(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記ステータでは、相間絶縁紙が弾性変形により折り返しが戻るように開く力が働いて、相間絶縁紙がステータの径方向内側にずれて、コイル間から径方向内側に飛び出してしまうという問題がある。
【0005】
そこで、この発明の課題は、コイル間絶縁体の径方向への飛び出しを確実に防止できるステータを提供することにある。
【0006】
また、この発明の課題は、上記ステータを備えたモータを提供することにある。
【0007】
さらに、この発明の課題は、上記モータを備えた圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明のステータは、
周方向に間隔をあけて配列された複数のティース部を有するステータコアと、
上記ステータコアの軸方向の両端面に取り付けられたインシュレータと、
上記ステータコアの上記ティース部に上記インシュレータを介して巻回されたコイルと、
周方向において隣り合う上記ティース部の間の空間であるスロット部内に配置されると共に、上記ステータコアと上記コイルとの間に挟まれるスロット絶縁体と、
周方向に互いに隣接する上記コイル間に配置されたコイル間絶縁体と
を備え、
上記コイル間絶縁体は、
シート状であり、軸方向に沿って延在する折り曲げ底部で
シート厚みの2倍以上の大きな幅で折れ曲がっており、
上記折り曲げ底部は、上記ティース部の先端側に位置し、
上記ステータコアのティース部の先端側、または、上記スロット絶縁体の上記ティース部の先端側に延在する部分によって、上記折り曲げ底部の径方向のロータ側への移動が規制されていることを特徴としている。
【0009】
上記構成のステータによれば、上記ステータコアのティース部の先端側、または、上記スロット絶縁体の上記ティース部の先端側に延在する部分によって、上記折り曲げ底部の径方向のロータ側への移動が規制されるから、仮に、コイル間絶縁体が弾性変形により折り曲げが戻るように開く力が働いて、径方向においてコイル間絶縁体がロータ側に移動しても、コイル間絶縁体がさらにロータ側に移動するのを防止できる。したがって、コイル間絶縁体の径方向への飛び出しを確実に防止できる。
【0010】
一実施形態のステータでは、
上記折り曲げ底部の周方向の幅は、スロットオープンの周方向の幅よりも大きい。
【0011】
本明細書において、スロットオープンとは、周方向において隣り合うティース部の先端の間の空間と、スロット絶縁体の第1の突出部と第2の突出部との間の空間とのうち、周方向の幅が小さい方の空間を意味する。ここで、スロット絶縁体の第1の突出部は、周方向において隣り合う一方のティース部の先端における周方向の端部に沿って他方のティース部に向かって延在している。また、スロット絶縁体の第2の突出部は、周方向において隣り合う他方のティース部の先端における周方向の端部に沿って一方のティース部に向かって延在している。
【0012】
上記実施形態によれば、コイル間絶縁体の折り曲げ底部の周方向の幅は、スロットオープンの周方向の幅よりも大きい。このため、コイル間絶縁体が弾性変形により折り曲げが戻るように開く力が働いて、径方向においてコイル間絶縁体がロータ側に移動しても、コイル間絶縁体の折り曲げ底部がスロットオープンの周縁に当接して、コイル間絶縁体がさらにロータ側に移動するのを防止できる。したがって、コイル間絶縁体の径方向への飛び出しを確実に防止できる。
【0013】
また、一実施形態のステータでは、
上記スロット絶縁体の上記ティース部の先端側に延在する部分によって、隣り合う上記ティース部の先端間が閉じられている。
【0014】
上記実施形態によれば、上記スロット絶縁体の上記ティース部の先端側に延在する部分によって、隣り合う上記ティース部の先端間が閉じられているから、コイル間絶縁体の径方向の飛び出しが確実に防止される。
【0015】
また、一実施形態のステータでは、
上記コイル間絶縁体は、軸方向の両端部のうちの少なくとも一方に、上記インシュレータに係止するように径方向かつロータの反対側に突出して設けられた係止部を有する。
【0016】
上記実施形態によれば、コイル間絶縁体の係止部が、軸方向の両端部のうちの少なくとも一方において径方向かつロータの反対側に突出して、インシュレータに係止する。したがって、コイル間絶縁体が軸方向にずれて、コイル間から軸方向に抜けるのを確実に防止できる。
【0017】
また、一実施形態のステータでは、
上記コイル間絶縁体の上記係止部は、径方向かつロータの反対側の両端部のうちの一方に設けられている。
【0018】
上記実施形態によれば、コイル間絶縁体の係止部が径方向かつロータの反対側の両端部のうちの一方に設けられているので、係止部を両端部に設ける場合に比べて、コイル間絶縁体の加工を減らせる。したがって、コイル間絶縁体の製造コストを低減できる。
【0019】
また、一実施形態のステータでは、
上記インシュレータは、
上記コイル間絶縁体の上記係止部を係合するための被係合部と、
上記被係合部に上記係止部を案内するための面取り案内部と
を有している。
【0020】
上記実施形態によれば、上記インシュレータの面取り案内部によって、コイル間絶縁体の係止部を被係合部に案内できるので、コイル間絶縁体のインシュレータへの取り付けを簡単に、かつ、迅速に行うことができる。
【0021】
また、一実施形態のステータでは、
上記コイル間絶縁体の軸方向の両端のうち少なくとも一方は、軸方向において、上記コイルの両端よりも内側に位置している。
【0022】
上記実施形態によれば、コイル間絶縁体の軸方向の両端のうち少なくとも一方は、軸方向において、コイルの両端よりも内側に位置して、コイルの両端から突出していないので、コイル間絶縁体がステータの組み立て作業などの妨げとなるのを防止できる。
【0023】
また、この発明のモータでは、
ロータと、
上記ロータと径方向において対向するように配置された上記のいずれか1つのステータと
を備えたことを特徴とする。
【0024】
上記構成によれば、ステータのコイル間絶縁体の径方向への飛び出しを確実に防止でき、信頼性の高いモータを実現できる。
【0025】
また、この発明の圧縮機は、
密閉容器と、
上記密閉容器内に配置された圧縮機構部と、
上記密閉容器内に配置され、上記圧縮機構部を駆動する上記モータと
を備えたことを特徴とする。
【0026】
上記構成よれば、上記モータを用いて圧縮機構部を駆動することによって、密閉容器内の流れる高温高圧の冷媒ガスなどによりステータのコイル間絶縁体に対して径方向にずれる力が働いてもコイル間絶縁体が径方向に飛び出すことがなく、信頼性の高い圧縮機を実現できる。
【発明の効果】
【0027】
以上より明らかなように、この発明によれば、コイル間絶縁体の径方向への飛び出しを確実に防止できるステータおよびそのステータを備えたモータおよびそのモータを備えた圧縮機を実現することにある。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、この発明のステータを図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0030】
〔第1実施形態〕
図1はこの発明の第1実施形態の圧縮機の縦断面図を示している。
【0031】
この第1実施形態の圧縮機は、
図1に示すように、密閉容器1と、この密閉容器1内に配置された圧縮機構部2と、密閉容器1内に配置され、圧縮機構部2をシャフト12を介して駆動するモータ3とを備えている。
【0032】
この圧縮機は、いわゆる縦型の高圧ドーム型のロータリ圧縮機であって、密閉容器1内の下側に、圧縮機構部2を配置し、その圧縮機構部2の上側にモータ3を配置している。このモータ3のロータ6によって、シャフト12を介して、圧縮機構部2を駆動するようにしている。このモータ3は、インナーロータ型のモータである。
【0033】
上記圧縮機構部2は、アキュームレータ10から吸入管11を通して冷媒ガスを吸入する。この冷媒ガスは、この圧縮機とともに、冷凍システムの一例としての空気調和機を構成する図示しない凝縮器、膨張機構、蒸発器を制御することによって得られる。この冷媒は、例えば、二酸化炭素やHCやR410A等のHFC、R22、R32等のHCFCである。
【0034】
上記圧縮機は、圧縮した高温高圧の冷媒ガスを、圧縮機構部2から吐出して密閉容器1の内部に満たすと共に、モータ3のステータ5とロータ6との間の隙間を通して、モータ3を冷却した後、モータ3の上側に設けられた吐出管13から外部に吐出するようにしている。
【0035】
上記密閉容器1内の高圧領域の下部には、潤滑油が溜められた油溜まり部9が形成されている。この潤滑油は、油溜まり部9から、シャフト12に設けられた油通路(図示せず)を通って、圧縮機構部2やモータ3のベアリング等の摺動部に移動して、この摺動部を潤滑する。この潤滑油は、例えば、ポリアルキレングリコール油(ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等)、エーテル油、エステル油、鉱油などである。
【0036】
上記圧縮機構部2は、密閉容器1の内面に取り付けられるシリンダ21と、このシリンダ21の上下の開口端のそれぞれに取り付けられている上側の端板部材50および下側の端板部材60とを備える。上記シリンダ21と上側の端板部材50と下側の端板部材60によって、シリンダ室22を形成する。
【0037】
上記上側の端板部材50は、円板状の本体部51と、この本体部51の中央に上方へ設けられたボス部52とを有する。本体部51およびボス部52は、シャフト12が挿通されている。
【0038】
上記本体部51には、シリンダ室22に連通する吐出口51aが設けられている。上記本体部51に関してシリンダ21と反対側に位置するように、本体部51に吐出弁31が取り付けられている。この吐出弁31は、例えば、リード弁であり、吐出口51aを開閉する。
【0039】
上記本体部51には、シリンダ21と反対側に、吐出弁31を覆うようにカップ型のマフラカバー40が取り付けられている。このマフラカバー40は、ボルト35などによって本体部51に固定されている。上記マフラカバー40は、ボス部52が挿通されている。
【0040】
上記マフラカバー40および上側の端板部材50によって、マフラ室42を形成する。上記マフラ室42とシリンダ室22とは、吐出口51aを介して連通されている。
【0041】
上記マフラカバー40は、マフラ室42とマフラカバー40の外側とを連通する孔部43を有する。
【0042】
上記下側の端板部材60は、円板状の本体部61と、この本体部61の中央に下方へ設けられたボス部62とを有する。上記本体部61およびボス部62は、シャフト12が挿通されている。
【0043】
このように、シャフト12の一端部は、上側の端板部材50および下側の端板部材60に支持されている。すなわち、シャフト12は、片持ちである。上記シャフト12の一端部(支持端側)は、シリンダ室22の内部に進入している。
【0044】
上記シャフト12の支持端側には、圧縮機構部2側のシリンダ室22内に位置するように、偏心ピン26を設けている。この偏心ピン26は、ローラ27に嵌合している。このローラ27は、シリンダ室22内で、公転可能に配置され、このローラ27の公転運動で圧縮作用を行うようにしている。
【0045】
言い換えると、シャフト12の一端部は、偏心ピン26の両側において、圧縮機構部2のハウジング7で支持されている。このハウジング7は、上側の端板部材50および下側の端板部材60を含む。
【0046】
次に、圧縮機構部2のシリンダ21の圧縮作用を
図2に従って説明する。
図2は上記圧縮機の要部の平面図を示している。
【0047】
図2に示すように、ローラ27に一体に設けたブレード28でシリンダ室22内を仕切っている。すなわち、ブレード28の右側の室は、吸入管11がシリンダ室22の内面に開口して、吸入室(低圧室)22aを形成している。一方、ブレード28の左側の室は、吐出口51a(
図1に示す)がシリンダ室22の内面に開口して、吐出室(高圧室)22bを形成している。
【0048】
上記ブレード28の両面には、半円柱状のブッシュ25,25が密着して、シールを行っている。ブレード28とブッシュ25,25との間は、潤滑油で潤滑される。
【0049】
そして、偏心ピン26がシャフト12と共に偏心回転して、偏心ピン26に嵌合したローラ27が、このローラ27の外周面をシリンダ室22の内周面に接しながら公転する。
【0050】
上記ローラ27がシリンダ室22内で公転するに伴って、ブレード28は、このブレード28の両側面をブッシュ25,25によって保持されて進退動する。これにより、吸入管11から低圧の冷媒ガスを吸入室22aに吸入して、吐出室22bで圧縮して高圧にした後、吐出口51a(
図1に示す)から高圧の冷媒ガスを吐出する。
【0051】
その後、
図1に示すように、吐出口51aから吐出された冷媒ガスは、マフラ室42を経由して、マフラカバー40の外側に排出される。
【0052】
図3は上記圧縮機のモータ3を含む要部の横断面図を示している。
図3において、
図1と同一の構成部には同一参照番号を付している。
【0053】
図3に示すように、密閉容器1に取り付けられたモータ3は、ロータ6と、このロータ6の径方向外側にエアギャップを介して配置されたステータ5とを有する。
【0054】
上記ロータ6は、円柱状のロータコア610と、このロータコア610に周方向に間隔をあけて埋設された6つの磁石620とを有する。ロータコア610は、例えば積層された電磁鋼板からなる。ロータコア610の中央の孔部には、シャフト12が取り付けられている。また、磁石620は、平板状の永久磁石である。
【0055】
上記ステータ5は、ロータ6と径方向において対向するように配置されている。このステータ5は、ステータコア510と、ステータコア510の軸方向の両端面に取り付けられたインシュレータ530と、ステータコア510およびインシュレータ530に共に巻回されたコイル520とを有する。なお、
図3では、コイル520およびインシュレータ530を一部省略している。
【0056】
上記ステータコア510は、例えば積層された複数の鋼板からなり、焼き嵌めなどによって密閉容器1内に嵌め込まれている。ステータコア510は、円筒形状のバックヨーク部511と、このバックヨーク部511の内周面から径方向内側に突出すると共に周方向に略等間隔に配列された9つのティース部512とを有する。
【0057】
上記コイル520は、各ティース部512にそれぞれ巻かれて複数のティース部512に渡って巻かれていない、いわゆる集中巻きである。上記モータ3は、いわゆる6極9スロットである。このコイル520に電流を流してステータ5に発生する電磁力によって、シャフト12と共にロータ6を回転させる。
【0058】
上記インシュレータ530は、ステータコア510とコイル520との間に挟持され、ステータコア510とコイル520とを絶縁している。インシュレータ530は、例えば、樹脂によりモールド成型されている。また、インシュレータ530は、環状部531と、この環状部531の内周面から径方向内側に突出すると共に周方向に略等間隔に配列された9つの歯部532と、環状部531の軸方向の端面に立てられた円筒状の外壁部533とを有する。歯部532は、ステータコア510のティース部512の軸方向の両端面のそれぞれに対向して位置している。
【0059】
上記ステータコア510の周方向において隣り合うティース部512の間の空間であるスロット部514内には、ティース部512およびバックヨーク部511の内周面に沿って、スロット絶縁体90が設けられている。
【0060】
また、
図4はモータ3の要部拡大図を示しており、
図3と同一の構成部には、同一参照番号を付している。
【0061】
図4に示すように、周方向において隣り合うコイル520間に、コイル間絶縁体100を挿入している。コイル間絶縁体100およびスロット絶縁体90は、樹脂製の絶縁フィルムや樹脂成形物などのシート状の樹脂材料からなり、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)などを用いる。
【0062】
上記スロット絶縁体90は、ティース部512とコイル520との間に挟まれている。スロット絶縁体90は、第1の突出部91と第2の突出部92とを有している。第1の突出部91は、隣接する一方のティース部512の先端部512Aにおける端部512aよりもスロット部514側に周方向に突出している。第2の突出部92は、隣接する他方のティース部512の先端部512Aにおける端部512bよりもスロット部514側に周方向に突出している。この第1の突出部91の先端と第2の突出部92の先端とは、周方向に対向すると共に、わずかに離隔している。第1の突出部91の先端と第2の突出部92の先端との間の空間がスロットオープン95である。
【0063】
なお、ティース部512の端部512aがスロット絶縁体90の周方向の端部よりもスロット部514側に周方向に突出すると共に、ティース部512の端部512bがスロット絶縁体90の周方向の端部よりもスロット部514側に周方向に突出しているとき、ティース部512の端部512aと端部512bとの間の空間がスロットオープンとなる。このように、スロットオープンとは、周方向において隣り合うティース部の先端の間の空間と、スロット絶縁体の第1の突出部と第2の突出部との間の空間とのうち、周方向の幅が小さい方の空間を意味する。
【0064】
上記コイル間絶縁体100は、互いに間隔をあけて軸方向に沿って延在する2本の直線を折目にして折り曲げられ、軸に直交する平面視において断面略コ字形状になっている。コイル間絶縁体100は、コイル間挿入部101,101と、折り曲げ底部102と、係止部103,103とを有する。係止部103,103は、コイル間挿入部101,101の軸方向の上端部から径方向かつロータ6(
図3に示す)の反対側、すなわち、径方向外側に突出して設けられている。
【0065】
上記折り曲げ底部102は、軸方向に沿って延在すると共にティース部512の先端部512A側に位置している。折り曲げ底部102の周方向の幅D2は、スロットオープン95の周方向の幅D1よりも大きい。したがって、コイル間絶縁体100は、径方向においてロータ6側へ移動すると、スロット絶縁体90の第1の突出部91と第2の突出部92とに当接して、上記折り曲げ底部102の径方向のロータ6側への移動が規制されるから、コイル間絶縁体100の径方向への飛び出しを確実に防止できる。
【0066】
図5は
図4のV−V線から見た側面図を示しており、
図4と同一の構成部には、同一参照番号を付している。
【0067】
図5に示すように、上記インシュレータ530の外壁部533は、コイル間絶縁体100の係止部103,103を係合するための被係合部535と、この被係合部535に係止部103,103を案内するための面取り案内部536,536とを有している。
【0068】
上記被係合部535は、軸方向において、面取り案内部536,536よりもステータコア510(
図6に示す)側、すなわち下側に位置している。被係合部535は、側面視において略長方形状の孔部である。被係合部535の周方向の大きさは、コイル間絶縁体100の係止部103,103が被係合部535に係合している状態における係止部103,103の周方向外側の端面間の大きさよりも大きい。また、被係合部535の軸方向の大きさは、係止部103,103の軸方向の大きさよりも大きい。
【0069】
上記面取り案内部536,536は、周方向において互いに対向するように突出すると共に、互いに離隔している。面取り案内部536,536は、周方向の先端面536A,536Aと、軸方向の一方の端面536a,536aと、軸方向の他方の端面536b,536bとを有している。面取り案内部536,536は、略台形状を有している。面取り案内部536,536の軸方向の幅は、先端面536A,536Aに向かって、連続的に小さくなっている。
【0070】
上記面取り案内部536,536の端面536a,536aは、インシュレータ530の外壁部533の端面533aに連なると共に、周方向に対して斜め方向に延在している。面取り案内部536,536の端面536b,536bは、周方向に延在し、被係合部535のステータコア510と反対側、すなわち上側の端面を形成している。
【0071】
上記コイル間絶縁体100の係止部103,103を被係合部535に係合するとき、係止部103,103は、面取り案内部536,536の端面536a,536aによって被係合部535内に案内される。このとき、係止部103,103間の距離は、面取り案内部536,536によって徐々に小さくなる。係止部103,103が面取り案内部536,536の先端面536A,536A間を通過するとき、係止部103,103の周方向内側の端面同士が接触する。
【0072】
図6は
図4のVI−VI線から見た縦断面図を示しており、
図3〜
図5と同一の構成部には、同一参照番号を付している。
【0073】
図6に示すように、コイル間絶縁体100の軸方向の両端100a,100aは、軸方向において、コイル520の両端520a,520aよりも内側に位置している。コイル間挿入部101が周方向に互いに隣接するコイル520間に挿入された状態で、そのコイル間挿入部101の軸方向の上端部に設けられた係止部103,103がインシュレータ530の被係合部535に係止している。これにより、コイル間絶縁体100に対して軸方向にずれる力が加わっても、係止部103,103の軸方向の端面が被係合部535の軸方向の端面に当接して、コイル間絶縁体100の軸方向の抜けを防止できる。
【0074】
図7はコイル間絶縁体100の展開図を示している。
図7に示すように、コイル間絶縁体100は略T字形状を有している。コイル間絶縁体100のコイル間挿入部101は、略長方形状を有している。このコイル間挿入部101の長手方向の一端部には、コイル間挿入部101から長手方向に対して直交する方向に突出する係止部103,103が設けられている。係止部103,103は、コイル間挿入部101の長手方向に直交する方向の両端部にそれぞれ設けられている。係止部103,103は略長方形状を有している。
【0075】
コイル間絶縁体100は、2本の直線L11,L11を折目にして折り返されるようになっている。2本の直線L11,L11は、コイル間絶縁体100の長手方向に直交する方向の中央部において、互いに間隔をあけて平行に、長手方向に沿って延在している。コイル間絶縁体100の折り曲げ底部102は、2本の直線L11,L11の間の領域である。
【0076】
なお、この第1実施形態では、係止部103,103は略長方形状を有していたが、これに限られない。係止部は、例えば台形状や三角形状など、他の形状であってもよい。
【0077】
また、上記第1実施形態では、コイル間挿入部101の長手方向の一端部に係止部103,103を設けたが、
図8に示す変形例のように、コイル間挿入部101の長手方向の両端部に係止部103を設けてもよい。この場合、コイル間挿入部101の長手方向においてコイル間からコイル間絶縁体100が抜けるのをより確実に防止することができる。
【0078】
また、上記第1実施形態では、コイル間挿入部101の長手方向の一端部に係止部103,103を設けたが、
図9に示す変形例のように、コイル間挿入部101の長手方向の他端の角に面取り部105を設けてもよい。この場合、コイル間絶縁体100を周方向において隣り合うコイル520間に挿入するとき、面取り部105によって、コイル間挿入部101をコイル520間に挿入しやすくすることができると共に、コイル間挿入部101の角を破損しにくくすることができる。
【0079】
また、上記第1実施形態では、係止部103,103は、コイル間挿入部101の長手方向に直交する方向の両端部にそれぞれ設けられていたが、
図10に示す変形例のように、コイル間挿入部101の長手方向に直交する方向の一端にのみ係止部103を設けてもよい。この場合、係止部103を両端部に設ける場合に比べて、コイル間絶縁体100の加工を減らし、コイル間絶縁体100の製造コストを低減できる。
【0080】
〔第2実施形態〕
図11はこの発明の第2実施形態の圧縮機のモータ3の要部拡大図である。この第2実施形態の圧縮機は、コイル間絶縁体110の形状と、インシュレータ530の被係合部545の形状が上記第1実施形態と、相違する。なお、この第2実施形態において、上記第1実施形態と同一の符号は、上記第1実施形態と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0081】
図11に示すように、上記コイル間絶縁体110は、軸方向に沿って折り曲げられ、軸に直交する平面視において断面略U字形状になっている。コイル間絶縁体110は、コイル間挿入部101,101と、折り曲げ底部112と、係止部103,103とを有する。コイル間絶縁体110は、スロット絶縁体90と同様に、樹脂製の絶縁フィルムや樹脂成形物などのシート状の樹脂材料からなり、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)などを用いる。
【0082】
上記折り曲げ底部112は、軸方向に沿って延在すると共にティース部512の先端部512A側に位置している。折り曲げ底部112の周方向の幅D3は、スロットオープン95の周方向の幅D1よりも大きい。
【0083】
図12は
図11のXII−XII線から見た側面図を示しており、
図5と同一の構成部には、同一参照番号を付している。
【0084】
図12に示すように、インシュレータ5301の外壁部5331は、コイル間絶縁体110の係止部103,103を係合するための被係合部545,545と、これらの被係合部545,545に係止部103,103を案内するための面取り案内部546,546と、面取り案内部546,546の間に設けられた柱部548とを有している。
【0085】
上記柱部548は、軸方向においてステータコア510(
図6に示す)の反対側、すなわち上側に向かって突出している。柱部548は、側面視において、略T字形状を有している。柱部548は、上側の上端面548aと、上端において周方向に突出する突出部548A,548Aとを有している。この上端面548aは、インシュレータ5301の端面5331aと同一平面上に延在している。
【0086】
上記被係合部545,545は、それぞれ軸方向において柱部548の突出部548A,548Aよりもステータコア510側、すなわち下側に位置している。被係合部545,545は、側面視において略長方形状の孔部である。被係合部545,545の周方向の大きさは、コイル間絶縁体110の係止部103,103の周方向の大きさと略同じである。また、被係合部545,545の軸方向の大きさは、係止部103,103の軸方向の大きさよりも大きい。
【0087】
上記面取り案内部546,546は、インシュレータ5301の端面5331aから、軸方向に沿って下側に向かって延在している。また、面取り案内部546,546は、柱部548の突出部548A,548Aよりも下側において、軸方向に対して斜めの方向に、すなわち、下側に行くにしたがって、周方向において柱部548に近づく方向に延在している。
【0088】
面取り案内部546,546と柱部548とは、それぞれ被係合部545,545に連通する連通部549,549を形成している。上記コイル間絶縁体110の係止部103,103を被係合部545,545に係合するとき、係止部103,103は、連通部549,549に挿入され、面取り案内部546,546によって被係合部545,545内に案内される。
【0089】
上記第2実施形態のステータ、モータおよび圧縮機は、第1実施形態のステータ、モータおよび圧縮機と同様の効果を有する。
【0090】
上記第1,第2実施形態では、インナーロータ型のモータを備えた圧縮機について説明したが、アウターロータ型のモータおよびそのモータを備えた圧縮機にこの発明を適用してもよい。
【0091】
なお、上記第1,第2実施形態では、コイル間絶縁体100,110は、係止部103を有していたが、これに限らず、係止部を有していなくてもよい。
【0092】
また、上記第1,第2実施形態では、インシュレータ530,5301は、コイル間絶縁体100,110の係止部103を係合するための被係合部535,545と、被係合部535,545に係止部103を案内するための面取り案内部536,546とを有していたが、インシュレータは、被係合部および面取り案内部を有していなくてもよい。
【0093】
また、上記第1,第2実施形態では、コイル間絶縁体100,110の軸方向の両端100a,100aは、軸方向において、コイル520の両端520a,520aよりも内側に位置していたが、これに限られない。例えば、軸方向において、コイル間絶縁体の両端部がコイルの両端部よりも外側に位置していてもよい。また、コイル間絶縁体の軸方向の両端のうち少なくとも一方が、軸方向において、コイルの両端よりも内側に位置していてもよい。
【0094】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記第1,第2実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【0095】
〔第3実施形態〕
図13は、第3実施形態のモータのステータの要部の拡大図である。この第3実施形態のステータは、
図4に示す第1実施形態のステータとは、スロット絶縁体1090の構成のみが異なる。したがって、
図13において、
図4の構成要素と同一構成要素については、
図4の構成要素と同一参照番号を付して詳しい説明は省略する。
【0096】
図13に示すように、ティース部512,512の先端部512A,512Aに沿って延在する上記スロット絶縁体1090の部分1091,1092の先端は互いに当接している。そのため、上記ティース部512,512の先端部512A,512Aの端部512a,512bの間が上記部分1091,1092によって閉じられている。
【0097】
上記スロット絶縁体1090の材質は、第1実施形態と同様に、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂からなる。
【0098】
上記構成のステータによれば、
図13に示すように、上記ティース部512,512の先端部512A,512Aの端部512a,512bの間がスロット絶縁体1090の部分1091,1092によって閉じられているから、コイル間絶縁体100がティース部512,512の先端側にずれようとしても、コイル間絶縁体100の折り曲げ底部102は、スロット絶縁体1090の互いに当接している部分1091,1092に当接して、コイル間絶縁体100の径方向の飛び出しが規制されて確実に防止される。特に、上記スロット絶縁体1090の互いに当接している部分1091,1092によって、ティース部512,512の先端部512A,512Aの端部512a,512bの間が閉じられているから、より確実に、コイル間絶縁体100の径方向の飛び出しを確実に防止できる。
【0099】
また、上記コイル間絶縁体100の係止部103,103が、軸方向の両端部のうちの少なくとも一方において径方向かつロータ6の反対側に突出して、インシュレータ530に係止するから、コイル間絶縁体100が軸方向にずれて、コイル520間から軸方向に抜けるのを確実に防止できる点は、第1実施形態と同様である。
【0100】
また、上記ステータは、コイル間絶縁体100の抜けを確実に防止できるから、このステータを用いると、信頼性の高いモータおよび圧縮機(
図1および3を参照)を実現することができる。
【0101】
第1〜第3実施形態および変形例で述べた構成要素は、適宜、組み合わせてもよく、また、適宜、選択、置換、あるいは、削除してもよいのは、勿論である。
【解決手段】ステータ5は、周方向に間隔をあけて配列された複数のティース部512を有するステータコア510と、ステータコア510の軸方向の両端面に取り付けられたインシュレータ530と、ステータコア510のティース部512にインシュレータ530を介して巻回されたコイル520と、周方向に互いに隣接するコイル520間に配置されたコイル間絶縁体100とを備える。コイル間絶縁体100は、軸方向に沿って延在する折り曲げ底部102を設けて折り曲げられている。この折り曲げ底部102は、ティース部512の先端側に位置し、折り曲げ底部102の周方向の幅は、スロットオープン95の周方向の幅よりも大きい。