(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記記録ヘッドの前記複数のノズルからインクを吐出させる制御に際して、前記第2貯留部に貯留されたインクを前記第1貯留部に供給した所定時間後に前記回収路を開くよう前記第2切替部を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
前記複数のノズルは、画像形成の際に前記記録ヘッドと前記記録媒体とが相対的に移動する方向に直交する方向について、前記記録媒体の最大幅に応じた数設けられることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態である画像形成装置1について、図面を用いて詳細に説明する。なお、実施形態は本発明の一例であり、これに限定されるものではない。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態である画像形成装置1の主要構成を示す図である。
画像形成装置1は、給紙部10、画像形成部20、排紙部30及び制御部40(
図8参照)を備える。画像形成装置1は、制御部40の制御下で、給紙部10に格納された記録媒体Pを画像形成部20に搬送し、画像形成部20で記録媒体Pに画像を形成し、画像が形成された記録媒体を排紙部30に排紙する。
【0022】
給紙部10は、記録媒体Pを格納する給紙トレー11と、給紙トレー11から画像形成部20へ記録媒体Pを搬送する搬送部12とを有する。
給紙トレー11は、一又は複数の記録媒体Pを載置可能に設けられた板状の部材である。給紙トレー11は、給紙トレー11に載置された記録媒体Pの量に応じて上下動するよう設けられており、当該上下動方向について、最上の記録媒体Pが搬送部12により搬送される位置で保持される。
搬送部12は、内側が複数(例えば、2本)のローラ121、122により担持された輪状のベルト123を駆動してベルト123上の記録媒体Pを搬送する搬送機構や、給紙トレー11上に載置された最上の記録媒体Pをベルト123上に受け渡す供給部を有する。搬送部12は、供給部によりベルト123上に受け渡された記録媒体Pをベルト123に沿わせるように搬送する。
【0023】
画像形成部20は、円筒状の外周面に沿って記録媒体Pを担持する画像形成ドラム21、給紙部10の搬送部12により搬送された記録媒体を画像形成ドラム21に受け渡す受け渡しユニット22、画像形成ドラム21に担持された記録媒体Pを加熱するヒーター23、画像形成ドラム21に担持された記録媒体Pにインクを吐出して画像を形成するヘッドユニット24、記録媒体P上に吐出されたインクを硬化させるためのエネルギー線を照射する照射部25、照射部25の照射を受けた記録媒体Pを画像形成ドラム21から排紙部30に搬送するデリバリー部26、ヘッドユニット24のメンテナンス時にヘッドユニット24から吐出されるインクを受けるクリーニング部27(
図4参照)等を有する。
【0024】
図2は、画像形成ドラム21の斜視図である。
画像形成ドラム21は、その外周面上で記録媒体Pを担持するための爪部211及び吸気部212を備える。
爪部211は、
図2に示すように、画像形成ドラム21の外周面上の所定位置において円筒状の画像形成ドラム21の回転軸方向(X方向)に沿って設けられた複数の爪を有する。爪部211は、画像形成ドラム21の外周面と協働して記録媒体Pの一辺の近傍を挟み込んで担持する。
吸気部212は、
図2に示すように、爪部211によって一辺の近傍が担持された記録媒体Pが沿う画像形成ドラム21の外周面上に設けられた複数の吸気孔と、当該吸気孔を介して画像形成ドラム21内に気体を吸引するように吸引力を生じさせる図示しない吸引力発生部(例えば、空気ポンプやファン等)を有する。即ち、吸気部212は、吸気孔からの吸気により生じる吸引力により、記録媒体Pを画像形成ドラム21の外周面に沿わせるように吸い寄せる。
【0025】
なお、
図2及び後述する
図4では、記録媒体Pの一部が画像形成ドラム21の外周面からめくり上がっているが、これは吸気孔を図示することを目的としたものであり、画像形成部20による画像形成時には記録媒体Pの全体が画像形成ドラム21の外周面上に沿うよう担持される。
【0026】
受け渡しユニット22は、給紙部10の搬送部12と画像形成ドラム21との間に介在する位置に設けられる。受け渡しユニット22は、搬送部12により搬送された記録媒体Pの一端を担持する爪部221や、爪部221に担持された記録媒体Pを誘導する円筒状の受け渡しドラム222等を有し、搬送部12上の記録媒体Pを爪部221により取り上げて受け渡しドラム222の外周面に沿わせることで記録媒体Pを画像形成ドラム21の外周面に沿う向きに誘導して画像形成ドラム21に受け渡す。
【0027】
ヒーター23は、例えば、電熱線等を有し、通電に応じて発熱する。ヒーター23は、画像形成ドラム21の外周面の近傍であって、画像形成ドラム21の回転による記録媒体Pの搬送方向についてヘッドユニット24の上流側に位置するよう設けられる。ヒーター23は、画像形成ドラム21に担持されてヒーター23の近傍を通過する記録媒体Pが所定の温度となるようにその発熱を制御部40により制御される。
【0028】
また、ヒーター23の近傍には温度センサー231が設けられている。制御部40は、温度センサー231により検知されたヒーター23付近の温度に基づいて、画像形成ドラム21に担持されてヒーター23の近傍を通過する記録媒体Pが所定の温度となるようヒーター23の動作を制御する。
【0029】
図3は、ヘッドユニット24の内部構成を示す図である。
図3Aは、ヘッドユニット24を側方から見た場合の内部構成の概略図である。
図3Bは、ヘッドユニット24を上方から見た場合の内部構成の概略図である。なお、ここでいう上方とは、画像形成ドラム21の外周面と対向するヘッドユニット24の一面(下面)側をヘッドユニット24の下方としている。また、側方から見た場合とは、ヘッドユニット24の上下方向及びX方向に沿うヘッドユニット24の一側面を正面としてヘッドユニット24を見た場合をさす。
【0030】
ヘッドユニット24は、画像形成ドラム21に対して所定の距離を置いて画像形成ドラム21の外周面に沿うよう配置される。
また、
図3A、
図3Bに示すように、ヘッドユニット24は、複数の記録ヘッド241を有する。
記録ヘッド241は、それぞれが複数のノズル2411を有する。記録ヘッド241は、複数のノズル2411からインクを吐出し、画像形成ドラム21に担持された記録媒体Pに画像を形成する。即ち、記録ヘッド241は、複数のノズル2411がヘッドユニットの下面側に露出するよう設けられる。
図3Bに示す記録ヘッド241は、X方向に沿うノズルの列が二列設けられた配置の複数のノズル2411を有する。
【0031】
複数の記録ヘッド241は、例えば、
図3Bに示すように、二つの記録ヘッド241を一組とし、記録ヘッド241の各組がX方向に沿って複数設けられた記録ヘッド241の列をなすよう配置されている。さらに、記録ヘッド241の列は複数設けられ、隣接する列の記録ヘッド241の組どうしの位置関係がX方向に直交する方向について千鳥状となるように配置されている。
【0032】
図4は、画像形成ドラム21とクリーニング部27との位置関係及びヘッドユニット24の移動前後の位置を示す斜視図である。
ヘッドユニット24は、それぞれがX方向に沿って個別に移動可能に設けられている。具体的には、ヘッドユニット24は、
図4に示すように、X方向に沿って並ぶように設けられた画像形成ドラム21とクリーニング部27の間の位置を移動可能に設けられている。ヘッドユニット24は、制御部40の制御下で、画像形成の際に、下面が画像形成ドラム21と対向する位置に移動し、後述する各種のメンテナンスの際に、下面がクリーニング部27と対向する位置に移動する。ヘッドユニット24の移動は、後述するキャリッジ制御部245による。
【0033】
また、ヘッドユニット24は、画像形成に用いられる各色(CMYK)について個別に設けられる。
図1、
図4に示す画像形成装置1には、画像形成ドラム21の回転に伴い搬送される記録媒体Pの搬送方向に沿って、上流から、Y、M、C、Kの色の順に、各色に対応したヘッドユニット24が設けられている。
また、
図4に示すように、ヘッドユニット24のX方向の幅は、画像形成ドラム21により担持、搬送される記録媒体PのX方向の幅を十分カバーできるように設けられており、画像形成に際してヘッドユニット24は画像形成ドラム21に対して位置が固定される。即ち、画像形成装置1は、ワンパス方式のインクジェット記録装置であり、ヘッドユニット24は、X方向に沿って並んで配置された複数の記録ヘッド241による複数のノズル2411が、画像形成の際に記録ヘッド241と記録媒体Pとが相対的に移動する方向に直交する方向(X方向)について、記録媒体Pの最大幅に応じた数となるよう設けられる。
【0034】
ここで、インクについて説明する。
画像形成装置1による画像形成に用いられるインクは、当該インクの温度により相変化する性質を有する。
具体的には、インクは、温度によってゲル又は固体と、液体とに相変化する。このようなインクの組成として、例えば、重合性化合物と光重合開始剤を主とした組成物に数%のゲル化剤を添加したものが挙げられる。
【0035】
以下に、インクの製法例を開示する。
まず、ソルスパーズ32000(ルーブリゾール社製)5部と、HD−N(1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、新中村化学社製)80部との2種の化合物をステンレスビーカーに入れ加熱撹拌溶解する。その後、室温まで冷却した後これにカーボンブラック(#56、三菱化学社製)15部を加え、0.5mmのジルコニアビーズと共にガラス瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて10時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去したものを顔料分散体として得る。
以上のようにして得られた顔料分散体を含めて、表1から表6に示す例のように組成物を調整する。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】
そして、表1から表6に示す組成物に対してADVATEC社製テフロン(登録商標)3[μm]メンブランフィルタで濾過を行った濾過後の組成物をインクとして得る。
【0043】
図5に、インクの温度上昇及び下降に伴うインクの粘度の変化例を示す。
図5に示す線L1は温度上昇時におけるインクの粘度の変化例を示し、線L2は温度下降時におけるインクの粘度の変化例を示す。
図5の線L1に示すように、インクは、温度上昇時において60[℃]前後を境に著しく粘度が変化する相変化を生じる。具体的には、60[℃]を下回る温度の際にゲル状又は固体状だったインクは、温度上昇により60[℃]を超えたあたりから著しく粘度が低下して液状となる。
一方、
図5の線L2に示すように、インクは、温度下降時において45[℃]前後を境に、温度上昇時の相変化に比してさらに著しく粘度が変化する相変化を生じる。具体的には、45[℃]を上回る程度の温度まで液状を保っていたインクは、温度下降により45[℃]を下回ったあたりから極めて著しく粘度が上昇し、ゲル状又は固体状となる。
【0044】
インクは、ヘッドユニット24内の第1貯留部242、第2貯留部243等に貯留される。第1貯留部242、第2貯留部243から記録ヘッド241にインクを供給する仕組みについては後述する。
【0045】
照射部25は、例えば、低圧水銀ランプ等の蛍光管を有し、当該蛍光管の発光により紫外線等のエネルギー線を照射する。照射部25は、画像形成ドラム21の外周面の近傍であって、画像形成ドラム21の回転による記録媒体Pの搬送方向についてヘッドユニット24の下流側に位置するよう設けられる。照射部25は、画像形成ドラム21に担持されてインクが吐出された記録媒体Pに対してエネルギー線を照射して当該エネルギー線の作用により記録媒体P上のインクを硬化させる。
なお、紫外線を発する蛍光管は低圧水銀ランプに限らず、数百[Pa]〜1メガ[Pa]程度の動作圧力を有する水銀ランプ、殺菌灯として利用可能な光源、冷陰極管、紫外線レーザー光源、メタルハライドランプ、発光ダイオード等が挙げられるが、紫外線をより高照度で照射可能であって省電力な光源(例えば、発光ダイオード等)であることが望ましい。また、エネルギー線は紫外線に限らず、インクの性質に応じてインクを硬化させる性質を有するエネルギー線であればよく、光源もエネルギー線に応じて置換される。
【0046】
デリバリー部26は、内側が複数(例えば、2本)のローラ261、262により担持された輪状のベルト263を駆動してベルト263上の記録媒体Pを搬送する搬送機構や、記録媒体Pを画像形成ドラム21から当該搬送機構に受け渡す円筒状の受け渡しローラ264等を有する。デリバリー部26は、受け渡しローラ264によりベルト263上に受け渡された記録媒体Pをベルト263に沿わせるように搬送して排紙部30に送り出す。
【0047】
クリーニング部27は、メンテナンスの際にヘッドユニット24から吐出されたインクを受け止めて貯留する図示しない廃インク部等を有し、メンテナンスの際にヘッドユニット24から吐出されたインクにより画像形成部20内が汚損されることを防止する。
【0048】
排紙部30は、デリバリー部26により画像形成部20から送り出された記録媒体Pが載置される板状の排紙トレー31等を有し、画像形成後の記録媒体Pがユーザーにより取り出されるまで格納する。
【0049】
次に、インク吐出機構300について説明する。ここで、インク吐出機構300とは、記録ヘッド241の複数のノズル2411からインクを吐出させる動作に係る機構をさし、第1貯留部242、第2貯留部243から記録ヘッド241にインクを供給する仕組みを含む。
【0050】
図6は、記録ヘッド241の側面図である。ここでいう側面とは、上記のヘッドユニット24の一側面に沿う面である。
記録ヘッド241は、
図7、
図6に示すように、記録ヘッド241から吐出されるインクの流路として機能する上部流路部2412及び下部流路部2413、上部流路部2412及び下部流路部2413に供給されるインクが流れ込むインレット2414、上部流路部2412から第2貯留部に還流されるインクが流れるアウトレット2415、下部流路部2413から第2貯留部に還流されるインクが流れるバイパス部2416等を有する。
【0051】
上部流路部2412、下部流路部2413はそれぞれ、内部に記録ヘッド241の複数のノズルの各々に供給されるインクをノズルに案内する流路を有する。当該流路は複数のノズルで共有される共通流路であり、インレット2414を介して流れ込むインクを案内する。即ち、インレット2414から供給されたインクは、上部流路部2412、下部流路部2413内の流路を流れて複数のノズル2411に達する。
一方、上部流路部2412内の共通流路はアウトレット2415にも接続されている。即ち、上部流路部2412に流れるインクはアウトレット2415側に流れ出ることもできる。また、下部流路部2413内の共通流路はバイパス部2416にも接続されている。即ち、下部流路部2413に流れるインクはバイパス部2416側に流れ出ることもできる。
【0052】
また、上部流路部2412と下部流路部2413との間にはフィルター2417が設けられている。フィルター2417は、上部流路部2412から下部流路部2413に流れるインクを濾過する。
また、下部流路部2413の下方のノズル面付近には圧力室2418が設けられている。圧力室2418は、制御部40の制御下で、記録媒体Pに形成される画像に応じて吐出されるインクに対応するノズルに対して圧力をかけてインクを吐出させる。
また、記録ヘッド241は、記録ヘッド制御部2419を有する。記録ヘッド制御部2419は、例えば、上部流路部2412の上部に設けられ、制御部40の制御下で圧力室2418の動作を制御する。
【0053】
図7は、インク吐出機構300の主要構成及びインク吐出機構300の各部間の接続を示す概要図である。なお、
図7等において、インクの通路となる各経路を破線等により示しているが、これらの記載による各経路の具体的な構成はインクを導通する閉じた経路である。
図7に示すように、第1貯留部242と記録ヘッド241のインレット2414は、供給路301を介して接続されている。
【0054】
また、第2貯留部243と記録ヘッド241は、回収路302を介して接続されている。ここで、回収路302は、記録ヘッド241のアウトレット2415及びバイパス部2416の各々に接続された第1回収路3021、第2回収路3022の2本の回収路が1本の共通回収路3023に合流して第2貯留部243に接続される構造となっている。
【0055】
また、第1貯留部242と第2貯留部243は、ポンプP1が設けられた経路303を介して接続されている。ポンプP1は、第2貯留部243に貯留されたインクを第1貯留部242に供給する供給部として機能し、例えば、ダイヤフラムポンプなどの容積型のポンプやチューブポンプ等を用いることができる。ポンプP1は、制御部40の制御下で動作する。
【0056】
また、第2貯留部243には、インクタンク244が接続されている。インクタンク244は、第2貯留部243に供給されるインクを貯留する。第2貯留部243とインクタンク244は、図示しないポンプが設けられた経路304を介して接続されており、制御部40の制御下で、ポンプの動作に応じてインクタンク244から第2貯留部243にインクが供給される。
【0057】
供給路301、回収路302、経路303、304はそれぞれ、内部をインクが通過するチューブ状の部材であり、例えば、樹脂等を素材としたり、伝熱性のよい部材で構成したりする。
【0058】
また、第1貯留部242には、圧力制御部305が接続されている。圧力制御部305は、第1貯留部242に接続されて第1貯留部242及び供給路301を介して記録ヘッド241のノズルの圧力を負圧状態とする。これにより、画像形成や各種のメンテナンスを行わない際にノズルからインクが漏れ出すことを防止する。
第1貯留部242と圧力制御部305は、通気路306を介して接続されている。通気路306は、内部を空気が通過するチューブ状の部材であり、例えば、樹脂等を素材とする。即ち、圧力制御部305は、制御部40の制御下で、第1貯留部242内の空気圧を変更する。
ここで、通気路306は、圧力制御部305に接続された1本の共通通気路3061から複数の第1貯留部242の各々に接続される複数の分岐通気路3062に分岐する構造となっている。
【0059】
また、第1回収路3021、第2回収路3022、経路303、分岐通気路3062にはそれぞれ電磁弁307、308、309、310が設けられている。電磁弁307、308、309、310は、制御部40の制御下で、それぞれが設けられたインクの流路や通気路を開閉する。即ち、分岐通気路3062に設けられた電磁弁310は、第1貯留部242と圧力制御部305との間の接続の開閉を切り替える第1切替部として機能する。また、第1回収路3021に設けられた電磁弁307及び第2回収路3022に設けられた電磁弁308は、回収路302の開閉を切り替える第2切替部として機能する。
なお、ポンプP1が設けられた経路303の電磁弁309は、第2貯留部243とポンプP1との間に介在するよう設けられている。
【0060】
供給路301には、供給路ヒーター311が設けられている。
供給路ヒーター311は、例えば、電熱線等を有し、通電に応じて発熱する。供給路ヒーター311は、供給路301を加熱することにより、供給路301を通過するインクを加熱する第2加熱部として機能する。
【0061】
また、供給路301には、温度センサー3111が設けられている。制御部40は、温度センサー3111により検知された供給路301付近の温度に基づいて、供給路ヒーター311の動作を制御する。
【0062】
また、回収路302には、回収路ヒーター312が設けられている。
回収路ヒーター312は、例えば、電熱線等を有し、通電に応じて発熱する。回収路ヒーター312は、回収路302を加熱することにより、回収路302を通過するインクを加熱する第1加熱部として機能する。
【0063】
また、回収路302には、温度センサー3121が設けられている。制御部40は、温度センサー3121により検知された回収路302付近の温度に基づいて、回収路ヒーター312の動作を制御する。
【0064】
なお、第1貯留部242は、上記の各種の接続箇所を除いて密閉されたタンク状の容器である。即ち、第1貯留部242内の圧力は、圧力制御部305により加えられる負圧の度合いや、第2貯留部243からのインクの供給の有無等により変化する。例えば、電磁弁310が閉じた状態となり圧力制御部305により加えられる負圧が失われた状態で、第2貯留部243からのインクの供給を受けると、第1貯留部242内のインクの量の増加に伴い、第1貯留部242内の圧力は増加する。
一方、第2貯留部243は、外部に開放された容器であり、インクの量の増減に関わらずほぼ大気圧に保たれる。
【0065】
図8は、画像形成装置1のブロック図である。
制御部40は、CPU41、RAM42、ROM43等を有する。
CPU41は、ROM43等の記憶装置から処理内容に応じた各種のプログラムやデータ等を読み出して実行し、実行された処理内容に応じて画像形成装置1の各部の動作を制御する。RAM42は、CPU41により処理される各種のプログラムやデータ等を一時的に記憶する。ROM43は、CPU41等により読み出される各種のプログラムやデータ等を記憶する。
【0066】
また、
図8に示すように、制御部40は画像形成装置1の各部と接続されており、接続された各部の動作を制御すると共に、各部からのデータの入出力に応じて画像形成装置1の動作を制御する。
【0067】
例えば、制御部40は、タッチパネル等を有する操作表示部80を介してユーザーにより行われる入力に応じた処理を行う。また、制御部40は、画像形成装置1の動作に係る各種の表示を操作表示部80に行わせる。
【0068】
また、制御部40は、画像形成装置1と外部の機器とを通信可能に接続して外部の機器から送信される印刷・BR>Wョブ等のデータを受信する通信部50を介して、印刷ジョブに含まれる画像データを取得する。
【0069】
また、制御部40は、通信部50を介して取得された画像データに対して、画像処理部60により各種の画像処理を行なう。画像処理部60による画像処理には、例えば、解析処理やラスタライズ処理等が挙げられるが、一例であってこれに限られるものではない。
【0070】
また、制御部40は、印刷ジョブの送信により行われる外部の機器からの画像形成指示に応じて、搬送制御部70を介して給紙部10や画像形成部20の記録媒体Pの搬送に係る各部の動作制御を行う。図示しないが、搬送制御部70は、搬送部12や画像形成ドラム21、受け渡しユニット22、デリバリー部26等、記録媒体Pの搬送及び担持に係る各部と接続され、各部の動作を制御する。
【0071】
また、制御部40は、キャリッジ制御部245を制御してヘッドユニット24の位置を制御し、画像形成に際してヘッドユニット24の位置を画像形成ドラム21側の位置とする。キャリッジ制御部245は、ヘッドユニット24をX方向に動作させるための図示しない駆動部等と接続されており、当該駆動部等の動作を制御することによりヘッドユニット24の位置を変更、保持する。
【0072】
また、制御部40は、記録ヘッド制御部2419の動作を統括制御することにより、圧力室2418からの圧力によるノズルからのインクの吐出を制御する。即ち、制御部40は、画像データに基づいて記録媒体Pに形成される画像に応じて各記録ヘッド241の動作を制御する。
また、制御部40は、画像形成に際して、ヒーター23や照射部25を動作させる。
【0073】
なお、画像形成の際、制御部40は、圧力制御部305を動作させると共に電磁弁310により通気路306を開いた状態としている。また、画像形成の際、制御部40は、電磁弁307、308により回収路302を閉じた状態としている。
【0074】
また、制御部40は、画像形成に際して記録ヘッド241の複数のノズル2411からインクが吐出されることにより第1貯留部242や第2貯留部243に貯留されているインクの量が減少した場合、第1貯留部242や第2貯留部243にインクを供給することにより第1貯留部242や第2貯留部243に貯留されるインクの量を保つための動作制御を行う。
具体的には、制御部40は、第1貯留部242、第2貯留部243に設けられた液面センサー2421、2431により検知される第1貯留部242、第2貯留部243のインクの残量を取得し、インクの残量が各々の貯留部に設定された所定の残量を下回った場合、インクタンク244と第2貯留部243との間に設けられたポンプや、第2貯留部243と第1貯留部242との間に設けられたポンプP1を動作させ、第1貯留部242や第2貯留部243にインクを供給する。
【0075】
制御部40は、ポンプP1の非動作時には電磁弁309により経路303を閉じた状態とし、ポンプP1の動作開始前に経路303を開き、ポンプP1の動作終了後に経路303を再び閉じる制御を行う。
【0076】
また、図示しないが、インクタンク244や、第1貯留部242及び第2貯留部243の各々には、インクの温度を所定の画像形成温度(例えば、75〜80[℃]程度)に保つためのヒーターが設けられている。これらのヒーターは、制御部40の制御下で動作する。
【0077】
次に、記録ヘッド241のメンテナンスに際して行われる画像形成装置1の動作について説明する。
画像形成装置1の記録ヘッド241のメンテナンスには、吐出メンテナンスと還流メンテナンスがある。
吐出メンテナンスは、記録ヘッド241の複数のノズル2411からインクを吐出させることによりノズルの詰まりを解消することを目的とする。
還流メンテナンスは、記録ヘッド241内のインクを第2貯留部243に還流させることにより記録ヘッド241内のインクに含まれる気泡を押し流して記録ヘッド241内から除去することを目的とする。記録ヘッド241内から除去されたインクの気泡は、第2貯留部243に押し流されることにより大気圧下で開放され、消滅する。
なお、制御部40は、吐出メンテナンス又は還流メンテナンスのいずれかについて、共に、各ヘッドユニット24に対して個別に行うことができ、また、複数の記録ヘッド241の各々に対して個別に行うことができるが、複数のヘッドユニット24や複数の記録ヘッド241に対して同時に行ってもよい。
【0078】
まず、吐出メンテナンスに際して行われる画像形成装置1の動作について、
図9を参照して説明する。
制御部40は、電磁弁310により第1貯留部242と圧力制御部305との間の接続を閉じ、かつ、電磁弁307、308により回収路302を閉じた状態で、第2貯留部243に貯留されたインクを第1貯留部242に供給するようポンプP1を動作させる動作制御を行う。当該動作制御により、第2貯留部243に貯留されたインクが第1貯留部242に供給されることで、第1貯留部242内の圧力が上昇する。このとき、電磁弁310により第1貯留部242と圧力制御部305との間の接続が閉じているので、第1貯留部242内で上昇した圧力は記録ヘッド241側に第1貯留部242内のインクを押し出す方向に働く。このとき、電磁弁307、308により回収路302が閉じられているので、記録ヘッド241側に押し出されたインクは複数のノズル2411から吐出されることとなる。インクが複数のノズル2411から吐出されることにより、ノズルの詰まりが生じていた場合であっても当該詰まりを解消することができ、当該詰まりによる画像形成不良を防止して画質を向上させることができる。
【0079】
制御部40は、吐出メンテナンスに際して、第2貯留部243に貯留されたインクを第1貯留部242に供給した所定時間後に回収路302を開くよう電磁弁307及び電磁弁308の少なくともいずれか一方を制御する。本実施形態では、電磁弁307及び電磁弁308の両方を開くよう制御して第1回収路3021及び第2回収路3022の両方を導通させるが、いずれか一方のみでもよい。
【0080】
吐出メンテナンスにおいて、第2貯留部243に貯留されたインクを第1貯留部242に供給することにより第1貯留部242内で上昇した圧力は、記録ヘッド241の複数のノズル2411からインクを吐出させる方向に作用しているが、所定時間後に回収路302を開くことにより、第1貯留部242から記録ヘッド241に伝達されたインクへの圧力の一部を回収路302側に逃がすことができ、第1貯留部242及び記録ヘッド241内で上昇したインクに対する圧力をより速やかに低下させることができる。例えば、吐出メンテナンスに際して複数のノズル2411の詰まりを解消させるために複数のノズル2411からインクを吐出させる時間(例えば、1〜3[秒]程度)の経過後に回収路302を開くことにより、複数のノズル2411からのインクの吐出を速やかに終了させることができることから、無駄なインクの吐出を防止することができる。
【0081】
図10に、記録ヘッド241に供給されるインクに加えられる圧力(記録ヘッド内圧力G)の変化及び圧力が加えられる時間と、複数のノズル2411から吐出されるインクの吐出量(廃液量D)との対応関係の一例を示す。
吐出メンテナンスに際して、第2貯留部243から第1貯留部242にインクが供給されることにより記録ヘッド241にインクが押し出されることに伴い、記録ヘッド内圧力Gは上昇する。記録ヘッド内圧力Gの上昇に伴い、
図10に示すように、廃液量Dは加速度的に増加する。本実施形態の画像形成装置1は、廃液量Dが過剰となって無駄なインクの吐出が行われないよう、実験結果に基づいて記録ヘッド内圧力G及び第1メンテナンスにおけるポンプP1の動作時間を調整されている。具体的には、
図10に示す時間T1の間、ポンプP1を動作させることにより、圧力G1に到達することで、廃液量がD1となるように調整されている。
なお、
図10に示す対応関係は一例であり、これに限られるものでなく、画像形成装置1の各部の具体的構造により変化しうる。
【0082】
なお、本実施形態では、上記の所定時間の経過後、制御部40は、回収路302を開く前に、ポンプP1を停止させ、電磁弁309により経路303を閉じる。これにより、第1貯留部242に貯留されたインクが第2貯留部243に逆流することを防止する。
【0083】
次に、還流メンテナンスに際して行われる画像形成装置1の動作について説明する。
還流メンテナンスは、上部流路部2412内のインクの気泡を取り除くことを主な目的とする上部流路部メンテナンスと、下部流路部2413内のインクの気泡を取り除くことを主な目的とする下部流路部メンテナンスと、の2種類のメンテナンスを含む。
【0084】
まず、上部流路部メンテナンスに際して行われる画像形成装置1の動作について、
図11を参照して説明する。
制御部40は、電磁弁310により第1貯留部242と圧力制御部305との間の接続を閉じ、電磁弁308により第2回収路3022を閉じ、かつ、電磁弁307により第1回収路3021を開いた状態で、第2貯留部243に貯留されたインクを第1貯留部242に供給するようポンプP1を動作させる動作制御を行う。当該動作制御により、上記と同様に、第1貯留部242内の圧力が上昇し、当該圧力により第1貯留部242内のインクが記録ヘッド241側に押し出される。このとき、電磁弁308により回収路302のうち第2回収路3022を経由するインクの通路が閉じられている一方で電磁弁307により回収路302のうち第1回収路3021を経由するインクの通路が開いているので、記録ヘッド241側に押し出されたインクは回収路302のうち第1回収路3021を経由するインクの通路を通過して第2貯留部243に還流する。ここで、第1回収路3021は、上部流路部2412内のインクの流路と連続するアウトレット2415と接続されているので、インレット2414から記録ヘッド241に供給されたインクは、上部流路部2412内を流れてアウトレット2415から第1回収路3021を経由して第2貯留部243に還流することとなる。
【0085】
次に、下部流路部メンテナンスに際して行われる画像形成装置1の動作について、
図12を参照して説明する。
制御部40は、電磁弁310により第1貯留部242と圧力制御部305との間の接続を閉じ、電磁弁307により第1回収路3021を閉じ、かつ、電磁弁308により第2回収路3022を開いた状態で、第2貯留部243に貯留されたインクを第1貯留部242に供給するようポンプP1を動作させる動作制御を行う。当該動作制御により、上記と同様に、第1貯留部242内の圧力が上昇し、当該圧力により第1貯留部242内のインクが記録ヘッド241側に押し出される。このとき、電磁弁307により回収路302のうち第1回収路3021を経由するインクの通路が閉じられている一方で電磁弁308により回収路302のうち第2回収路3022を経由するインクの通路が開いているので、記録ヘッド241側に押し出されたインクは回収路302のうち第2回収路3022を経由するインクの通路を通過して第2貯留部243に還流する。ここで、第2回収路3022は、下部流路部2413内のインクの流路と連続するバイパス部2416と接続されているので、インレット2414から記録ヘッド241に供給されたインクは、上部流路部2412から下部流路部2413に流れ、バイパス部2416から第2回収路3022を経由して第2貯留部243に還流することとなる。
【0086】
上部流路部メンテナンスにより上部流路部2412内のインクを第2貯留部243に還流させることができ、下部流路部メンテナンスより下部流路部2413内のインクを第2貯留部243に還流させることができるので、上部流路部2412や下部流路部2413内のインクに気泡が含まれた場合であっても上部流路部2412や下部流路部2413内のインクを還流させることにより当該気泡を上部流路部2412や下部流路部2413内から除去することができ、画像形成不良を防止して画質を向上させることができる。
【0087】
また、画像形成装置1は、還流メンテナンスにおける記録ヘッドへのインクの供給において、ポンプP1により第1貯留部242に供給されたインクが第1貯留部242内にいったん貯留されるので、ポンプP1の動作によりインクに直接加えられる圧力が第1貯留部242に貯留された時点で拡散し、大幅に緩和されることとなる。即ち、第1貯留部242を介して記録ヘッド241にインクを送り出すことにより、ポンプP1によりインクに加えられる圧力を間接的なものとすることができる。このため、仮にポンプP1によりインクに脈動が生じたとしても、第1貯留部242内にインクが貯留された時点で当該脈動が収まり、記録ヘッド241に対して一定でムラのないスムースなインクの供給を行うことができ、このようなインクの供給により還流メンテナンスを行うことができる。
【0088】
なお、還流メンテナンスに際しても、記録ヘッド241に供給されたインクに加えられた圧力により、記録ヘッド241内のインクの一部は、複数のノズル2411から吐出されることとなる。
【0089】
なお、吐出メンテナンス及び還流メンテナンスの少なくともいずれか一方の開始は、例えば、操作表示部80を介して行われたユーザーの指示によるものであってもよいし、画像形成装置1の動作に係る所定の条件が満たされた場合であってもよい。所定の条件が満たされる場合として、例えば、所定量以上の記録媒体Pに対する画像形成が行われた場合や、最後の画像形成時から所定の経過時間を経過した場合等が挙げられる。
制御部40は、吐出メンテナンス及び還流メンテナンスの少なくともいずれか一方が行われるに際し、キャリッジ制御部245を介してヘッドユニット24をクリーニング部27側の位置へと移動させたうえでメンテナンスを行う。
【0090】
以下、メンテナンスに係る制御部40の処理の流れについて、フローチャートを参照して説明する。
まず、吐出メンテナンスに係る制御部40の処理の流れの一例を、
図13のフローチャートを参照して説明する。
制御部40は、まず、第2貯留部243に貯留されたインクの量を吐出メンテナンスの実施に十分な量とする(ステップS1)。具体的には、例えば、制御部40は、第2貯留部243のインクの残量が各々の貯留部に設定された所定の残量を下回っていなければ、メンテナンスの実施に十分な量であるとみなす。また、制御部40は、第2貯留部243のインクの残量が各々の貯留部に設定された所定の残量を下回っている場合、インクタンク244と第2貯留部243との間に設けられたポンプを動作させ、第2貯留部243にインクを供給する。
【0091】
次に、制御部40は、液面センサー2421による第1貯留部242のインクの残量の監視を停止する(ステップS2)。次に、制御部40は、吐出メンテナンスを行う対象となる記録ヘッド241にインクを供給する第1貯留部242に接続された分岐通気路3062を閉じるように電磁弁310を制御する(ステップS3)。
【0092】
次に、制御部40は、吐出メンテナンスを行う対象となる記録ヘッド241のアウトレット2415に接続された第1回収路3021を閉じるように電磁弁307を制御する(ステップS4)。また、制御部40は、吐出メンテナンスを行う対象となる記録ヘッド241のバイパス部2416に接続された第2回収路3022を閉じるように電磁弁308を制御する(ステップS5)。
【0093】
次に、制御部40は、吐出メンテナンスを行う対象となる記録ヘッド241にインクを供給する第1貯留部242に接続された経路303の電磁弁309を制御して当該経路303を開く(ステップS6)。次に、制御部40は、ステップS6にて開かれた経路303に設けられたポンプP1を所定時間動作させ、第2貯留部から第1貯留部にインクを供給する(ステップS7)。
その後、制御部40は、ポンプP1の動作を停止させ(ステップS8)、ステップS6にて開かれた経路303の電磁弁309を制御して当該経路303を閉じる(ステップS9)。
【0094】
次に、制御部40は、吐出メンテナンスを行う対象となる記録ヘッド241に接続された回収路302の第1回収路3021及び第2回収路3022を開くように電磁弁307、308を制御する(ステップS10)。そして、所定の開放時間(例えば、1〜30秒)の経過後、制御部40は、ステップS10にて開いた回収路302の第1回収路3021及び第2回収路3022を閉じるように電磁弁307、308を制御する(ステップS11)。
次に、制御部40は、ステップS3にて閉じた分岐通気路3062を開くように電磁弁310を制御し(ステップS12)、吐出メンテナンスに係る処理を終了する。
【0095】
次に、還流メンテナンスの1パターンである上部流路部メンテナンスに係る制御部40の処理の流れの一例を、
図14のフローチャートを参照して説明する。
上部流路部メンテナンスに係る制御として、制御部40は、まず、上記の吐出メンテナンスに係る処理におけるステップS1〜S3と同様の処理を行う。
【0096】
次に、制御部40は、上部流路部メンテナンスを行う対象となる記録ヘッド241のアウトレット2415に接続された第1回収路3021を開くように電磁弁307を制御する(ステップS21)。また、制御部40は、上部流路部メンテナンスを行う対象となる記録ヘッド241のバイパス部2416に接続された第2回収路3022を閉じるように電磁弁308を制御する(ステップS22)。
【0097】
次に、制御部40は、上部流路部メンテナンスを行う対象となる記録ヘッド241にインクを供給する第1貯留部242に接続された経路303の電磁弁309を制御して当該経路303を開く(ステップS23)。次に、制御部40は、ステップS23にて開かれた経路303に設けられたポンプP1を所定の還流時間(例えば、5〜20秒程度)動作させ、第2貯留部から第1貯留部にインクを供給する(ステップS24)。
その後、制御部40は、ポンプP1の動作を停止させ(ステップS25)、ステップS23にて開かれた経路303の電磁弁309を制御して当該経路303を閉じる(ステップS26)。
【0098】
次に、制御部40は、上部流路部メンテナンスを行う対象となる記録ヘッド241に接続された回収路302の第1回収路3021を閉じるように電磁弁307を制御する(ステップS27)。
次に、制御部40は、ステップS3にて閉じた分岐通気路3062を開くように電磁弁310を制御し(ステップS28)、上部流路部メンテナンスに係る処理を終了する。
【0099】
次に、還流メンテナンスの別パターンである下部流路部メンテナンスに係る制御部40の処理の流れの一例を、
図15のフローチャートを参照して説明する。
下部流路部メンテナンスに係る制御として、制御部40は、まず、上記の吐出メンテナンスに係る処理におけるステップS1〜S3と同様の処理を行う。
【0100】
次に、制御部40は、下部流路部メンテナンスを行う対象となる記録ヘッド241のアウトレット2415に接続された第1回収路3021を閉じるように電磁弁307を制御する(ステップS31)。また、制御部40は、下部流路部メンテナンスを行う対象となる記録ヘッド241のバイパス部2416に接続された第2回収路3022を開くように電磁弁308を制御する(ステップS32)。
【0101】
次に、制御部40は、下部流路部メンテナンスを行う対象となる記録ヘッド241にインクを供給する第1貯留部242に接続された経路303の電磁弁309を制御して当該経路303を開く(ステップS33)。次に、制御部40は、ステップS33にて開かれた経路303に設けられたポンプP1を所定の還流時間(例えば、5〜20秒程度)動作させ、第2貯留部から第1貯留部にインクを供給する(ステップS34)。
その後、制御部40は、ポンプP1の動作を停止させ(ステップS35)、ステップS33にて開かれた経路303の電磁弁309を制御して当該経路303を閉じる(ステップS36)。
【0102】
次に、制御部40は、下部流路部メンテナンスを行う対象となる記録ヘッド241に接続された回収路302の第2回収路3022を閉じるように電磁弁308を制御する(ステップS37)。
次に、制御部40は、ステップS3にて閉じた分岐通気路3062を開くように電磁弁310を制御し(ステップS38)、下部流路部メンテナンスに係る処理を終了する。
【0103】
なお、いずれのメンテナンスの際にも、ステップS2にて行われた第1貯留部242のインクの残量の監視の停止は、メンテナンス終了後に解除される。
【0104】
また、制御部40は、還流メンテナンスに際して、供給路301を通過するインクの温度に比して回収路302を通過するインクの温度を高くするよう回収路ヒーター312を制御するようにしてもよい。
例えば、制御部40は、供給路301を通過するインクの温度に比して回収路302を通過するインクの温度を5[℃]程度高くするよう回収路ヒーター312を制御してもよい。
これにより、回収路302を通過する際のインクの粘度を供給路301の通過の際に比して低下させることができるので、相対的に温度が低いことでインクの粘度が増加することにより通過しにくくなる複数のノズル2411付近よりも相対的に温度が高いことでインクの粘度が低下して通過しやすくなる回収路302により多くのインクを流すことができ、還流メンテナンスに際してインクをより良好に第2貯留部243に還流させることができることに加えて、複数のノズル2411から吐出されるインクの量を低減させることができる。
【0105】
また、制御部40は、還流メンテナンスに際して、画像形成時のインクの温度に比して供給路301を通過するインクの温度及び回収路302を通過するインクの温度を高くするよう供給路ヒーター311及び回収路ヒーター312を制御するようにしてもよい。
例えば、制御部40は、還流メンテナンスに際して、所定の画像形成温度(例えば、75〜80[℃]程度)で第1貯留部242から供給されるインクを、供給路301及び回収路302の通過時に所定の加熱温度(例えば、95〜100[℃]程度)とするように供給路ヒーター311及び回収路ヒーター312を制御してもよい。
これにより、還流メンテナンスに際して記録ヘッド241内を通過するインクの粘度を低下させることができるので、より良好に記録ヘッド241内のインクに含まれる気泡を除去することができる。
【0106】
なお、還流メンテナンスに際して、画像形成時のインクの温度に比して供給路301を通過するインクの温度及び回収路302を通過するインクの温度を高くし、かつ、供給路301を通過するインクの温度に比して回収路302を通過するインクの温度を高くするよう供給路ヒーター311及び回収路ヒーター312を制御するようにしてもよい。この場合、制御部40は、例えば、インクの温度が、供給路301の通過時に95[℃]程度、回収路302の通過時に100[℃]程度となるように、供給路ヒーター311及び回収路ヒーター312を制御する。
【0107】
以上、本実施形態の画像形成装置1によれば、制御部40が、電磁弁310により第1貯留部242と圧力制御部305との間の接続を閉じ、かつ、電磁弁307、308により回収路302を閉じた状態で、第2貯留部243に貯留されたインクを第1貯留部242に供給するようポンプP1を動作させることで記録ヘッド241の複数のノズル2411からインクを吐出させる吐出メンテナンスを行うので、ポンプP1の動作によりインクに直接加えられる圧力が第1貯留部242に貯留された時点で拡散したのち、記録ヘッド241の各ノズルに対して一定でムラのない吐出メンテナンスを行うことができることとなり、確実なノズルのメンテナンスを行うことができる。また、画像形成装置1は、耐圧性の低いダンパー等を利用しないので、より高い圧力によるインクの吐出によりノズルのメンテナンスを行うことができる。
【0108】
また、制御部40は、電磁弁310により第1貯留部242と圧力制御部305との間の接続を閉じ、かつ、電磁弁307、308により回収路302を開いた状態で、第2貯留部243に貯留されたインクを第1貯留部242に供給するようポンプP1を動作させることで記録ヘッド241内のインクを第2貯留部243に還流させることによる還流メンテナンスを行うので、ポンプP1の動作によりインクに直接加えられる圧力が第1貯留部242に貯留された時点で拡散することにより、ポンプP1によりインクに加えられる圧力を間接的なものとすることができる。即ち、ポンプP1の種類や動作に関わらず、第1貯留部242内にインクが貯留された時点でインクの脈動が収まり、記録ヘッド241にインクが供給された時点でインクが脈動を伴わないこととなる。よって、画像形成装置1は、記録ヘッド241に対して一定でムラのないスムースなインクの供給を行うことができるので、このようなインクの供給により還流メンテナンスを行うことができることとなり、インクの脈動によるノズル面のメニスカスの不安定を生じさせずにノズルのメンテナンスを行うことができる。また、画像形成装置1は、耐圧性の低いダンパー等を利用しないので、より高い圧力によりメンテナンスを行うことができる。
【0109】
また、制御部40が、供給路301を通過するインクの温度に比して回収路302を通過するインクの温度を高くするよう回収路ヒーター312を制御することにより、回収路302を通過する際のインクの粘度を供給路301の通過の際に比して低下させることができることから、回収路302により多くのインクを流すことができ、還流メンテナンスに際してインクをより良好に第2貯留部243に還流させることができることに加えて、複数のノズル2411から吐出されるインクの量を低減させることができる。
【0110】
また、制御部40が、画像形成時のインクの温度に比して供給路301を通過するインクの温度及び回収路302を通過するインクの温度を高くするよう供給路ヒーター311及び回収路ヒーター312を制御することにより、還流メンテナンスに際して記録ヘッド241内を通過するインクの粘度を低下させることができ、より良好に記録ヘッド241内のインクに含まれる気泡を除去することができる。
【0111】
また、制御部40が、吐出メンテナンスに際して、第2貯留部243に貯留されたインクを第1貯留部242に供給した所定時間後に回収路302を開くよう電磁弁307、308を制御するので、第1貯留部242から記録ヘッド241に伝達されたインクへの圧力の一部を回収路302側に逃がすことができ、第1貯留部242及び記録ヘッド241内で上昇したインクに対する圧力をより速やかに低下させることができることから、複数のノズル2411からのインクの吐出を速やかに終了させることができ、無駄なインクの吐出を防止することができる。
【0112】
また、インクは、当該インクの温度により相変化するので、所定の画像形成温度(例えば、75〜80[℃]程度)で記録ヘッド241の複数のノズル2411から記録媒体Pに吐出された液状のインクは、記録媒体P上における温度の低下により速やかにゲル状又は固体状となって硬化し、にじみを生じさせずに記録媒体P上に画像を形成する。即ち、記録媒体P上に吐出されたインクを速やかに記録媒体P上で安定させることができることから、記録媒体P上に吐出された複数のインク滴どうしが混ざり合う等の意図しない状態変化を防止することができ、より高精細な画像を形成することができる。このことは、特に、インクの吸収性が低い記録媒体(例えば、コート紙等)に対して大きな効果を奏する。
【0113】
また、複数のノズル2411は、X方向について、記録媒体Pの最大幅に応じた数設けられるので、画像形成の際に画像形成ドラム21と記録ヘッド241とをX方向について相対的に移動させることなく画像を形成することができるワンパス方式を採用することができることから、より高速に画像を形成することができ、より生産性の高い画像形成装置1を提供することができる。
【0114】
なお、本発明の実施の形態は、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0115】
例えば、一つの第1貯留部242に複数の記録ヘッド241が接続されてもよい。
図16は、一つの第1貯留部242に複数の記録ヘッド241が接続された例を示す図である。
図16に示す例では、一つの第1貯留部242に2つの記録ヘッド241が接続されている。より具体的には、一つの第1貯留部242に接続された2つの記録ヘッド241の一方のアウトレット2415が他方のインレット2414に接続されることによりインクの供給経路と回収経路を一本化する接続形態となっている。また、バイパス部2416については、双方のバイパス部2416の各々に接続された回収路どうしが合流して一本の回収路に合流する接続形態となっている。このような接続形態例を取ることにより、一つの第1貯留部242に複数の記録ヘッド241を接続することもできる。
なお、
図16に示す例は一例であって、これに限られるものでない。例えば、一つの第1貯留部242に3つ以上の記録ヘッド241を接続してもよい。
【0116】
また、回収路302は分岐、合流していなくともよい。
図17は、回収路302が単一の経路である例を示す図である。
図17に示す例では、バイパス部2416と第2貯留部243との接続が省略され、アウトレット2415と第2貯留部243とが単一の経路である回収路302により接続されている。この場合、バイパス部2416は閉塞され、インクが外部に漏れ出さないようにされることが望ましい。
【0117】
図17に示す例では、上部流路部2412と下部流路部2413のうち上部流路部2412が回収路302を介して第2貯留部243に接続されているが、上部流路部2412と下部流路部2413のうち下部流路部2413を第2貯留部243に接続するようにしてもよい。また、上部流路部2412及び下部流路部2413の各々を独立した回収路により第2貯留部243に接続するようにしてもよい。
【0118】
また、上記の画像形成装置1は、ヘッドユニット24に複数の記録ヘッド241が設けられているが、単一の記録ヘッド241によってもよい。また、本発明による画像形成装置を、上記の画像形成装置1のようにワンパス方式のインクジェット記録装置とするに際し、単一の記録ヘッド241が、画像形成の際に記録ヘッド241と記録媒体Pとが相対的に移動する方向に直交する方向について、記録媒体Pの最大幅に応じた数の複数のノズルを有するようにしてもよい。
【0119】
また、インクは相変化を生じないインクでもよい。この場合においても、インクは低温時よりも高温時の方が相対的に流動性を増すので、供給路や回収路におけるインクの加熱によるインクの流動性の上昇の効果は十分に得られる。ただし、相変化を生じるインクの場合、インクの加熱による流動性のより顕著な上昇が生じるので、供給路や回収路におけるインクの加熱による効果もより高くなる。
【0120】
また、上記の実施形態の画像形成装置1は、吐出メンテナンスと還流メンテナンスの両方を行っているが、いずれか一方のみを行ってもよい。