特許第6011573号(P6011573)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011573
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/18 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
   H05K1/18 U
【請求項の数】12
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-59984(P2014-59984)
(22)【出願日】2014年3月24日
(65)【公開番号】特開2015-185651(P2015-185651A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2015年10月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 和生
(72)【発明者】
【氏名】藤本 力
(72)【発明者】
【氏名】足立 裕文
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0203237(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/090986(WO,A1)
【文献】 特開2013−38144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に外部電極を有する電子素子と、
前記電子素子が実装される基板型の端子と、
前記基板型の端子の一部を覆う導電膜とを備え、
前記基板型の端子は、第1主面、該第1主面とは反対側の第2主面、および、前記第1主面と前記第2主面とを結ぶ周面を有し、
前記基板型の端子は、前記第1主面上のみに設けられて前記電子素子の前記外部電極と電気的に接続される実装電極を含み、
前記実装電極は、前記基板型の端子の前記周面の一部に対して前記第1主面に直交する方向に隣接して位置し、前記周面の前記一部と同一平面をなしている周面隣接部を含み、
前記導電膜は、前記周面隣接部の少なくとも一部を覆っている、電子部品。
【請求項2】
前記導電膜が前記周面隣接部の全体を覆っている、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記周面隣接部は、平面視にて、前記電子素子により覆われている、請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記基板型の端子は、平面視にて矩形状の外形を有し、
前記基板型の端子の前記周面は、互いに反対側に位置する1対の側面、および、前記側面同士をそれぞれ結んで互いに反対側に位置する1対の端面を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項5】
前記端面に沿って前記側面同士を結ぶ方向に平行な方向において、前記基板型の端子の幅の最大寸法は、前記電子素子の幅の最大寸法より小さい、請求項4に記載の電子部品。
【請求項6】
前記側面に沿って前記端面同士を結ぶ方向に平行な方向において、前記基板型の端子の長さの最大寸法は、前記電子素子の長さの最大寸法より小さい、請求項5に記載の電子部品。
【請求項7】
前記基板型の端子は、平面視にて、前記電子素子により全体を覆われている、請求項6に記載の電子部品。
【請求項8】
前記実装電極が、1対の前記側面のそれぞれに隣接している2つの前記周面隣接部を含む、請求項4から7のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項9】
前記実装電極は、平面視にて、前記端面に対して離間している、請求項4から8のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項10】
前記側面に沿って前記端面同士を結ぶ方向に平行な方向において、前記周面隣接部の長さの最大寸法は、前記実装電極の長さの最大寸法より小さい、請求項4から9のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項11】
前記導電膜は、半田からなり、前記外部電極と前記実装電極とを電気的に接続している、請求項1から10のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項12】
前記周面隣接部は、前記実装電極のばりを含み、
前記導電膜は、前記ばりを繋ぎ止めている、請求項1から11のいずれか1項に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関し、特に、電歪性を有する電子素子を含む電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
振動の伝播を抑えて雑音の発生を減らすことを図った電子部品を開示した先行文献として、特開2004−134430号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載された電子部品においては、積層コンデンサの本体部分となるコンデンサ素子の下部に、1枚のインターポーザ基板が配置される。インターポーザ基板の表面側に、コンデンサ素子の1対の外部電極とそれぞれ接続される1対の実装電極が配置される。インターポーザ基板の裏面側に、基板の配線パターンとそれぞれ半田により接続される1対の接続電極が配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−134430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板型の端子を互いの間に挟んで電子素子と回路基板とを接続することにより電子部品を回路基板に実装した場合、基板型の端子における電極のばりによって、電子部品実装上の不具合が生ずることがある。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、基板型の端子における電極のばりによる電子部品実装上の不具合の発生を抑制できる、電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づく電子部品は、表面に外部電極を有する電子素子と、電子素子が実装される基板型の端子と、基板型の端子の一部を覆う導電膜とを備える。基板型の端子は、第1主面、第1主面とは反対側の第2主面、および、第1主面と第2主面とを結ぶ周面を有する。基板型の端子は、第1主面に設けられて電子素子の外部電極と電気的に接続される実装電極を含む。実装電極は、基板型の端子の周面に隣接して位置している周面隣接部を含む。導電膜は、周面隣接部の少なくとも一部を覆っている。
【0007】
本発明の一形態においては、導電膜が周面隣接部の全体を覆っている。
本発明の一形態においては、周面隣接部は、平面視にて、電子素子により覆われている。
【0008】
本発明の一形態においては、基板型の端子は、平面視にて矩形状の外形を有する。基板型の端子の周面は、互いに反対側に位置する1対の側面、および、側面同士をそれぞれ結んで互いに反対側に位置する1対の端面を含む。
【0009】
本発明の一形態においては、上記端面に沿って上記側面同士を結ぶ方向に平行な方向において、基板型の端子の幅の最大寸法は、電子素子の幅の最大寸法より小さい。
【0010】
本発明の一形態においては、上記側面に沿って上記端面同士を結ぶ方向に平行な方向において、基板型の端子の長さの最大寸法は、電子素子の長さの最大寸法より小さい。
【0011】
本発明の一形態においては、基板型の端子は、平面視にて、電子素子により全体を覆われている。
【0012】
本発明の一形態においては、実装電極が、1対の上記側面のそれぞれに隣接している2つの周面隣接部を含む。
【0013】
本発明の一形態においては、実装電極は、平面視にて、上記端面に対して離間している。
【0014】
本発明の一形態においては、上記側面に沿って上記端面同士を結ぶ方向に平行な方向において、周面隣接部の長さの最大寸法は、実装電極の長さの最大寸法より小さい。
【0015】
本発明の一形態においては、導電膜は、半田からなり、外部電極と実装電極とを電気的に接続している。
【0016】
本発明の一形態においては、周面隣接部は、実装電極のばりを含む。導電膜は、上記ばりを繋ぎ止めている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、基板型の端子における電極のばりによる電子部品実装上の不具合の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態1に係る電子部品に含まれるコンデンサ素子の第1構造を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態1に係る電子部品に含まれるコンデンサ素子の第2構造を示す斜視図である。
図3】電子素子として第1構造のコンデンサ素子を含む、本発明の実施形態1に係る電子部品が回路基板上に実装された状態を示す斜視図である。
図4】電子素子として第2構造のコンデンサ素子を含む、本発明の実施形態1に係る電子部品が回路基板上に実装された状態を示す斜視図である。
図5図3,4に示す電子部品を矢印V方向から見た図である。
図6】本発明の実施形態1に係る電子部品の分解斜視図である。
図7図6の電子部品に含まれる基板型の端子を矢印VII方向から見た図である。
図8】本発明の実施形態1に係る電子部品に含まれる基板型の端子の元となるマザー基板を第1主面側から見た図である。
図9】本発明の実施形態1に係る電子部品に含まれる基板型の端子の元となるマザー基板を第2主面側から見た図である。
図10】本発明の実施形態1において、マザー基板をダイシングにより切断している状態を示す断面図である。
図11】本発明の実施形態1において、マザー基板をダイシングにより切断している状態を示す斜視図である。
図12】本発明の実施形態1において、切断されたマザー基板を第1主面側から見た図である。
図13】本発明の実施形態1において、切断されたマザー基板を第2主面側から見た図である。
図14】本発明の実施形態2に係る電子部品の分解斜視図である。
図15】本発明の実施形態2に係る電子部品に含まれる基板型の端子の元となるマザー基板を第1主面側から見た図である。
図16】本発明の実施形態2において、切断されたマザー基板を第1主面側から見た図である。
図17】本発明の実施形態3に係る電子部品に含まれる基板型の端子の元となるマザー基板を第2主面側から見た図である。
図18】本発明の実施形態3において、切断されたマザー基板を第2主面側から見た図である。
図19】本発明の実施形態4に電子部品に含まれる基板型の端子の元となるマザー基板を第2主面側から見た図である。
図20】本発明の実施形態4において、切断されたマザー基板を第2主面側から見た図である。
図21】本発明の実施形態5に係る電子部品に含まれる基板型の端子の元となるマザー基板を第1主面側から見た図である。
図22】本発明の実施形態5に係る電子部品に含まれる基板型の端子の元となるマザー基板を第2主面側から見た図である。
図23】本発明の実施形態5において、切断されたマザー基板を第1主面側から見た図である。
図24】本発明の実施形態5において、切断されたマザー基板を第2主面側から見た図である。
図25】本発明の実施形態6に係る電子部品に含まれる基板型の端子の元となるマザー基板を第1主面側から見た図である。
図26】本発明の実施形態6に係る電子部品に含まれる基板型の端子の元となるマザー基板を第2主面側から見た図である。
図27】本発明の実施形態6において、切断されたマザー基板を第1主面側から見た図である。
図28】本発明の実施形態6において、切断されたマザー基板を第2主面側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の各実施形態に係る電子部品について図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0020】
(実施形態1)
まず、本発明の実施形態1に係る電子部品に含まれる電子素子の一例であるコンデンサ素子について説明する。なお、電子素子は、コンデンサ素子に限られず、インダクタ素子、サーミスタ素子、圧電素子または半導体素子などでもよい。
【0021】
図1は、本発明の実施形態1に係る電子部品に含まれるコンデンサ素子の第1構造を示す斜視図である。図2は、本発明の実施形態1に係る電子部品に含まれるコンデンサ素子の第2構造を示す斜視図である。図1,2においては、コンデンサ素子の長さ方向L、コンデンサ素子の幅方向W、コンデンサ素子の厚さ方向Hを図示している。
【0022】
図1に示すように、本発明の実施形態1に係る電子部品に含まれる第1構造のコンデンサ素子10aは、誘電体層13と平板状の内部電極12とが交互に積層された直方体状の積層体11a、および、積層体11a上に設けられてコンデンサ素子10aの長さ方向Lの両端の表面に位置する外部電極14を含む。
【0023】
互いに隣り合って対向する内部電極12同士において、一方の内部電極12は、コンデンサ素子10aの長さ方向Lの一端に位置する外部電極14に電気的に接続され、他方の内部電極12は、コンデンサ素子10aの長さ方向Lの他端に位置する外部電極14に電気的に接続されている。
【0024】
第1構造のコンデンサ素子10aにおいては、誘電体層13と内部電極12との積層方向が、コンデンサ素子10aの長さ方向Lおよびコンデンサ素子10aの厚さ方向Hに対して直交している。すなわち、誘電体層13と内部電極12との積層方向は、コンデンサ素子10aの幅方向Wと平行である。
【0025】
図2に示すように、本発明の実施形態1に係る電子部品に含まれる第2構造のコンデンサ素子10bは、誘電体層13と平板状の内部電極12とが交互に積層された直方体状の積層体11b、および、積層体11b上に設けられてコンデンサ素子10bの長さ方向Lの両端の表面に位置する外部電極14を含む。
【0026】
互いに隣り合って対向する内部電極12同士において、一方の内部電極12は、コンデンサ素子10bの長さ方向Lの一端に位置する外部電極14に電気的に接続され、他方の内部電極12は、コンデンサ素子10bの長さ方向Lの他端に位置する外部電極14に電気的に接続されている。
【0027】
第2構造のコンデンサ素子10bにおいては、誘電体層13と内部電極12との積層方向が、コンデンサ素子10bの長さ方向Lおよびコンデンサ素子10bの幅方向Wに対して直交している。すなわち、誘電体層13と内部電極12との積層方向は、コンデンサ素子10bの厚さ方向Hと平行である。
【0028】
本実施形態においては、誘電体層13は、チタン酸バリウムなどを主に含むセラミックスシートから形成されている。ただし、誘電体層13を構成する主成分は、チタン酸バリウムに限られず、チタン酸カルシウムまたはチタン酸ストロンチウムなどの誘電率の高いセラミックスであればよい。誘電体層13は、Mn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物およびNi化合物などの少なくとも1種類の副成分を含んでいてもよい。また、誘電体層13は、Siおよびガラス成分などを含んでいてもよい。
【0029】
コンデンサ素子10a,10bとしては、静電容量が1μF以上であるコンデンサ素子、比誘電率が3000以上であるコンデンサ素子、内部電極12の枚数が350枚以上であるコンデンサ素子、または、誘電体層13の1層の厚さの寸法が1μm以下であるコンデンサ素子などを好適に用いることができる。
【0030】
内部電極12は、誘電体層13を構成するセラミックスシート上にNiを含むペーストが印刷されることにより形成される。ただし、内部電極12の主材料はNiに限られず、PdとAgとの合金などであってもよい。
【0031】
外部電極14は、積層体11a,11bに導電性ペーストを焼き付ける、または、積層体11a,11bにめっきすることにより形成される。外部電極14は、NiおよびSnなどの金属膜が順に積層された積層構造を有している。
【0032】
本実施形態においては、外部電極14は、コンデンサ素子10a,10bの長さ方向Lの両端の各々において、5面に亘って設けられている。ただし、外部電極14は、コンデンサ素子10a,10bにおいて、後述する基板型の端子に対向配置される側の面に少なくとも設けられていればよい。なお、コンデンサ素子10a,10bの実装安定性の観点から、外部電極14が、コンデンサ素子10a,10bの長さ方向Lの端面に亘って設けられていることが好ましい。
【0033】
以下、本実施形態に係る電子部品について説明する。
図3は、電子素子として第1構造のコンデンサ素子を含む、本実施形態に係る電子部品が回路基板上に実装された状態を示す斜視図である。図4は、電子素子として第2構造のコンデンサ素子を含む、本実施形態に係る電子部品が回路基板上に実装された状態を示す斜視図である。図5は、図3,4に示す電子部品を矢印V方向から見た図である。図6は、本実施形態に係る電子部品の分解斜視図である。図7は、図6の電子部品に含まれる基板型の端子を矢印VII方向から見た図である。図6においては、電子部品に含まれる導電膜を図示していない。
【0034】
図3〜7に示すように、本実施形態に係る電子部品100a,100bは、表面に外部電極14を有するコンデンサ素子10a,10bと、コンデンサ素子10a,10bが実装される基板型の端子20と、基板型の端子20の一部を覆う導電膜30とを備える。
【0035】
図3,4に示すように、回路基板90は、基板型の端子20の後述する接続電極23に接続されるランド91を表面に有する。
【0036】
図5〜7に示すように、本実施形態に係る電子部品100a,100bに含まれる基板型の端子20は、絶縁性基板21を含む。本実施形態においては、絶縁性基板21は、平面視にて略矩形状の外形を有する。ただし、絶縁性基板21の外形は、矩形状に限られず、たとえば、楕円形状などでもよい。絶縁性基板21においては、角部および稜線部が面取りされていてもよい。
【0037】
絶縁性基板21は、コンデンサ素子10a,10bが実装される側の第1主面21a、および、第1主面21aとは反対側の第2主面21b、および、第1主面21aと第2主面21bとを結ぶ周面を有する。絶縁性基板21の周面は、互いに反対側に位置する1対の側面21c、および、側面21c同士をそれぞれ結んで互いに反対側に位置する1対の端面21dを含む。
【0038】
絶縁性基板21の材料としては、エポキシ樹脂などの樹脂材料、または、アルミナなどのセラミックス材料を用いることができる。また、絶縁性基板21には、無機材料もしくは有機材料からなるフィラーまたは織布が添加されていてもよい。本実施形態においては、絶縁性基板21として、エポキシ樹脂からなる基体にガラスの織布が添加されたガラスエポキシ基板を用いている。
【0039】
振動の伝播を抑制する観点から、絶縁性基板21の厚さは、0.05mm以上0.4mm以下であることが好ましい。具体的には、振動の伝播を抑制するために、絶縁性基板21の剛性が低い方が好ましい。そのため、絶縁性基板21の厚さは、0.4mm以下であることが好ましい。
【0040】
一方、絶縁性基板21が薄すぎる場合、電子部品100a,100bと回路基板90のランド91とを接合する半田が濡れ上がってコンデンサ素子10a,10bに達し、コンデンサ素子10a,10bの長さ方向Lの端面にフィレットを形成することがある。この場合、振動がフィレットを通じてコンデンサ素子10a,10bから回路基板90に伝播するため好ましくない。よって、半田の濡れ上がりを抑制する観点から、絶縁性基板21の厚さは、0.05mm以上であることが好ましい。
【0041】
図6に示すように、絶縁性基板21の端面21dに沿って側面21c同士を結ぶ方向に平行な方向である絶縁性基板21の幅方向において、基板型の端子20の幅Wbの最大寸法は、コンデンサ素子10a,10bの幅Waの最大寸法より小さい。絶縁性基板21の側面21cに沿って端面21d同士を結ぶ方向に平行な方向である絶縁性基板21の長さ方向において、基板型の端子20の長さLbの最大寸法は、コンデンサ素子10a,10bの長さLaの最大寸法より小さい。
【0042】
図3,4,6に示すように、本実施形態においては、基板型の端子20は、平面視にて、コンデンサ素子10a,10bにより全体を覆われている。そのため、後述するように導電膜30が外部電極14と実装電極22とを接合する半田からなる場合、後述する周面隣接部22eを導電膜30によって容易に覆うことができる。
【0043】
コンデンサ素子10a,10bの実装安定性の観点から、絶縁性基板21の長さの最小寸法は、コンデンサ素子10a,10bの長さの最大寸法の0.8倍以上が好ましく、より好ましくは0.9倍以上である。絶縁性基板21の幅の最小寸法は、コンデンサ素子10a,10bの幅の最大寸法の0.8倍以上が好ましく、より好ましくは0.9倍以上である。
【0044】
図6,7に示すように、本実施形態においては、絶縁性基板21の長さ方向における両端に、平面視にて半楕円状の切欠21sが設けられている。ただし、切欠21sの平面視における形状は、半楕円状に限られず、多角形状などでもよい。
【0045】
切欠21sを設けることにより、電子部品100a,100bと回路基板90のランド91とを接合する半田を切欠21sによって形成された空間に溜めることが可能となる。これにより、コンデンサ素子10a,10bの長さ方向Lの端面に、半田が濡れ上がることを抑制できる。ただし、切欠21sは必ずしも設けられていなくてもよい。
【0046】
図5,6に示すように、基板型の端子20は、第1主面21aに設けられて、コンデンサ素子10a,10bの外部電極14と電気的に接続される実装電極22を有する。具体的には、絶縁性基板21の長さ方向において互いに間隔を置いて2つの実装電極22が配置されている。
【0047】
実装電極22は、基板型の端子20の周面に隣接して位置している周面隣接部22eを含む。周面隣接部22eは、絶縁性基板21の長さ方向、絶縁性基板21の幅方向および絶縁性基板21の厚さ方向の少なくともいずれかにおいて、基板型の端子20の周面に対して隣接している。
【0048】
図6に示すように、本実施形態においては、周面隣接部22eは、平面視にて、コンデンサ素子10a,10bにより覆われている。また、各々の実装電極22は、絶縁性基板21の1対の側面21cのそれぞれに隣接している2つの周面隣接部22eを含む。さらに、実装電極22は、平面視にて、絶縁性基板21の端面21dに対して離間している。
【0049】
また、絶縁性基板21の長さ方向において、周面隣接部22eの長さL2の最大寸法は、実装電極22の長さL1の最大寸法より小さい。すなわち、絶縁性基板21の長さ方向における実装電極22の長さが、周面隣接部22eにおいて他の部分より短くなるように、実装電極22が形成されている。
【0050】
図3,4,5,7に示すように、基板型の端子20は、第2主面21bに設けられて、回路基板90のランド91と電気的に接続される接続電極23を有する。具体的には、絶縁性基板21の長さ方向において互いに間隔を置いて2つの接続電極23が配置されている。本実施形態においては、接続電極23は、周面隣接部を含んでいない。
【0051】
基板型の端子20は、実装電極22と接続電極23とを電気的に接続する貫通電極24を有する。図5,6,7に示すように、本実施形態においては、貫通電極24は、切欠21sの壁面上に設けられている。
【0052】
本実施形態においては、導電膜30は、半田からなり、外部電極14と実装電極22とを電気的に接続している。ただし、導電膜30は、半田に限られず、導電性接着剤でもよい。また、導電膜30が、必ずしも外部電極14と実装電極22とを電気的に接続していなくてもよく、この場合には、外部電極14と実装電極22とを電気的に接続させるために、導電膜30とは別の導電膜が設けられる。
【0053】
図5に示すように、導電膜30は、周面隣接部22eの少なくとも一部を覆っている。好ましくは、導電膜30が周面隣接部22eの全体を覆っている。
【0054】
後述するように、周面隣接部22eは、実装電極22のばりを含むことがある。導電膜30は、実装電極22のばりを繋ぎ止めている。なお、導電膜30は、実装電極22のばりの少なくとも一部を繋ぎ止めていればよい。
【0055】
基板型の端子20の接続電極23と回路基板90のランド91とが、半田などの接合剤によって物理的および電気的に接続されることにより、図3,4に示すように、電子部品100a,100bが回路基板90上に実装される。これにより、コンデンサ素子10a,10bと回路基板90とが、基板型の端子20を互いの間に挟んで接続される。
【0056】
上記のように電子部品100a,100bを回路基板90に実装することにより、コンデンサ素子10a,10bから発生した振動は、基板型の端子20を伝播する際に減衰するため、回路基板90に振動が伝播して発生する可聴音を低減することができる。
【0057】
以下、本実施形態に係る電子部品の製造方法について説明する。まず、本実施形態に係る電子部品100a,100bに含まれる基板型の端子20の製造方法について説明する。
【0058】
図8は、本実施形態に係る電子部品に含まれる基板型の端子の元となるマザー基板を第1主面側から見た図である。図9は、本実施形態に係る電子部品に含まれる基板型の端子の元となるマザー基板を第2主面側から見た図である。
【0059】
まず、図8,9に示すように、第1主面210aおよび第2主面210bの両方に配線パターンが形成されたマザー基板200aを準備する。マザー基板200aは、たとえば、以下のように製造される。
【0060】
プリント配線基板用に市販されている、平面視にて矩形状の絶縁性基板210を含む両面銅張積層板に対して、ビアホール240を形成し、第1主面210aの電極220と第2主面210bの電極230とを導通させる。次に、エッチング処理などによって、第1主面210aおよび第2主面210bの両方に配線パターンを形成する。
【0061】
本実施形態においては、後工程において電気めっきを行なうため、少なくとも第1主面210aの配線パターンは、複数の電極220を連結部220eによって連結させた形状となっている。図8に示すように、本実施形態においては、連結部220eは、マザー基板200aの幅方向に直線状に延びている。なお、マザー基板200aの幅方向は、基板型の端子20の幅方向に対応し、マザー基板200aの長さ方向は、基板型の端子20の長さ方向に対応している。
【0062】
マザー基板200aの長さ方向における連結部220eの長さは、電気めっきの際の導通の観点から、0.10mm以上であることが好ましい。
【0063】
第2主面210bの配線パターンは、個々の電極230がマトリクス状に並ぶ形状になっている。上記のように、電極230は、ビアホール240によって電極220と導通しているため、マトリクス状に配置された電極230に対しても電気めっきすることが可能である。
【0064】
次に、銅からなる配線パターン上に電気めっきによりNi膜を形成し、さらに、Ni膜上に電気めっきによりSn膜を形成する。電気めっきの際には、マザー基板200aの幅方向の一端に、めっき用端子が取り付けられることにより、電極220、電極230およびビアホール240の全てに直流電流が流される。
【0065】
仮に、銅からなる配線パターン上に無電解めっきによりSn膜を形成した場合、両金属間の応力に起因してウィスカが発生しやすい。電子部品100a,100bを搭載した回路基板90上にウィスカが飛散した場合、回路基板90が短絡を生ずることがある。そのため、本実施形態においては、電気めっきを行なうことにより、電極に発生するウィスカを低減して、回路基板90の短絡の発生を抑制している。
【0066】
ばり発生を抑制する観点から、Ni膜の厚さは、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。半田との接合性の観点から、Sn膜の厚さは、1μm以上であることが好ましい。
【0067】
上記のように製造されたマザー基板200aは、切断されて基板型の端子20に個片化される。図10は、本実施形態において、マザー基板をダイシングにより切断している状態を示す断面図である。図11は、本実施形態において、マザー基板をダイシングにより切断している状態を示す斜視図である。図12は、本実施形態において、切断されたマザー基板を第1主面側から見た図である。図13は、本実施形態において、切断されたマザー基板を第2主面側から見た図である。
【0068】
図10,11に示すように、マザー基板200aを第1主面210a側からダイシングブレード1で切断する。好ましくは、ダイシングブレード1をマザー基板200aに対して、矢印1aで示すように第1主面210a側から第1主面210aに直交する方向に接近させることにより、マザー基板200aを切断する。
【0069】
図10〜13に示すように、仮想線であるカットラインCL1,CL2に沿ってマザー基板200aを切断することにより、マザー基板200aが基板型の端子20に個片化される。カットラインCL1は、基板型の端子20の側面を形成するための仮想線であり、カットラインCL2は、基板型の端子20の端面を形成するための仮想線である。
【0070】
マザー基板200aの第1主面210aにおいては、カットラインCL1上に連結部220eが位置しているため、連結部220eは、ダイシングブレード1によって切断される。上記のようにダイシングブレード1をマザー基板200aに対して接近させてマザー基板200aを切断することにより、連結部220eの切断部にばりが発生することを抑制できる。
【0071】
具体的には、ダイシングブレード1によって連結部220eが切断される際に、連結部220eの下側に絶縁性基板210が位置しているため、連結部220eの切断部がダイシングブレード1によって引き延ばされることを絶縁性基板210によって阻害することができる。その結果、連結部220eの切断部が引き延ばされてばりが発生することを抑制できる。
【0072】
連結部220eの切断部が、周面隣接部22eとなる。連結部220eが切断された後の電極220が、実装電極22となる。上記のように電気めっきを行なった結果、実装電極22は、絶縁性基板21の1対の側面21cのそれぞれに隣接している2つの周面隣接部22eを含んでいる。連結部220eの切断部のばりが、実装電極22のばりとなる。
【0073】
マザー基板200aの第2主面210bにおいては、カットラインCL1上に電極230が位置していない。そのため、接続電極23のばりが発生することを防止できる。
【0074】
マザー基板200aのビアホール240においては、カットラインCL2上に貫通電極が位置していない。そのため、貫通電極24のばりが発生することを防止できる。
【0075】
上記のように製造された基板型の端子20の実装電極22に半田ペーストを塗布する。次に、外部電極14に半田ペーストが付着するように、基板型の端子20上にコンデンサ素子10a,10bを載置してリフローする。リフローによって、溶融した半田ペーストが固化することにより、導電膜30が形成される。これにより基板型の端子20にコンデンサ素子10a,10bが実装されて、電子部品100a,100bが製造される。
【0076】
製造された電子部品100a,100bは、電子部品100a,100bを1つずつ収容する多数の収容孔が1列に形成されたテープを含む包装体に収納される。電子部品100a,100bを回路基板90に実装する際には、包装体から電子部品100a,100bが1つずつ取り出されて実装される。
【0077】
本実施形態に係る電子部品100a,100bにおいては、実装電極22のばりの発生が抑制されているとともに、周面隣接部22eの少なくとも一部が導電膜30によって覆われているため、実装電極22のばりによる電子部品100a,100b実装上の不具合の発生を抑制できる。
【0078】
具体的には、実装電極22のばりの少なくとも一部が導電膜30によって繋ぎ止められているため、回路基板90上に実装電極22のばりが脱落して回路基板90が短絡することを抑制できる。導電膜30が周面隣接部22eの全体を覆っている場合には、回路基板90上に実装電極22のばりが脱落して回路基板90が短絡することをより確実に抑制できる。
【0079】
本実施形態に係る電子部品100a,100bにおいては、絶縁性基板21の長さ方向において、基板型の端子20の長さLbの最大寸法が、コンデンサ素子10a,10bの長さLaの最大寸法より小さい。そのため、周面隣接部22eを導電膜30によって容易に覆うことができる。
【0080】
さらに、本実施形態においては、基板型の端子20が、平面視にて、コンデンサ素子10a,10bにより全体を覆われているため、周面隣接部22eを導電膜30によって容易に確実に覆うことができる。
【0081】
本実施形態に係る電子部品100a,100bにおいては、実装電極22が、平面視にて、絶縁性基板21の端面21dに対して離間している。これにより、コンデンサ素子10a,10bを基板型の端子20上に実装する際に、コンデンサ素子10a,10bが基板型の端子20上で位置ずれを起こすこと、特に、コンデンサ素子10a,10bが基板型の端子20上で回転して位置ずれを起こすことを抑制できる。したがって、互いに隣り合って実装されるコンデンサ素子100a,100b同士が接合されることを抑制できる。
【0082】
本実施形態に係る電子部品100a,100bにおいては、絶縁性基板21の長さ方向において、周面隣接部22eの長さL2の最大寸法が、実装電極22の長さL1の最大寸法より小さい。これにより、コンデンサ素子10a,10bを基板型の端子20上に実装する際に、コンデンサ素子10a,10bが基板型の端子20上で基板型の端子20の側面に近づくように位置ずれを起こすことを抑制できる。
【0083】
本実施形態に係る電子部品100a,100bにおいては、周面隣接部22eが、平面視にて、コンデンサ素子10a,10bにより覆われている。これにより、実装電極22のばりに外力が負荷されることを抑制できる。具体的には、実装電極22のばりの上方にコンデンサ素子10a,10bが位置しているため、実装電極22のばりに他の部材が接触することをコンデンサ素子10a,10bによって阻害することができる。その結果、回路基板90上に実装電極22のばりが脱落して回路基板90が短絡することを抑制できる。
【0084】
上記のように、電子部品100a,100bは、テープを含む包装体に収納される。テープが紙製の場合、電子部品100a,100bを包装体に収納する際、または、電子部品100a,100bを包装体から取り出す際に、実装電極22のばりによってテープに毛羽が生じることがある。コンデンサ素子10a,10bを基板型の端子20上に実装する際に、仮に、毛羽が半田中に混入した場合、コンデンサ素子10a,10bと基板型の端子20との接合強度が低下することがある。また、実装電極22のばりがテープに引っ掛かって、包装体から電子部品100a,100bを取り出せないことがある。これらも、実装電極22のばりによる電子部品100a,100b実装上の不具合である。
【0085】
本実施形態に係る電子部品100a,100bにおいては、実装電極22のばりの発生が抑制されているとともに、周面隣接部22eの少なくとも一部が導電膜30によって覆われているため、実装電極22のばりによって発生する毛羽を低減して、毛羽が半田中に混入すること、および、実装電極22のばりがテープに引っ掛かることを抑制できる。
【0086】
また、本実施形態においては、周面隣接部22eが、平面視にて、コンデンサ素子10a,10bにより覆われているため、実装電極22のばりとテープとの接触を減らして、実装電極22のばりによって発生する毛羽をさらに低減できる。
【0087】
以下、本発明の実施形態2に係る電子部品について図を参照して説明する。本実施形態に係る電子部品は、実装電極の形状のみが実施形態1に係る電子部品100a,100bと異なるため、他の構成については説明を繰り返さない。
【0088】
(実施形態2)
図14は、本発明の実施形態2に係る電子部品の分解斜視図である。図14においては、電子部品に含まれる導電膜を図示していない。
【0089】
図14に示すように、本発明の実施形態2に係る電子部品に含まれる基板型の端子20bにては、絶縁性基板21の長さ方向における周面隣接部22eの長さを、実装電極22の他の部分の長さL1の最大寸法と同等にしている。
【0090】
図15は、本実施形態に係る電子部品に含まれる基板型の端子の元となるマザー基板を第1主面側から見た図である。図16は、本実施形態において、切断されたマザー基板を第1主面側から見た図である。
【0091】
図15,16に示すように、仮想線であるカットラインCL1,CL2に沿ってマザー基板200bを切断することにより、マザー基板200bが基板型の端子20bに個片化される。
【0092】
図15に示すように、本実施形態に係るマザー基板200bにおいては、実施形態1に係るマザー基板200aに比較して、マザー基板の長さ方向における連結部220eの長さの寸法が大きい。
【0093】
図16に示すように、本実施形態に係る基板型の端子20bにおいては、実施形態1に係る基板型の端子20に比較して、絶縁性基板21の長さ方向における周面隣接部22eの長さの最大寸法が大きい。
【0094】
本実施形態に係る電子部品においては、実施形態1に係る電子部品100a,100bに比較して、外部電極14と実装電極22との接合面積を大きくすることができるため、コンデンサ素子10a,10bと基板型の端子20bとの接合強度を高くすることができる。
【0095】
以下、本発明の実施形態3に係る電子部品について図を参照して説明する。本実施形態に係る電子部品は、接続電極の形状のみが実施形態1に係る電子部品100a,100bと異なるため、他の構成については説明を繰り返さない。
【0096】
(実施形態3)
図17は、本発明の実施形態3に係る電子部品に含まれる基板型の端子の元となるマザー基板を第2主面側から見た図である。図18は、本実施形態において、切断されたマザー基板を第2主面側から見た図である。
【0097】
図17,18に示すように、仮想線であるカットラインCL1,CL2に沿ってマザー基板200cを切断することにより、マザー基板200cが基板型の端子20cに個片化される。
【0098】
図17に示すように、本実施形態に係る電子部品に含まれる基板型の端子の元となるマザー基板200cにおいては、第1主面210aの配線パターンと同様に、第2主面210bの配線パターンが、複数の電極230を連結部230eによって連結させた形状となっている。
【0099】
図17,18に示すように、マザー基板200cの第2主面210bにおいては、カットラインCL1上に連結部230eが位置しているため、連結部230eは、ダイシングブレード1によって切断される。
【0100】
図18に示すように、本実施形態に係る基板型の端子20cの第2主面21bにおいては、連結部230eの切断部が周面隣接部23eとなり、連結部230eが切断された後の電極230が、接続電極23となる。連結部230eの切断部のばりが、接続電極23のばりとなる。すなわち、本実施形態においては、接続電極23が、周面隣接部23eを含んでいる。
【0101】
本実施形態においては、ダイシングブレード1によって、第2主面210b側からマザー基板200cを切断する。
【0102】
この場合、ダイシングブレード1によって連結部220eが切断される際に、連結部220eの下側に絶縁性基板210が位置していないため、連結部220eの切断部はダイシングブレード1によって引き延ばされる。そのため、連結部220eの切断部にばりが発生することがある。
【0103】
一方、ダイシングブレード1によって連結部230eが切断される際に、連結部230eの下側に絶縁性基板210が位置しているため、連結部230eの切断部がダイシングブレード1によって引き延ばされることを絶縁性基板210によって阻害することができる。その結果、連結部230eの切断部が引き延ばされてばりが発生することを抑制できる。
【0104】
本実施形態に係る電子部品においては、実装電極22のばりが発生したとしても、実装電極22の周面隣接部22eの少なくとも一部を導電膜30によって覆っている。
【0105】
すなわち、本実施形態に係る電子部品においては、接続電極23の周面隣接部23eにおけるばりの発生を抑制しつつ、実装電極22の周面隣接部22eの少なくとも一部を導電膜30によって覆うことにより、実装電極22のばりおよび接続電極23のばりによる電子部品実装上の不具合の発生を抑制できる。
【0106】
以下、本発明の実施形態4に係る電子部品について図を参照して説明する。本実施形態に係る電子部品は、接続電極の形状のみが実施形態2に係る電子部品と異なるため、他の構成については説明を繰り返さない。
【0107】
(実施形態4)
図19は、本発明の実施形態4に電子部品に含まれる基板型の端子の元となるマザー基板を第2主面側から見た図である。図20は、本実施形態において、切断されたマザー基板を第2主面側から見た図である。
【0108】
図19,20に示すように、仮想線であるカットラインCL1,CL2に沿ってマザー基板200dを切断することにより、マザー基板200dが基板型の端子20dに個片化される。
【0109】
図19に示すように、本実施形態に係る電子部品に含まれる基板型の端子の元となるマザー基板200dにおいては、第1主面210aの配線パターンと同様に、第2主面210bの配線パターンが、複数の電極230を連結部230eによって連結させた形状となっている。
【0110】
図19,20に示すように、マザー基板200dの第2主面210bにおいては、カットラインCL1上に連結部230eが位置しているため、連結部230eは、ダイシングブレード1によって切断される。
【0111】
図20に示すように、本実施形態に係る基板型の端子20dの第2主面21bにおいては、連結部230eの切断部が周面隣接部23eとなり、連結部230eが切断された後の電極230が、接続電極23となる。連結部230eの切断部のばりが、接続電極23のばりとなる。すなわち、本実施形態においては、接続電極23が、周面隣接部23eを含んでいる。
【0112】
本実施形態においては、ダイシングブレード1によって、第2主面210b側からマザー基板200dを切断する。
【0113】
この場合、ダイシングブレード1によって連結部220eが切断される際に、連結部220eの下側に絶縁性基板210が位置していないため、連結部220eの切断部はダイシングブレード1によって引き延ばされる。そのため、連結部220eの切断部にばりが発生することがある。
【0114】
一方、ダイシングブレード1によって連結部230eが切断される際に、連結部230eの下側に絶縁性基板210が位置しているため、連結部230eの切断部がダイシングブレード1によって引き延ばされることを絶縁性基板210によって阻害することができる。その結果、連結部230eの切断部が引き延ばされてばりが発生することを抑制できる。
【0115】
本実施形態に係る電子部品においては、実装電極22のばりが発生したとしても、実装電極22の周面隣接部22eの少なくとも一部を導電膜30によって覆っている。
【0116】
すなわち、本実施形態に係る電子部品においては、接続電極23の周面隣接部23eにおけるばりの発生を抑制しつつ、実装電極22の周面隣接部22eの少なくとも一部を導電膜30によって覆うことにより、実装電極22のばりおよび接続電極23のばりによる電子部品実装上の不具合の発生を抑制できる。
【0117】
図19に示すように、本実施形態に係るマザー基板200dにおいては、実施形態3に係るマザー基板200cに比較して、マザー基板の長さ方向における連結部230eの長さの寸法が大きい。
【0118】
図20に示すように、本実施形態に係る基板型の端子20dにおいては、実施形態3に係る基板型の端子20cに比較して、絶縁性基板21の長さ方向における周面隣接部23eの長さの最大寸法が大きい。
【0119】
本実施形態に係る電子部品においては、実施形態3に係る電子部品に比較して、接続電極23とランド91との接合面積を大きくすることができるため、基板型の端子20dと回路基板90との接合強度を高くすることができる。
【0120】
以下、本発明の実施形態5に係る電子部品について図を参照して説明する。本実施形態に係る電子部品は、貫通電極の形状および位置が主に実施形態1に係る電子部品100a,100bと異なるため、他の構成については説明を繰り返さない。
【0121】
(実施形態5)
図21は、本発明の実施形態5に係る電子部品に含まれる基板型の端子の元となるマザー基板を第1主面側から見た図である。図22は、本実施形態に係る電子部品に含まれる基板型の端子の元となるマザー基板を第2主面側から見た図である。
【0122】
図21,22に示すように、本発明の実施形態5に係る電子部品に含まれる基板型の端子の元となるマザー基板200eにおいては、ビアホール240が、電極220および電極230の各々の略中心に位置して、電極220と電極230とを導通させている。ビアホール240は、銅などの導電材料により内部を埋められている。
【0123】
図23は、本実施形態において、切断されたマザー基板を第1主面側から見た図である。図24は、本実施形態において、切断されたマザー基板を第2主面側から見た図である。
【0124】
図23,24に示すように、仮想線であるカットラインCL1,CL2に沿ってマザー基板200eを切断することにより、マザー基板200eが基板型の端子20eに個片化される。
【0125】
本実施形態に係る基板型の端子20eにおいては、円柱状の貫通電極24が、実装電極22および接続電極23の各々の略中心に位置している。その結果、本実施形態に係る電子部品においては、実施形態1に係る電子部品100a,100bに比較して、平面視にて貫通電極24がコンデンサ素子10a,10bの中央側に位置しているため、電子部品におけるループインダクタンスを低減できる。
【0126】
以下、本発明の実施形態6に係る電子部品について図を参照して説明する。本実施形態に係る電子部品は、周面隣接部の位置が主に実施形態5に係る電子部品と異なるため、他の構成については説明を繰り返さない。
【0127】
(実施形態6)
図25は、本発明の実施形態6に係る電子部品に含まれる基板型の端子の元となるマザー基板を第1主面側から見た図である。図26は、本実施形態に係る電子部品に含まれる基板型の端子の元となるマザー基板を第2主面側から見た図である。
【0128】
図25,26に示すように、本発明の実施形態6に係る電子部品に含まれる基板型の端子の元となるマザー基板200fにおいては、連結部220eが、マザー基板200fの幅方向と、マザー基板200fの長さ方向とに、交互に直線状に延びている。同様に、連結部230eが、マザー基板200fの幅方向と、マザー基板200fの長さ方向とに、交互に直線状に延びている。これにより、金属めっきの際に、電極220、電極230およびビアホール240の全てに直流電流を流すことができる。
【0129】
図27は、本実施形態において、切断されたマザー基板を第1主面側から見た図である。図28は、本実施形態において、切断されたマザー基板を第2主面側から見た図である。
【0130】
図27,28に示すように、仮想線であるカットラインCL1,CL2に沿ってマザー基板200eを切断することにより、マザー基板200fが基板型の端子20fに個片化される。
【0131】
マザー基板200fの第1主面210aにおいては、カットラインCL1上およびカットラインCL2上に連結部220eが位置しているため、連結部220eは、ダイシングブレード1によって切断される。
【0132】
マザー基板200fの第2主面210bにおいては、カットラインCL1上およびカットラインCL2上に連結部230eが位置しているため、連結部220eは、ダイシングブレード1によって切断される。
【0133】
本実施形態においては、ダイシングブレード1によって、第2主面210b側からマザー基板200fを切断する。
【0134】
この場合、ダイシングブレード1によって連結部220eが切断される際に、連結部220eの下側に絶縁性基板210が位置していないため、連結部220eの切断部はダイシングブレード1によって引き延ばされる。そのため、連結部220eの切断部にばりが発生することがある。
【0135】
一方、ダイシングブレード1によって連結部230eが切断される際に、連結部230eの下側に絶縁性基板210が位置しているため、連結部230eの切断部がダイシングブレード1によって引き延ばされることを絶縁性基板210によって阻害することができる。その結果、連結部230eの切断部が引き延ばされてばりが発生することを抑制できる。
【0136】
本実施形態に係る電子部品においては、実装電極22のばりが発生したとしても、導電膜30が、基板型の端子20fの側面および端面の両方において、周面隣接部22eの少なくとも一部を覆っている。
【0137】
すなわち、本実施形態に係る電子部品においては、接続電極23の周面隣接部23eにおけるばりの発生を抑制しつつ、実装電極22の周面隣接部22eの少なくとも一部を導電膜30によって覆うことにより、実装電極22のばりおよび接続電極23のばりによる電子部品実装上の不具合の発生を抑制できる。
【0138】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0139】
1 ダイシングブレード、10a,10b コンデンサ素子、11a,11b 積層体、12 内部電極、13 誘電体層、14 外部電極、20,20b,20c,20d,20e,20f 端子型の基板、21,210 絶縁性基板、21a,210a 第1主面、21b,210b 第2主面、21c 側面、21d 端面、21s 切欠、22 実装電極、22e,23e 周面隣接部、23 接続電極、24 貫通電極、30 導電膜、90 回路基板、91 ランド、100a,100b 電子部品、200a,200b,200c,200d,200e,200f マザー基板、220,230 電極、220e,230e 連結部、240 ビアホール、CL1,CL2 カットライン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
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図28