特許第6011436号(P6011436)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スズキ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011436
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】船外機のチルトアップ補助構造
(51)【国際特許分類】
   B63H 20/08 20060101AFI20161006BHJP
   B63H 20/12 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   B63H20/08 510
   B63H20/12 100
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-91554(P2013-91554)
(22)【出願日】2013年4月24日
(65)【公開番号】特開2014-213683(P2014-213683A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年2月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】馬岡 清一朗
【審査官】 中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−246190(JP,A)
【文献】 実開平05−029898(JP,U)
【文献】 米国特許第5188549(US,A)
【文献】 実開昭57−167000(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 20/00−20/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体に固定されるクランプブラケットと、
前記クランプブラケットにチルト軸を中心に回動可能に設けられるスイベルブラケットと、
前記スイベルブラケットにスイベル軸を中心に回動可能に設けられる船外機本体と、
前記船外機本体に結合されるハンドル部と、を有する船外機において、
前記チルト軸を中心にした前記船外機本体の推進位置からチルト完了位置までの回動範囲内で、前記船外機本体を段階的に支持するチルトアップ支持部を有し、
前記ハンドル部は、
前記船外機本体の前部に結合されたハンドルブラケットと、
前記ハンドルブラケットの前側に延出する延出位置から折り畳み位置まで水平軸を中心に回動可能に設けられるステアリングハンドルと、
前記水平軸を中心にした前記ステアリングハンドルの延出位置から折り畳み位置までの回動範囲内で、前記ステアリングハンドルの下側への回動を段階的に規制するハンドル規制部と、を有することを特徴とする船外機のチルトアップ補助構造。
【請求項2】
前記ハンドル規制部は、
前記ステアリングハンドルの上側への回動を許容する一方、下側への回動を規制するラチェット機構を有することを特徴とする請求項1に記載の船外機のチルトアップ補助構造。
【請求項3】
前記ハンドル規制部は、
前記ステアリングハンドルの基端部に形成された円状部の外周から径方向に突出し、前記外周に沿って離間して形成された複数のラチェットカムと、
前記ハンドルブラケットに設けられ、前記複数のラチェットカムの何れかに係合するラチェット爪と、を有することを特徴とする請求項2に記載の船外機のチルトアップ補助構造。
【請求項4】
前記ハンドル部は、
前記ハンドル規制部の前記ラチェットカムと前記ラチェット爪との係合を解除する解除部材を有することを特徴とする請求項3に記載の船外機のチルトアップ補助構造。
【請求項5】
前記ハンドル部は、
前記解除部材による前記ラチェットカムと前記ラチェット爪との係合の解除を保持する保持機構を有することを特徴とする請求項4に記載の船外機のチルトアップ補助構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船外機のチルトアップ補助構造に関するものである。特に、操船者が船外機本体をチルトアップする場合に用いられて好適である。
【背景技術】
【0002】
船外機では船体を係留する際に水中から船外機本体を引き上げるチルトアップをする場合がある。小型の船外機ではチルトアップを行うためのパワーアシスト機構を備えていないものが多い。したがって、操船者は自らが船外機本体を引き上げてチルトアップをしなければならない。通常、船外機本体は船体の後尾板に取り付けられていることから、船外機本体をチルトアップする場合、操船者は船体から乗り出す体勢になるために引き上げる力を十分に発揮することが困難である。
【0003】
そのため、ステアリングハンドルを備えた船外機では、操船者は梃子の原理を利用してステアリングハンドルを押し下げることで船外機本体をチルトアップすることが考えられる。しかしながら、ステアリングハンドルは船体の前側に延出しているために、操船者がステアリングハンドルを押し下げると、ステアリングハンドルの先端が船体と接触してしまい、十分な角度まで船外機本体をチルトアップさせることができない。
【0004】
このような問題に対して特許文献1には船外機天部に設置するチルトアップ装置が開示されている。このチルトアップ装置は可動ベースに傾倒可能な操作アームおよびチルトアームを有し、梃子の原理を利用して可動ベースの横軸を中心にして船外機本体をチルトアップするものである。
【0005】
また、特許文献2には船外機本体をチルトアップさせるときにチルトアップ状態で保持するチルトロック部材を有する船外機のチルト装置が開示されている。このチルト装置では操船者がステアリングハンドルを上方へ回動した状態から前方へ倒すような力を加えることで船外機本体をチルトアップさせ、チルトアップさせた船外機本体をロックレバーとロックピンにより保持するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−22198号公報
【特許文献2】特開昭60−197491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のチルトアップ装置では、外観を損ねるだけではなく、本来強度が考慮されていない船外機天部に梃子の支点が位置するため船外機天部のカバーが破損してしまう虞がある。また、チルトアップ装置自体にも強度が必要であるために、船外機本体の重量が増加したり大型化したりしてしまう虞がある。
【0008】
また、特許文献2のチルト装置では、船外機本体が推進する推進状態からチルトアップ状態までを一度の作業で引き上げなければならない。すなわち、一度の作業で引き上げられない場合には、船外機本体の自重により推進状態に戻ってしまい、再びチルトアップしなければならない。また、チルトアップを補助するためにステアリングハンドルを上方へ回動させた状態から前方へ倒すことができるように構成されているが、操船者が体重をかけやすいステアリングハンドルの角度にすることができず、チルトアップが容易ではないという問題がある。
【0009】
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、船外機本体を容易にチルトアップできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、船体に固定されるクランプブラケットと、前記クランプブラケットにチルト軸を中心に回動可能に設けられるスイベルブラケットと、前記スイベルブラケットにスイベル軸を中心に回動可能に設けられる船外機本体と、前記船外機本体に結合されるハンドル部と、を有する船外機において、前記チルト軸を中心にした前記船外機本体の推進位置からチルト完了位置までの回動範囲内で、前記船外機本体を段階的に支持するチルトアップ支持部を有し、前記ハンドル部は、前記船外機本体の前部に結合されたハンドルブラケットと、前記ハンドルブラケットに前側に延出する延出位置から折り畳み位置まで水平軸を中心に回動可能に設けられるステアリングハンドルと、前記水平軸を中心にした前記ステアリングハンドルの延出位置から折り畳み位置までの回動範囲内で、前記ステアリングハンドルの下側への回動を段階的に規制するハンドル規制部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、容易に船外機本体をチルトアップすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】船外機の構成を示す側面図である。
図2】船外機のクランプ部の周辺を示す断面図である。
図3】船外機のクランプ部の周辺を示す断面図である。
図4】船外機本体をチルトアップした状態を示す断面図である。
図5】ハンドル部の構成を示す斜視図である。
図6A】ハンドル規制部の構成を示す側面図である。
図6B】ハンドル規制部の構成を示す斜視図である。
図7】ハンドル部の断面図である。
図8A】ハンドル規制部の動作を説明するための図である。
図8B】ハンドル規制部の動作を説明するための図である。
図8C】ハンドル規制部の動作を説明するための図である。
図8D】ハンドル規制部の動作を説明するための図である。
図9A】解除部材の動作を説明するための図である。
図9B】解除部材の動作を説明するための図である。
図9C】解除部材の動作を説明するための図である。
図10A】船外機本体のチルトアップの動作を説明するための図である。
図10B】船外機本体のチルトアップの動作を説明するための図である。
図10C】船外機本体のチルトアップの動作を説明するための図である。
図10D】船外機本体のチルトアップの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図では、必要に応じて、船外機1の前側(船外機1が搭載される船体2の前進方向)を矢印Frで示し、船外機1の後側(船外機1が搭載される船体の後進方向)を矢印Rrで示し、船外機1の右側を矢印Rで示し、船外機1の左側を矢印Lで示している。
図1は、船外機の構成を示す側面図である。
船外機1は、船外機本体10と、クランプ部30と、ハンドル部50とを備えている。
【0014】
船外機本体10は、パワーユニット11と、ミッドユニット14と、推進ユニット18とを有している。
パワーユニット11は、駆動源としてのエンジン(船外機用内燃機関)12がエンジンカバー13により覆われて構成されている。エンジン12には、クランクシャフトを鉛直方向に配置したバーティカル(縦)型が用いられる。
【0015】
ミッドユニット14は、クランクシャフトに接続されるドライブシャフト15が鉛直方向に配置され、ドライブシャフト15がドライブシャフトハウジング16により覆われて構成されている。また、ミッドユニット14は、クランプ部30およびハンドル部50を結合するためのブラケット17を有している。ブラケット17は、ミッドユニット14の前部で上下に離間して配置されるアッパステアリングブラケット17aとロアステアリングブラケット17bとを有している。アッパステアリングブラケット17aおよびロアステアリングブラケット17bは、それぞれミッドユニット14の前部から船体2側に向かって延出して形成されている。また、アッパステアリングブラケット17aは、更に前斜め上側に向かって延出され、先端にハンドル部50が結合されている。
【0016】
推進ユニット18は、ドライブシャフト15により回転されるベベルギア19、プロペラシャフト20およびプロペラ21などを有している。ベベルギア19およびプロペラシャフト20は、ギアケース22内に収容されている。
このように構成される船外機本体10では、エンジン12からの出力によりクランクシャフト、ドライブシャフト15、ベベルギア19およびプロペラシャフト20を介してプロペラ21を回転させる。プロペラ21が回転することで、船外機1が取り付けられた船体2は前側または後側に推進する。
【0017】
クランプ部30は、船外機本体10を船体2の後部の後尾板3に固定する。クランプ部30は、クランプブラケット31と、スイベルブラケット32と、クランプブラケットシャフト33と、パイロットシャフト34とを有している。
クランプブラケット31は左右に離間して一対で構成され、それぞれが後尾板3を前後から挟み込むことにより後尾板3に固定される。
【0018】
図2は、船外機1を左右方向の中心を通るように前後方向に沿って切断したクランプ部30の断面図である。図2に示すように、スイベルブラケット32は、一対のクランプブラケット31の間に配置される回動部32aと、鉛直方向に沿った円筒状の支持部32bとが一体的に形成されている。
回動部32aは、一対のクランプブラケット31間に水平方向に架設されたクランプブラケットシャフト33を介して上下方向(チルト方向)に回動自在に軸支されている。操船者は、クランプブラケットシャフト33の軸心となるチルト軸Tを中心にして、船外機本体10すなわち推進ユニット18を水中から引き上げる、いわゆるチルトアップを行うことができる。本実施形態では、船外機本体10が略鉛直状態であって推進ユニット18により船体2が推進可能な推進位置から、船外機本体10が略水平状態であって推進ユニット18が水中から完全に露出されるチルト完了位置までの間を回動可能である。
【0019】
支持部32bには、中空状のパイロットシャフト34が、支持部32b内でスイベル軸Sを中心に回動自在に軸支されている。パイロットシャフト34は、上側がアッパステアリングブラケット17aに結合され、下側がロアステアリングブラケット17bに結合されている。したがって、操船者は、後述するステアリングハンドル52を水平方向に回動することにより、船外機本体10がスイベルブラケット32の支持部32b内のパイロットシャフト34を介してスイベル軸Sを中心に旋回する。
【0020】
本実施形態では、クランプ部30は、操船者による船外機本体10のチルトアップを補助するチルトアップ補助構造として、チルトアップ支持部35を有している。ここで、チルトアップ支持部35について、図2図4を参照して説明する。
図3は、図2に示すI−I線を切断して矢印方向から見た断面図である。図4は、図2に示す状態から船外機本体10のチルト完了位置の状態を示す断面図である。
チルトアップ支持部35は、船外機本体10の推進位置からチルト完了位置までの回動範囲内で、自重により推進位置に戻ろうとする船外機本体10を段階的に支持する。本実施形態のチルトアップ支持部35は、クランプ部30の一部であって、クランプブラケット31とスイベルブラケット32との間に配設されている。
【0021】
チルトアップ支持部35は、スイベルブラケット32側に設けられた係合部としての係合ピン36と、クランプブラケット31側に設けられ係合ピン36と係合する被係合部としての被係合溝45とを有している。
係合ピン36は、左右一対の支持アーム37(37a、37b)の先端側であって船外機1の外側にそれぞれ屈曲して形成されている。支持アーム37(37a、37b)は、スイベルブラケット32の回動部32aのうち支持部32bに近接した位置に支持シャフト38(38a、38b)を介して回動自在に軸支されている。したがって、船外機本体10がチルトアップされたときに、スイベルブラケット32の上側への回動に応じて支持アーム37、すなわち係合ピン36も同様に上昇する。また、図3に示すように、支持アーム37a、37bは、下部が連結シャフト39によって連結されているので支持シャフト38a、38bを中心にして常に同期して動作する。
【0022】
支持シャフト38aの一方側の端部には揺動アーム40が形成されている。また、揺動アーム40と連結シャフト39との間には付勢部材としての引っ張りバネ41が架設されている。図2では、揺動アーム40は支持シャフト38aの軸心から後側に向かって延出していることから、係合ピン36は引っ張りバネ41によって後側に向かって付勢される。
また、支持シャフト38aの他方側の端部には操作レバー42が形成されている。図2では、操作レバー42は支持シャフト38aの端部から後側に向かって延出している。操船者は操作レバー42を図2に示す矢印A方向に回動させることができる。操作レバー42を回動させることにより支持シャフト38aを介して揺動アーム40も同方向に回動する。このとき、揺動アーム40が支持シャフト38aを通る鉛直線を超えて矢印A方向に回動すると、揺動アーム40は支持シャフト38aの軸心から前側に向かって延出することから、係合ピン36は引っ張りバネ41によって前側に向かって付勢される。
【0023】
一方、被係合溝45は、一対のクランプブラケット31同士が対向する内側面46に形成された凹部47内であって、凹部47内の前側面に溝状に形成されている。本実施形態では、上下に離間して複数の被係合溝45(45a、45b、45c)が形成されている。
被係合溝45aは、係合ピン36が係合することによって、チルト完了位置の船外機本体10を支持する。図4は、被係合溝45aに係合ピン36が係合した状態を示す図である。図4に示すように、船外機本体10は、被係合溝45aに係合した係合ピン36を介して支持アーム37によりチルト完了位置で支持される。
また、被係合溝45b、45cは、係合ピン36が係合することによって、推進位置からチルト完了位置までを回動する途中の船外機本体10を支持する。
【0024】
また、各被係合溝45(45a、45b、45c)の下側には、被係合溝45に連続してガイド部48が形成されている。各ガイド部48は、後斜め上側に沿ったガイド面を有している。係合ピン36が引っ張りバネ41によって前側に付勢されているときに、係合ピン36が船外機本体10のチルトアップに応じて上昇すると、各ガイド部48は係合ピン36をガイド面に沿って上側の各被係合溝45までガイドする。
【0025】
このようにチルトアップ支持部35は、推進位置からチルト完了位置までの回動範囲内で、自重で推進位置に戻ろうとする船外機本体10を被係合溝45bまたは被係合溝45cにより段階的に支持することができる。したがって、操船者は推進位置からチルト完了位置まで一度でチルトアップさせなくとも段階的にチルトアップを行うことができる。
【0026】
次に、船外機1のハンドル部50の構成について説明する。
ハンドル部50は、船体2を旋回させたいときに操船者により操舵される。ハンドル部50は、ハンドルブラケット51と、ステアリングハンドル52とを有している。
ハンドルブラケット51は、前側に延出されたアッパステアリングブラケット17aの先端に結合される。図5は、ハンドル部50を斜め上側から見た斜視図である。ハンドルブラケット51は、右側ハンドルブラケット51aおよび左側ハンドルブラケット51bにより構成されている。右側ハンドルブラケット51aおよび左側ハンドルブラケット51bがステアリングハンドル52の基端部53を左右から挟み込むことで、ステアリングハンドル52がハンドルブラケット51に取り付けられる。
【0027】
ステアリングハンドル52は、基端部53の側面に形成された回動部54(後述する図6Aを参照)がハンドルブラケット51と嵌合することにより水平軸Hを中心として上下方向に回動自在に軸支されている。ここでは、ステアリングハンドル52は、船外機本体10が推進位置の状態で、先端が前側に延出する略水平状態の延出位置から先端が略上側(より具体的には後斜め上側)に向かって屈曲する折り畳み位置までの間を回動可能である。ここで、折り畳み位置とは、ステアリングハンドル52がハンドルブラケット51に対して折り畳まれる限界の位置をいうものとする。また、ステアリングハンドル52の延出位置では、基端部53と右側ハンドルブラケット51aとが当接することでステアリングハンドル52の下側への回動が規制される。また、ステアリングハンドル52は、先端にスロットルグリップ55が設けられている。操船者は、スロットルグリップ55をステアリングハンドル52の軸心を中心にして回動させることでエンジン12に対して出力の増減を指示することができる。
【0028】
本実施形態では、ハンドル部50は、操船者による船外機本体10のチルトアップを補助するチルトアップ補助構造として、ステアリングハンドル52の回動を規制するハンドル規制部60を有している。ハンドル規制部60について、図6A図9Cを参照して説明する。
図6Aおよび図6Bは、ステアリングハンドル52の基端部53の周辺を示す側面図および斜視図である。図6Aおよび図6Bは、左側ハンドルブラケット51bを取り外した状態を示している。図7は、図5に示すII−II線を切断して矢印方向から見た断面図である。
ハンドル規制部60は、ステアリングハンドル52の延出位置から折り畳み位置までの回動範囲内で、ステアリングハンドル52の下側への回動を段階的に規制する。また、ハンドル規制部60は、ステアリングハンドル52の下側への回動を規制する一方、上側への回動を許容するように構成される。本実施形態のハンドル規制部60は、ハンドル部50の一部であって、ハンドルブラケット51とステアリングハンドル52との間に配設されている。
【0029】
ハンドル規制部60は、ハンドルブラケット51側に設けられた係合部としてのラチェット爪61と、ステアリングハンドル52側に設けられた被係合部としてのラチェットカム71とを有している。
ラチェット爪61は、解除部材62の一部であってラチェットカム71側に突出して形成されている。図7に示すように、解除部材62は、左側ハンドルブラケット51bを水平方向に挿通し、右側ハンドルブラケット51aに締結された支持ボルト63により回動可能に軸支されている。解除部材62は、第1付勢部材としての捩りバネ64によって支持ボルト63を中心にして常に一方の回動方向(図6Aに示すB方向)に付勢されている。また、解除部材62は、ハンドルブラケット51の当接面65と当接することで捩りバネ64による付勢が規制される。一方、解除部材62に対して他方の回動方向(図6Aに示すC方向)に力が加わった場合には、捩りバネ64の付勢に抗して解除部材62と共にラチェット爪61が他方に回動する(図6Aに示すB方向)。
捩りバネ64は、一端が解除部材62に当接され、他端が右側ハンドルブラケット51aに当接され、支持ボルト63により軸支されている。
【0030】
一方、ラチェットカム71は、ステアリングハンドル52の基端部53の側面であって、水平軸Hを中心にして形成された円状部72の外周から径方向に突出して形成されている。本実施形態では、円状部72の外周に沿って離間して複数のラチェットカム71a、71b、71cが形成されている。ステアリングハンドル52を延出位置から折り畳み位置まで回動させることで、ラチェット爪61が各ラチェットカム71と係合する。
ラチェットカム71aは、ラチェット爪61と係合することによって、折り畳み位置のステアリングハンドル52が下側に回動することを規制する。
また、ラチェットカム71b、71cは、ラチェット爪61が係合することによって、延出位置から折り畳み位置までを回動する途中のステアリングハンドル52が下側に回動することを規制する。一方、ラチェットカム71b、71cは、ステアリングハンドル52の上側への回動を許容する。
【0031】
各ラチェットカム71(71a、71b、71c)は、ラチェット爪61と係合する係合面73と、ラチェット爪61がラチェットカム71を乗り越えるためにガイドするガイド面74とを有している。係合面73は、円状部72の外周面に対して直交、換言すると水平軸Hに対して直交する方向に形成されている。一方、ガイド面74は、円状部72の外周から緩やかに連続して形成されている。
【0032】
ここで、ラチェット爪61とラチェットカム71とによりハンドルブラケット51の下側への回動を規制し、上側への回動を許容する動作について図6A図8A図8Dを参照して説明する。
図6Aは、ステアリングハンドル52が延出位置の状態を示す図である。図6Aでは、基端部53と右側ハンドルブラケット51aとが当接することでステアリングハンドル52の下側への回動が規制されている。
【0033】
図8Aは、水平軸Hを中心にしてステアリングハンドル52を上側に回動させた状態を示す図である。図8Aに示すようにステアリングハンドル52を回動させるとラチェットカム71cとラチェット爪61とが当接する。
図8Bは、図8Aからステアリングハンドル52を更に回動させた状態を示す図である。図8Bに示すように、ステアリングハンドル52の回動に応じてラチェットカム71cが回動すると、ラチェット爪61はガイド面74によって下側に押圧される。したがって、解除部材62には他方の回動方向への力が加えられることにより、捩りバネ64の付勢に抗してラチェット爪61が他方の回動方向に回動する(図8Bに示すC方向)。このとき、ラチェット爪61はラチェットカム71cの回動に応じてガイド面74によってガイドされる。
【0034】
図8Cは、図8Bからステアリングハンドル52を更に回動させた状態を示す図である。図8Cに示すように、ステアリングハンドル52の回動に応じてラチェットカム71cが回動すると、ラチェット爪61がラチェットカム71cを乗り越える。このとき、ラチェット爪61はラチェットカム71cによる押下が解除されることにより、捩りバネ64が解除部材62を一方の回動方向に回動させる(図8Cに示すB方向)。なお、解除部材62は、ハンドルブラケット51の当接面65と当接することで捩りバネ64による回動が規制される。
【0035】
図8Dは、図8Cからステアリングハンドル52を下側に回動させた状態を示す図である。図8Dに示すように、ステアリングハンドル52の下側の回動に応じてラチェットカム71cの係合面73とラチェット爪61が係合する。このとき、ステアリングハンドル52の下側の回動によりラチェットカム71cがラチェット爪61、すなわち解除部材62を一方の回動方向に押圧するが、解除部材62がハンドルブラケット51の当接面65と当接している。したがって、ステアリングハンドル52は解除部材62を介して下側への回動が規制される。
【0036】
なお、ここでは、ラチェットカム71cによる作用についてのみ説明したが、ラチェットカム71bについても同様である。このように、ハンドル規制部60のラチェット爪61およびラチェットカム71b、71cは、ステアリングハンドル52の下側への回動を規制し、上側への回動を許容する、いわゆるラチェット機構により構成されている。
【0037】
また、ハンドル部50は、ハンドル規制部60によるラチェット機構の作用を解除するための解除機構を有している。解除機構は、解除部材62とハンドルブラケット51の空間66とにより構成されている。
具体的には、解除部材62は、支持ボルト63の軸方向に沿って摺動可能である。図7に示すように、左側ハンドルブラケット51bのうち解除部材62と対向する位置には、解除部材62を収容可能な空間66が形成されている。空間66は、収容された解除部材62が一方の回動方向(図6Aに示す矢印B方向)に僅かに回動できるように形成されている。また、図6Bおよび図7に示すように、解除部材62は、第2付勢部材としての圧縮バネ67によって常に空間66から離間する方向に付勢される。更に、解除部材62は、操船者が解除部材62を操作するためのレバー部68が上側に突出した後に左側ハンドルブラケット51b側に屈曲して形成されている。
圧縮バネ67は、左側ハンドルブラケット51bと解除部材62との間で支持ボルト63により軸支されている。
【0038】
ここで、ハンドル規制部60によるラチェット機構の作用を解除するための操作について図9A図9Cを参照して説明する。図9A図9Cは、解除部材62および解除部材62の周辺の構成を示す平面図である。
図9Aは、ラチェット機構の作用を解除する前の状態である。すなわち、図9Aに示す状態では、前後方向で見て、ラチェット爪61とラチェットカム71とが対向し重なり合っているので、ステアリングハンドル52の下側への回動を規制され、上側への回動が許容される状態である。
【0039】
図9Bは、操船者がレバー部68を介して解除部材62を圧縮バネ67に抗して空間66に向かって押圧した状態を示す図である。図9Bに示すように、解除部材62が押圧されることにより解除部材62は空間66に移動する。このとき、解除部材62のラチェット爪61も空間66に移動することから、前後方向で見て、ラチェット爪61とラチェットカム71とが重なり合っていないため、ラチェット爪61はラチェットカム71と係合することがない。したがって、図9Bに示す状態では、ハンドル規制部60による規制を解除できる。
【0040】
図9Cは、図9Bから解除部材62が一方の回動方向に回動された状態を示す図である。すなわち、空間66に収容された解除部材62は、当接面65との間の当接が解除される。また、空間66内では、上述したように解除部材62は一方の回動方向に僅かに回動できる。したがって、図9Cに示す状態では、捩りバネ64により解除部材62が空間66内を一方側に回動する。このとき、解除部材62のうちレバー部68に近接した部分が、右側ハンドルブラケット51aと左側ハンドルブラケット51bとの間に位置する。したがって、解除部材62は、圧縮バネ67により空間66から離間する方向に付勢されていても、右側ハンドルブラケット51aに当接されているために、ハンドル規制部60による規制の解除を保持することができる。したがって、図9Cに示す状態では、操船者はステアリングハンドル52を延出位置から折り畳み位置までの間を自由に回動させることができる。このように、ハンドル部50では、解除部材62と、空間66と、捩りバネ64と、圧縮バネ67によって、ハンドル規制部60による規制の解除を保持する保持機構が構成されている。
【0041】
なお、ハンドル規制部60により再びステアリングハンドル52を規制させたい場合には、図9Cに示す状態から操船者は捩りバネ64に抗してレバー部68を他方の回動方向に回動させることにより、解除部材62が右側ハンドルブラケット51aとの間の当接が解除され、圧縮バネ67によりラチェット爪61とラチェットカム71とが係合される位置に付勢される。
【0042】
上述したように構成される船外機1のチルトアップの操作の一例について図10A図10Dを参照して説明する。まずチルトアップする前に、操船者は操作レバー42を操作して引っ張りバネ41により係合ピン36をガイド部48側に付勢させ、チルトアップ支持部35により船外機本体10を支持できるようにする。また、操船者は解除部材62のレバー部68を操作してラチェット爪61をラチェットカム71と対向する位置に移動させ、ハンドル規制部60によりステアリングハンドル52を規制できるようにする。
【0043】
次に、操船者はステアリングハンドル52を延出位置から上側に回動させる。ステアリングハンドル52の上側への回動に応じて解除部材62のラチェット爪61がラチェットカム71cを乗り越えることで、ラチェット爪61とラチェットカム71cの係合面73とが係合し、ステアリングハンドル52の下側への回動が規制される。
図10Aは、ステアリングハンドル52を上側に回動させて、ハンドル規制部60によりステアリングハンドル52の下側への回動が規制されている状態を示している。図10Aでは、ステアリングハンドル52が前斜め上側に向かって延出した状態で下側への回動が規制されている。
【0044】
次に、操船者はステアリングハンドル52を下側に押し下げる。このとき、ステアリングハンドル52は前斜め上側に向かって延出しているので、操船者はステアリングハンドル52に対して鉛直方向に操船者の体重を掛けることができ、効率よく船外機本体10をチルトアップすることができる。船外機本体10の回動に応じて、チルトアップ支持部35の係合ピン36がガイド部48に沿って上昇する。
図10Bは、ステアリングハンドル52を下側に押し下げて、船外機本体10がチルトアップされている状態を示している。
【0045】
次に、操船者はステアリングハンドル52の先端が船体2に接触する前に、ステアリングハンドル52に対して下側に押し下げる力を解除する。このとき、船外機本体10が自重により推進位置に戻ろうとするものの、係合ピン36がガイド部48によりガイドされ被係合溝45bまたは被係合溝45cに係合する。したがって、チルトアップ支持部35は、推進位置からチルト完了位置までの間で自重により推進位置に戻ろうとする船外機本体10を支持する。
なお、操船者はステアリングハンドル52を押し下げる量を大きくすることで、係合ピン36は被係合溝45cを通り越して被係合溝45bに係合する。すなわち、チルトアップにより船外機本体10の回動する量に応じて係合ピン36は被係合溝45cまたは被係合溝45bの何れかに係合する。ここでは、係合ピン36は被係合溝45bに係合したものとする。
【0046】
次に、操船者はステアリングハンドル52を更に上側に回動させる。このとき、ステアリングハンドル52の上側への回動に応じて解除部材62のラチェット爪61がラチェットカム71bを乗り越えることで、ラチェット爪61とラチェットカム71bの係合面73とが係合し、ステアリングハンドル52の下側への回動が規制される。
図10Cは、ステアリングハンドル52を上側に回動させて、ハンドル規制部60によりステアリングハンドル52の下側への回動が規制されている状態を示している。図10Cでは、ステアリングハンドル52が前斜め上側に向かって延出した状態で下側への回動が規制されている。
【0047】
次に、操船者はステアリングハンドル52を下側に押し下げる。このとき、ステアリングハンドル52は前斜め上側に向かって延出しているので、操船者はステアリングハンドル52に対して鉛直方向に操船者の体重を掛けることができ、効率よく船外機本体10をチルトアップすることができる。船外機本体10の回動に応じて、チルトアップ支持部35の係合ピン36がガイド部48に沿って上昇する。
【0048】
次に、操船者はステアリングハンドル52の先端が船体2に接触する前に、ステアリングハンドル52に対して下側に押し下げる力を解除する。このとき、船外機本体10が自重により推進位置に戻ろうとするものの、係合ピン36がガイド部48によりガイドされ被係合溝45aに係合する。したがって、チルトアップ支持部35は、船外機本体10をチルト完了位置で支持することができる。
【0049】
なお、チルトアップの操作は上述した場合に限られず、操船者は、最初から解除部材62のラチェット爪61がラチェットカム71cを超えて、ラチェットカム71bあるいはラチェットカム71aを乗り越えるまで、ステアリングハンドル52を上側に回動させてもよい。この場合、解除部材62のラチェット爪61がラチェットカム71cに係合する場合に比べて、ステアリングハンドル52が略鉛直方向に延出するために下側に押し下げる力を要するものの、再びステアリングハンドル52を上側に回動させる操作を省略することができる。すなわち、操船者は、自身のステアリングハンドル52を押し下げる力や船外機本体10の重量などに応じて、ステアリングハンドル52を延出させる角度を自由に変更することができる。
【0050】
一方、船外機本体10をチルトダウンさせたい場合には、操船者は船外機本体10をチルト完了位置からチルトアップさせる方向に僅かに回動させてチルトアップ支持部35の係合ピン36と被係合溝45とを離間させる。係合ピン36と被係合溝45とを離間させた状態で、操船者は操作レバー42を操作して係合ピン36を被係合溝45から離すことにより、係合ピン36は何れの被係合溝45aとも係合することがなく、船外機本体10は自重により推進位置までチルトダウンさせることができる。
【0051】
このように本実施形態の船外機1は、船外機本体10の推進位置からチルト完了位置までの回動範囲内で船外機本体10を段階的に支持するチルトアップ支持部35を有している。したがって、船外機本体10を推進位置からチルト完了位置までを一度でチルトアップする必要がなく、段階的にチルトアップすることができるため、操船者はチルトアップを容易に行うことができる。
また、本実施形態の船外機1は、ステアリングハンドル52の延出位置から折り畳み位置までの回動範囲内でステアリングハンドル52の下側への回動を段階的に規制するハンドル規制部60を有している。したがって、チルトアップ支持部35により段階的に支持された船外機本体10に対して、操船者がステアリングハンドル52を押し下げやすい位置で下側への回動を規制することができるため、操船者はチルトアップを容易に行うことができる。
【0052】
また、ハンドル規制部60は、ステアリングハンドル52の上側への回動は許容するラチェット機構を有することから、船外機本体10を段階的にチルトアップするときに、ステアリングハンドル52を上側へ回動するだけでステアリングハンドル52が延出する方向の角度を容易に変更することができる。
また、ハンドル規制部60は、ラチェットカム71とラチェット爪61との係合を解除する解除部材62を有することから、船外機本体10のチルトアップをしない場合にラチェットカム71とラチェット爪61との係合を解除させることができる。
また、解除部材62によるラチェットカム71とラチェット爪61との係合の解除を保持する保持機構を有することから、船外機本体10のチルトアップをしない場合にラチェットカム71とラチェット爪61との係合の解除を保持することができる。
【0053】
また、本実施形態のチルトアップ補助構造では、既存のハンドル部50にハンドル規制部60を追加する構成であるために外観を損ねることがない。更に、ハンドル規制部60は、強度を有するハンドル部50に構成されていることから、チルトアップ補助構造の強度を補強する必要がなく、重量の増加を最小限にすることができる。
【0054】
以上、本発明を上述した実施形態により説明したが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更などが可能である。
上述した実施形態では、船外機本体10の推進位置からチルト完了位置までの回動範囲内で船外機本体10を段階的に支持するために、チルトアップ支持部35が複数の被係合溝45b、45cを有する場合について説明した。すなわち、チルトアップ支持部35は、船外機本体10を被係合溝45b、45cにより2段階で支持する場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、被係合溝45を更に増やすことで船外機本体10を3段階以上の複数段階で支持してもよく、被係合溝45b、45cを1つのみで構成することで1段階のみで支持してもよい。
【0055】
また、上述した実施形態では、ステアリングハンドル52の延出位置から折り畳み位置までの回動範囲内で、ステアリングハンドル52の下側への回動を段階的に規制するために、ハンドル規制部60が複数のラチェットカム71b、71cを有する場合について説明した。すなわち、ハンドル規制部60は、ステアリングハンドル52をラチェットカム71b、71cにより2段階で下側への回動を規制する場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、ラチェットカム71を増やすことで3段階以上の複数段階で規制してもよく、ラチェットカム71b、71cを1つのみで構成することで1段階のみで規制してもよい。
【0056】
また、上述した実施形態では、ハンドル規制部60は、ラチェット機構により構成される場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、ステアリングハンドル52の延出位置から折り畳み位置までの回動範囲内で、ステアリングハンドル52とハンドルブラケット51との間に亘って係止ピンを差し込むことで、ステアリングハンドル52の下側への回動を段階的に規制してもよい。
また、上述した本実施形態では、ラチェットカム71aがラチェット爪61と係合することによって、折り畳み位置のステアリングハンドル52が下側に回動することを規制する場合について説明したが、この場合に限られない。ラチェットカム71aとラチェット爪61とが係合した状態では、ステアリングハンドル52が折り畳み位置に到る手前の状態であってもよく、この場合には、ラチェットカム71aも、ラチェットカム71b、71cと同様に、ステアリングハンドル52の下側への回動を規制し、上側への回動を許容するラチェット機構の一部を構成する。
【符号の説明】
【0057】
1:船外機 10:船外機本体 11:パワーユニット 14:ミッドユニット 18:推進ユニット 30:クランプ部 31:クランプブラケット 32:スイベルブラケット 35:チルトアップ支持部 36:係合ピン(係合部) 45:被係合溝(被係合部) 48:ガイド部 50:ハンドル部 51:ハンドルブラケット 52:ステアリングハンドル 55:スロットルグリップ 60:ハンドル規制部 61:ラチェット爪(係合部) 62:解除部材 64:捩りバネ(第1付勢部材) 66:空間 67:圧縮バネ(第2付勢部材) 68:レバー部 71:ラチェットカム(被係合部) 72:円状部
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図10D