(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ホルダーは、前記照明光用偏光板と前記反射光用偏光板とがその間に当該ホルダーを挟んだ状態で重なるように、当該照明光用偏光板および当該反射光用偏光板を保持する、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の反射特性測定装置。
前記反射光が前記照明光用偏光板および前記反射光用偏光板の各中心部を通過すると共に前記照明光がこの反射光の周囲を通過する、または、前記照明光が前記各中心部を通過すると共に前記反射光がこの照明光の周囲を通過し、
前記照明光用偏光板および前記反射光用偏光板において、各嵌合部は、前記照明光と前記反射光とが通過する領域の外側にそれぞれ配置されている、
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の反射特性測定装置。
試料面に照明光を照射すると共に前記試料面で反射した照明光である反射光を検出することによって前記試料面の反射特性を測定する反射特性測定装置における互いの偏光方向が直交するような姿勢でホルダーに保持される照明光用偏光板と反射光用偏光板との製造方法であって、
前記照明光用偏光板に対応する形状の第1金型部と前記反射光用偏光板に対応する形状の第2金型部とによって、同一の偏光板部材から前記照明光用偏光板および前記反射光用偏光板を打ち抜く打ち抜き工程を備え、
この打ち抜き工程では、
前記第1金型部によって前記偏光板部材から打ち抜かれた前記照明光用偏光板の周縁部において当該照明光用偏光板の中心を挟んで対向する位置に設けられ且つ前記ホルダーの対応する位置に設けられた一対の被嵌合部と嵌合する一対の嵌合部の並び方向と、
前記第2金型部によって前記偏光板部材から打ち抜かれた前記反射光用偏光板の周縁部において当該反射光用偏光板の中心を挟んで対向する位置に設けられ且つ前記照明光用偏光板における各嵌合部と対応する位置に設けられた同一形状の一対の嵌合部の並び方向とが、互いに直交するように、前記第1金型部と前記第2金型部とが配置されている、
反射特性測定装置に用いられる照明用偏光板および反射光用偏光板の製造方法。
前記一体の金型における第1金型部と前記第2金型部とは、前記偏光部材から前記照明光用偏光板と前記反射光用偏光板とが互いに繋がった状態で打ち抜かれる形状を有している、
請求項10に記載の反射特性測定装置に用いられる照明用偏光板および反射光用偏光板の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0014】
図1は、実施形態にかかる色彩濃度計における上方側の斜視図である。
図2は、前記色彩濃度計において偏光フィルターユニットを取り外した状態の下方側の斜視図である。
図3は、前記色彩濃度計の構造を示すブロック図である。
図4は、
図3の偏光フィルターユニット近傍における照明光および反射光の光路を説明するための拡大図である。
図5は、前記偏光フィルターユニットの分解斜視図である。
図6は、第1態様の、第1偏光フィルターとこれに対応する第2偏光フィルターとの製造方法を説明するための図である。
【0015】
反射特性測定装置は、試料面の測色(濃度測定も含む)に用いられ、例えば印刷物の色評価等の、試料面の反射特性を測定する。本実施形態の反射特性測定装置は、印刷物におけるインクの印刷濃度を測定する色彩濃度計である。この反射特性測定装置の一例である色彩濃度計10は、例えば、
図1ないし
図5に示すように、測定装置本体11と、偏光フィルターユニット20と、を備える。
【0016】
測定装置本体11は、光源12と、照明用光学系13と、受光用光学系14と、光検出部15と、演算制御部16と、表示部17と、これらの構成部材を収容するケーシング18と、を備える(
図3参照)。この測定装置本体11は、試料面Sに受光開口19を介して照明光L1を照射して前記試料面Sで反射した照明光である受光光(反射光)L2を検出することによって、試料面Sの反射特性(本実施形態では、試料面Sの色彩濃度、例えば試料面Sのインクの印刷濃度)を測定する。
【0017】
光源12は、試料面Sに照射される光(照明光)L1を発光する。本実施形態の光源12は、例えば白色LEDである。
【0018】
照明用光学系13は、光源12から放射された照明光L1を試料面Sまで導光する。本実施形態の照明用光学系13は、例えば、球面状の第1反射鏡131と、照明光L1の進行方向を変更するための第2反射鏡132と、試料面Sの測定位置に照明光L1を集めるための第3反射鏡133と、を有する。
【0019】
第1反射鏡131は、光源12から放射状に照射された照明光L1を平行光にする。第1反射鏡131は、半球若しくは半球の一部を切欠いたドーム状に形成され、その中心(焦点)位置に光源12が配置される。この第1反射鏡131によって、光源12が発した光は、光の進行方向から見てリング状の光線(照明光)L1(いわゆるリング照明)となる。第2反射鏡132は、第1反射鏡131からの照明光L1が試料面Sに向かうように、その進行方向(伝播方向)を変更する。本実施形態の第2反射鏡132は、光軸が試料面Sの法線方向となるように(すなわち、光軸が受光開口19の法線方向となるように)、第1反射鏡131からの照明光L1の向きを変更する。第3反射鏡133は、試料面Sの測定位置に照明光L1が集中するように、第2反射鏡132からのリング状の照明光L1の径を絞る(
図4参照)。より具体的に、第3反射鏡133は、その軸線方向(本実施形態では垂直方向)の断面が円錐台状の筒状に形成されている。そして、第3反射鏡133は、試料面Sの法線方向(本実施形態では垂直方向)に対して45°の方向から測定位置に照明光L1が到達するように、第2反射鏡132からのリング状の照明光L1を反射する。この第3反射鏡133によって反射された照明光L1は、ケーシング18の受光開口19を通じて試料面Sに照射される。
【0020】
受光用光学系14は、試料面Sの測定位置において反射した照明光のうち、試料面Sの法線法向に反射した照明光を受光開口19を介して受光光L2として光検出部15まで導光する。本実施形態の受光用光学系14は、例えば、視野規制絞り141と、受光レンズ142と、光ファイバー143と、を有する。
【0021】
視野規制絞り141は、測定対象エリア外からの光(試料面Sにおける測定位置(
図4参照)を除く領域からの反射光等)が受光レンズ142に入射することを規制する。受光レンズ142は、視野規制絞り141通過した受光光L2を集光して光ファイバー143内に入射させる。光ファイバー143は、受光レンズ142によって集光された受光光L2を光検出部15まで導光する。光検出部15は、光ファイバー143によって導光された受光光L2を分光して検出し、電気信号に変換して出力する。本実施形態の光検出部15は、受光光L2を分光して各波長成分を測定することにより受光光L2の分光分布を検出する分光装置である。演算制御部16は、光検出部15からの電気信号に基づいて演算処理し、演算結果(本実施形態では、測定したインクの印刷濃度)を表示部17に出力する。また、演算制御部16は、当該測定装置本体11の各構成要素を当該構成要素の機能に応じて制御する。表示部17は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示装置であり、演算制御部16からの演算結果を表示する。
【0022】
偏光フィルターユニット20は、第1偏光フィルター(照明光用偏光板)21と、第2偏光フィルター(反射光用偏光板)22と、偏光フィルターホルダー(ホルダー)23と、を備える。本実施形態の偏光フィルターユニット20は、着脱可能に測定装置本体11に取り付けられる(
図5参照)。これにより、当該色彩濃度計10は、偏光フィルターユニット20を取り付けた状態での測定と、偏光フィルターユニット20を取り外した状態での測定とを行うことができる。
【0023】
第1偏光フィルター21は、照明用光学系13に挿入され、その通過する光を第1の偏光方向(
図5の矢印α参照)に直線偏光させる。この第1偏光フィルター21は、中央部が開口した略円板形状を有する。すなわち、第1偏光フィルター21は、中央に開口部(中央開口部)210を有している。この中央開口部210は、受光光L2が通過する部位(領域)である(
図4参照)。
【0024】
第1偏光フィルター21は、周縁部に、複数(本実施形態の例では2つ)の位置決め切欠き部(嵌合部)211、211を有する。この位置決め切欠き部211は、第1偏光フィルター21を偏光フィルターホルダー23に取り付けるときに、偏光フィルターホルダー23の位置決め突部(被嵌合部)236と嵌合する。この嵌合によって、第1偏光フィルター21の偏光フィルターホルダー23における姿勢が決まる。この位置決め切欠き部211は、偏光フィルターホルダー23の位置決め突部236と嵌合可能な形状を有し、本実施形態では、第1偏光フィルター21の中央側に向かって径方向内側に適宜な所定量だけ凹むように切欠かれた形状である。本実施形態の2つの位置決め切欠き部211、211は、第1偏光フィルター21の所定の直径方向(本実施形態では例えば偏光軸(偏光方向)αと直交する方向)の両端部に設けられている。すなわち、2つの位置決め切欠き部211、211は、第1偏光フィルター21の周縁部において、中央開口部210を挟んで対向する位置に設けられている。
【0025】
第1偏光フィルター21は、表面と裏面とを判別するための判別切欠き部(判別部)212を有する。本実施形態の判別切欠き部212は、第1偏光フィルター21を偏光フィルターホルダー23に取り付ける場合に、偏光フィルターホルダー23の判別用突部(突出部)237と嵌合する。このように判別切欠き部212を判別用突部237と嵌合させることによって、第1偏光フィルター21を偏光フィルターホルダー23に取り付ける場合にその裏表の間違いを確実に防止できる。この判別切欠き部212は、偏光フィルターホルダー23の判別用突部237と嵌合可能な形状を有する。本実施形態の判別切欠き部212は、第1偏光フィルター21の周縁部に設けられ、中央側に向かって径方向内側に適宜な所定量だけ凹むように切欠いた切欠き(凹部)212である。なお、本実施形態の第1偏光フィルター21には、1つの判別切欠き部212が設けられているが、複数の判別切欠き部212、212、・・・が設けられてもよい。
【0026】
第1偏光フィルター21の周縁部に、4つの円弧状の切欠き部213が設けられる。これら円弧状の切欠き213は、第1偏光フィルター21の周方向において、2つの位置決め切欠き部211、211および判別切欠き部(判別部)212と異なる位置に設けられる。この切欠き部213は、第1偏光フィルター21を偏光フィルターホルダー23に固定するための接着剤の塗布位置を示す役割を有する。
【0027】
切欠き部213は、偏光フィルターホルダー23に第1および第2偏光フィルター21、22を上下に重ねて接着する場合に、第2偏光フィルター22において前記接着剤との接着面積を確保する役割を有する。より具体的には、第1偏光フィルター21の下方に配置される第2偏光フィルター22において、切欠き部213と対応する位置(切欠き部213の下方位置)に切欠き部を設けない構成とすることによって、偏光フィルターホルダー23に第1および第2偏光フィルター21、22を上下に重ねた状態で配置したときに、第1偏光フィルター21の切欠き部213から第2偏光フィルター22を露出させることができる。これにより、第2偏光フィルター22において、前記接着剤が塗布されたときにこの接着剤と十分な強度で接着するための接着面積が確保される。
【0028】
なお、偏光フィルターホルダー23(具体的には、後述するフィルター配置部233の周壁面233b)の各切欠き部213と対応する部位に、接着剤溜まりを構成する凹み部が設けられてもよい。この凹み部は、接着剤溜まりの役割を有し、偏光フィルターホルダー23への第1および第2偏光フィルター21、22の接着をより強固にする。
【0029】
第2偏光フィルター22は、受光用光学系14に挿入され、それを通過する光を第2の偏光方向(
図5の矢印β参照)に直線偏光させる。この第2偏光フィルター22の偏光軸は、第1偏光フィルター21の偏光軸と直交する。すなわち、第1偏光フィルター21の偏光方向(第1の偏光方向α)と第2偏光フィルター22の偏光方向(第2の偏光方向β)とは、互いに直交する。この第2偏光フィルター22は、本体部220と、外側円環部221と、本体部220と円環部221とを接続する複数(本実施形態の例では4つ)の接続部222、222、・・・と、を有する。この第2偏光フィルター22は、本体部220と外側円環部221との間に、本体部220、外側円環部221および接続部222によって形成された複数の扇形開口部225を有する。
図5に示す例では、4つの接続部222を有していることから、扇形開口部225は、4つである。
【0030】
本体部220は、第1偏光フィルター21と第2偏光フィルター22との重なり方向(
図5における上下方向)において、第1偏光フィルター21の中央開口部210と重なる。具体的に、本体部220は、中央開口部210の内径よりも大きな外径を有する円板形状を有し、前記重なり方向視において中央開口部210を塞ぐ。すなわち、中央開口部210には、本体部220が臨む。
【0031】
外側円環部221は、本体部220と同心の環形状を有する。この外側円環部221の内径は、本体部220との間に照明光L1が通過できる間隔が形成されるように設定されている。外側円環部221は、外側の周縁部に、複数(本実施形態の例では2つ)の位置決め切欠き部223、223を有する。この位置決め切欠き部223は、第2偏光フィルター22を偏光フィルターホルダー23に取り付ける場合に、偏光フィルターホルダー23の位置決め突部236と嵌合する。この嵌合によって、第2偏光フィルター22の偏光フィルターホルダー23における姿勢が決まる。すなわち、本実施形態では、第1偏光フィルター21と第2偏光フィルター22との各位置決め切欠き部211、223は、偏光フィルターホルダー23の対応する位置決め突部236とそれぞれ嵌合することによって、互いの偏光軸(偏光方向)が直交する姿勢で第1偏光フィルター21と第2偏光フィルター22とが偏光フィルターホルダー23に取り付けられる位置にそれぞれ設けられる。
【0032】
この位置決め切欠き部223は、偏光フィルターホルダー23の被嵌合部236と嵌合可能な形状を有し、本実施形態では、中央側(本体部220側)に向かって径方向内側に適宜な所定量だけ凹むように切欠かれた切欠き(凹部)である。本実施形態の2つの位置決め切欠き部223、223は、第2偏光フィルター22の所定の直径方向(本実施形態では例えば偏光軸(偏光方向)方向)の両端部に設けられている。すなわち、2つの位置決め切欠き部223、223は、第1偏光フィルター21の対応する位置決め切欠き部211と同じ形状を有し、上下方向において第1偏光フィルター21の対応する位置決め切欠き部211と同じ位置に設けられている。また、第2偏光フィルター22の位置決め切欠き部223、223の並び方向は、第2偏光フィルター22の偏光軸方向であり、第1偏光フィルター21の位置決め切欠き部211、211の並び方向は、第1偏光フィルター21の偏光軸と直交する方向である。
【0033】
外側円環部221は、第1偏光フィルター21と同様の判別切欠き部(判別部)224を有する。この判別切欠き部224は、第2偏光フィルター22を偏光フィルターホルダー23に取り付ける場合に、偏光フィルターホルダー23の判別用突部(突出部)237と嵌合する。本実施形態の外側円環部221(第2偏光フィルター22)に設けられた判別切欠き部224は、第1偏光フィルター21の判別切欠き部212が嵌合するのと同じ判別用突部237と嵌合する。このように、判別切欠き部224を判別用突部237と嵌合させることによって、第1偏光フィルター21同様、第2偏光フィルター22を偏光フィルターホルダー23に取り付ける場合に裏表の間違いを確実に防止できる。この判別切欠き部224は、偏光フィルターホルダー23の判別用突部237と嵌合可能な形状を有する。本実施形態の判別切欠き部224は、第1偏光フィルター21同様、中央側(本体部220側)に向かって径方向内側に適宜な所定量だけ凹むように切欠いた切欠き(凹部)である。
【0034】
以上の外側円環部221の外側の周縁部の輪郭は、4つの円弧状の切欠き部213を除いた第1偏光フィルター21の輪郭と同じである。
【0035】
接続部222は、本体部220から外側(中央開口部210の径外方向)に向かって延び、本体部220と外側円環部221とを接続する。本実施形態の各接続部222は、第2偏光フィルター22の偏光軸方向(第2の偏光方向β)と、この偏光軸と直交する方向とに延びる。なお、接続部222の数は、4つに限定されず、1〜3、または5以上であってもよい。ただし、外側円環部221に対する本体部220の位置決めを確実に行うために、接続部222は、2以上が好ましい。すなわち、接続部222の数および周方向の位置は、限定されず、本体部220と外側円環部221との間に照明光L1が通過できる間隔が維持され、且つ、第1偏光フィルター21に対する本体部220の姿勢を固定できればよい。
【0036】
以上のように構成される第1態様の第1偏光フィルター21および第2偏光フィルター22は、
図6に示すように、各偏光フィルター21、22と対応した形状の金型(抜き型)によって共通の偏光フィルム材(偏光板部材)200を打ち抜くことによって形成される。より詳しくは、以下の通りである。なお、以下では、第1偏光フィルター21に対応する形状の金型が第1金型(第1抜き型)と称され、第2偏光フィルター22に対応する形状の金型が第2金型(第2抜き型)と称される。
【0037】
一方の金型(例えば第2金型)が他方の金型(第1金型)に対して90°回転させた状態で配置される。例えば、
図6に示す例では、第1金型は、一対の位置決め切欠き部211、211が偏光フィルム材200の長手方向(
図6における左右方向)に並ぶように配置され、第2金型は、一対の位置決め切欠き部223、223が偏光フィルム材200の幅方向(前記長手方向と直交する方向:
図6における上下方向)に並ぶように配置される。偏光フィルム材200の偏光軸方向は、当該偏光フィルム材200の幅方向(
図6における上下方向)である。なお、第1金型と第2金型との偏光フィルム材200に対する姿勢が逆、すなわち、一対の位置決め切欠き部211、211が偏光フィルム材200の幅方向に並ぶように第1金型が配置され、一対の位置決め切欠き部223、223が偏光フィルム材200の長手方向に並ぶように第2金型が配置されてもよい。偏光フィルム材200に対する第1金型と第2金型との姿勢は、打ち抜いた各偏光フィルター21(または22)の一対の切欠き部211、211(または223、223)の並び方向が偏光フィルム材200の幅方向(偏光軸方向)に対して90°または0°となるような姿勢に限定されない。
【0038】
上記のように配置された第1金型および第2金型によって共通の偏光フィルム材200を打ち抜くことによって(打ち抜き加工されて)、第1偏光フィルター21と第2偏光フィルター22とが形成される。このとき、第1金型と第2金型とによって、第1偏光フィルター21と第2偏光フィルター22とが同時に打ち抜かれてもよく、また、順に打ち抜かれてもよい。
【0039】
このようにして形成された第1偏光フィルター21と第2偏光フィルター22とは、ペアとされて、偏光フィルターホルダー23に取り付けられる。これにより、一対の位置決め切欠き部211、211または223、223の並び方向に対する偏光軸の角度(本実施形態では、90°または0°)に製造誤差が生じていても、偏光フィルターホルダー23に取り付けたときに、互いの偏光方向が直交する精度が十分に確保される。すなわち、一対の位置決め切欠き部211、211または223、223の並び方向に対する偏光軸の角度が90°または0°からずれていても、第1金型に対する第2金型の回転角が精度よく90°となるように調整されていれば、これらの金型によって打ち抜かれた第1偏光フィルター21における前記並び方向と偏光軸と直交する方向とのずれ角と、第2偏光フィルター22における前記並び方向と偏光軸とのずれ角とが同じであるため、これら2つの偏光フィルター21、22をペアにして偏光フィルターホルダー23に取り付けることによって互いの偏光軸が精度よく直交する。
【0040】
なお、金型によって打ち抜かれた後、直ぐに偏光フィルターホルダー23に取り付けられない場合には、一対の金型(第1金型および第2金型)による打ち抜き加工によって形成された第1偏光フィルター21と第2偏光フィルター22とは、ペアで管理(保管)される。そして、偏光フィルターホルダー23への取り付けの際に、このペアで管理された第1偏光フィルター21および第2偏光フィルター22が共通の偏光フィルターホルダー23に取り付けられる。これにより、両偏光フィルター21、22を偏光フィルターホルダー23に取り付けた場合に、互いの偏光軸が直交する精度が、確保される。
【0041】
本実施形態では、第1金型と第2金型とが別個の金型であるが、これら第1金型と第2金型とが一体の金型であってもよい。すなわち、同一(共通)の金型内に、偏光フィルム材200から第1偏光フィルター21を打ち抜く部位である第1金型部と、偏光フィルム材200から第2偏光フィルター22を打ち抜く部位である第2金型部とが形成されていてもよい。かかる構成によれば、これら第1金型部と第2金型部との相対姿勢が固定されているため、本実施形態のように第1金型と第2金型とが別個の金型によって構成されている場合に比べて金型部同士の直交精度が高く、これにより、一体の金型によって打ち抜かれ第1偏光フィルター21と第2偏光フィルター22との偏光方向の直交精度が十分に確保される。金型の製造コストも、第1金型部と第2金型部とを別個の金型によって構成する場合に比べて安価となる。偏光フィルム材200から第1偏光フィルター21および第2偏光フィルター22を打ち抜くための装置等にこれら第1金型部および第2金型部を取り付けるときの取り付け作業が容易になる。
【0042】
この場合(前記第1金型部と前記第2金型部とが一体の金型を構成する場合)、前記第1金型部と前記第2金型部とは、偏光フィルム材200から第1偏光フィルター21と第2偏光フィルター22とが互いに繋がった状態で打ち抜かれる形状を持っていてもよい。この互いに繋がった状態で打ち抜かれた第1偏光フィルター21および第2偏光フィルター22は、偏光フィルターホルダー23に取り付ける場合に切り離される。これにより、打ち抜き工程後に、対応する第1偏光フィルター21と第2偏光フィルター22とをペアとして管理し易くなり、異なるペアの第1偏光フィルター21と第2偏光フィルター22とを偏光フィルターホルダー23に取り付けて2枚の偏光フィルター21、22の偏光方向の直交性が低下することをより確実に防ぐことができる。
【0043】
偏光フィルターホルダー23は、第1偏光フィルター21と第2偏光フィルター22とを各偏光フィルター21、22の厚さ方向に重なった状態で保持する。すなわち、偏光フィルターホルダー23には、第1偏光フィルター21と第2偏光フィルター22とが重ねられた状態で取り付けられる。本実施形態の偏光フィルターホルダー23は、上側に第1偏光フィルター21、下側に第2偏光フィルター22となるように、第1偏光フィルター21および第2偏光フィルター22を保持しているが、逆でもよい。
【0044】
この偏光フィルターホルダー23は、測定装置本体11に着脱可能に構成されている。本実施形態の偏光フィルターホルダー23は、バヨネット構造によって測定装置本体11に着脱可能に取り付けられる。
図5に戻り、偏光フィルターホルダー23は、第1偏光フィルター21および第2偏光フィルター22が取り付けられるホルダー本体230と、ホルダー本体230の外周面に設けられ且つ径外方向に突出する複数のホルダー固定用突起231a、231a、・・・とを有する。偏光フィルターホルダー23は、ホルダー固定用突起231aを測定装置本体11における受光開口19の周囲に設けられた切欠き部19a(
図2参照)に挿入した状態で周方向に回転させることにより、測定装置本体11に係止される。測定装置本体11から偏光フィルターホルダー23を取り外す場合には、これと逆の動作が行われ、偏光フィルターホルダー23は、測定装置本体11から取り外される。
【0045】
ホルダー本体230は、ホルダー固定用突起231aが設けられる短筒状の周壁部231と、周壁部231の下端に設けられる底部232と、を有する。底部232は、中央側の部位をその周囲より下方側に窪ませることによって形成されたフィルター配置部233と、フィルター配置部233の中心部に設けられ、照明光L1および受光光L2が通過する光通過部234とを有する。
【0046】
フィルター配置部233は、偏光フィルターホルダー23における第1偏光フィルター21および第2偏光フィルター22の被保持姿勢を決める複数の位置決め突部(被嵌合部)236と、第1偏光フィルター21および第2偏光フィルター22の表面と裏面との判別に用いられる判別用突部(突出部)237と、を有する。より詳しくは、フィルター配置部233は、第1偏光フィルター21および第2偏光フィルター22が重ねられた状態で載置される載置面233aと、載置面233a上の第1偏光フィルター21および第2偏光フィルター22を周方向に囲む周壁面233bと、を有する。フィルター配置部233は、各偏光フィルター21、22の各位置決め切欠き部211、223と対応する位置に、載置面233aから上方に突出すると共に周壁面233bから径内方向に突出する位置決め突部236をそれぞれ有する。フィルター配置部233は、各偏光フィルター21、22の判別切欠き部212、224と対応する位置に、載置面233aから上方に突出すると共に周壁面233bから径内方向に突出する判別用突部237を有する。
【0047】
各位置決め突部236は、各偏光フィルター21、22の位置決め切欠き部211、223と対応する形状(嵌合可能な形状)を有する。また、判別用突部237は、各偏光フィルター21、22の判別切欠き部212、224と対応する形状(嵌合可能な形状)を有する。
【0048】
光通過部234は、受光光L2が通過する受光光通過部238と、この受光光通過部238の周囲に設けられて照明光L1が通過する照明光通過部239と、を有する。より詳しくは、光通過部234は、載置面233aの中央に設けられた円形開口240と、その内側に配置され且つ円形開口240の直径よりも外径の小さな環状部材241と、円形開口240を規定する内周面240aと環状部材241とを接続して円形開口240内において環状部材241を支持する複数の支持部(遮光部)242、242、・・・と、を有する。受光光通過部238は、環状部材241の内側の開口であり、照明光通過部239は、円形開口240を規定する内周面240aと支持部242と環状部材241とに囲まれた開口である。上述した、第2偏光フィルター22の扇形開口部225の大きさは、照明光通過部239の大きさと同じ若しくは僅かに大きい。
【0049】
環状部材241の内径は、第1偏光フィルター21の中央開口部210の直径と同じ若しくは僅かに小さい。環状部材241の外径は、第2偏光フィルター22の本体部220の直径と同じ若しくは僅かに大きい。円形開口240を規定する内周面240aの直径は、第2偏光フィルター22の外側円環部221の内径と同じ若しくは僅かに小さい。各支持部242は、第2偏光フィルター22の接続部222に沿って延び、当該接続部222の下側において当該接続部222と並列するように配置されている。この支持部242の幅は、接続部222の幅と同じ若しくは僅かに大きい。
【0050】
以上の色彩濃度計10によれば、2枚の偏光フィルター(第1偏光フィルター21と第2偏光フィルター22)を偏光フィルターホルダー23に取り付ける(保持させる)場合に、各位置決め切欠き部211、223を対応する位置決め突部236にそれぞれ嵌め込むように取り付けるだけの簡素な作業で、2枚の偏光フィルター21、22の偏光軸を精度よく(即ち、部品加工精度で)且つ容易に直交させることができる。これにより、色彩濃度計10は、ドライダウンの影響を排除して試料面Sの反射特性(本実施形態ではインクの印刷濃度)を精度よく測定することができる。
【0051】
また、本実施形態の色彩濃度計10では、第1偏光フィルター21が受光光L2の光路を避けるような形状(遮らない形状)であると共に、第2偏光フィルター22が照明光L1の光路を避けるような形状(遮らない形状)である。このため、第1偏光フィルター21と第2偏光フィルター22とを、互いの偏光軸が直交するように重ねて照明用光学系13と受光用光学系14との両方に挿入されるように配置しても、照明用光学系13における第2偏光フィルター22の配置位置での照明光L1の通過と、受光用光学系14における第1偏光フィルター21の配置位置での受光光L2の通過とが確保される。このため、照明用光学系13と受光用光学系14とを近接させて色彩濃度計10の小型化を図ることが可能となる。しかも、当該色彩濃度計10を、照明用光学系13と受光用光学系14とが近接した構成にしても、各偏光フィルター21、22を照明用光学系13と受光用光学系14との両方を横断するような大きさにすることで、各偏光フィルター21、22の大きさが確保される(すなわち、各偏光フィルター21、22を大きくすることができる)。これにより、偏光軸が互いに直交するように各偏光フィルター21、22を偏光フィルターホルダー23に取り付ける際の作業の容易性を維持できる。
【0052】
本実施形態の色彩濃度計10では、両偏光フィルター21、22の重なり方向に突出する位置決め突部236、およびこの位置決め突部236に対応する形状の切欠き(位置決め切欠き部21
1、223)といった簡単な構成によって、第1偏光フィルター21と第2偏光フィルター22とを配置する場合に、互いの偏光軸を精度よく且つ容易に直交できる構成が実現されている。
【0053】
各偏光フィルター21、22に判別切欠き部212、224がそれぞれ設けられることによって、各偏光フィルター21、22の裏面と表面とを容易且つ確実に判別できる。このため、各偏光フィルター21、22を偏光フィルターホルダー23に取り付ける場合に、裏表を間違えて取り付けることを容易且つ確実に防止できる。
【0054】
しかも、本実施形態の色彩濃度計10では、各偏光フィルター21、22に設けられた切欠き(判別切欠き部212、224)を偏光フィルターホルダー23の判別用突部237に嵌合させる構成(換言すると、各偏光フィルター21、22に設けられた判別切欠き部212、224を偏光フィルターホルダー23の判別用突部237に嵌合させなければ各偏光フィルター21、22を偏光フィルターホルダー23に取り付けられない構成)とすることによって、各偏光フィルター21、22を偏光フィルターホルダー23に取り付ける場合の裏表の間違えをより確実に防いでいる。
【0055】
本実施形態の色彩濃度計10では、第1偏光フィルター21の位置決め切欠き部211と、この位置決め切欠き部211と対応する第2偏光フィルター22の位置決め切欠き部223とが、偏光フィルターホルダー23の同じ(共通の)位置決め突部236と嵌合することによって、それぞれ異なる位置の突部と嵌合する構成に比べ、互いの偏光軸をより精度よく直交できる。
【0056】
本実施形態の色彩濃度計10では、両偏光フィルター21、22の配置位置において、照明光L1と受光光L2とが通過する領域よりも外側に各位置決め切欠き部211、223が配置されている。このため、位置決め突部236や位置決め切欠き部211、223の形状に製造誤差が生じていても、両偏光フィルター21、22の偏光軸を互いに直交させる精度への影響を抑えることができる。すなわち、位置決め部236や切欠き部211、223が照明光L1および受光光L2の通過する領域よりも外側(すなわち、第1偏光フィルター21および第2偏光フィルター22の中心部から離れた位置)に設けられることで、照明光L1および受光光L2の通過する領域内(すなわち、第1偏光フィルター21および第2偏光フィルター22の中心部)に設けられる場合に比べて偏光フィルターホルダー23に各偏光フィルター21、22を取り付けた場合の周方向へのずれを抑えることができる。これにより、本実施形態の色彩濃度計10は、両偏光フィルター21、22の偏光軸を互いに直交させる精度への影響を抑えることができる。
【0057】
本実施形態の色彩濃度計10では、偏光フィルターホルダー23が、両偏光フィルター21、22の重なり方向において第2偏光フィルター22の接続部222と並列する支持部242を有することで、リング状の照明光L1の光路を横切る位置に配置されている接続部222(詳しくは、第1偏光フィルター21に対して偏光軸が直交する第2偏光フィルター22の一部である接続部222)の影響を抑えることができる。その結果、本実施形態の色彩濃度計10は、試料面Sの反射特性(本実施形態ではインクの印刷濃度)を精度よく測定することができる。
【0058】
なお、本発明の反射特性測定装置および反射特性測定装置に用いられる偏光板の製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0059】
反射特性測定装置は、色彩濃度計に限定されない。すなわち、反射特性測定装置は、測色を行う装置、例えば、試料面の色彩値等の反射特性の測定を行う装置であればよい。
【0060】
図7は、第2態様の、第1偏光フィルターと、この第1偏光フィルターとペアとなる第2偏光フィルターとを示す平面図である。
図7Aは、第2態様にかかる第1偏光フィルターの平面図であり、
図7Bは、第2態様にかかる第2偏光フィルターの平面図である。
図8は、第2態様の、偏光フィルターホルダーおよび偏光フィルターユニットの各平面図である。
図8Aは、第2態様にかかる偏光フィルターホルダーの平面図であり、
図8Bは、第2態様にかかる偏光フィルターユニットの平面図である。
図9は、第3態様の、第1偏光フィルターと、この第1偏光フィルターとペアとなる第2偏光フィルターとを示す平面図である。
図9Aは、第3態様にかかる第1偏光フィルターの平面図であり、
図9Bは、第3態様にかかる第2偏光フィルターの平面図である。
図10は、第3態様の、偏光フィルターホルダーおよび偏光フィルターユニットの各平面図である。
図10Aは、第3態様にかかる偏光フィルターホルダーの平面図であり、
図10Bは、第3態様にかかる偏光フィルターユニットの平面図である。
【0061】
また、上記実施形態の色彩濃度計10では、偏光フィルターホルダー23と各偏光フィルター21、22との嵌合部位は、突部(位置決め突部)236とこの突部236に対応する形状の切欠き(位置決め切欠き部)211、223であるが、この構成に限定されない。例えば、各偏光フィルターの嵌合部位に突片が設けられ、偏光フィルターホルダーの被嵌合部位に前記突片に対応する(嵌合可能な)形状の切欠きまたは凹部が設けられてもよい。また、
図7A〜
図8Bに示されるように、偏光フィルターホルダー23Aに突部(位置決め突部)236A、236Bが設けられ、各偏光フィルター21A、22Aに位置決め突部236A、236Bに対応する(嵌合可能な)形状の穴(位置決め穴)211A、211B、223A、223Bが設けられてもよい。この場合、直径方向に並ぶ位置決め穴211Aおよび211B(または、223Aおよび223B)の一方を、この位置決め穴211B、223Bに挿入される位置決め突部236Bよりも前記直径方向(一対の位置決め穴211Aおよび211B(または、223Aおよび223B)が並ぶ方向)に長く形成することが好ましい。かかる構成によれば、各偏光フィルター21A、22Aに設けられる位置決め穴211A、211B、223A、223Bと、偏光フィルターホルダー23Aに設けられる位置決め突部236A
、236Bとの加工誤差が吸収できる。
【0062】
また、表面と裏面とを判別するために各偏光フィルター21B、22Bに設けられる判別部は、切欠き形状に限定されず、穴(判別用穴部)212C、224C等であってもよい(
図9A〜
図10B参照)。この場合、偏光フィルターホルダー23Bには、この判別用穴部212C、224Cに対応する形状の判別用突部237Bが設けられる。この判別用突部237Bは、載置面233aから上方に向けて突出する。
【0063】
また、表面と裏面とを判別する判別部は、各偏光フィルターにのみ設けられてもよい。この場合でも、各偏光フィルターを偏光フィルターホルダーに取り付ける場合に、この判別部を視認等することによって、裏表を間違って取り付けることが防止できる。また、各偏光フィルターに設けられる判別部は、切欠きや穴等の形状によるものでなく、刻印、印刷等による印や文字等によって構成されてもよい。
【0064】
また、
図9A〜
図10Bに示されるように、第2偏光フィルター22Bは、外側円環部が設けられていない構成であってもよい。すなわち、第2偏光フィルター22Bは、本体部220と、偏光フィルターホルダー23Bの被嵌合部(突部等)236と嵌合する嵌合部211Cと、本体部220と嵌合部211Cとを接続する接続部222と、を有していればよい(
図9B参照)。この場合、偏光フィルターホルダー23Bの支持部(環状部材241を支持する支持部)242は、両偏光フィルター21B、22Bの重なり方向において接続部222と重なる位置にのみ設けられていればよい。
【0065】
また、上記実施形態の色彩濃度計10では、両偏光フィルター21、22は、偏光フィルターホルダー23のフィルター配置部233の載置面233a上に重なるように配置されているが、この配置に限定されない。例えば、第1偏光フィルター21と第2偏光フィルター22とがその間に偏光フィルターホルダー23(フィルター配置部233)を挟んだ状態で重なるように、当該偏光フィルターホルダー23の上面と下面とにそれぞれ取り付けられてもよい。この場合、位置決め突部(被嵌合部)は、偏光フィルターホルダー23の上面と下面とにそれぞれ設けられる。
【0066】
このように、両偏光フィルター21、22が配置されても、偏光フィルターホルダー23に被嵌合部(位置決め突部等)を設けると共に各偏光フィルター21、22に前記被嵌合部と対応する嵌合部(位置決め切欠き部等)を設けることによって、第1偏光フィルター21と第2偏光フィルター22とを偏光フィルターホルダー23に配置する場合に、互いの偏光方向を精度よく且つ容易に直交できる。
【0067】
上記実施形態の色彩濃度計10では、試料面Sの測定位置を全周から照射するリング照明が用いられているが、照射光を1方向から照射する1方向照明や2方向から照射する2方向照射、試料面Sの法線を囲む円周上の複数の位置(前記円周上において等間隔となる複数の方向(等方位))から前記法線と試料面Sとの交差位置に照射する複数照明が用いられてもよい。
【0068】
本明細書は、上記のように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
【0069】
一態様にかかる反射特性測定装置は、試料面に照明光を照射して前記試料面で反射した照明光である反射光を検出することによって前記試料面の反射特性を測定する反射特性測定装置であって、前記照明光を前記試料面に導光する照明用光学系に挿入され、通過する光を第1の偏光方向に直線偏光させる照明光用偏光板と、前記反射光を光検出部まで導光する受光用光学系に挿入され、通過する光を第2の偏光方向に直線偏光させる反射光用偏光板と、前記照明光用偏光板および前記反射光用偏光板を各偏光板の厚さ方向に重なった状態で保持するホルダーと、を備える。そして、前記ホルダーは、前記照明光用偏光板および前記反射光用偏光板の当該ホルダーにおける被保持姿勢を決める1または複数の被嵌合部を有し、前記照明光用偏光板は、前記ホルダーの対応する被嵌合部と嵌合する1または複数の嵌合部を有し、且つ、前記反射光の光路を避けた形状であり、前記反射光用偏光板は、前記ホルダーの対応する被嵌合部と嵌合する1または複数の嵌合部を有し、且つ、前記照明光の光路を避けた形状であり、各嵌合部は、前記対応する被嵌合部とそれぞれ嵌合することによって、互いの偏光方向が直交する姿勢で前記照明光用偏光板と前記反射光用偏光板とが前記ホルダーに保持される位置に設けられている。
【0070】
このような反射特性測定装置は、2枚の偏光板(照明光用偏光板と反射光用偏光板)をホルダーに取り付ける(保持させる)場合に、各嵌合部を対応する被嵌合部にそれぞれ嵌め込むように取り付けるだけの簡素な作業で、2枚の偏光板の偏光方向を精度よく(即ち、部品加工精度で)且つ容易に直交できる。
【0071】
上記構成では、照明光用偏光板が反射光の光路を避ける形状であると共に、反射光用偏光板が照明光の光路を避ける形状である。このため、照明光用偏光板と反射光用偏光板とを、互いの偏光方向が直交するように重ねて照明用光学系と受光用光学系との両方に挿入されるように配置しても、照明用光学系における反射光用偏光板の配置位置での照明光の通過と、受光用光学系における照明光用偏光板の配置位置での反射光の通過とが、確保される。このため、このような反射特性測定装置は、照明用光学系と受光用光学系とを近接させて反射特性測定装置の小型化を図ることができる。しかも、当該反射特性測定装置を照明用光学系と受光用光学系とが近接した構成にしても、各偏光板(照明光用偏光板と反射光用偏光板)を照明用光学系と受光用光学系との両方に挿入される大きさにすることで各偏光板の大きさが確保でき、これにより、偏光方向が互いに直交するように各偏光板をホルダーに取り付ける際の作業の容易性を維持できる。
【0072】
他の一態様では、上述の反射特性測定装置において、好ましくは、前記ホルダーの各被嵌合部は、前記照明光用偏光板と前記反射光用偏光板との重なり方向に突出し、前記各嵌合部は、前記対応する被嵌合部と嵌合可能な形状の穴または切欠きであってよい。このような前記重なり方向に突出する被嵌合部、および、この被嵌合部に対応する形状の穴または切欠きといった簡単な構成によって、照明光用偏光板と反射光用偏光板とを配置する場合に互いの偏光方向を精度よく且つ容易に直交させることが可能な構成が実現できる。
【0073】
他の一態様では、これら上述の反射特性測定装置において、前記照明光用偏光板および前記反射光用偏光板は、表面と裏面とを判別するための判別部をそれぞれ有することが好ましい。
【0074】
このように各偏光板(照明光用偏光板および反射光用偏光板)に判別部がそれぞれ設けられることによって各偏光板の裏面と表面とを容易且つ確実に判別できる。このため、このような反射特性測定装置は、各偏光板をホルダーに取り付ける場合に、裏表を間違えて取り付けることを容易且つ確実に防止できる。
【0075】
他の一態様では、上述の反射特性測定装置において、前記ホルダーは、前記照明光用偏光板と前記反射光用偏光板との重なり方向に突出する突出部を有し、前記判別部は、前記照明光用偏光板および前記反射光用偏光板における前記突出部と対応する位置にそれぞれ設けられ、当該突出部と嵌合する穴または切欠きであることがより好ましい。
【0076】
このように各偏光板に設けられた穴または切欠きをホルダーの突出部に嵌合させる構成(換言すると、各偏光板に設けられた穴または切欠きをホルダーの突出部に嵌合させなければ各偏光板をホルダーに取り付けられない構成)とすることにより、このような反射特性測定装置は、各偏光板をホルダーに取り付ける場合の裏表の間違えをより確実に防止できる。
【0077】
他の一態様では、これら上述の反射特性測定装置において、前記反射特性測定装置では、前記照明光用偏光板の嵌合部と、この嵌合部と対応する前記反射光用偏光板の嵌合部とが、前記ホルダーにおける共通の被嵌合部と嵌合することが好ましい。
【0078】
このような反射特性測定装置は、照明用偏光板の嵌合部と反射光用偏光板の嵌合部とを、対応する被嵌合部により確実に嵌合させ、これにより、照明用偏光板と反射光用偏光板との互いの偏光方向をより確実に直交できる。すなわち、照明光用偏光板の嵌合部と反射光用偏光板の嵌合部とをホルダーの異なる被嵌合部にそれぞれ嵌合させる構成では、ホルダーに多くの被嵌合部が設けられるために、嵌合させ間違いが生じるおそれがある。しかしながら、上記構成によって被嵌合部の数を抑えることができ、これにより、このような反射特性測定装置は、前記嵌合させ間違いを効果的に防止できる。
【0079】
他の一態様では、これら上述の反射特性測定装置において、前記ホルダーは、前記照明光用偏光板と前記反射光用偏光板とがその間に当該ホルダーを挟んだ状態で重なるように、当該照明光用偏光板および当該反射光用偏光板を保持してもよい。
【0080】
このように照明光用偏光板と反射光用偏光板との間にホルダーが挟まれるように照明用偏光板および反射光用偏光板を配置しても、ホルダーに被嵌合部を設けると共に各偏光板に前記被嵌合部と対応する嵌合部をそれぞれ設けることによって、このような反射特性測定装置は、照明光用偏光板と反射光用偏光板とをホルダーに配置する場合に、互いの偏光方向を精度よく且つ容易に直交できる。
【0081】
他の一態様では、これら上述の反射特性測定装置において、前記反射光が前記照明光用偏光板および前記反射光用偏光板の各中心部を通過すると共に前記照明光がこの反射光の周囲を通過する、または、前記照明光が前記各中心部を通過すると共に前記反射光がこの照明光の周囲を通過し、前記照明光用偏光板および前記反射光用偏光板において、各嵌合部は、前記照明光と前記反射光とが通過する領域の外側にそれぞれ配置されていることが好ましい。
【0082】
このような反射特性測定装置は、被嵌合部や嵌合部の形状に製造誤差が生じていても、両偏光板(照明光用偏光板および反射光用偏光板)の偏光方向を互いに直交させる精度への影響を抑えることができる。すなわち、被嵌合部や嵌合部が照明光および反射光の通過する領域よりも外側(すなわち、照明光用偏光板および反射光用偏光板の中心部から離れた位置)に設けられることで、照明光および反射光の通過する領域内(即ち、照明光用偏光板および反射光用偏光板の中心部)に設けられる場合に比べてホルダーに各偏光板を取り付けた場合の周方向へのずれを抑えることができる。その結果、このような反射特性測定装置では、両偏光板の偏光方向を互いに直交させる精度への影響が抑えられる。
【0083】
他の一態様では、これら上述の反射特性測定装置において、前記照明用光学系は、前記照明光用偏光板の位置においてリング状となる照明光を前記試料面に導光し、前記受光用光学系は、前記試料面で反射した照明光のうち前記照明用偏光板の位置において前記リング状の照明光の中央部を通過する反射光を前記光検出部に導光してもよい。この場合、例えば、前記照明光用偏光板は、中央部に前記反射光が通過する開口を有し、前記反射光用偏光板は、前記照明光用偏光板との重なり方向において前記照明光用偏光板の開口と重なる本体部と、この本体部の周囲の前記リング状の照明光が通過する領域より外側に設けられた前記各嵌合部と、前記本体部から前記各嵌合部まで延びる接続部と、を有することにより、ドライダウンの影響を排除して試料面の反射特性を精度よく測定できる。
【0084】
かかる構成では、リング状の照明光が反射光用偏光板の本体部の周囲を通過して試料面に到達する。そして、試料面で反射して照射用偏光板の中央部の開口を通過した照明光が反射光として光検出部に導光される。
【0085】
他の一態様では、上述の反射特性測定装置において、前記ホルダーは、前記反射光用偏光板の接続部に沿って延び、前記重なり方向において当該接続部と並列する遮光部を有することが好ましい。
【0086】
このような反射特性測定装置は、リング状の照明光の光路を横切る位置に配置されている接続部(詳しくは、照明光用偏光板に対して偏光方向が直交する反射光用偏光板の一部である接続部)の影響を抑えることができ、その結果、試料面の反射特性を精度よく測定できる。
【0087】
また、他の一態様にかかる製造方法は、試料面に照明光を照射して前記試料面で反射した照明光である反射光を検出することによって前記試料面の反射特性を測定する反射特性測定装置における互いの偏光方向が直交するような姿勢でホルダーに保持される照明光用偏光板と反射光用偏光板との製造方法であって、前記照明光用偏光板に対応する形状の第1金型部と前記反射光用偏光板に対応する形状の第2金型部とによって、同一の偏光板部材から前記照明光用偏光板および前記反射光用偏光板を打ち抜く打ち抜き工程を備え、この打ち抜き工程では、前記第1金型部によって前記偏光板部材から打ち抜かれた前記照明光用偏光板の周縁部において当該照明光用偏光板の中心を挟んで対向する位置に設けられ且つ前記ホルダーの対応する位置に設けられた一対の被嵌合部と嵌合する一対の嵌合部の並び方向と、前記第2金型部によって前記偏光板部材から打ち抜かれた前記反射光用偏光板の周縁部において当該反射光用偏光板の中心を挟んで対向する位置に設けられ且つ前記照明光用偏光板における各嵌合部と対応する位置に設けられた同一形状の一対の嵌合部の並び方向とが、互いに直交するように、前記第1金型部と前記第2金型部とが配置されている。
【0088】
このように配置された第1金型部および第2金型部によって偏光板部材を打ち抜き加工して形成された照明光用偏光板と反射光用偏光板とは、ペアにされ、ホルダーに取り付けられる。これによって照明光用偏光板の嵌合部とこれに対応する反射光用偏光板の嵌合部とをホルダーの共通の被嵌合にそれぞれ嵌合させるようにして照明光用偏光板および反射光用偏光板をホルダーに取り付けた場合に、互いの偏光方向が直交する精度が十分に確保される。
【0089】
他の一態様では、上述の照明用偏光板および反射光用偏光板の製造方法において、前記第1金型部と前記第2金型部とが一体の金型として構成され、前記打ち抜き工程では、前記照明用偏光板および前記反射光用偏光板が前記偏光板部材から前記一体の金型によって同時に打ち抜かれてもよい。
【0090】
かかる構成によれば、前記一体の金型において第1金型部と第2金型部との相対姿勢が固定されている(すなわち、一対の嵌合の並び方向が互いに直交するような姿勢で固定されている)。このため、第1金型部と第2金型部とが別個の金型によって構成される場合に比べて金型部同士の直交精度が高く、これにより、前記一体の金型によって打ち抜かれた照明用偏光板と反射光用偏光板との偏光方向の直交精度が十分に確保される。また、金型の製造コストも、第1金型部と第2金型部とを別個の金型によって構成する場合に比べて安価となる。さらに、偏光部材から照明用偏光板および反射光用偏光板を打ち抜くための装置等にこれら第1金型部および第2金型部を取り付けるときの取り付け作業が容易になる。
【0091】
他の一態様では、上述の照明用偏光板および反射光用偏光板の製造方法において、前記一体の金型における第1金型部と前記第2金型部とは、前記偏光部材から前記照明光用偏光板と前記反射光用偏光板とが互いに繋がった状態で打ち抜かれる形状を有していてもよい。
【0092】
かかる構成によれば、打ち抜き工程後に、対応する照明用偏光板と反射光用偏光板とをペアとして管理し易くなる。これにより、異なるペアの照明用偏光板と反射光用偏光板とをホルダーに取り付け、2枚の偏光板の偏光方向の直交性が低下することをより確実に防ぐことができる。
【0093】
この出願は、2012年11月30日に出願された日本国特許出願特願2012−262285を基礎とするものであり、その内容は、本願に含まれるものである。
【0094】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。