(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のバルブは、バルブ内部から空気が漏れないように、第2弁筐体とダイヤフラムとの間、及びダイヤフラムと第1弁筐体との間で、シール性を確保することが好ましい。
【0008】
そこで、本願の発明者が検討した結果、以下に示す構造のバルブを考案した。
【0009】
図10は、第1比較例に係る流体制御装置900の要部の断面図である。
図11は、
図10に示すバルブ901の分解斜視図である。
図12は、
図10に示すバルブ901の要部の断面図である。
図11、
図12中には、Z軸方向、Y軸方向、およびX軸方向を記載している。
【0010】
なお、各部位についての詳細はいずれも後述されるが、Z軸方向は、バルブ901を構成する部材の積層方向を示している。X軸方向は、逆止弁160、連通路135、及び排気弁170の配設方向を示している。Y軸方向は、Z軸方向およびX軸方向に対して垂直な方向を示している。
【0011】
バルブ901は、
図10、
図11に示すように、第2弁筐体192と、長方形状の薄膜からなる第2シール材952と、長方形状の薄膜からなるダイヤフラム920と、長方形状の薄膜からなる第1シール材951と、第1弁筐体191とを備え、それらが順に積層された構造を有している。
【0012】
第1弁筐体191は、
図10、
図11に示すように、カフ109に連通する第2通気孔112と、流体制御装置100外部に連通する第3通気孔113と、第3通気孔113の周囲からダイヤフラム920側へ突出した弁座139と、6つの開口部182と、を有する。弁座139は中央部に第3通気孔113を有する円筒形状である。
【0013】
第2弁筐体192の底面には、
図10、
図11に示すように、圧電ポンプ10の上面が接着されている。第2弁筐体192は、
図10、
図11に示すように、圧電ポンプ10の吐出孔56に連通する第1通気孔110と、圧電ポンプ10の吐出孔55に連通する第1通気孔111と、ダイヤフラム920側へ突出した円柱状の弁座138と、6つの開口部182に対向する6つの第1突出部180と、を有する。
【0014】
ダイヤフラム920には、
図10、
図11に示すように、弁座138に対向する領域の中心部に円形の孔部121が設けられている。孔部121の直径は、ダイヤフラム920に当接する弁座138の面の直径よりも小さく設けられている。
【0015】
ダイヤフラム920は、第1弁筐体191及び第2弁筐体192に挟持され、弁座139に接触するとともに孔部121の周囲が弁座138に接触するよう第1弁筐体191及び第2弁筐体192に固定されている。弁座138は、ダイヤフラム920における孔部121の周囲を与圧するよう第2弁筐体192に設けられている。
【0016】
これにより、ダイヤフラム920は、第1弁筐体191及び第2弁筐体192内を分割する。ダイヤフラム920は、第1通気孔111に連通するリング状の第1下バルブ室131と、連通路135を介して第2通気孔112に連通する円柱状の第1上バルブ室133とを有する逆止弁160を、第1弁筐体191及び第2弁筐体192とともに構成する。
【0017】
また、ダイヤフラム920は、第1通気孔110に連通する円柱状の第2下バルブ室132と、連通路135を介して第1上バルブ室133に連通するリング状の第2上バルブ室134とを有する排気弁170を、第1弁筐体191及び第2弁筐体192とともに構成する。各々のバルブ室の形状は、ダイヤフラム920に垂直な方向から平面視した場合の形状である。逆止弁160と連通路135と排気弁170とは、X軸方向に沿って配設されている。
【0018】
第1弁筐体191の6つの開口部182は、X軸方向から平面視して第1下バルブ室131及び第2下バルブ室132よりも周縁側に設けられている。6つの開口部182に関して、このうち3つの開口部182が、X軸方向に沿って配設されている。他の3つの開口部182は、第1下バルブ室131及び第2下バルブ室132を挟んで先に記述した3つの開口部182と反対側に、先に記述した3つの開口部182と並列になるようにX軸方向に沿って配設されている。
【0019】
第2弁筐体192の6つの第1突出部180は、X軸方向から平面視して第1上バルブ室133及び第2上バルブ室134よりも周縁側に設けられている。6つの第1突出部180は、6つの開口部182に対向するように配設されている。
【0020】
第1シール材951には、第1上バルブ室133、連通路135及び第2上バルブ室134に面する領域に第2貫通孔156A〜156Cが設けられている。第2貫通孔156Aは、例えば第1上バルブ室133と中心軸を略同じとする円形状である。第2貫通孔156Bは、例えば第2上バルブ室134と中心軸を略同じとする円形状である。
【0021】
次に、第2シール材952には、第1下バルブ室131及び第2下バルブ室132に面する領域に第1貫通孔155A〜155Cが設けられている。第1貫通孔155Aは、例えば第1下バルブ室131と中心軸を略同じとする円形状である。第1貫通孔155Bは、例えば第2下バルブ室132と中心軸を略同じとする円形状である。
【0022】
次に、バルブ901の製造方法について説明する。まず、第2弁筐体192と第2シール材952とダイヤフラム920と第1シール材951と第1弁筐体191とを積層し、6つの第1突出部180を6つの開口部182に嵌め合わせる。これにより、ダイヤフラム920は、第1シール材951及び第2シール材952を介して、第1弁筐体191及び第2弁筐体192に挟持される。
【0023】
次に、第2弁筐体192と第2シール材952とダイヤフラム920と第1シール材951と第1弁筐体191とからなる積層体を台Sの上に載置し(
図12参照)、6つの第1突出部180の先端部に対して熱カシメを行う。これにより、6つの第1突出部180の先端部が押し潰され、バルブ901が得られる。
【0024】
以上のようなバルブ901では、さらなる低コスト化が求められている。特にダイヤフラム920は非常に信頼性の高い材料を使用する必要があるため、バルブ901の製造コスト高の一因となっている。
【0025】
そこで本願の発明者は、バルブとしての機能に直接寄与しない第1シール材951、ダイヤフラム920、及び第2シール材952の、X軸方向から平面視して逆止弁160及び排気弁170よりも周縁側である外側部分J1〜J6(
図11、
図12参照)を除いた、第1シール材151、第2シール材152、及びダイヤフラム120を備えるバルブ501を考案した(
図13参照)。これにより、ダイヤフラム920の使用面積を減らし、バルブ901の製造コストの削減を図った。
【0026】
しかしながら、バルブ501では、
図13に示すように、X軸方向から平面視して第1突出部180よりも内側の部分では、第1弁筐体191及び第2弁筐体192は第1シール材151と第2シール材152とを介してダイヤフラム120を挟持しているが、第1突出部180よりも外側の部分では、第1弁筐体191及び第2弁筐体192は何も挟持していない。
【0027】
このバルブ501に対して前記熱カシメを行うと、第1弁筐体191の第1突出部180よりも外側の部分が第2弁筐体192側へ反ってしまい、第2弁筐体192の第1突出部180よりも外側の部分が第1弁筐体191側へ反ってしまう。
【0028】
そのため、バルブ501の構造では、バルブ501の内部からの空気の漏れが大きくなり、バルブ501の性能が低下してしまうという問題がある。
【0029】
また、
図10に示すように圧電ポンプ10にバルブ901を接続した流体制御装置900では、バルブ901の反りが圧電ポンプ10の反りにも影響を与える。そのため、圧電ポンプ10の性能の低下につながるという問題もある。
【0030】
本発明の目的は、バルブの性能を従来よりも劣化させることなく、バルブの製造コストを従来よりも削減できるバルブ、及び当該バルブを備える流体制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明のバルブは、前記課題を解決するために以下の構成を備えている。
【0032】
(1)孔部が設けられているダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムの一方主面に設けられている第1シール材と、
前記第1シール材を介して前記ダイヤフラムと接合する第1弁筺体であって、第1の孔と、前記ダイヤフラムの一方主面側に位置し、前記第1の孔に連通する第1バルブ室と、前記第1バルブ室よりも外側に位置する複数の開口部と、を有する第1弁筺体と、
前記ダイヤフラムの他方主面に設けられている第2シール材と
前記第2シール材を介して前記ダイヤフラムと接合する第2弁筺体であって、第2の孔と、前記ダイヤフラムの他方主面側に位置し、前記第2の孔に連通する第2バルブ室と、前記第2バルブ室よりも外側に位置する複数の第1突出部と、を有する第2弁筐体と、を備え、
前記ダイヤフラムは、前記複数の第1突出部が前記複数の開口部に嵌め合わさることによって、前記第1シール材及び前記第2シール材を介して前記第1弁筺体および前記第2弁筐体に挟持され、
前記ダイヤフラムにおける前記孔部の周囲が、前記第2バルブ室において前記第2弁筐体に当接して、前記孔部が被覆され、
前記第1シール材と前記ダイヤフラムと前記第2シール材とのそれぞれの外周は、前記第1弁筺体および前記第2弁筺体の外周より小さく、前記複数の第1突出部より内側に設けられ、
前記第1弁筺体および前記第2弁筺体の少なくとも一方は、前記複数の第1突出部より外側に位置する複数の第2突出部を有する。
【0033】
この構成におけるバルブは、第1弁筺体と第1シール材とダイヤフラムと第2シール材と第2弁筺体とが積層された構造を有する。そして、この構成では、ダイヤフラムの外周が第1弁筺体及び第2弁筺体の外周より小さく、前記複数の第1突出部より内側に設けられている。そのため、ダイヤフラムの外周が第1弁筺体及び第2弁筺体の外周と同じ構造を有する第1比較例のバルブ901(
図11参照)と比べて、この構成は、ダイヤフラムの使用面積を減らせる。
【0034】
また、この構成におけるバルブは、X軸方向から平面視して第1突出部よりも内側の部分では第1弁筐体及び第2弁筐体は第1シール材と第2シール材とを介してダイヤフラムを挟持する。一方、X軸方向から平面視して第1突出部よりも外側の部分では第1弁筐体と第2弁筐体との間に複数の第2突出部が位置する。
【0035】
そのため、第1弁筺体と第1シール材とダイヤフラムと第2シール材と第2弁筺体とからなる積層体を台の上に載置し、複数の第1突出部の先端部に対して熱カシメを行っても、複数の第2突出部が第1弁筺体または第2弁筺体に接触し、第1弁筐体及び第2弁筐体における第1突出部よりも外側の部分が反ることを抑制できる。すなわち、この構成では、バルブ内部から空気が漏れることを抑制できる。
【0036】
したがって、この構成によれば、バルブの性能を従来よりも劣化させることなく、バルブの製造コストを従来よりも削減できる。
【0037】
(2)前記複数の第2突出部の高さは、前記複数の第1突出部の高さより低いことが好ましい。
【0038】
この構成では、複数の第2突出部よりも第2弁筐体側へ突出している複数の第1突出部の先端部に対して、熱カシメが行われる。
【0039】
(3)前記複数の第2突出部の高さは、前記第1シール材の厚みと前記ダイヤフラムの厚みと前記第2シール材の厚みとの和に等しいことが好ましい。
【0040】
この構成では、第1弁筐体における第1突出部よりも外側の部分と第2弁筐体における第1突出部よりも外側の部分との間には、第1シール材の厚みとダイヤフラムの厚みと第2シール材の厚みとの和に等しい高さを持つ複数の第2突出部が位置する。
【0041】
そのため、複数の第1突出部の先端部に対して前記熱カシメを行ったとき、複数の第2突出部が第1弁筺体または第2弁筺体に接触するので、第1弁筐体および第2弁筐体における第1突出部よりも外側の部分が反ることを一層抑制できる。すなわち、この構成では、バルブ内部から空気が漏れることを一層抑制できる。
【0042】
したがって、この構成によれば、バルブの性能を従来よりも劣化させることなく、バルブの製造コストを従来よりも削減できる。
【0043】
また、本発明の流体制御装置は、前記課題を解決するために以下の構成を備えている。
【0044】
(4)吐出孔が設けられているポンプと、
上記(1)〜(3)のいずれかに記載のバルブと、を備え、
前記第1弁筺体の前記第1の孔は、流体を貯蔵する流体貯蔵部に接続され、
前記第2弁筺体の前記第2の孔は、前記ポンプの前記吐出孔に接続される。
【0045】
この構成により、上記(1)〜(3)のいずれかのバルブを用いることで、当該バルブを備える流体制御装置にも同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、バルブの性能を従来よりも劣化させることなく、バルブの製造コストを従来よりも削減できる。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の実施形態に係る流体制御装置100について説明する。
【0049】
図1は、本発明の実施形態に係る流体制御装置100の要部の断面図である。流体制御装置100は、圧電ポンプ10とバルブ101とを備える。流体制御装置100は、被検者の血圧を測定する装置である。圧電ポンプ10の上面がバルブ101の底面に接合されることにより、バルブ101が圧電ポンプ10に接続される。
【0050】
バルブ101には、カフ109の腕帯ゴム管109Aに連通させるカフ接続口106Aが設けられている。カフ109の腕帯ゴム管109Aがバルブ101のカフ接続口106Aに装着されることにより、流体制御装置100がカフ109に接続される。
【0051】
なお、カフ109が本発明の「流体貯蔵部」に相当する。
【0052】
ここで、圧電ポンプ10とバルブ101との構造について詳述する。まず、
図1、
図2を用いて圧電ポンプ10の構造について詳述する。
【0053】
図2は、
図1に示す圧電ポンプ10の分解斜視図である。圧電ポンプ10は、基板91、可撓板51、スペーサ53A、補強板43、振動板ユニット60、圧電素子42、スペーサ53B、電極導通用板70、スペーサ53C及び蓋板54を備え、これらが順に積層された構造を有する。
【0054】
なお、基板91、可撓板51、スペーサ53A、振動板ユニット60の一部、スペーサ53B、電極導通用板70、スペーサ53C及び蓋板54は、ポンプ筐体80を構成している。そして、ポンプ筐体80の内部空間がポンプ室45に相当する。
【0055】
振動板ユニット60は、振動板41、枠板61、連結部62及び外部端子63によって構成される。振動板ユニット60は、金属板に対して打ち抜き加工を施すことにより形成されている。
【0056】
振動板41の周囲には枠板61が設けられている。枠板61には電気的に接続するための外部端子63が設けられている。振動板41は枠板61に対して連結部62で連結されている。連結部62は例えば細いリング状に形成されている。連結部62は、小さなバネ定数の弾性を持つ弾性構造を有している。
【0057】
したがって振動板41は二つの連結部62で枠板61に対して2点で柔軟に弾性支持されている。そのため、振動板41の屈曲振動を殆ど妨げない。すなわち、圧電アクチュエータ40の周辺部が(勿論中心部も)実質的に拘束されていない状態となっている。
【0058】
なお、
図2に示した例では、連結部62が二箇所に設けられているが、三箇所以上に設けられていてもよい。連結部62は、圧電アクチュエータ40の振動を妨げるものではないが、圧電アクチュエータ40の振動に多少の影響を与える。そのため、例えば連結部62が三箇所に設けられることにより、より自然な支持が可能となり、圧電素子42の割れを防止することもできる。
【0059】
円板状の振動板41の上面には圧電素子42が設けられている。振動板41の下面には補強板43が設けられている。振動板41と圧電素子42と補強板43とによって円板状の圧電アクチュエータ40が構成される。圧電素子42は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスからなる。
【0060】
ここで、振動板41を圧電素子42および補強板43よりも線膨張係数の大きな金属板で形成し、接着時に加熱硬化させてもよい。これにより、圧電アクチュエータ40全体が反ることなく、圧電素子42に適切な圧縮応力を残留させることができ、圧電素子42が割れることを防止できる。
【0061】
例えば、振動板41をリン青銅(C5210)やステンレススチールSUS301など線膨張係数の大きな材料とし、補強板43を42ニッケルまたは36ニッケルまたはステンレススチールSUS430などとするのがよい。
【0062】
なお、振動板41、圧電素子42、補強板43については、上から圧電素子42、補強板43、振動板41の順に配置してもよい。この場合も圧電素子42に適切な圧縮応力が残留するように、補強板43、振動板41を構成する材料を設定にすることで線膨張係数が調整されている。
【0063】
枠板61の上面には、スペーサ53Bが設けられている。スペーサ53Bは樹脂からなる。スペーサ53Bの厚みは圧電素子42の厚みと同じか少し厚い。枠板61は、電極導通用板70と振動板ユニット60とを電気的に絶縁する。
【0064】
スペーサ53Bの上面には、電極導通用板70が設けられている。電極導通用板70は金属からなる。電極導通用板70は、ほぼ円形に開口した枠部位71と、この開口内に突出する内部端子73と、外部へ突出する外部端子72とからなる。
【0065】
内部端子73の先端は圧電素子42の表面にはんだで接合される。はんだで接合される位置を圧電アクチュエータ40の屈曲振動の節に相当する位置とすることにより内部端子73の振動は抑制される。
【0066】
電極導通用板70の上面には、スペーサ53Cが設けられている。スペーサ53Cは樹脂からなる。スペーサ53Cは圧電素子42と同程度の厚さを有する。スペーサ53Cは、圧電アクチュエータ40が振動している時に、内部端子73のはんだ部分が、蓋板54に接触しないようにするためのスペーサである。また、圧電素子42表面が蓋板54に過度に接近して、空気抵抗により振動振幅が低下することを防止する。そのため、スペーサ53Cの厚みは、圧電素子42と同程度の厚みであればよい。
【0067】
スペーサ53Cの上面には、蓋板54が設けられている。蓋板54には吐出孔55、56が設けられている。蓋板54は、圧電アクチュエータ40の上部を覆う。
【0068】
一方、振動板ユニット60の下面には、スペーサ53Aが設けられている。即ち、可撓板51の上面と振動板ユニット60の下面との間に、スペーサ53Aが挿入されている。スペーサ53Aは、補強板43の厚みに数10μm程度加えた厚みを有する。スペーサ53Aは、圧電アクチュエータ40が振動している時に、圧電アクチュエータ40が、可撓板51に接触しないようにするためのスペーサである。
【0069】
スペーサ53Aの下面には、可撓板51が設けられている。可撓板51の中心には吸入孔52が設けられている。
【0070】
可撓板51の下面には、基板91が設けられている。基板91の中央部には円柱形の開口部92が形成されている。可撓板51は、基板91に固定された固定部57と、固定部57より中心側に位置し、開口部92に面する可動部58と、を有する。
【0071】
可動部58は、圧電アクチュエータ40の振動に伴う空気の圧力変動により、圧電アクチュエータ40と実質的に同一周波数で振動することができる。可動部58の固有振動数は、圧電アクチュエータ40の駆動周波数と同一か、やや低い周波数になるように設計している。
【0072】
可撓板51の振動位相が圧電アクチュエータ40の振動位相よりも遅れた(例えば90°遅れの)振動に設計すれば、可撓板51と圧電アクチュエータ40との間の隙間の厚さ変動が実質的に増加する。
【0073】
従って、外部端子63、72に交流の駆動電圧が印加されると、圧電アクチュエータ40が同心円状に屈曲振動する。さらに、圧電アクチュエータ40の振動に伴って可撓板51の可動部58も振動する。これにより、圧電ポンプ10は、開口部92及び吸入孔52を介して空気をポンプ室45へ吸引する。さらに、圧電ポンプ10は、ポンプ室45の空気を吐出孔55、56から吐出する。
【0074】
このとき、圧電ポンプ10では、圧電アクチュエータ40の周辺部が実質的に固定されていない。そのため、圧電ポンプ10によれば、圧電アクチュエータ40の振動に伴う損失が少なく、小型・低背でありながら高い吐出圧力と大きな吐出流量が得られる。
【0075】
次に、
図1、
図3〜
図6を用いてバルブ101の構造について詳述する。
【0076】
図3、
図4は、
図1に示すバルブ101の分解斜視図である。
図3は、当該バルブ101をカフ109を接続する上面側から見た分解斜視図であり、
図4は、当該バルブ101を圧電ポンプ10を接合する底面側から見た分解斜視図である。
図5は、
図1に示すバルブ101を構成する第2弁筐体192の底面図である。
図6は、
図1に示すバルブ101の要部の断面図である。
【0077】
ここで、
図3、
図5、
図6には、Z軸方向、Y軸方向、およびX軸方向を記載している。Z軸方向は、バルブ101を構成する部材の積層方向を示している。X軸方向は、逆止弁160、連通路135、及び排気弁170の配設方向を示している。Y軸方向は、Z軸方向およびX軸方向に対して垂直な方向を示している。
【0078】
なお、本発明の「第1の孔」が第2通気孔112に相当する。また、本発明の「第2の孔」が第1通気孔110、111に相当する。また、本発明の「第1バルブ室」が第1上バルブ室133及び第2上バルブ室134に相当する。また、本発明の「第2バルブ室」が第1下バルブ室131及び第2下バルブ室132に相当する。
【0079】
バルブ101は、
図1、
図3、
図4、
図5に示すように、第2弁筐体192と、長方形状の薄膜からなる第2シール材152と、長方形状の薄膜からなるダイヤフラム120と、長方形状の薄膜からなる第1シール材151と、第1弁筐体191とを備え、それらが順に積層された構造を有している。
【0080】
第1弁筐体191は、
図1、
図3、
図4に示すように、カフ109に連通する第2通気孔112と、流体制御装置100外部に連通する第3通気孔113と、第3通気孔113の周囲からダイヤフラム120側へ突出した弁座139と、6つの開口部182と、を有する。第1弁筐体191は、例えば樹脂からなる。弁座139は中央部に第3通気孔113を有する円筒形状である。
【0081】
第1弁筐体191の6つの開口部182は、X軸方向から平面視して後述する第1下バルブ室131及び第2下バルブ室132よりも周縁側に設けられている。6つの開口部182に関して、このうち3つの開口部182が、X軸方向に沿って配設されている。他の3つの開口部182は、第1下バルブ室131及び第2下バルブ室132を挟んで先に記述した3つの開口部182と反対側に、先に記述した3つの開口部182と並列になるようにX軸方向に沿って配設されている。
【0082】
第2弁筐体192の底面には、
図1に示すように、圧電ポンプ10の上面が接着されている。第2弁筐体192は、
図1、
図3、
図4、
図5に示すように、圧電ポンプ10の吐出孔56に連通する第1通気孔110と、圧電ポンプ10の吐出孔55に連通する第1通気孔111と、ダイヤフラム120側へ突出した円柱状の弁座138と、6つの開口部182に対向する6つの第1突出部180と、を有する。第2弁筐体192は、例えば樹脂からなる。第2弁筐体192の6つの第1突出部180は、X軸方向から平面視して後述する第1上バルブ室133及び第2上バルブ室134よりも周縁側に設けられている。
【0083】
さらに、第2弁筺体192は、X軸方向から平面視して6つの第1突出部180より周縁側に6つの第2突出部181を有する。
【0084】
6つの第2突出部181は、6つの第1突出部180が6つの開口部182に嵌め合わされた状態で、X軸方向から平面視して第1シール材151、ダイヤフラム120、及び第2シール材152よりも周縁側に設けられている。
【0085】
ダイヤフラム120には、
図1、
図3、
図4に示すように、弁座138に対向する領域の中心部に円形の孔部121が設けられている。孔部121の直径は、ダイヤフラム120に当接する弁座138の面の直径よりも小さく設けられている。ダイヤフラム120の外周は、第1弁筺体191と第2弁筺体192のそれぞれの外周より小さい。ダイヤフラム120は、例えばEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)やシリコーンなどのゴムからなる。
【0086】
ダイヤフラム120は、6つの第1突出部180が6つの開口部182に嵌め合わさることによって、第1シール材151および第2シール材152を介して第1弁筺体191および第2弁筺体192に挟持されている。
【0087】
これにより、ダイヤフラム120は、
図6に示すように、X軸方向から平面視して第1弁筐体191における6つの開口部182より内側の領域とX軸方向から平面視して第2弁筺体192における6つの第1突出部180より内側の領域とを覆い、弁座138に接触するとともに孔部121の周囲が弁座138に接触する。弁座138は、ダイヤフラム120における孔部121の周囲を与圧するよう第2弁筐体192に設けられている。
【0088】
ダイヤフラム120は、第1弁筐体191及び第2弁筐体192内を分割する。ダイヤフラム120は、第1通気孔111に連通するリング状の第1下バルブ室131と、連通路135を介して第2通気孔112に連通する円柱状の第1上バルブ室133とを有する逆止弁160を、第1弁筐体191及び第2弁筐体192とともに構成する。
【0089】
また、ダイヤフラム120は、第1通気孔110に連通する円柱状の第2下バルブ室132と、連通路135を介して第1上バルブ室133に連通するリング状の第2上バルブ室134とを有する排気弁170を、第1弁筐体191及び第2弁筐体192とともに構成する。
【0090】
各々のバルブ室の形状は、ダイヤフラム120に垂直な方向から平面視した場合の形状である。逆止弁160と連通路135と排気弁170とは、X軸方向に沿って設けられている。
【0091】
第1下バルブ室131と、第2下バルブ室132と、第1上バルブ室133と、第2上バルブ室134とのそれぞれの直径は例えば7.0mmである。ダイヤフラム120に当接する弁座138の面の直径は例えば1.5mmである。
【0092】
第1シール材151には、第1上バルブ室133、連通路135及び第2上バルブ室134に面する領域に第2貫通孔156A〜156Cが設けられている。第2貫通孔156Aは、例えば第1上バルブ室133と中心軸を略同じとする円形状である。第2貫通孔156Bは、例えば第2上バルブ室134と中心軸を略同じとする円形状である。
【0093】
第2貫通孔156A、156Bのそれぞれの直径は例えば6.6mmである。即ち、第1シール材151の外周は、第1弁筺体191と第2弁筺体192のそれぞれの外周より小さい。第1シール材151は、例えば両面テープや接着剤からなる。
【0094】
次に、第2シール材152には、第1下バルブ室131及び第2下バルブ室132に面する領域に第1貫通孔155A、155Bが設けられている。第1貫通孔155Aは、例えば第1下バルブ室131と中心軸を略同じとする円形状である。第1貫通孔155Bは、例えば第2下バルブ室132と中心軸を略同じとする円形状である。
【0095】
第1貫通孔155A、155Bのそれぞれの直径は例えば6.6mmである。即ち、第2シール材152の外周は、第1弁筺体191と第2弁筺体192のそれぞれの外周より小さい。第2シール材152は、例えば両面テープや接着剤からなる。
【0096】
第1貫通孔155Aの直径は、弁座138の直径よりも大きく、第1下バルブ室131の直径よりも小さい。すなわち、第1貫通孔155Aの外周は、弁座138の外周よりも大きく、第1下バルブ室131の外周よりも小さい。同様に、第1貫通孔155Bの直径は、第2下バルブ室132の直径よりも小さい。すなわち、第1貫通孔155Bの外周は、第2下バルブ室132の外周よりも小さい。
【0097】
以上より、バルブ101では、第1上バルブ室133及び第2上バルブ室134内に第1シール材151の一部が位置する。同様に、第1下バルブ室131及び第2下バルブ室132内に第2シール材152の一部が位置する。 バルブ101は、
図1に示すように、逆止弁160と、排気弁170とを有している。
【0098】
まず、逆止弁160は、第1通気孔111を備える第2弁筐体192の一部と、第2通気孔112を備える第1弁筐体191の一部と、ダイヤフラム120における孔部121の周囲と、その周囲と当接して孔部121を被覆する弁座138と、によって構成されている。逆止弁160は、第1下バルブ室131側から第1上バルブ室133側への流体の流れを許可し、第1上バルブ室133側から第1下バルブ室131側への流体の流れを遮断する。
【0099】
逆止弁160は、第1下バルブ室131と第1上バルブ室133との圧力差によってダイヤフラム120が弁座138に対して当接または離間する。
【0100】
次に、排気弁170は、第1通気孔110を備える第2弁筐体192の一部と、第2通気孔112及び第3通気孔113を備える第1弁筐体191の一部と、ダイヤフラム120の一部と、第3通気孔113の周囲からダイヤフラム120側へ突出してダイヤフラム120に当接して被覆される弁座139と、によって構成されている。
【0101】
排気弁170は、第2下バルブ室132と第2上バルブ室134との圧力差によってダイヤフラム120が弁座139に対して当接または離間する。
【0102】
次に、バルブ101の製造方法について説明する。まず、第2弁筐体192と第2シール材152とダイヤフラム120と第1シール材151と第1弁筐体191とを積層し、6つの第1突出部180を6つの開口部182に嵌め合わせる。これにより、ダイヤフラム120は、第1シール材151及び第2シール材152を介して、第1弁筐体191及び第2弁筐体192に挟持される。
【0103】
次に、第2弁筐体192と第2シール材152とダイヤフラム120と第1シール材151と第1弁筐体191とからなる積層体を台Sの上に載置し(
図6参照)、6つの第1突出部180の先端部に対して熱カシメを行う。これにより、6つの第1突出部180の先端部が押し潰され、
図6に示すバルブ101が得られる。
【0104】
バルブ101は、
図6に示すように、X軸方向から平面視して第1突出部180よりも内側の部分では、第1弁筐体191及び第2弁筐体192は第1シール材151と第2シール材152とを介してダイヤフラム120を挟持する。一方、第1突出部180よりも外側の部分には、6つの第2突出部181が設けられている。
【0105】
そのため、第1弁筐体191と第1シール材151とダイヤフラム120と第2シール材152と第2弁筐体192とからなる積層体を台Sの上に載置し、6つの第1突出部180の先端部に対して熱カシメを行っても、第1弁筐体191における第1突出部180よりも外側の部分が6つの第2突出部181に接触しているので、第1弁筐体191における第1突出部180よりも外側の部分が第2弁筐体192側へ反ることを抑制できる。また、第2弁筐体192における第1突出部180よりも外側の部分が第1弁筐体191側へ反ることを抑制できる。すなわち、本実施形態では、バルブ101内部から空気が漏れることを抑制できる。
【0106】
したがって、本実施形態によれば、バルブの性能を従来よりも劣化させることなく、バルブ101の製造コストを従来よりも削減できる。
【0107】
なお、6つの第2突出部181のそれぞれの高さは、第1シール材151の厚みとダイヤフラム120の厚みと第2シール材152の厚みとの和に等しいことが好ましい。この場合、第1弁筐体191における第1突出部180よりも外側の部分と第2弁筐体192における第1突出部180よりも外側の部分との間には、第1シール材151の厚みとダイヤフラム120の厚みと第2シール材152の厚みとの和に等しい高さを持つ6つの第2突出部181が位置する。
【0108】
そのため、6つの第1突出部180の先端部に対して前記熱カシメを行っても、第1弁筐体191における第1突出部180よりも外側の部分が6つの第2突出部181に接触しているので、第1弁筐体191及び第2弁筐体192における第1突出部180よりも外側の部分が反ることを一層抑制できる。すなわち、バルブ101内部から空気が漏れることを一層抑制できる。
【0109】
次に、血圧測定時における流体制御装置100の動作について説明する。
【0110】
図7は、
図1に示す圧電ポンプ10が駆動している間における流体制御装置100の空気の流れを示す説明図である。
【0111】
流体制御装置100は、血圧の測定を開始するとき、まず圧電ポンプ10を駆動させる。圧電ポンプ10が駆動すると、まず空気が開口部92及び吸引孔52から圧電ポンプ10内のポンプ室45に流入する。次に、空気が吐出孔55、56から吐出され、バルブ101の第2下バルブ室132及び第1下バルブ室131の両方に流入する。
【0112】
これにより、排気弁170では、第2下バルブ室132の圧力が第2上バルブ室134の圧力より高くなる。このため、
図7に示すように、ダイヤフラム120が第3通気孔113をシールして第2通気孔112と第3通気孔113との通気を遮断する。
【0113】
また、逆止弁160では、第1下バルブ室131の圧力が第1上バルブ室133の圧力より高くなる。このため、ダイヤフラム120における孔部121の周囲が弁座138から離間し、第1通気孔111と第2通気孔112とが孔部121を介して連通する。
【0114】
この結果、空気が圧電ポンプ10からバルブ101の第1通気孔111と、孔部121と、第2通気孔112と、を経由してカフ109へ送出され(
図7参照)、カフ109内の圧力(空気圧)が高まる。
【0115】
なお、ダイヤフラム120は、ダイヤフラム120の孔部121の周囲が弁座138に接触するよう第1弁筐体191及び第2弁筐体192に固定されている。そして、この弁座138は、ダイヤフラム120における孔部121の周囲を与圧している。
【0116】
これにより、バルブ101の第1通気孔111を経由して孔部121から流出する空気は、圧電ポンプ10の吐出圧力より若干低い圧力となって、孔部121から第1上バルブ室133及び第2上バルブ室134に流入する。一方、第2下バルブ室132には圧電ポンプ10の吐出圧力が加わる。
【0117】
この結果、バルブ101では、第2下バルブ室132の圧力が第2上バルブ室134の圧力より若干勝り、ダイヤフラム120が第3通気孔113をシールして孔部121を開放した状態が維持される。
【0118】
なお、このバルブ101では、
図3、
図4に示すように、各バルブ室131、132、133、134のそれぞれの外形が円形状であるため、ダイヤフラム120(特に孔部121付近の周囲)に張力が均等にかかる。
【0119】
このため、ダイヤフラム120の孔部121が弁座138に対して傾いた状態で当接されたり、ダイヤフラム120の孔部121が弁座138に対して水平方向にずれたりすることが抑制される。したがって、このバルブ101によれば、それぞれの弁の開閉をより確実に行うことができる。
【0120】
図8は、
図1に示す圧電ポンプ10が駆動を停止した直後における、流体制御装置100の空気の流れを示す説明図である。
【0121】
血圧の測定が終了すると、流体制御装置100は、圧電ポンプ10の駆動を停止する。ここで、圧電ポンプ10の駆動が停止すると、ポンプ室45と第1下バルブ室131と第2下バルブ室132の空気は、圧電ポンプ10の中心通気孔52および開口部92から流体制御装置100の外部へ速やかに排気される。また、第1上バルブ室133と第2上バルブ室134には、カフ109の圧力が第2通気孔112から加わる。
【0122】
この結果、逆止弁160では、第1下バルブ室131の圧力が第1上バルブ室133の圧力より低下する。ダイヤフラム120は、弁座138に当接して孔部121をシールする。
【0123】
また、排気弁170では、第2下バルブ室132の圧力が第2上バルブ室134の圧力より低下する。ダイヤフラム120は、弁座139から離間して第3通気孔113を開放する。
【0124】
即ち、バルブ101では、第2通気孔112と第3通気孔113とが連通路135及び第2上バルブ室134を介して連通する。これにより、カフ109の空気が第2通気孔112、連通路135及び第2上バルブ室134を経由して第3通気孔113から急速に排気される(
図8参照)。
【0125】
従って、この実施形態のバルブ101によれば、カフ109に圧縮空気を充填した後、カフ109から空気を急速排気することができる。
【0126】
また、バルブ101では前述したように、第1下バルブ室131及び第2下バルブ室132内に第2シール材152の一部が位置し、第1上バルブ室133及び第2上バルブ室134内に第1シール材151の一部が位置する。
【0127】
そのため、第1シール材151及び第2シール材152は、第1弁筺体191、第2弁筺体192及びダイヤフラム120の接着と、各バルブ室131、132、133、134内に存在する異物の捕捉とを行うことができる。
【0128】
したがって、バルブ101によれば、例えばバルブ101内に異物が混入したとしても、異物による誤動作を抑制することができる。特に排気弁170においては、異物による弁座139の第3通気孔113の閉塞を抑制することができる。
【0129】
また、この実施形態のバルブ101を備える流体制御装置100にも同様の効果を奏する。
【0130】
なお、バルブ101の性能は、圧力損失およびリーク圧力によって示される。特に、圧電ポンプ10が駆動している間におけるバルブ101の第1通気孔110、111から第3通気孔113への空気の漏れ(リーク)は、バルブ101の性能に大きく影響する。
【0131】
圧力損失は、逆止弁160を開いた状態にする際の損失である。ダイヤフラム120には張力がかかっており、弁座138は、ダイヤフラム120における孔部121の周囲を与圧するよう第2弁筐体192に設けられている。すなわち、ダイヤフラム120には第1上バルブ室133側から第1下バルブ室131側への応力がかかっている。
【0132】
このため、逆止弁160を開いた状態にすると、前述の応力の分だけ第1上バルブ室133の圧力P2が第1下バルブ室131の圧力P1よりも低下する。圧力損失は、「圧力損失=第1下バルブ室131の圧力P1−第1上バルブ室133の圧力P2」の式で求められる。
【0133】
この圧力損失によって、排気弁170では、バルブ101の第1通気孔111からカフ109へと空気が送り込まれる間、常に排気弁170を閉じた状態にする力(第2下バルブ室132側からダイヤフラム120を弁座139に押し当てる力)が加わるので、排気弁170は閉じた状態となる。
【0134】
ここで、圧力損失が小さいと、第1上バルブ室133の圧力P2と第1下バルブ室131の圧力P1との差が小さくなる。すなわち、排気弁170を閉じた状態にする力(第2下バルブ室132側からダイヤフラム120を弁座139に押し当てる力)が減少し、バルブ101の第1通気孔110、111から第3通気孔113への空気の漏れ(リーク)が増える。
【0135】
リークが多いと、バルブ101の第1通気孔111からカフ109へ空気を充填する際に、効率が悪くなる。バルブ101は、ダイヤフラム120の張力によって発生する圧力損失を利用して、カフ109の空気が第3通気孔113からリークすることを抑制している。
【0136】
また、リーク圧力は、「リーク圧力=圧電ポンプ10が駆動している間におけるカフ109の圧力−圧電ポンプ10を駆動停止してから5秒後のカフ109の圧力」の式で求められる。
【0137】
以下、本発明の実施形態に係るバルブ101(
図1参照)と第1比較例に係るバルブ901(
図12参照)と第2比較例に係るバルブ501(
図13参照)とを比較する。
【0138】
なお、バルブ501がバルブ901と相違する点は、前述したように、第1シール材951、ダイヤフラム920、及び第2シール材952の、X軸方向から平面視して逆止弁160及び排気弁170よりもよりも周縁側である外側部分J1〜J6(
図12、
図13参照)を除いた、第1シール材151、第2シール材152、及びダイヤフラム120を備える点である。そして、バルブ101がバルブ501と相違する点は、第2突出部181を備える点である。
【0139】
図9は、本発明の実施形態に係るバルブ101と第1比較例に係るバルブ901と第2比較例に係るバルブ501とにおける、第2弁筐体192における位置と第2弁筐体192の反り量との関係を示す図である。
図9では、バルブ101とバルブ901とバルブ501とにおける、第2弁筐体192におけるA点からB点を通ってC点までの反り量をレーザ変位計で測定した結果を示している。
【0140】
ここで、A点及びC点は、
図5に示すように、第2弁筐体192における第1突出部180よりも外側の部分に位置する点であり、B点は、第2弁筐体192における第1突出部180よりも内側の部分に位置する点である。
【0141】
次に、圧電ポンプ10を駆動して圧電ポンプ10の吐出圧力40(kPa)をバルブ101、501、901に付与し、バルブ101、501、901の圧力損失およびリーク圧力を測定した結果を表1に示す。
【0143】
実験により、バルブ501では圧力損失が0.1(kPa)であるのに対し、バルブ101、901では圧力損失が0.7(kPa)であることが明らかとなった。また、バルブ501ではリーク圧力が1.1(kPa)であるのに対し、バルブ101、901ではリーク圧力が0.1(kPa)であることが明らかとなった。
【0144】
以上の結果になった理由は、バルブ501では、第1弁筐体191と第1シール材151とダイヤフラム120と第2シール材152と第2弁筐体192とからなる積層体を台Sの上に載置し、6つの第1突出部180の先端部に対して熱カシメを行ったとき、第1弁筐体191における第1突出部180よりも外側の部分が第2弁筐体192側へ反ったためであると考えられる。これにより、バルブ501では、ダイヤフラム120の張力が十分に得られず、即ちバルブ901と同等の圧力損失が発生せず、リーク圧力がバルブ101、901より高くなったと考えられる。
【0145】
これに対して、バルブ101では、積層体を台Sの上に載置し、6つの第1突出部180の先端部に対して熱カシメを行ったとき、第1弁筐体191における第1突出部180よりも外側の部分が6つの第2突出部181に接触し、反ることを抑制できたためであると考えられる。これにより、バルブ101では、ダイヤフラム120の張力が十分に得られ、即ちバルブ901と同等の圧力損失が発生し、バルブ101内部からの空気の漏れを抑制することができたと考えられる。
【0146】
したがって、本実施形態のバルブ101によれば、バルブの性能を従来よりも劣化させることなく、バルブ101の製造コストを従来よりも削減できる。
【0147】
《その他の実施形態》
なお、前述の実施形態では流体として空気を用いているが、これに限るものではなく、当該流体が、空気以外の気体であっても適用できる。
【0148】
また、前述の実施形態におけるポンプは、ユニモルフ型で屈曲振動するアクチュエータ40を備えるが、振動板の両面に圧電素子を貼着してバイモルフ型で屈曲振動するアクチュエータを備えてもよい。
【0149】
また、前述の実施形態におけるポンプは、圧電素子42の伸縮によって屈曲振動するアクチュエータ40を備えるが、これに限るものではない。例えば、電磁駆動で屈曲振動するアクチュエータを備えてもよい。
【0150】
また、前述の実施形態において、圧電素子はチタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスからなるが、これに限るものではない。例えば、ニオブ酸カリウムナトリウム系及びアルカリニオブ酸系セラミックス等の非鉛系圧電体セラミックスの圧電材料などからなってもよい。
【0151】
また、前述の実施形態において、第2突出部181は第2弁筐体192に設けられているが、これに限るものではない。第2突出部181は第1弁筐体191に設けられていてもよい。
【0152】
また、前述の実施形態のバルブ101は、第1貫通孔155Aの外周が第1下バルブ室131の外周よりも小さく、第1貫通孔155Bの外周が第2下バルブ室132の外周よりも小さい第2シール材152を有しているが(
図1参照)、これに限るものではない。例えば、第1貫通孔155Aの外周が第1下バルブ室131の外周と等しく、第1貫通孔155Bの外周が第2下バルブ室132の外周と等しい第2シール材を有していてもよい。
【0153】
同様に、前述の実施形態のバルブ101は、第2貫通孔156Aの外周が第1上バルブ室133の外周よりも小さく、第2貫通孔156Bの外周が第2上バルブ室134の外周よりも小さい第1シール材151を有しているが(
図1参照)、これに限るものではない。例えば、第2貫通孔156Aの外周が第1上バルブ室133の外周と等しく、第2貫通孔156Bの外周が第2上バルブ室134の外周と等しい第1シール材を有していてもよい。
【0154】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。