【実施例】
【0065】
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において、様々な変形や修正が可能である。
【0066】
[測定方法]
(1)ポリ乳酸繊維
A.繊度
JIS L 1015(1999)8.5.1 A法に準じて測定した。試料若干量を金ぐしで平行に引きそろえ、これを切断台上に置いたラシャ紙の上に載せ、適度の力でまっすぐに張ったままゲージ板を圧縮し、安全かみそりで30mmの長さに切断し、繊維を数えて300本を一組とし、その質量を量り、見かけ繊度を求めた。見かけ繊度から、次の式によって正量繊度を求め、算術平均値を繊度とした。
正量繊度(dtex)=D′×(100+Rc)/(100+Re)
ここに、D′:見かけ繊度(dtex)、Rc:公定水分率(%)、Re:平衡水分率(%)。
【0067】
B.繊維長
JIS L 1015(1999)8.4.1 A法に準じて測定した。試料を800mg量り取り、ステープルダイヤグラムを作成し、ステープルダイヤグラムを50の繊維長群に等分し、各区分の境界及び両端の繊維長を測定し、両端繊維長の平均に49の境界繊維長を加えて50で除して平均繊維長(mm)を算出し、2回の平均値を繊維長とした。
【0068】
C.引張強度・引張伸度
JIS L 1015(1999)8.7.1に準じて測定した。引張速度20mm/min、つかみ間隔20mmで試験し、次の式により引張強度と引張伸度を求めた。試験回数は10回とし、その算術平均値を算出した。
引張強度(cN/dtex)=SD/F0
ここに、SD:最大荷重(cN)、F0:試料の単糸繊度(dtex)
引張伸度(%)=(E1−E2)/(L+E1)×100
ここに、E1:緩み(mm)、E2:最大荷重時の伸び(mm)、L :つかみ間隔(mm)。
【0069】
D.乾熱収縮率
JIS L 1015(1999)8.15.b)に準じて測定した。JIS L 1015(1999)8.7.1の引張強度・引張伸度と同様の方法にて区分線を作り(ただし、空間距離は25mmとした)、初荷重をかけたときの距離(mm)を読んだ。試料を装置から取り出し、150℃の乾燥機中につり下げ、30分間放置後取り出し、室温まで冷却後、再び装置に取り付け、初荷重をかけたときのつかみ間の距離を読み、次の式によって乾熱収縮率を測定した。
乾熱収縮率(%)=((L−L’)/L)×100
L:150℃処理前の初荷重をかけたときのつかみ間の距離(mm)
L’:150℃処理後の初荷重をかけたときのつかみ間の距離(mm)
【0070】
E.分子量
ポリ乳酸をクロロホルムに溶解させて測定溶液とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)でカラム温度40℃、流量1ミリリットル/minの条件にて測定し、ポリスチレン換算で数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を求めた。測定数は5回とし、その算術平均値を算出した。
【0071】
F.粒子径
粒子径は、島津製作所製SALD−7100を用い、レーザー回折法のメディアン径d50(分布基準は個数であり、大径側の粒子数と小径側の粒子数が等しくなる累積50%の粒径を測定)を測定した。試験回数は5回とし、その算術平均値を粒子径とした。
【0072】
G.融点、降温結晶化温度
島津製作所社製示差走査熱量計DSC−60型を用い、試料2.0mgを昇温速度10℃/min、目標温度250℃、ホールド時間5分間、その後、降温速度10℃/min、目標温度30℃にて測定した。得た融解吸熱曲線(昇温時)の極値の温度を融点(℃)、結晶化発熱曲線(降温時)の極値の温度を降温結晶化温度(℃)とした。試験回数は5回とし、その算術平均値を算出した。
【0073】
G.エポキシ残価
JIS K7236(2001)エポキシ樹脂のエポキシ当量に準じて測定した。試料をビーカーにとり、クロロホルム20mlを加え、溶解し、酢酸40mlおよび臭化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液10mlを加え、0.1mol/リットル過塩素酸酢酸溶液で電位差滴定を行った。その後、試料による0.1mol/リットル過塩素酸酢酸溶液消費量を補正するため、試料にクロロホルムと酢酸のみを加え、滴定した値を差し引きし、補正を行う方法によりエポキシ残価を算出した。
【0074】
H.COOH末端基濃度
秤量した試料をo−クレゾールに溶解し、ジクロロメタンを適量添加した後、0.02規定のKOHメタノール溶液で滴定した。この時、乳酸の環状2量体であるラクチド等のオリゴマーは加水分解され、COOH基末端を生じるため、ポリマーのCOOH基末端およびモノマー由来のCOOH基末端、オリゴマー由来のCOOH基末端の全てを合計したCOOH基末端濃度が求められる。この濃度をCOOH末端基濃度とした。
【0075】
I.捲縮数
JIS L 1015(1999)8.12.1に準じて測定した。JIS L 1015(1999)8.7.1の引張強度・引張伸度と同様の方法にて区分線を作り(ただし、空間距離は25mmとした)、これに捲縮が損なわれていない数個の部分から採取した試料を1本ずつ、空間距離に対して25±5%の緩みをもたせて、両端を接着剤ではり付け固着させた。この試料を1本ずつ、捲縮試験機のつかみに取り付け、紙片を切断した後、試料に初荷重(0.18mN×表示テックス数)をかけたときのつかみ間の距離(空間距離:mm)を読み、そのときの捲縮数を数えて、25mm長当たりの捲縮数を求め、20回の算術平均値を捲縮数とした。
【0076】
J.捲縮度
JIS L 1015(1999)8.12.2に準じて測定した。試料に初荷重(0.18mN×表示テックス数)かけたときの長さと、これに荷重(4.41mN×表示テックス数)をかけたときの長さを測り、次式によって捲縮度を算出した。
Cp={(b−a)/b}×100
Cp:捲縮度(%)
a:初荷重をかけたときの長さ(mm)
b:4.41mN×表示テックス数をかけたときの長さ(mm)
【0077】
(2)ケナフ繊維等の天然繊維
A.繊維長
ケナフ繊維長等の天然繊維は、ケナフ繊維等の天然繊維1kgの中よりランダムで100本採取した。採取する際に、折れ・千切れなどのあるケナフ繊維等の天然繊維は試験片としなかった。採取したケナフ繊維等の天然繊維を両面テープを貼り付けた台紙に、適度の力でまっすぐに貼り付け、ノギスにて繊維長を1mmまで測定し、100本の算術平均値を繊維長とした。
【0078】
B.繊維径
ケナフ繊維等の天然繊維の繊維径はケナフ繊維等の天然繊維1kgの中よりランダムで60本の繊維を採り、走査電子顕微鏡による拡大鏡によってその断面径(外接円の直径)を測定し、60本の算術平均値を繊維径とした。繊維径は0.1μmの精度で測定した。
【0079】
C.引張強度・引張伸度
ケナフ繊維等の天然繊維を標準状態(20℃、相対湿度65%)で48hr放置した後、そのケナフ繊維等の天然繊維から繊維量600dtex(繊維の折れや切れがない部分を使用)を10点採取し、10本の繊維束を得た(繊維長75mmの場合4.5mgを採取した)。各繊維束の両端を2つの厚紙を用いて、厚紙間が10mmになるように両面テープにて貼り付けた。そして、繊維束の厚紙部分を引張試験機のチャックにつかみ間隔10mmで取付けた。引張試験機にて引張速度10mm/minで、繊維束が切断するまで荷重を加え、次式によって10回の算術平均値を算出した。
引張強度(cN/dtex)=[最大荷重時の引張強さ(cN)]/[繊維量600dtex]
引張伸度(%)=[最大荷重時の伸び(mm)]/[つかみ間隔10(mm)]。
【0080】
D.含水率
試験繊維は、1kgのケナフ繊維等の天然繊維の中から繊維10gを3点採取し、そのケナフ繊維等の天然繊維を秤量瓶に入れた。標準状態(20℃、相対湿度65%)で48hr放置した後、初期重量を電子天秤にて測定した。その後、105℃で48hr乾燥処理して(これを絶対乾燥状態という)、重量を測定し、次式によって含水率を算出した。放置および乾燥処理の際は秤量瓶の蓋を取って処理を行った。
含水率(%)=[初期質量(g)−絶対乾燥状態の質量(g)]/
[絶対乾燥状態の質量(g)]×100
【0081】
E.臭気量
ケナフ繊維等の天然繊維から22gの試験片を2個採取する。各試験片を600ミリリットルのデュラン瓶に入れ、密閉し、20℃、相対湿度65%の標準状態にて24時間放置した。放置後、上記デュラン瓶内に高純度窒素ガスを送りながら、デュラン瓶内の雰囲気を捕集管に2L採気した。
アルデヒド類(アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド)は、捕集管(DNPH SILICAサンプラー)を用いてアセトニトリル5mlで溶出、抽出液を窒素パージにて10倍濃縮した。その試験液をGC/MS(ガスクロマトグラフィーを直結した質量分析計)に導入して分析を行い、下記の式にて臭気量を算出した。
アルデヒド類の臭気量(μg/kg)=[抽出液中の成分量(μg/ml)×抽出液量(ml)×アルデヒド分子量×1000]/[濃縮倍率×(アルデヒド分子量+180)/サンプル量(g)]
VOC(揮発性有機化合物)は、捕集管(カーボントラップ400)より捕集成分を加熱脱離し、脱離成分をGC/MSに導入、分析を行い、下記の式にて臭気量を算出した。
VOCの臭気量(μg/kg)=成分量(ng)/サンプル量(g)。
【0082】
F.空隙数
ケナフ繊維等の天然繊維の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察し、導管に由来する空隙数を数えた。ケナフ繊維等の天然繊維10本の空隙数を数え、その空隙数を10で除して1本当たりの算術平均値を空隙数とした。
【0083】
(3)不織布
A.混率
試料の異なる箇所から、50mm×50mmの大きさの正方形の試験片を5枚採取した。標準状態(20℃、相対湿度65%)で48hr放置した後、初期重量を電子天秤にて測定した。その試験片をクロロホルムに浸漬させ、ポリ乳酸繊維を全て溶かした。その後、標準状態(20℃、相対湿度65%)で48hr放置し、放置後の重量を測定し、下記式にて混率を求めた。
ポリ乳酸繊維混率(%)=[初期重量−放置後の質量]/初期重量×100
ケナフ等の天然繊維混率(%)=[100−ポリ乳酸繊維混率]。
【0084】
B.ケナフ繊維等の天然繊維の繊維長度数分布(ヒストグラム)
ポリ乳酸繊維とケナフ繊維等の天然繊維とを含む不織布から200mm×200mmの大きさの正方形状のものを採取し、その中よりランダムでケナフ繊維等の天然繊維を100点採取した。採取する際に、折れ・千切れなどのあるケナフ繊維等の天然繊維は試験片としなかった。採取したケナフ繊維等の天然繊維を両面テープを貼り付けた台紙に、適度の力でまっすぐに貼り付け、ノギスにて繊維長を1mmまで測定した。度数分布は、繊維長45mm未満、繊維長45mm以上65mm未満、65mm以上85mm未満、85mm以上に分け、それぞれの本数を数え、下記の式により繊維長の割合を計算した。
繊維長45mm未満のケナフ繊維等の天然繊維(%)=(繊維長45mm未満のケナフ繊維等の天然繊維の本数/100)×100
繊維長45mm以上65mm未満のケナフ繊維等の天然繊維(%)=(繊維長45mm以上65mm未満のケナフ繊維等の天然繊維の本数/100)×100
繊維長65mm以上85mm未満のケナフ繊維等の天然繊維(%)=(繊維長65mm以上85mm未満のケナフ繊維等の天然繊維の本数/100)×100
繊維長85mm以上のケナフ繊維等の天然繊維(%)=(繊維長85mm以上のケナフ繊維等の天然繊維の本数/100)×100
繊維長45mm以上のケナフ繊維等の天然繊維(%)=(100−繊維長45mm未満のケナフ繊維等の天然繊維(%))。
【0085】
C.目付
目付はJIS L 1906(2000)5.2に準じて測定した。試料の異なる箇所から200mm×250mmの大きさの試験片を3枚採取し、温度20℃、相対湿度65%の標準状態にて24hr放置後、それぞれの質量(g)を量り、その算術平均値を1m
2当たりの質量(g/m
2)で表し、目付とした。
【0086】
D.厚さ
試料の異なる箇所から200mm×250mmの大きさの試験片を3枚採取し、温度20℃、相対湿度65%の標準状態にて24hr放置後、それぞれの中央と4隅の5点の厚さ(mm)を測定器(TECLOCK type SM−123)にて0.01mmまで測定し、その算術平均値を厚さとした。
【0087】
E.通気度
JIS L 1096(1999)8.27.1 A法(フラジール形法)に準じて測定した。試料の異なる箇所から200mm×250mmの大きさの試験片を5枚採取し、フラジール形試験機を用い、円筒の一端(吸気側)に試験片を取り付けた。試験片の取り付けに際し、円筒の上に試験片を置き、試験片上から吸気部分を塞がないように均等に約98N(10kgf)の荷重を加え試験片の取り付け部におけるエアーの漏れを防止した。試験片を取り付けた後、加減抵抗器によって傾斜形気圧計が125Paの圧力を示すように吸込みファンを調整し、そのときの垂直形気圧計の示す圧力と、使用した空気孔の種類とから、試験機に付属の表によって試験片を通過する空気量を求め、5枚の試験片についての算術平均値を通気度とした。
【0088】
F.引張強度・引張伸度
不織布から50mm×200mmの大きさの試験片をタテ方向、ヨコ方向それぞれ5枚採取した。各試験片を温度20℃、相対湿度65%の標準状態にて48hr放置後、試験片を引張試験機につかみ間隔100mmで取付けた。引張速度100mm/minで、試験片が切断するまで荷重を加え、最大荷重時の強さを測定し、下記式にて、タテ方向とヨコ方向のそれぞれについて、5回の算術平均値を算出した。
引張強度(N/cm
2)=[最大荷重時の引張強さ(N)]/[5(cm)×厚さ(cm)]
引張伸度(%)=[最大荷重時の伸び(mm)]/[つかみ間隔100(mm)]
【0089】
G.200℃雰囲気における引張伸度30%の引張応力
不織布から50mm×200mmの大きさの試験片をタテ方向、ヨコ方向それぞれ5枚採取した。引張試験機に加熱炉を取り付け、試験片を当該加熱炉により200℃雰囲気下においた状態で、引張試験機につかみ間隔100mmで取付け1min放置後、引張速度100mm/minで、試験片が切断するまで荷重を加え、最大荷重時の強度を測定し、引張伸度30%の際の試験片の引張強さを求め、下記式にて引張応力を算出した。
200℃雰囲気における引張伸度30%の引張応力(N/cm
2)
=[伸率30%時の引張強さ(N)]/[5(cm)×厚さ(cm)]
【0090】
H.臭気量
不織布から22gの試験片を2枚採取した。採取した試験片を前述の実施例の(2)ケナフ繊維等の天然繊維の臭気量測定方法(段落0081参照)と同様に臭気量を測定した。
【0091】
(4)成型体
A.目付
目付は不織布の目付と同じと仮定し、下記式にて算出した。
成型体の目付(g/m
2)=不織布の目付(g/m
2)
【0092】
B.厚さ
厚さは、成型体を温度20℃、相対湿度65%の標準状態にて24hr放置後、
図3に記載の3点の部位で(
図3の斜線を付した丸印参照)、成型体の厚さ(mm)を測定器(PEACOCK社製のtype LA−2)にて0.1mmまで測定し、3点の平均値を厚さとした。
【0093】
C.密度
密度はJIS A 5905(2003)6.3に準じて測定した。
図4に記載の部位で(
図4の斜線を付した長方形参照)、成型体3から、タテ方向(斜線を付した縦長の長方形)およびヨコ方向(斜線を付した横長の長方形)のそれぞれについて、幅50mm、長さ150mmの試験片を3枚ずつ採取した。各試験片を温度20℃、相対湿度65%の標準状態にて24hr放置後、試験片の幅、長さ及び厚さを測定し、それぞれについて3枚の平均値を求め、その試験片の幅、長さ及び厚さの平均値から体積(v)を求めた。次に、質量(g)を測定し、次式によって、密度を算出した。厚さ、幅及び長さは0.1mm、質量は0.01gの精度まで測定し、密度は0.01g/cm
3単位まで次式によって算出した。1枚の試験片ごとに密度を求めた上で、3枚の試験片の平均値を求め、この平均値を密度とした。
密度(g/cm
3)=m/v
ここに、m:質量(g)
v:体積(cm
3)。
【0094】
D.成型性
成型性は下記の成型方法により成型した成型体の立ち上がり部位の外観を評価した。
a.成型方法
目的密度に合わせた不織布を遠赤外線ヒーターにて不織布内部温度200℃まで加熱、その後、温度30℃に設定した、
図1(a)に示す雄金型1と
図1(c)に示す雌金型2からなる金型にて、圧力3000kN/m
2で冷却プレスを8秒間行い、
図1(b)に示すような厚さ5mm以下の成型体3を作成した。
b.成型体の立ち上がり部位の角のシワ
成型体の立ち上がり部位の角のシワの判定は、次のように行った。
A:成型体の立ち上がり部位の角にシワがない(優)
B:成型体の立ち上がり部位の角に、段差0.5mm未満のシワがある(良)
C:成型体の立ち上がり部位の角に、段差0.5mm以上のシワがある(不良)
c.成型体の立ち上がり部位の透け、亀裂
成型体の立ち上がり部位の透け、亀裂の判定は、次のように行った。
A:成型体の立ち上がり部位に透けや亀裂がない(優)
B:成型体の立ち上がり部位に亀裂はないが、透けがある(良)
C:成型体の立ち上がり部位に亀裂がある(不良)
【0095】
E.曲げ強度
曲げ強度はJIS A 5905:2003 6.6に準じて測定した。
図4に記載の部位で(
図4の斜線を付した長方形参照)、成型体3から、タテ方向(斜線を付した縦長の長方形)およびヨコ方向(斜線を付した横長の長方形)のそれぞれについて、幅50mm、長さ150mmの試験片を3枚ずつ採取した。各試験片を温度20℃、相対湿度65%の標準状態にて48時間放置後、曲げ強さ試験装置に、スパン(L)100mmとして試験片を設置し、スパンの中間位置にて試験片の表面から50mm/minの速度で荷重を加え、その最大荷重を測定し、次式によって曲げ強度を求め、3枚の平均値を曲げ強度とした。
曲げ強度(N/mm
2)=[3×最大荷重(N)×L(mm)]/
[2×幅(mm)×厚さ
2(mm)]
判定
A:曲げ強度が20N/mm
2以上(タテ、ヨコ両方)(優)
B:曲げ強度が10N/mm
2以上(タテ、ヨコ両方)(良)
C:曲げ強度が10N/mm
2未満(タテ、ヨコ両方)(不良)
【0096】
F.臭気官能試験
成型体より幅50mm、長さ100mmの大きさの試験片を5枚ずつ採取した。試験片を2リットルのガラス瓶に1枚ずつ入れ、蓋をした。ガラス瓶を乾燥機(90℃)に入れ、1時間加熱した。その後、乾燥機から取り出し、室温まで冷却した。ガラス瓶の入口に鼻を近づけ、蓋を開け、臭いを嗅ぎ、判定は下記の通り行った。臭気官能試験者は5人にて行い、各人が5枚の試験片の臭いを嗅ぎ、25枚についての5人の平均値を求めた。
1.無臭
2.臭気はあるが、不快臭なし
3.明らかな臭気はあるが、不快臭なし
4.不快臭あり
5.強烈な不快臭あり
【0097】
(実施例1)
ポリ乳酸チップ(融点170℃、重量平均分子量11.3×10
4)と、結晶核剤としてのメディアン径d50が20nmのカーボンブラック1質量%と、加水分解抑制剤としてトリグリシジルイソシアヌレート(日産化学工業株式会社製「TEPIC」(登録商標。以下同じ。))2質量%を紡糸機ホッパーに仕込み、エクストルーダー型紡糸機にて、紡糸温度230℃にて溶融紡糸し、この紡糸糸条を冷却させ、油剤を付与して収束した後、1000m/分で引き取り、未延伸糸を得た。
【0098】
得られた未延伸糸を収束して80万dtexとして、90℃の液浴中で4.0倍に延伸した後、スタッファーボックスで機械捲縮を付与し、145℃で10分間加熱後、油剤を繊維に対し0.5重量%になるようにスプレー方式にて付与し、51mmに切断し、単子繊度6.6dtexのポリ乳酸短繊維を得た。紡糸、延伸工程で糸切れや毛羽の発生もなく、安定して原綿を得ることができた。得られたポリ乳酸短繊維は、引張強度2.1cN/dtex、引張伸度72%、捲縮数10.2山/25mm、捲縮度14%、乾熱収縮率1.2%と十分実用性のある力学特性であり、降温結晶化温度も127℃と結晶化速度の早いものであり、エポキシ残価は0.18当量/kgであった。
【0099】
ケナフ繊維は、ケナフの茎を河川にてレッディング処理し靭皮繊維を採取し、ギロチンカッターにて切断することにより作製した。得られたケナフ繊維は、繊維長119mm、繊維径58μm、導管に由来する空隙が41個、含水率が17質量%、引張強度2.0cN/dtexであった。ケナフ繊維の臭気量は1−メトキシ−2−プロピルアセテートが0.3μg/kg、エタノール,2−メトキシ−,アセテートが0.9μg/kg、酢酸が0.3μg/kg、トリメチルベンゼンが1.1μg/kg、アセトアルデヒドが4.2μg/kg、ホルムアルデヒドは検出されなかった。
【0100】
前記ポリ乳酸短繊維とケナフ繊維とを30対70の質量比でローラーカードを用いて混綿し、開繊し、ウェブを作製した。次に針密度60本/cm
2の条件にてニードルパンチを行い、交絡させて、目付529g/m
2、厚さ3.4mmの不織布を得た。その不織布は、タテ方向の引張強度が98N/cm
2、ヨコ方向の引張強度が56N/cm
2、200℃雰囲気における引張伸度30%のタテ方向の引張応力が14N/cm
2、ヨコ方向の引張応力が10N/cm
2であった。また、不織布中のポリ乳酸繊維の降温結晶化温度は127℃で、結晶化速度の早いものであった。また、不織布中の繊維長45mm以上のケナフ繊維の繊維長度数分布は86%であり、ポリ乳酸繊維とケナフ繊維の交絡は非常に強固な構造であった。不織布の臭気量は1−メトキシ−2−プロピルアセテートが0.3μg/kg、エタノール,2−メトキシ−,アセテートが0.9μg/kg、酢酸が2.7μg/kg、トリメチルベンゼンが1.8μg/kg、アセトアルデヒドが5.2μg/kg、ホルムアルデヒドは検出されなかった。
【0101】
次に表1に示す目的密度に合わせた不織布1枚を遠赤外線ヒーターにて不織布内部温度200℃まで加熱した。その後、温度30℃に設定した金型(
図1(a)、
図1(c)参照)にて、圧力3000kN/m
2で冷却プレスを8秒間行い、密度0.76g/cm
3、厚さ0.7mmの立体型の成型体を作成した。その成型体は、立ち上がり部位に透け、亀裂がなく、角はシワがないものであった。また、金型の冷却プレス時間が8秒間と短いが、タテ方向の曲げ強度は25N/mm
2、ヨコ方向の曲げ強度は27N/mm
2と高いものであった。成型体の臭気官能試験の判定は2であり、臭気はあるが、不快臭がないものであった。
【0102】
(実施例2)
実施例1と同じのポリ乳酸短繊維とケナフ繊維とを50対50の質量比でローラーカードを用いて混綿し、開繊し、ウェブを作製した。次に針密度60本/cm
2の条件にてニードルパンチを行い、交絡させて、目付556g/m
2、厚さ3.6mmの不織布を得た。その不織布は、タテ方向の引張強度が128N/cm
2、ヨコ方向の引張強度が84N/cm
2、200℃雰囲気における引張伸度30%のタテ方向の引張応力が19N/cm
2、ヨコ方向の引張応力が16N/cm
2であった。また、不織布中のポリ乳酸繊維の降温結晶化温度は127℃であった。また、不織布中の繊維長45mm以上のケナフ繊維の繊維長度数分布は87%であり、ポリ乳酸繊維とケナフ繊維の交絡は非常に強固な構造であった。不織布の臭気量は1−メトキシ−2−プロピルアセテートが0.3μg/kg、エタノール,2−メトキシ−,アセテートが0.9μg/kg、酢酸が2.4μg/kg、トリメチルベンゼンが1.5μg/kg、アセトアルデヒドが4.1μg/kg、ホルムアルデヒドは検出されなかった。
【0103】
次に、実施例1と同様の成型体の成型条件にて、密度0.70g/cm
3、厚さ0.8mmの成型体を作製した。その成型体は成型速度が速く、立ち上がり部位に透け、亀裂がなく、角はシワがないものであった。また、金型の冷却プレス時間が8秒間と短いが、タテ方向の曲げ強度は24N/mm
2、ヨコ方向の曲げ強度は22N/mm
2と高いものであった。成型体の臭気官能試験の判定は2であり、臭気はあるが、不快臭がないものであった。
【0104】
(実施例3)
実施例1と同じポリ乳酸短繊維とケナフ繊維とを30対70の質量比でローラーカードを用いて混綿し、開繊し、ウェブを作製した。次にファーストパンチ80本/cm
2、セカンドパンチ80本/cm
2、合計針密度160本/cm
2の条件にてニードルパンチを行い、交絡させて、目付514g/m
2、厚さ3.4mmの不織布を得た。その不織布は、タテ方向の引張強度が58N/cm
2、ヨコ方向の引張強度が34N/cm
2、200℃雰囲気における引張伸度30%のタテ方向の引張応力が9N/cm
2、ヨコ方向の引張応力が8N/cm
2であった。また、不織布中のポリ乳酸繊維の降温結晶化温度は127℃であった。また、不織布中の繊維長45mm以上のケナフ繊維の繊維長度数分布は57%であり、ポリ乳酸繊維とケナフ繊維の交絡は強固な構造であった。
【0105】
次に、実施例1と同様の成型体の成型条件にて、密度0.73g/cm
3、厚さ0.7mmの成型体を作製した。その成型体は成型速度が速く、立ち上がり部位において、亀裂はないが、透けがあり、立ち上がり部位の角は、シワがないものであった。また、金型の冷却プレス時間が8秒間と短いが、タテ方向の曲げ強度は17N/mm
2、ヨコ方向の曲げ強度は15N/mm
2と高いものであった。
【0106】
(実施例4)
実施例1と同じポリ乳酸短繊維とケナフ繊維とを実施例1と同様の不織布加工条件にて目付1012g/m
2、厚さ6.1mmの不織布を得た。その不織布は、タテ方向の引張強度が131N/cm
2、ヨコ方向の引張強度が107N/cm
2、200℃雰囲気における引張伸度30%のタテ方向の引張応力が32N/cm
2、ヨコ方向の引張応力が21N/cm
2であった。また、不織布中のポリ乳酸繊維の降温結晶化温度は127℃であった。
【0107】
また、不織布中の繊維長45mm以上のケナフ繊維の繊維長度数分布は、91%であり、ポリ乳酸繊維とケナフ繊維の交絡は非常に強固な構造であった。次に、実施例1と同様の成型体の成型条件にて、密度0.72g/cm
3、厚さ1.4mmの成型体を作成した。その成型体は成型速度が速く、立ち上がり部位に透け、亀裂がなく、角はシワがないものであった。また、金型の冷却プレス時間が8秒間と短いが、タテ方向の曲げ強度は20N/mm
2、ヨコ方向の曲げ強度が23N/mm
2と高いものであった。
【0108】
(実施例5)
実施例1と同じポリ乳酸短繊維とケナフ繊維とを実施例1と同様の不織布加工条件にて目付1584g/m
2、厚さ8.2mmの不織布を得た。その不織布は、タテ方向の引張強度が157N/cm
2、ヨコ方向の引張強度が110N/cm
2、200℃雰囲気における引張伸度30%のタテ方向の引張応力が56N/cm
2、ヨコ方向の引張応力が17N/cm
2であった。また、不織布中のポリ乳酸繊維の降温結晶化温度は127℃であった。また、不織布中の繊維長45mm以上のケナフ繊維の繊維長度数分布は94%であり、ポリ乳酸繊維とケナフ繊維の交絡は非常に強固な構造であった。不織布の臭気量は1−メトキシ−2−プロピルアセテートが0.3μg/kg、エタノール,2−メトキシ−,アセテートが0.9μg/kg、酢酸が2.9μg/kg、トリメチルベンゼンが1.8μg/kg、アセトアルデヒドが5.1μg/kg、ホルムアルデヒドは検出されなかった。
【0109】
次に、実施例1と同様の成型体の成型条件にて、密度0.75g/cm
3、厚さ2.1mmの成型体を作成した。その成型体は成型速度が速く、立ち上がり部位に透け、亀裂がなく、角はシワがないものであった。また、金型の冷却プレス時間が8秒間と短いが、タテ方向の曲げ強度は27N/mm
2、ヨコ方向の曲げ強度は29N/mm
2と高いものであった。成型体の臭気官能試験の判定は3であり、明らかな臭気はあるが、不快臭がないものであった。
【0110】
(実施例6)
実施例1と同じポリ乳酸短繊維とケナフ繊維とを50対50の質量比でローラーカードを用いて混綿し、開繊し、ウェブを作製した。次に針密度60本/cm
2の条件にてニードルパンチを行い、交絡させて、目付1615g/m
2、厚さ8.2mmの不織布を得た。その不織布は、タテ方向の引張強度が175N/cm
2、ヨコ方向の引張強度が107N/cm
2、200℃雰囲気における引張伸度30%のタテ方向の引張応力が44N/cm
2、ヨコ方向の引張応力が15N/cm
2であった。また、不織布中のポリ乳酸繊維の降温結晶化温度は127℃であった。また、不織布中の繊維長45mm以上のケナフ繊維の繊維長度数分布は92%であり、ポリ乳酸繊維とケナフ繊維の交絡は非常に強固な構造であった。不織布の臭気量は1−メトキシ−2−プロピルアセテートが0.3μg/kg、エタノール,2−メトキシ−,アセテートが0.9μg/kg、酢酸が2.2μg/kg、トリメチルベンゼンが1.5μg/kg、アセトアルデヒドが3.9μg/kg、ホルムアルデヒドは検出されなかった。
【0111】
次に、実施例1と同様の成型体の成型条件にて、密度0.73g/cm
3、厚さ2.2mmの成型体を作製した。その成型体は成型速度が速く、立ち上がり部位に透け、亀裂がなく、角はシワがないものであった。また、金型の冷却プレス時間が8秒間と短いが、タテ方向の曲げ強度は26N/mm
2、ヨコ方向の曲げ強度は27N/mm
2と高いものであった。成型体の臭気官能試験の判定は3であり、明らかな臭気はあるが、不快臭がないものであった。
【0112】
(実施例7)
ケナフ繊維として、ケナフの茎を河川にてレッディング処理し靭皮繊維を採取し、ギロチンカッターにて切断することによりケナフ繊維を作製した。その後、100℃の10%水酸化ナトリウム水溶液にてケナフ繊維を20分間処理した。得られたケナフ繊維は、繊維長142mm、繊維径40μm、導管に由来する空隙が28個、含水率が16質量%、引張強度が1.5cN/dtexであった。ケナフ繊維の臭気量は1−メトキシ−2−プロピルアセテートが0.1μg/kg、エタノール,2−メトキシ−,アセテートが0.4μg/kg、酢酸が0.2μg/kg、トリメチルベンゼンが0.9μg/kg、アセトアルデヒドが1.8μg/kg、ホルムアルデヒドは検出されなかった。
【0113】
実施例1と同じポリ乳酸短繊維と前記ケナフ繊維とを、実施例1と同様の不織布加工条件にて目付1571g/m
2、厚さ10.4mmの不織布を得た。その不織布は、タテ方向の引張強度が61N/cm
2、ヨコ方向の引張強度が33N/cm
2、200℃雰囲気における引張伸度30%のタテ方向の引張応力が10N/cm
2、ヨコ方向の引張応力が5N/cm
2であった。また、不織布中のポリ乳酸繊維の降温結晶化温度は127℃であった。また、不織布中の繊維長45mm以上のケナフ繊維の繊維長度数分布は68%であり、ポリ乳酸繊維とケナフ繊維の交絡は強固な構造であった。不織布の臭気量は1−メトキシ−2−プロピルアセテートが0.2μg/kg、エタノール,2−メトキシ−,アセテートが0.4μg/kg、酢酸が1.5μg/kg、トリメチルベンゼンが1.1μg/kg、アセトアルデヒドが2.4μg/kg、ホルムアルデヒドは検出されなかった。
【0114】
次に、実施例1と同様の成型体の成型条件にて、密度0.71g/cm
3、厚さ2.2mmの成型体を作製した。その成型体は成型速度が速く、立ち上がり部位に透け、亀裂がなく、角はシワがないものであった。また、金型の冷却プレス時間が8秒間と短いが、タテ方向の曲げ強度は23N/mm
2、ヨコ方向の曲げ強度は19N/mm
2と高いものであった。成型体の臭気官能試験の判定は1であり、臭気の無いものであった。
【0115】
(実施例8)
実施例1と同じポリ乳酸短繊維とケナフ繊維とを実施例1と同様の不織布加工条件にて目付1982g/m
2、厚さ13.1mmの不織布を得た。その不織布は、タテ方向の引張強度が193N/cm
2、ヨコ方向の引張強度が157N/cm
2、200℃雰囲気における引張伸度30%のタテ方向の引張応力が63N/cm
2、ヨコ方向の引張応力が27N/cm
2であった。また、不織布中のポリ乳酸繊維の降温結晶化温度は127℃であった。
【0116】
また、不織布中の繊維長45mm以上のケナフ繊維の繊維長度数分布は、95%であり、ポリ乳酸繊維とケナフ繊維の交絡は非常に強固な構造であった。次に、実施例1と同様の成型体の成型条件にて、密度0.73g/cm
3、厚さ2.7mmの成型体を作製した。その成型体は成型速度が速く、立ち上がり部位に透け、亀裂がなく、角はシワがないものであった。また、金型の冷却プレス時間が8秒間と短いが、タテ方向の曲げ強度は25N/mm
2、ヨコ方向の曲げ強度は26N/mm
2と高いものであった。
【0117】
(実施例9)
実施例1と同じポリ乳酸短繊維とケナフ繊維とを30対70の重量比でローラーカードを用いて混綿し、開繊し、ウェブを作製した。次にファーストパンチ50本/cm
2、セカンドパンチ50本/cm
2、合計針密度100本/cm
2の条件にてニードルパンチを行い、交絡させて、目付2538g/m
2、厚さ13.8mmの不織布を得た。その不織布は、タテ方向の引張強度が281N/cm
2、ヨコ方向の引張強度が237N/cm
2、200℃雰囲気における引張伸度30%のタテ方向の引張応力が78N/cm
2、ヨコ方向の引張応力が/53N/cm
2であり、通気度26cc/cm
2/secと低いものであった。また、不織布中の繊維長45mm以上のケナフ繊維の繊維長度数分布は96%であり、ポリ乳酸繊維とケナフ繊維の交絡は非常に強固な構造であった。また、不織布中のポリ乳酸繊維の降温結晶化温度は127℃であった。
【0118】
次に、実施例1と同様の成型体の成型条件にて、密度1.21g/cm
3、厚さ2.1mmの成型体を作製した。その成型体は成型速度が速く、立ち上がり部位において、透け、亀裂がなく、立ち上がり部位の角は、段差が0.5mm未満の小さいシワがあった。また、金型の冷却プレス時間が8秒間と短いが、タテ方向の曲げ強度は55N/mm
2、ヨコ方向の曲げ強度は48N/mm
2と高いものであった。
【0119】
(実施例10)
ケナフ繊維として、ケナフの茎を沼にてレッディング処理し靭皮繊維を採取し、ギロチンカッターにて切断することによりケナフ繊維を作製した。得られたケナフ繊維は、繊維長184mm、繊維径93μm、導管に由来する空隙が30個、含水率が13質量%、引張強度が0.9cN/dtexであった。ケナフ繊維の臭気量は1−メトキシ−2−プロピルアセテートが0.4μg/kg、エタノール,2−メトキシ−,アセテートが1.8μg/kg、酢酸が3.7μg/kg、トリメチルベンゼンが2.2μg/kg、アセトアルデヒドが5.8μg/kg、ホルムアルデヒドは検出されなかった。
【0120】
実施例1と同じポリ乳酸短繊維と前記ケナフ繊維とを実施例1と同様の不織布加工条件にて目付530g/m
2、厚さ3.0mmの不織布を得た。その不織布は、タテ方向の引張強度が81N/cm
2、ヨコ方向の引張強度が35N/cm
2、200℃雰囲気における引張伸度30%のタテ方向の引張応力が12N/cm
2、ヨコ方向の引張応力が7N/cm
2であった。また、不織布中のポリ乳酸繊維の降温結晶化温度は127℃であった。
【0121】
また、不織布中の繊維長45mm以上のケナフ繊維の繊維長度数分布は、52%であり、ポリ乳酸繊維とケナフ繊維の交絡は強固な構造であった。不織布の臭気量は1−メトキシ−2−プロピルアセテートが0.5μg/kg、エタノール,2−メトキシ−,アセテートが2.1μg/kg、酢酸が4.9μg/kg、トリメチルベンゼンが2.7μg/kg、アセトアルデヒドが6.8μg/kg、ホルムアルデヒドは検出されなかった。
【0122】
次に、実施例1と同様の成型体の成型条件にて、密度0.76g/cm
3、厚さ0.7mmの成型体を作製した。その成型体は成型速度が速く、立ち上がり部位において、亀裂はないが、透けがあり、立ち上がり部位の角は、シワがないものであった。また、金型の冷却プレス時間が8秒間と短いが、タテ方向の曲げ強度は28N/mm
2、ヨコ方向の曲げ強度は26N/mm
2と高いものであった。成型体の臭気官能試験の判定は4であり、不快臭のあるものであった。
【0123】
(実施例11)
ポリ乳酸チップ(融点170℃、重量平均分子量10.8×10
4)と、結晶核剤としてのメディアン径d50が20nmのカーボンブラック1質量%と、加水分解抑制剤としてトリグリシジルイソシアヌレート(日産化学工業株式会社製「TEPIC」)2質量%を紡糸機ホッパーに仕込み、エクストルーダー型紡糸機にて、紡糸温度230℃にて溶融紡糸し、この紡糸糸条を冷却させ、油剤を付与して収束した後、1000m/分で引き取り、未延伸糸を得た。
【0124】
得られた未延伸糸を収束して80万dtexとして、90℃の液浴中で4.0倍に延伸した後、スタッファーボックスで機械捲縮を付与し、90℃で10分間加熱後、油剤を繊維に対し0.5重量%になるようにスプレー方式にて付与し、51mmに切断し、単子繊度6.6dtexのポリ乳酸短繊維を得た。紡糸、延伸工程で糸切れや毛羽の発生もなく、安定して原綿を得ることができた。得られたポリ乳酸短繊維は引張強度2.3cN/dtex、引張伸度56%、捲縮数10.8山/25mm、捲縮度12%、乾熱収縮率7.5%と十分実用性のある力学特性であり、降温結晶化温度も127℃と結晶化速度の早いものであった。
【0125】
前記ポリ乳酸短繊維と、実施例1と同様のケナフ繊維を用いて、実施例1と同様の不織布加工条件にて目付1534g/m
2、厚さ8.1mmの不織布を得た。その不織布は、タテ方向の引張強度が166N/cm
2、ヨコ方向の引張強度が114N/cm
2、200℃雰囲気における引張伸度30%のタテ方向の引張応力が59N/cm
2、ヨコ方向の引張応力が23N/cm
2であった。また、不織布中のポリ乳酸繊維の降温結晶化温度は127℃であった。また、不織布中の繊維長45mm以上のケナフ繊維の繊維長度数分布は92%であり、ポリ乳酸繊維とケナフ繊維の交絡は非常に強固な構造であった。
【0126】
次に、実施例1と同様の成型体の成型条件にて、密度0.73g/cm
3、厚さ2.1mmの成型体を作製した。その成型体は成型速度が速く、立ち上がり部位において、透け、亀裂がなく、立ち上がり部位の角には、段差が0.5mm未満の小さいシワがあった。また、金型の冷却プレス時間が8秒間と短いが、タテ方向の曲げ強度は22N/mm
2、ヨコ方向の曲げ強度は23N/mm
2と高いものであった。
【0127】
(実施例12)
ポリ乳酸チップ(融点170℃、重量平均分子量11.3×10
4)と、結晶核剤としてのメディアン径d50が20nmのカーボンブラック1質量%と、加水分解抑制剤としてトリグリシジルイソシアヌレート(日産化学工業株式会社製「TEPIC」)0.5質量%を紡糸機ホッパーに仕込み、エクストルーダー型紡糸機にて、紡糸温度230℃にて溶融紡糸し、この紡糸糸条を冷却させ、油剤を付与して収束した後、1000m/分で引き取り、未延伸糸を得た。
【0128】
得られた未延伸糸を収束して80万dtexとして、90℃の液浴中で4.0倍に延伸した後、スタッファーボックスで機械捲縮を付与し、145℃で10分間加熱後、油剤を繊維に対し0.5重量%になるようにスプレー方式にて付与し、51mmに切断し、単子繊度6.6dtexのポリ乳酸短繊維を得た。紡糸、延伸工程で糸切れや毛羽の発生もなく、安定して原綿を得ることができた。得られたポリ乳酸短繊維は、引張強度2.2cN/dtex、引張伸度71%、捲縮数10.5山/25mm、捲縮度13%、乾熱収縮率1.4%と十分実用性のある力学特性であり、降温結晶化温度も127℃と結晶化速度の早いものであり、エポキシ残価は0.04当量/kgであった。
【0129】
前記ポリ乳酸短繊維と、実施例1と同様のケナフ繊維を用いて、実施例1と同様の不織布加工条件にて目付516g/m
2、厚さ3.5mmの不織布を得た。その不織布は、タテ方向の引張強度が74N/cm
2、ヨコ方向の引張強度が44N/cm
2、200℃雰囲気における引張伸度30%のタテ方向の引張応力が10N/cm
2、ヨコ方向の引張応力が8N/cm
2であった。また、不織布中のポリ乳酸繊維の降温結晶化温度は127℃であった。また、不織布中の繊維長45mm以上のケナフ繊維の繊維長度数分布は89%であり、ポリ乳酸繊維とケナフ繊維の交絡は非常に強固な構造であった。
【0130】
次に、実施例1と同様の成型体の成型条件にて、密度0.74g/cm
3、厚さ0.7mmの成型体を作製した。その成型体は成型速度が速く、立ち上がり部位において、亀裂はないが、透けがあり、立ち上がり部位の角は、シワがないものであった。また、金型の冷却プレス時間が8秒間と短いが、タテ方向の曲げ強度は18N/mm
2、ヨコ方向の曲げ強度は13N/mm
2であった。
【0131】
(実施例13)
ポリ乳酸チップ(融点170℃、重量平均分子量11.3×10
4)と、結晶核剤としてのメディアン径d50が10nmのカーボンブラック1質量%と、加水分解抑制剤としてトリグリシジルイソシアヌレート(日産化学工業株式会社製「TEPIC」)2質量%を紡糸機ホッパーに仕込み、エクストルーダー型紡糸機にて、紡糸温度230℃にて溶融紡糸し、この紡糸糸条を冷却させ、油剤を付与して収束した後、1000m/分で引き取り、未延伸糸を得た。
【0132】
得られた未延伸糸を収束して80万dtexとして、90℃の液浴中で4.0倍に延伸した後、スタッファーボックスで機械捲縮を付与し、145℃で10分間加熱後、油剤を繊維に対し0.5重量%になるようにスプレー方式にて付与し、51mmに切断し、単子繊度6.6dtexのポリ乳酸短繊維を得た。紡糸、延伸工程で糸切れや毛羽の発生もなく、安定して原綿を得ることができた。得られたポリ乳酸短繊維は、引張強度2.0cN/dtex、引張伸度70%、捲縮数10.9山/25mm、捲縮度13%、乾熱収縮率1.1%と十分実用性のある力学特性であり、降温結晶化温度も138℃と結晶化速度の早いものであり、エポキシ残価は0.18当量/kgであった。
【0133】
前記ポリ乳酸短繊維と、実施例1と同様のケナフ繊維を用いて、実施例1と同様の不織布加工条件にて目付1534g/m
2、厚さ8.1mmの不織布を得た。その不織布は、タテ方向の引張強度が154N/cm
2、ヨコ方向の引張強度が108N/cm
2、200℃雰囲気における引張伸度30%のタテ方向の引張応力が51N/cm
2、ヨコ方向の引張応力が18N/cm
2であった。また、不織布中のポリ乳酸繊維の降温結晶化温度は138℃と、結晶化速度の早いものであった。
【0134】
また、不織布中の繊維長45mm以上のケナフ繊維の繊維長度数分布は、95%であり、ポリ乳酸繊維とケナフ繊維の交絡は非常に強固な構造であった。不織布の臭気量は1−メトキシ−2−プロピルアセテートが0.3μg/kg、エタノール,2−メトキシ−,アセテートが0.9μg/kg、酢酸が2.5μg/kg、トリメチルベンゼンが1.4μg/kg、アセトアルデヒドが4.0μg/kg、ホルムアルデヒドは検出されなかった。
【0135】
次に表1に示す目的密度に合わせた不織布1枚を遠赤外線ヒーターにて不織布内部温度200℃まで加熱した。その後、温度30℃に設定した金型(
図1(a)、
図1(c)参照)にて、圧力3,000kN/m
2で冷却プレスを7秒間行い、密度0.72g/cm
3、厚さ2.1mmの立体型の成型体を作製した。その成型体は、立ち上がり部位に透け、亀裂がなく、角はシワがないものであった。また、金型の冷却プレス時間が7秒間と短いが、タテ方向の曲げ強度は28N/mm
2、ヨコ方向の曲げ強度は29N/mm
2と高いものであった。成型体の臭気官能試験の判定は3であり、明らかな臭気はあるが、不快臭がないものであった。
【0136】
(実施例14)
実施例1と同じポリ乳酸短繊維とケナフ繊維とを20対80の質量比でローラーカードを用いて混綿し、開繊し、ウェブを作製した。次に針密度60本/cm
2の条件にてニードルパンチを行い、交絡させて、目付563g/m
2、厚さ3.5mmの不織布を得た。その不織布は、タテ方向の引張強度が52N/cm
2、ヨコ方向の引張強度が31N/cm
2、200℃雰囲気における引張伸度30%のタテ方向の引張応力が12N/cm
2、ヨコ方向の引張応力が8N/cm
2であった。また、不織布中のポリ乳酸繊維の降温結晶化温度は127℃であった。また、不織布中の繊維長45mm以上のケナフ繊維の繊維長度数分布は90%であり、ポリ乳酸繊維とケナフ繊維の交絡は非常に強固な構造であった。
【0137】
次に、実施例1と同様の成型体の成型条件にて、密度0.70g/cm
3、厚さ0.8mmの成型体を作製した。その成型体は成型速度が速く、立ち上がり部位において、亀裂はないが、透けがあり、立ち上がり部位の角は、シワがないものであった。また、金型の冷却プレス時間が8秒間と短いが、タテ方向の曲げ強度は19N/mm
2、ヨコ方向の曲げ強度は16N/mm
2と高いものであった。
【0138】
(実施例15)
実施例1と同じポリ乳酸短繊維とケナフ繊維とを60対40の質量比でローラーカードを用いて混綿し、開繊し、ウェブを作製した。次に針密度60本/cm
2の条件にてニードルパンチを行い、交絡させて、目付580g/m
2、厚さ3.6mmの不織布を得た。その不織布は、タテ方向の引張強度が149N/cm
2、ヨコ方向の引張強度が98N/cm
2、200℃雰囲気における引張伸度30%のタテ方向の引張応力が24N/cm
2、ヨコ方向の引張応力が18N/cm
2であった。また、不織布中のポリ乳酸繊維の降温結晶化温度は127℃であった。また、不織布中の繊維長45mm以上のケナフ繊維の繊維長度数分布は95%であり、ポリ乳酸繊維とケナフ繊維の交絡は非常に強固な構造であった。
【0139】
次に、実施例1と同様の成型体の成型条件にて、密度0.73g/cm
3、厚さ0.8mmの成型体を作成した。成型体は成型速度が速く、立ち上がり部位に透け、亀裂がなく、角はシワがないものであった。また、金型の冷却プレス時間が8秒間と短いが、タテ方向の曲げ強度は26N/mm
2、ヨコ方向の曲げ強度は25N/mm
2と高いものであった。成型体の臭気官能試験の判定は2であり、臭気はあるが、不快臭がないものであった。
【0140】
(実施例16)
ジュート繊維として、ジュートの茎を沼にてレッディング処理し靭皮繊維を採取し、ギロチンカッターにて切断することによりジュート繊維を作製した。得られたジュート繊維は、繊維長123mm、繊維径43μm、導管に由来する空隙が38個、含水率が15質量%、引張強度が1.7cN/dtexであった。
【0141】
実施例1と同じポリ乳酸短繊維と前記ジュート繊維とを、実施例1と同様の不織布加工条件にて目付1513g/m
2、厚さ8.2mmの不織布を得た。その不織布は、タテ方向の引張強度が151N/cm
2、ヨコ方向の引張強度が110N/cm
2、200℃雰囲気における引張伸度30%のタテ方向の引張応力が54N/cm
2、ヨコ方向の引張応力が23N/cm
2であった。また、不織布中のポリ乳酸繊維の降温結晶化温度は127℃であった。また、不織布中の繊維長45mm以上のケナフ繊維の繊維長度数分布は88%であり、ポリ乳酸繊維とケナフ繊維の交絡は強固な構造であった。
【0142】
次に、実施例1と同様の成型体の成型条件にて、密度0.72g/cm
3、厚さ2.1mmの成型体を作製した。その成型体は成型速度が速く、立ち上がり部位に透け、亀裂がなく、角はシワがないものであった。また、金型の冷却プレス時間が8秒間と短いが、タテ方向の曲げ強度は26N/mm
2、ヨコ方向の曲げ強度は28N/mm
2と高いものであった。
【0143】
(実施例17)
実施例1と同じポリ乳酸繊維とケナフ繊維とを30対70の質量比でエアレイドを用いて混綿し、開繊し、ウェブを作製した。次に針密度60本/cm
2の条件にてニードルパンチを行い、交絡させて、目付1542g/m
2、厚さ8.3mmの不織布を得た。その不織布は、タテ方向の引張強度が163N/cm
2、ヨコ方向の引張強度が117N/cm
2、200℃雰囲気における引張伸度30%のタテ方向の引張応力が52N/cm
2、ヨコ方向の引張応力が19N/cm
2であった。また、不織布中のポリ乳酸繊維の降温結晶化温度は127℃であった。また、不織布中の繊維長45mm以上のケナフ繊維の繊維長度数分布は95%であり、ポリ乳酸繊維とケナフ繊維の交絡は非常に強固な構造であった。
【0144】
次に、実施例1と同様の成型体の成型条件にて、密度0.73g/cm
3、厚さ2.1mmの成型体を作製した。その成型体は成型速度が速く、立ち上がり部位に透け、亀裂がなく、角はシワがないものであった。また、金型の冷却プレス時間が8秒間と短いが、タテ方向の曲げ強度は30N/mm
2、ヨコ方向の曲げ強度は29N/mm
2と高いものであった。
【0145】
(比較例1)
ポリ乳酸チップ(融点170℃、重量平均分子量10.6×10
4)と、結晶核剤としてのメディアン径d50が200×10
3nmのタルク1質量%と、加水分解抑制剤としてトリグリシジルイソシアヌレート(日産化学工業株式会社製「TEPIC」)2質量%を用いて実施例1と同様の方法で、単子繊度6.6dtex、繊維長51mmのポリ乳酸短繊維を得た。紡糸、延伸工程で糸切れや毛羽の発生もなく、安定して原綿を得ることができた。得られたポリ乳酸短繊維は引張強度2.1cN/dtex、引張伸度69%、捲縮数11.6山/25mm、捲縮度13%、乾熱収縮率1.4%と十分実用性のある力学特性であるが、降温結晶化温度は99℃と結晶化速度の遅いものであった。
【0146】
前記ポリ乳酸短繊維と、実施例1と同じケナフ繊維とを、実施例1と同様の不織布加工条件にて目付1571g/m
2、厚さ10.6mmの不織布を得た。その不織布は、タテ方向の引張強度が149N/cm
2、ヨコ方向の引張強度は117N/cm
2、200℃雰囲気における引張伸度30%のタテ方向の引張応力が51N/cm
2、ヨコ方向の引張応力が18N/cm
2であった。また、不織布中のポリ乳酸繊維の降温結晶化温度は99℃と結晶化速度の遅いものであった。また、不織布中の繊維長45mm以上のケナフ繊維の繊維長度数分布は70%であり、ポリ乳酸繊維とケナフ繊維の交絡は非常に強固な構造であった。
【0147】
次に、実施例1と同様の成型体の成型条件にて、密度0.75g/cm
3、厚さ2.1mmの成型体を作製した。その成型体は成型速度が遅いが、立ち上がり部位に透け、亀裂がなく、角はシワがないものであった。また、金型の冷却プレス時間が8秒間と短いため、ポリ乳酸(PLA)が結晶化できず、タテ方向の曲げ強度は12N/mm
2、ヨコ方向の曲げ強度は8N/mm
2と低いものであった。
【0148】
(比較例2)
ポリ乳酸チップ(融点170℃、重量平均分子量12.8×10
4)と、加水分解抑制剤としてトリグリシジルイソシアヌレート(日産化学工業株式会社製「TEPIC」)2質量%を用いて実施例1と同様の方法で、単子繊度6.6dtex、繊維長51mmのポリ乳酸短繊維を得た。紡糸、延伸工程で糸切れや毛羽の発生もなく、安定して原綿を得ることができた。得られたポリ乳酸短繊維は引張強度2.3cN/dtex、引張伸度71%、捲縮数11.8山/25mm、捲縮度15%、乾熱収縮率1.5%と十分実用性のある力学特性であるが、降温結晶化温度は検出されなかった。
【0149】
前記ポリ乳酸短繊維と、実施例1と同じケナフ繊維とを、実施例1と同様の不織布加工条件にて目付1542g/m
2、厚さ10.1mmの不織布を得た。その不織布は、タテ方向の引張強度が168N/cm
2、ヨコ方向の引張強度が102N/cm
2、200℃雰囲気における引張伸度30%のタテ方向の引張応力が58N/cm
2、ヨコ方向の引張応力が16N/cm
2であった。また、不織布中のポリ乳酸繊維の降温結晶化温度は検出されなかった。また、不織布中の繊維長45mm以上のケナフ繊維の繊維長度数分布は64%であり、ポリ乳酸繊維とケナフ繊維の交絡は強固な構造であった。
【0150】
次に、実施例1と同様の成型体の成型条件にて、密度0.70g/cm
3、厚さ2.2mmの成型体を作製した。その成型体は成型速度が遅いが、立ち上がり部位に透け、亀裂がなく、角はシワがないものであった。また、金型の冷却プレス時間が8秒間と短いため、ポリ乳酸(PLA)が結晶化できず、タテ方向の曲げ強度は9N/mm
2、ヨコ方向の曲げ強度は7N/mm
2と低いものであった。
【0151】
(比較例3)
実施例1と同じポリ乳酸短繊維とケナフ繊維とを30対70の重量比でローラーカードを用いて混綿し、開繊し、ウェブを作製した。次にファーストパンチ80本/cm
2、セカンドパンチ80本/cm
2、サードパンチ80本/cm
2、合計針密度240本/cm
2の条件にてニードルパンチを行い、交絡させて、目付521g/m
2、厚さ3.4mmの不織布を得た。その不織布は、タテ方向の引張強度が14N/cm
2、ヨコ方向の引張強度が9N/cm
2、200℃雰囲気における引張伸度30%のタテ方向の引張応力が2N/cm
2、ヨコ方向の引張応力が1N/cm
2であり、不織布中からケナフ繊維の脱落が多く発生した。また、不織布中のポリ乳酸繊維の降温結晶化温度は127℃であった。また、不織布中の繊維長45mm以上のケナフ繊維の繊維長度数分布は8%であり、ポリ乳酸繊維とケナフ繊維の交絡は弱い構造であった。
【0152】
次に、実施例1と同様の成型体の成型条件にて、密度0.65g/cm
3、厚さ0.8mmの成型体を作製した。その成型体は成型速度が速いが、立ち上がり部位において、亀裂が発生し、立ち上がり部位の角は、シワがないものであった。また、金型の冷却プレス時間が8秒間と短いが、タテ方向の曲げ強度は5N/mm
2、ヨコ方向の曲げ強度は3N/mm
2と強度の低いものであった。
【0153】
(比較例4)
実施例10と同じポリ乳酸短繊維とケナフ繊維とを、実施例10と同様の不織布加工条件にて目付428g/m
2、厚さ2.9mmの不織布を得た。その不織布は、タテ方向の引張強度が45N/cm
2、ヨコ方向の引張強度が18N/cm
2、200℃雰囲気における引張伸度30%のタテ方向の引張応力が4N/cm
2、ヨコ方向の引張応力が3N/cm
2であった。また、不織布中のポリ乳酸繊維の降温結晶化温度は127℃であった。また、不織布中の繊維長45mm以上のケナフ繊維の繊維長度数分布は42%であり、ポリ乳酸繊維とケナフ繊維の交絡は強固な構造であった。
【0154】
次に、実施例1と同様の成型体の成型条件にて、密度0.71g/cm
3、厚さ0.6mmの成型体を作製した。その成型体は成型速度が速いが、立ち上がり部位において、亀裂が発生し、立ち上がり部位の角は、シワがないものであった。また、金型の冷却プレス時間が8秒間と短いが、タテ方向の曲げ強度は18N/mm
2、ヨコ方向の曲げ強度は15N/mm
2と高いものであった。
【0155】
(比較例5)
実施例1と同じポリ乳酸短繊維とケナフ繊維とを、実施例1と同様の不織布加工条件にて目付3428g/m
2、厚さ14.0mmの不織布を得た。その不織布は、タテ方向の引張強度が378N/cm
2、ヨコ方向の引張強度が341N/cm
2、200℃雰囲気における引張伸度30%のタテ方向の引張応力が93N/cm
2、ヨコ方向の引張応力が84N/cm
2であり、通気度は21cc/cm
2/secと低いものであった。また、不織布中のポリ乳酸短繊維の降温結晶化温度は127℃であった。また、不織布中の繊維長45mm以上のケナフ繊維の繊維長度数分布は97%であり、ポリ乳酸繊維とケナフ繊維の交絡は非常に強固な構造であった。
【0156】
次に、実施例1と同様の成型体の成型条件にて、密度0.69g/cm
3、厚さ5.0mmの成型体を作製した。その成型体は成型速度が速いが、立ち上がり部位において、透け、亀裂がなく、立ち上がり部位の角は、段差が0.5mm以上のシワがあった。また、金型の冷却プレス時間が8秒間と短いが、タテ方向の曲げ強度は22N/mm
2、ヨコ方向の曲げ強度は20N/mm
2と高いものであった。
【0157】
(比較例6)
実施例1と同じポリ乳酸短繊維とケナフ繊維とを10対90の質量比でローラーカードを用いて混綿し、開繊し、ウェブを作製した。次に針密度60本/cm
2の条件にてニードルパンチを行い、交絡させて、目付524g/m
2、厚さ3.5mmの不織布を得た。その不織布は、タテ方向の引張強度が32N/cm
2、ヨコ方向の引張強度が17N/cm
2、200℃雰囲気における引張伸度30%のタテ方向の引張応力が6N/cm
2、ヨコ方向の引張応力が4N/cm
2であった。また、不織布中のポリ乳酸繊維の降温結晶化温度は127℃であった。また、不織布中の繊維長45mm以上のケナフ繊維の繊維長度数分布は86%であったが、ポリ乳酸繊維とケナフ繊維の交絡は弱いものであった。
【0158】
次に、実施例1と同様の成型体の成型条件にて、密度0.66g/cm
3、厚さ0.8mmの成型体を作製した。その成型体は成型速度が速いが、立ち上がり部位において、亀裂が発生し、立ち上がり部位の角は、シワがないものであった。また、金型の冷却プレス時間が8秒間と短いが、タテ方向の曲げ強度は13N/mm
2、ヨコ方向の曲げ強度は9N/mm
2と強度の低いものであった。
【0159】
【表1-1】
【0160】
【表1-2】
【0161】
【表2-1】
【0162】
【表2-2】
【0163】
【表3-1】
【0164】
【表3-2】
【0165】
【表4】
【0166】
【表5-1】
【0167】
【表5-2】