特許第6011605号(P6011605)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011605
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20161006BHJP
   G06F 3/0488 20130101ALI20161006BHJP
   G06F 3/023 20060101ALI20161006BHJP
   H03M 11/04 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   G06F3/041 500
   G06F3/0488 160
   G06F3/023 310L
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-500046(P2014-500046)
(86)(22)【出願日】2012年11月28日
(86)【国際出願番号】JP2012080728
(87)【国際公開番号】WO2013121649
(87)【国際公開日】20130822
【審査請求日】2015年10月9日
(31)【優先権主張番号】特願2012-29441(P2012-29441)
(32)【優先日】2012年2月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】藤井 了
【審査官】 佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−048848(JP,A)
【文献】 特開2009−163500(JP,A)
【文献】 特開2005−050265(JP,A)
【文献】 特開平08−221201(JP,A)
【文献】 特開平05−080939(JP,A)
【文献】 特開2011−086194(JP,A)
【文献】 特開2007−184006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/023
G06F 3/0488
H03M 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに隣接した入力領域を表示する表示部と、
前記表示部への接触を検知する検知部と、
前記検知部が検知した接触に基づいた制御を行い、前記検知部が検知した接触位置が変化しない時間に応じた時間、前記検知部の検知の結果を無視する制御部とを有する情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、前記検知部が検知した接触位置が変化しない時間が長いほど、前記検知部の検知の結果を無視する無視時間を長い時間に設定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、前記検知部が検知した接触位置が変化しない時間に基づいて前記無視時間を算出する算出式の2回の微分値が常に正の値となる計算で、前記無視時間を算出して設定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1項に記載の情報処理装置において、
表示部を有し、
前記検知部は、前記表示部の表示面への接触を検知することを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
互いに隣接した入力領域を表示する表示部への接触を検知する処理と、
前記検知した接触に基づいた制御を行う処理と、
前記検知した接触位置が変化しない時間に応じた時間、前記検知の結果を無視する処理とを行う情報処理方法。
【請求項6】
コンピュータに、
互いに隣接した入力領域を表示する表示部への接触を検知する手順と、
前記検知した接触に基づいた制御を行う手順と、
前記検知した接触位置が変化しない時間に応じた時間、前記検知の結果を無視する手順とを実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を処理する情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネル式の携帯端末が使用されるようになり、そのような携帯端末に搭載されているタッチパネルは、4インチ程度の大きさのものが多い。
【0003】
このような大きさのタッチパネルに、文字入力のためのソフトウェアキーボードが表示される場合、一般的に、1つのキーの検出面積が、人間の指の大きさよりも小さなものが表示される。そのため、特に、情報を速く入力しなければならない時などは、この小さな領域に対して指を正確に接触させて情報を入力することは、容易なことではない。また、接触している指をタッチパネルから離す際に、指がタッチパネル上を滑ってしまい、その接触位置を移動させてしまうおそれがある。その場合、指を接触させていた位置と隣接する位置に表示されているキーに応じた情報が入力されてしまう。
【0004】
そこで、接触を検知している継続時間が、所定の時間に達した場合、その接触に応じた処理を行う技術が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−221201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたような技術においては、接触を行っていない状態から接触を行った場合であっても、所定の時間以上の接触を行わなければならず、情報の正確な入力を迅速に行うことができないという問題点がある。
【0007】
本発明の目的は、上述した課題を解決する情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の情報処理装置は、
接触を検知する検知部と、
前記検知部が検知した接触に基づいた制御を行い、前記検知部が検知した接触位置が変化しない時間に応じて、前記検知部の検知の結果を無視する制御部とを有する。
【0009】
また、本発明の情報処理方法は、
接触を検知する処理と、
前記検知した接触に基づいた制御を行う処理と、
前記検知した接触位置が変化しない時間に応じて、前記検知の結果を無視する処理とを行う。
【0010】
また、本発明のプログラムは、
コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
接触を検知する手順と、
前記検知した接触に基づいた制御を行う手順と、
前記検知した接触位置が変化しない時間に応じて、前記検知の結果を無視する手順とを実行させる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明においては、情報の正確な入力を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の情報処理装置の実施の一形態を示す図である。
図2】タッチパネル機能を具備したディスプレイが搭載された、図1に示した情報処理装置の外観の一例を示す図である。
図3図2に示した情報処理装置の内部構成の一例を示す図である。
図4図3に示した制御部の内部の詳細の一例を示す図である。
図5図3に示した情報処理装置における情報処理方法を説明するためのフローチャートである。
図6図4に示した表示部にソフトウェアキーボードが表示された様子の一例を示す図である。
図7図6に示すように表示部に表示されたソフトウェアキーボードの「T」のキーの表示領域に指が接触した様子の一例を示す図である。
図8図7に示した指を「T」の表示領域から離そうとして「Y」の表示領域に接触した様子の一例を示す図である。
図9図7に示した方向Aから見た接触の様子を示す図である。
図10図8に示した方向Aから見た接触の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の情報処理装置の実施の一形態を示す図である。
【0015】
本形態における情報処理装置100には図1に示すように、検知部110と、制御部120とが設けられている。
【0016】
検知部110は、例えば、タッチセンサ等であり、情報処理装置100の所定の部分への指やペン(例えば、スタイラスペン)等の物体の接触を検知する。
【0017】
制御部120は、検知部110が検知した接触に基づいた制御を行う。また、制御部120は、検知部110が接触を検知したとき、その検知した接触位置が変化しない、つまり、接触位置が動かない時間を計測し、計測した時間に応じて、その後の検知部110の検知の結果を無視する(当該検知に基づく制御は行わない)。このとき、制御部120は、接触位置が動かない時間に基づいて、検知部110の検知の結果を無視する時間を算出し、算出した時間だけ、検知部110の検知の結果を無視する。
【0018】
ここで、検知部110が接触を検知するのは、タッチパネルやタッチパッドへの接触であっても良く、接触を検知することで、その接触に応じた処理を行うことができるものであれば良い。
【0019】
以下、タッチパネル機能を具備したディスプレイへの接触を検知部110が検知するものを例に挙げて説明する。
【0020】
図2は、タッチパネル機能を具備したディスプレイが搭載された、図1に示した情報処理装置100の外観の一例を示す図である。
【0021】
図2に示すように、情報処理装置100には、情報を表示する表示部(ディスプレイ)130が搭載されている。この表示部130は、検知部110と共同することでタッチパネル機能を実現する。
【0022】
図3は、図2に示した情報処理装置100の内部構成の一例を示す図である。
【0023】
図2に示した情報処理装置100には図3に示すように、検知部110と、制御部120と、表示部130とが設けられている。
【0024】
表示部130は、情報を表示するディスプレイである。
【0025】
検知部110は、表示部130の表示面への物体の接触を検知する。
【0026】
制御部120は、表示部130における情報の表示を制御する。また、制御部120は、検知部110が検知した接触位置に表示されている情報に基づいた制御を行う。
【0027】
図4は、図3に示した制御部120の内部の詳細の一例を示す図である。
【0028】
図3に示した制御部120には図4に示すように、座標識別部121と、比較部122と、更新部123と、タイマ124と、主制御部125とが設けられている。
【0029】
座標識別部121は、検知部110が接触を検知した表示部130上の位置(座標)を識別する。この識別方法は、一般的な方法で構わない。
【0030】
比較部122は、座標識別部121が識別した座標(第1の座標)と、その後に、検知部110が接触を検知して座標識別部121が識別した座標(第2の座標)とを比較する。そして、比較部122は、比較の結果、第1の座標と第2の座標とが同じであるかどうかを判定する。第1の座標と第2の座標とが同じである場合、比較部122は、更新部123へ、制御部120が検知部110の検知の結果を無視する時間(無視時間)の更新を指示する。一方、第1の座標と第2の座標とが異なる場合、比較部122は、タイマ124へタイマの起動を指示し、主制御部125へ、その旨を通知する。
【0031】
更新部123は、比較部122から無視時間の更新を指示された場合、当該無視時間を更新する。この更新方法は、後述する。また、更新部123は、更新した時間をタイマ124へ通知する。
【0032】
タイマ124は、座標識別部121が座標を識別したときに起動し、第1の座標と第2の座標とが同じである時間を計測する。また、タイマ124は、比較部122からのタイマ起動の指示で起動し、更新部123から通知された時間に達した時に、その旨を主制御部125へ通知する。
【0033】
主制御部125は、比較部122からのタイマ起動の指示があったときから、タイマ124から通知があったときまでの間、検知部110の検知の結果を無視する。それ以外の時間では、主制御部125は、座標識別部121が識別した座標に表示されている情報に基づいた制御を行う。
【0034】
以下に、図3に示した情報処理装置100における情報処理方法について説明する。
【0035】
図5は、図3に示した情報処理装置100における情報処理方法を説明するためのフローチャートである。
【0036】
まず、ステップ1にて、更新部123が、無視時間xを初期値「0」に設定して保持する。
【0037】
その後、ステップ2にて、検知部110が接触を検知すると、座標識別部121が当該接触を検知した座標を識別し、比較部122へ出力する。このとき、タイマ124が起動し、経過時間の計測を開始する。
【0038】
すると、ステップ3にて、比較部122は、更新部123が保持している無視時間が「0」であるかどうかを判別する。この段階、つまり最初は、無視時間は「0」であるため、ステップ4にて、比較部122は、座標識別部121から出力されてきた座標を保持(記録)し、更新部123は、無視時間xを0よりも大きく、極めて小さな値(例えば、「0.001(s)」)へ更新する。また、ステップ5にて、比較部122は、座標を記録したことを、主制御部125へイベントで通知する。
【0039】
その後、検知部110が接触を再度検知すると、更新部123が保持している無視時間xが「0」ではないため、ステップ6にて、比較部122が保持(記録)している第1の座標と、今回、検知部110が接触を検知して座標識別部121が識別した第2の座標とを比較部122が比較する。
【0040】
比較の結果、第1の座標と第2の座標とが同じである場合、つまり、検知部110が検知した接触位置が動いていない場合、比較部122は、更新部123へ、無視時間の更新を指示する。ステップ7にて、無視時間の更新を指示された更新部123は、所定の計算式を用いて現在の無視時間を更新する。このとき、当該計算式に代入する変数としてタイマ124が計測している経過時間(t)を用いる。
【0041】
ここで用いる計算式は、経過時間(検知部110が検知した接触位置が変化していない時間)が長いほど無視時間を長いものとするために、経過時間に基づいて無視時間を算出する式の2回微分値が常に正である算出式を用いるものでも良い。例えば、(式1)に示すような、余弦関数を用いるものや、二次関数を用いるものであっても良い。
【0042】
【数1】
(式1)において、「a」は係数、「T」は定数である。また、(式1)においてtは、0≦t≦Tの場合である。また、T<tの場合は、x=a×Tとする。例えば、a=200(ms)であり、T=400(ms)である場合、経過時間(t)が400(ms)であると、x=200(ms)と算出される。経過時間(t)が400(ms)から200(ms)へ短くなれば、無視時間(x)も200(ms)よりも短くなる。なお、aおよびTの値は、例えば、無視時間の値が、誤検出を防ぎ、入力処理にも悪影響を及ぼさない適切な値になるように、実験等によって適宜決定すれば良い。
【0043】
このように、無視時間を計算するための関数として、線形関数ではなく、余弦関数などの微分係数が最初は小さく時間が経つほど大きくなるような非線形関数を用いることで、曲線を書くなど連続した変化に対して影響を少なくすることができる。
【0044】
一方、第1の座標と第2の座標とが同じではない場合、つまり、検知部110が検知した接触位置が動いた場合は、タイマ124が0から起動し、主制御部125は、タイマ124が起動してからタイマ124が、ステップ7にて更新部123が更新した無視時間を経過するまで、つまり、ステップ8にて、x秒の間、Waitして検知部110の接触の検知の結果を無視する。その後、更新部123は、無視時間xを初期値「0」に設定して保持する。
【0045】
また、指等が表示部130の表示面から離れたことで、ステップS2にて、検知部110が接触を検知できない場合も、更新部123は、無視時間xを初期値「0」に設定して保持する。
【0046】
図6は、図4に示した表示部130にソフトウェアキーボードが表示された様子の一例を示す図である。
【0047】
図6に示すように、所定のアプリケーションを起動する、もしくは所定の操作を行うと、表示部130にソフトウェアキーボードが表示される。上述したように、このソフトウェアキーボードの各キーの検出面積は、人間の指の大きさよりも小さい。
【0048】
図7は、図6に示すように表示部130に表示されたソフトウェアキーボードの「T」のキーの表示領域に指が接触した様子の一例を示す図である。
【0049】
図7に示すように、指200が、表示部130に表示されたソフトウェアキーボードの「T」のキーの表示領域に接触している。
【0050】
図8は、図7に示した指200を「T」の表示領域から離そうとして「Y」の表示領域に接触した様子の一例を示す図である。
【0051】
図8に示すように、「T」の表示領域に接触させている指200を表示部130から離そうとしたとき、指200を「Y」の表示領域の方向へ滑らせてしまったため、指200が「Y」の表示領域にも接触している。
【0052】
図9は、図7に示した方向Aから見た接触の様子を示す図である。
【0053】
図10は、図8に示した方向Aから見た接触の様子を示す図である。
【0054】
図9に示すように、指200が、表示部130に表示されたソフトウェアキーボードの「T」のキーの表示領域に接触している状態から、図10に示すように、その指200を表示部130から離そうとしたとき、指200を「Y」の表示領域の方向へ滑らせてしまったため、指200が「Y」の表示領域に接触している。この場合、「T」への接触だけではなく、「Y」への接触をも検知してしまうため、利用者の意図しない入力となってしまう。本発明を適用することで、このような誤入力を防ぐことができる。
【0055】
以上説明した本発明においては、指を離す際の誤検出を防止できる。その理由は、一定時間同一箇所をタッチした後の検出の結果を一定時間無視するためである。
【0056】
なお、上述した情報処理装置100は、携帯電話機、携帯端末、タブレット型やノート型のPC(Personal Computer)、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistants)、ゲーム機等の電子機器である。
【0057】
また、対象はソフトウェアキーボードに限らず、複数の領域を連続して指定するユーザインタフェースであれば適用可能である。また、可搬性のない備え付けの機器であっても、タッチパネル等を用いたものであれば、同様に有用である。
【0058】
上述した情報処理装置100に設けられた各構成要素が行う処理は、目的に応じてそれぞれ作製された論理回路で行うようにしても良い。また、処理内容を手順として記述したコンピュータプログラム(以下、プログラムと称する)を情報処理装置100にて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを情報処理装置100に読み込ませ、実行するものであっても良い。情報処理装置100にて読取可能な記録媒体とは、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、DVD、CDなどの移設可能な記録媒体の他、情報処理装置100に内蔵されたROM、RAM等のメモリやHDD等を指す。この記録媒体に記録されたプログラムは、情報処理装置100に設けられた制御部120にて読み込まれ、制御部120の制御によって、上述したものと同様の処理が行われる。ここで、制御部120は、プログラムが記録された記録媒体から読み込まれたプログラムを実行するコンピュータとして動作するものである。
【0059】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0060】
この出願は、2012年2月14日に出願された日本出願特願2012−29441を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10