(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
左右のうち他方の前記スカートガードに設置され、設置点を中心として予め定められた水平角以内の第2の検出範囲にレーザ光を放射することで当該第2の検出範囲内の物体を検出するための第2の検出手段を備え、
前記検知制御手段は、前記第1の検出手段の検出結果及び前記第2の検出手段の検出結果に基づいて、乗降口付近における利用者の転倒及び滞留並びに乗降口への利用者の接近を検知することを特徴とする請求項1に記載の乗客コンベアの人検知装置。
前記情報統合部は、前記第1の検出範囲及び前記第2の検出範囲を共通の座標系で設定された複数の格子に分割し、前記第1の検出手段の検出結果及び前記第2の検出手段の検出結果に基づいて物体の反応があった位置の前記格子に投票していき、前記複数の格子への投票値に基づいて前記第1の検出手段の検出結果及び前記第2の検出手段の検出結果を統合することを特徴とする請求項9から請求項12のいずれか一項に記載の乗客コンベアの人検知装置。
前記情報統合部は、前記第1の検出範囲及び前記第2の検出範囲を共通の座標系で設定された複数の格子に分割し、前記第1の検出手段の検出結果及び前記第2の検出手段の検出結果に基づいて物体の反応があった位置の前記格子と当該格子に隣接する格子とに投票していき、前記複数の格子への投票値に基づいて前記第1の検出手段の検出結果及び前記第2の検出手段の検出結果を統合することを特徴とする請求項9から請求項12のいずれか一項に記載の乗客コンベアの人検知装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明を添付の図面に従い説明する。各図を通じて同符号は同一部分又は相当部分を示しており、その重複説明は適宜に簡略化又は省略する。
【0013】
実施の形態1.
図1から
図13は、この発明の実施の形態1に係るもので、
図1は人検知装置を備えた乗客コンベアの乗降口を示す斜視図、
図2は人検知装置を備えた乗客コンベアの乗降口を模式的に示す平面図、
図3は乗客コンベアの人検知装置が備えるセンサユニットの構成を模式的に示す断面図、
図4は乗客コンベアの人検知装置が備える第1のセンサユニットの走査範囲を説明する図、
図5は乗客コンベアの人検知装置が備える第2のセンサユニットの走査範囲を説明する図、
図6は乗客コンベアの人検知装置が備えるレーザ透過窓のレーザ透過特性を説明する図、
図7は乗客コンベアの人検知装置が備える検知制御装置の構成を示すブロック図、
図8は乗客コンベアの人検知装置の情報統合処理の第1の例を説明する図、
図9は乗客コンベアの人検知装置の情報統合処理の第2の例を説明する図、
図10は乗客コンベアの人検知装置の情報統合処理の第3の例を説明する図、
図11から
図13は乗客コンベアの人検知装置が備える第1のセンサユニットの他の設置例を説明する図である。
【0014】
図1において、乗客コンベア10は、上下階間にわたって設置されるエスカレータである。乗客コンベア10本体の内部では、利用者が搭乗する複数の踏段11が図示しない踏段チェーンによって無端状に連結されて循環移動している。
【0015】
これら複数の踏段11の左右両側に沿ってスカートガード12が設けられている。左右のスカートガード12は、乗客コンベア10の一方の乗降口である乗り口から、他方の乗降口である降り口にわたって配置される。ここでは、乗客コンベア10は下降運転しているとする。すなわち、循環移動の経路における上側の踏段11は上階側から下階側へと移動している。そして、乗客コンベア10の上階側が乗り口で下階側が降り口である。
図1は、この乗客コンベア10の下階側の乗降口(降り口)の様子を示している。
【0016】
左右のスカートガード12の上側には、それぞれ欄干パネル14が立設されている。これら欄干パネル14の外周には踏段11と同期して循環移動する無端状の移動手摺15が設けられている。乗客コンベア10の乗り口及び降り口(乗降口)には、乗降用床板16がそれぞれ設置されている。利用者は、この乗降用床板16から踏段11に乗り込んだり、踏段11から乗降用床板16へと降りたりする。
【0017】
それぞれの乗降用床板16は、踏段11の移動経路における反転位置の際(きわ)に配置される。そして、それぞれの乗降用床板16の踏段11側には、くし板17が取り付けられている。くし板17は、各踏段11の表面に形成された図示しないクリート(溝)と緩く係合するくし歯を備える。
【0018】
左右のスカートガード12の乗り口側及び降り口側のそれぞれの端部には、エンドキャップ13が形成されている。これらのエンドキャップ13は、踏段11の左右両端の延長線に沿った第1の端面13aと、踏段11の左右両端の延長線に対し一定の角度をなして配置される第2の端面13bとを少なくとも有する。踏段11の左右両端の延長線と第2の端面13b(の延長線)とがなす一定の角度は、鋭角、直角又は鈍角のいずれかである。ここでは、この一定の角度は直角であるとする。すなわち、ここでは、第2の端面13bは、踏段11の左右両端の延長線に対し垂直に配置されている。
【0019】
左右のうち一方のスカートガード12のエンドキャップ13における前記第1の端面13aと前記第2の端面13bとに挟まれる隅部には、第1のセンサユニット20a(第1の検出手段)が設置されている。第1のセンサユニット20aは、エンドキャップ13におけるスカートガード12の内部に収容されている。第1のセンサユニット20aは、詳しくは後述するように、レーザ光を利用して対象物までの距離を測定するレーザ走査型距離センサを備えている。
【0020】
そこで、第1のセンサユニット20aが収容されるエンドキャップ13には、第1のセンサユニット20aから放射されるレーザ光を通過させるためのレーザ透過窓29が設けられている。レーザ透過窓29は、エンドキャップ13の前記第1の端面13aから前記第2の端面13bにわたって設けられる。この際、レーザ透過窓29は利用者に影響がないようにこれらの面と面一となっている。
【0021】
左右のうち他方のスカートガード12、すなわち、第1のセンサユニット20aが設置されたものとは左右反対側のスカートガード12には、第2のセンサユニット20b(第2の検出手段)が設置されている。第2のセンサユニット20bは、スカートガード12における乗降用床板16のくし板17の近傍に配置される。第2のセンサユニット20bは、当該部位におけるスカートガード12の内部に収容されている。
【0022】
第2のセンサユニット20bも、第1のセンサユニット20aと同様、レーザ光を利用して対象物までの距離を測定するレーザ走査型距離センサを備えている。このため、第2のセンサユニット20bが収容されるスカートガード12の側面には、第2のセンサユニット20bから放射されるレーザ光を通過させるためのレーザ透過窓29が設けられている。このレーザ透過窓29は、利用者に影響がないようにスカートガード12の側面に面一な平面状となっている。
【0023】
次に、
図2を参照しながら、第1のセンサユニット20a及び第2のセンサユニット20bの検出範囲について説明する。前述したように、第1のセンサユニット20aは、左右のうち一方のスカートガード12のエンドキャップ13における前記第1の端面13aと前記第2の端面13bとに挟まれる隅部に配置されている。
【0024】
そして、この第1のセンサユニット20aは、設置点を中心として予め定められた水平角以内の第1の検出範囲30aにレーザ光を放射することで第1の検出範囲30a内の物体(検出対象物50)を検出するためのものである。第1の検出範囲30aは、
図2中に示される2本の太い破線で挟まれる範囲である。
【0025】
この
図2に示すように、第1の検出範囲30aは、第1のセンサユニット20aが設置されたエンドキャップ13の前記第1の端面13aに垂直な方向よりも踏段11側に広く、かつ、当該エンドキャップ13の前記第2の端面13bに垂直な方向よりも反踏段11側に広く設定される。
【0026】
また、第2のセンサユニット20bは、前述したように、左右のうち他方のスカートガード12における乗降用床板16のくし板17部近傍に設置される。そして、第2のセンサユニット20bは、設置点を中心として予め定められた水平角以内の第2の検出範囲30bにレーザ光を放射することで第2の検出範囲30b内の物体(検出対象物50)を検出するためのものである。第2の検出範囲30bは、
図2中に示される2本の太い一点鎖線で挟まれる範囲である。
【0027】
次に、
図3を参照しながら、第1のセンサユニット20a及び第2のセンサユニット20bの詳細な構成を説明する。スカートガード12(エンドキャップ13を含む)の側面(エンドキャップ13の場合は前記第1の端面及び前記第2の端面)には、第1のセンサユニット20a又は第2のセンサユニット20bから放射されるレーザ光を通過させるための開口部28が形成されている。この開口部28は、床面から8〜11cm(好ましくは約10cm)の高さの位置に、水平方向に長く延びて配置される。
【0028】
この開口部28の背面側には、当該開口部28を塞ぐように透明アクリル板や透明ガラス板等のレーザ光を通過させる材料からなるレーザ透過窓29が取り付けられている。なお、乗降用床板16のくし板17近傍のスカートガード12に透明アクリル板や透明ガラス板等からなる注意標識窓が設けられ、スカートガード12の内部から着色された注意標識を出すことにより、利用者に対し乗降部であることを知らせる乗降部注意標識装置を備えた乗客コンベアの場合は、レーザ透過窓29を新規に設置せず、注意標識窓と兼用しても良い。
【0029】
レーザ透過窓29の背面側のスカートガード12内には、第1のセンサユニット20a又は第2のセンサユニット20bの筐体21が設置される。この筐体21は、レーザ透過窓29に対応する側の部分が開放されている。筐体21内には、レーザ走査型距離センサ22が収容されている。レーザ走査型距離センサ22はレーザ光の反射を利用して対象物までの距離を測定する。
【0030】
レーザ走査型距離センサ22の上端部のうち上半部は、レーザ透過窓29に向かって水平方向にレーザ光を放射する送信部23を構成している。また、レーザ走査型距離センサ22の上端部のうち下半部は、レーザ透過窓29を通して反射されてくるレーザ光を受信する受信部24を構成している。これらの送信部23及び受信部24は、鉛直軸を中心に水平に回転し、一定角度の範囲内で水平方向にレーザ光の光軸の向きを変化させることができる。
【0031】
なお、送信部23から放射されたレーザ光は、レーザ透過窓29を通過する際にその一部が反射される。そして、その反射光がスカートガード12の内部に放射されると、スカートガード12内は金属で構成されているために迷光する。この迷光が受信部24で受信されると誤検出に繋がる。そこで、レーザ走査型距離センサ22を、レーザ透過窓29に対応する部分を除き筐体21で覆うようにしている。また、さらに、送信部23から送信したレーザ光がスカートガード12内部の反射で受信部24に到達しないように、送信部23と受信部24の間を水平方向に仕切る水平仕切り板25を設けている。
【0032】
筐体21内の底部とレーザ走査型距離センサ22の底部との間には、複数個の防振ゲルブッシュ26が介装されている。各防振ゲルブッシュ26の中央部は、水平連結板27により互いに連結されている。そして、以上のように構成された第1のセンサユニット20a及び第2のセンサユニット20bは、ベース板(図示せず)を介して乗客コンベア10のトラス等の固定部(図示せず)に固定されている。
【0033】
次に、
図4から
図6を参照しながら、第1のセンサユニット20a及び第2のセンサユニット20bの走査範囲について説明する。
図4は、第1のセンサユニット20aとレーザ透過窓29とレーザ光の走査範囲の関係を模式的に示す図である。
図5は、同様に、第2のセンサユニット20bとレーザ透過窓29とレーザ光の走査範囲の関係を模式的に示す図である。
【0034】
ここで、
図6に示すように、レーザ透過窓29を通過する際にレーザ光の一部は反射される。入射角が大きくなるほど反射率が大きくなり透過率は小さくなっていく。そして、入射角が一定以上に大きくなると全反射が起きるため、レーザ光はレーザ透過窓29を通過することができなくなる。
【0035】
このような事情により、実用上必要なレーザ光の透過率を得るためには、レーザ透過窓29へのレーザ光の入射角は一定の範囲内に制限され、それよりも大きな入射角とすることはできなくなる。この角度は、用いるレーザ光やレーザ透過窓29の材料によっても多少異なるが、レーザ光が通過するレーザ透過窓29の面に垂直な方向に対して概ね±70度の範囲となる。すなわち、最も広い走査範囲となる場合、
図4及び
図5に示す角α及び角βが約70度となるということである。
【0036】
角α=角β=70度とすると、
図4に示す第1のセンサユニット20aについて最も広い走査範囲となる場合の水平角は、角α+角β+90度=230度程度となる。そして、この場合の走査範囲に対応して、
図2に示した第1のセンサユニット20aの第1の検出範囲30aが形成される。また、
図5に示す第2のセンサユニット20bについて最も広い走査範囲となる場合の水平角は、角α+角β=140度程度となる。そして、この場合の走査範囲に対応して、
図2に示した第2のセンサユニット20bの第2の検出範囲30bが形成される。
【0037】
このようにして、第1のセンサユニット20aをエンドキャップ13部の前記第1の端面と前記第2の端面とで挟まれる隅部に配置することで、第1のセンサユニット20aの第1の検出範囲30aは、第2のセンサユニット20bの第2の検出範囲30bより広くすることができる。そして、前述したように、第1のセンサユニット20aの第1の検出範囲30aを、前記第1の端面に垂直な方向よりも踏段11側に広く、かつ、前記第2の端面に垂直な方向よりも反踏段11側に広く設定することが可能である。
【0038】
なお、第1のセンサユニット20a及び第2のセンサユニット20bの、送信部23及び受信部24の回転により変化させることができるレーザ光の光軸の水平角の範囲は、前述した走査範囲以上となるように設定される。すなわち、第1のセンサユニット20aの送信部23及び受信部24は、レーザ光の光軸を水平方向に230度以上変化させることができる。また、第2のセンサユニット20bの送信部23及び受信部24は、レーザ光の光軸を水平方向に140度以上変化させることができる。
【0039】
また、レーザ透過窓29は、第1のセンサユニット20a及び第2のセンサユニット20bそれぞれの走査範囲以上にわたって配置されることは言うまでもない。
【0040】
なお、
図4に示すように第1のセンサユニット20aが設置されるエンドキャップ13の隅部は、平面視において滑らかな弧状を呈するように、前記第1の端面と前記第2の端面とが接続されて形成されている。そして、レーザ透過窓29も、この隅部の形状に合わせて円弧状に曲げられている。このように第1のセンサユニット20aからのレーザ光が通過するレーザ透過窓29を滑らかな形状とすることで、レーザ透過窓29を通過するレーザ光の向きが走査に応じて不連続に変化することを抑制することができる。
【0041】
第1のセンサユニット20a(第1の検出手段)及び第2のセンサユニット20b(第2の検出手段)の動作制御及びこれらの検出手段を用いた人検知処理は、検知制御装置40により行われる。検知制御装置40は、これらの検出手段の検出結果に基づいて、乗客コンベア10の乗降口(ここでは降り口。以下同じ)付近における利用者の転倒及び滞留並びに乗降口への利用者の接近を検知する検知制御手段である。
【0042】
図7は、この検知制御装置40の機能的な構成を示すブロック図である。検知制御装置40が備える走査制御部41は、第1のセンサユニット20a及び第2のセンサユニット20bそれぞれのレーザ光による走査を制御する。走査制御部41は、予め定められた第1の走査周期で第1のセンサユニット20aのレーザ光の走査を制御する。また、走査制御部41は、予め定められた第2の走査周期で第2のセンサユニット20bのレーザ光の走査を制御する。
【0043】
第1のセンサユニット20aによる検出結果及び第2のセンサユニット20bによる検出結果は、検知制御装置40が備える情報統合部42に入力される。情報統合部42は、入力された第1のセンサユニット20aの検出結果及び第2のセンサユニット20bの検出結果の統合を行う。
【0044】
この統合とは、第1のセンサユニット20a及び第2のセンサユニット20bという別々の検出手段それぞれによる検出結果を、あたかも1つの検出手段による検出結果であるかのように取り扱うことができるように整合的に一連の情報に統合する処理である。情報統合部42は、予め定められた処理周期で、第1のセンサユニット20aの検出結果及び第2のセンサユニット20bの検出結果の統合処理を実施する。
【0045】
情報統合部42により統合された情報は、検知制御装置40が備える物体検知部43に入力される。物体検知部43は、入力された情報統合部42により統合された情報に基づいて、第1の検出範囲30a及び第2の検出範囲30bに存在する物体(検出対象物50)を検知する。また、これらの検出範囲内に物体が検知された場合には、物体検知部43は当該検知された物体の位置についても検知する。
【0046】
検知制御装置40が備える足判定部44は、物体検知部43により物体が検知された場合、物体検知部43による検知結果に基づいて、当該物体が人(利用者)の足であるのか否かを判定する。
【0047】
そして、物体検知部43により検知された物体が人の足であると判定した場合には、その旨の情報と物体検知部43により検知された物体の位置すなわち人の足の位置に関する情報とを、判定結果として出力する。一方、物体検知部43により検知された物体が人の足でないと判定した場合には、物体検知部43により検知された物体の位置に関する情報を、そのまま判定結果として出力する。
【0048】
検知制御装置40は、足判定部44による判定結果に基づいて、各種の検知処理を行う3つの検知部、すなわち、転倒検知部45、滞留検知部46及び接近検知部47を備えている。
【0049】
転倒検知部45は、足判定部44による判定結果に基づいて、乗客コンベア10の乗降口付近における利用者の転倒を検知する。滞留検知部46は、足判定部44による判定結果に基づいて、乗客コンベア10の乗降口付近における利用者の滞留を検知する。そして、接近検知部47は、足判定部44による判定結果に基づいて、乗客コンベア10の乗降口への利用者の接近を検知する。
【0050】
なお、前述したように、足判定部44から出力される判定結果には、物体検知部43により検知された物体の位置に関する情報すなわち物体検知部43による検知結果が含まれている。足判定部44とは、転倒検知部45、滞留検知部46及び接近検知部47のそれぞれにおいて共通して行われることになる人の足の判定処理を行う機能を、1つに括り出したものに過ぎない。
【0051】
したがって、足判定部44を設けることなく、転倒検知部45、滞留検知部46及び接近検知部47は、物体検知部43による検知結果に基づいて、それぞれの検知処理を行うようにしてもよい。
【0052】
前述したように、走査制御部41は、第1のセンサユニット20a及び第2のセンサユニット20bの走査をそれぞれ第1の走査周期及び第2の走査周期で制御する。また、情報統合部42は、第1のセンサユニット20a及び第2のセンサユニット20bの検出結果の統合処理を、予め定められた処理周期で実施する。
【0053】
これらの第1の走査周期及び第2の走査周期並びに処理周期の設定については、次のようにいくつかの場合が考えられる。まず、各周期の関係の第1の場合は、第1の走査周期、第2の走査周期及び処理周期の3つの周期を全て同一の周期とする場合である。
【0054】
この第1の場合においては、走査制御部41は、第1のセンサユニット20aによる走査と第2のセンサユニット20bによる走査とを同期的に制御する。すなわち、第1のセンサユニット20aのレーザ光の光軸と第2のセンサユニット20bのレーザ光の光軸とが、左右の中央で交差するように制御する。このように同期的に走査させることで、2つのセンサユニットが同一の時点において同一の位置について物体の検出を行うことになる。
【0055】
したがって、別々のセンサユニットで検出された物体が同一であることを担保することに繋がり、情報統合部42における統合処理を、これらの走査周期と同一の処理周期で実施することで、あたかも1つのセンサユニットによる検出結果であるかのように取り扱うことができるように整合的に一連の情報に統合することができる。
【0056】
各周期の関係の第2の場合は、第1の走査周期と第2の走査周期とを同一の周期とし、情報統合部42における統合処理の処理周期を、これらの走査周期の2分の1とする場合である。この第2の場合においては、走査制御部41は、必ずしも、第1のセンサユニット20aによる走査と第2のセンサユニット20bによる走査とを同期的に制御しなくもよい。すなわち、第1のセンサユニット20aのレーザ光の光軸と第2のセンサユニット20bのレーザ光の光軸とが、左右の中央で交差しなくともよい。
【0057】
ただし、この場合には、2つのセンサユニットが同一の時点において同一の位置について物体の検出を行うことにならず、これらのセンサユニットで検出された物体が同一であることを担保できない。
【0058】
そこで、情報統合部42においては、第1のセンサユニット20a及び第2のセンサユニット20bを、走査周期が2分の1となった、換言すれば、時間分解能が2倍となった1つのセンサユニットであるとみなして統合処理を実施する。すなわち、情報統合部42における統合処理の処理周期を、第1のセンサユニット20a及び第2のセンサユニット20bの走査周期の2分の1の周期とする。
【0059】
各周期の関係の第3の場合は、第1の走査周期と第2の走査周期とを異なる周期とし、情報統合部42における統合処理の処理周期を、第1の走査周期及び第2の走査周期のうちの長い方以上の周期とする場合である。
【0060】
この第3の場合においては、第1のセンサユニット20aの走査周期(第1の走査周期)と第2のセンサユニット20bの走査周期(第2の走査周期)とは、それぞれ独立して別個に設定することができる。ただし、情報統合部42で統合処理を実施する処理周期を、第1の走査周期と第2の走査周期のうちで長い方の周期と同一かそれ以上に設定する。すなわち、第1のセンサユニット20a及び第2のセンサユニット20bのいずれにおいても1周期以上走査が行われたタイミングで、統合処理を実施する。
【0061】
次に、
図8から
図10を参照しながら、情報統合部42において実施する第1のセンサユニット20aの検出結果と第2のセンサユニット20bの検出結果との統合処理の具体的な例について説明する。まず、
図8は、情報統合部42における統合処理の第1の例を説明するものである。
【0062】
この第1の例においては、情報統合部42における処理に用いるため、事前に、第1の検出範囲30a及び第2の検出範囲30bを共通の座標系で設定された複数の格子(グリッド)に分割しておく。この格子の大きさは、第1のセンサユニット20a及び第2のセンサユニット20bの測定分解能(空間分解能)に合わせて設定される。具体的には、例えば数cm角程度のグリッドを予め用意する。
【0063】
そして、走査制御部41による制御の下で、第1のセンサユニット20a及び第2のセンサユニット20bがそれぞれ第1の走査周期及び第2の走査周期で、第1の検出範囲30a内及び第2の検出範囲30b内の検出対象物50までの距離を検出する。情報統合部42は、これらのセンサユニットの検出結果に基づいて、物体(検出対象物50)の反応があった位置の格子に投票していく。
【0064】
例えば、ある格子に対応する位置に第1のセンサユニット20aにより検出対象物50の反応が得られた場合、当該格子に対して例えば1票が投じられる。また、第2のセンサユニット20bにより検出対象物50の反応が得られた位置に対応する格子に対して例えば同じく1票が投じられる。この際、第2のセンサユニット20bにより検出対象物50の反応が得られた位置に対応する格子に対して、既に第1のセンサユニット20aの検出結果に基づいて1票が投じられていた場合には、当該格子への投票数の合計は2票となる。
【0065】
このようにして、それぞれの格子毎に投票された票数が積算されていく。この積算された票数を投票値と呼ぶ。そして、情報統合部42は、前述した処理周期でもって、全ての複数の格子への投票値に基づいて第1のセンサユニット20aの検出結果及び第2のセンサユニット20bの検出結果を統合する。
【0066】
なお、各センサユニットの検出結果による投票は、同期的であっても非同期的であってもよい。すなわち、第1のセンサユニット20aの第1の走査周期と第2のセンサユニット20bの第2の走査周期とは、同一であっても同一でなくともよい。したがって、この統合処理の第1の例においては、前述した各周期の関係のパターンのうち、第1の場合から第3の場合まで全ての場合を採用可能である。
【0067】
このように、一定の処理周期の間、共通の座標系において、各センサユニットにより検出された(反応があった)物体の位置に対応する格子への投票数を積算した上で、この積算された投票数すなわち投票値に基づいて統合処理を行うことで、各センサユニットの走査周期の違いや同一時点における走査位置について特段の注意を払わなくとも、容易に整合的な情報統合を行うことができる。
【0068】
また、センサユニットはレーザ光を用いて検出を行うため、各センサユニットによる検出結果は1次元情報であり、そのままでは、人の足等といった連続的で一定の断面積を有する物体の検出に用いるには、必ずしも有利であるとはいえない。これに対し、この第1の例のように、複数の格子への投票値を介して各センサユニットの検出結果を統合することで、2次元情報として取り扱うことができるため、人の足等といった連続的で一定の断面積を有する物体の検出に用いるのに好適な情報を得ることができる。
【0069】
なお、各格子への投票数は、一定の時間間隔毎にリセットされる。このリセットの間隔は、情報統合部42における統合処理の処理周期を単位として設定される。このリセット間隔を長くなるように設定することで、投票結果には、検出対象物50が移動しているのか否かについて反映されることになる。そして、検出対象物50が移動している場合には投票結果から、検出対象物50の移動軌跡を検出することも可能である。
【0070】
次に、
図9は、情報統合部42における統合処理の第2の例を説明するものである。この第2の例においても、前述した第1の例と同じく、情報統合部42における処理に用いるため、事前に、第1の検出範囲30a及び第2の検出範囲30bを共通の座標系で設定された複数の格子(グリッド)に分割しておく。そして、情報統合部42は、第1のセンサユニット20a及び第2のセンサユニット20bそれぞれの検出結果に基づいて、各格子へと投票していく。
【0071】
ただし、この第2の例においては、物体(検出対象物50)の反応があった位置に対応する格子のみならず、当該反応のあった位置の格子の上下左右に隣接する4つの格子にも投票する。
【0072】
例えば、ある格子に対応する位置にセンサユニットにより検出対象物50の反応が得られた場合、当該格子に対して例えば1票が投じられる。また、同時に、当該格子の上下左右に隣接する格子に対しても例えば1票が投じられる。
【0073】
このように反応が得られた格子と当該格子に隣接する格子に同時に投票するということは、センサユニットによる検出結果について一定の誤差を考慮に入れることを意味している。上に述べた例のように、反応があった格子と当該格子に隣接する格子に等しい票数を投じるということは、センサユニットによる検出結果に誤差が含まれるため、反応があった格子に対応する位置と当該格子に隣接する格子に対応する位置とについて、反応した物体が存在する確率が等しいと考えることに相当する。
【0074】
また、反応があった格子に投じる票数と当該格子に隣接する格子に投じる票数とを異なるものとしてもよい。例えば、ある格子に対応する位置にセンサユニットにより検出対象物50の反応が得られた場合、当該格子に対して例えば2票を投じ、同時に、当該格子の上下左右に隣接する格子に対して1票を投じる。この例の場合は、反応があった格子に対応する位置に物体が存在する確率は、当該格子に隣接する格子に対応する位置に物体が存在する確率より2倍大きいと考えることに相当する。
【0075】
このように、センサユニットによる検出結果について想定される誤差分布に応じて、反応があった格子に投じる票と当該格子に隣接する格子に投じる票とについて重み付けを行うようにしてもよい。
【0076】
情報統合部42は、前述した第1の例と同じく、一定の処理周期でもって、全ての複数の格子への投票値に基づいて第1のセンサユニット20aの検出結果及び第2のセンサユニット20bの検出結果を統合する。
【0077】
この第2の例においても第1の例と同じく、各センサユニットの検出結果による投票は、同期的であっても非同期的であってもよい。この統合処理の第2の例においても、前述した各周期の関係のパターンのうち、第1の場合から第3の場合まで全ての場合を採用可能である。
【0078】
最後に、
図10は、情報統合部42における統合処理の第3の例を説明するものである。この第3の例においては、前述した第1の例、第2の例のように第1の検出範囲30a及び第2の検出範囲30bについて予め格子(グリッド)を設定しない。このため、情報統合部42における統合処理の処理周期を、第1のセンサユニット20aの第1の走査周期及び第2のセンサユニット20bの第2の走査周期と無関係に設定することはできない。
【0079】
この統合処理の第3の例においては、前述した各周期の関係のパターンのうち、第1の場合及び第2の場合を採用することができるが、第3の場合を採用することは難しい。
【0080】
次に、
図11から
図13を参照しながら、エンドキャップ13部への第1のセンサユニット20aの実装の変形例について説明する。前に説明した
図4の例では、第1のセンサユニット20aが設置されるエンドキャップ13の隅部は、平面視において滑らかな弧状を呈するように、前記第1の端面と前記第2の端面とが接続されて形成されている例であった。
【0081】
これに対し、
図11に示すのは、エンドキャップ13の隅部の形状についての変形例である。この変形例においては、第1のセンサユニット20aが設置される隅部は、平面視において各内角が90度以上となるように切り欠かれた平面を介して前記第1の端面と前記第2の端面とが接続されて形成されている。また、この隅部に取り付けられるレーザ透過窓29も、この隅部の形状に合わせて平面視において各内角が90度以上となるように切り欠かれた形状を呈する。
【0082】
この変形例においては、
図4に示した隅部及びレーザ透過窓29を円弧状に曲げる構成と比較すると、部材の加工が容易である等の利点がある。ただし、円弧状とした場合と比べると平面同士の接続部分で光軸の向きが乱されやすくなる。それでも、隅部及びレーザ透過窓29に直角部を残したままとするよりかは光軸の向きの乱れは抑制されるものと考えられる。
【0083】
また、
図4の例では、第1のセンサユニット20aから放射されるレーザ光を通過させるための開口部28に、レーザ光を透過させる性質のレーザ透過窓29を取り付けた。これに対し、
図12に示すのは、レーザ透過窓29を設けることなく、開口部28をそのままの状態にして直接この開口部28を通してレーザ光を放射するようにした変形例である。
【0084】
前述したように、レーザ透過窓29を通過する際の反射の影響で、実用可能なレーザ光のレーザ透過窓29への最大入射角は制限される。そして、この制限に起因して、可能な最大走査範囲ひいては第1の検出範囲30aに制限が課される。そこで、レーザ透過窓29を設けずにそのままの開口部28に直接レーザ光を通すことで、この制限を回避し、第1のセンサユニット20aの送信部23及び受信部24の回転可能範囲をそのままレーザ光の最大走査範囲すなわち第1の検出範囲30aにすることができる。ただし、当然、第1のセンサユニット20aは開口部28から外部に露出してしまう。
【0085】
そして、
図13に示す変形例は、第1のセンサユニット20aから放射されるレーザ光を開口部28へと導くための光学装置60を備えたものである。この光学装置60は、第1のセンサユニット20aの送信部23から放射され光学装置60に入射したレーザ光を、入射角よりも大きい出射角で開口部28からエンドキャップ13の外部へと放射する機能を有する。また、逆に、より大きい入射角で入ってきた反射光を第1のセンサユニット20aの受信部24へと導くことができる。
【0086】
このような光学装置60を備えることで、第1の検出範囲30aをより広くすることが可能である。
【0087】
なお、光学装置60は、第1のセンサユニット20aの送信部23及び受信部24の外周に完全に沿うように配置してもよいし、第1のセンサユニット20aの送信部23及び受信部24の外周と光学装置60との間に一定の間隔をあけて配置するようにしてもよい。あるいは、第1のセンサユニット20aと光学装置60とを一体化し、光学装置60に第1のセンサユニット20aの送信部23及び受信部24を内包するようにしてもよい。
【0088】
なお、ここでは、乗客コンベア10としてエスカレータを例に挙げて説明したが、いわゆる動く歩道にも適用可能である。また、下り運転している場合を説明したが上り運転でもよい。さらに、降り口側に第1のセンサユニット20a及び第2のセンサユニット20bを設置した場合について説明したが、乗り口側にこれらのセンサユニットを設置することもできる。
【0089】
以上のように構成された乗客コンベアの人検知装置は、乗客コンベア10本体内で無端状に連結されて循環移動する複数の踏段11と、踏段11の左右両側に沿って乗客コンベア10の一方の乗降口である乗り口から他方の乗降口である降り口にわたって配置されたスカートガード12と、スカートガード12の端部に形成され、踏段11の左右両端の延長線に沿った第1の端面13aと前記延長線に対し一定の角度をなして配置される第2の端面13bとを少なくとも有するエンドキャップ13と、左右のうち一方のスカートガード12のエンドキャップ13における第1の端面13aと第2の端面13bとに挟まれる隅部に設置され、設置点を中心として予め定められた水平角以内の第1の検出範囲30aにレーザ光を放射することで第1の検出範囲30a内の物体を検出するための第1の検出手段である第1のセンサユニット20aと、第1のセンサユニット20aの検出結果に基づいて、降り口付近における利用者の転倒及び滞留並びに降り口への利用者の接近を検知する検知制御装置40と、を備えている。
【0090】
ここで、一般的に、乗降口付近でも特に乗降用床板16のくし板17の近傍で利用者の転倒が発生した場合に巻き込みが発生する可能性が高まる。このため、利用者の転倒については、特にくし板17の近傍での発生を検知できるようにすることが望ましい。また、利用者が踏段11から降りた直後、すなわち、降り口側の乗降用床板16上で利用者の滞留が発生すると、後から次々に踏段11から利用者が降りてきて詰まってしまう。あるいは、乗客コンベアの搬送能力を超える利用者が乗り口に殺到した場合、乗り口側の乗降用床板16上で利用者の滞留が発生する。このため、利用者の滞留については、特に乗降用床板16上での発生を検知できるようにすることが望ましい。さらに、利用者の接近は、乗降用床板16から反踏段11側の範囲において検知することが、接近者の早期発見に繋がり乗客コンベア10の運転制御上有利となる。
【0091】
この発明の実施の形態1に係る乗客コンベアの人検知装置は、特に、第1のセンサユニット20aを、左右一方のスカートガード12のエンドキャップ13における第1の端面13aと第2の端面13bとに挟まれる隅部に設置し、この第1のセンサユニット20aの第1の検出範囲30aについて、第1の端面13aに垂直な方向よりも踏段11側に広く、かつ、第2の端面13bに垂直な方向よりも反踏段11側に広く設定している。
【0092】
このため、第1のセンサユニット20aの第1の検出範囲30aを、乗降用床板16のくし板17よりさらに踏段11側から、乗降用床板16の反踏段11側までカバーするように設定することができ、この1つの第1のセンサユニット20aの検出結果に基づいて、乗降口付近における利用者の転倒、滞留及び接近の各状態について検知することが可能となる。また、この際に、利用者の転倒、滞留及び接近のそれぞれについて、最も検出対象箇所として含むことが望ましい箇所(転倒はくし板17の近傍、滞留は乗降用床板16上、接近は乗降用床板16から反踏段11側の範囲)を全てカバーすることができる。
【0093】
また、この実施の形態1においては、さらに、左右のうち他方のスカートガード12に設置され、設置点を中心として予め定められた水平角以内の第2の検出範囲30bにレーザ光を放射することで第2の検出範囲30b内の物体を検出するための第2の検出手段である第2のセンサユニット20bを備え、この第2のセンサユニット20bをスカートガード12における乗降用床板16のくし板17部近傍に配置している。
【0094】
このため、第1のセンサユニット20aにより前述の広い範囲をカバーした上で、第2のセンサユニット20bによりくし板17を中心とした範囲をカバーすることで、2つのセンサの検出範囲が互いを補い合って、少ないセンサの数で、利用者の転倒、滞留及び接近の検知に対して死角の少ない状態を作り出すことができる。
【0095】
実施の形態2.
図14及び
図15は、この発明の実施の形態2に係るもので、
図14は人検知装置を備えた乗客コンベアの乗降口を示す斜視図、
図15は人検知装置を備えた乗客コンベアの乗降口を模式的に示す平面図である。
【0096】
ここで説明する実施の形態2は、前述した実施の形態1の構成において、第2のセンサユニット20bをくし板17の近傍でなく、第1のセンサユニット20aと同じくエンドキャップ13に配置するようにしたものである。
【0097】
すなわち、
図14及び
図15に示すように、第2のセンサユニット20b(第2の検出手段)は、前記他方のスカートガード12、すなわち、第1のセンサユニット20aが設けられたスカートガード12とは左右反対側のスカートガード12におけるエンドキャップ13部に設けられる。そして、第2のセンサユニット20bは、当該エンドキャップ13における前記第1の端面すなわち踏段11の左右両端の延長線に沿った端面と前記第2の端面すなわち踏段11の左右両端の延長線に対し一定の角度(ここでは直角)をなして配置された端面とに挟まれる隅部に配置される。
【0098】
図15に示すように、第2の検出範囲30bは、第2のセンサユニット20bが設置されたエンドキャップ13の前記第1の端面に垂直な方向よりも踏段11側に広く、かつ、当該エンドキャップ13の前記第2の端面に垂直な方向よりも反踏段11側に広く設定される。
【0099】
なお、第1のセンサユニット20aの配置、第1の検出範囲30a及び検知制御装置40等を含む他の構成については実施の形態1と同様であって、その詳細説明は省略する。
【0100】
前述した実施の形態1の構成は、第1の検出手段である第1のセンサユニット20aをエンドキャップ13の隅部に配置し、第2の検出手段である第2のセンサユニット20bをスカートガード12のくし板17近傍に配置したものであった。これは、乗降口への人の接近とくし板部付近における人の転倒とをバランスよく検知することができる構成であると言える。
【0101】
これに対し、以上で説明した実施の形態2の構成は、第2の検出手段である第2のセンサユニット20bも、第1のセンサユニット20aと同様にスカートガード12のエンドキャップ13における第1の端面13aと第2の端面13bとに挟まれる隅部に設置したものである。
【0102】
そして、第2のセンサユニット20bの第2の検出範囲30bを、エンドキャップ13の、第1の端面13aに垂直な方向よりも踏段11側に広く、かつ、第2の端面13bに垂直な方向よりも反踏段11側に広く設定することで、第1のセンサユニット20a及び第2のセンサユニット20bの双方とも乗降用床板16よりも反踏段11側に広く検出範囲を有することとなり、くし板17付近での人の転倒の検知も当然に可能ながら、乗降口への人の接近がより検出しやすくなっている。
【0103】
実施の形態3.
図16から
図18は、この発明の実施の形態3に係るもので、
図16は人検知装置を備えた乗客コンベアの乗降口を示す斜視図、
図17は人検知装置を備えた乗客コンベアの乗降口を模式的に示す平面図、
図18は乗客コンベアの人検知装置が備える検知制御装置の構成を示すブロック図である。
【0104】
ここで説明する実施の形態3は、前述した実施の形態1の構成において、第2のセンサユニットを設けずに、第1のセンサユニット20aのみ設けるようにしたものである。
【0105】
すなわち、
図16及び
図17に示すように、左右のうち一方のスカートガード12のエンドキャップ13における前記第1の端面と前記第2の端面とに挟まれる隅部に、第1のセンサユニット20a(第1の検出手段)が設置されている。この実施の形態3において設置されるセンサユニットはこの第1のセンサユニット20aである。前述した実施の形態1及び実施の形態2で備えられていた第2のセンサユニットは設けられない。
【0106】
図18は、この実施の形態3に係る検知制御装置40の機能的な構成を示すブロック図である。前述した実施の形態1においては、センサユニットが2つ設けられていたため、これらのセンサユニットの検出結果を統合するための情報統合部が備えられていた。この実施の形態3においては、センサユニットが第1のセンサユニット20aの1つのみであるため、このような情報統合部は不要である。
【0107】
ただし、第1のセンサユニット20aの検出結果を物体検知部43での処理に適したものとするための情報集計部48が情報統合部に代えて備えられている。この情報集計部48における第1のセンサユニット20aの検出結果の集計処理には、具体的には、実施の形態1で前述した情報統合部における統合処理の第1の例から第3の例を適用することができる。ただし、実施の形態1ではセンサユニットが2つ存在したが、この実施の形態3では第1のセンサユニット20aのみしかない。
【0108】
このため、例えば、統合処理の第1の例を適用する場合には、情報集計部48は、第1のセンサユニット20aの検出結果のみに基づいて、第1のセンサユニット20aにより反応のあった位置に対応する格子に投票する。また、統合処理の第1の例を適用する場合も同様に、情報集計部48は、第1のセンサユニット20aの検出結果のみに基づいて、第1のセンサユニット20aにより反応のあった位置に対応する格子及び当該格子に隣接する格子に投票する。
【0109】
これらの場合における、走査制御部41により制御される第1のセンサユニット20aの(第1)の走査周期と、情報集計部48における集計処理の処理周期との関係について次に説明する。この実施の形態3における走査周期と処理周期との関係は、次の2つの場合に大別される。すなわち、走査周期と処理周期とが等しい場合と、走査周期と処理周期とが異なる場合である。
【0110】
走査周期と処理周期とが等しい場合には、第1のセンサユニット20aによる走査と、情報集計部48による集計処理とが同期的に行われることになる。また、走査周期と処理周期とを異なるものとする場合、処理周期を走査周期よりも長い周期に設定することが好ましい。さらに言えば、処理周期は、走査周期を単位として走査周期の自然数倍とすることが望ましい。
なお、他の構成については実施の形態1と同様であって、その詳細説明は省略する。
【0111】
以上のように構成された乗客コンベアの人検知装置は、第1の検出手段である第1のセンサユニット20aしか備えていないものの実施の形態1で説明したように、この第1のセンサユニット20aの第1の検出範囲30aだけで、乗降用床板16のくし板17よりさらに踏段11側から、乗降用床板16の反踏段11側までカバーしている。
【0112】
したがって、この1つの第1のセンサユニット20aだけの検出結果に基づいて、乗降口付近における利用者の転倒、滞留及び接近の各状態について検知することができ、すなわち、最小のセンサ数で、乗降口付近における利用者の転倒、滞留及び接近の各状態について検知することが可能である。