【実施例】
【0063】
次に、上述した実施形態のダクト10に用いる樹脂材料についての、上述した性質劣化の検証試験としての実施例および比較例について、具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0064】
まず、実施例として用いた、発泡用ポリプロピレン系樹脂、希釈用の他のポリプロピレン系樹脂、および改質材としてのポリエチレン系エラストマー、さらに、比較例として用いた他の改質材としてのポリプロピレン系エラストマー、ポリエチレン系樹脂、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーは以下の通りである。
【0065】
<発泡用ポリプロピレン系樹脂>
PP1:プロピレン単独重合体(ボレアリス社(Borealis AG)製、商品名「Daploy WB140」)
【0066】
<希釈用の他のポリプロピレン系樹脂>
PP2:ブロックポリプロピレンA(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ノバテックBC8」)
PP3:ブロックポリプロピレンB(日本ポリプロ株式会社製、商品名「FTS3000」)
PP4:ブロックポリプロピレンC(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ニューフォーマーFB3312」)
PP5:ブロックポリプロピレンD(住友化学株式会社製、商品名「ノーブレンAH561」)
PP6:ブロックポリプロピレンE(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ノバテックEC9」)
PP7:ブロックポリプロピレンF(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ノバテックEA9FT」)
PP8:ブロックポリプロピレンG(湖南石油化学株式会社製、商品名「J320」)
【0067】
<改質材としてのポリエチレン系エラストマー>
TPE1:エチレンα−オレフィン共重合体(三井化学株式会社製、商品名「タフマーA0550S」)
TPE2:エチレンα−オレフィン共重合体(三井化学株式会社製、商品名「タフマーA−4050S」)
TPE3:エチレンα−オレフィン共重合体(三井化学株式会社製、商品名「タフマーA−4085S」)
TPE4:エチレンα−オレフィン共重合体(ダウケミカル社製、商品名「エンゲージ8180」)
【0068】
<他の改質材>
TPE5:ポリプロピレン系エラストマー(三井化学株式会社製、商品名「タフマー XM−7070」)
TPE6:直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)(住友化学工業株式会社製、商品名「エクセレンFX201」)
TPE7:スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「タフテックH1053」)
【0069】
また、これらの樹脂の、MT(メルトテンション)(mN)、MFR(メルトフローレイト)(g/10分)、MT×MFR(mN・g/10分)、密度(g/cm
3)を表1に示す。
【0070】
なお、PP1〜PP8について、メルトテンション(MT)は、メルトテンションテスター(株式会社東洋精機製作所製)を用い、余熱温度230℃、押出速度5.7mm/分で、直径2.095mm、長さ8mmのオリフィスからストランドを押し出し、このストランドを直径50mmのローラに巻き取り速度100rpmで巻き取ったときの張力を示すものである。
また、TPE1〜TPE7については、余熱温度210℃の場合の値を示す。
【0071】
また、PP1〜PP8について、メルトフローレイト(MFR)は、JIS K−7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定を行った値である。
また、TPE1〜TPE7について、MFRは、JIS K−6922−1に準じて試験温度190℃、試験荷重2.16kgにて測定を行った値である。
【0072】
また、密度は、常温(23℃)で測定した値である。
【0073】
【表1】
【0074】
<実施例1>
PP1のバージン樹脂を75wt%、PP2のバージン樹脂を20wt%、TPE1のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
そして、このバージン樹脂のみによる基材樹脂を溶融状態として所定の押出機から、次に示す条件で押し出し、固化させることで、熱履歴が1回のサンプル(試験片)を得た。具体的には、押出機内のスクリューの回転数を60rpmとし、押出口の形状を、25mm×1mmのスリット形状とする。そして、押出量が約20kg/hの範囲内になるように、押出装置内の温度を約220〜230℃に調整して、押出口から樹脂を押し出す。押し出されたシート状の樹脂は、金属の板で挟んで冷却固化する。
【0075】
こうして熱履歴が1回のサンプルを得た後、バージン樹脂を追加せず、固化した樹脂材料の全てを粉砕して回収樹脂材料として、この回収樹脂材料のみを溶融状態として25mm押出機から押し出し、固化させることで、熱履歴が2回のサンプルを得る。この熱履歴が2回のサンプルを得た後、バージン樹脂を追加せず、固化した熱履歴2回のサンプルの全てを粉砕して回収樹脂材料として、この回収樹脂材料のみを溶融状態として25mm押出機から押し出し、固化させ、熱履歴が3回のサンプルを得た。
【0076】
<実施例2>
PP1のバージン樹脂を50wt%、PP2のバージン樹脂を45wt%、TPE1のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
【0077】
<実施例3>
PP1のバージン樹脂を20wt%、PP2のバージン樹脂を75wt%、TPE1のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
【0078】
<実施例4>
PP2のバージン樹脂を95wt%、TPE1のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
【0079】
<実施例5>
PP1のバージン樹脂を77.4wt%、PP2のバージン樹脂を20.6wt%、TPE1のバージン樹脂を2wt%、混合して、基材樹脂とした。
その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
【0080】
<実施例6>
PP1のバージン樹脂を67.5wt%、PP2のバージン樹脂を22.5wt%、TPE1のバージン樹脂を10wt%、混合して、基材樹脂とした。
その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
【0081】
<実施例7>
PP1のバージン樹脂を60wt%、PP2のバージン樹脂を20wt%、TPE1のバージン樹脂を20wt%、混合して、基材樹脂とした。
その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
【0082】
<実施例8>
PP1のバージン樹脂を75wt%、PP3のバージン樹脂を20wt%、TPE1のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
【0083】
<実施例9>
PP1のバージン樹脂を75wt%、PP4のバージン樹脂を20wt%、TPE1のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
【0084】
<実施例10>
PP1のバージン樹脂を75wt%、PP5のバージン樹脂を20wt%、TPE1のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
【0085】
<実施例11>
PP1のバージン樹脂を75wt%、PP6のバージン樹脂を20wt%、TPE1のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
【0086】
<実施例12>
PP1のバージン樹脂を75wt%、PP7のバージン樹脂を20wt%、TPE1のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
【0087】
<実施例13>
PP1のバージン樹脂を75wt%、PP8のバージン樹脂を20wt%、TPE1のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
【0088】
<実施例14>
PP1のバージン樹脂を75wt%、PP2のバージン樹脂を20wt%、TPE2のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
【0089】
<実施例15>
PP1のバージン樹脂を75wt%、PP2のバージン樹脂を20wt%、TPE3のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
【0090】
<実施例16>
PP1のバージン樹脂を75wt%、PP2のバージン樹脂を20wt%、TPE4のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
【0091】
<比較例1>
PP1のバージン樹脂を80wt%、PP2のバージン樹脂を20wt%、混合して、基材樹脂とした。
その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
【0092】
<比較例2>
PP1のバージン樹脂を75wt%、PP2のバージン樹脂を20wt%、TPE5のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
【0093】
<比較例3>
PP1のバージン樹脂を75wt%、PP2のバージン樹脂を20wt%、TPE6のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
【0094】
<比較例4>
PP1のバージン樹脂を75wt%、PP2のバージン樹脂を20wt%、TPE7のバージン樹脂を5wt%、混合して、基材樹脂とした。
その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
【0095】
<比較例5>
PP1のバージン樹脂を67.5wt%、PP2のバージン樹脂を22.5wt%、TPE7のバージン樹脂を10wt%、混合して、基材樹脂とした。
その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
【0096】
<比較例6>
PP1のバージン樹脂を60wt%、PP2のバージン樹脂を20wt%、TPE7のバージン樹脂を20wt%、混合して、基材樹脂とした。
その後の工程は、実施例1と同様の方法により、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルを得た。
【0097】
実施例1〜16および比較例1〜6で得られた熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルそれぞれの物性を以下のように評価した。
【0098】
MTは、メルトテンションテスター(株式会社東洋精機製作所製)を用い、余熱温度230℃、押出速度5.7mm/分で、直径2.095mm、長さ8mmのオリフィスからストランドを押し出し、このストランドを直径50mmのローラに巻き取り速度100rpmで巻き取ったときの張力を示すものである。
【0099】
MFRは、JIS K−7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定を行った値である。
【0100】
劣化度は、(熱履歴が3回のサンプルにおけるMT×MFR)/(熱履歴が1回のサンプルにおけるMT×MFR)である。
【0101】
アイゾット衝撃強度は、サンプルの壁部を切り出し、−30℃で保管後に、80×10(長さmm×幅mm)の試験片として切り出し、厚さが4mmとなるように切り出した試験片を重ねてこれを用いてJIS K−7110(ノッチ付き)に準じて測定したものである。
【0102】
アイゾット変位は、(熱履歴が3回のサンプルにおけるアイゾット衝撃強度)/(熱履歴が1回のサンプルにおけるアイゾット衝撃強度)である。
【0103】
実施例1〜16および比較例1〜6について、PP1〜PP8、TPE1〜TPE7の基材樹脂中における配合比率と、熱履歴が1回のサンプル、および熱履歴が3回のサンプルそれぞれについて上述のように評価したMT、MFR、MT×MFR、劣化度、アイゾット衝撃強度(IZOD)、およびアイゾット変位(IZOD変位)を表2に示す。
【0104】
【表2】
【0105】
実施例1〜16のサンプルでは、基材樹脂として、ポリプロピレン系樹脂に、ポリエチレン系エラストマーによる改質材を混合させた混合樹脂を用いている。
また、比較例1のサンプルでは、基材樹脂として、ポリプロピレン系樹脂のみを用い、改質材を用いない材料組成としている。
【0106】
実施例1〜16のサンプルでは、基材樹脂を上述の材料組成である混合樹脂とすることにより、アイゾット衝撃強度が比較例1のサンプルにおける1.4kJ/m
2よりも大きくなった。このように、改質材を混合させない材料組成の場合と比較して、アイゾット衝撃強度が劣化しない結果となった。
【0107】
さらに、実施例1〜16のサンプルでは、MT×MFRについても、(熱履歴が3回の試験片におけるMT×MFR)/(熱履歴が1回の試験片におけるMT×MFR)≧0.4となった。このように、熱履歴が3回の試験片についても、熱履歴が1回の試験片と比較して、MT×MFRの低下を抑制できる結果となった。
【0108】
このように、実施例1〜16のサンプルでは、熱履歴を多く加えた場合であっても、改質材を混合させない材料組成の場合と比較してアイゾット衝撃強度を劣化させず、MT×MFRの低下も抑制できる結果となった。
【0109】
発泡成形品をブロー成形により大量生産する場合には、上述のように、一度溶融状態とされた後で固化した樹脂材料における完成品以外の部分を粉砕して回収樹脂材料とし、この回収樹脂材料にバージン樹脂を混合して再度ブロー成形を行う製造プロセスを繰り返すこととなる。このため、実施例1〜16のサンプルにおける樹脂材料では、特にこうした大量生産の場合にも、低コストで安定した高品質の発泡成形品を製造できると共に、高い耐衝撃性を期待できる結果となった。
【0110】
この実施例1〜16のサンプルの内、特に実施例1〜4、6、8〜16のサンプルでは、改質材としてのポリエチレン系エラストマーの配合比率を、重量比で混合樹脂の3〜15%としている。
【0111】
このため、この実施例1〜4、6、8〜16のサンプルでは、熱履歴が3回の試験片におけるアイゾット衝撃強度が、熱履歴が1回の試験片におけるアイゾット衝撃強度よりも低下しない結果となった。
【0112】
なお、実施例5、7のサンプルでは、熱履歴が3回の試験片におけるアイゾット衝撃強度が、熱履歴が1回の試験片におけるアイゾット衝撃強度よりも低下した結果となっている。このため、表2中、総合評価を“C”として示す。
【0113】
また、上記の実施例1〜4、6、8〜16のサンプルの内、特に実施例14、15のサンプルでは、改質材としてのポリエチレン系エラストマーとして、190℃におけるMFRが3以上のものを用いている。
【0114】
このため、実施例14、15のサンプルでは、下記の3つの条件全てを満足する結果となっている。
(1) 熱履歴が3回の試験片におけるアイゾット衝撃強度が、熱履歴が1回の試験片におけるアイゾット衝撃強度よりも高くなる。
(2) 熱履歴を3回とした試験片におけるアイゾット衝撃強度が4.0kJ/m
2以上である。
(3) 熱履歴を3回とした試験片におけるMT×MFRが160mN・g/10分以上である。
【0115】
上記(1)のように、熱履歴が3回の試験片におけるアイゾット衝撃強度が、熱履歴が1回の試験片におけるアイゾット衝撃強度よりも高いため、回収樹脂材料を基材樹脂中に含めて用いて発泡成形品を大量生産する場合であっても、十分に高い耐衝撃性を期待できる結果となった。
【0116】
また、上記(2)のように、熱履歴を3回とした試験片におけるアイゾット衝撃強度が4.0kJ/m
2以上であるため、低温時にも十分な耐衝撃性を有する発泡成形品の大量生産を実現できるものとなった。また、発泡倍率を高めた場合でも低温時の耐衝撃性が十分に確保されているため、軽量で、かつ低温時の耐衝撃性にも優れた発泡成形品の大量生産を実現できるものとなった。
【0117】
また、上記(3)のように、熱履歴を3回とした試験片におけるMT×MFRが160mN・g/10分以上であるため、回収樹脂材料を基材樹脂中に含めて用いても成形性が劣化し過ぎることがない結果となった。このため、溶融状態の樹脂材料を発泡させて押し出す際にも、気泡セルが破泡して発泡倍率が下がりすぎてしまうこともなく、高い発泡倍率の発泡成形品を大量生産できるものとなった。
このため、金型表面の凹凸が大きい場合であっても、その凹凸形状に賦形しやすくなるため、より複雑な凹凸形状の発泡成形品であっても、ピンホールができてしまうことなく高品質な成形が期待できる結果となった。
【0118】
また、溶融状態の樹脂材料を押し出した際にも、ドローダウンの発生を抑制できるため、安定した大量生産を実現できるものとなった。
【0119】
なお、実施例1〜4、6、8〜13、16のサンプルでは、上記(1)〜(3)の条件全てを同時に満足する結果とはならなかった。このため、表2中、総合評価を“B”として示す。
また、上記の実施例14、15のサンプルについては、表2中、総合評価を“A”として示す。
【0120】
さらに、上記の実施例14、15のサンプルの内、特に実施例14のサンプルでは、改質材としてのポリエチレン系エラストマーとして、密度が0.87g/cm
3未満のTPE2を用いている。
【0121】
このため、実施例14のサンプルでは、上記(1)〜(3)の条件全てを満足すると共に、さらに下記の条件を満足する結果となっている。
(4) 熱履歴を3回とした試験片におけるアイゾット衝撃強度が4.5kJ/m
2以上である。
【0122】
このため、低温時の耐衝撃性にさらに優れた発泡成形品を大量生産できるものとなった。
【0123】
これに対して、比較例2〜6のサンプルでは、基材樹脂として、ポリプロピレン系樹脂に、ポリエチレン系エラストマーではない他の改質材を混合させた混合樹脂を用いている。
【0124】
基材樹脂にこうした材料組成の混合樹脂を用いることにより、比較例2〜4のサンプルでは、改質材を混合させない比較例1のサンプルと比較して、(熱履歴が3回の試験片におけるMT×MFR)/(熱履歴が1回の試験片におけるMT×MFR)の劣化度が、かえって悪化した結果となった。
【0125】
また、比較例5、6のサンプルでは、(熱履歴が3回の試験片におけるMT×MFR)/(熱履歴が1回の試験片におけるMT×MFR)が0.4を下回る結果となった。
【0126】
以上のように、比較例2〜6のサンプルでは、改質材を混合させることで、何れも結果が悪化したものとなった。
また、比較例1のサンプルのように改質材を混合させない材料組成とした場合、アイゾット衝撃強度は、改質材を用いた実施例1〜16および比較例2〜6のサンプルの何れよりも低い結果となっている。
このため、比較例1〜6については、表2中、総合評価を“D”として示す。
【0127】
なお、本発明は、車両用軽量空調ダクトに限らず、例えば、自動車用、航空機用、車両・船舶用、建材用、各種電気機器のハウジング用、スポーツ・レジャー用の構造部材等にも用いることができる。また、カーゴフロアボード、デッキボード、リアパーセルシェルフ、ルーフパネル、ドアトリム等の内装パネル、ドアインナーパネル、プラットフォーム、ハードトップ、サンルーフ、ボンネット、バンパー、フロアスペーサー、ディビアパッド等の自動車の構造部材として用いると、自動車の軽量化が測れるので、燃費を向上させることができる。