(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011469
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】粉粒体投入装置及び投入方法
(51)【国際特許分類】
B65G 11/20 20060101AFI20161006BHJP
B65G 11/00 20060101ALI20161006BHJP
B02C 23/02 20060101ALN20161006BHJP
【FI】
B65G11/20
B65G11/00 B
!B02C23/02
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-122124(P2013-122124)
(22)【出願日】2013年6月10日
(65)【公開番号】特開2014-237541(P2014-237541A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2015年1月23日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】友岡 卓也
(72)【発明者】
【氏名】中橋 勇輝
【審査官】
大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−120194(JP,A)
【文献】
実開昭61−132295(JP,U)
【文献】
実開昭56−068723(JP,U)
【文献】
実開昭60−148036(JP,U)
【文献】
特開平02−233412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G11/00−11/20
B65G15/00−15/28,15/60−15/64
B65G43/00−43/10
B65G47/19
B65G65/00−65/48
B65G69/00−69/34
B02C23/02
B65D88/00−90/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を連続搬送して搬送端から落下させる粉粒体搬送機構と、
該粉粒体搬送機構から落下する粉粒体が供給される粉粒体受給機構と、
前記粉粒体搬送機構から落下する粉粒体を前記粉粒体受給機構に投入する粉粒体投入シュートとを備え、
前記粉粒体投入シュートは、中間部に配置された落下する粉粒体を3方に分散させる角頂部を有する粉粒体分散部を有し、
前記粉粒体分散部は、前記粉粒体搬送機構から落下する粉粒体の幅方向の中央部に、当該粉粒体搬送機構の搬送方向に沿い、1つの頂部を当該粉粒体搬送機構から落下する粉粒体に向けて配置された横長の三角柱または三角筒で構成され、該三角柱または三角筒は前記粉粒体搬送機構の搬送端側端部に形成された底面端部に対して頂部が他端側に傾斜して前記粉粒体搬送機構の搬送端側端部に対向する傾斜面を有し、当該傾斜面の頂部が落下する粉粒体の前記幅方向と直交する前後方向の中央部に位置されていることを特徴とする粉粒体投入装置。
【請求項2】
前記粉粒体分散部は、粉粒体の落下傾向に応じて水平後方に移動可能に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の粉粒体投入装置。
【請求項3】
前記粉粒体搬送機構から落下する粉粒体の幅方向の偏りを検出する偏り検出部と、該偏り検出部で粉粒体の幅方向の偏りを検出したときに、前記粉粒体分散部を前記粉粒体の偏り位置に移動させる分散部移動制御部とを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の粉粒体投入装置。
【請求項4】
前記分散部移動制御部は、前記粉粒体分散部を前記粉粒体搬送機構の幅方向に移動させる直動機構を備え、該直動機構を前記粉粒体の偏り位置に応じて駆動制御することを特徴とする請求項3に記載の粉粒体投入装置。
【請求項5】
粉粒体を連続搬送して搬送端から落下させる粉粒体搬送機構と、
該粉粒体搬送機構から落下する粉粒体が供給される粉粒体受給機構と、
前記粉粒体搬送機構から落下する粉粒体を前記粉粒体受給機構に投入する粉粒体投入シュートと、
前記粉粒体投入シュートの中間部に配置された落下する粉粒体を少なくとも3方に分散させる角頂部を有する粉粒体分散部と、
前記粉粒体搬送機構から落下する粉粒体の幅方向の偏りを検出する偏り検出部と、
該偏り検出部で粉粒体の幅方向の偏りを検出したときに、前記粉粒体分散部を前記粉粒体の偏り位置に移動させる分散部移動制御部と
を備えていることを特徴とする粉粒体投入装置。
【請求項6】
前記分散部移動制御部は、前記粉粒体分散部を前記粉粒体搬送機構の幅方向に移動させる直動機構を備え、該直動機構を前記粉粒体の偏り位置に応じて駆動制御することを特徴とする請求項5に記載の粉粒体投入装置。
【請求項7】
前記粉粒体分散部は、前記粉粒体搬送機構から落下する粉粒体の幅方向の中央部に、当該粉粒体搬送機構の搬送方向に沿い、1つの頂部を当該粉粒体搬送機構から落下する粉粒体に向けて配置された横長の三角柱または三角筒で構成され、該三角柱または三角筒は前記粉粒体搬送機構の搬送端側端部に底面端部に対して頂部が他端側に傾斜して前記粉粒体搬送機構の搬送端側端部に対向する傾斜面が形成され、当該傾斜面の頂部が落下する粉粒体の前記幅方向と直交する前後方向の中央部に位置されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の粉粒体投入装置。
【請求項8】
前記粉粒体分散部は、角錐、多角錐、円錐の何れか1つでなる錐状部で構成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の粉粒体投入装置。
【請求項9】
粉粒体搬送機構から落下する粉粒体を分散させて粉粒体受給機構へ投入する粉粒体投入方法であって、
前記粉粒体搬送機構から落下する粉粒体を、角頂部を有する粉粒体分散部に当接させて3方向に分散させて前記粉粒体受給機構へ投入し、
前記粉粒体分散部は、前記粉粒体搬送機構から落下する粉粒体の幅方向の中央部に、当該粉粒体搬送機構の搬送方向に沿い、1つの頂部を当該粉粒体搬送機構から落下する粉粒体に向けて配置された横長の三角柱または三角筒で構成され、該三角柱または三角筒は前記粉粒体搬送機構の搬送端側端部に底面端部に対して頂部が他端側に傾斜して前記粉粒体搬送機構の搬送端側端部に対向する傾斜面を形成し、当該傾斜面の頂部を落下する粉粒体の前記幅方向と直交する前後方向の中央部に位置させた
ことを特徴とする粉粒体投入方法。
【請求項10】
前記粉粒体分散部を、前記粉粒体搬送機構から落下する粉粒体の偏り位置に応じて、移動制御することを特徴とする請求項9に記載の粉粒体投入方法。
【請求項11】
粉粒体搬送機構から落下する粉粒体を分散させて粉粒体受給機構へ投入する粉粒体投入方法であって、
前記粉粒体搬送機構から落下する粉粒体を、角頂部を有する粉粒体分散部に当接させて少なくとも3方向に分散させて前記粉粒体受給機構へ投入し、
前記粉粒体受給機構から落下する粉粒体の幅方向の偏りを偏り検出部で検出し、
検出した粉粒体の偏り位置に応じて、前記粉粒体分散部を移動制御することを特徴とする粉粒体投入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭、鉄鉱石、石灰石などの粉状または塊状の粉粒体を粉砕機などの粉粒体受給機構へ分散投入する粉粒体投入装置及び投入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この主の粉粒体投入装置として、例えば、ベルトコンベアの搬送用ベルト上に搬送物を積載するため、搬送用ベルトに向かって落下する搬送物を案内するベルトコンベア用シュートにおいて、シュート内部の搬送用ベルトの短手方向における中央部に、搬送用ベルトの長手方向に略一致する方向に延びた障害部材を配設し、一部の搬送物が落下途中で障害部材に衝突するように構成したベルトコンベア用シュートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−175479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の従来例にあっては、ベルトコンベア用シュートの下部に形成した幅狭筒部に、搬送物を受け渡すベルトコンベアの搬送方向に沿う棒状の障害部材を配置するようにしている。このため、搬送物を受け渡すベルトコンベア上に落下する搬送物が棒状の障害部材によってベルトコンベアの短手方向すなわち幅方向に分散されることになるが、棒状の障害部材の延長方向には均一に分散させて搬送物を落下させることはできないという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、塊状物を含む粉粒体を粉粒体受給機構に投入する際に、粉粒体を効率良く分散させることができる粉粒体投入装置及び粉粒体投入方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る粉粒体投入装置の一態様は、粉粒体を連続搬送して搬送端から落下させる粉粒体搬送機構と、該粉粒体搬送機構から落下する粉粒体が供給される粉粒体受給機構と、前記粉粒体搬送機構から落下する粉粒体を前記粉粒体受給機構に投入する粉粒体投入シュートとを備え、前記粉粒体投入シュートは、中間部に
配置された落下する粉粒体
を3方に分散させる角頂部を有する粉粒体分散部を
有し、前記粉粒体分散部は、前記粉粒体搬送機構から落下する粉粒体の幅方向の中央部に、当該粉粒体搬送機構の搬送方向に沿い、1つの頂部を当該粉粒体搬送機構から落下する粉粒体に向けて配置された横長の三角柱または三角筒で構成され、該三角柱または三角筒は前記粉粒体搬送機構の搬送端側端部に形成された底面端部に対して頂部が他端側に傾斜して前記粉粒体搬送機構の搬送端側端部に対向する傾斜面を有し、当該傾斜面の頂部が落下する粉粒体の前記幅方向と直交する前後方向の中央部に位置されている。
【0006】
また、本発明に係る粉粒体投入方法の一態様は、粉粒体搬送機構から落下する粉粒体を分散させて粉粒体受給機構へ投入する粉粒体投入方法であって、前記粉粒体搬送機構から落下する粉粒体を、角頂部を有する粉粒体分散部に当接させ
て3方向に分散させて前記粉粒体受給機構へ投入し、
前記粉粒体分散部は、前記粉粒体搬送機構
から落下する粉粒体の幅方向の中央部に、当該粉粒体搬送機構の搬送方向に沿い、
1つの頂部を当該粉粒体搬送機構から落下する粉粒体に向けて配置された横長の三角柱または三角筒で構成され、該三角柱または三角筒は前記粉粒体搬送機構の搬送端側端部に底面
端部に対して頂部が他端側に傾斜して
前記粉粒体搬送機構の搬送端側端部に対向する傾斜面を形成し
、当該傾斜面の頂部を落下する粉粒体の前記幅方向と直交する前後方向の中央部に位置させている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ベルトコンベアなどの粉粒体を連続搬送する粉粒体搬送機構から落下する粉粒体を粉粒体分散部で少なくとも3方に分散させるので、粉粒体の分散率を高めた状態で粉粒体を粉粒体受給機構へ投入することができる。したがって、粉粒体受給機構側で落下する粉粒体による偏摩耗を生じることを防止することができる。また、粉粒体の分散率を高めた状態で粉砕できるため、粉粒体の仕上り粒度分布を調整することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明を適用した粉砕システムを示す正面側断面図である。
【
図4】本発明に係る粉粒体分散部を設けない場合の粉砕システムを示す正面側断面図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態を示す正面側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を伴って説明する。
図1は本発明に係る粉粒体供給装置の第1の実施形態を示す正面側断面図、
図2は側面側断面図及び
図3は
図1のA−A線上の断面図である。
図中、1は石炭、鉄鉱石、石灰石などの紛状又は塊状の粉粒体2を粉砕する粉砕システムである。この粉砕システム1は、
図1及び
図2に示すように、上部に粉粒体2を連続的に搬送する粉粒体搬送機構としての粉粒体搬送用ベルトコンベア3が配置されている。この粉粒体搬送用ベルトコンベア3は、
図1に示すように、コンベアベルト3aと、このコンベアベルト3aを所定のトラフ角を設けて案内支持する3つのコンベアロール3bとでトラフ型の構成を有する。
【0010】
この粉粒体搬送用ベルトコンベア3の搬送終端に、粉粒体搬送用ベルトコンベア3から落下される粉粒体2を後述する粉粒体受給機構としての粉砕機5へ投入する投入シュート4が配置されている。
投入シュート4は、
図1及び
図2に示すように、粉粒体搬送用ベルトコンベア3の搬送方向と直交する幅方向の形状が
図1に示すように、粉粒体搬送用ベルトコンベア3から落下する粉粒体を受ける粉粒体搬送用ベルトコンベア3の幅よりは広幅に設定された粉粒体導入胴部4aと、この粉粒体導入部4aに連接して下方に行くに従い幅広となる拡張胴部4bとを備えている。ここで、投入シュート4の側面形状は、
図2に示すように、粉粒体導入胴部4a及び拡張胴部4bの前面が互いに連結する垂直板部4cとされ、後面が下面側に向かうに従って前面側に傾斜する傾斜板部4dとされている。
【0011】
そして、粉粒体導入胴部4a内に粉粒体分散部11が配置されている。この粉粒体分散部11は、粉粒体導入胴部4aの左右側面板に橋架された固定支持部12に支持されて粉粒体搬送用ベルトコンベア3から落下する粉粒体の幅方向の中央位置に配置され、落下してくる粉粒体を少なくとも3方向に分散させる。
この粉粒体分散部11の具体的構成は、
図1〜
図3に示すように、粉粒体搬送用ベルトコンベア3の搬送方向に沿って配置された横長で且つ1つの頂部を上端とする三角筒体13を有し、この三角筒体13の粉粒体搬送用ベルトコンベア3側の端部が底面から上端に行くに従い他端側に傾斜する(
図2で右上がりに傾斜する)傾斜面14とされている。
【0012】
この三角筒体13は、その傾斜面14の上端を粉粒体搬送用コンベア3から落下する粉粒体の前後方向の略中央位置となるように固定支持部12に支持されている。
固定支持部12は、粉粒体導入胴部4aの左右側面板に、前後方向に所定間隔を保って橋架された一対の支持棒部12a及び12bと、これら支持棒部12a及び12bの左右方向すなわち幅方向の中央部に支持板12cが固定配置されている。そして、支持板12cに粉粒体分散部11を構成する三角筒体13が固定配置されている。
【0013】
そして、投入シュート4の拡張胴部4bの下端面が粉砕機5の上面に形成された長手方向が粉粒体搬送用ベルトコンベア3の搬送方向と直交する方向となる長方形状の投入口5aに連結されている。
粉砕機5は、上部に投入口5aが形成され、この投入口5aに対向する内部に粉粒体搬送用ベルトコンベア3の搬送方向と直交する方向に延長して回転自在に配設された回転胴部5bと、この回転胴部5bに突出形成された多数のハンマー5cとを備えている。そして、回転胴部5bが回転駆動されることによりハンマー5cによって石炭、鉄鉱石、石灰等の粉粒体を粉砕する。
【0014】
次に、上記第1の実施形態の動作について
図4及び
図5を伴って説明する。
石炭、鉄鉱石、石灰等の塊状物を含む粉粒体2が粉粒体搬送用ベルトコンベア3で投入シュート3に搬送される。このとき、粉粒体搬送用ベルトコンベア3のコンベアベルト3aに載置された粉粒体2は、左右のコンベアローラ3bが外側上がりに傾斜配置されてコンベアベルト3の外側が内側に対して所定のトラフ角で傾斜されているので、コンベアベルト3aの略中央部に盛り上がった状態で搬送される。
そして、粉粒体搬送用ベルトコンベア3の投入シュート4内の終端部では、コンベアベルト3aに載置されている粉粒体2が落下される。このとき、粉粒体2はコンベアベルト3aの搬送速度による慣性力が作用するので、
図2に示すように、垂直に落下するのではなく放物線を描いて落下する。
【0015】
そして、落下する粉粒体2は、投入シュート4の粉粒体導入胴部4aにおける下端側の幅方向中央部に配置された粉粒体分散部11を構成する三角筒体13に到達する。この三角筒体13には、粉粒体搬送用ベルトコンベア3側の端部に
図2で見て右上がりに傾斜する傾斜面14が形成され、この傾斜面14の上端が落下する粉粒体2の前後方向の中央部に位置しているので、粉粒体は
図3に示すように、傾斜面14に沿う方向と三角筒体13の傾斜面13a及び13bに沿う方向との3つの方向に分散されて投入シュート4の拡張胴部4bを通って落下する。
【0016】
したがって、分散された粉粒体2は、正面から見ると
図1に示すように、三角筒体13の傾斜面13a及び13bによって左右の幅方向に広く拡張胴部4bの略全域に亘って分散されて拡張胴部4bを通って粉砕機5の投入口5aに落下する。また、分散された粉粒体2は、側面から見ると
図2に示すように、三角筒体13の傾斜面14によって後方側に分散されるとともに、固定支持部12の支持棒部12a及び12bによっても前後方向に分散されることにより前後方向に広く分散されて投入シュート4の拡張胴部4bを通って粉砕機5の投入口5aに落下する。
【0017】
このため、粉砕機5の投入口5aに特に幅方向に広く分散された粉粒体2が投入されることにより、粉砕機5の粉粒体2を粉砕する幅方向に多数整列されたハンマー5cに均等に落下することになる。このため、各ハンマー5cで均等に粉粒体2の粉砕が行われ、各ハンマー5cの摩耗も均一化される。また、各ハンマー5cで均等に粉粒体2の粉砕が行われるため、粉粒体の粉砕後の、仕上り粒度分布を調整することが可能となった。
【0018】
ちなみに、粉粒体分散部11を設けない場合には、
図4及び
図5に示すように、粉粒体搬送用ベルトコンベア3から落下する粉粒体が幅方向及び前後方向に殆ど分散されず、粉砕機5の投入口5aに投入されることなり、幅方向の中央部に設けられたハンマー5cでのみ粉粒体の粉砕が行われ、幅方向の外側に設けられたハンマー5cでは粉粒体の粉砕が殆ど行われないことになる。このため、幅方向中央部のハンマー5cの摩耗量が幅方向外側のハンマー5cの摩耗量より大きくなり、粉粒体の粉砕を均一に行うことができなくなる。
【0019】
そして、本実施形態による粉粒体分散部11を設けた場合と、
図4及び
図5に示す粉粒体分散部11を設けない場合の双方について粉粒体の粉砕実験を行った結果を
図6及び
図7に示す。
すなわち、粒径が3mm以下の粉粒体の割合(%)と粒径6mm以上となる粗粒残存率との関係は、
図4に示すように、粉粒体分散部11を設けない場合の破線図示の特性線L1に対して実線図示の特性線L2で示すように、粗粒残存率を2〜0.5%程度減少させることができ、粒径の揃った良好な粒径の粉砕を行うことができる。
【0020】
一方、粒径が3mm以下の粉粒体の割合(%)と粒径が1.5mm以下となる微粉率との関係は、
図5に示すように、粉粒体分散部11を設けない場合の破線図示の特性線L11に対して実線図示の特性線L22で示すように、微粉率を5%程度低下させることができ、微粉の少ない所望の粒径の粉砕を行うことができる。
すなわち、粉粒体の粉砕後の、仕上り粒度分布を調整することができるようになったのである。
【0021】
このように、第1の実施形態では、粉粒体分散部11で粉粒体搬送用ベルトコンベア3から落下する粉粒体を少なくとも3方に分散して粉砕機5に投入することができ、粉砕機5での粉粒体の粉砕を幅方向の全域に亘って均一に行うことができ、粉粒体の均一な粉砕が可能となる。
なお、上記第1の実施形態においては、粉粒体分散部11が傾斜面14を有する三角筒体13で構成されている場合について説明したが、これに限定されるものではなく、三角柱体を適用することもでき、この他、三角錐、四角錐や多角錐、円錐等の錐状部で構成しても、粉粒体を多方向に分散させることができる。
【0022】
次に、本発明の第2の実施形態について
図8を伴って説明する。
この第2の実施形態では、粉粒体分散部11の位置を粉粒体搬送用ベルトコンベア3に載置されている粉粒体の偏りに追従させて移動させるようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、
図8に示すように、粉粒体分散部11を固定している固定支持部12を粉粒体導入胴部4aの左右側面板部4e及び4fに対して粉粒体搬送用ベルトコンベア3の搬送方向と直交する幅方向に移動可能に支持された移動支持部21としている。この移動支持部21が分散部移動制御部22によって幅方向に移動制御されて粉粒体分散部11の粉粒体導入胴部4aにおける幅方向位置を調整する。
【0023】
分散部移動制御部22は、移動支持部21の粉粒体導入胴部4aの一方の側面板例えば4eから突出する棒状支持部21a及び21bの突出端部に連結された直動機構23を備えている。
この直動機構23の一例は、棒状支持部21a及び21bの突出端部を連結する連結板部24と、この連結板部24の中央部に連結されたネジ軸25と、このネジ軸25に螺合されたナット26と、このナット26を回転駆動する電動モータ27aを有し、固定部に配設された回転駆動機構27とで構成されている。
【0024】
そして、回転駆動機構27の電動モータが駆動制御部28によって駆動される。
この駆動制御部28には、粉粒体搬送用ベルトコンベア3上に積載されている粉粒体2の短手方向すなわち幅方向の偏りを検出する偏り検出部30からの粉粒体偏り検出情報が入力されている。また、駆動制御部28には、回転駆動機構27の電動モータに設けられた回転位置検出センサ29から出力されるモータ回転位置情報が入力されている。
【0025】
そして、駆動制御部28では、偏り検出部30から入力される粉粒体偏り検出情報及びモータ回転位置情報に基づいて粉粒体分散部11の三角筒体12の頂部が粉粒体搬送用ベルトコンベア3から落下する粉粒体2の幅方向の中央部となるように位置制御を行う。
偏り検出部30は、例えば粉粒体搬送用ベルトコンベア3の端部より所定距離手前の上方位置に配置した撮像カメラ30aと、この撮像カメラ30aから出力される画像情報を演算処理部30bで画像処理して粉粒体搬送用ベルトコンベア3に載置されている粉粒体の偏り状態を検出し、粉粒体2の偏り中心位置を表す偏り検出情報を駆動制御部28に出力する。
【0026】
なお、偏り検出部30は粉粒体2の画像情報から偏りを検出する場合に限らず、コンベアベルト3aに載置されている粉粒体2の重量を計量して粉粒体2の偏りを検出してもよく、さらには、粉粒体搬送用ベルトコンベア3の上方位置に搬送方向と直交する方向にスキャン可能なレーザ距離計を配置し、検出したレーザ距離から粉粒体2の偏りを検出するようにしても良く、要は粉粒体搬送用ベルトコンベア3に載置されている粉粒体の短手方向すなわち幅方向の偏りを検出できればよいものである。
【0027】
駆動制御部28では、偏り検出部30から粉粒体偏り検出情報が入力されると、この粉粒体偏り検出情報に基づいて粉粒体分散部11を構成する三角筒体13の頂部を現在位置から粉粒体偏り検出情報で表される粉粒体の偏り中心位置に一致する位置に移動させる回転位置指令値を算出し、この回転位置指令値とモータ回転位置センサ29から入力される回転位置情報との偏差を例えばPID制御処理してモータ駆動電流を算出し、算出したモータ駆動電流を電動モータに出力するフィードバック制御を行う。
【0028】
この第2の実施形態によると、偏り検出部30で粉粒体搬送用ベルトコンベア3のコンベアベルと3a上に載置されている石炭、鉄鉱石、石灰等の塊状物を含む粉粒体の幅方向の偏りを検出し、その偏りの中心位置を表す粉粒体偏り検出情報を駆動制御部28に出力する。
このため、駆動制御部28では、図示しない記憶部に記憶している現在位置情報と粉粒体偏り情報で表される粉粒体の偏り中心位置との偏差からネジ軸25のピッチをもとに回転位置指令値を算出し、算出した回転位置指令値とモータ回転位置センサ29から入力されるモータ回転位置との偏差が零となるように例えばPID制御演算して正転用又は逆転用モータ電流を電動モータ28aに出力する。
【0029】
このため、回転駆動機構27の電動モータ27aが正転又は逆転駆動され、これによってナット26が正転又は逆転駆動されることにより、ネジ軸25が前進又は後退される。このため、移動支持部21が前進又は後退して粉粒体分散部11を構成する三角筒体13の頂部が落下してくる粉粒体の幅方向の中心位置と一致するように位置調整される。
したがって、粉粒体搬送用ベルトコンベア3上に載置されている粉粒体2の幅方向の中心位置がコンベアベルト3aの幅方向中心位置からずれて偏りが生じた場合に、この粉粒体2の偏りに応じて粉粒体分散部11が落下する粉粒体2の幅方向中心位置に三角筒体13の頂部が位置するように自動的に位置調整されるので、粉粒体の落下状態に偏りが生じる場合でも、粉粒体2を正確に分散させることができる。
【0030】
なお、上記第2の実施形態においては、直動機構23をネジ軸25及びナット26で構成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ボールネジ機構を適用することもでき、その他の任意の直動機構を適用することができる。
また、上記第2の実施形態においては、粉粒体搬送用ベルトコンベア3上の粉粒体2の偏りに応じて常時粉粒体分散部11の幅方向位置を調整する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、粉粒体搬送用ベルトコンベア3上の粉粒体2の偏りが幅方向中心位置から所定の許容値以上変化したときに粉粒体分散部11の幅方向の位置調整を行うようにしてもよい。
【0031】
さらに、上記第2の実施形態においても、粉粒体分散部11の形状は粉粒体2を3方向以上に分散できれば任意の形状を適用することができる。
また、上記第1及び第2の実施形態においては、粉粒体搬送機構として粉粒体搬送用ベルトコンベア3を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、傾斜樋を適用することもでき、その任意の粉粒体搬送機構を適用することができる。
また、上記第1及び第2の実施形態においては、粉砕機5がハンマー式である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ロッドミル、ボールミル等の任意の形式の粉砕機を適用することができる。
【0032】
さらに、粉粒体受給機構としても粉砕機5に限定されるものではなく、粉粒体を分級する分級装置などの粉粒体を均一に分散させて受入れる粉粒体受給機構に本発明を適用することができる。
なお、上記第1及び第2の実施形態においては、粉粒体落下方向の隔たりを粉粒体分散部11の幅方向位置を調整することで説明しているが、搬送量の変化により変化する粉粒体投入角度にも追随して長手方向についても粉粒体分散部11の位置調整を行うようにすれば良い。
【符号の説明】
【0033】
1…粉砕システム、2…粉粒体、3…粉粒体搬送用ベルトコンベア、4…投入シュート、4a…粉粒体導入胴部、4b…拡張胴部、5…粉砕機、11…粉粒体分散部、12…固定支持部、13…三角筒体、14…傾斜面、21…移動支持部、22…分散部移動制御部、23…直動機構、24…連結板部、25…ネジ軸、26…ナット、27…回転駆動機構、27a…電動モータ、28…駆動制御部、29…回転位置検出センサ、30…偏り検出部