(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固定接点および前記可動接点の前記接触表面領域から発生した前記アークを、前記永久磁石の磁力で、前記可動接触片の回動支点側に位置する前記非接触表面領域に伸長することを特徴とする請求項1に記載の接点機構。
前記固定接点および前記可動接点の対向面の少なくともいずれか一方の対向面に、接点閉成時において前記接触表面領域から前記非接触表面領域までの接点間距離を広くするように傾斜するテーパ面を、形成したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の接点機構。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記接点機構では、前記可動接点17が前記固定接点16から開離する場合に、接点表面のうち、最初に開離する特定の表面領域から発生したアークが、その表面領域でアークが持続される。このため、特定の表面領域だけがアークによって焼損し、荒れるので、特定の表面領域が相互に接触すると、電気抵抗が増大し、発熱しやすいだけでなく、接点寿命が短いという問題点がある。
本発明に係る接点機構は、前記課題に鑑み、電気抵抗が増大せず、接点寿命が長い接点機構を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る接点機構は、前記課題に鑑み、
単一組成の素材からなる固定接点と、
回動する可動接触片と、
前記可動接触片の先端部に設けられ、かつ、前記固定接点に対向する単一組成の素材からなる可動接点と、
前記固定接点と前記可動接点との間に生じたアークを所定の方向に伸長する永久磁石とからなる接点機構であって、
前記固定接点と前記可動接点とが、対向する接点表面のうち、前記先端部側の縁部に位置する接触表面領域で部分接触し、前記固定接点と前記可動接点との開離時に前記接触表面領域
で発生した前記アークを前記永久磁石の磁力で伸長し、前記アークを
、前記固定接点と前記可動接点とが接触しない非接触表面領域に移動させる構成としてある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、発生したアークが非接触表面領域に移動するので、アークによって固定接点および可動接点の接触表面領域が焼損しにくくなり、荒れることがない。このため、電気抵抗が増大しないので、前記接触表面領域が相互に接触しても、発熱しにくくなり、接点寿命が伸びる。
【0007】
本発明によれば、可動接触片の回動運動により、固定接点と可動接点とが接触する接触表面領域と、両者が接触しない非接触表面領域とを明確に分けやすくなる。このため、アークによって固定接点および可動接点の接触表面領域がより一層、焼損しにくくなり、荒れることがない。この結果、電気抵抗が増大せず、前記接触表面領域が相互に接触しても、より一層、発熱しにくくなり、接点寿命が伸びる。
【0008】
本発明の実施形態としては、前記固定接点および前記可動接点の前記接触表面領域から発生した前記アークを、前記永久磁石の磁力で、前記可動接触片の回動支点側に位置する前記非接触表面領域に伸長してもよい。
本実施形態によれば、接触表面領域から発生したアークが永久磁石の磁力で伸長され、非接触表面領域に移動するので、前記接触表面領域の劣化を回避でき、接点寿命がより一層、伸びる。
【0009】
他の発明に係る接点機構としては、
単一組成の素材からなる固定接点と、
前記固定接点の表面に交差する対向方向に沿って平行移動する可動接触片と、
前記可動接触片の一端部に設けられ、かつ、前記固定接点に対向する単一組成の素材からなる可動接点と、
前記固定接点と前記可動接点との間に生じたアークを所定の方向に伸長する永久磁石とからなる接点機構であって、
前記固定接点と前記可動接点とが、対向する接点表面のうち、前記一端部側の縁部に位置する接触表面領域で部分接触し、前記固定接点と前記可動接点との開離時に前記接触表面領域
で発生した前記アークを前記永久磁石の磁力で伸長し、前記アークを
、前記固定接点と前記可動接点とが接触しない非接触表面領域に移動させる構成としてある。
本発明によれば、適用できる範囲が広がり、設計の自由度が広がる。
【0010】
本発明の実施形態としては、前記固定接点および前記可動接点の対向面の少なくともいずれか一方の対向面に、接点閉成時において前記接触表面領域から前記非接触表面領域までの接点間距離を広くするように傾斜するテーパ面を、形成しておいてもよい。
なお、本発明に係る前記テーパ面は平面からなるテーパ面であってもよく、また、断面凸形状の湾曲面あるいは断面凹形状の湾曲面からなるテーパ面であってもよい。
本実施形態によれば、アークが移動しやすくなり、アークによって接点表面が焼損しても、非接触表面領域が徐々に焼損して接触抵抗が増大するだけであり、接触表面領域の接触抵抗が増大しにくいので、接点寿命が伸びる。
【0011】
本発明に係るスイッチは、前述接点機構を備えたものであってもよい。
【0012】
本発明によれば、発熱しにくいとともに、寿命の長いスイッチが得られる。
【0013】
本発明に係るトリガースイッチは、前述の接点機構を備えたものであってもよい。
【0014】
本発明によれば、発熱しにくいとともに、寿命の長いトリガースイッチが得られるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る接点機構の実施形態は、
図1ないし
図11の添付図面に示すように、トリガースイッチに適用した場合である。
すなわち、第1実施形態に係るトリガースイッチは、
図2に示すように、第1カバー11と第2カバー15とを組み合わせて形成されたハウジング10内に、ベース20、プランジャ40、プリント基板50等の内部構成部品を組み込むとともに、トリガー60および切換レバー70を組み付けたものである。
なお、以下の説明では、図面に表された構成を説明するうえで、「上」、「下」、「左」、「右」等の方向を示す用語、及びそれらを含む別の用語を使用するが、それらの用語を使用する目的は図面を通じて実施形態の理解を容易にするためである。したがって、それらの用語は本発明の実施形態が実際に使用されるときの方向を示すものとは限らないし、それらの用語によって特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲が限定的に解釈されるべきでない。
【0017】
第1カバー11は、
図2に示すように、その上面の一方側に後述する切換レバー70を支持するための半円形の嵌合凹部12を設けてある。また、前記第1カバー11は、前記嵌合凹部12の直下に位置する外側面に、前記トリガー60の操作軸61を支持するための半円形リブ13を設けてあるとともに、前記嵌合凹部12に隣接するようにガイド片14を側方に突設してある。
【0018】
第2カバー15は、
図3に示すように、前記第1カバー11に突き合わせ可能な正面形状を有し、その上面の一方側に後述する切換レバー70を支持するための半円形の嵌合凹部16を設けてある。また、前記第2カバー15は、前記嵌合凹部16の直下に位置する外側面に、前記トリガー60の操作軸61を支持するための半円形リブ17を設けてある。
なお、前記第2カバー15の接合面のうち、後述するトリガー60の操作軸61および切換レバー70が取り付けられる部分以外の接合面は、前記第1カバー11に超音波溶着あるいは接着剤で一体化される。
【0019】
前記ベース20は、
図2に示すように、箱形状から一方側の側面を切り欠いた形状を有し、その上辺の一方側に切換レバー70を位置決めするための位置決め用凹部21を設けてある。また、前記ベース20は、前記上辺の他方側にノコギリ歯状のクリック感用凹凸部22を設けてあるとともに、前記位置決め用凹部21と前記クリック感用凹凸部22との間に、後述する共通中継端子30および第1中継端子31を設置するための設置用凹所23を設けてある。そして、前記ベース20は、その下辺の底面に後述する可動接点バネ38aを位置決めするための位置決め凹部24と、後述する可動接点バネ38bを位置決めするための位置決め凹部25とを並設してある。
【0020】
また、前記ベース20は、
図2に示すように、前記設置用凹所23に屈曲した共通中継端子30と第1中継端子31とを面一となるように設置してある。また、前記共通中継端子30は、その支持孔30aに挿通した中継可動接触片33を、中継可動接点バネ34を介し、回動可能に支持してある。
そして、
図3に示すように、前記ベース20は、その嵌合孔26に中継固定接点32aを備えた第2中継端子32を組み付けてある。このため、前記中継可動接触片33の一端部に設けた中継可動接点33aが、前記第2中継端子32にカシメ固定した中継固定接点32aに接離可能に対向する。
さらに、前記ベース20は、その下辺の背面側に段差を有する嵌合孔27に段差を有する永久磁石28を挿入してある。前記嵌合孔27および永久磁石28に段差を設けたのは誤挿入を防止するためである。
【0021】
また、前記ベース20は、
図2に示すように、その下辺に固定接点端子35および可動接点端子36を側方からそれぞれ圧入,固定してある。特に、
図6に示すように、前記固定接点端子35は、一対の開閉用,通電用固定接点35a,35bをカシメ固定した水平端部35cが、前記ベース20に片持ち支持され、前記ベース20に埋設されていない。
このため、開閉用固定接点35aと開閉用可動接点37aとの間にアークが生じても、ベース20を形成する樹脂から微粉末が発生し、雰囲気中に飛散しにくい。この結果、内部空間の絶縁抵抗が低下しないだけでなく、接点表面に樹脂の微粉末が付着しないので、開閉用固定接点35aが開閉用可動接点37aに接近する際にアークが発生しにくくなり、接点寿命が伸びるとい利点がある。
一方、前記可動接点端子36は、その上端部に支持孔36aおよび支持孔36bを並設してある。さらに、前記支持孔36aには、開閉用可動接触片37を挿入し、かつ、可動接点バネ38aを介して回動可能に支持してある。一方、前記支持孔36bには通電用可動接触片39を挿入し、かつ、可動接点バネ38bを介して回動可能に支持してある(
図5)。このため、前記開閉用,通電用可動接触片37,39にそれぞれ設けた開閉用,通電用可動接点37a,39aが、前記固定接点端子35に設けた開閉用,通電用固定接点35a,35bにそれぞれ接離可能に対向する。
【0022】
前記プランジャ40は、
図2に示すように、前記ベース20内でスライド移動可能な外形形状を有し、側方に貫通する貫通孔41を備えるとともに、その一方の外側面に一対のガイド溝42a,42bを並設してある。前記貫通孔41には復帰バネ43を挿入できるとともに、一対の前記ガイド溝42a,42bには摺動子44,45をそれぞれ圧入固定できる構造となっている。このため、前記プランジャ40は、前記ベース20内に復帰バネ43を介して軸心方向に往復移動可能に収納できる。
また、前記プランジャ40は、
図3に示すように、その底面にテーパ面を備えた操作部46,操作部47を並設してある。
【0023】
前記プリント基板50は、
図2に示すように、前記ベース20の開口部を被覆可能な正面形状を有し、その内向面に図示しない摺動抵抗体をプリントし、抵抗等の電子部品を実装してあるとともに、その下端部にソケット51を取り付けてある。そして、前記プリント基板50を、前記プランジャ40を収納したベース20に嵌め込んで組付け、前記共通中継端子30,第1中継端子31等を電気接続することにより、前記ベース20に一体化できる。そして、前記プランジャ40をスライド移動させることにより、前記プランジャ40に取り付けた一対の前記摺動子44,45が、前記プリント基板50の摺動抵抗体に沿って摺動し、抵抗値を変化させる。
【0024】
前記トリガー60は、
図2に示すように、側方に突出する操作軸61を備え、前記操作軸61に挿入した蛇腹状筒体62の一端部をコイルリング63で抜け止めしている。また、前記トリガー60は、前記蛇腹状筒体62から突出する前記操作軸61の先端部を前記プランジャ40の係合孔40a(
図3)からスライド係合することにより、前記プランジャ40に一体化できる。
なお、前記操作軸61に挿通した蛇腹状筒体62は、その他端部を前記第1,第2カバー11,15の半円形リブ13,17に係合することにより、防水構造となる。
【0025】
切換レバー70は、
図2に示すように、その一端部にコイルバネ71を介して鋼玉72を外方に付勢するように組み付けるとともに、
図3に示すように、その一端側の下面にコイルバネ(図示せず)を介して断面門型の回動接触片74を組み付けてある。また、前記切換レバー70は、その中間に位置する鍔部75の直下に回動軸部76を同一軸心上に突設してある。そして、前記回動軸部76を前記ベース20の前記位置決め用凹部21に位置決めするとともに、前記鍔部75をシールリング77を介して前記第1,第2カバー11,15の半円形の嵌合凹部12,16で回動可能に支持できる。このため、前記切換レバー70を前記回動軸部76を支点として回動させると、前記回動接触片74(
図3)が回動し、前記回動接触片74の両端部が共通中継端子30だけに接触し、あるいは、前記共通中継端子30と第1中継端子31とに接触する。この結果、前記プリント基板50の電気回路が切り換わり、図示しないモータの回転方向を逆回転させることができる。
なお、前記コイルバネ71に付勢されている前記鋼玉72は前記ベース20のクリック感用凹凸部22に係合しているので、前記切換レバー70を操作することにより、クリック感が得られる。
【0026】
組立方法としては、まず、前記ベース20に、前記共通中継端子30、第1中継端子31および中継固定接点32aをカシメ固定した第2中継端子32を組み付ける。ついで、前記共通中継端子30の支持孔30aに、中継可動接点33aを設けた中継可動接触片33を中継可動接点バネ34を介して回動可能に支持する。このため、前記中継可動接点33aが前記中継固定接点32aに接離可能に対向する。
そして、前記ベース20に、開閉用,通電用固定接点35a,35bを備えた固定接点端子35および可動接点端子36を組み付ける。
さらに、前記可動接点端子36の支持孔36aに、開閉用可動接点37aをカシメ固定した開閉用可動接触片37を挿通する。前記開閉用可動接触片37は、前記ベース20の位置決め凹部24に下端部を位置決めした可動接点バネ38aを介し、前記可動接点端子36の支持孔36aに回動可能に支持される。
同様に、前記可動接点端子36の支持孔36bに、通電用可動接点39aをカシメ固定した通電用可動接触片39を挿通する。前記通電用可動接触片39は、前記ベース20の位置決め凹部25に下端部を位置決めした可動接点バネ38bを介し、前記可動接点端子36の支持孔36bに回動可能に支持される。
これにより、前記開閉用,通電用可動接点37a,39aが前記開閉用,通電用固定接点35a,35bにそれぞれ接離可能に対向する。
【0027】
ついで、プランジャ40の一対のガイド溝42a,42bに摺動子44,45をそれぞれ圧入固定する。一方、トリガー60の操作軸61を蛇腹状筒体62に挿入してコイルリング63で抜け止めするとともに、前記蛇腹状筒体62から突出する前記操作軸61の先端部を前記プランジャ40に設けた係合孔40aに側方からスライド係合して一体化する。さらに、前記貫通孔41に復帰バネ43を挿入した状態のままで前記ベース20にスライド移動可能に収納する。そして、前記ベース20の開口部に、ソケット51を取り付けたプリント基板50を嵌合して組付けた後、前記プリント基板50に、共通中継端子30,第1中継端子31,第2中継端子32および固定接点端子35,可動接点端子36を電気接続する。
【0028】
一方、切換レバー70は、その鍔部75にシールリング77を装着する一方、図示しない治具を介し、その一端部にコイルバネ71および鋼玉72を組み付けるとともに、その一端側の下面にコイルバネ(図示せず),回動接触片74(
図3)を組み付ける。そして、前記切換レバー70の回動軸部76を前記ベース20の位置決め用凹部21に回動可能に位置決めする。さらに、前記ベース20の両側から第1,第2カバー11,15を組み付け、前記切換レバー70を抜け止めする。ついで、シールリング77の開口縁部を第1,第2カバー11,15の半円形リブ13,17に嵌める。最後に、前記第1,第2カバー11,15を超音波溶着あるいは接着剤で接合一体化することにより、組立作業が完了する。
【0029】
次に、トリガースイッチの操作方法を説明する。
切換レバー70が中立位置にあるとき、切換レバー70の一端部がトリガー60の中央突部60a(
図2)に当接することにより、トリガー60を引き込めず、誤操作を防止する。
【0030】
そして、前記切換レバー70を前記鍔部75を支点として反時計回りに回転させることにより、回動接触片74の両端が共通中継端子30だけに接触する。また、前記トリガー60を引き込む直前には、摺動子44,45がプリント基板50の摺動抵抗体(図示せず)に最大抵抗値で接触している。さらに、中継可動接触片33は、中継可動接点バネ34のバネ力で付勢されているが、プランジャ40の段部40b(
図2)に位置規制されているので、中継可動接点33aが中継固定接点32aから開離している。
一方、開閉用可動接触片37は可動接点バネ38a(
図6)に付勢されているが、復帰バネ43に付勢されたプランジャ40の操作部46に位置規制され、開閉用可動接点37aが開閉用固定接点35aに接離可能に対向している。
同様に、回動可能に支持された通電用可動接触片39は可動接点バネ38b(
図5)に付勢されているが、プランジャ40の操作部47に位置規制され、通電用可動接点39aが通電用固定接点35bに接離可能に対向している。
【0031】
まず、作業者がトリガー60を引き込むと、その操作軸61に係合したプランジャ40がスライド移動する。このため、前記プランジャ40に組み付けた摺動子44,45がプリント基板50上を摺動し、前記摺動子44,45が摺動するにつれて抵抗値が小さくなり、流れる電流が増加し、図示しない動作ランプ等が点灯する。
【0032】
さらに、トリガー60を引き込むと、前記プランジャ40の段部40b(
図2)による中継可動接触片33に対する位置規制がなくなり、中継可動接点バネ34のバネ力によって中継可動接触片33が回動する。このため、中継可動接点33aが中継固定接点32aに接触し、前記プリント基板50に定格電流が流れる。これとほぼ同時に、前記開閉用可動接触片37に対する前記プランジャ40の操作部46による位置規制が解除される。このため、開閉用可動接触片37が可動接点バネ38aのバネ力で回動し、開閉用可動接点37aが開閉用固定接点35aに接触する(
図7、
図8参照)。
【0033】
開閉用固定接点35aに開閉用可動接点37aが接近する際にアークが生じても、一対の開閉用,通電用固定接点35a,35bをカシメ固定した水平端部35cが、前記ベース20に片持ち支持され、前記ベース20に埋設されていない。このため、ベース20を形成する樹脂から微粉末が発生しにくく、雰囲気中に飛散しにくいので、内部空間の絶縁抵抗が低下しないだけでなく、接点表面に樹脂の微粉末が付着することもない。この結果、開閉用固定接点35aが開閉用可動接点37aに接近する際のアークが発生しにくくなり、接点寿命が伸びるという利点がある。
【0034】
さらに、トリガー60を引き込むと、操作軸61がベース20の奧側まで押し込まれ、プランジャ40の操作部47による位置規制が解除される。このため、通電用可動接触片39が可動接点バネ38bのばね力で回動し、通電用可動接点39aが通電用固定接点35bに接触するとともに(
図8)、摺動抵抗値がゼロ近傍となる。この結果、前記摺動子44,45に最大電流が流れ、抵抗値の変化を受信した工具側のマイクロコンピュータ(図示せず)から信号が出力され、前記モータの回転数が最大になる。
【0035】
なお、本実施形態によれば、可動接点バネ38a,38bのバネ力で開閉用可動接触片37,通電用可動接触片39をそれぞれ付勢し、接圧を確保する、いわゆるバッティング型可動接触片が採用されている。このため、接点接触のタイミングにズレが生じず、開閉特性にバラツキが生じないという利点がある。
【0036】
ついで、作業者がトリガー60を引き込む力を緩めると、復帰バネ43のバネ力によってプランジャ40が押し戻され、摺動子44,45がプリント基板50上を逆方向に摺動する。そして、プランジャ40の操作部47が通電用可動接触片39を、可動接点バネ38bのばね力に抗し、前述と逆方向に回動させるので、通電用可動接点39aが通電用固定接点35bから開離する。その後、前記プランジャ40の操作部46が開閉用可動接触片37を、可動接点バネ38aのバネ力に抗し、前述と逆方向に回動させるので、開閉用可動接点37aが開閉用固定接点35aから開離する。さらに、中継可動接触片33がプランジャ40の段部40bによって中継可動接点バネ34のバネ力に抗して回動し、中継可動接点33aが中継固定接点32aから開離した後、摺動子44,45が元の位置に復帰する。
【0037】
なお、
図9に示すように、開閉用可動接点37aが開閉用固定接点35aの接触表面領域35dに接触している状態から、
図10に示すように、前記開閉用可動接点37aが開閉用固定接点35aから開離する場合に、アークA1は最初に離れる表面領域、すなわち、前記開閉用固定接点35aの接触表面領域35dと前記開閉用可動接点37aの接触表面領域37bとの間で発生する。その後、前記永久磁石28の磁力Bが開閉用固定接点35aと開閉用可動接点37aとの間に生じたアークA1を所望の方向に伸長する。
すなわち、前記永久磁石28の磁力Bで、開閉用可動接点37aの接触表面領域37bと開閉用固定接点35aの接触表面領域35dとの間で生じたアークA1を、非接触表面領域37cおよび非接触表面領域35eに移動させる。このため、移動したアークA2によって非接触表面領域35e,37cが部分的に焼損しても、開閉用可動接点37aの接触表面領域37bおよび開閉用固定接点35aの接触表面領域35dが焼損しない。この結果、電気抵抗が増大せず、発熱しにくくなり、接点寿命の長い接点機構が得られる。
【0038】
また、前記切換レバー70を、鍔部75を中心として中立位置から時計回り方向に回転させると、鋼玉72がクリック感用凹凸部22を乗り越え、回動接触片74の両端部が共通中継端子30と第1中継端子31とに接触する。このため、前述と同様にトリガー60を引き込むと、前記モータが逆方向に回転する。
【0039】
本発明に係る接点機構は、前述の第1実施形態に限らず、
図11に示す第2実施形態であってもよい。
すなわち、第2実施形態に係る開閉用固定接点35aおよび開閉用可動接点37aは対向面がいずれも方形である。そして、前記開閉用固定接点35aは、その対向面の片側縁部に接触表面領域35dを設けてある一方、その対向面の残る片側縁部に非接触表面領域35eを設けてある。そして、前記接触表面領域35dと非接触表面領域35eとの間には段差があるとともに、テーパ面35fで接続されている。
同様に、前記開閉用可動接点37aは、その対向面の片側縁部に接触表面領域37bを設けてある一方、その対向面の残る片側縁部に非接触表面領域37cを設けてある。そして、前記接触表面領域37bと非接触表面領域37cとの間には段差があるとともに、テーパ面37dで接続されている。
本実施形態によれば、接触表面領域35dと非接触表面領域35eとの間に段差があるとともに、テーパ面35fで接続されているので、発生したアークが移動しやすく、消失しやすいという利点がある。
【0040】
なお、本発明に係る前記開閉用固定接点35aおよび開閉用可動接点37aのテーパ面は平面からなるテーパ面であってもよく、また、断面凸形状の湾曲面あるいは断面凹形状の湾曲面からなるテーパ面であってもよい。
また、前述の実施形態では可動接触片が回動する場合について説明したが、必ずしもこれに限らず、固定接点の表面に交差する対向方向に沿って可動接点を平行移動する可動接触片であってもよい。
【実施例】
【0041】
(実施例1)
第1実施形態に係るトリガースイッチをサンプルとした。そして、42V,130Aの電流を流し、開閉用固定接点35aに開閉用可動接点37aが接触する際に発生したアークを、永久磁石28の磁力で樹脂成形品に当たりにくい方向に伸長させた場合に、接点閉成時のアークの発生回数およびアーク持続時間を測定した。測定結果を
図12のグラフ図においてハッチングした棒線で示す。
なお、実施例1において接点閉成時のアークが樹脂成形品に当たりにくい方向とは、発生した接点閉成時のアークが開閉用可動接触片37に沿って、かつ、前記開閉用可動接触片37の回動支点に向けて伸長させた方向をいう。
【0042】
(比較例1)
発生した接点閉成時のアークを樹脂成形品に当たる方向に伸長させた点を除き、他は前述の実施例1と同一の条件で、接点閉成時のアークの発生回数およびアーク持続時間を測定した。測定結果を
図12のグラフ図において白地の棒線で示す。
なお、比較例1において発生した接点閉成時のアークが樹脂成形品に当たる方向とは、開閉用可動接触片37の軸心に直交し、かつ、ベース20の側壁に向けて伸長させた方向をいう。
【0043】
図12から明らかなように、接点閉成時のアーク持続時間0.00、すなわち、アークが発生しない回数から、実施例1は比較例1よりも接点閉成時にアークが発生しにくいことが判った。
また、実施例1では接点閉成時のアーク持続時間0.40以上のアークが発生していないのに対し、比較例1では接点閉成時のアーク持続時間0.80のアークが発生している。
以上の結果から、実施例1は比較例1よりも接点閉成時に接点溶着が生じにくいことが判った。
【0044】
(実施例2)
第1実施形態に係るトリガースイッチをサンプルとした。そして、42V,130Aの電流を流し、永久磁石28の磁力で開閉用固定接点35aに開閉用可動接点37aが接触する際に発生した接点閉成時のアークを、樹脂成形品に当たりにくい方向に伸長することにより、100回開閉した後の接点表面を写真撮影した。開閉用固定接点の撮影結果を
図13,
図14に、開閉用可動接点の撮影結果を
図15,
図16に示す。
【0045】
(比較例2)
発生した接点閉成時のアークを樹脂成形品に当たる方向に伸長させた点を除き、他は前述の実施例2と同一の条件で実験した後、接点表面を写真撮影した。開閉用固定接点の撮影結果を
図17,
図18に、開閉用可動接点の撮影結果を
図19,
図20に示す。
【0046】
実施例2を示す
図13ないし
図16と、比較例2を示す
図17ないし
図20とを比較すると、実施例2の接点表面が比較例2の接点表面よりも美麗であることが判った。
さらに、実施例2は比較例2よりもカーボンやガラスファイバーの付着が極めて少ないことが判った。
したがって、実施例2は比較例2よりも樹脂等の微粉末の飛散,付着が少ないとともに、雰囲気中に樹脂等の微粉末が浮遊することによる空気の絶縁劣化が少ないことから、接点閉成時にアークが発生しにくいことが判った。
なお、
図13ないし
図20において「スペクトル1」ないし「スペクトル6」と表記されているが、前記表記は光学的成分分析を行う位置を表示しているにすぎない。
【0047】
(実施例3)
第1実施形態のトリガースイッチをサンプルとした。そして、42V、130Aの電流を流し、接点溶着を生じるまでの開閉回数を測定した。
【0048】
(比較例3)
対向面を面接触させることを前提とした既存のトリガースイッチを比較例3のサンプルとし、実施例3と同一条件で接点溶着を生じるまでの開閉回数を測定した。
【0049】
実施例3と比較例3との開閉回数を比較すると、実施例3の開閉回数は比較例3の開閉回数の4倍程度になった。比較例3の開閉回数が安全規格に合格できる開閉回数であることから、実施例3によれば、安全性がより一層改善されていることが判った。