繋ぐ矢印に付された符号「Fi=X(i、Xは数字)」は、i番目のパス処理とi+1番目のパス処理との間に行われる搬送処理の搬送量Xを示している(単位はドット)。例えば、「F2=4」は、2回目のパス処理P2と3回目のパス処理P3との間の搬送処理で、印刷媒体PMが「4ドット」搬送されることを示している。ヘッドユニット12Cの左側に記された番号LNは、第2方向D2に延びるラインの、第1方向D1に沿った順番を表す番号を示している(「ライン番号LN」と呼ぶ)。ここでは、1番のラインから第1方向D1側の領域が印刷されることとしている。図5(A)の右側には、ライン番号LNに対応するライン上に形成されるドットdtが示されている。1つのドットdtが、1つの印刷画素に対応する。このように、複数の印刷画素は、第1方向D1と第2方向D2とに沿って格子状に配置される。
【0052】
ヘッドユニット12Cの内部には、13個のノズルの位置のそれぞれに、ノズルを示すノズル番号が記されている。図5の例では、第1ノズルピッチK1は、「3」である。丸で囲まれたノズルは、印刷に使用されるノズルを示し、丸の無いノズルは、印刷に使用されないノズルを示している。例えば、1回目のパス処理P1では、1番と2番のノズルが使用されず、2回目のパス処理P2では、1番と13番のノズルが使用されず、3回目のパス処理P3では、12番と13番のノズルが使用されない。
【0053】
図5(A)の例では、3回のパス処理P1〜P3によって、連続な部分領域A1のドット形成が行われる。具体的には、3回のパス処理P1〜P3の間の搬送処理の搬送量F1、F2は、一定値「4」である。その搬送量F1、F2(4)は、ヘッドユニット12CのノズルピッチK1(3)とは互いに素である。従って、3回のパス処理P1〜P3は、互いに異なるラインにドットdtを形成可能である。また、パス処理の回数(3回)は、ノズルピッチK1(3)と同じである。従って、3回のパス処理P1〜P3は、3回のパス処理P1〜P3によってヘッドユニット12Cがカバーする連続な部分領域A1内の全てのラインに、ドットdtを形成可能である。図5(A)の例では、1番から33番までの33本のラインで構成される連続な部分領域A1が、ドットdtを形成可能な領域である(以下、「第1単位領域A1」と呼ぶ)。
【0054】
また、図5(A)の例では、3回のパス処理P1〜P3のぞれぞれにおいて、第1単位領域A1の外に位置するノズルは、印刷に使用されない。従って、3回のパス処理P1〜P3は、第1単位領域A1のみに、ドットを形成可能である。また、3回のパスの間では、使用しないノズルの組み合わせが、互いに異なっている。すなわち、3回のパスの間では、使用されるノズルの組み合わせが、互いに異なっている。
【0055】
第3パス処理P3に続いて、大きな搬送量F3(25)で搬送処理が行われる。この搬送処理に続く3回のパス処理P4〜P6は、先に説明した3回のパス処理P1〜P3と、同様に行われる。これにより、3回のパス処理P4〜P6は、34番から66番までの33本のラインによって構成される連続な部分領域A2(「第2単位領域A2」と呼ぶ)の全てのラインに、ドットdtを形成可能である。上述の搬送量F3は、第1単位領域A1と第2単位領域A2との間に隙間が生じないように、決定されている。
【0056】
以後、同様に、一定の搬送量の搬送処理(「第1搬送処理」と呼ぶ)を間に挟む3回のパス処理による連続な部分領域のドット形成と、次の連続な部分領域に移行するための大きな搬送量の搬送処理(「第2搬送処理」と呼ぶ)と、が繰り返される。これにより、複数の部分領域の印刷が、第1方向D1に沿って1つずつ進行する。以下、3回のパス処理によってドットdtが形成され得る連続な部分領域を「単位領域」とも呼ぶ。また、1つの単位領域を印刷する処理を「単位印刷」と呼ぶ。
【0057】
また、上述したように、単位領域にドットを形成するための3回のパス処理の間の第1搬送処理の搬送量(4)は、1よりも大きい。従って、不良ノズルが画質に与える影響を緩和できる。例えば、図5(A)では、第1単位領域A1内のドットdtのうちの、6番ノズルによって形成されるドットdtに、ハッチングが付されている。具体的には、10番と14番と18番との3つのラインのドットdtが、6番ノズルによって形成される。仮に、6番ノズルに、目詰まりや、インク滴の吐出方向の異常等の不具合が生じたとする。この場合、上記3つのラインに、ドットdtの無い白筋やドット位置ズレ等の不具合が生じ得る。しかし、図5(A)に示すように、不具合が生じ得るラインは、1より大きい搬送量と同じ距離だけ、互いに離れている。
【0058】
次に、搬送パターンの参考例について説明する。図6は、3回のパス処理の間の搬送処理の搬送量が「1」である場合の説明図である。図中には、図5(A)と同様に、搬送パターンの例が示されている。この場合、16番と17番と18番との3つのラインのドットdtが、6番ノズルによって形成される。図示するように、3つのラインは第1方向D1に連続するので、不具合が生じた場合には、連続する3つのラインで構成される帯状の領域に、不具合が生じる。
【0059】
図5(A)と図6とを比較すると、図6の例では、不具合を含む複数のラインが連続するので、不具合が目立ちやすい。一方、図5(A)の例では、不具合を含む複数のラインのそれぞれは、不具合の無いラインの間に挟まれるので、不具合を目立ちにくくすることができる。6番とは異なる他のノズルに不具合が生じた場合も同様である。
【0060】
以上、シアンヘッドユニット12Cについて説明したが、イエロヘッドユニット12Yとマゼンタヘッドユニット12Mとも、同様に、同じパス処理によって同じライン上にドットdtを形成する。
【0061】
図7は、ブラックインクのドット形成の説明図である。上述したように、1つの単位領域内のシアンCとマゼンタMとイエロYとのそれぞれのインクドットは、3回のパス処理に分散して形成される。一方、1つの単位領域内のブラックKのインクドットは、3回のパス処理のうちの1回のパス処理によって形成される。本実施例では、図7に示すように、第2パス処理P2によって、第1単位領域A1にブラックKのインクドットが形成される。図示するように、第1単位領域A1の外に位置するノズルは、印刷に使用されない。具体的には、1番と、2番と、36番から39番と、の6つのノズルが使用されない。図3で説明したように、ブラックKのノズルNzのノズルピッチK2は、第1方向D1のドット間距離(すなわち、印刷解像度)と同じであるので、1回のパス処理は、第1単位領域A1内の全てのラインに、ブラックKのドットdtを形成可能である。他の単位領域に関しても、3回のパス処理のうちの2回目のパス処理によって、図7の例と同様に、ブラックKのドットdtが形成される。
【0062】
なお、単位領域内のブラックKのドットdtの形成は、3回のパス処理のうちの1回目のパス処理によって行われてもよく、3回目のパス処理によって行われても良い。また、第1ブラックヘッドユニット11Kaのみを用いて、シアンヘッドユニット12Cと同様に、3回のパス処理によって、単位領域内のブラックKのドットdtが形成されてもよい。また、ブラックインクのみを用いて印刷を行う場合には、ブラックヘッドユニット11Ka、11Kb、11Kcの全てのノズルNzを用いて、印刷を行うことが好ましい。
【0063】
図8は、印刷データ生成(図4のS140)のフローチャートである。第1データ生成部241(図1)は、上述した搬送パターンに従って、印刷画素とパス処理とノズルとの対応関係を決定し、決定された対応関係に従って、印刷データを生成する。さらに、本実施例では、第1データ生成部241は、空白領域をスキップする処理(S285)と、インク使用量に応じて印刷ヘッド320の移動方向を決定する処理(S290)と、を行う。以下、詳細に説明する。
【0064】
最初のステップS280では、第1データ生成部241は、図4のステップS130で決定されたドットのパターンを解析することによって、空白領域を検索する。空白領域は、ドットが形成されない第2方向D2に延びるラインで構成される連続な領域である。インクの色に拘わらずに少なくとも1つのドットが形成されるラインは、空白領域から除かれる。図5(B)は、空白領域Abを含む領域の印刷の例を示す説明図である。図5(B)は、図5(A)と同様に、搬送パターンの例を示している。図5(B)の例では、50番から79番までの30本のラインで構成される連続な領域が、空白領域Abである。図示するように、空白領域Abは、第2単位領域A2の途中から始まっている。
【0065】
図8の次のステップS285では、第1データ生成部241は、空白領域Abをスキップするように、印刷媒体PMの搬送量を調整する。図5(B)の例では、第2単位領域A2の第1方向D1側に空白領域Abが続いているので、第1データ生成部241は、次の単位領域(第3単位領域A3)が空白領域Abの第1方向D1側に続くように、第2単位領域A2と第3単位領域A3との間の搬送量F6を調整する。具体的には、空白領域Abの第1方向D1側の端部のライン(79番)の次のライン(80番)から第3単位領域A3が始まるように、搬送量F6が決定される。この結果、搬送量F6は、通常の「25」から「38」に変更される。このように、本実施例では、単位領域毎に印刷が進行するので、空白領域Abをスキップすることによって、印刷に要する時間を大幅に短縮できる。
【0066】
図9は、別の搬送パターンの例を示す説明図である。図9の搬送パターンは、図5(B)で説明した空白領域Abのスキップの効果を説明するための、搬送パターンである。図9(A)は、5(A)と同様に、基本的な搬送パターンを示し、図9(B)は、図5(B)と同様に、空白領域Abを含む領域を印刷する場合の搬送パターンの例を示している。まず、図9(A)を参照して、基本的な搬送パターンについて説明し、続けて、空白領域Abをスキップする搬送パターンについて説明する。
【0067】
図9の例では、全てのパス処理が、ヘッドユニット12Cの全てのノズルを使用する。また、パス処理間の搬送処理の搬送量は、一定(具体的には「13」)である(「一定搬送処理」とも呼ぶ)。このように、全てのノズルを使用するパス処理と、一定搬送処理と、が繰り返される。この場合、図9(A)に示すように、第1パス処理P1の9番ノズルの位置から第1方向D1側の全てのライン上に、ドットdtが形成され得る。そこで、第1パス処理P1の9番ノズルによってドットdtが形成されるラインが、1番ラインとして採用されている。シアンCとは異なる他のインクM、Y、Kについては、シアンヘッドユニット12C(図3)と同じラインにドットを形成可能なヘッドユニット12M、12Y、11Kaが、シアンヘッドユニット12Cと同様に、ドットを形成する。ブラックKについては、図7の実施例と同様に、3つのブラックヘッドユニット11Ka、11Kb、11Kcが、1回のパス処理で、印刷解像度で配置された複数のラインにドットを形成してもよい。
【0068】
図9(A)では、6番ノズルによって形成されるドットdtに、ハッチングが付されている。図示するように、5番と18番と31番のラインのドットdtが、6番ノズルによって形成される。仮に6番ノズルに不具合が生じた場合であっても、6番ノズルに対応付けられたラインは互いに離れているので、図5(A)の例と同様に、不具合が目立つことを抑制できる。
【0069】
図9(B)は、空白領域Abをスキップする搬送パターンの例を示している。図5(B)の例と同様に、空白領域Abは、50番ラインから始まっている。1つ前の49番ラインまでの印刷は、第6パス処理P6によって完了している。空白領域Abをスキップする場合には、第6パス処理P6と第7パス処理P7との間の搬送処理の搬送量F6が、調整される。図9(A)で説明したように、新たにパス処理を開始する場合には、9番ノズルの位置から第1方向D1側の印刷が可能である。そこで、第7パス処理P7の9番ノズルの位置が、空白領域Abの第1方向D1側の端部のライン(79番)の次のライン(80番)の位置となるように、搬送量F6が決定される。この結果、搬送量F6は、通常の「13」から「14」に変更される。
【0070】
このように、図9の搬送パターンでは、単位領域毎ではなく、全てのノズルを使用して均等な搬送量で印刷が進行する。従って、空白領域Abをスキップする場合であっても、搬送量の増大量は、小さく制限される。一方、図5(B)に示す実施例では、搬送量を大幅に増大可能である。従って、実施例では、図9の搬送パターンと比べて、空白領域Abをスキップすることによって、印刷に要する時間を大幅に短縮できる。
【0071】
以上のように、第1データ生成部241は、空白領域Abをスキップするように搬送量を調整することによって、最終的な搬送パターンを決定する。対象画像上の複数の単位領域の配置は、決定された搬送パターン(具体的には、搬送量)に従って、定められる。
【0072】
図8の次のステップS290では、第1データ生成部241(図1)は、インク使用量に応じて、各パス処理における、印刷ヘッド320の移動方向を決定する。各パス処理における移動方向は、右方向DR(図3)と左方向DLとのいずれかに、決定される。
【0073】
図10は、移動方向の決定例の説明図である。図中には、対象画像の一例と(「対象画像PI」と呼ぶ)、移動方向決定のフローチャートと、決定された移動方向に応じた搬送パターンとの例と、が示されている。対象画像PI上には、複数の単位領域A1〜A5が示されている。
【0074】
第1データ生成部241(図1)は、単位領域毎に、印刷ヘッド320の移動方向を決定する処理を実行する。処理対象の単位領域(「対象単位領域」と呼ぶ)は、第1方向D1に沿って1つずつ順番に、選択される。上述したように、1つの単位領域は、3回のパス処理によって、印刷される。第1データ生成部241は、双方向印刷を行うために、3回のパス処理の移動方向のパターンを、「右方向DR、左方向DL、右方向DR」のパターンと「左方向DL、右方向DR、左方向DL」のパターンと、のいずれかに決定する。
【0075】
最初のステップS300では、第1データ生成部241は、図4のステップS130で決定されたドットのパターンを解析することによって、対象単位領域内のインク使用量IAを算出する。インク使用量IAとしては、例えば、対象単位領域内の全てのインクの全てのドットの総数を採用可能である。複数のドットサイズを利用可能な場合には、ドットサイズ毎に異なる重み付きのドット数を採用可能である。
【0076】
次のステップS310では、第1データ生成部241は、インク使用量IAが、所定の閾値IAth以上であるか否かを判定する。一般的に、薄い領域、すなわち、インク使用量が少ない領域では、インクの重ね順の違いに起因する色の違いが目立ちにくい。そこで、インク使用量IAが閾値IAth未満である場合には(S310:No)、次のステップS330で、第1データ生成部241は、双方向印刷がスムーズに進行するように、対象単位領域の3回のパス処理の移動方向のパターンを決定する。具体的には、1つ前の単位領域を印刷する最後のパス処理の移動方向の反対方向から始まるパターンが採用される。
【0077】
例えば、図10の例では、第1単位領域A1の3回のパス処理の移動方向は、所定のパターン(ここでは、「DR、DL、DR」のパターン)に決定される。次の第2単位領域A2に関しては、インク使用量IAが閾値IAth未満である。ここで、1つ前の第1単位領域A1を印刷する最後のパス処理は、第3パス処理P3であり、その第3パス処理P3の移動方向は、右方向DRである。従って、第2単位領域A2の3回のパス処理P4、P5、P6の移動方向のパターンとしては、この移動方向(右方向DR)の反対方向である左方向DLから始まるパターン、すなわち、「DL、DR、DL」のパターンが、採用される。
【0078】
インク使用量IAが閾値IAth以上である場合には(S310:Yes)、次のステップS320で、第1データ生成部241は、対象単位領域を印刷する3回のパス処理の移動方向のパターンを所定のパターンに設定する。本実施例では、インク使用量IAが多い場合のパターンとして「DR、DL、DR」のパターンが採用される。例えば、第3単位領域A3に関しては、インク使用量IAが閾値IAth以上である。従って、第3単位領域A3の3回のパス処理P7、P8、P9の移動方向のパターンは、「DR、DL、DR」のパターンに決定される。なお、図10の例では、1つ前の第2単位領域A2の最後のパス処理P6の移動方向は、左方向DLである。従って、第2単位領域A2の3回のパス処理P4、P5、P6から、第3単位領域A3の3回のパス処理P7、P8、P9への移行は、スムーズに進行する。
【0079】
図10の例では、次の第4単位領域A4のインク使用量IAも、閾値IAth以上である。従って、第1データ生成部241は、第4単位領域A4を印刷する3回のパス処理P10、P11、P12の移動方向のパターンを「DR、DL、DR」のパターンに決定する。ここで、1つ前の第3単位領域A3の最後のパス処理P9の移動方向は、右方向DRであり、第4単位領域A4の最初のパス処理P10の移動方向(右方向DR)と同じである。そこで、第1データ生成部241は、第9パス処理P9と第10パス処理P10との間に、インクドットを形成せずに印刷ヘッド320を左方向DLに移動させる処理Pxを、挿入する。この結果、第3単位領域A3の3回のパス処理P7、P8、P9から、第4単位領域A4の3回のパス処理P10、P11、P12への移行は、スムーズに進行する。
【0080】
第5単位領域A5については、インク使用量IAが、閾値IAth未満である。従って、第5単位領域A5の3回のパス処理の移動方向のパターンは、1つ前の第4単位領域A4に続く「DL、DR、DL」に決定される。
【0081】
印刷された画像を観察するユーザは、複数のラインによって形成された領域の全体を1つの領域として認識し得る。ユーザによって観察される領域が、インクの重ね順が互いに異なる複数のラインによって表されている場合、ユーザは、それら複数のラインの全体によって表される色を、その領域の色として認識し得る。上述のように、第3単位領域A3と第4単位領域A4とは、それぞれ、同じ移動パターン(具体的には「DR、DL、DR」)に従って印刷される。従って、第3単位領域A3と第4単位領域A4との間では、インクの重ね順がMCYであるライン(右方向DRのライン)と、インクの重ね順がYCMであるライン(左方向DLのライン)と、の配置、および、数の比率が、同じである(具体的には、2:1)。従って、第3単位領域A3と第4単位領域A4との間で、同じであるべき色が違って見えることを抑制できる。
【0082】
仮に、第4単位領域A4が「DL、DR、DL」の移動パターンに従って印刷されたと仮定する。この場合、第3単位領域A3と第4単位領域A4との間で、上記の2種類のラインの配置と数の比率とが異なる。従って、第3単位領域A3と第4単位領域A4との間で、同じであるべき色が違って見える可能性がある。本実施例では、2つの単位領域A3、A4の間で同じであるべき色が違って見える可能性を低減できる。
【0083】
以上、3つのカラーインクCMYの重ね順について説明したが、ブラックKを含む4つのインクCMYKの重ね順についても、同様である。すなわち、第3単位領域A3と第4単位領域A4との間では、重ね順が互いに異なる複数種類のラインの配置と数の比率とが同じであるので、2つの単位領域A3、A4の間で同じであるべき色が違って見える可能性を低減できる。
【0084】
以上のように、各パス処理の移動方向が決定されたら、図8の次のステップS295では、第1データ生成部241は、調整された搬送パターンと、決定された移動方向と、に従って、印刷データを生成する。以下、第1データ生成部241によって生成される印刷データを「第1駆動制御データ」と呼ぶ。
【0085】
以上のように、第1実施例では、単位領域を印刷する3回のパス処理(図5)の間では、印刷ヘッド320の第1方向D1の位置が異なり、そして、使用されるノズルの組み合わせが異なっている(図5(A))。従って、使用されるノズルの組み合わせが3回のパス処理の間で同じである図6の例とは異なり、単位領域の全てのラインにドットdtを形成でき、かつ、同じノズルによって印刷される複数のラインが連続することを容易に避けることができる。この結果、単位領域毎の印刷を実現でき、さらに、ノズルに不具合が生じた場合の画質の低下という不具合を抑制できる。また、単位領域の3回のパス処理の間の搬送量(ここでは、4ドット)が、単位印刷の間の搬送量(ここでは、25ドット)と異なっているので、複数の単位領域の印刷を、第1方向D1に沿って1つずつ、適切に進行できる。また、使用されないノズルは、単位領域の外に位置するノズルであるので、単位領域の印刷を簡素化できる。
【0086】
また、図5(B)で説明したように、空白領域をスキップするように、単位印刷と、次の単位印刷と、の間の搬送量が調整されるので、印刷に要する時間が長くなるという不具合を容易に抑制できる。
【0087】
また、1つの単位領域を印刷する3回のパス処理の間の搬送処理では、搬送量が一定であるので、単位印刷を簡素化できる。従って、印刷の不具合を容易に抑制できる。
【0088】
また、図3図7で説明したように、ブラックKのための複数のノズルNzの総数(すなわち、39)は、シアンCのための複数のノズルNzの総数(すなわち13)の3倍である。そして、ブラックKの第2ノズルピッチK2は、シアンCの第1ノズルピッチK1の1/3倍である。本実施例によれば、このように、ブラックKのための複数のノズルNzと比べて粗い密度で配置されたシアンCのための複数のノズルNzを用いて印刷を行う場合に、上記のように印刷の不具合を容易に抑制できる。さらに、図7で説明したように、ブラックKのドットは、39個のノズルNzの少なくとも一部を用いて、第1方向D1に第2ノズルピッチK2で並ぶ複数のライン上に、単位印刷の3回のパス処理のうちの1回のパス処理で、形成される。従って、ノズルの密度が比較的高いブラックインクと、ノズルの密度が比較的低いシアンとマゼンタとイエロのインクと、を用いた印刷を行う場合に、印刷の不具合を抑制できる。
【0089】
また、図10で説明したように、単位印刷内のインク使用量に応じて、その単位印刷の3回のパス処理における印刷ヘッド320の移動方向が決定されるので、CMYKのインクの重ね順に起因する不具合を抑制できる。特に、図10の実施例では、インク使用量IAが閾値IAth以上である単位領域では、3回のパス処理における移動方向のパターンが、所定のパターン(具体的には、「DR、DL、DR」)に決定される。従って、異なる単位領域の間で、同じであるはずの色が異なって見えることを抑制できる。
【0090】
B.第2実施例:
図11は、第1データ生成部241(図1)によって適用され得る搬送パターンの別の実施例を示す説明図である。図11(A)は、図5(A)と同様に、基本的な搬送パターンを示し、図11(B)は、図5(B)と同様に、空白領域Abをスキップする搬送パターンを示している。なお、第2実施例で用いられる複合機のハードウェア構成は、図1の複合機100のハードウェア構成と同じである。CPU110の機能部としては、第1実施例の構成に、不良ノズル特定部270が追加される。印刷の大まかな手順は、図4に示す実施例と同じである。
【0091】
図11(A)の搬送パターンでは、図5の搬送パターンと比べて、1回のパス処理で使用されるノズル数が少ない(具体的には、9個)。1回の単位印刷の3回のパス処理のうち、1回目のパス処理では、1番から4番の4つのノズルNzが使用されず、2回目のパス処理では、1番、2番、12番、13番の4つのノズルNzが使用されず、3回目のパス処理では、10番から13番の4つのノズルNzが使用されない。また、1回の単位印刷の3回のパス処理の間の搬送量(例えば、F1)が「7」である。1つの単位領域は、27本のラインで構成されている。単位印刷の間の搬送処理の搬送量(例えば、F3)は、「13」である。このように、図11(A)の搬送パターンでは、図5(A)の搬送パターンと比べて、1回のパス処理で使用されるノズル数が少ないので、印刷に要する時間が長い。シアンCとは異なる他のカラーインクM、Yについては、ヘッドユニット12M、12Yが、シアンヘッドユニット12Cと同様に、ドットを形成する。ブラックKについては、図5図7の実施例と同様に、1回のパスによって印刷解像度のドットが形成される。
【0092】
図11(A)では、第1単位領域A1内のドットdtのうちの、6番のノズルによって形成されるドットdtに、ハッチングが付されている。図示するように、4番と11番と18番のラインのドットdtが、6番ノズルによって形成される。このように、1つのノズルによってドットdtが形成され得る複数のラインが、互いに離れて配置されている。従って、ノズルの不具合が画質に与える影響を緩和できる。
【0093】
図11(B)の例では、図5(B)と同様に、50番から79番までの30本のラインで構成される連続な領域が、空白領域Abである。空白領域Abは、第2単位領域A2の途中から始まっている。第2単位領域A2の単位印刷と第3単位領域A3の単位印刷との間の搬送処理の搬送量F6は、通常の「13」から「38」に変更される。このように、第2実施例においても、単位領域毎に印刷が進行するので、空白領域Abをスキップすることによって、印刷に要する時間を大幅に短縮できる。
【0094】
図12は、第2実施例における印刷データ生成(図4のS140)のフローチャートである。第2実施例では、第1データ生成部241は、不良ノズルの位置に応じて、搬送パターンを選択する。搬送パターンは、図5の搬送パターン(以下「第1部分ノズル不均等パターン」と呼ぶ)と、図11の搬送パターン(以下「第2部分ノズル不均等パターン」と呼ぶ)と、から選択される。
【0095】
最初のステップS200では、第1データ生成部241(図1)は、不良ノズルを特定する。本実施例では、不良ノズルを表す情報(「不良ノズル情報」と呼ぶ)が、揮発性記憶装置120、または、不揮発性記憶装置130に、予め格納されており、第1データ生成部241は、不良ノズル情報を参照することによって、不良ノズルを特定する。
【0096】
不良ノズル情報は、不良ノズル特定部270(図1)によって、設定される。本実施例では、不良ノズル特定部270は、不良ノズルを表す情報をユーザから受け取ることによって、不良ノズル情報を設定する。ユーザは、テストパターンの印刷結果を観察することによって、不良ノズルを特定し、操作部160を操作して、不良ノズルを表す情報を入力する。テストパターンは、例えば、ノズル毎に準備されたパッチを表している。印刷データ生成部200は、ユーザの指示に従って、テストパターンを表す印刷データを生成し、データ送信部250は、生成された印刷データを印刷実行部300に送信し、印刷実行部300は、受信した印刷データに従って、テストパターンを印刷する。
【0097】
なお、不良ノズル特定部270は、自動的に不良ノズルを特定してもよい。例えば、複合機100が、印刷されたテストパターンを光学的に読み取るスキャナを有する場合がある。この場合、不良ノズル特定部270は、スキャナによって生成された画像データを解析することによって不良ノズルを特定し、特定結果に従って不良ノズル情報を設定可能である。
【0098】
図12の次のステップS205では、第1データ生成部241は、第1と第2の部分ノズル不均等パターン(図5図11)の中から、不良ノズルの使用頻度が少ない搬送パターンを選択する。第1と第2の部分ノズル不均等パターンの間で、不良ノズルの使用頻度が同じである場合には、印刷に要する時間が比較的短い(すなわち、1回のパス処理で使用されるノズル数が比較的多い)第1部分ノズル不均等パターンが選択される。
【0099】
例えば、図5(A)の搬送パターンでは、1番ノズルは、単位印刷の3回のパス処理のうちの1回のパス処理で使用されるので、使用頻度は1/3である。図11(A)の搬送パターンでは、1番ノズルは、単位印刷の3回のパス処理のうちの1回のパス処理で使用されるので、使用頻度は1/3である。従って、仮に1番ノズルが不良ノズルである場合には、2つの搬送パターンの間で不良ノズルの使用頻度が同じであるので、第1部分ノズル不均等パターンが選択される。
【0100】
また、図5(A)の搬送パターンでは、4番ノズルは、単位印刷の3回のパス処理のうちの全てのパス処理で使用されるので、4番ノズルの使用頻度は、3/3である。一方、図11(A)の搬送パターンでは、4番ノズルは、単位印刷の3回のパス処理のうちの2回のパス処理で使用されるので、4番ノズルの使用頻度は、2/3である。従って、仮に4番ノズルが不良ノズルである場合には、使用頻度が少ない第2部分ノズル不均等パターンが選択される。
【0101】
以上、シアンヘッドユニット12Cの不良ノズルについて説明したが、印刷に用いられる他のヘッドユニットの不良ノズルの使用頻度についても、同様に、算出される。そして、印刷に用いられるヘッドユニットの全ての不良ノズルの使用頻度の合計値が、最も小さい搬送パターンが選択される。なお、不良ノズルが画質に及ぼす影響は、インクに応じて異なる場合がある。この場合、影響が大きい一部のインクの不良ノズルに応じて、搬送パターンが選択されてもよい。例えば、イエロインクの不良ノズルを考慮せずに、他のインクの不良ノズルに応じて、搬送パターンが選択されてもよい。
【0102】
図12の続くステップS280、S285、S290、S295は、図8の同じ符号のステップと、それぞれ同じである。第1データ生成部241は、ステップS205で選択した搬送パターンに従って、印刷データを生成する。
【0103】
以上のように、第2実施例では、第1データ生成部241は、不良ノズルの使用頻度が少ない搬送パターンに従って印刷データを生成する。すなわち、単位印刷の3回のパス処理の少なくとも1回のパス処理を、不良ノズルの少なくとも一部を用いずに行うように、印刷データが生成される。従って、不良ノズルが画質に与える影響を緩和できる。
【0104】
C.第3実施例:
図13は、第3実施例における印刷データの生成処理のフローチャートである。第3実施例では、画像の種類に応じて、搬送パターンが選択される。第3実施例で用いられる複合機のハードウェア構成は、図1の複合機100のハードウェア構成と同じである。CPU110の機能部としては、第1実施例の構成に、第2データ生成部242と選択部249とが追加される。印刷の大まかな手順は、図4に示す実施例と同じである。
【0105】
図13の最初のステップS210では、選択部249(図1)は、対象画像を解析することによって、文字とグラフィックの領域の割合Trを算出する。具体的には、選択部249は、入力画像データを解析して、対象画像から、文字を表す文字領域と、写真を表す写真領域と、グラフィックを表すグラフィック領域と、を検出する。グラフィックは、文字と写真以外の画像であり、例えば、イラスト、表、ヒストグラムやパイチャート等のチャート、線図、模様等である。次に、選択部249は、対象画像の全体に対する、文字領域とグラフィック領域とを合わせた領域の面積割合を、割合Trとして算出する。なお、選択部249は、入力画像データに限らず、対象画像を表す種々の画像データ(例えば、ラスタライザ210によって生成されるビットマップデータ)を、利用可能である。
【0106】
対象画像からオブジェクトの種類毎に領域を検出する方法としては、公知の方法を採用可能である。例えば、対象画像を複数の処理領域に分割し、処理領域毎に画素値(例えば、明るさを表す画素値)の分散を算出し、分散が第1閾値よりも小さい処理領域を文字領域に分類し、分散が第2閾値(第2閾値>第1閾値)よりも大きい処理領域を写真領域に分類し、分散が第1閾値以上第2閾値以下である処理領域をグラフィック領域に分類する方法を、採用可能である。また、複数の種類の領域の検出には、分散に限らず、他の種々の情報(例えば、各処理領域の色数)を利用可能であり、また、複数の情報を組み合わせることによって、複数の種類の領域を検出してもよい。
【0107】
図13の次のステップS215では、選択部249は、割合Trが所定の閾値Trth以上であるか否かを判定する。割合Trが閾値Trth以上である場合(S215:Yes)、すなわち、文字領域またはグラフィック領域の割合が高い場合、次のステップS225で、選択部249は、第1部分ノズル不均等パターン(すなわち、第1データ生成部241)を選択する。選択された第1データ生成部241は、図8の実施例と同様に、続くステップS280、S285、S290、S295を実行して、印刷データを生成する。なお、第1データ生成部241は、第1部分ノズル不均等パターン(図5)に従って、印刷データを生成する。この代わりに、第2部分ノズル不均等パターン(図11)が採用されてもよい。また、図12と同様の手順に従って、搬送パターンが選択されてもよい。
【0108】
グラフィック領域は、他の種類の領域と比べて、均一な色の領域(ベタ領域とも呼ばれる)を含む可能性が高い。例えば、パイチャートや、イラストのベタ領域が、グラフィック領域に含まれ得る。このようなベタ領域では、インクの重ね順の違いに起因する色の違いが目立ちやすい。本実施例では、グラフィック領域の割合が高い場合であっても(S215:Yes)、第1データ生成部241は、部分ノズル不均等パターン(図5図11)に従って、ステップS290(図13)を実行するので、インクの重ね順の違いに起因する色の違いが目立つことを、抑制できる。
【0109】
また、文字領域またはグラフィック領域の割合が高い場合、対象画像が空白領域(例えば、図5(B)の空白領域Ab)を含む可能性が高い。本実施例では、第1データ生成部241が、部分ノズル不均等パターン(図5図11)に従って、ステップS280、S285(図13)を実行するので、空白領域をスキップすることによって、印刷に要する時間が長くなることを抑制できる。また、部分ノズル不均等パターン(図5図11)に従えば、図5(A)、図11(A)で説明したように、不具合を有するノズルが画質に及ぼす影響を緩和できる。
【0110】
割合Trが閾値Trth未満である場合(S215:No)、すなわち、写真領域の割合が高い場合、次のステップS230で、選択部249は、図9に示す全ノズル均等パターンを選択する。本実施例では、全ノズル均等パターンに基づく印刷データの生成は、第2データ生成部242(図1)によって実現される。第2データ生成部242は、続くステップS280、S285、S290、S295を、全ノズル均等パターンに従って実行することによって、印刷データを生成する。
【0111】
第2データ生成部242によるステップS280は、第1データ生成部241によるステップS280と同じである。第2データ生成部242によるステップS285は、図9(B)で説明したように、行われる。空白領域をスキップすることによる時間短縮の効果は、部分ノズル不均等パターンと比べて小さいが、そもそも写真領域に空白領域が含まれる可能性は低いので、全ノズル均等パターンに従って印刷データを生成しても問題にはならない。これに対し、全ノズル均等パターンでは、全てのパス処理が全てのノズルを使用するので、即ち、部分ノズル不均等パターンに比べて多くのノズルを使用するので、印刷に要する時間が長くなることを抑制できる。
【0112】
第2データ生成部242によるステップS290は、省略可能である。写真領域は、グラフィック領域と比べて、均一な色の領域(例えば、ベタ領域)を含む可能性が低いので、写真領域では、インクの重ね順の違いに起因する色の違いが目立ちにくい。従って、ステップS290を省略した場合であっても、画質の低下は目立ちにくい。なお、第2データ生成部242は、各パス処理における印刷ヘッド320の移動方向を、右方向DRと左方向DLとが交互に繰り返されるように、決定する。
【0113】
なお、第2データ生成部242は、図10の実施例と同様に、インク使用量に応じて各パス処理の移動方向を決定してもよい。例えば、第2データ生成部242は、インク使用量が所定の閾値以上であるラインを印刷するパス処理の移動方向を、所定の移動方向(例えば右方向DR)に決定してもよい。移動方向の決定は、連続する複数のラインで構成される部分領域毎に、行われてもよい。
【0114】
ステップS295では、第2データ生成部242は、搬送パターンと、各パス処理の移動方向と、に従って、印刷データを生成する。以下、第2データ生成部242によって生成される印刷データを「第2駆動制御データ」とも呼ぶ。
【0115】
以上のように、第3実施例では、選択部249は、対象画像によって表されるオブジェクトの種類(特に、文字領域とグラフィック領域とを合わせた領域の面積割合)に応じて、印刷データを生成すべき生成部を、第1データ生成部241と第2データ生成部242とから、選択する。従って、対象画像の種類に適した印刷を実現できる。例えば、主に写真を表す対象画像の印刷に、仮に部分ノズル不均等パターンが適用されると仮定する。この場合、対象画像が空白領域を含む可能性が小さく、そして、各パス処理が一部のノズルのみを使用する。従って、印刷に要する時間が長くなる可能性が高い。また、主にチャート(例えば、ヒストグラムやパイチャート)を表す対象画像の印刷に、仮に全ノズル均等パターンが適用されると仮定する。この場合、対象画像が均一な色の領域(ベタ領域)を含む可能性が高く、そのようなベタ領域では、インクの重ね順の違いに起因する色の違いが目立つ可能性が高い。また、対象画像に空白領域が含まれたとしても、空白領域をスキップすることによる時間短縮の効果を部分ノズル不均等パターンほど得られない。本実施例では、そのような不具合を抑制できる。
【0116】
D.第4実施例:
図14は、印刷データ生成部200(図1)によって適用され得る搬送パターンの別の実施例を示す説明図である。図14(A)は、図5(A)と同様に、基本的な搬送パターンを示し、図14(B)は、図5(B)と同様に、空白領域Abをスキップする搬送パターンを示している。なお、第4実施例で用いられる複合機のハードウェア構成は、図1の複合機100のハードウェア構成と同じである。CPU110の機能部としては、第1実施例の構成に、第3データ生成部243と選択部249と不良ノズル特定部270とが追加される。印刷のおおまかな手順は、図4に示す実施例と同じである。
【0117】
図14(A)の搬送パターンでは、図5の搬送パターンとは異なり、全てのパス処理が、ヘッドユニット12Cの全てのノズルを使用する。また、パス処理間の搬送処理の搬送量は、「7、7、25」の繰り返しに設定される。この場合、図14(A)に示すように、第1パス処理P1の5番ノズルの位置から第1方向D1側の全てのライン上に、ドットdtが形成され得る。そこで、第1パス処理P1の5番ノズルによってドットdtが形成されるラインが、1番ラインとして採用されている。
【0118】
図14(A)の例では、「7」の搬送量の搬送処理を挟んで連続する3回のパス処理P1〜P3によって、第1単位領域A1の全てのラインのドット形成が行われる。第1単位領域A1は、1番から25番までの25本のラインで構成される連続な部分領域である。3回のパス処理P1〜P3は、さらに、26番から41番までの一部のラインにも、ドットを形成し得る。このように、最初の3回のパスP1、P2、P3は、図5図11との単位領域よりも広い幅の領域に、ドットを形成可能である。
【0119】
第3パス処理P3に続いて、大きな搬送量F3(25)で搬送処理が行われる。この搬送処理に続く3回のパス処理P4〜P6は、先に説明した3回のパス処理P1〜P3と、同様に行われる。これにより、3回のパス処理P4〜P6は、40番から64番までの25本のラインで構成される第2単位領域A2の全てのラインに、ドットdtを形成可能である。そして、3回のパス処理P4〜P6は、第2単位領域A2の搬送方向DF側と第1方向D1側とを含む更に広い領域に、ドットを形成可能である。例えば、第1単位領域A1と第2単位領域A2との間の領域のドットdtは、4回のパス処理P2〜P5によって形成される。
【0120】
以後、同様に、一定の搬送量の搬送処理を間に挟む3回のパス処理と、大きな搬送量の搬送処理と、が繰り返される。一定の搬送量の搬送処理を間に挟む3回のパス処理は、図5図11との単位領域よりも広い幅の領域に、ドットを形成可能である。以下、3回のパス処理によるドット形成処理を、「拡張単位印刷」とも呼ぶ。
【0121】
シアンCとは異なる他のインクM、Y、Kについては、ヘッドユニット12M、12Y、11Kaが、シアンヘッドユニット12Cと同様に、ドットを形成する。ブラックKについては、図7の実施例と同様に、3つのブラックヘッドユニット11Ka、11Kb、11Kcが、1回のパス処理で、印刷解像度で配置された複数のラインにドットを形成してもよい。
【0122】
図14(A)では、第1単位領域A1内のドットdtのうちの、6番のノズルによって形成されるドットdtに、ハッチングが付されている。図示するように、4番と11番と18番のラインのドットdtが、6番ノズルによって形成される。このように、1つのノズルによってドットdtが形成され得る複数のラインが、互いに離れて配置されている。従って、ノズルの不具合が画質に与える影響を緩和できる。
【0123】
図14(B)は、空白領域Abをスキップする搬送パターンの例を示している。図5(B)の例と同様に、空白領域Abは、50番ラインから始まっている。1つ前の49番ラインまでの印刷は、第6パス処理P6によって完了している。空白領域Abをスキップする場合には、第6パス処理P6と第7パス処理P7との間の搬送処理の搬送量F6が、調整される。図14(A)で説明したように、新たにパス処理を開始する場合には、5番ノズルの位置から第1方向D1側の印刷が可能である。そこで、第7パス処理P7の5番ノズルの位置が、空白領域Abの第1方向D1側の端部のライン(79番)の次のライン(80番)の位置となるように、搬送量F6が決定される。この結果、搬送量F6は、通常の「25」から「27」に変更される。
【0124】
図15は、第4実施例における印刷データの生成処理のフローチャートである。第4実施例では、不良ノズルの有無に応じて、搬送パターンが選択される。搬送パターンは、図5の第1部分ノズル不均等パターンと、図14の搬送パターン(「全ノズル不均等パターン」と呼ぶ)と、から選択される。
【0125】
最初のステップS200aは、図12のステップS200と同様に、選択部249は、不良ノズル情報を参照して、不良ノズルを特定する。次のステップS250では、選択部249(図1)は、印刷に用いられるヘッドユニットの全てのノズルが正常であるか否かを判定する。印刷に用いられるヘッドユニットが、不良ノズルを含む場合には(S250:No)、次のステップ260で、選択部249は、第1部分ノズル不均等パターン(すなわち、第1データ生成部241)を選択する。選択された第1データ生成部241は、図8の実施例と同様に、続くステップS280、S285、S290、S295を実行して、印刷データを生成する。なお、第1データ生成部241は、第1部分ノズル不均等パターン(図5)に従って、印刷データを生成する。この代わりに、第2部分ノズル不均等パターン(図11)が採用されてもよい。また、図12と同様の手順に従って、搬送パターンが選択されてもよい。
【0126】
印刷に用いられるヘッドユニットの全てのノズルが正常である場合(S250:Yes)、次のステップS255で、選択部249は、図14に示す全ノズル不均等パターンを選択する。本実施例では、全ノズル不均等パターンに基づく印刷データの生成は、第3データ生成部243(図1)によって実現される。第3データ生成部243は、続くステップS280、S285、S290、S295を、全ノズル均等パターンに従って実行することによって、印刷データを生成する。
【0127】
第3データ生成部243によるステップS280は、第1データ生成部241によるステップS280と同じである。第3データ生成部243によるステップS285は、図14(B)で説明したように、行われる。空白領域をスキップすることによる時間短縮の効果は、部分ノズル不均等パターンと比べて小さいが、全ノズル不均等パターンでは、全てのパス処理が全てのノズルを使用するので、印刷に要する時間が長くなることを抑制できる。
【0128】
第3データ生成部243によるステップS290は、省略可能である。この場合、第3データ生成部243は、各パス処理における印刷ヘッド320の移動方向を、右方向DRと左方向DLとが交互に繰り返されるように、決定する。ただし、第3データ生成部243は、図10の実施例と同様に、インク使用量に応じて各パス処理の移動方向を決定してもよい。例えば、第3データ生成部243は、インク使用量が所定の閾値以上であるラインを印刷するパス処理の移動方向を、所定の移動方向(例えば右方向DR)に決定してもよい。移動方向の決定は、連続する複数のラインで構成される部分領域毎に、行われてもよい。
【0129】
ステップS295では、第3データ生成部243は、搬送パターンと、各パス処理の移動方向と、に従って、印刷データを生成する。以下、第3データ生成部243によって生成される印刷データを「第3駆動制御データ」とも呼ぶ。
【0130】
以上のように、第4実施例では、選択部249は、不良ノズルの有無に応じて、印刷データを生成すべき生成部を、第1データ生成部241と第3データ生成部243とから、選択する。従って、印刷に用いられるヘッドユニットが不良ノズルを含む場合と含まない場合とのそれぞれに適した印刷を実現できる。例えば、不良ノズルが無い場合に、仮に部分ノズル不均等パターンが適用されると仮定する。この場合には、全ノズル不均等パターンが適用される場合と比べて、印刷に要する時間が長くなる。また、不良ノズルが存在する場合に、仮に全ノズル不均等パターンが適用されると仮定する。この場合には、部分ノズル不均等パターンが適用される場合と比べて、不良ノズルの使用頻度が高くなる可能性がある。この結果、画質が低下する可能性がある。本実施例では、そのような不具合を抑制できる。
【0131】
E.変形例:
(1)上述の各実施例において、第1ノズルピッチK1と、ノズル数Lと、第1方向D1の印刷解像度と、の組み合わせとしては、種々の組み合わせを採用可能である。例えば、第1ノズルピッチK1は、第1方向D1のドット間距離(すなわち、印刷解像度)の、P倍(Pは2以上の整数)であってよい。この場合、図5図11の搬送パターンにおいて、1回の単位印刷のパス処理の回数として、P回を採用可能である。なお、値Pが偶数である場合には、複数の単位領域の間で、P回のパス処理の移動方向のパターンが共通なので、図8図12図13図15のステップS290を省略可能である。また、図5図11の搬送パターンにおいて、1回の単位印刷の複数回のパス処理の間の搬送処理の搬送量としては、「4(図5)」や「7(図11)」に限らず、第1ノズルピッチK1と互いに素な種々の値を採用可能である。1回の単位印刷の複数回のパス処理の間で、搬送量が変化してもよい。いずれの場合も、各パス処理において、不使用ノズルとしては、印刷対象の単位領域の外に位置するノズルを採用可能である。
【0132】
また、図9の搬送パターンにおいても、搬送量としては、13に限らず、第1ノズルピッチK1と互いに素な種々の値を採用可能である。また、図14の搬送パターンにおいても、一定の搬送量の搬送処理を間に挟むパス処理の回数として、P回を採用可能である。そして、P回のパス処理の間の搬送量としては、7に限らず、第1ノズルピッチK1と互いに素な種々の値を採用可能である。
【0133】
(2)印刷データ生成処理としては、図8図12図13図15の処理に限らず、種々の処理を採用可能である。例えば、空白領域をスキップするためのステップS280、S285を省略してもよい。また、インクの重ね順を制御するためのステップS290では、単位領域を印刷する複数回のパス処理のそれぞれの移動方向が、同じ方向(例えば、右方向DR)に設定されてもよい。また、このステップS290を省略してもよい。また、生成される印刷データは、双方向印刷ではなく、単方向印刷を実現するデータであってもよい。例えば、インクドットを形成する全てのパス処理の移動方向が、右方向DRに設定されてもよい。この場合には、インクドットを形成するパス処理の間に、インクドットを形成せずに左方向DLに印刷ヘッド320を移動させる処理が行われる。
【0134】
(3)印刷実行部300の構成としては、図2図3に示す構成に限らず、種々の構成を採用可能である。例えば、第2ブラックヘッドユニット11Kbと第3ブラックヘッドユニット11Kcとが省略されて、4つのヘッドユニット11Ka、12Y、12C、12Mが、印刷ヘッド320に設けられても良い。また、利用可能なインクの種類としては、CMYKに限らず、任意の種類のインク(例えば、赤インク)を採用可能である。また、利用可能なインクの数としては、4に限らず、Q個(Qは1以上の整数)を採用可能である。
【0135】
(4)図1に示す実施例において、印刷制御装置190と印刷実行部300とが、同じ装置内に実装される代わりに、互いに離れた別の装置として実現されてもよい。例えば、印刷制御装置190の機能は、デジタルカメラ、スキャナ、携帯電話、パーソナルコンピュータによって実現されてもよい。
【0136】
また、ネットワークを介して互いに通信可能な複数の装置(例えば、コンピュータ)が、印刷データ生成部200の機能を一部ずつ分担して、全体として、印刷データ生成部200の機能を提供してもよい(これらの装置を備えるシステムを、印刷データ生成装置、または、印刷制御装置と呼ぶことができる)。さらに、ネットワークを介して互いに通信可能な複数の装置(例えば、コンピュータ)が、取得部260と印刷データ生成部200とデータ送信部250との機能を一部ずつ分担して、全体として、取得部260と印刷データ生成部200とデータ送信部250との機能を提供してもよい(これらの装置を備えるシステムを、印刷制御装置と呼ぶことができる)。
【0137】
上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、図1の印刷データ生成部200の機能を、論理回路を有する専用のハードウェア回路によって実現してもよい。
【0138】
また、本発明の機能の一部または全部がコンピュータプログラムで実現される場合には、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、一時的ではない記録媒体)に格納された形で提供することができる。プログラムは、提供時と同一または異なる記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に格納された状態で、使用され得る。「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、メモリーカードやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種ROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスクドライブ等のコンピュータに接続されている外部記憶装置も含んでいる。
【0139】
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
【符号の説明】
【0140】
11Ka...第1ブラックヘッドユニット、11Kb...第2ブラックヘッドユニット、11Kc...第3ブラックヘッドユニット、12C...シアンヘッドユニット、12M...マゼンタヘッドユニット、12Y...イエロヘッドユニット、100...複合機、110...CPU、120...揮発性記憶装置、130...不揮発性記憶装置、132...プログラム、160...操作部、170...表示部、180...インタフェース、190...印刷制御装置、200...印刷データ生成部、210...ラスタライザ、220...色変換部、230...ハーフトーン処理部、241...第1駆動制御データ生成部(第1データ生成部)、242...第2駆動制御データ生成部(第2データ生成部)、243...第3駆動制御データ生成部(第3データ生成部)、249...選択部、250...データ送信部、260...取得部、270...不良ノズル特定部、300...印刷実行部、310...駆動回路、320...印刷ヘッド、330...キャリッジ、340...ヘッド駆動装置、342...ガイドレール、344...ベルト、346...第2モータ、390...媒体搬送装置、392...ローラ、392...第1ローラ、394...第2ローラ、396...第1モータ、PI...対象画像、PM...印刷媒体、Ab...空白領域、dt...ドット、Nz...ノズル
図1
図2
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図6
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図10
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図12
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図15