【文献】
北川 勇、他,スマートメータネットワークを支える技術,FUJITSU,富士通株式会社,2012年11月 9日,Vol.63 No.6,p.662−667
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記サーバは、前記親装置の識別情報と、前記親装置との通信が許可される前記電力情報取得装置の識別情報との対応関係を示す情報を記憶する、請求項2に記載の電力情報収集システム。
前記接続すべき親装置は、前記複数の親装置のうち、前記電力情報取得装置と同じ電力線に接続された親装置である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電力情報収集システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような電力情報収集システムをマンション等の集合住宅に適用する場合、たとえば、単相三線式の電力が宅内に供給され、トランス容量に対して集合住宅の戸数が多い等の理由により各相にトランスが設けられる。
【0006】
たとえば、各相の電力線にコンセントレータが接続される構成において、異なる相の電力線に接続されるコンセントレータがスマートメータの親機となる場合がある。この場合、信号の減衰に起因して子機間の信号の中継数が大きくなることにより通信遅延が増大してしまう可能性があり、また、たとえば1つの相の親機に子機が集中し、電力情報収集システム全体での子機の使用可能数が少なくなってしまう可能性がある。このため、スマートメータは、同じ相の電力線に接続されるコンセントレータを電力線通信の親機とすることが好ましい。
【0007】
これを実現するために、たとえば、コンセントレータおよびスマートメータ間で暗号化通信を行い、相ごとに別個の暗号キーを用いて、同じ相のコンセントレータが用いる暗号キーと同じ暗号キーをスマートメータに設定し、スマートメータおよびコンセントレータ間で選択的な通信を行なわせる方法が考えられる。
【0008】
しかしながら、このような方法では、スマートメータを設置する作業者が、当該スマートメータの接続先とすべきコンセントレータを認識し、暗号キーを個別に設定する必要が生じてしまう。
【0009】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、電力線通信により親機と通信可能な子機が、親機経由でサーバへ電力情報を送信する電力情報収集システムにおいて、簡易な作業で子機をシステムに組み込み、電力情報収集システムを良好に構築することが可能な電力情報収集システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる電力情報収集システムは、電力情報取得装置と、上記電力情報取得装置と電力線により接続され、共通鍵方式で認証した前記電力情報取得装置と通信する複数の親装置と、前記親装置と通信可能なサーバとを備える電力情報収集システムであって、各上記親装置および上記電力情報取得装置は同一の暗号キーを共有し、上記電力情報取得装置は、上記暗号キーを用いて上記親装置のいずれかと通信を行い、前記通信により得た情報に従って、上記サーバに電力情報を転送するために接続すべき上記親装置を検索し、上記電力情報取得装置は、検索した上記親装置経由で上記サーバと認証処理を行なう。
【0011】
このような構成により、電力情報取得装置を設置する作業者が、当該電力情報取得装置の接続先とすべき親装置を認識し、暗号キーを個別に設定することなく、電力情報取得装置が自己の通信相手として適切な親装置を選択することができる。これにより、電力線通信における電力情報取得装置間の中継数を減らすことができるため、通信遅延の増大を抑制することができる。また、1つの親装置に電力情報取得装置が集中することを防ぐことができるため、電力情報収集システムを効率良く構築することができる。したがって、電力線通信により親機と通信可能な子機が、親機経由でサーバへ電力情報を送信する電力情報収集システムにおいて、簡易な作業で子機をシステムに組み込み、電力情報収集システムを良好に構築することができる。
【0012】
(2)好ましくは、上記サーバは、上記親装置との通信が許可される上記電力情報取得装置の識別情報を上記親装置に通知し、上記電力情報取得装置は、通信が許可される上記親装置を検索する際、自己の識別情報を上記親装置に通知し、上記親装置は、上記サーバから通知された上記識別情報、および上記電力情報取得装置から通知された上記識別情報に基づいて、上記電力情報取得装置に対して自己との通信を許可するか否かを判断し、上記電力情報取得装置は、通信を許可された上記親装置経由で上記サーバと認証処理を行なう。
【0013】
このような構成により、電力情報取得装置の追加に伴うサーバおよび親装置間の情報の送受信を最小限に抑えながら、主に親装置および電力情報取得装置間の情報の送受信により、電力情報取得装置は、通信相手として適切な親装置を選択することができる。
【0014】
(3)より好ましくは、上記サーバは、上記親装置の識別情報と、上記接続すべき上記電力情報取得装置の識別情報との対応関係を示す情報を記憶する。
【0015】
このような構成により、親装置との通信が許可される電力情報取得装置の情報を、簡易な処理で各親装置に取得させることができる。
【0016】
(4)好ましくは、上記電力情報取得装置は、上記接続すべき上記親装置を検索する際、自己の識別情報を上記親装置に通知し、上記親装置は、上記識別情報の通知を受けて、通知された上記識別情報を上記サーバに通知し、上記サーバは、上記通知された識別情報に基づいて上記接続すべき上記親装置を特定し、特定した上記親装置の識別情報を上記電力情報取得装置に通知し、上記電力情報取得装置は、上記サーバから上記識別情報が通知された上記親装置経由で、上記サーバと認証処理を行なう。
【0017】
このような構成により、通信相手とすべき親装置を電力情報取得装置が検出できるまで親装置および電力情報取得装置間で情報の送受信が多数回行われることを防ぐことができるため、電力線通信における通信トラフィックの増大および電力情報取得装置の通信開始の遅延を防ぐことができる。
【0018】
(5)より好ましくは、上記サーバは、上記電力情報取得装置の識別情報と、上記接続すべき親装置の識別情報との対応関係を示す情報を記憶する。
【0019】
このような構成により、電力情報取得装置が通信相手として選択した親装置の是非を、サーバにおいて簡易な処理で一括して判定することができる。
【0020】
(6)さらに好ましくは、上記接続すべき親装置は、上記複数の親装置のうち、上記電力情報取得装置と同じ電力線に接続された親装置である。
【0021】
このような構成により、たとえば異なる相の電力線に接続された親装置とトランスを介して接続するのではなく、同じ(相の)電力線に接続された親装置を経てサーバと良好に通信することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、電力線通信により親機と通信可能な子機が、親機経由でサーバへ電力情報を送信する電力情報収集システムにおいて、簡易な作業で子機をシステムに組み込み、電力情報収集システムを良好に構築することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0025】
[構成および基本動作]
図1は、本発明の実施の形態に係る電力情報収集システムの構成を示す図である。
【0026】
図1を参照して、電力情報収集システム201は、1または複数のスマートメータ(SM)101と、1または複数のコンセントレータ(親装置)102と、ヘッドエンド(サーバ)103とを備える。
【0027】
電力情報収集システム201は、たとえば集合住宅151に使用される。各スマートメータ(電力情報取得装置)101は、電力線161を介してコンセントレータ102に接続されている。具体的には、電力線161は、たとえば、集合住宅151において上下階に縦方向に複数系統が配設されており、階ごとにスマートメータ101が接続されている。
【0028】
スマートメータ101およびコンセントレータ102は、電力線161を用いた電力線通信により、各種情報をやり取りする。スマートメータ101は、当該電力線通信における子機であり、コンセントレータ102は、当該電力線通信における親機である。
【0029】
コンセントレータ102およびヘッドエンド103は、有線通信または無線通信により、各種情報をやり取りする。
【0030】
たとえば、スマートメータ101、コンセントレータ102およびヘッドエンド103間で送受信される情報は、所定の方式に従い暗号化および復号化される。
【0031】
スマートメータ101は、通信機能付きの電力計量器である。スマートメータ101は、取得した電力情報をコンセントレータ102へ送信する。
【0032】
コンセントレータ102は、各スマートメータ101から受信した電力情報を集約するかまたは個別にヘッドエンド103へ送信する。
【0033】
図2は、本発明の実施の形態に係る電力情報収集システムにおける各機器および配線状態の一例を示す図である。
図2では、集合住宅151における2系統の電力線161A,161Bを代表的に示す。
【0034】
図2を参照して、電力系統171からたとえば6.6kVの三相交流電力が集合住宅151に供給される。電力系統171からの交流電力は、たとえばトランス104A,104Bにより200Vの単相三線式の交流電力に変換されて各階に供給される。
【0035】
電力線161Aには、トランス104A、ならびにコンセントレータ102Aおよびスマートメータ101C,101Dが接続されており、電力線161Bには、トランス104B、ならびにコンセントレータ102Bおよびスマートメータ101A,101Bが接続されている。
【0036】
以下、コンセントレータ102A,102Bの各々をコンセントレータ102と称する場合がある。スマートメータ101A,101B,101C,101Dの各々をスマートメータ101と称する場合がある。トランス104A,104Bの各々をトランス104と称する場合がある。電力線161A,161Bの各々を電力線161と称する場合がある。
【0037】
トランス容量を考慮して各戸のスマートメータ101をコンセントレータ102に対応付けしようとした場合、たとえば、電力線161A,161Bごとにスマートメータ101およびコンセントレータ102を分ける方法が考えられる。具体的には、スマートメータ101C,101Dの通信相手をコンセントレータ102Aとし、スマートメータ101A,101Bの通信相手をコンセントレータ102Bとすると、電力線161を用いた電力線通信におけるスマートメータ101間の中継数を少なくできるために通信遅延が増加せず、また、1つのコンセントレータ102にスマートメータ101が集中することを防ぐことができる。
【0038】
ここで、電力情報収集システム201では、スマートメータ101を設置する作業を簡易にするために、各コンセントレータ102および各スマートメータ101は、共通の暗号キーを用いて、たとえばPSK(Pre Shared Key)方式に従った暗号化通信を行なう。
【0039】
図2に示すような各機器の配置および配線において、たとえば、スマートメータ101A,101B,101Cが配置済みの状態でスマートメータ101Dが新たに電力線161Aに接続されると、スマートメータ101Dおよびコンセントレータ102A間の信号の減衰度合いが、スマートメータ101Dおよびコンセントレータ102B間の信号の減衰度合いよりも大きくなる場合がある。
【0040】
この場合、スマートメータ101Dは、ヘッドエンド103へ電力情報を送信するための通信相手として、通信条件の良いコンセントレータ102Bを選択する。そうすると、スマートメータ101およびコンセントレータ102の対応付けのバランスが悪くなってしまう。また、スマートメータ101Dおよびコンセントレータ102B間にはトランス104A,104Bが存在することから、信号の減衰が大きくなり、伝送特性が劣化してしまう。
【0041】
そこで、本発明の実施の形態に係る電力情報収集システムでは、以下のような動作により、上記問題点を解決し、電力情報収集システムの良好な構築を可能とする。
【0042】
すなわち、スマートメータ101は、他のスマートメータ101およびコンセントレータ102と共通の暗号キーを用いて、通信が許可されるコンセントレータ102、すなわちヘッドエンド103に電力情報を転送するために接続すべきコンセントレータ102を検索する。
【0043】
そして、スマートメータ101は、検索したコンセントレータ102経由で、たとえば公開鍵方式に従って、ヘッドエンド103と認証処理を行なう。
【0044】
[動作]
次に、本発明の実施の形態に係る電力情報収集システムにおいて、新たなスマートメータを追加する際の動作について図面を用いて説明する。
【0045】
電力情報収集システム201におけるスマートメータ101、コンセントレータ102およびヘッドエンド103の各々は、以下のフローチャートの各ステップを含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。このプログラムは、外部からインストールすることができる。
【0046】
図3は、本発明の実施の形態に係る電力情報収集システムにおけるスマートメータの通信開始処理の動作手順を定めたフローチャートである。
【0047】
たとえば、ヘッドエンド103は、コンセントレータ102との通信が許可されるスマートメータ101の識別情報を当該コンセントレータ102に通知する。
【0048】
また、スマートメータ101は、通信が許可されるコンセントレータ102を検索する際、自己の識別情報をコンセントレータ102に通知する。
【0049】
コンセントレータ102は、ヘッドエンド103から通知された識別情報、およびスマートメータ101から通知された識別情報に基づいて、当該スマートメータ101に対して自己との通信を許可するか否かを判断する。
【0050】
ここで、たとえば、ヘッドエンド103は、コンセントレータ102の識別情報と、当該コンセントレータ102との通信が許可されるスマートメータ101の識別情報との対応関係を示す情報を記憶する。
【0051】
そして、スマートメータ101は、通信を許可されたコンセントレータ102経由でヘッドエンド103と認証処理を行なう。
【0052】
具体的には、
図3を参照して、まず、スマートメータ101A,101B,101Cが配置済みの状態において、スマートメータ101Dが、電力線161Aに新たに接続される。このとき、コンセントレータ102A,102Bおよびスマートメータ101A〜101Dには、共通の暗号キーが設定され、保持されている(ステップS1)。
【0053】
また、ヘッドエンド103は、コンセントレータ102Bとの通信が許可されるスマートメータ101A,101Bの識別情報たとえばMACアドレスを示す子機リストをコンセントレータ102Bへ送信し(ステップS2)、また、コンセントレータ102Aとの通信が許可されるスマートメータ101C,101Dの識別情報たとえばMACアドレスを示す子機リストをコンセントレータ102Aへ送信する(ステップS3)。
【0054】
そして、コンセントレータ102Bおよび102Aは、ヘッドエンド103から受信した子機リストをそれぞれ保持する(ステップS4およびS5)。
【0055】
以上のような状態において、電力線161Aに新たに接続されたスマートメータ101Dは、通信相手となる親機すなわちコンセントレータ102の検索を開始し(ステップS6)、共通の暗号鍵により通信を確立した上で、自己の識別情報たとえばMACアドレスを示す接続要求をたとえばコンセントレータ102Bへ送信する(ステップS7)。
【0056】
次に、コンセントレータ102Bは、スマートメータ101Dから接続要求を受信して、保持している子機リストを参照し、当該接続要求の示すMACアドレスを照合する(ステップS8)。ここでは、コンセントレータ102Bは、当該接続要求の示すMACアドレスが子機リストに存在しないことから、接続不許可を示すNACKをスマートメータ101Dへ送信する(ステップS9)。
【0057】
次に、スマートメータ101Dは、コンセントレータ102BからNACKを受信して、たとえばコンセントレータ102Aと共通の暗号鍵により通信を確立した上で、識別情報をコンセントレータ102Aへ送信する(ステップS10)。
【0058】
次に、コンセントレータ102Aは、スマートメータ101Dから接続要求を受信して、保持している子機リストを参照し、当該接続要求の示すMACアドレスを照合する(ステップS11)。ここでは、コンセントレータ102Aは、当該接続要求の示すMACアドレスが子機リストに存在することから、接続許可を示すACKをスマートメータ101Dへ送信する(ステップS12)。
【0059】
次に、スマートメータ101Dは、コンセントレータ102AからACKを受信して、たとえば公開キーおよびヘッドエンド103のIPアドレスを取得する。これら公開キーおよびIPアドレスは、たとえばACKに含まれている(ステップS13)。
【0060】
次に、スマートメータ101Dは、取得した公開キーおよびIPアドレスを用いて、コンセントレータ102A経由でヘッドエンド103との間で認証情報を送受信することにより、ヘッドエンド103との認証処理を行なう。たとえば、スマートメータ101Dおよびヘッドエンド103は、EAP−TLS(Extensible Authentication Protocol Transport Layer Security)方式に従って認証処理を行なう(ステップS14)。
【0061】
次に、スマートメータ101Dは、ヘッドエンド103との認証処理が完了した後、電力情報を、定期的または不定期に、コンセントレータ102A経由でヘッドエンド103へ送信する(ステップS15)。
【0062】
図4は、本発明の実施の形態に係る電力情報収集システムにおけるスマートメータの通信開始処理の他の例の動作手順を定めたフローチャートである。
【0063】
たとえば、スマートメータ101は、ヘッドエンド103に電力情報を転送するために接続すべきコンセントレータ102を検索する際、自己の識別情報をコンセントレータ102に通知する。
【0064】
コンセントレータ102は、当該識別情報の通知を受けて、この動作手順例では、通知された識別情報および自己の識別情報をヘッドエンド103に通知する。
【0065】
ヘッドエンド103は、コンセントレータ102から通知されたスマートメータ101の識別情報および当該コンセントレータ102の識別情報に基づいて、当該スマートメータ101が当該コンセントレータ102と通信すべきか否かを判断する。
【0066】
ここで、たとえば、ヘッドエンド103は、スマートメータ101の識別情報と、当該スマートメータ101が通信すべきコンセントレータ102の識別情報との対応関係を示す情報を記憶する。
【0067】
ヘッドエンド103は、当該スマートメータ101が当該コンセントレータ102と通信すべきでないと判断した場合、当該コンセントレータ102経由で、当該スマートメータ101が通信すべき他のコンセントレータ102の識別情報を当該スマートメータ101に通知する。
【0068】
そして、スマートメータ101は、ヘッドエンド103から通知された識別情報を用いて、他のコンセントレータ102を検索し、検索した他のコンセントレータ102経由で、公開鍵方式に従ってヘッドエンド103と認証処理を行なう。
【0069】
具体的には、
図4を参照して、まず、スマートメータ101A,101B,101Cが配置済みの状態において、スマートメータ101Dが、電力線161Aに新たに接続される。このとき、コンセントレータ102A,102Bおよびスマートメータ101A〜101Dには、共通の暗号キーが設定され、保持されている(ステップS21)。
【0070】
また、ヘッドエンド103は、スマートメータ101が通信相手とすべきコンセントレータ102を示す親機/子機接続テーブルを保持する。より詳細には、親機/子機接続テーブルは、コンセントレータ102の識別情報たとえばPAN(Personal Area Network)−IDと、スマートメータ101の識別情報たとえばMACアドレスとの対応関係を示す情報である(ステップS22)。
【0071】
以上のような状態において、電力線161Aに新たに接続されたスマートメータ101Dは、たとえば各コンセントレータ102からの報知情報に含まれるPAN−IDを取得し、PAN−IDリストを作成して保持する。このPAN−IDリストでは、たとえば、スマートメータ101Dとの間の信号の減衰度合いが小さいコンセントレータ102ほど上位に位置づけられる(ステップS23)。
【0072】
次に、スマートメータ101Dは、通信相手となる親機すなわちコンセントレータ102の検索を開始する(ステップS24)。
【0073】
スマートメータ101Dは、たとえばPAN−IDリストの最上位に位置するコンセントレータ102Bへ、自己の識別情報たとえばMACアドレスを示す接続要求を送信する(ステップS25)。
【0074】
次に、コンセントレータ102Bは、スマートメータ101Dから接続要求を受信して、接続許可を示すACKをスマートメータ101Dへ送信する(ステップS26)。
【0075】
また、コンセントレータ102Bは、たとえば当該接続要求からスマートメータ101DのMACアドレスを取得し、当該MACアドレスを示す子機情報をヘッドエンド103へ送信する(ステップS27)。
【0076】
次に、ヘッドエンド103は、コンセントレータ102Bから子機情報を受信して、子機情報の経由親機のPAN−IDを取得する。より詳細には、ヘッドエンド103は、子機情報からコンセントレータ102BのPAN−IDを取得し、また、スマートメータ101DのMACアドレスを取得する。たとえば、コンセントレータ102Bが子機情報を含むIPパケットをヘッドエンド103へ送信する場合、ヘッドエンド103は、当該IPパケットの送信元アドレスであるコンセントレータ102BのIPアドレスの一部を抽出することにより、コンセントレータ102BのPAN−IDを取得する(ステップS28)。
【0077】
次に、ヘッドエンド103は、保持している親機/子機接続テーブルを参照し、スマートメータ101DのMACアドレスおよびコンセントレータ102BのPAN−IDの組み合わせを照合する。ここでは、ヘッドエンド103は、当該組み合わせが親機/子機接続テーブルに存在しないことから、スマートメータ101DのMACアドレスに対応するPAN−ID、具体的にはスマートメータ101Dが通信すべきコンセントレータ102AのPAN−IDを親機/子機接続テーブルから取得する(ステップS29)。
【0078】
次に、ヘッドエンド103は、取得したPAN−IDを示す親機情報をコンセントレータ102Bへ送信する(ステップS30)。
【0079】
次に、コンセントレータ102Bは、ヘッドエンド103から受信した親機情報をスマートメータ101Dへ送信する(ステップS31)。
【0080】
次に、スマートメータ101Dは、コンセントレータ102B経由でヘッドエンド103から親機情報を受信して、親機情報の示すPAN−IDのコンセントレータ102Aへ、自己の識別情報たとえばMACアドレスを示す接続要求を送信する(ステップS32)。
【0081】
次に、コンセントレータ102Aは、スマートメータ101Dから接続要求を受信して、接続許可を示すACKをスマートメータ101Dへ送信する(ステップS33)。
【0082】
また、コンセントレータ102Aは、たとえば当該接続要求からスマートメータ101DのMACアドレスを取得し、当該MACアドレスを示す子機情報をヘッドエンド103へ送信する(ステップS34)。
【0083】
次に、ヘッドエンド103は、コンセントレータ102Aから子機情報を受信して、子機情報の経由親機のPAN−IDを取得する。より詳細には、ヘッドエンド103は、子機情報からコンセントレータ102AのPAN−IDを取得し、また、スマートメータ101DのMACアドレスを取得する(ステップS35)。
【0084】
次に、ヘッドエンド103は、保持している親機/子機接続テーブルを参照し、スマートメータ101DのMACアドレスおよびコンセントレータ102AのPAN−IDの組み合わせを照合する。ここでは、ヘッドエンド103は、当該組み合わせが親機/子機接続テーブルに存在することから、子機情報の経由親機が正しいと判断する(ステップS36)。
【0085】
次に、ヘッドエンド103は、コンセントレータ102Aを経由した自己との通信を許可する旨を示すACKをコンセントレータ102Aへ送信する(ステップS37)。
【0086】
次に、コンセントレータ102Aは、ヘッドエンド103から受信したACKをスマートメータ101Dへ送信する(ステップS38)。
【0087】
次に、スマートメータ101Dは、コンセントレータ102A経由でヘッドエンド103からACKを受信して、たとえば公開キーおよびヘッドエンド103のIPアドレスを取得する。これら公開キーおよびIPアドレスは、たとえばACKに含まれている(ステップS39)。
【0088】
次に、スマートメータ101Dは、取得した公開キーおよびIPアドレスを用いて、コンセントレータ102A経由でヘッドエンド103との間で認証情報を送受信することにより、ヘッドエンド103との認証処理を行なう(ステップS40)。
【0089】
次に、スマートメータ101Dは、ヘッドエンド103との認証処理が完了した後、電力情報を、定期的または不定期に、コンセントレータ102A経由でヘッドエンド103へ送信する(ステップS41)。
【0090】
なお、コンセントレータ102は、接続要求を送信してきたスマートメータ101に対して、ACK送信により自己との通信を明示的に許可する構成に限らず、接続要求を受信してもスマートメータ101へACKを送信しない構成であってもよい。
【0091】
ところで、電力情報収集システムを良好に構築するために、コンセントレータおよびスマートメータ間で暗号化通信を行い、相ごとに別個の暗号キーを用いて、同じ相のコンセントレータが用いる暗号キーと同じ暗号キーをスマートメータに設定し、スマートメータおよびコンセントレータ間で選択的な通信を行なわせる方法が考えられる。しかしながら、このような方法では、スマートメータを設置する作業者が、当該スマートメータの接続先とすべきコンセントレータを認識し、暗号キーを個別に設定する必要が生じてしまう。
【0092】
これに対して、本発明の実施の形態に係る電力情報収集システムでは、コンセントレータ102は、各スマートメータ101と共通の暗号キーを用いて、電力線通信によりスマートメータ101と通信可能である。スマートメータ101は、暗号キーを用いてコンセントレータ102のいずれかと通信し、その通信により得た情報に従って、サーバに電力情報を転送するために接続すべきコンセントレータ102を検索する。そして、スマートメータ101は、検索したコンセントレータ102経由で、公開鍵方式に従ってヘッドエンド103と認証処理を行なう。
【0093】
このような構成により、スマートメータを設置する作業者が、当該スマートメータの接続先とすべきコンセントレータを認識し、暗号キーを個別に設定することなく、スマートメータ101が自己の通信相手として適切なコンセントレータ102を選択することができる。これにより、電力線通信におけるスマートメータ101間の中継数を減らすことができるため、通信遅延の増大を抑制することができる。また、1つのコンセントレータ102にスマートメータ101が集中することを防ぐことができるため、電力情報収集システムを効率良く構築することができる。
【0094】
したがって、本発明の実施の形態に係る電力情報収集システムでは、電力線通信により親機と通信可能な子機が、親機経由でサーバへ電力情報を送信する電力情報収集システムにおいて、簡易な作業で子機をシステムに組み込み、電力情報収集システムを良好に構築することができる。
【0095】
また、本発明の実施の形態に係る電力情報収集システムでは、ヘッドエンド103は、コンセントレータ102との通信が許可されるスマートメータ101の識別情報を当該コンセントレータ102に通知する。スマートメータ101は、接続すべきコンセントレータ102を検索する際、自己の識別情報をコンセントレータ102に通知する。コンセントレータ102は、ヘッドエンド103から通知された識別情報、およびスマートメータ101から通知された識別情報に基づいて、当該スマートメータ101に対して自己との通信を許可するか否かを判断する。そして、スマートメータ101は、通信を許可されたコンセントレータ102経由でヘッドエンド103と認証処理を行なう。
【0096】
このような構成により、スマートメータ101の追加に伴うヘッドエンド103およびコンセントレータ102間の情報の送受信を最小限に抑えながら、主にコンセントレータ102およびスマートメータ101間の情報の送受信により、スマートメータ101は、通信相手として適切なコンセントレータ102を選択することができる。
【0097】
また、本発明の実施の形態に係る電力情報収集システムでは、ヘッドエンド103は、コンセントレータ102の識別情報と、当該コンセントレータ102との通信が許可されるスマートメータ101の識別情報との対応関係を示す情報を記憶する。
【0098】
このような構成により、コンセントレータ102との通信が許可されるスマートメータ101の情報を、簡易な処理で各コンセントレータ102に取得させることができる。
【0099】
また、本発明の実施の形態に係る電力情報収集システムでは、スマートメータ101は、接続すべきコンセントレータ102を検索する際、自己の識別情報をコンセントレータ102のいずれかに通知する。コンセントレータ102は、当該識別情報の通知を受けて、通知された識別情報をヘッドエンド103に通知する。ヘッドエンド103は、通知された識別情報に基づいて接続すべきコンセントレータ102を特定し、特定したコンセントレータ102の識別情報をスマートメータ101に通知する。そして、スマートメータ101は、ヘッドエンド103から識別情報が通知されたコンセントレータ102経由で、ヘッドエンド103と認証処理を行なう。
【0100】
このような構成により、通信相手とすべきコンセントレータ102をスマートメータ101が検出できるまでコンセントレータ102およびスマートメータ101間で情報の送受信が多数回行われることを防ぐことができるため、電力線通信における通信トラフィックの増大およびスマートメータ101の通信開始の遅延を防ぐことができる。
【0101】
また、本発明の実施の形態に係る電力情報収集システムでは、ヘッドエンド103は、スマートメータ101の識別情報と、当該スマートメータ101が接続すべきコンセントレータ102の識別情報との対応関係を示す情報を記憶する。
【0102】
このような構成により、スマートメータ101が通信相手として選択したコンセントレータ102の是非を、ヘッドエンド103において簡易な処理で一括して判定することができる。
【0103】
また、本発明の実施の形態に係る電力情報収集システムでは、スマートメータ101が接続すべきコンセントレータ102は、複数のコンセントレータ102のうち、当該スマートメータ101と同じ電力線161に接続されたコンセントレータ102である。
【0104】
このような構成により、たとえば異なる相の電力線161に接続されたコンセントレータ102とトランス104を介して接続するのではなく、同じ(相の)電力線161に接続されたコンセントレータ102を経てヘッドエンド103と良好に通信することができる。
【0105】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。