特許第6011574号(P6011574)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011574
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】積層セラミックコンデンサ
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/232 20060101AFI20161006BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   H01G4/12 352
   H01G4/12 361
   H01G4/30 301C
   H01G4/30 301F
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-80973(P2014-80973)
(22)【出願日】2014年4月10日
(65)【公開番号】特開2015-29050(P2015-29050A)
(43)【公開日】2015年2月12日
【審査請求日】2015年10月7日
(31)【優先権主張番号】特願2013-135327(P2013-135327)
(32)【優先日】2013年6月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(74)【代理人】
【識別番号】100167966
【弁理士】
【氏名又は名称】扇谷 一
(72)【発明者】
【氏名】勝田 誠司
(72)【発明者】
【氏名】海沼 泰明
(72)【発明者】
【氏名】長岡 達也
(72)【発明者】
【氏名】元木 章博
(72)【発明者】
【氏名】児玉 悟史
【審査官】 小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−243835(JP,A)
【文献】 特開平01−289231(JP,A)
【文献】 特開平09−270342(JP,A)
【文献】 特開2005−108966(JP,A)
【文献】 特開2000−299243(JP,A)
【文献】 特開平05−283273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/12
H01G 4/232
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の積層されたセラミック層を含み、互いに対向する主面と、互いに対向する側面と、互いに対向する端面とを有するセラミック素体、
前記セラミック素体内部に配置され、前記セラミック素体の前記端面に露出した露出部を有する内部電極、および
前記内部電極の露出部に接続されるようにして前記セラミック素体の前記端面に形成されるとともに、前記セラミック素体の前記端面から両主面および両側面に回り込むように形成される一対の外部電極を含み、
前記外部電極は、前記セラミック素体上に形成される下地電極層と、前記下地電極層上にNiめっきからなる中間電極層と、前記中間電極層上にPdめっきまたはPd−Ni合金からなる上層電極層とを含み、
前記セラミック素体の前記主面および前記側面に形成された前記中間電極層の厚みが、前記セラミック素体の端面に形成された前記中間電極層の厚みより大きく、
前記セラミック素体の主面および側面に形成される前記中間層の厚みは、前記セラミック素体の端面に形成される前記中間層の厚みの120%以上で300%以下である、ことを特徴とする、積層セラミックコンデンサ
【請求項2】
前記積層セラミックコンデンサの実装面における前記外部電極の最下点から前記セラミック素体の表面までの距離(スタンドオフ)が10.1μm以上20.1μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、積層セラミック電子部品に関し、特にたとえば、積層体の両端面に外部電極が形成された積層セラミック電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器内部に搭載された配線基板上に、セラミック電子部品などの電子部品が多数実装されるようになってきている。従来、これらの電子部品の配線基板への実装には、Pbを含む半田が一般的に使用されてきたが、近年、環境負荷を軽減する観点からPbを用いずに電子部品の実装を行う試みが盛んに行われている。
【0003】
Pbを用いずに電子部品を配線基板上に実装する方法としては、例えば、エポキシ系熱硬化性樹脂などの熱硬化性樹脂に金属フィラーなどの導電性微粒子を添加した導電性接着剤やPbフリー半田などを用いて電子部品の実装を行う方法が知られている。このような実装に適した積層セラミック電子部品として、NiまたはNi合金からなる内部電極を有するセラミック素体を有し、その端面に、CuまたはCu合金を主成分とする下地電極が形成され、その上に、AgまたはAg合金を主成分とする最外部電極層が形成された外部電極を有する電子部品が開示されている。このような電子部品では、外部電極の最外部電極層にAgを含む電極層を形成することにより、外部電極と導電性接着剤との親和性を高めることができ、電子部品の実装強度を高めることができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−158137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているような積層セラミック電子部品では、Agのマイグレーションに起因して、外部電極間の短絡不良が生じる恐れがある。特に、自動車のエレクトリックコントロールユニット(ECU)の内部またはECUの近傍で使用される場合などにおいては、電子部品がおかれる雰囲気の温度が150℃以上という高温になる場合がある。このような雰囲気中で特許文献1に記載の積層セラミック電子部品を使用すると、Agのマイグレーションに起因した短絡不良が生じやすい。
【0006】
また、図6に示すように、配線基板1のランド2上に導電性接着剤3を塗布し、その上に積層セラミック電子部品4を実装する際に、導電性接着剤3上に積層セラミック電子部品4をマウントすることによって導電性接着剤3が押しつぶされ、セラミック素体5の表面上やセラミック素体5と配線基板1との間に濡れ広がったり、毛細管現象によりセラミック素体5の表面を伝って導電性接着剤3がセラミック素体5の表面上に滲み出し、導電性接着剤3によって外部電極6間が繋がって、短絡不良が発生する場合がある。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、Agのマイグレーションを防止し、実装時における導電性接着剤の滲み出しや、外部電極間における導電性接着剤の接触による短絡不良が発生しにくい積層セラミック電子部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、複数の積層されたセラミック層を含み、互いに対向する主面と、互いに対向する側面と、互いに対向する端面とを有するセラミック素体、セラミック素体内部に配置され、セラミック素体の端面に露出した露出部を有する内部電極、および内部電極の露出部に接続されるようにしてセラミック素体の端面に形成されるとともに、セラミック素体の端面から両主面および両側面に回り込むように形成される一対の外部電極を含み、外部電極は、セラミック素体上に形成される下地電極層と、下地電極層上にNiめっきからなる中間電極層と、中間電極層上にPdめっきまたはPd−Ni合金からなる上層電極層とを含み、セラミック素体の主面および側面に形成された中間電極層の厚みが、セラミック素体の端面に形成された中間電極層の厚みより大きいことを特徴とする、積層セラミック電子部品である。
外部電極の最外層をAgを使わないPd電極またはPd−Ni合金電極とすることにより、導電性接着剤による実装に対応する積層セラミック電子部品でありながら、マイグレーションの発生を防止することができる。また、セラミック素体の主面よび側面における中間電極層の厚みがセラミック素体の端面における中間電極層の厚みより大きく形成されることにより、配線基板実装面の接着剤に接触する部分の外部電極の厚みを大きくすることができる。そのため、積層セラミック電子部品の実装面における外部電極の最下点からセラミック素体の表面までの間隔(スタンドオフ)を十分に確保することができる。したがって、積層セラミック電子部品を導電性接着剤によって配線基板に実装する際に、導電性接着剤の積層セラミック電子部品への濡れ広がり(滲み出し)を抑制することができる。そのため、短絡不良の発生しにくい積層セラミック電子部品を得ることができる。なお、外部電極の最外層をPd電極またはPd−Ni合金電極とすることにより、半田実装やワイヤボンディング実装にも適応可能であり、導電性接着剤実装と組み合わせた実装(例えば、導電性接着剤実装とワイヤボンディング実装との組み合わせ)などにも適用可能である。
【0009】
このような積層セラミック電子部品において、セラミック素体の主面および側面に形成される中間電極層の厚みは、セラミック素体の端面に形成される中間電極層の厚みの120%以上で300%以下であることが好ましい。
セラミック素体の主面および側面に形成される中間電極層の厚みがセラミック素体の端面に形成される中間電極層の厚みの120%未満である場合、積層セラミック電子部品の実装面における外部電極の最下点からセラミック素体の表面までの間隔を十分に確保することができず、実装時における導電性接着剤の濡れ広がりなどを抑制することができない可能性がある。また、セラミック素体の主面および側面に形成される中間電極層の厚みがセラミック素体の端面に形成される中間電極層の厚みの300%を超える場合、温度サイクル試験において、めっきの引っ張り応力のために、セラミック素体にクラックが発生する可能性がある。
【0010】
また、この発明は、複数の積層されたセラミック層を含み、互いに対向する主面と、互いに対向する側面と、互いに対向する端面とを有するセラミック素体と、セラミック素体内部に配置され、セラミック素体の端面に露出した露出部を有する内部電極と、内部電極の露出部に接続されるようにしてセラミック素体の端面に形成されるとともに、セラミック素体の端面から両主面および両側面に回り込むように形成される一対の外部電極とを含み、外部電極は、セラミック素体上に形成される下地電極層と、下地電極層上にNiめっきからなる中間電極層と、中間電極層上にPdめっきまたはPd−Ni合金からなる上層電極層とを含み、セラミック素体の主面および側面に形成された中間電極層の厚みが、セラミック素体の端面に形成された中間電極層の厚みより大きい積層セラミック電子部品と、一対の外部電極とそれぞれ電気的に接続される一対のランドを有する実装基板と、一対の外部電極と実装基板の一対のランドとを接合する一対の導電性接着剤とを備え、一対の外部電極が一対の導電性接着剤によって実装基板に実装されている、積層セラミック電子部品の実装構造であって、積層セラミック電子部品の実装面における外部電極の最下点からセラミック素体の表面までの距離(スタンドオフ)が10.1μm以上20.1μm以下であることを特徴とする、積層セラミック電子部品の実装構造である。
導電性接着剤を用いることにより、実装基板のランドに積層セラミック電子部品の外部電極が接続されることにより、積層セラミック電子部品の実装構造が得られる。導電性接着剤は、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂にAgなどの金属フィラーを配合した組成を有し、流動性を有する導電性接着剤を用いて積層セラミック電子部品の外部電極を実装基板のランド上に配置し、加熱により導電性接着剤を硬化させることにより、外部電極とランドとを接合させている。加熱前の導電性接着剤は流動性を有するため、導電性接着剤を介してランド上に外部電極を押し付けるとき、セラミック素体の表面上やセラミック素体と実装基板との間に濡れ広がったり、毛細管現象によりセラミック素体の表面を伝って導電性接着剤がセラミック素体の表面に滲み出すことになる。しかしながら、セラミック素体の主面および側面における中間層の厚みをセラミック素体の端面における中間層の厚みより大きく形成して、積層セラミック電子部品の実装面における外部電極の最下点からセラミック素体の表面までの間隔(スタンドオフ)を10.1μm以上20.1μm以下の範囲となるように十分に確保することにより、積層セラミック電子部品の実装時における導電性接着剤の濡れ広がり(滲み出し)を抑制することができる。そのため、短絡不良の少ない積層セラミック電子部品の実装構造を得ることができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、配線基板に積層セラミック電子部品を実装する際に、導電性接着剤の滲み出しや、それに伴う短絡不良が発生しにくく、Agのマイグレーションが発生しない積層セラミック電子部品を得ることができる。
【0012】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の積層セラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサを示す斜視図である。
図2図1に示す積層セラミックコンデンサの平面図である。
図3図1に示す積層セラミックコンデンサの断面図である。
図4図1に示す積層セラミミックコンデンサの外部電極の構造を示す図解図である。
図5】積層セラミック電子部品を配線基板に実装した状態を示す図解図である。
図6】配線基板上に導電性接着剤で積層セラミック電子部品を実装したときに生じる導電性接着剤の動きを示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1はこの発明の積層セラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサを示す斜視図であり、図2はその平面図である。積層セラミックコンデンサ10は、略直方体状のセラミック素体12を含む。セラミック素体12は、対向する2つの主面(長手方向Lと幅方向Wとで囲まれた面)14a,14b、対向する2つの側面(長手方向Lと厚み方向Tとで囲まれた面)16a,16bおよび対向する2つの端面(幅方向Wと厚み方向Tとで囲まれた面)18a,18bを有する。この場合、セラミック素体12のコーナー部および稜線部に丸みが形成されていることが好ましい。なお、図1では、セラミック素体12が直方体状に形成されているが、積層セラミック電子部品の種類によって、直方体以外の形状のセラミック素体12とすることもできる。
【0015】
セラミック素体12の材料としては、例えば、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、CaZrO3などの主成分からなる誘電体セラミックを用いることができる。また、これらの主成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの副成分を添加したものを用いてもよい。そのほか、PZT系セラミックなどの圧電体セラミック、スピネル系セラミックなどの半導体セラミック、フェライトなどの磁性体セラミックなどを用いることもできる。
【0016】
セラミック素体12の内部には、図3に示すように、略矩形状の複数の第1の内部電極20aおよび第2の内部電極20bが、セラミック素体12の厚み方向Tに沿って等間隔で交互に配置されている。第1の内部電極20aの端部は、セラミック素体12の一方の端面18aに露出し、第2の内部電極20bの端部は、セラミック素体12の他方の端面18bに露出している。第1の内部電極20aの主面と第2の内部電極20bの主面とは、セラミック積層体12の主面14a,14bに平行に配置され、かつ、それぞれが互いに平行に配置されている。したがって、第1の内部電極20aと第2の内部電極20bとは、セラミック素体12の厚み方向Tにおいて、セラミック層を介して互いに対向している。
【0017】
第1の内部電極20aおよび第2の内部電極20bの厚さは、特に限定されない。第1の内部電極20aおよび第2の内部電極20bの厚みは、例えば、0.2μm〜2μmとすることができる。第1の内部電極20aおよび第2の内部電極20bは、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Auなどの金属や、これらの金属の一種を含む例えばAg−Pd合金などにより構成することができる。
【0018】
なお、この実施形態のセラミック素体12では、第1の内部電極20aと第2の内部電極20bとが誘電体セラミック層を介して互いに平行に配置されることにより、積層セラミックコンデンサ用のセラミック素体となっているが、圧電体セラミック層を用いた場合は圧電部品として機能し、半導体セラミック層を用いた場合はサーミスタとして機能し、磁性体セラミック層を用いた場合はインダクタとして機能する。ただし、セラミック層の厚みは、0.5〜10μmであることが好ましい。
【0019】
セラミック素体12の第1の端面18aには、第1の外部電極22aが形成され、セラミック素体12の第2の端面18bには、第2の外部電極22bが形成される。第1の外部電極22aおよび第2の外部電極22bは、それぞれ、セラミック素体12の第1の端面18aから両主面14a,14bおよび両側面16a,16bに回り込むように形成される。第1の外部電極22aおよび第2の外部電極22bは、図4に示すように、それぞれ、下地電極層24、下地電極層24の上に形成される中間電極層26および中間電極層の上に形成される上層電極層28を含む。なお、図4では、一方の外部電極28aについいて示してあるが、他方の外部電極28bにおいても、同様の構成を有している。
【0020】
下地電極層24は、セラミック素体12の2つの端面18a,18bに露出した第1の内部電極20aおよび第2の内部電極20bに接続されるように形成される。下地電極層24は、ガラス成分と金属成分とを含む。下地金属層24に用いられる金属としては、例えば、Cu,Ni,Ag,Pd,Ag−Pd合金,Auなどを用いることができる。下地電極層24の厚みは、実装時の下面側(例えば、セラミック素体12の主面14a,14b側)において、1〜15μmであることが好ましい。
【0021】
また、中間層26は、Niめっき膜によって形成される。Niめっき膜を形成することにより、中間電極層26上に形成される上層電極層28のPdめっき膜を形成するためのPdめっき浴に浸漬しても、上層電極層28用のPdめっき浴に下地電極層24が溶け込まないようにすることができる。また、Niめっき膜を形成することにより、下地電極層24の表面の凹凸部分やガラス成分の偏析部分などのめっき付きの悪い部分を覆うことができ、その表面を平滑にすることができるため、上層電極層のつき回りをよくすることが可能になり、Pdめっき膜の薄付けを可能にすることができる。セラミック素体12の端面18a,18bに形成される中間電極層26の厚みは、2〜10μmであることが好ましい。また、セラミック素体12の主面14a,14bおよび側面16a,16bに形成される中間電極層26の厚みは、5〜20μmであることが好ましい。
【0022】
また、上層電極層28は、Pdめっき膜またはPd−Niの合金膜によって形成される。第1の外部電極22aおよび第2の外部電極22bの最外層をPdめっき膜またはPd−Niの合金膜で形成することにより、配線基板に実装するための導電性接着剤に用いられているAgなどの金属フィラーとの電気的接合の信頼性を確保することができ、導電性接着剤対応とすることができる。上層電極層28のめっきとしてSn等の卑金属を使用していると、ガルバニック腐食や酸化の問題で、接合信頼性が得られない。また、Pdめっき膜やPd−Ni合金膜はAgを含まないので、マイグレーションを抑制することができる。上層電極層28の厚みは、0.01〜0.5μmであることが好ましい。
【0023】
なお、セラミック素体12の主面14a,14bおよび側面16a,16bに形成される中間電極層26の厚みは、セラミック素体12の端面18a,18bに形成される中間電極層26の厚みより大きい。これにより、積層セラミックコンデンサ10の長手方向の寸法を必要以上に大きくすることなく、配線基板の実装面における積層セラミックコンデンサ10の外部電極22a,22bの厚みを大きくすることができる。
【0024】
この積層セラミックコンデンサ10は、図5に示すように、セラミック素体12の主面14a,14bまたは側面16a,16bが実装基板としての配線基板30と対向するように実装される。このとき、配線基板30に形成された第1のランド32a、第2のランド32b上に積層セラミックコンデンサ10の第1の外部電極22a、第2の外部電極22bが載置され、第1の導電性接着剤34a、第2の導電性接着剤34bによって外部電極22a,22bとランド32a,32bとが固着される。
【0025】
導電性接着剤34a,34bは、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂にAgなどの金属フィラーを配合した組成を有する。外部電極22a,22bとランド32a,32bとの接合に際しては、流動性を有する未硬化の導電性接着剤34a,34bを介して外部電極22a,22bをランド34a,34b上に配置し、加熱することにより、導電性接着剤34a,34bが硬化させられる。
【0026】
このような積層セラミックコンデンサ10の実装構造において、セラミック素体12の主面14a,14bおよび側面16a,16bに形成される中間電極層26の厚みをセラミック素体12の端面18a,18bに形成される中間電極層26の厚みより大きくすることにより、積層セラミックコンデンサ10の実装面における外部電極22a,22bの最下点からセラミック素体12の表面までの距離(スタドオフ)を十分に確保することができる。ここで、スタンドオフは、10.1μm以上20.1μm以下であることが好ましい。このように、スタンドオフを十分に確保することにより、導電性接着剤34a,34bを用いて積層セラミックコンデンサ10を配線基板30に実装する際に、導電性接着剤34a,34bの積層セラミックコンデンサ10への濡れ広がり(滲み出し)を抑制することができる。なお、ここでは、積層セラミックコンデンサ10について、その実装面における外部電極22a,22bの最下点からセラミック素体12の表面までの距離をスタドオフと呼んでいるが、一般的に、積層セラミック電子部品の実装面における外部電極の最下点からセラミック素体の表面までの距離をスタンドオフと呼んでいる。
【0027】
上述のような範囲のスタンドオフを確保するために、セラミック素体12の主面14a,14bおよび側面16a,16bに形成される中間電極層26の厚みは、セラミック素体12の端面18a,18bに形成される中間電極層26の厚みの120%以上、300%以下であることが好ましい。セラミック素体12の主面14a,14bおよび側面16a,16bに形成される中間電極層26の厚みが、セラミック素体12の端面18a,18bに形成される中間電極層26の厚みの120%未満である場合、積層セラミックコンデンサ10の実装面における外部電極22a,22bの最下点からセラミック素体12までの距離を十分に確保することができない。そのため、積層セラミックコンデンサ10を導電性接着剤上に実装する際に、導電性接着剤が押し潰されることによって生じる導電性接着剤のセラミック素体12への濡れ広がりや、毛細管現象によって生じるセラミック素体12への導電性接着剤の滲み出しを十分に抑制することができず、短絡不良が生じる可能性がある。また、セラミック素体12の主面14a,14bおよび側面16a,16bに形成される中間電極層26の厚みが、セラミック素体12の端面18a,18bに形成される中間電極層26の厚みの300%を超える場合、温度サイクル試験において、めっきの引っ張り応力でセラミック素体12にクラックが発生するという問題が生じる場合がある。
【0028】
なお、中間電極層26の厚みは、セラミック素体12の長手方向に沿って、主面14a,14bの幅方向の中央部まで断面研磨し、その断面における片側の外部電極の端面中央部における中間電極層26の厚み、およびセラミック素体12の実装面側の側面中央部に位置する中間電極層26の厚みを示す。
【0029】
このように、セラミック素体12の主面14a,14b、側面16a,16bと端面18a,18bとで中間電極層26の厚みを変えるために、例えば次のような方法が採用される。バレルめっきにおいて、充填されるセラミック素体12と金属メディアの配合量の比率を、セラミック素体14が全体の40%以上となるようにして、バレル容積の1/3以上充填する。この状態で、バレル容器を20rpm以下の低速で回転させると、バレル容器内においてセラミック素体12の長手方向が横に寝た状態で整列したままめっきされる確率が高くなって、セラミック素体12の主面および側面におけるめっき付着が多くなる。そのため、セラミック素体12の端面18a,18bに対する主面14a,14bおよび側面16a,16bにおける中間電極層26の厚みを大きくすることができる。
なお、上記のバレルめっき時のセラミック素体12は下地電極層が形成された状態のものを示している。
【0030】
積層セラミックコンデンサ10の実装時におけるセラミック素体12の配線基板30側の面から配線基板30のランド32a,32bに接触する外部電極22a,22bの最下面までの距離は、10〜50μmであることが好ましい。セラミック素体12の面から外部電極22a,22bの最下面までの距離が10μmより小さい場合、セラミック素体12から配線基板30のランド32a,32bまでの距離(下地電極層+中間電極層+上層電極層の厚み)を十分に確保することができない。そのため、積層セラミックコンデンサ10を導電性接着剤上に実装する際に、導電性接着剤が押し潰されることによって生じる導電性接着剤のセラミック素体12への濡れ広がりや、毛細管現象によって生じるセラミック素体12への導電性接着剤の滲み出しを十分に抑制することができず、短絡不良が生じる可能性がある。また、セラミック素体12の面から外部電極22a,22bの最下面までの距離が50μmを超える場合、セラミック素体12の面から外部電極22a,22bの最下面までの距離(下地電極層+中間電極層+上層電極層の厚み)が50μmより大きくなる場合、温度サイクル試験において、めっきの引っ張り応力でセラミック素体12にクラックが発生するという問題が生じる場合がある
【0031】
なお、下地電極層24の厚みでスタンドオフを調整しない理由としては、下地電極材料を数回に分けてセラミック素体12にディップ形成、乾燥、焼付けを行う必要があり、生産コストが高くなってしまうためである。また、上層電極層28の厚みでスタンドオフを調整しない理由としては、Pdの材料コストが高くなってしまうためである。
【0032】
このような積層セラミックコンデンサ10を製造するために、セラミック素体12を構成するためのセラミック材料を含むセラミックグリーンシートが準備される。次に、セラミックグリーンシート上に、導電性ペーストを塗布して、第1の内部電極20aおよび第2の内部電極20bに対応する導電パターンが形成される。導電性ペーストの塗布は、例えば、スクリーン印刷法などの各種印刷法により行うことができる。導電性ペーストは、導電性微粒子の他に、公知のバインダーや溶剤を含んでいてもよい。
【0033】
導電パターンが形成されていない複数のセラミックグリーシート、第1または第2の内部電極22a,22bに対応した形状の導電パターンが形成されたセラミックグリーンシート、および導電パターンが形成されていない複数のセラミックグリーンシートがこの順で積層され、積層方向にプレスすることにより、マザー積層体が作製される。
【0034】
マザー積層体上の仮想のカットラインに沿ってマザー積層体をカットすることにより、複数の生のセラミック素体が作製される。なお、マザー積層体のカッティングは、ダイシングや押切りにより行うことができる。さらに、生のセラミック素体に対してバレル研磨などを施し、稜線部や角部を丸めてもよい。
【0035】
生のセミック素体を焼成することにより、第1の内部電極20aおよび第2の内部電極20bが形成されたセラミック素体12が得られる。このときの焼成温度は、例えば、900℃〜1300℃とすることができる。
【0036】
焼成後のセラミック素体12の両端面18a,18bから主面14a,14bおよび側面16a,16bにかかるようにして、ディッピングなどの方法により金属ペーストを塗布し、焼き付けることにより、下地電極層24が形成される。金属ペーストの焼付け温度は、700〜900℃であることが好ましい。
【0037】
下地電極層24上に、中間電極層26が形成される。このとき、積層セラミック素体12の充填量を多めにすることで、セラミック素体12の主面側および側面側における中間電極層26の厚みを大きくすることができる。具体的には、バレルめっきにおいて、充填されるセラミック素体12と金属メディアの総量に対するセラミック素体12の配合量が40%以上となるようにして、バレル容器の1/3以上充填する。この状態で、バレル容器を20rpm以下の低速で回転させると、バレル内においてセラミック素体12の長手方向が横に寝た状態で整列したままめっきされる確率が高くなって、セラミック素体12の主面および側面におけるめっき付着量が多くなる。そのため、セラミック素体12の端面14a,14bに対する主面14a,14bおよび側面16a,16bにおける中間電極層26の厚みを大きくすることができる。
なお、上記のバレルめっき時のセラミック素体12は下地電極層が形成された状態のものを示している。
【0038】
さらに、中間電極層26上に、上層電極層28を形成することにより、積層セラミックコンデンサ10が作製される。
【0039】
この積層セラミックコンデンサ10では、第1の外部電極22aおよび第2の外部電極22bの上層電極層28としてPdやPd−Ni合金が用いられているため、Agのマイグレーションが発生しない。また、セラミック素体12の主面、側面と端面とにおける外部電極22a,22bの厚みの比率を一定の範囲内とすることにより、積層セラミックコンデンサ10を配線基板30に実装する際に、導電性接着剤の濡れ広がりや滲み出しを防止することができるとともに、外部電極22a,22bの応力によるセラミック素体12へのクラックの発生を抑制することができる。したがって、短絡不良の生じにくい積層セラミック電子部品を得ることができるとともに、配線基板30に実装したときに破損しにくい積層セラミック電子部品の実装構造を得ることができる。
【実施例1】
【0040】
積層セラミックコンデンサ用のセラミック素体として、BaTiO3からなるセラミック層と、Niからなる内部電極とを有し、チップサイズL×W×T=1.0mm×0.5mm×0.5mmのセラミック素体を準備した。ここで、Cuからなる下地電極層の厚みは、セラミック素体の端面中央部において30μmであり、主面および側面において5μmである。また、中間電極層の厚みは、セラミック素体の端面中央部において5μmである。また、上層電極層の厚みは、セラミック素体の端面中央部において0.1μmであり、主面および側面において0.1μmである。中間電極層はNiめっきで形成し、ワット浴を用いてメディアサイズ:φ0.5mm、めっき時間を60分としてNiめっき層を形成した。その他の条件は表1に示す。また、上層電極層はPdめっきで形成し、電界めっき用Pd浴を用いて、メディアサイズ:φ0.5mm、めっき時間20分としてPdめっき層を形成した。なお、上記のめっき条件のほか、中間電極層を形成する際のめっきのバレル内のセラミック素体の充填率、セラミック素体体積/(セラミック素体体積+金属メディアの体積)をコントロールすることにより、第1の中間電極層の主面、側面厚み/端面厚み(%)を実現している。
【0041】
このようなセラミック素体において、表1に示すように、その主面および側面と端面との間における中間電極層の厚みの比率を変えて、実施例1〜実施例5とした。また、セラミック素体の主面および側面と端面との間における中間電極層の厚みを等しくして、比較例1とした。さらに、セラミック素体の端面における中間電極層の厚みに対する主面および側面における中間電極層の厚みが、この発明の上限を超えるようにして、比較例2とした。また、Cuからなる下地電極層と、下地電極層上にAg−Pd合金で形成された厚膜電極とで外部電極を形成し、セラミック素体の端面中央部における外部電極厚が50μmで、主面および側面における外部電極厚が5μmとした積層セラミックコンデンサを比較例3とした。
【0042】
上記各サンプルを、Agからなる第1、第2のランド32a,32bが上面に形成されたアルミナからなる配線基板30上に導電性接着剤34a,34bを用いて実装した。導電性接着剤34a,34bとしては、エポキシ樹脂にAg粉末を約50体積%の割合で含む導電性接着剤を用いた。第1、第2のランド32a,32b上に未硬化の導電性接着剤34a,34bを塗布し、しかる後、各サンプルを採取し、140℃の温度で30分、加熱し、硬化させた。このようにして、各サンプルの実装構造を得た。
【0043】
中間電極層の厚みの測定方法としては、上記で得られた各試料において、試料の長さ方向Lに沿って、試料の主面の幅方向中央部まで断面研磨し、その面における片側の外部電極の端面中央部、実装面側の側面における外部電極中央部に位置する中間電極層の厚みを光学顕微鏡によって測定し、そこから比率を算出した。
【0044】
これらの積層セラミックコンデンサについて、マイグレーションの確認、短絡不良の確認、熱衝撃サイクル試験およびクラックの確認を行った。
【0045】
マイグレーションの確認については、温度150℃のもとで各試料に32Vの電圧を2000時間印加し、高温負荷試験を行って、試験後の試料の電極間であるセラミック素体の変色の有無およびデンドライトの長さを確認し、試料の電極間の変色が見られるものおよびデンドライトの長さが50μm以上のものをマイグレーションとして判定した。
【0046】
短絡不良の確認については、IRメーター(SS−867)にて、DC25Vの条件で、各試料の抵抗値を測定した。抵抗値が1MΩ以下のものを短絡不良とし、評価母数に対する短絡不良数の割合をショート率とした。
【0047】
熱衝撃サイクル試験およびクラックの確認については、気槽−55℃30分保持と気槽150℃30分保持の繰り返しを2000サイクル実施し、熱衝撃サイクル試験を行った。熱衝撃サイクル試験実施後に、試料を基板実装面に対して垂直に、かつ試料の長手方向に沿って主面の幅方向の半分まで研磨し、その研磨面を金属顕微鏡100〜500倍の倍率で観察して、外部電極の折り返し部の縁部からセラミックへ進展しているクラックの有無を確認した。
【0048】
スタンドオフの距離の測定方法については、実装面となりうるセラミック素体表面から、同じ実装面となりうるセラミック素体表面に形成される外部電極の厚み方向において、実装面となりうるセラミック素体表面から最も離れているポイントまでの距離をレーザー変位計を用いて測定した。表1の値は、各サンプル20個分の平均値を示す。
【0049】
【表1】
【0050】
表1からわかるように、本発明では、外部電極の最外層をAgを使用しないPd電極とすることで、導電性接着剤対応としながら、マイグレーションの発生を防止することができる。また、セラミック素体の主面および側面に形成される中間電極層の厚みが端面上に形成される中間電極層の厚みより大きく形成されていることにより、基板実装面における外部電極の厚みを大きくすることができる。そのため、積層セラミック電子部品の実装面における外部電極の最下点からセラミック素体の表面までの距離(スタンドオフ)を十分に確保することができ、積層セラミック電子部品を導電性接着剤で配線基板に実装する際に、導電性接着剤の積層セラミック電子部品への濡れ広がり(滲み出し)を抑制することが可能になる。以上のことから、短絡不良の生じにくい積層セラミック電子部品を提供することができる。
なお、表1のセラミック素体は下地電極層が形成された状態のものを示す。
【符号の説明】
【0051】
10 積層セラミックコンデンサ
12 セラミック素体
20a 第1の内部電極
20b 第2の内部電極
22a 第1の外部電極
22b 第2の外部電極
24 下地電極層
26 中間電極層
28 上層電極層
30 配線基板
32a 第1のランド
32b 第2のランド
34a 第1の導電性接着剤
34b 第2の導電性接着剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6