(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)ポリ乳酸樹脂100質量部と(B)可塑剤10〜30質量部を配合してなるポリ乳酸樹脂組成物を溶融紡糸してなるコードであり、前記(A)ポリ乳酸樹脂のL体またはD体の含有率が5.5〜10%であることを特徴とする草刈用コード。
【背景技術】
【0002】
従来、草刈機に用いられるカッター刃としては主に金属刃が用いられてきたが、この草刈機は、金属刃の回転時にコンクリートや柵等の構造物と接触した際、構造物を傷つけてしまうという危険があり、また取り扱いにも注意が必要であった。そこで、作業時の安全上の理由および取り扱いの容易性の観点から、ナイロン樹脂製のモノフィラメント・コードを使用したコード式草刈機が多く使用されている。このナイロン樹脂製のコードは、強度的に優れており、草刈機としては十分な切断力を有するが、摩耗したコードが飛散したり、不要となってその場に廃棄されたりすることがある。この場合、ナイロン樹脂は自然に分解しないため半永久的に放置されることになり、環境保護の観点からは優れた材料とは言い難かった。
【0003】
これに対して、コード式草刈機に用いられるコードとして、生分解性樹脂からなるコードが提案されている(特許文献1参照。)。
また、主として脂肪族ポリエステルと可塑剤からなる生分解性樹脂材料を押出成形し、延伸加工、さらに熱処理加工してなる草刈機用モノフィラメントが提案されている(特許文献2参照。)。これらの提案にかかるコードは、摩耗しあるいは折損して飛散しても、自然に分解するため環境保護の観点からは優れたものである。
【0004】
しかしながら、これらの提案によるコードは何れも、柔軟性が不十分のため、草刈時の衝撃力によりコードの根元から折損して使用不能になることや、分子配向度が高すぎるため、先割れにより草刈性能が低下したり、耐摩耗性が著しく悪いという課題があり、実用性がなお不十分であった。
【0005】
また別に、70〜97重量部のポリ乳酸樹脂と30〜3重量部のアジピン酸エステル系可塑剤を配合してなる樹脂組成物を紡糸してなる、生分解性を有し、草刈性耐折損性および耐摩耗性に優れたとする草刈機用モノフィラメントが提案されている(特許文献3参照。)。この提案では、耐折損性および耐摩耗性が改善されたとするコードが提案されているが、耐摩耗性の評価方法は、射出成形機で成形された角板を用いたテーバー摩耗試験によるものであり、砥石に対してのものであり、実際に草を刈った際のコード消耗量については示されておらず、なお実用性の点では、草を刈った時のコード消耗量が多いという課題があった。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の草刈用コードは、(A)ポリ乳酸樹脂100質量部と(B)可塑剤10〜30質量部を配合してなるポリ乳酸樹脂組成物を溶融紡糸してなるコードであって、前記の(A)ポリ乳酸樹脂のL体またはD体の含有率が5.5〜10%の草刈用コードである。
【0014】
本発明の実施態様にかかる草刈用コードで使用される(A)ポリ乳酸樹脂とは、L体および/またはD体を主たる構成成分とするポリマーであるが、乳酸以外の他の共重合成分を含むことができる。
【0015】
このような他の共重合成分単位としては、例えば、多価カルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸およびラクトンなどが挙げられる。具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸および5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸などの多価カルボン酸類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させた芳香族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコールなどの多価アルコール類、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸およびヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸類、およびグリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトンなどのラクトン類などから生成する単位が挙げられる。
【0016】
このような共重合単位は、全単量体単位を100モル%としたときに、通常0〜30モル%の含有量とすることが好ましく、より好ましくは0〜10モル%である。
【0017】
本発明の実施態様においては、草刈時の耐折損性と消耗量の観点から、(A)ポリ乳酸樹脂の総乳酸成分の内、L体またはD体含有量が5.5〜10%の範囲のポリ乳酸樹脂を使用することが重要であり、好ましくは5.5〜9%であり、より好ましくは5.5〜8%の範囲である。L体またはD体が5.5%より少ないと、結晶化が促進し、ポリマーの柔軟性が損なわれるため耐折損性や消耗量が悪化する。一方、L体またはD体が10%より多いと、十分な延伸が効かないため、引張強度が不足し消耗量が悪化する。
【0018】
また、L体またはD体含有率が5.5〜10%になるように、L体またはD体の含有率が異なるポリ乳酸樹脂を併用して用いることも好ましい態様である。例えば、D体含有量が5%のポリ乳酸樹脂80質量部とD体含有量が12%のポリ乳酸樹脂20質量部を併用することにより、D体含有量を6.4%にすることができる。
【0019】
本発明の実施態様における(A)ポリ乳酸樹脂は、変性したものを用いてもよく、例えば、無水マレイン酸変性ポリ乳酸樹脂、エポキシ変性ポリ乳酸樹脂およびアミン変性ポリ乳酸樹脂などを用いることにより、耐熱性だけでなく機械特性も向上する傾向にあり好ましい態様である。
【0020】
本発明の実施態様における(A)ポリ乳酸樹脂の製造方法としては、公知の重合方法を用いることができ、乳酸からの直接重合法およびラクチドを介する開環重合法などを挙げることができる。
【0021】
本発明の実施態様における(A)ポリ乳酸樹脂の分子量や分子量分布については、重量平均分子量は、好ましくは10万以上であり、より好ましくは15万以上であり、最も好ましくは18万以上である。重量平均分子量の上限値は、成形時の流動性の点から40万程度であることが好ましい。ここでいう重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリメチルメタクリレート(PMMA)換算の重量平均分子量をいう。
【0022】
本発明の実施態様における(A)ポリ乳酸樹脂の融点は、120℃以上であることが好ましく、より好ましくは130℃以上である。
【0023】
本発明の実施態様で使用される(B)可塑剤としては、(A)ポリ乳酸樹脂に柔軟性を付与するものであればいずれでもよく、例えば、ポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングレコール系可塑剤、エポキシ系可塑剤およびヒマシ油系可塑剤などを挙げることができる。
【0024】
本発明の実施態様で使用されるポリエステル系可塑剤としては、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸およびジフェニルジカルボン酸などの酸成分と、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコールおよびジエチレングリコールなどのジオール成分からなるポリエステルや、ポリカプロラクトンなどのヒドロキシカルボン酸からなるポリエステルなどを挙げることができる。これらのポリエステルは、単官能カルボン酸もしくは単官能アルコールで末端封鎖されていてもよく、また、エポキシ化合物などで末端封鎖されていてもよい。
【0025】
グリセリン系可塑剤の具体例としては、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレート、グリセリンモノアセトモノモンタネートおよびグリセリントリアセテートなどを挙げることができ、ポリオキシエチレングリセリントリアセテートなどのように、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドなどのアルキレンオキシド単位を付加されているものも用いることができる。
【0026】
多価カルボン酸系可塑剤としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジベンジルまたはフタル酸ブチルベンジルなどのフタル酸エステル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリオクチルまたはトリメリット酸トリヘキシルなどのトリメリット酸エステル、コハク酸イソデシル、コハク酸トリエチレングリコールモノメチルエーテルエステルまたはコハク酸ベンジルメチルジグリコールエステルなどのコハク酸エステル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸n−オクチル−n−デシルエステル、アジピン酸ジエチレングリコールモノメチルエーテルエステル、アジピン酸メチルジグリコールブチルジグリコールエステル、アジピン酸ベンジルメチルジグリコールエステル、アジピン酸またはアジピン酸ベンジルブチルジグリコールエステルなどのアジピン酸エステル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシルなどのアゼライン酸エステル、セバシン酸ジブチルおよびセバシン酸ジ−2−エチルヘキシルなどのセバシン酸エステルなどを挙げることができる。
【0027】
ポリアルキレングリコール系可塑剤としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)ブロックおよび/またはランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノール類のエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のテトラヒドロフラン付加重合体などのポリアルキレングリコールまたはそれらの末端エポキシ変性化合物または末端エーテル変性化合物などの末端封鎖化合物などを挙げることができ、耐熱性の点で、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)ブロックおよび/またはランダム共重合体が好ましく用いられる。
【0028】
エポキシ系可塑剤としては、一般にはエポキシステアリン酸アルキルと大豆油とからなるエポキシトリグリセリドなどを指すが、その他にも、主にビスフェノールAとエピクロロヒドリンを原料とするような、いわゆるエポキシ樹脂も使用することができる。
【0029】
ヒマシ油系可塑剤としては、ヒマシ油およびその誘導体であればいずれでもよく、例えば、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、ヒマシ硬化油、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、リシノール酸、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、セバシン酸、ウンデシレン酸、ヘプチル酸、ヒマシ油脂肪酸縮合物、ヒマシ油脂肪酸エステル、メチルリシノレート、エチルリシノレート、イソプロピルリシノレート、ブチルリシノレート、エチレングリコールモノリシレート、プロピレングリコールモノリシレート、トリメチロールプロパンモノリシレート、ソルビタンモノリシレート、ヒマシ油脂肪酸ポリエチレングリコールエステル、ヒマシ油エチレンオキシド付加物、ヒマシ油系ポリオール、ヒマシ油系トルオールおよびヒマシ油系ジオールなどを挙げることができる。中でも、透明性の点で、ヒマシ油脂肪酸エステル、メチルリシノレート、エチルリシノレート、イソプロピルリシノレート、ブチルリシノレート、エチレングリコールモノリシレート、プロピレングリコールモノリシレート、トリメチロールプロパンモノリシレート、ソルビタンモノリシレート、ヒマシ油脂肪酸ポリエチレングリコールエステル、ヒマシ油エチレンオキシド付加物、ヒマシ油系ポリオール、ヒマシ油系トルオールおよびヒマシ油系ジオールが好ましく用いられる。
【0030】
また、その他の可塑剤としては、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ポリオキシエチレンジアセテート、ポリオキシエチレンジ(2−エチルヘキサノエート)、ポリオキシプロピレンモノラウレート、ポリオキシプロピレンモノステアレート、ポリオキシエチレンジベンゾエート、ポリオキシプロピレンジベンゾエートなどのポリオールエステル、オレイン酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸エトキシカルボニルメチルジブチル、クエン酸ジ−2−エチルヘキシル、アセチルリシノール酸メチルまたはアセチルリシノール酸ブチルなどのオキシ酸エステル、大豆油、大豆油脂肪酸、大豆油脂肪酸エステル、エポキシ化大豆油、菜種油、菜種油脂肪酸、菜種油脂肪酸エステル、エポキシ化菜種油、亜麻仁油、亜麻仁油脂肪酸、亜麻仁油脂肪酸エステル、エポキシ化亜麻仁油、ヤシ油またはヤシ油脂肪酸などの植物油系化合物、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリアクリル酸エステル、シリコーンオイルおよびパラフィン類などを挙げることができる。
【0031】
本発明の実施態様で使用される(B)可塑剤は、1種でもよく2種以上を併用してもよいが、草刈性の点で、少なくとも1種がポリエステル系可塑剤であることが好ましく、その中でもアジピン酸エステル系可塑剤がとくに好ましく用いられる。
【0032】
本発明の実施態様で使用されるアジピン酸エステル系可塑剤は、アジピン酸と2種以上のアルコールまたはエーテルアルコールとのエステル化合物である。アジピン酸エステル系可塑剤の原料となるアルコールの具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、1,1−ジメチル−1−エタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、フェノール、ベンジルアルコールおよびフェネチルアルコールなどが挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ベンジルアルコールおよびフェネチルアルコールなどが好ましく用いられ、ベンジルアルコール、1−ブタノール、オクタノールおよびフェネチルアルコールがより好ましく用いられる。
【0033】
また、アジピン酸エステル系可塑剤の原料となるエーテルアルコールとしては、上記アルコールのエチレンオキサイド付加物やプロピレンオキサイド付加物などが挙げられる。具体例としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノベンジルエーテルのようなエチレンオキサイド付加物;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピングレリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノベンジルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノベンジルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル、およびトリプロピレングリコールモノベンジルエーテルのようなプロピレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0034】
これらの中では、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルおよびトリエチレングリコールモノブチルエーテルなどが好ましく、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよびジエチレングリコールモノブチルエーテルがより好ましく用いられる。
【0035】
アジピン酸エステル系可塑剤の数平均分子量は、一般に分子量が小さいほど可塑化効果が大きい反面、安定性が低く、成形品表面へのブリードアウトによるブロッキングおよび汚れ発生の可能性が大きくなる。そのため、混基エステルの数平均分子量は200〜1500の程度が好ましく、300〜1000程度がより好ましい態様である。
【0036】
(A)ポリ乳酸樹脂と(B)可塑剤の配合割合は、(A)ポリ乳酸樹脂100質量部に対し、(B)可塑剤10〜30質量部であり、好ましくは12〜28質量部であり、より好ましくは14〜26質量部である。(B)可塑剤が10重量部未満では、草刈時の耐折損性が低下し、また、(B)可塑剤が30質量部を超えると可塑剤がブリードアウトし表面が汚染されてしまう。
【0037】
本発明の草刈用コードには、さらに充填剤(C)を配合することにより、耐摩耗性を一層向上させることができる。本発明で使用される充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、天然繊維、有機繊維、セラミックスファイバー、セラミックビーズ、アスベスト、ワラストナイト、タルク、クレー、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ドロマイト、カオリン、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭化ケイ素、炭化タングステン、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイト、木粉、紙粉および白土などを挙げることができる。これらの中でも、コード消耗量を少なくする点で、タルク、ワラストナイト、炭酸カルシウムおよび酸化チタンが好ましく用いられる。(A)ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、(C)充填剤0.1〜5質量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜3質量部である。
【0038】
さらに、本発明の実施態様で使用されるポリ乳酸樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の生分解性樹脂、耐衝撃性改良剤、酸化防止剤、光安定剤、結晶核剤、加水分解抑制剤、鎖延長剤、難燃剤、潤滑剤、帯電防止剤、および染料や顔料を含む着色剤などを添加することができる。
【0039】
次に、本発明の草刈用コードを構成するモノフィラメントの製造方法を説明する。
【0040】
まず、(A)ポリ乳酸樹脂および(B)可塑剤、さらに必要に応じて(C)充填剤などの各種添加剤(原料)を添加する場合の混合方法や混合装置は、特に制限されないが、連続的に処理できることが工業的には有利である。例えば、各種原料を所定比率で混合し、そのまま押出成形機のホッパー内に投入し、溶融混練させ、連続してモノフィラメントを溶融紡糸することができる。また、(A)ポリ乳酸樹脂と(B)可塑剤の両成分を溶融混合した後、一旦ペレット化し、その後で必要に応じてモノフィラメントに溶融紡糸することができる。両成分を均一に混合させるには、一旦ペレット化する方法が好ましいが、溶融混合法の場合は、ポリマーの劣化や変質を実質的に防ぐことが必要で、できるだけ低温で短時間内に混合することが好ましい。溶融押出温度は、使用する樹脂の融点および混合比率を考慮して、適宜選択されるが、通常150〜250℃の範囲である。
【0041】
次に、本発明の実施態様のモノフィラメントの延伸加工と熱処理加工の方法について説明する。生分解性樹脂(ポリ乳酸樹脂)は、溶融後ノズルから押し出され冷却され固化される。冷却は、通常5〜60℃の温度に設定された冷却バス中で行われ、未延伸モノフィラメントを得る。未延伸モノフィラメントは連続して延伸されるが、一旦巻き取った後、延伸することもできる。押出成形後の延伸処理が、好ましくは50〜100℃の温度に制御された湿式延伸槽中で行なわれることも重要な点である。ここで湿式とは、温水や飽和蒸気のほか、グリセリン、エチレングリコールおよびポリエチレングリコールなどの液浴をいう。延伸処理温度が50℃未満では熱カロリーが不足し、延伸むらが発生する恐れがある。実用上好ましくは、60〜100℃の温度の熱水または蒸気が用いられる。
【0042】
延伸は、速度の異なるローラー間に湿式延伸槽を配置し、あるいは供給側の熱ロールによる伝熱などにより、未延伸のモノフィラメントを加熱し、ローラー間の速度比を所定にすることにより行なわれる。本発明の実施態様におけるローラー間の速度比すなわち延伸倍率は、好ましくは2〜8倍であり、特に好ましくは2.5〜5倍である。また、本発明の実施態様における延伸は、一段または多段式で行うことができ、少なくとも一段は湿式延伸であることが好ましい。延伸倍率が2倍未満では、十分な延伸配向度が得られず、強力が低くなる恐れがある。また、延伸倍率が8倍を超えると、配向度が高過ぎて縦割れや糸切れなどの原因となる恐れがある。
【0043】
本発明の実施態様のモノフィラメントの製造においては、溶融紡糸−冷却−延伸後熱処理加工を行う。熱処理を行うことにより、切れ味や耐久性が向上する。理由は必ずしも明確でないが、未配向部あるいは配向部の一部の折りたたみ結晶化により構造が安定化することが寄与していると考えられる。熱処理加工は、60〜230℃の温度範囲で、乾熱または湿熱の緊張下で行なうことが好ましい。また、その熱処理時間は通常0.1秒〜60秒で行われる。熱処理は、延伸後連続して行うこともできるし、一旦延伸糸を巻き取った後、任意の段階で行うこともできる。熱処理温度が60℃未満では、熱固定が不充分となり、熱処理温度が230℃を超えると、高分子鎖が動き易くなり、延伸による配向が緩和される恐れがある。更に、熱処理前または同時にヨリ(ねじり)加工を施すことも可能である。
【0044】
また、本発明における草刈用コードは、形状などは特に制限されない。断面形状としては、丸や楕円などの円形、三角や四角などの多角形、および星形などの断面形状のものが用いられる。草刈用コードの太さは、直径0.5〜5mm程度のものが好ましく使用でき、より好ましくは1〜3mmのものを用いることができる。草刈用コードは、カッターヘッドに装着して使用しており、一般的にヘッド部から15〜20cmの長さで、2〜3本取り付けることが多い。草刈機はカッターヘッドが装着されているものであれば、機種は特定しない。
【実施例】
【0045】
次に、実施例によって本発明の草刈用コードについて、更に詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0046】
また、本発明の実施に当たり、使用した原料を次に示す。
(A)ポリ乳酸樹脂
(A−1)ポリ乳酸樹脂:D体5%、Mw22万(PMMA換算)
(A−2)ポリ乳酸樹脂:D体12%、Mw22万(PMMA換算)
(A−3)ポリ乳酸樹脂:D体1.5%、Mw20万(PMMA換算)
(B)可塑剤
(B−1)アセチルクエン酸トリブチル:ATBC(旭化成ファインケム(株)製)
(B−2)アジピン酸エステル系可塑剤:“DAIFATTY”(登録商標)−101(大八化学工業(株)製)
(C)充填剤
(C−1)タルク:“ミクロエース”(登録商標)P−6(日本タルク(株)製)
(C−2)ワラストナイト:NYAD1250(巴工業(株)製)
[実施例1〜8、比較例1〜7]
表1および表2に示す割合で原料(ポリ乳酸樹脂、可塑剤および充填材)を配合し、スクリュー径(直径)30mmのベント付き二軸押出機を用いて、設定温度:200℃、スクリュー回転数:150rpm、吐出量:30kg/hの条件で原料を溶融混練し、ペレタイザーによりペレット状のポリ乳酸樹脂組成物を得た。得られたポリ乳酸樹脂組成物を70℃の温度で5時間熱風乾燥した後、温度が200℃に設定された単軸溶融押出機に供給し、押出して第1ローラーで引取りながら、10℃の温度に設定された冷却バスに導いて冷却し、未延伸モノフィラメントを得た。続いて、得られた未延伸モノフィラメントを延伸温度90℃、延伸倍率4倍で延伸することにより、直径2.4mmのモノフィラメントを作成した。得られたモノフィラメントについて、次の(1)と(2)についての評価を実施した。結果を、表1(実施例1〜8)と表2(比較例1〜7)に示す。
【0047】
(1)草刈性
コード式草刈機(排気量26cc)に、200mmの長さにカットした2本の草刈コードを等間隔に取り付け、エンジン回転数8000rpm固定で、草丈30cm前後の雑草を5分間刈り取った。草刈後に草刈コードを取り外し、草刈コード先端部の先割れ有無、および草刈コード先端からの消費量を測定した。
【0048】
(2)ブリードアウト性
草刈コードを、温度50℃で湿度85%RHに設定された恒温恒湿槽に入れ、1週間後に取り出し、草刈コード表面に可塑剤がにじむ場合は「ブリードアウトあり」とし、変化ない場合は「ブリードアウトなし」と評価した。
【0049】
実施例1〜5に示すとおり、ポリ乳酸樹脂とアジピン酸エステル系可塑剤の配合割合を本発明で規定する範囲内とすることにより、草刈性に優れ、ブリードアウトが発生しないことが分かる。
【0050】
また、実施例6〜8は、ポリ乳酸樹脂とアジピン酸エステル系可塑剤に加え、さらに充填剤を配合することにより、草刈性がより一層優れ、ブリードアウトが発生していないことが分かる。
【0051】
一方、比較例1〜7のように、ポリ乳酸樹脂とアジピン酸エステル系可塑剤の配合割合が本発明の範囲外となった場合は、草刈性やブリードアウトに劣ることが分かる。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】