特許第6011540号(P6011540)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011540
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】診断システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/70 20130101AFI20161006BHJP
【FI】
   H04L12/70 100A
【請求項の数】13
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-534665(P2013-534665)
(86)(22)【出願日】2012年9月10日
(86)【国際出願番号】JP2012073019
(87)【国際公開番号】WO2013042564
(87)【国際公開日】20130328
【審査請求日】2015年8月12日
(31)【優先権主張番号】特願2011-204592(P2011-204592)
(32)【優先日】2011年9月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】厩橋 正樹
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 暁
(72)【発明者】
【氏名】崔 珍龍
【審査官】 安藤 一道
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/055837(WO,A1)
【文献】 特開2004−356854(JP,A)
【文献】 特開2010−068052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信元ノードと、送信先ノードとが、中継ノードを介して接続されたネットワークを診断する診断システムにおいて、
前記送信元ノードは、前記中継ノードまでのホップ数をTTL値として、該TTL値を所定のフィールドに格納した診断フレームを生成し、該診断フレームを前記中継ノードへ送信する診断フレーム処理部を有し、
前記中継ノードは、
当該中継ノードの入力インタフェース側において、前記診断フレームを受信した場合、該診断フレームの前記フィールドに格納された前記TTL値をデクリメントし、該デクリメントしたTTL値が0である診断フレームの数をカウントし、該診断フレームを当該中継ノードの出力インタフェース側へ転送し、該カウントした診断フレームの数を確認済みフレーム数として出力する入力ラインカードと、
当該中継ノードの出力インタフェース側において、前記入力ラインカードから転送された診断フレームのうち、前記TTL値が0である診断フレームの数をカウントし、該カウントした診断フレームの数を確認済みフレーム数として出力する出力ラインカードとを有し、
前記送信元ノードから送信された診断フレームの送信数と、前記入力ラインカードから出力された確認済みフレーム数と、前記出力ラインカードから出力された確認済みフレーム数とに基づいて、前記送信元ノードから前記入力ラインカードまでの間および前記送信元ノードから出力ラインカードまでの間の前記送信元ノードから前記中継ノードの方向の導通を確認することを特徴とする診断システム。
【請求項2】
請求項に記載の診断システムにおいて、
前記入力ラインカードは、前記確認済みフレーム数を前記外部装置へ出力し、
前記出力ラインカードは、前記確認済みフレーム数を前記外部装置へ出力し、
前記外部装置は、前記送信数と、前記入力ラインカードから出力された確認済みフレーム数と、前記出力ラインカードから出力された確認済みフレーム数とに基づいて、前記送信元ノードから前記入力ラインカードまでの間および前記送信元ノードから出力ラインカードまでの間の前記送信元ノードから前記中継ノードの方向の導通を確認することを特徴とする診断システム。
【請求項3】
請求項に記載の診断システムにおいて、
前記送信元ノードの診断フレーム処理部は、前記診断フレームを1つ送信し、
前記中継ノードの診断フレーム処理部は、前記TTL値が0となる診断フレームを受信したか否かに基づいて、前記送信元ノードから前記中継ノードへの導通を確認することを特徴とする診断システム。
【請求項4】
請求項に記載の診断システムにおいて、
前記送信元ノードの診断フレーム処理部は、前記診断フレームを所定のレートで送信し、
前記送信数と、前記確認済みフレーム数とに基づいて、前記送信元ノードから前記中継ノードへの前記所定のレートにおける導通を確認することを特徴とする診断システム。
【請求項5】
請求項1からのいずれか1項に記載の診断システムにおいて、
前記中継ノードの診断フレーム処理部は、前記診断フレームをACHヘッダのChannel Type値に基づいて識別することを特徴とする診断システム。
【請求項6】
請求項1からのいずれか1項に記載の診断システムにおいて、
前記中継ノードの診断フレーム処理部は、前記診断フレームをACHヘッダのChannel Type値とOAM PDU内の所定のフィールドの値とに基づいて識別することを特徴とする診断システム。
【請求項7】
請求項1からのいずれか1項に記載の診断システムにおいて、
前記送信元ノードは、前記送信数をカウントして出力することを特徴とする診断システム。
【請求項8】
請求項1からのいずれか1項に記載の診断システムにおいて、
前記送信元ノードは、診断を開始後、最初に送信する前記診断フレームに格納されているシーケンス番号にあらかじめ設定された値を設定して送信し、
前記中継ノードは、前記受信した診断フレームに格納されているシーケンス番号を用いて前記送信数をカウントして出力することを特徴とする診断システム。
【請求項9】
送信元ノードと、送信先ノードとを中継する中継ノードであって、
当該中継ノードの入力インタフェース側において、前記送信元ノードから送信された診断フレームを受信した場合、該診断フレームの所定のフィールドに格納されたTTL値をデクリメントし、該デクリメントしたTTL値が0である診断フレームの数をカウントし、該診断フレームを当該中継ノードの出力インタフェース側へ転送し、該カウントした診断フレームの数を出力する入力ラインカードと、
当該中継ノードの出力インタフェース側において、前記入力ラインカードから転送された診断フレームのうち、前記TTL値が0である診断フレームの数をカウントし、該カウントした診断フレームの数を出力する出力ラインカードとを有する中継装置。
【請求項10】
送信元ノードと、送信先ノードとを中継する中継ノードに搭載された入力ラインカードであって、
前記中継ノードの入力インタフェース側において、前記送信元ノードから送信された診断フレームを受信した場合、該診断フレームの所定のフィールドに格納されたTTL値をデクリメントし、該デクリメントしたTTL値が0である診断フレームの数をカウントし、該診断フレームを当該中継ノードの出力インタフェース側へ転送し、該カウントした診断フレームの数を出力する入力ラインカード。
【請求項11】
送信元ノードと、送信先ノードとが、中継ノードを介して接続されたネットワークを診断する診断方法であって、
前記送信元ノードが、前記中継ノードまでのホップ数をTTL値として、該TTL値を所定のフィールドに格納した診断フレームを生成する処理と、
前記送信元ノードが、前記診断フレームを前記中継ノードへ送信する処理と、
前記中継ノードが、入力インタフェース側において、前記診断フレームを受信した場合、該診断フレームの前記フィールドに格納された前記TTL値をデクリメントする処理と、
前記中継ノードが、前記デクリメントしたTTL値が0である診断フレームの数をカウントする処理と、
前記中継ノードが、前記デクリメントしたTTL値が0である診断フレームを当該中継ノードの出力インタフェース側へ転送する処理と、
前記中継ノードが、前記カウントした診断フレームの数を確認済みフレーム数として出力する処理と、
前記中継ノードが、出力インタフェース側において、前記入力インタフェース側から転送された診断フレームのうち、前記TTL値が0である診断フレームの数をカウントする処理と、
前記中継ノードが、出力インタフェース側においてカウントした診断フレームの数を確認済みフレーム数として出力する処理と、
前記送信元ノードから送信された診断フレームの送信数と前記入力インタフェース側から出力された確認済みフレーム数と前記出力インタフェース側から出力された確認済みフレーム数とに基づいて、前記送信元ノードから前記入力インタフェース側までの間および前記送信元ノードから出力インタフェース側までの間の前記送信元ノードから前記中継ノードの方向の導通を確認する処理とを行う診断方法。
【請求項12】
送信元ノードと、送信先ノードとを中継する中継ノードに、
当該中継ノードの入力インタフェース側において、前記送信元ノードから送信された診断フレームを受信した場合、該診断フレームの所定のフィールドに格納されたTTL値をデクリメントする手順と、
前記デクリメントしたTTL値が0である診断フレームの数をカウントする手順と、
前記デクリメントしたTTL値が0である診断フレームを当該中継ノードの出力インタフェース側へ転送する手順と、
前記カウントした診断フレームの数を出力する手順と、
当該中継ノードの出力インタフェース側において、前記転送された診断フレームのうち、前記TTL値が0である診断フレームの数をカウントする手順と、
前記出力インタフェース側においてカウントした診断フレームの数を出力する手順とを実行させるためのプログラム。
【請求項13】
送信元ノードと、送信先ノードとを中継する中継ノードに搭載された入力ラインカードに、
前記中継ノードの入力インタフェース側において、前記送信元ノードから送信された診断フレームを受信した場合、該診断フレームの所定のフィールドに格納されたTTL値をデクリメントする手順と、
前記デクリメントしたTTL値が0である診断フレームの数をカウントする手順と、
前記デクリメントしたTTL値が0である診断フレームを当該中継ノードの出力インタフェース側へ転送する手順と、
前記カウントした診断フレームの数を出力する手順とを実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パケットデータの通信を行う通信システムを診断する診断システム、送信元ノード、中継ノード、入力ラインカード、出力ラインカード、診断方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のユーザトラヒックのIP化/イーサネット(登録商標、以下、同じ)化に伴い、トラヒックを効率的に収容するために、通信ネットワーク、特に、通信状況の管理や監視の質、信頼性への要求が高いネットワークについて、通信される信号のパケット化が進められている。
【0003】
これまでのSONET(Synchronous Optical NETwork)/SDH(Synchronous Digital Hierarchy)ベースの通信ネットワークでは、SONET/SDHが持つキャリアクラスのきめ細かな監視・制御機能(Operations, Administration and Maintenance:OAM機能)により、キャリアグレードのサービス要求に応えていた。
【0004】
SONET/SDHベースの通信ネットワークがパケットネットワークへシフトしていく中でも、同等レベルのOAM機能を実現する必要があり、この実現について、近年では標準化で活発に議論が進められている。
【0005】
例えば、イーサネット向けOAM機能としては、ITU−tにおいて、Y.1731として勧告化されている。
【0006】
また、MPLS(Multi−Protocol Label Switching)ベースのパケットトランスポート技術として注目を集めているMPLS−TP(Multi Protocol Label Switching−Transport Profile)に関しても、IETF(Internet Engineering Task Force)において、OAM機能が1つの注目機能として標準化が進められている。
【0007】
また、OAM機能は、障害の検出、通知、局所化等を行うFault Management(FM)機能と、データトラヒックの性能を監視するPerformance Monitor(PM)機能とに分類される。
【0008】
このPM機能の1つとして、監視区間の診断機能(Diagnostic Test機能(以下、TST機能と称する))がある。
【0009】
図1は、標準で規定されるTST機能を実行する通信ネットワークならびに監視区間の構成例を示す図である。
【0010】
図1に示すように、通信装置100〜400が直列に接続される通信ネットワークにおいて、監視区間は、端点となる通信装置100のMEP(Maintenance End Point)#100と通信装置400のMEP#400との間で設定され、その中間に、通信装置200のMIP(Maintenance Intermediate Point)#200と通信装置300のMIP#300とが設定されている。通信状態の監視を片方向で実行する1−way TST機能の場合、MEP#100からMEP#400、または、MEP#400からMEP#100への片方向でのTSTフレームの送受信することにより、その区間でのTSTフレーム送信レートでの導通(スループット)やフレームロスを確認する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】ITU−T Y.1731
【非特許文献2】IETF PFC5860, Requirements for Operations, Administration, and Maintenance(OAM) in MPLS Transport Networks
【非特許文献3】IETF draft−ietf−mpls−tp−oam−framework, Operations, Administration and Maintenance Framework for MPLS−based Transport Networks
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ここで、図1に示した構成例に対して、MEPからMIPの間(MEP#100からMIP#200、MEP#100からMIP#300、MEP#400からMIP#300、MEP#400からMIP#200)でTST機能を実行することができれば、MEP間よりも細分化した区間での診断が可能であり、よりきめ細かい監視制御が可能となる。
【0013】
しかしながら、上述した標準規格に準拠すると、TST機能はMEP−MEP間の実行はできるが、MEP−MIP間の実行ができない。そのため、よりきめ細かい監視制御を行なうことができないという問題点がある。
【0014】
また、MIPのポイントをMEPとして動作させようとした場合、それらの機能の実装の規模が大きくなってしまうという問題点がある。
【0015】
本発明では、標準規格に準拠した上で、MEP−MIP間においてTST機能を実行可能とし、きめ細かい監視制御を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の診断システムは、
送信元ノードと、送信先ノードとが、中継ノードを介して接続されたネットワークを診断する診断システムであって、
前記送信元ノードは、前記中継ノードまでのホップ数をTTL値として、該TTL値を所定のフィールドに格納した診断フレームを生成し、該診断フレームを前記中継ノードへ送信する診断フレーム処理部を有し、
前記中継ノードは、
前記診断フレームを受信した場合、該診断フレームの前記フィールドに格納された前記TTL値をデクリメントするTTL処理部と、
前記TTL処理部がデクリメントしたTTL値が0である診断フレームの数をカウントし、該診断フレームを廃棄し、該カウントした診断フレームの数を確認済みフレーム数として出力する診断フレーム処理部とを有し、
前記送信元ノードから送信された診断フレームの送信数と前記確認済みフレーム数とに基づいて、前記送信元ノードと前記中継ノードとの間の前記送信元ノードから前記中継ノードの方向の導通を確認することを特徴とする。
【0017】
また、送信元ノードと、送信先ノードとが、中継ノードを介して接続されたネットワークを診断する診断システムであって、
前記送信元ノードは、前記中継ノードまでのホップ数をTTL値として、該TTL値を所定のフィールドに格納した診断フレームを生成し、該診断フレームを前記中継ノードへ送信する診断フレーム処理部を有し、
前記中継ノードは、
当該中継ノードの入力インタフェース側において、前記診断フレームを受信した場合、該診断フレームの前記フィールドに格納された前記TTL値をデクリメントし、該デクリメントしたTTL値が0である診断フレームの数をカウントし、該診断フレームを転送し、該カウントした診断フレームの数を確認済みフレーム数として出力する入力ラインカードと、
当該中継ノードの出力インタフェース側において、前記入力ラインカードから転送された診断フレームのうち、前記TTL値が0である診断フレームの数をカウントし、該カウントした診断フレームの数を確認済みフレーム数として出力する出力ラインカードとを有し、
前記送信元ノードから送信された診断フレームの送信数と、前記入力ラインカードから出力された確認済みフレーム数と、前記出力ラインカードから出力された確認済みフレーム数とに基づいて、前記送信元ノードから前記入力ラインカードまでの間および前記送信元ノードから出力ラインカードまでの間の前記送信元ノードから前記中継ノードの方向の導通を確認することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の送信元ノードは、
中継ノードを介して、送信先ノードと接続された送信元ノードであって、
前記中継ノードまでのホップ数をTTL値として、該TTL値を所定のフィールドに格納した診断フレームを生成し、該診断フレームを前記中継ノードへ送信する診断フレーム処理部を有する。
【0019】
また、本発明の中継ノードは、
送信元ノードと、送信先ノードとを中継する中継ノードであって、
前記送信元ノードから送信された診断フレームを受信した場合、該診断フレームの所定のフィールドに格納されたTTL値をデクリメントするTTL処理部と、
前記TTL処理部がデクリメントしたTTL値が0である診断フレームの数をカウントし、該診断フレームを廃棄し、該カウントした診断フレームの数を出力する診断フレーム処理部とを有する。
【0020】
また、送信元ノードと、送信先ノードとを中継する中継ノードであって、
当該中継ノードの入力インタフェース側において、前記送信元ノードから送信された診断フレームを受信した場合、該診断フレームの所定のフィールドに格納されたTTL値をデクリメントし、該デクリメントしたTTL値が0である診断フレームの数をカウントし、該診断フレームを転送し、該カウントした診断フレームの数を出力する入力ラインカードと、
当該中継ノードの出力インタフェース側において、前記入力ラインカードから転送された診断フレームのうち、前記TTL値が0である診断フレームの数をカウントし、該カウントした診断フレームの数を出力する出力ラインカードとを有する中継装置。
【0021】
また、本発明の入力ラインカードは、
送信元ノードと、送信先ノードとを中継する中継ノードに搭載された入力ラインカードであって、
前記中継ノードの入力インタフェース側において、前記送信元ノードから送信された診断フレームを受信した場合、該診断フレームの所定のフィールドに格納されたTTL値をデクリメントし、該デクリメントしたTTL値が0である診断フレームの数をカウントし、該診断フレームを転送し、該カウントした診断フレームの数を出力する。
【0022】
また、本発明の出力ラインカードは、
送信元ノードと、送信先ノードとを中継する中継ノードに搭載された出力ラインカードであって、
前記中継ノードの出力インタフェース側において、前記中継ノードの入力インタフェース側に搭載された入力ラインカードから転送された診断フレームのうち、所定のフィールドに格納されたTTL値が0である診断フレームの数をカウントし、該カウントした診断フレームの数を出力する。
【0023】
また、本発明の診断方法は、
送信元ノードと、送信先ノードとが、中継ノードを介して接続されたネットワークを診断する診断方法であって、
前記送信元ノードが、前記中継ノードまでのホップ数をTTL値として、該TTL値を所定のフィールドに格納した診断フレームを生成する処理と、
前記送信元ノードが、前記診断フレームを前記中継ノードへ送信する処理と、
前記中継ノードが、前記診断フレームを受信した場合、該診断フレームの前記フィールドに格納された前記TTL値をデクリメントする処理と、
前記中継ノードが、前記デクリメントしたTTL値が0である診断フレームの数をカウントする処理と、
前記中継ノードが、前記デクリメントしたTTL値が0である診断フレームを廃棄する処理と、
前記中継ノードが、前記カウントした診断フレームの数を確認済みフレーム数として出力する処理と、
前記送信元ノードから送信された診断フレームの送信数と前記確認済みフレーム数とに基づいて、前記送信元ノードと前記中継ノードとの間の前記送信元ノードから前記中継ノードの方向の導通を確認する処理とを行う。
【0024】
また、送信元ノードと、送信先ノードとが、中継ノードを介して接続されたネットワークを診断する診断方法であって、
前記送信元ノードが、前記中継ノードまでのホップ数をTTL値として、該TTL値を所定のフィールドに格納した診断フレームを生成する処理と、
前記送信元ノードが、前記診断フレームを前記中継ノードへ送信する処理と、
前記中継ノードが、入力インタフェース側において、前記診断フレームを受信した場合、該診断フレームの前記フィールドに格納された前記TTL値をデクリメントする処理と、
前記中継ノードが、前記デクリメントしたTTL値が0である診断フレームの数をカウントする処理と、
前記中継ノードが、前記デクリメントしたTTL値が0である診断フレームを転送する処理と、
前記中継ノードが、前記カウントした診断フレームの数を確認済みフレーム数として出力する処理と、
前記中継ノードが、出力インタフェース側において、前記入力インタフェース側から転送された診断フレームのうち、前記TTL値が0である診断フレームの数をカウントする処理と、
前記中継ノードが、出力インタフェース側においてカウントした診断フレームの数を確認済みフレーム数として出力する処理と、
前記送信元ノードから送信された診断フレームの送信数と前記入力インタフェース側から出力された確認済みフレーム数と前記出力インタフェース側から出力された確認済みフレーム数とに基づいて、前記送信元ノードから前記入力インタフェース側までの間および前記送信元ノードから出力インタフェース側までの間の前記送信元ノードから前記中継ノードの方向の導通を確認する処理とを行う診断方法。
【0025】
また、本発明のプログラムは、
中継ノードを介して、送信先ノードと接続された送信元ノードに実行させるためのプログラムであって、
前記中継ノードまでのホップ数をTTL値として、該TTL値を所定のフィールドに格納した診断フレームを生成する手順と、
前記診断フレームを前記中継ノードへ送信する手順とを実行させる。
【0026】
また、送信元ノードと、送信先ノードとを中継する中継ノードに実行させるためのプログラムであって、
前記送信元ノードから送信された診断フレームを受信した場合、該診断フレームの所定のフィールドに格納されたTTL値をデクリメントする手順と、
前記デクリメントしたTTL値が0である診断フレームの数をカウントする手順と、
前記デクリメントしたTTL値が0である診断フレームを廃棄する手順と、
前記カウントした診断フレームの数を出力する手順とを実行させる。
【0027】
また、送信元ノードと、送信先ノードとを中継する中継ノードに実行させるためのプログラムであって、
当該中継ノードの入力インタフェース側において、前記送信元ノードから送信された診断フレームを受信した場合、該診断フレームの所定のフィールドに格納されたTTL値をデクリメントする手順と、
前記デクリメントしたTTL値が0である診断フレームの数をカウントする手順と、
前記デクリメントしたTTL値が0である診断フレームを転送する手順と、
前記カウントした診断フレームの数を出力する手順と、
当該中継ノードの出力インタフェース側において、前記転送された診断フレームのうち、前記TTL値が0である診断フレームの数をカウントする手順と、
前記出力インタフェース側においてカウントした診断フレームの数を出力する手順とを実行させる。
【0028】
また、送信元ノードと、送信先ノードとを中継する中継ノードに搭載された入力ラインカードに実行させるためのプログラムであって、
前記中継ノードの入力インタフェース側において、前記送信元ノードから送信された診断フレームを受信した場合、該診断フレームの所定のフィールドに格納されたTTL値をデクリメントする手順と、
前記デクリメントしたTTL値が0である診断フレームの数をカウントする手順と、
前記デクリメントしたTTL値が0である診断フレームを転送する手順と、
前記カウントした診断フレームの数を出力する手順とを実行させる。
【0029】
また、送信元ノードと、送信先ノードとを中継する中継ノードに搭載された出力ラインカードに実行させるためのプログラムであって、
前記中継ノードの出力インタフェース側において、前記中継ノードの入力インタフェース側に搭載された入力ラインカードから転送された診断フレームのうち、所定のフィールドに格納されたTTL値が0である診断フレームの数をカウントする手順と、
前記カウントした診断フレームの数を出力する手順とを実行させる。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、本発明においては、標準規格に準拠した上で、MEP−MIP間においてTST機能を実行可能とし、きめ細かい監視制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】標準で規定されるTST機能を実行する通信ネットワークならびに監視区間の構成例を示す図である。
図2】第1の実施の形態におけるTST機能を実行する診断システムおよび監視区間の一例を示す図である。
図3図2に示した通信装置の内部構成の一例を示す図である。
図4】MPLS−TPにおけるOAMフレームのフレームフォーマットの一例を示す図である。
図5】第1の実施の形態における診断方法のうち、TSTフレームの送信ノードとなる通信装置における送信処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図6】第1の実施の形態における診断方法のうち、TSTフレームの中継ノードとなる通信装置における中継処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図7】第1の実施の形態における診断方法のうち、TSTフレームの中継ノードとなる通信装置における中継処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図8図2に示したネットワークにおいて、通信装置2−3間に片方向障害があった場合の故障箇所特定の様子を示す図である。
図9図2に示したネットワークにおいて、通信装置2−3間に双方向障害があった場合の故障箇所特定の様子を示す図である。
図10】第2の実施の形態におけるTST機能を実行する診断ネットワークならびに監視区間の一例を示す図である。
図11図10に示した通信装置の内部構成の一例を示す図である。
図12図11に示したTTL処理部における処理を説明するためのフローチャートである。
図13図11に示したTTL識別部における処理を説明するためのフローチャートである。
図14図10に示したネットワークにおいて、通信装置6−7間に片方向障害があった場合の故障箇所特定の様子の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本発明を実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
<構成の説明>
図2は、第1の実施の形態におけるTST(診断)機能を実行する診断システムおよびに監視区間の一例を示す図である。
【0033】
本形態は図2に示すように、通信装置1〜4が直列に接続された形態となっている。また、監視ポイントとして、通信装置1にはMEP#1が、通信装置2にはMIP#2が、通信装置3にはMIP#3が、通信装置4にはMEP#4が設定されている。なお、本形態において、通信装置1,4が、送信ノードである。また、本形態において、通信装置2,3が、中継ノードである。つまり、通信装置1,4のみが、診断フレームであるTSTフレームの送信数または受信数をカウントする機能を有し、通信装置2,3にはその機能はない。
【0034】
ここで、上述した課題であるMEPからMIPへのTST機能(TST#1−1、#1−2、#2−1、#2−2)を実現する。
【0035】
図3は、図2に示した通信装置1の内部構成の一例を示す図である。なお、図2に示した通信装置2〜4の内部構成についても、図3に示すものと同じである。
【0036】
図2に示した通信装置1には図3に示すように、入力ラインカード10と、スイッチファブリック20と、出力ラインカード30とが設けられている。これらはそれぞれ、カード(ボード、基板)であって、それらのカードが搭載されたユニットや筐体等のシャーシ型であっても良い。また、これらそれぞれは、入力ラインカード10に相当する入力ポートと、出力ラインカード30に相当する出力ポートと、それらの結ぶスイッチファブリックとを1枚のカード内に有する単一ボード型であっても良い。
【0037】
入力ラインカード10には図3に示すように、通信装置1の入力インタフェース側に設けられ、フレーム送受信部11と、ラベル識別部12と、TTL処理部13と、フレーム転送部14と、OAM処理部15とが設けられている。
【0038】
また、出力カードには図3に示すように、通信装置1の出力インタフェース側に設けられ、フレーム送受信部11と、OAM処理部15とが設けられている。
【0039】
フレーム送受信部11は、外部から受信したフレームをラベル識別部12へ転送する。また、フレーム送受信部11は、OAM処理部15またはスイッチファブリック20から受信したフレームを外部へ出力する。
【0040】
ラベル識別部12は、フレーム送受信部11から受信したフレームのLSP(Label Switched Path)ラベルを識別する。この識別の結果、当該フレームを中継転送すべき旨を示すLSPラベルである場合、ラベル識別部12は、このフレームをTTL処理部13へ転送する。
【0041】
また、識別の結果、当該フレームを終端すべき旨を示すLSPラベルである場合、ラベル識別部12は、このフレーム内の所定の識別ヘッダ(後述する「GAL label」)を見て、当該フレームがOAMフレームであるかどうかを判別する。
【0042】
当該フレームがOAMフレームであれば、ラベル識別部12は、このフレームをOAM処理部15へ転送する。また、当該フレームがOAMフレームでなければ、ラベル識別部12は、このフレームの廃棄または他の終端処理を行う。ラベル識別部12におけるその他の終端処理については、本発明と直接関係しないため、その説明を省略する。
【0043】
TTL処理部13は、ラベル識別部12から受信したフレーム内のLSPラベルに含まれるTTL(Time To Live)値を読み出し、「TTL=TTL−1」の演算をしてTTL値を更新した後に、更新したTTL値が「0」であるかどうかを判別する。
【0044】
更新したTTL値が「0」ではない場合、TTL処理部13は、このフレームをフレーム転送部14へ転送する。また、TTL処理部13は、更新したTTL値が「0」であれば、TTL処理部13は、このフレームの識別ヘッダを見て、当該フレームがOAMフレームであるかどうかを判別する。
【0045】
当該フレームがOAMフレームであれば、TTL処理部13は、このフレームをOAM処理部15へ転送する。また、当該フレームがOAMフレームでなければ、TTL処理部13は、このフレームの廃棄または他の終端処理を行う。廃棄またはその他の終端処理については、本発明と直接関係しないため、その説明を省略する。
【0046】
なお、TTL処理部13は、更新したTTL値が「0」であり、且つ当該フレームがOAMフレームのTSTフレームである場合、そのフレーム数をカウントする。
【0047】
フレーム転送部14は、TTL処理部13またはOAM処理部15から受信したフレームのラベルをスワップし、転送先ポートを指定してスイッチファブリック20へ当該フレームを転送する。
【0048】
OAM処理部15は、ラベル識別部12またはTTL処理部13からOAMフレームを受信し、当該OAMフレーム種別に応じた処理する診断フレーム処理部である。また、OAM処理部15は、外部出力IFからOAMフレーム生成指示を受けると、該当するOAMフレームを生成する。処理後または生成後のOAMフレームは、フレーム送受信部11またはフレーム転送部14へ転送される。OAM処理部15は、OAMフレーム種別に応じた処理後、必要に応じてOAM処理の結果または経過等を、保存または外部出力IF(InterFace)を介して、上位装置等へ出力する。なお、OAM処理部15は、送信先ノード(例えば、通信装置4)に設けられている場合、受信したTSTフレームの数を受信数としてカウントし、その受信数を上位装置へ出力する。
【0049】
スイッチファブリック20は、フレーム転送部14から受信したフレームを指定された転送先ポートへ転送する。
【0050】
図4は、MPLS−TPにおけるOAMフレームのフレームフォーマットの一例を示す図である。
【0051】
MPLS−TPでは、レイヤ毎にOAMフレームのフォーマットに一部差分があるが、図4には代表例として、LSPレイヤのフォーマットを示している。OAMフレームは図4に示すように、
・イーサの宛先/送信元アドレス等を含むイーサヘッダ40
・LSPレイヤの転送情報を格納するLSPラベル41
・GAL labelに特定値「13」を格納することにより、OAMフレームであることを示すGALラベル42
・OAMチャネル(制御チャネル)であることを示すACHヘッダ43
・OAM種別毎に情報を格納するOAM PDU(Protocol Data Unit)44
・Frame Check Sequence情報を格納するFCS45
の各フィールドから構成されている。
【0052】
OAMフレームの種別は、ACHヘッダ43のChannel Type値、または、Channel Type値とOAM PDU44内の所定の値とにより、識別される。すなわち、TSTフレームであることを示す値がChannel Type、またはChannel Type+OAM PDU内の所定フィールドに格納される。
【0053】
また、各通信装置1〜4のTTL処理部13が処理を行なうTTL値は、LSPラベル41内のTTLフィールドに格納される。
【0054】
また、TCフィールドには、トラヒッククラスを示す情報が格納される。また、Sフィールドには、そのラベルがラベルスタックの底であるかどうかの情報が格納される。例えば、GALラベル42がそのフレームのラベルスタックの底である場合、LSPラベル41のSフィールドには「0」が、またGALラベル42のSフィールドには「1」が格納される。
<動作の説明>
以下に、本形態における診断方法について説明する。ここで、図2に示したTST#1−2(通信装置1のMEP#1から通信装置2のMIP#2を経由して、通信装置3のMEP#3へのTST実施)の送信処理、中継処理および受信処理を例に挙げて説明する。なお、以下に説明する処理は、通信装置1〜4内のCPU(中央処理装置)(図示せず)が、メモリ等(図示せず)に格納されたプログラムを実行することで実現されるものであっても良いし、プログラマブル・ロジックデバイスを設計する際に利用され、ハードウェアの動作で実現されるものであっても良い。
(a)TSTフレーム送信動作(通信装置1のMEP#1)
図5は、本形態における診断方法のうち、TSTフレームの送信ノードとなる通信装置1(送信元ノード)における送信処理の一例を説明するためのフローチャートである。この処理は、通信装置1の出力ラインカード30内のOAM処理部15において行われるものである。
【0055】
まず、ステップ51にて、OAM処理部15は、外部出力IFから、TST開始のトリガとなるTST開始指示を受信すると、ステップ52において、TSTフレームを生成する。ここで、このTSTフレームには、上述した標準に準拠して、対向の端点である通信装置4(送信先ノード)のMEP#4へ送信するためのLSPラベルが設定される。また、MEP#1からMIP#3までの間でTSTを実行するために、このTSTフレームには、MEP#1からMIP#3までのホップ数である「2」をTTL値とし、図4に示したLSPラベル41のTTLフィールドに「2」を格納する。
【0056】
なお、ここでホップ数をTTL値に設定するのは、宛先とするMIP#3において当該TSTフレームをTTL expireさせる(TTL=0で廃棄させる)ためである。
【0057】
その後、ステップ53において、OAM処理部15は、指定された送信間隔(レート)でTSTフレームをフレーム転送部14へ転送すると共に、その転送した数(送信数)をカウントする。
【0058】
OAM処理部15は、ステップ54において、指定された(例えば、TST開始時に指定された)送信回数を送信終了、終了時刻を経過、外部出力IFからTST終了指示を受信など、TST終了のトリガを受けると、TSTフレームの送信を終了する。そして、送信数をオペレーションシステム、CLI(Command Line Interface)、メモリ等の外部出力IFとなる外部装置へ出力する。
(b)TSTフレーム中継動作(通信装置2のMIP#2)
中継ノードとなる通信装置2(MIP#2)では、フレーム送受信部11において、通信装置1から送信されてきたTSTフレームを受信すると、ラベル識別部12へ転送する。
【0059】
図6は、本形態における診断方法のうち、TSTフレームの中継ノードとなる通信装置2における中継処理の一例を説明するためのフローチャートである。この処理は、通信装置2の入力ラインカード10内のラベル識別部12において行われるものである。
【0060】
ステップ61において、ラベル識別部12は、フレーム送受信部11からフレームを受信すると、ステップ62において、受信したフレームの転送ラベルであるLSPラベルを識別する。このとき、ステップ63において、ラベル識別部12は、図4に示したLSP labelのフィールドに格納されているラベル値が、当該フレームを中継すべきラベル値であるか、終端すべきラベル値であるかを識別する。
【0061】
ステップ63の条件分岐において、当該ラベル値が終端すべきラベル値である場合、ラベル識別部12は、ステップ65において、当該フレームがOAMフレームであるかどうかを判定する。ここで、図4に示したGAL labelに「13」が格納されている場合、ラベル識別部12は、当該フレームがOAMフレームであると判定する。
【0062】
一方、ステップ63の条件分岐において、当該ラベル値が終端すべきでなく中継すべきラベル値である場合、ラベル識別部12は、ステップ64において、当該フレームをTTL処理部13へ転送する。本形態においては、通信装置2で受信したTSTフレームの宛先が通信装置4であるため、ラベル値が中継すべきラベル値であり、ラベル識別部12は、ステップ64において、TTL処理部13へ当該フレームを転送する。
【0063】
また、ステップ65の条件分岐において、当該フレームがOAMフレームではないと判定された場合、ステップ66において、フレームの終端が行われ、通常のデータフレームの処理が行われる。つまり、一番外側のラベルを外し、さらにラベルがある場合、ラベル転送が行われ、また、一番外側のラベルを外すとラベルがない場合、クライアントフレーム転送が行われる。
【0064】
また、ステップ65の条件分岐において、当該フレームがOAMフレームであると判定された場合は、ラベル識別部12は、当該フレームをOAM処理部15へ転送する。そして、OAM処理部15にて、OAM処理が行われる。このOAM処理は、OAMフレーム種別に応じて、処理が異なる。例えば、当該フレームがTSTフレームである場合、受信数がカウントアップされ、廃棄される。
【0065】
図7は、本形態における診断方法のうち、TSTフレームの中継ノードとなる通信装置2における中継処理の一例を説明するためのフローチャートである。この処理は、通信装置2の入力ラインカード10内のTTL処理部13において行われるものである。
【0066】
ステップ71において、TTL処理部13は、ラベル識別部12からフレームを受信すると、ステップ72において、受信したフレームのLSPラベル41のTTLフィールドに格納されているTTL値から「1」を減算する。つまり、TTL処理部13は、受信したフレームのLSPラベル41のTTLフィールドに格納されているTTL値をデクリメントする。ここで、受信したフレームのTTL値は「2」であるため、新たなTTL値は「1」となる。
【0067】
そして、ステップ73において、TTL処理部13は、このTTL値が「0」であるかどうかを判定する。
【0068】
ステップ73の条件分岐において、当該フレームのTTL値が「0」ではない場合、ステップ74において、TTL処理部13は、当該フレームをフレーム転送部14へ転送する。
【0069】
ステップ74において、フレーム転送部14に転送されたTSTフレームは、ラベルがスワップされ、スイッチファブリック20を経由し、適切な出力先の出力ラインカード30のフレーム送受信部11から外部に転送される。
【0070】
一方、ステップ73の条件分岐において、当該フレームのTTL値が「0」である場合、すなわちTTL値が「0」でTTL expireした場合の処理は、後述する。なお、ここで、当該TSTフレームのTTL値は更新されて「1」となっており、ステップ74の処理が行われる。
(c)TSTフレーム受信動作(通信装置3のMIP#3)
以下、通信装置3における処理について、図6および図7に示したフローチャートを用いて説明する。
【0071】
通信装置3(MIP#3)では、フレーム送受信部11において、通信装置2からのTSTフレームを受信すると、フレーム送受信部11は、受信したTSTフレームをラベル識別部12へ転送する。
【0072】
ステップ61において、ラベル識別部12は、フレーム送受信部11からフレームを受信すると、ステップ62において、受信したフレームの転送ラベルであるLSPラベルを識別する。このとき、ステップ63において、ラベル識別部12は、図4に示したLSP labelのフィールドに格納されているラベル値が、当該フレームを中継すべきラベル値であるか、終端すべきラベル値であるかを識別する。
【0073】
ステップ63の条件分岐において、当該ラベル値が終端すべきでなく中継すべきラベル値である場合、ラベル識別部12は、ステップ64において、当該フレームをTTL処理部13へ転送する。本形態においては、通信装置3で受信したTSTフレームの宛先が通信装置4であるため、ラベル値が中継すべきラベル値であり、ラベル識別部12は、ステップ64において、TTL処理部13へ当該フレームを転送する。
【0074】
続いて、ステップ71において、TTL処理部13は、ラベル識別部12からフレームを受信すると、ステップ72において、受信したフレームのLSPラベル41のTTLフィールドに格納されているTTL値から「1」を減算する。ここで、受信したフレームのTTL値は「1」であるため、新たなTTL値は「0」となる。
【0075】
そして、ステップ73において、TTL処理部13は、このTTL値が「0」であるかどうかを判定する。
【0076】
ステップ73の条件分岐において、当該フレームのTTL値が「0」であり、TTL値が「0」でTTL expireしているため、ステップ75の処理が行われる。
【0077】
ステップ75において、TTL処理部13では、TTL expireしたフレームの中で、GALラベルの有無、ACHヘッダ、OAM PDUの情報からTSTフレームである場合に、その数をカウントする。なお、TTL expireするOAMフレームがTSTフレームのみである運用を行なう場合(例えば、標準動作としてTTL expireが規定されるLB機能を未サポートの場合、またはLB機能とTST機能は同時起動させない場合など)、ACHヘッダのChannel Type値やOAM PDUの中身からTSTフレームの判定を行なうことなく、GALラベルの有無のみで、TTL expireしたTSTフレームをカウントすることが可能である。
【0078】
その後、ステップ76において、TTL処理部13は、そのTTL expireしたフレームがOAMフレームであるかどうかを判定する。この判定には、上述したように、GAL labelを参照する。
【0079】
ステップ76の条件分岐において、TTL expireしたフレームがOAMフレームである場合、ステップ78において、TTL処理部13は、OAM処理部15へ当該OAMフレームを転送する。
【0080】
一方、ステップ76の条件分岐において、TTL expireしたフレームがOAMフレームでない場合は、ステップ77において、TTL処理部13は、当該フレームを廃棄する。なお、TTL expireした当該TSTフレームに関しては、OAM処理部15で必要な処理はないため、転送する必要はない。
【0081】
また、TTL処理部13は、ステップ79において、指定された(例えば、TST開始時に指定された)終了時刻を経過、外部出力IFからTST終了指示を受信など、TST終了のトリガを受けると、TTL expireしたTSTフレームのカウントを終了する。そして、カウントしたTSTフレーム数を確認済みフレーム数としてオペレーションシステム、CLI、メモリ等の外部出力IFとなる外部装置へ出力する。
【0082】
このように、本実施の形態では、送信動作としては、標準準拠のTSTフレームにおいて、TTL値を宛先MIPまでのホップ数に設定し、受信動作としては、MIPにおいてTTL expireしたTSTフレーム数をカウントすることにより、MEPからMIPに対してTSTを実施可能である。なお、上述したように、送信するTSTフレームは標準に従っており、MIPにおける処理は、通常ノード動作としてのTTL expireフレームのカウント処理であり、標準に準拠した条件下で実現可能である。
【0083】
以下、本発明のTST機能を用いた監視区間の診断機能の具体例を説明する。
(1)MEP−MIP間の導通確認
標準のTST機能では、MEP−MEP間において、TSTフレームの送信レートでの導通を確認する。
【0084】
これに対して、本発明を用いると、MEP−MIP間において、TSTフレームの送信レートでの導通を確認可能である。
【0085】
図2に示したように、TST#1−1(MEP#1→MIP#2)、TST#1−2(MEP#1→MIP#3)、TST#2−1(MEP#4→MIP#3)、TST#2−2(MEP#4→MIP#2)のように、MEPとMIPとの間の片方向での導通を確認できる。それぞれ、
TST#1−1(MEP#1→MIP#2):MEP#1→MEP#4の1−way TSTにおいてTTL=1
TST#1−2(MEP#1→MIP#3):MEP#1→MEP#4の1−way TSTにおいてTTL=2
TST#2−1(MEP#4→MIP#3):MEP#4→MEP#1の1−way TSTにおいてTTL=1
TST#2−2(MEP#4→MIP#2):MEP#4→MEP#1の1−way TSTにおいてTTL=2
として実行可能である。
(2)片方向での故障箇所特定
故障(障害)が発生した箇所を特定するOAMツールとしては、Loopback(LB)機能が用意されている。LB機能を用いて故障箇所を特定可能だが、片方向故障の場合、その方向まで特定することはできない。これに対して、本発明のTST機能を用いると、故障箇所を方向まで含めて特定可能である。
【0086】
まず、片方向障害(通信装置2−3間において通信装置2から通信装置3の方向で障害)が発生していた場合の故障箇所特定について説明する。
【0087】
図8は、図2に示したネットワークにおいて、通信装置2−3間に片方向障害があった場合の故障箇所特定の様子を示す図である。
【0088】
サービス中に故障を検出して、故障箇所特定を行なう場合、End−to−endの確認を行ない、そこから区間を絞って故障箇所を特定するのが一般的な手順である。
【0089】
図8に示した例では、TST#8−1として、MEP#1からMEP#4に対してTSTを実施する。このTSTフレームは、宛先ラベルとして通信装置#4を宛先とする場合のラベルが設定され、TTL値として最大値である「255」が設定されて送出される。このTSTフレームは、通信装置#2−#3間で廃棄されるため、通信装置#4では受信されない。その結果として、通信装置1から通信装置4の間で故障があることが分かる。
【0090】
続いて、特定区間を絞ったTSTとして、MEP#1からMIP#3へのTST#8−2を実施する。このTSTフレームは、宛先ラベルとして通信装置#4を宛先とする場合のラベルが設定され、TTL値としてMIP#3までのホップ数である「2」が設定されて送出される。このTSTフレームは、通信装置#2−#3間で廃棄されるため、通信装置#3では受信されない。すなわち、MIP#3がある通信装置#3では、TTL expireされるTSTフレームはないため、結果として、通信装置1から通信装置3の間で故障があることが分かる。
【0091】
続いて、さらに特定区間を絞ったTSTとして、MEP#1からMIP#2へのTST#8−3を実施する。このTSTフレームは、宛先ラベルとして通信装置#4を宛先とする場合のラベルが設定され、TTL値としてMIP#2までのホップ数である「1」が設定されて送出される。このTSTフレームは、通信装置#2においてTTL=0となり、TTL expireされる。MIP#2がある通信装置#2では、TTL expireされるTSTフレームがあり、その数は送信TSTフレーム数と同じであるため、通信装置1から通信装置2の間で故障がないことが分かる。
【0092】
以上のTST#8−1〜TST#8−3の結果から、通信装置2−3間で通信装置2から通信装置3の方向で故障があることが分かる。
【0093】
合わせて、MEP#4からMEP#1へのTST#8−4を実施する。この区間でこの方向では障害がないため、このTSTフレームはMEP#1受信される。MEP#4の送信数とMEP#1の受信数とが一致し、通信装置4から通信装置1の方向ではEnd−to−endで故障がないことが分かる。
【0094】
以上の結果を総合すると、この例では、通信装置2−3間で通信装置2から通信装置3の方向で故障があることが分かる。
【0095】
続いて、双方向障害(通信装置2−3間において双方向で障害)が発生する場合の故障箇所特定について説明する。
【0096】
図9は、図2に示したネットワークにおいて、通信装置2−3間に双方向障害があった場合の故障箇所特定の様子を示す図である。
【0097】
図8を用いて説明した手順と同様の手順を行なうことで、通信装置2−3間において通信装置2から通信装置3の方向で故障があることが分かる。・・・(A)
通信装置4から通信装置1への方向についても同様に、
・TST#9−1として、MEP#4からMEP#1に対するTST(TTL=255)
・TST#9−2として、MEP#4からMIP#2に対するTST(TTL=2)
・TST#9−3として、MEP#4からMEP#3に対するTST(TTL=1)
を実施する。結果は、
・TST#9−1においては、MEP#1ではTSTフレームの受信なし
⇒通信装置4→通信装置1で故障あり
・TST#9−2においては、MIP#2ではTTL expireしたTSTフレームなし
⇒通信装置4→通信装置2で故障あり
・TST#9−3においては、MIP#4ではTTL expireしたTSTフレームあり
⇒通信装置4→通信装置3で故障なし
TST#9−1〜TST#9−3の結果から、通信装置2−3間において通信装置3から2の方向で故障があることが分かる。・・・(B)
(A)および(B)の結果から、通信装置2−3間において、双方向で故障があることが分かる。このように、TSTフレームを1つだけ送信するだけで、TTL expireしたTSTフレームを受信したか否かに基づいて、送信元ノードから中継ノードへの導通を確認することができる。
<効果>
以上のように、本発明では、送信元MEPにて、標準のTSTフレームに対して、診断したい宛先のMIPまでのホップ数をTTL値として設定して送信し、受信側の宛先MIPではTTL expireしたTSTフレーム数をカウントし、外部装置等で送受信数の差分を確認する。これにより、送信元MEPから宛先MIPへの方向におけるTSTフレーム送信レートでの導通を確認できる。この確認は、送受信数を提示(表示等の出力)するものであっても良いし、送受信数について、所定の計算を行い、導通状態を算出して提示するものであっても良い。また、MEPと任意のMIP間の片方向の導通を確認できる特徴を利用することにより、方向を含めた故障箇所特定を実現可能である。このように標準に準拠した上で、よりきめ細かな監視が可能となる。なお、送信数、TTL Expireした診断フレームおよび受信数の出力先は、外部装置ではなく、通信装置1〜4のいずれかであっても良い。その場合、それらの数に基づいて、差分を確認することにより、送信元MEPから宛先となる入力側/出力側MIPとの間でMEPからMIPへの方向におけるTSTフレーム送信レートでの導通を確認するのは、それらの数を受信した装置となる。
<第2の実施の形態>
本発明の他の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0098】
第1の実施の形態では、MIPがノードごとに設定(正確には、入力ラインカード側のみで動作)されている構成を前提としていた。この第2の実施の形態では、MIPがインタフェースごとに設定(入力側および出力側ラインカードに設定)される構成における本発明について説明する。これにより、監視区間をより細かく設定可能となる。
<構成の説明>
図10は、第1の実施の形態におけるTST機能を実行する診断ネットワークならびに監視区間の一例を示す図である。
【0099】
本形態は図10に示すように、図2に示した第1の実施の形態と比較して、中継の通信装置6,7におけるMIPが入力ラインカード、出力ラインカードにそれぞれMIP#11,12,13,14と設定されている。また、図10では、本発明のMEPからMIPへのTST機能は、MEP#10を送信元とし、それぞれのMIPを宛先とするTST#10−1,#10−2,#10−3,#10−4と、MEP#15を送信元とし、それぞれのMIPを宛先とするTST#10−8,#10−7,#10−6,#10−5が実行される。なお、TST#10−1,2はMEP#10から1つのTSTフレームとして送信される(TST#10−3,4も同様である)。また、同様に、TST#10−5,6は、MEP#15から1つのTSTフレームとして送信される(TST#10−7,8も同様である)。
【0100】
図11は、図10に示した通信装置5の内部構成の一例を示す図である。なお、図10に示した通信装置6〜8の内部構成についても、図11に示すものと同じである。
【0101】
図10に示した通信装置5には図11に示すように、図3に示した通信装置1と比較して、入力ラインカード110はTTL処理部13がTTL処理部113となり、出力ラインカード111にはTTL識別部114が追加されている。
【0102】
TTL処理部113は、図3に示したTTL処理部13と比較して、TTL=0のOAMフレームへの扱いが異なる。TTL処理部13は、TTL=0のOAMフレームはOAM処理部15へ転送するが、TTL処理部113は、OAM処理部15へ転送すると共に、フレーム転送部14へも転送する。その他のTTL処理部113の動作は、TTL処理部13の動作と同様である。
【0103】
TTL識別部114は、スイッチファブリック20から受信するフレームのTTL値を読み出し、TTL=0であれば、TSTフレームか否かを判定し、TSTフレーム数をカウントし、受信したTSTフレームを廃棄する。また、TTL識別部114は、TTLが「0」ではないフレームを、フレーム送受信部11へ転送する。
<動作の説明>
以下、図11に示したTTL処理部113およびTTL識別部114における処理について説明する。ここでは、図10に示した形態、図11に示した装置構成図ならびにフローチャートを用いて、図10におけるTST#10−4(通信装置5のMEP#10から通信装置6のMIP#11,12、通信装置7の入力ラインカードのMIP#13を経由して、出力ラインカードのMIP#14へのTST実施)の送信処理、中継処理、受信処理の動作について、第1の実施の形態における処理との差分を中心に説明する。
【0104】
図12は、図11に示したTTL処理部113における処理を説明するためのフローチャートである。
(e)TSTフレーム送信動作(通信装置5のMEP#10)
TSTフレームの送信動作は第1の実施の形態における送信動作と同様であり、通信装置5(MEP#10)のOAM処理部15は、図5を用いて説明した動作フローにしたがい、TSTフレームを送信する。ステップ52で設定するTTL値は、宛先のMIP#14がある通信装置7へのホップ数である「2」を指定する(TTL値は入力ラインカード側のみで減算されるため、出力ラインカードにMIPがある場合でも宛先装置までのTTL値は変わらない)。
(f)TSTフレーム中継動作(通信装置6)
TSTフレームの中継動作も第1の実施の形態における送信動作と同様である。ここでは、TSTフレームのTTL値が「1」に減算され、通信装置7へ転送される。
(g)TSTフレーム受信動作(通信装置7の入力ラインカードのMIP#13、出力ラインカードのMIP#14)
通信装置7の入力ラインカード110(MIP#13)では、TTL処理部113の動作が第1の実施の形態における受信動作と異なる。
【0105】
TTL処理部113は、ステップ71において、ラベル識別部12からフレームを受信すると、ステップ72において、受信フレームのTTL値を減算する。受信フレームのTTL値は「1」であるため、新たなTTL値は「0」となる。
【0106】
ステップ73の条件分岐において、当該フレームのTTL値が「0」であり、TTL expireしているため、TTL処理部113は、ステップ75の処理を行う。
【0107】
ステップ75において、TTL処理部113は、TTL expireしたフレームの中で、GALラベルの有無、ACHヘッダ、OAM PDUの情報からTSTフレームである場合に、その数をカウントする。
【0108】
その後、ステップ76の条件分岐において、TTL expireしたフレームがOAMフレームの場合、TTL処理部113は、ステップ128の処理に進む。
【0109】
一方、ステップ76の条件分岐において、TTL expireしたフレームがOAMフレームでない場合、TTL処理部113は、ステップ77において、フレームを廃棄する。ここでは、当該フレームがTSTフレームであり、OAMフレームであるため、TTL処理部113は、ステップ128の処理を行う。
【0110】
ステップ128において、TTL処理部113は、TTL expireしたOAMフレームをOAM処理部15ならびにフレーム転送部14へ転送する。
【0111】
ここで、フレーム転送部14にも転送することが、第1の実施の形態のTTL処理部13との差分である。なお、このTSTフレームに関しては、OAM処理部15で必要な処理はないため、TTL処理部113は、転送する必要はなく、フレーム転送部14へのみ転送すればよい。
【0112】
TTL処理部113は、ステップ79において、指定された(例えば、TST開始時に指定された)終了時刻を経過、外部出力IFからTST終了指示を受信など、TST終了のトリガを受けると、TTL expireしたTSTフレームのカウントを終了する。
【0113】
そして、TTL処理部113は、カウント数を外部出力IF、オペレーションシステム、メモリ等の外部装置へ出力する。この出力結果は、入力ラインカードのMIP#13までのTSTの結果となる。
【0114】
続いて、第2の実施の形態で新たに追加された出力ラインカード111のTTL識別部114のTSTフレーム受信処理について、説明する。
【0115】
図13は、図11に示したTTL識別部114における処理を説明するためのフローチャートである。
【0116】
TTL識別部114は、ステップ131において、スイッチファブリック20からフレームを受信すると、ステップ132において、受信したフレームのTTL値が「0」であるかどうかを判定する。
【0117】
TTL値が「0」ではない場合、ステップ133において、TTL識別部114は、当該フレームをフレーム送受信部11へ転送する。
【0118】
一方、TTL値が「0」である場合、ステップ134において、TTL識別部114は、TTL=0のフレームの中で、GALラベルの有無、ACHヘッダ、OAM PDUの情報から、TSTフレームである場合に、その数をカウントする。
【0119】
その後、ステップ135において、TTL識別部114は、受信したTTL=0のフレームを廃棄する。
【0120】
すると、ステップ136において、TTL識別部114は、指定された(例えば、TST開始時に指定された)終了時刻を経過、外部出力IFからTST終了指示を受信など、TST終了のトリガを受けると、TTL=0のTSTフレームのカウントを終了する。そして、TTL識別部114は、そのカウント数を確認済みフレーム数として外部出力IF、オペレーションシステム、メモリ等へ出力する。この出力結果は、出力ラインカード111のMIP#14までのTSTの結果となる。
【0121】
ステップ79におけるカウント結果およびステップ136におけるカウント結果と、送信TSTフレーム数とを比較することにより、送信元MEP#10から宛先のMIP#13またはMIP#14までの導通を確認可能である。
【0122】
このように、本実施の形態では、送信動作としては、送信元MEPにて、標準準拠のTSTフレームにおいて、TTL値を宛先MIPまでのホップ数に設定して送信する。受信動作としては、入力ラインカードにおいてTTL expireしたTSTフレームを終端すると共に出力ラインカードへ転送する。入力ラインカードおよび出力ラインカードにおいてTTL=0のTSTフレーム数をカウントすることにより、MEPから入力ラインカード側と出力ラインカード側との双方のMIPに対してTSTを実施可能である。なお、上述したように、送信するTSTフレームは標準に従っており、MIPにおける処理も標準で規定されない動作は行なっておらず、標準に準拠した条件下で実現可能である。
【0123】
以下、本発明のTST機能を用いた監視区間の診断機能の具体例を説明する。ここでは、第1の実施の形態で説明した(2)片方向での故障箇所確認について説明する。
【0124】
図14は、図10に示したネットワークにおいて、通信装置6−7間に片方向障害があった場合の故障箇所特定の様子の一例を示す図である。(イ)〜(ニ)で故障箇所が下記のように異なっている。
(イ)通信装置6のスイッチファブリックで故障
(ロ)通信装置6の出力側ラインカードで故障
(ハ)通信装置6−7間のリンクで故障
(ニ)通信装置7の入力ラインカードで故障
(イ)、(ロ)において、送信元である通信装置5のMEP#10から、TTL=1、TTL=2のTSTフレームを送信すると、通信装置6の入力ラインカード(MIP#11)ではTTL=0のTSTフレームを受信するのに対して、通信装置6の出力ラインカード(MIP#12)と通信装置7の入力ラインカード(MIP#13)、出力ラインカード(MIP#14)ではTTL=0のTSTフレームを受信しない。この結果から、この例においては、通信装置6のスイッチファブリック20または出力ラインカード111で故障があることが分かる。
【0125】
(ハ)、(ニ)において、送信元である通信装置5のMEP#10からTTL=1、TTL=2のTSTフレームを送信すると、通信装置6の入力ラインカード(MIP#11)と出力ラインカード(MIP#12)ではTTL=0のTSTフレームを受信するのに対して、通信装置7の入力ラインカード(MIP#13)、出力ラインカード(MIP#14)ではTTL=0のTSTフレームを受信しない。この診断結果から、ここでは通信装置6−7間のリンクまたは通信装置7の入力ラインカード110で故障があることが分かる。
【0126】
(ハ)、(ニ)の故障において、第1の実施の形態では、通信装置6の出力ラインカードのMIP#12でTTL=0フレームを受信していることは分からない。そのため、通信装置6のスイッチファブリック20と出力ラインカード111とで故障がないことを特定することができない。一方、第2の実施の形態では、出力ラインカードにMIPを配置し、TTL=0フレーム受信判定を可能にしたため、故障箇所をより狭い範囲で特定可能になっている。
<効果>
以上のように、第2の実施の形態では、入力側と出力側とに個別にMIPを配置し、標準のTSTフレームに対して、送信元MEPにて、診断したい宛先装置までのホップ数をTTL値として設定して送信する。受信側の入力ラインカードのMIPではTTL expireしたTSTフレーム数をカウントすると共に出力ラインカードへ転送し、出力ラインカードのMIPではTTL=0のTSTフレームをカウントする。その結果、外部装置等が送受信数の差分を確認することにより、送信元MEPから宛先となる入力側/出力側MIPとの間でMEPからMIPへの方向におけるTSTフレーム送信レートでの導通を確認できる。この確認は、送受信数を提示(表示等の出力)するものであっても良いし、送受信数について、所定の計算を行い、導通状態を算出して提示するものであっても良い。また、MEPと任意のMIP間の片方向の導通を確認できる特徴を利用することにより、方向を含めた故障箇所特定を実現可能である。このように標準に準拠した上で、よりきめ細かい監視が可能となる。なお、送信数、TTL Expireした診断フレームおよび受信数の出力先は、外部装置ではなく、通信装置6〜8のいずれかであっても良い。その場合、それらの数に基づいて、差分を確認することにより、送信元MEPから宛先となる入力側/出力側MIPとの間でMEPからMIPへの方向におけるTSTフレーム送信レートでの導通を確認するのは、それらの数を受信した装置となる。
【0127】
なお、第1の実施の形態および第2の実施の形態においては、送信元ノードから送信された診断フレームの送信数は、送信元ノードのOAM処理部15がカウントして外部出力IFへ出力したが、他の方法でカウントして外部出力IFへ出力するものであっても良い。
【0128】
例えば、TSTフレームのOAM PDU44内に格納されているシーケンス番号(SN)を用いるものであっても良い。この場合、TST開始後に送信元ノードから最初に送信されるTSTフレームのSNにあらかじめ設定された値を設定(例えば、SNをTSTフレームに付与する機構の初期値を「0」として、最初に送信されるTSTフレームのSNに「1」を設定)して送信すれば、その後に送信されるTSTフレームに格納されたSNを受信側の中継ノードで参照することで、SNに基づいてその送信数を受信側で確認することができる。そして、受信側で確認した送信数を外部出力IFへ出力するものであっても良い。このあらかじめ設定された値は、受信側で事前に認識済みの値であることは言うまでもない。
【0129】
また、上述した通信装置1〜8、入力ラインカード10,110、出力ラインカード30,111(以下、装置と称する)それぞれに設けられた各構成要素が行う処理は、目的に応じてそれぞれ作製された論理回路で行うようにしても良い。また、処理内容を手順として記述したコンピュータプログラム(以下、プログラムと称する)を装置それぞれにて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを装置それぞれに読み込ませ、実行するものであっても良い。装置それぞれにて読取可能な記録媒体とは、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、DVD、CDなどの移設可能な記録媒体の他、装置それぞれに内蔵されたROM、RAM等のメモリやHDD等を指す。この記録媒体に記録されたプログラムは、装置それぞれに設けられたCPU(不図示)にて読み込まれ、CPUの制御によって、上述したものと同様の処理が行われる。ここで、CPUは、プログラムが記録された記録媒体から読み込まれたプログラムを実行するコンピュータとして動作するものである。
【0130】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0131】
この出願は、2011年9月20日に出願された日本出願特願2011−204592を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
図1
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