特許第6011668号(P6011668)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011668
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】眼科装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20161006BHJP
   A61B 3/024 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   A61B3/10 R
   A61B3/02 F
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-69969(P2015-69969)
(22)【出願日】2015年3月30日
(62)【分割の表示】特願2010-249229(P2010-249229)の分割
【原出願日】2010年11月5日
(65)【公開番号】特開2015-142768(P2015-142768A)
(43)【公開日】2015年8月6日
【審査請求日】2015年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 寿成
(72)【発明者】
【氏名】村田 俊夫
【審査官】 宮川 哲伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−301816(JP,A)
【文献】 特開2010−246779(JP,A)
【文献】 特開2009−034480(JP,A)
【文献】 特開平10−309264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00 − 3/18
G01N 21/00 − 21/01
G01N 21/17 − 21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光コヒーレンストモグラフィーデバイスによって得られた被検眼の眼底断層画像に基づく解析結果と視野計によって得られた被検眼の測定結果とを検査日毎に取得し、
前記解析結果によるパラメータの経時的変化と、前記測定結果によるパラメータの経時的変化とをモニタ上に同時に表示する制御手段を備えることを特徴とする眼科装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記解析結果によるパラメータの経時的変化と、前記測定結果によるパラメータの経時的変化とを同一グラフ上に表示することを特徴とする請求項1の眼科装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記解析結果によるパラメータの経時的変化を示すグラフと、前記測定結果によるパラメータの経時的変化を示すグラフとをモニタ上に同時に表示すると共に、異常として判定される目安となる閾値をグラフ上に表示することを特徴とする請求項1又は請求項2の眼科装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視野の測定結果とOCTでの解析結果をモニタに表示する眼科装置に関する。
【背景技術】
【0002】
眼底撮影装置は、光コヒーレンストモグラフィー(OCT)の技術を用いて眼底の断層画像を取得する。そして、得られた断層画像は、眼の状態の評価に利用される(特許文献1参照)。
【0003】
視野計は、患者の視野を自覚的に計測する装置であり、被検者が検査視標を視認できたか否かどうかにより視野を計測する(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−29467号公報
【特許文献2】特開2006−280665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来では、視野計による視野の測定結果とOCTでの解析結果の経時的変化を同時に確認するのが困難であった。
【0006】
本発明は、上記問題点を鑑み、病変を容易に発見できる眼科装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0008】
光コヒーレンストモグラフィーデバイスによって得られた被検眼の眼底断層画像に基づく解析結果と視野計によって得られた被検眼の測定結果とを検査日毎に取得し、
前記解析結果によるパラメータの経時的変化と、前記測定結果によるパラメータの経時的変化とをモニタ上に同時に表示する制御手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、病変を容易に発見できる
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態に係る眼科装置の構成について説明するブロック図である。なお、本実施形態においては、被検者眼(眼E)の軸方向をZ方向、水平方向をX方向、鉛直方向をY方向として説明する。
【0011】
装置構成の概略を説明する。本装置は、眼底Efの断層画像を撮像する光コヒーレンストモグラフィー(例えば、OCT光学系100)における断層撮像位置を設定する撮像位置設定ユニット(例えば、制御部70)を持つ。撮像位置設定ユニットは、視野計400によって眼Eの視野を測定したときの測定結果データを取得し、取得された測定結果データに基づいて,眼底上の撮像位置情報を設定する。
【0012】
OCT光学系100は、眼底Ef上の断層撮像位置を変更するため、光源102から発せられた測定光の眼底上での照射位置を変更する照射位置変更ユニット(例えば、光スキャナ108、固視標投影ユニット300)を備える。OCT光学系100は、眼底から反射された測定光と,参照光との干渉状態を受光素子(検出器120)により検出して眼底断層画像を撮像する。制御部70は、設定された撮像位置情報に基づいて照射位置変更ユニットの動作を制御させ、受光素子からの受光信号に基づいて断層画像を取得する。
【0013】
以下に、装置構成の詳細を説明する。眼底撮影装置は、眼底Efの断層画像を得るための干渉光学系(OCT光学系)100と、眼底Efの正面画像を得るための正面観察光学系200と、眼Eを固視させ固視方向を変更可能な固視標投影ユニット300と、各構成100〜300の各部材を制御する演算制御部(CPU)70と、を含む。なお、眼底撮影装置の詳しい構成については、例えば、特開2008−29467号公報を参考にされたい。
【0014】
制御部70は、OCT光学系100の検出器120から出力される受光信号に基づいて画像処理により断層画像(OCT画像)を取得すると共に、正面観察光学系200の受光素子から出力される受光信号に基づいて正面画像を取得する。また、制御部70は、固視標投影ユニット300を制御して固視位置を変更する。
【0015】
メモリ(記憶部)72、モニタ75、マウス(操作入力部)76、視野計400は、それぞれ制御部70と電気的に接続されている。制御部70は、メモリ72に記憶されている眼底撮影プログラム及び各種制御プログラムに基づいて各部の動作を制御する。この眼科撮影プログラムをコンピュータ上で実行させることによって眼底撮影装置1を使用することが可能となる。
【0016】
制御部70は、眼科撮影プログラムにしたがってモニタ75の表示画面を制御する。取得された眼底像は、モニタ75に静止画又は動画として出力される他、メモリ72に記憶される。
【0017】
なお、本実施形態に係る眼底撮影プログラムには、撮影画像及び各種計測結果をモニタ75に表示する機能の他、視野計測データを解析して眼底Ef上における異常部位を特定する解析モード機能が設けられている。また、制御部70は、マウス76から出力される操作信号に基づいて、OCT光学系100、正面観察光学系200、固視標投影ユニット300の各部材を制御する。
【0018】
OCT光学系100は、いわゆる眼科用光断層干渉計(OCT:Optical coherence tomography)の装置構成を持つ。OCT光学系100は、光源102から出射された光束をカップラー104によって測定光束と参照光束に分割する。そして、OCT光学系100は、測定光学系106を介して測定光束を眼Eの眼底Efに導き,また、参照光束を参照光学系110に導く。その後、眼底Efで反射した測定光束と,参照光束との合成による干渉光を検出器(受光素子)120に受光させる。
【0019】
検出器120は、測定光と参照光との干渉状態によって検出する。フーリエドメインOCTの場合、干渉光のスペクトル強度が検出器120によって検出され、スペクトル強度のフーリエ変換によって所定範囲における深さプロファイルが取得される。例えば、Spectral-domain OCT(SD−OCT)、Swept-source OCT(SS−OCT)が挙げられる。また、Time-domain OCT(TD−OCT)であってもよい。
【0020】
SD−OCTの場合、光源102として低コヒーレント光源(広帯域光源)が用いられ、検出器120には、干渉光を各周波数成分(各波長成分)に分光する分光光学系(スペクトルメータ)が設けられる。スペクトルメータは、例えば、回折格子とラインセンサからなる。
【0021】
SS−OCTの場合、光源102として出射波長を時間的に高速で変化させる波長走査型光源(波長可変光源)が用いられ、検出器120として、例えば、単一の受光素子が設けられる。光源102は、例えば、光源、ファイバーリング共振器、及び波長選択フィルタによって構成される。そして、波長選択フィルタとして、例えば、回折格子とポリゴンミラーの組み合わせ、ファブリー・ペローエタロンを用いたものが挙げられる。
【0022】
光源102から出射された光は、カップラー104によって測定光束と参照光束に分割される。そして、測定光束は、光ファイバーを通過した後、空気中へ出射される。その光束は、光スキャナ108、及び測定光学系106の他の光学部材を介して眼底Efに集光される。そして、眼底Efで反射された光は、同様の光路を経て光ファイバーに戻される。
【0023】
光スキャナ108は、眼底上でXY方向(横断方向)に測定光を走査させる。光スキャナ108は、瞳孔と略共役な位置に配置される。光スキャナ108は、例えば、2つのガルバノミラーであり、その反射角度が駆動機構50によって任意に調整される。
【0024】
これにより、光源102から出射された光束はその反射(進行)方向が変化され、眼底上で任意の方向に走査される。これにより、横断方向に関する撮影位置が変更される。光スキャナ108としては、反射ミラー(ガルバノミラー、ポリゴンミラー、レゾナントスキャナ)の他、光の進行(偏向)方向を変化させる音響光学素子(AOM)等が用いられる。
【0025】
参照光学系110は、測定光による眼底反射光と合成される参照光を生成する。参照光学系110は、マイケルソンタイプであってもよいし、マッハツェンダタイプであっても良い。参照光学系110は、例えば、反射光学系(例えば、参照ミラー)によって形成され、カップラー104からの光を反射光学系により反射することにより再度カップラー104に戻し、検出器120に導く。他の例としては、参照光学系110は、透過光学系(例えば、光ファイバー)によって形成され、カップラー104からの光を戻さず透過させることにより検出器120へと導く。
【0026】
参照光学系110は、参照光路中の光学部材を移動させることにより、測定光と参照光との光路長差を変更する構成を有する。例えば、参照ミラーが光軸方向に移動される。光路長差を変更するための構成は、測定光学系106の測定光路中に配置されてもよい。
【0027】
正面観察光学系200は、光源から発せられた測定光(例えば、赤外光)を被検眼眼底上で二次元的に走査させる光スキャナと、眼底と略共役位置に配置された共焦点開口を介して眼底反射光を受光する第2の受光素子と、を備え、いわゆる眼科用走査型レーザ検眼鏡(SLO)の装置構成を持つ。
【0028】
なお、観察光学系200の構成としては、いわゆる眼底カメラタイプの構成であってもよい。また、OCT光学系100は、観察光学系200を兼用してもよい。すなわち、正面画像は、二次元的に得られた断層画像を形成するデータを用いて取得されるようにしてもよい(例えば、3次元断層画像の深さ方向への積算画像、XY各位置でのスペクトルデータの積算値等)。
【0029】
固視標投影ユニット(呈示ユニット)300は、眼Eの視線方向を誘導する。固視標投影ユニット300は、可視光を発する可視光源を有し、被検眼の固視位置を二次元的に変更させることにより、撮影部位が変更される。なお、固視標投影ユニット300としては、例えば、マトリクス状に配列されたLEDの点灯位置により固視位置を調整する構成、光源からの光を光スキャナを用いて走査させ、光源の点灯制御により固視位置を調整する構成、等、種々の構成が考えられる。また、投影ユニット300は、内部固視灯タイプであってもよいし、外部固視灯タイプであってもよい。
【0030】
<視野計による計測>
視野計(ペリメータ)110は、視標を眼Eに呈示したときの応答結果に基づいて眼Eの視野を自覚的に計測する。視野計400には、例えば、動的視野計、静的視野計が挙げられる。視野計400は、例えば、前述の眼底撮影装置10と同一の筐体内に配置される。視野計400は、別装置として配置され、計測結果が用いられるようにしてもよい。
【0031】
動的視野計は、視標を移動させながら、被検者が視認できた点を測定する。動的視野計は、視標の大きさ、明るさなどの条件を変えることにより、等感度曲線(イソプター)を描き、視野を計測する。
【0032】
静的視野計は、指標を移動させず、眼Eをある位置に固視させる。そして、静的視野計は、眼底Ef上の複数の刺激点に向けてスポット光を順次照射することにより、刺激点毎に応答結果を得る。例えば、眼Eの視野内の特定点に視標を固定して呈示すると共に他点に視標を呈示し、その視認応答により視野の広い範囲にわたる視標の明度識別閾値(視感度閾値)を求める
<動作説明>
上記のような構成を備える装置において、その動作について説明する。図2は本装置の動作について説明するフローチャートである。撮影の前準備として、患者情報(患者を識別するためのID番号、名前、年齢、性別、主訴、コメント等)が入力される。そして、制御部70は、入力された患者情報に対する視野計400の測定結果を読み出す。
【0033】
<視野計の測定結果を用いて撮像領域の設定>
視野計400は、眼底Efに対する視野検査情報(例えば、イソプター情報、視感度閾値情報など)を制御部70に出力する。制御部70は、視野計400を用いて眼Eの視野を測定したときの測定結果を取得し、その測定結果に基づいてOCT光学系100による眼底Ef上の撮像領域(測定領域)を設定する。
【0034】
制御部70は、例えば、取得された測定結果データをある判定基準を用いて判定処理する。そして、制御部70は、判定結果に基づいて眼底Ef上における異常部位を特定する。すなわち、制御部70は、測定結果を解析し、異常部位を特定する。そして、特定された異常部位の断層画像が得られるように撮像領域が設定される。
【0035】
また、逆に、異常部位でなく、正常部位が特定され、撮像領域として設定されるようにしてもよい。また、測定結果における特異な結果が得られた場合、その部分が撮像領域として設定されてもよい。
【0036】
この場合、視野計400による測定位置と、OCT光学系100による撮像位置と、がテーブル等により予め対応付けされていることが好ましい。なお、視野計400による測定結果が眼底正面画像Esに関連づけられているような場合、OCT光学系100による撮像位置と、眼底正面画像とが対応付けされていてもよい。
【0037】
OCT光学系100による撮像領域は、測定光の眼底上での照射領域として考えることができる。よって、光スキャナ102の駆動位置と視野計の測定位置とが対応付けされていてもよい。なお、光スキャナ102による測定光の走査範囲より視野計の撮像領域が大きい場合、撮像領域は、投影ユニット300による固視位置と光スキャナ102の走査範囲とを考慮して設定される。
【0038】
制御部70は、例えば、図3図4に示すように、取得された測定結果データから眼底の異常部位に関する位置情報を取得し、位置情報に基づいて眼底上の撮像位置情報を設定する。制御部70は、異常部位が撮像位置に含まれるように撮像位置情報を設定する。
【0039】
図3は視野計に取得された眼Eのイソプター情報の一例を示す図である。イソプターが内側に窪んだ部分(凹部)を窪みKとする。窪みKを持つイソプターをイソプターIinとし、イソプターIinの外側のイソプターをイソプターIoutとする。窪みKは、視野中心Oを基準とする他の角度領域と比較して感度が低い部分である。そのため、窪みKから外側のイソプターIoutにかけて暗点が存在する可能性がある。
【0040】
動的視野計から撮像領域を算出する場合、例えば、制御部70は、イソプター情報(図3参照)を視野計400から取得し、イソプター形状に基づいてイソプターの窪みKを探索する。そして、窪みKが特定された場合、制御部70は、窪みKと、窪みKの外側のイソプターIoutとで挟まれた領域W1を異常部位として特定し、特定された異常部位の位置情報を取得する。そして、制御部70は、異常部位の位置情報に基づいてOCT光学系100による撮像領域に設定する。
【0041】
静的視野計から測定結果を算出する場合、例えば、制御部70は、視感度閾値情報(図4参照)を視野計400から取得し、各測定点における閾値が許容範囲を下回っている点を探索する(乳頭部分は除かれる)。そして、許容範囲を下回っている点が特定された場合、それらの点を含む領域を異常部位W2として特定し、特定された異常部位の位置情報を取得する。そして、制御部70は、異常部位の位置情報に基づいてOCT光学系100による撮像領域に設定する。
【0042】
この場合、緑内障の進行度(病期分類)を判定する代表的な方法である、静的視野検査データを基にしたAulthorn分類Greve変法(以下、AG法と略す)が用いられるようにしてもよい。これにより、AG法によって測定結果をあるステージに分類される。したがって、制御部70は、AG法の各ステージに応じた撮像領域を設定するようにしてもよい。
【0043】
<OCT光学系による断層画像の取得>
眼Eに対する装置のアライメントが完了されると、断層像及び正面像の取得が開始される。制御部70は、OCT光学系100及び正面観察光学系200を駆動制御して、OCT画像及びSLO画像の各画像を1フレーム毎に取得していき、モニタ75を表示制御してOCT画像及びSLO画像を随時更新する。
【0044】
制御部70は、光スキャナ102及び投影ユニット300の少なくとも何れかの動作を制御することにより、測定光の眼底上での照射位置を変更する。そして、制御部70は、撮像領域として設定された眼底領域における断層画像を得る(例えば、図5のER参照)。制御部70は、例えば、光スキャナ102による測定光の走査可能範囲と投影ユニット300による眼底Efの移動量に基づいて、設定された撮像領域に対応する装置の撮影条件(固視標の点灯位置、光スキャナ102の駆動位置)を求める。
【0045】
例えば、制御部70は、眼底周辺部で異常部位が検出された場合、眼底Ef上における測定光の走査可能範囲内に異常部位が含まれるように、固視位置を設定する。好ましくは、制御部70は、走査可能範囲の中心に異常部位が配置されるように、固視位置を設定する。走査可能範囲は、OCT光学系100、光スキャナ102の駆動範囲などによって決定される。
【0046】
図4に示すように、眼底の鼻側に視野欠損があった場合、制御部70は、投影ユニット300における固視位置を中央に対して鼻側に設定することにより、眼Eの視線を鼻側に誘導する。視線の振れ角は、測定中心(例えば、中心窩)からの欠損位置までの距離によって決定される。
【0047】
視野計400に基づく断層画像を得る場合、異常部位での画像取得に適したスキャンパターンに設定されるのが好ましい。また、異常部位の全体が含まれるような走査範囲が好ましい。例えば、異常部位の大きさに合わせた矩形領域へのラスタースキャンが考えられる。また、異常部位での画像取得に適した位置に固視位置が設定されるのが好ましい。また、同一の異常部位に関して断層画像を複数枚取得して、加算平均画像を得るようにしてもよい。
【0048】
なお、上記において、視野計400の測定結果に基づく断層画像を得る場合、制御部70は、視野計400の測定結果に対する解析結果に基づいて自動的に断層画像の取得に移行しても良いし、マウス76からの操作信号をトリガとして断層画像の取得を開始してもよい。
【0049】
また、異常部位が複数検出された場合、制御部70は、例えば、複数の異常部位が含まれるような走査範囲にて、視野計400に基づく断層画像を得る。また、異常部位が複数検出された場合、制御部70は、各異常部位に合わせて走査範囲をそれぞれに設定し、順次断層画像を取得するようにしてもよい。
【0050】
制御部70は、視野計400による測定結果又はその解析結果をモニタ75に出力するようにしてもよい。この場合、制御部70は、OCT光学系100、正面観察光学系200を連続駆動させることにより、動画像としてリアルタイムで取得される断層観察画像、正面観察画像上に測定結果(又はその解析結果)を示すグラフィック(例えば、異常部位に対応する部分にマーカを付与する)を重畳表示するようにしてもよい(例えば、図5のマークER参照)。これにより、検者は、検査中の観察画像を元に、視野計400によって発見された異常部位を確認できる。
【0051】
制御部70は、随時取得される断層画像と、これと略同時に取得される正面画像をモニタ75上に出力すると共に、視野計400による測定結果又はその解析結果をモニタ75に出力する。この場合、制御部400は、モニタ75に表示される断層観察画像、正面観察画像上に測定結果(又はその解析結果)を示すグラフィック(例えば、異常部位に対応する部分にマーカを付与する)を重畳表示するようにしてもよい(例えば、図5のマークER参照)。これにより、検者は、検査中の観察画像を元に、視野計400によって発見された異常部位を確認できる。
【0052】
<断層画像の解析>
断層画像が取得されると、制御部70は、メモリ72に記憶された断層画像における網膜各層情報を画像処理により検出すると共に、所定の画像判定条件(判定基準)を基に各層の検出結果を解析し、撮影部位が正常か否かを判定する。そして、その判定結果が断層画像と共にモニタ75上に表示される。図8はモニタ75に表示された断層画像の例を示す図である。
【0053】
なお、網膜の層検出は、例えば、制御部70が断層画像の輝度レベルを解析し、所定の網膜層(例えば、網膜表面と網膜色素上皮層)に相当する領域を検出することにより行われる。また、撮影部位の判定としては、各層の層厚判定、形状判定、所定部位のサイズ判定等が考えられ、正常眼における各層の間隔、所定部位の形状、所定部位のサイズ、等が記憶されたデータベースが画像判定条件のベースとして利用される。
【0054】
以上のようにすれば、視野計400の測定結果に基づく断層画像をスムーズに取得できる。例えば、視野検査において異常部位と判断された眼底部位の断層像をスムーズに取得できる。また、視野に関する異常部位の断層像が確実に得られるため、被検眼の状態変化が確実に検出され、適正な処方(例えば、緑内障の早期発見)が可能となる。
【0055】
<視野計の測定結果とOCTでの測定結果の比較>
その後、制御部70は、取得された断層像と断層像に基づく解析結果(例えば、厚みマップ、正常眼データベースとの比較結果、等)と、視野計400の測定結果とをモニタ75上に表示する。
【0056】
図6は、断層画像解析によって得られるパラメータと、視野計400によって得られるパラメータの経時的な変化を示すグラフである。縦軸は各パラメータの値、横軸は時間である。図6のようなグラフは、視野計400による検査と、眼底撮影装置100による検査とが定期的に行われることによって形成される。
【0057】
視野計側のパラメータPrとしては、MD値(ハンフリー視野計)、視感度閾値の平均値、PSD(パターン標準偏差)、CPSD(修正パターン標準偏差)、SF(短期変動)などが挙げられる。眼底撮影装置側のパラメータOcとしては、C/D比(カップ/ディスク比)、網膜厚、網膜厚が正常値を下回る領域の面積、などが挙げられる。
【0058】
例えば、制御部70は、メモリ72に記憶された検査日時と各パラメータ値を取得し、初診時からの各パラメータの変化をグラフとして表示する。ここで、制御部70は、各パラメータに関して、異常として判定される目安となる閾値図6参照)を表示するようにしてもよい。

【0059】
このようにすれば、視野計400による視野の低下と眼底撮影装置110による視野の低下の両方が同じグラフ上で確認できるため、検者は、病変を容易に発見できる。
【0060】
なお、眼底上の撮像位置を設定するための撮像位置設定ユニットは、OCTデバイスとは、別筐体であってもよい。この場合、撮像位置設定ユニットは、設定された撮像位置データをOCTデバイスに出力する。OCTデバイスは、撮像位置データに基づいて断層像を取得する。なお、撮像位置設定ユニットが視野計側に設けられる場合もありうる。
【0061】
<広範囲撮影と異常部位撮影>
制御部70は、光軸(例えば、対物レンズの光軸)の近傍に対応する標準固視位置(黄斑と乳頭がバランス取得される位置)にて広範囲断層画像を標準画像として取得すると共に、視野計400の結果に基づいて特定された異常部位に対応する断層画像を取得するようにしてもよい。例えば、制御部70は、広範囲断層画像を取得したときより狭く、かつ、異常部位全体が含まれるような領域を第2の撮像位置として設定する
例えば、制御部70は、光スキャナ102の駆動を制御することにより眼底上の広い範囲において測定光を二次元的に走査させ、そして、眼底の広範囲にわたる断層画像(第1の断層画像)を取得する(例えば、図7のハッチングS1参照)。この場合、眼底の黄斑と乳頭が撮影範囲に含まれるように走査範囲(例えば、縦9mm×横9mm、縦12mm×横12mmの矩形領域)が設定されることが好ましい。スキャンパターンとしては、例えば、複数のラインスキャン、ラスタースキャンが設定される。これにより、広範囲の眼底断層情報を形成する複数の断層画像が得られる。
【0062】
次に、制御部70は、視野計400の測定結果に基づく断層画像を得る。例えば、広範囲断層画像を得たときの走査範囲の外側に異常部位が検出された場合、制御部70は、その異常部位の断層画像が得られるように光スキャナ102及び投影ユニット300の駆動を制御することにより、第2の断層画像を得る。
【0063】
また、広範囲断層画像を得たときの走査範囲の一部に異常部位が検出された場合、制御部70は、異常部位の大きさに対応する走査範囲を設定し、設定された走査範囲にて光スキャナ102を制御することにより、第2の断層画像を得る。
【0064】
これにより、標準画像に対する解析結果と視野計400による測定結果が比較される。そして、標準画像から新たに異常部位が発見された場合には、視野計400の測定結果との比較が可能である。例えば、断層画像に対する解析結果と視野計400の測定結果との相関性が求められる。
【0065】
さらに、標準撮影に加え、視野計400において感度が低いと判断された部位の断層像を得ることにより、断層画像による解析結果と視野計の測定結果とを用いた統合的な検査結果が得られ、被検眼の眼底の状態変化が確実に把握される。
【0066】
なお、上記説明においては、視野計400による測定結果に基づいて自動的に眼底上の撮像位置が設定されるものとしたが、これに限るものではない。例えば、モニタ75上において、視野計400による測定結果を示す視野マップ(図3図4参照)が表示され、そのマップ上で撮像位置が設定されるようにしてもよい。
【0067】
ここで、検者は、マウスなどの操作部材を操作して走査パターンを選択すると共に、視野マップにおける所定位置を選択する。例えば、矩形上の走査パターンがモニタ75上に電子的に表示され、走査パターン表示によって視野マップ上の異常部位が囲まれるように撮像位置が設定される。
【0068】
<視野計400による測定位置と断層取得位置のマッチング>
なお、視野計400による視野測定は、測定中心として、黄斑部(好ましくは中心窩)を基準に指標パターンが投影される。制御部70は、視野計400による眼底上の測定位置とOCT光学系100による撮像位置が一致されるように、照射位置を補正するようにしてもよい。制御部70は、OCT光学系100及び正面観察光学系200の少なくともいずれかを動作させることにより、眼底からの反射光を受光して眼底画像を取得する。そして、制御部70は、眼底画像中の黄斑部位を画像処理により検出し、眼底の移動を検出する。そして、制御部70は、その検出結果に基づいて照射位置を補正する。
【0069】
以下にその一例を示す。制御部70は、眼底画像における黄斑部を画像処理により特定し、特定された黄斑部を基準として断層画像を取得する。例えば、眼底画像から黄斑部を特定する場合、例えば、黄斑は、断層画像中の位置、輝度値、形状などから抽出が可能である。黄斑部は、周辺部に対して輝度が暗く、円形状であるので、これらの特性に合致する画像領域が抽出されるように画像処理が行われる。さらに、中心窩は、黄斑部における最も輝度が暗い部分であるから、この特性に合致する画像領域が抽出されるように画像処理が行われる。
【0070】
以下にその動作例について説明する。制御部70は、視野計400の測定結果における測定中心を基準として異常部位の位置情報(例えば、測定中心からの距離)を取得しておく。そして、制御部70は、正面観察光学系200によって取得されたある第1の正面画像に対し、黄斑部の抽出処理を行う。そして、制御部70は、視野計400の測定結果における異常部位の位置情報に基づいて、黄斑部の抽出位置を基準とする撮像領域を設定する。例えば、測定中心から異常部位までの距離が求められ、第1の正面画像における黄斑位置からその距離分離れた領域が撮像領域として設定される。この場合、正面観察光学系200とOCT光学系100は撮像位置の対応付けがなされている。
【0071】
次に、制御部70は、第1の正面画像と、随時取得される正面画像との位置ずれを画像処理により算出し、位置ずれが補正されるように断層画像の撮影位置を随時補正する。この場合、例えば、光スキャナ102による走査位置が補正される。このようにすれば、眼底の移動に関わらず、視野計400の測定中心を基準とする断層画像が得られるため、視野計400による測定結果と断層画像による解析結果との比較が正確に行われる。なお、眼底画像の比較ではなく、制御部70は、随時取得される正面画像における黄斑の位置を検出することにより、黄斑を基準として撮像位置を補正するようにしてもよい。
【0072】
なお、上記手法に限るものではなく、予め正面画像と視野計400による測定結果とが関連付けられている場合、関連付けられた正面画像と随時取得される正面画像との位置ずれが検出され、撮影位置が補正されるようにしてもよい。
【0073】
<視野計400と眼底撮影装置10>
なお、以上の説明においては、視野計400の測定結果を用いて眼底撮影装置10により断層画像が取得される構成としたが、眼底撮影装置10による解析結果を用いて視野計400の測定条件が設定されるようにしてもよい。
【0074】
例えば、制御部70は、上記のように広範囲の断層画像を予め取得する。そして、制御部70は、各断層画像に関して網膜各層(例えば、網膜表層、網膜色素上皮層)の厚みを算出する。そして、制御部70は、層厚が所定範囲を超える位置を二次元的に求めることにより、異常部位として特定する。XY方向に関して、被検者眼と正常眼の層厚の比較結果が用いられるようにしてもよい。また、もちろん層厚を用いた解析において、複数の層厚の合計値が用いられてもよい。
【0075】
視野計400は、異常部位と特定された眼底の部位に関する視野計測を行う。例えば、視野計400は、異常部位として判定された部分を測定点として設定し、測定点に対応する指標(動的指標、静的指標)を投影する。
【0076】
<蛍光画像に基づく断層画像の取得>
また、制御部70は、眼底カメラやSLOなどによって取得される蛍光造影画像(FAG蛍光撮影(フルオレセイン蛍光撮影)、ICG撮影(イントシアニングリーン蛍光撮影)による蛍光画像)を解析し、異常部位の有無の判定及び異常部位の位置の特定を行い、その異常部位の断層画像が得られるようにOCT光学系100による撮影位置を調整するようにしてもよい。この場合、蛍光画像とOCT光学系100による撮像位置との対応付けがなされていることが好ましい。
【0077】
なお、正面画像において、異常部位は、輝度変化(明/暗)として現れる。ここで、蛍光撮影の場合、正常眼であれば、眼底血管を造影剤が移動される。一方、加齢黄斑変性などの異常眼の場合、眼底上で造影剤がリークしてしまう。したがって、蛍光剤のリーク部分を特定することにより、異常部位が特定される。
【0078】
制御部70は、取得された眼底画像における蛍光部分を画像処理により特定し、異常部位か否かの判定を行う。例えば、制御部70は、蛍光部分を抽出するために設定された所定の輝度レベルより輝度の高い画像領域を画像処理により検出する。そして、制御部70は、蛍光部分のサイズ、形状から異常部位(K)を特定する。
【0079】
この場合、例えば、血管内での蛍光部分は細く、血管に対応する特徴的な形状を持つ。一方、リーク部分は比較的サイズが大きく、血管とは形状が異なる。したがって、これらを利用して、血管部分とリーク部分とが判別可能である。
【0080】
また、制御部70は、眼底Efに関し、通常の眼底正面画像(例えば、カラー眼底画像、赤外眼底画像)と、蛍光正面画像とを比較し、リーク部分を特定するようにしてもよい。ここで、制御部70は、通常の眼底正面画像の血管領域を画像処理により抽出し、抽出された血管領域と蛍光正面画像とをマッチングさせ、マッチしなかった蛍光部分を異常部位として特定するようにしてもよい。
【0081】
なお、蛍光画像を用いて異常部位として特定された部位に対する断層画像の取得手法については、上記の視野計400の測定結果に基づく断層画像の取得手法と同様の手法を用いることができるため、説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0082】
図1】本実施形態に係る眼科装置の構成について説明するブロック図である。
図2】本装置の動作について説明するフローチャートである。
図3】視野計に取得された眼Eのイソプター情報の一例を示す図である。
図4】静的視野計から測定結果を算出する場合の一例を示す図である。
図5】視野測定結果に基づいて撮像位置を設定する例を示す図である。
図6】断層画像解析によって得られるパラメータと、視野計によって得られるパラメータの経時的な変化を示すグラフである。
図7】広範囲に眼底を走査させる場合の図である。
図8】断層画像の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0083】
70 制御部
100 光コヒーレンストモグラフィ(OCT光学系)
108 光スキャナ
200 正面観察光学系
300 固視標投影ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8