特許第6011724号(P6011724)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6011724合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011724
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 2/06 20060101AFI20161006BHJP
   C23C 2/02 20060101ALI20161006BHJP
   C23C 2/28 20060101ALI20161006BHJP
   C22C 18/00 20060101ALI20161006BHJP
   C23C 2/40 20060101ALN20161006BHJP
【FI】
   C23C2/06
   C23C2/02
   C23C2/28
   C22C18/00
   !C23C2/40
【請求項の数】2
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-518268(P2015-518268)
(86)(22)【出願日】2014年5月20日
(86)【国際出願番号】JP2014063394
(87)【国際公開番号】WO2014189063
(87)【国際公開日】20141127
【審査請求日】2015年10月13日
(31)【優先権主張番号】特願2013-106312(P2013-106312)
(32)【優先日】2013年5月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日鐵住金株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】黒▲崎▼ 将夫
(72)【発明者】
【氏名】真木 純
(72)【発明者】
【氏名】山中 晋太郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 博之
【審査官】 池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−065701(JP,A)
【文献】 特開2012−188676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 2/00−2/40
C22C 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地鉄と、
Feを7.2〜10.6質量%、Alを0.2〜0.4質量%、および、Ni、Co、CuおよびInからなる群から選ばれる1種又は2種以上を合計で0.1質量%以上含有し、残部がZn及び不純物からなるめっき層とを有し、
前記めっき層は前記地鉄の表面に形成され、前記めっき層の垂直断面にて、ζ相の平均厚みが0.2μm以下で、前記地鉄に接して存在するΓ相の平均厚みが0.5μm以下で、前記Γ相内において、前記Ni、Co、CuおよびInからなる群から選ばれる1種又は2種以上を合計で前記Γ相内での割合で0.5質量%以上含有し、前記Γ相に接して存在する相がΓ1相とδ相との混合相であり、下記式(1)で定義するδ相比率が10%以上であることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
δ相比率=(δ相/Γ相接触界面長さ)/(δ相/Γ相接触界面長さ
+Γ1相/Γ相接触界面長さ)×100 ・・・(1)
ここで、δ相/Γ相接触界面長さは、δ相とΓ相とが接触している界面の長さで、Γ1相/Γ相接触界面長さは、Γ1相とΓ相とが接触している界面の長さである。
【請求項2】
板厚減少率(%)が5%以上のプレス加工を受ける合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する製造方法であって、
下記式(2)に従い、前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板のプレス加工時の板厚減少率(%)に基づいて必要プレめっき量(g/m2)を算出する工程と
地鉄に、Ni、Co、Cu、およびInからなる群から選ばれる1種又は2種以上を含有するプレめっきを合計で、前記算出した必要プレめっき量(g/m2)以上施してから、Alを0.1〜0.3質量%含有するめっき浴に浸漬して亜鉛めっきを施して亜鉛めっき鋼板を得る工程と、
前記亜鉛めっき鋼板を加熱炉で加熱する工程と、
前記加熱炉出側で前記亜鉛めっき鋼板の温度が最高到達温度に達した後、保熱炉で前記亜鉛めっき鋼板を徐冷し、下記式(3)で算出する温度積分値Sを300以上800未満の範囲で調整して前記亜鉛めっき鋼板に合金化処理を施す工程とを有することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
必要プレめっき量(g/m2)=0.0222×板厚減少率(%)−0.0625 ・・・(2)
S=(T11−T0)×t1/2
+((T11−T0)+(T12−T0))×t2/2
+((T12−T0)+(T21−T0))×Δt/2
+((T21−T0)+(T22−T0))×t3/2
+(T22−T0)×t4/2 ・・・(3)
ここで、T0 :420(℃)、
11:加熱炉出側の鋼板温度(℃)、
12:保熱炉の冷却帯入側の鋼板温度(℃)、
21:冷却帯出側の鋼板温度(℃)、
22:保熱炉出側の鋼板温度(℃)、
1 :T0から加熱炉出側までの処理時間(秒)、
2 :加熱炉出側から保熱炉の冷却帯入側までの処理時間(秒)、
Δt:保熱炉の冷却帯入側から冷却帯出側までの処理時間(秒)、
3 :保熱炉の冷却帯出側から保熱炉出側までの処理時間(秒)、
4 :急冷帯入側からT0までの処理時間(秒)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、家電製品、建築材料等のプレス成形に用いる合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法に関し、特に、摺動性(耐フレーキング性)、耐パウダリング性、及び、化成処理性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、亜鉛めっき鋼板と比較して、溶接性及び塗装性に優れている。このことから、合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、自動車車体の用途のみならず、家電製品、建築材料等の広範な用途分野で多用されている。このような用途に用いる合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、通常、プレス成形を施して使用に供する。
【0003】
合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法では、鋼板表面に溶融亜鉛めっきを施した後、直ちに、亜鉛の融点以上に加熱保持して、鋼板中のFeをめっき層中に拡散させる。そして、Znと合金化反応をさせ、Zn−Fe合金相を生成させる。ところが、このような合金化溶融亜鉛めっき鋼板は冷延鋼板に比べてプレス成形性が劣るという欠点を有する。
【0004】
プレス成形性が劣る原因は、合金化溶融亜鉛めっき層の組織にある。即ち、鋼板中のFeをめっき層中に拡散させてZnと合金化反応させることによって形成されたZn−Fe合金めっき層は、図1に模式的に示すように、通常、地鉄10上に形成されるΓ相11、Γ1相12、δ1相13、及びζ相14からなるめっき層である。また、このめっき層は、Fe濃度が低くなるに従い、Γ相→Γ1相→δ相→ζ相の順で変化する。
【0005】
これらの相の硬度は、Γ1相がビッカース硬さで約505Hvで最も高く、続いて、Γ相が約326Hvであり、δ相が約284〜300Hvであり、ζ相が約200Hvである。特に、鋼板表面に近いめっき層領域(めっき鋼板界面)に存在するΓ相およびΓ1相が硬質であり、めっき層の上部領域には、軟質のζ相が生成する。
【0006】
ζ相は、軟質で、プレス金型と凝着し易く、摩擦係数が高く、摺動性が悪い。このため、ζ相は、厳しいプレス成形を行なったときに、めっき層が金型に凝着し剥離する現象(以下、フレーキング)を引き起こす原因となる。また、Γ相およびΓ1相は、硬質で脆いので、プレス成形時にめっき層が粉状になって剥離する現象(以下、パウダリング)を引き起こす原因となる。
【0007】
合金化溶融亜鉛めっき鋼板をプレス成形する際には、摺動性が良好なことが重要である。このため、摺動性の観点で、めっき層は、高合金化して高硬度で、融点が高く、凝着の起こり難い高Fe濃度の皮膜が有効であるが、パウダリングを引き起こしやすくなる。
【0008】
一方、パウダリングを防止するために、低合金化し、Γ相およびΓ1相の生成を抑制した低Fe濃度のめっき層とすると、摺動性が劣り、フレーキングを引き起こしやすくなる。
【0009】
合金化溶融亜鉛めっき鋼板のブレス成形性を良好なものとするためには、摺動性とバウダリングとの相反する性質を両立させることが要求される。
【0010】
これまで、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のプレス成形性を改善する技術として、高Al浴において、該Al濃度との関係で規定される高侵入板温でめっきを行なって合金化反応を抑制し、その後、高周波誘導加熱方式の合金化炉で、出側板温が495℃超〜520℃となるように合金化処理して、δ1主体の合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法(例えば、特許文献1、参照)が提案されている。また、溶融Znめっきを施し、直ちに460〜530℃の温度域で2〜120秒保持した後、5℃/秒以上の冷却速度で250℃以下に冷却して、δ1単相の合金化めっき層を形成する合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法(例えば、特許文献2、参照)も提案されている。さらに、表面摺動性と耐パウダリング性を両立させるために、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造時の合金化処理で、加熱・冷却中の温度(T)と時間(t)とを掛け合わせて積算した温度分布に基づいて、合金化処理の温度パターンを決定する合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法(例えば、特許文献3、参照)も提案されている。
【0011】
これらの従来技術は、いずれも、合金化の度合いを制御して、合金化溶融亜鉛めっき層の硬質化を図り、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のプレス成形時の欠点となる耐パウダリング性と耐フレーキング性の両立を図るものである。
【0012】
また、表面平坦部が摺動性に大きな影響を与えるので、表面平坦部を制御することによって、表層にζ相が多く存在するめっき皮膜においても良好な耐パウダリング性を有し、摺動性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得る技術が提案されている(例えば、特許文献4、参照)。
【0013】
この技術は、合金化度を低くして、表層にζ相が多く存在するめっき皮膜においても良好な耐パウダリング性を有し、摺動性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得るものである。ところが、耐フレーキング性(耐摺動性)が十分ではないため、耐摺動性を更に改善することが必要であると考えられる。
【0014】
更に、この他に、亜鉛系めっき鋼板のプレス成形性を向上させる方法としては、高粘度の潤滑油を塗布する方法が広く用いられている。ところが、潤滑油は高粘性であるため、塗装工程で脱脂不良による塗装欠陥が発生したり、また、プレス時の油切れにより、プレス性能が不安定になったりする等の問題がある。
【0015】
このため、亜鉛系めっき鋼板の表面にZnOを主体とする酸化膜を形成させる技術(例えば、特許文献5、参照)や、Ni酸化物の酸化膜を形成する技術(例えば、特許文献6、参照)が提案されている。ところが、これらの酸化膜は化成処理性が劣るという問題がある。
【0016】
そこで、化成処理性を改善した皮膜として、Mn系酸化物皮膜を形成する技術(例えば、特許文献7、参照)が提案されている。しかし、これらの酸化物系皮膜を形成する技術においては、いずれも、合金化溶融亜鉛めっき層の組織との関係が具体的に検討されていない。
【0017】
特許文献8には、プレめっきについて提案されているが、耐パウダリング性の評価のみであり、耐フレーキング性については何ら改善がされていない。また、特許文献9には、Γ2相について提案されているが、耐パウダリング性の評価のみであり、耐フレーキング性については何ら改善がされていない。さらに、特許文献10では、耐パウダリング性と摺動性との評価が行われているが、実際に板厚が減少するようなプレス成形時には更なる安定性が必要になる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開平09−165662号公報
【特許文献2】特開2007−131910号公報
【特許文献3】特開2005−054199号公報
【特許文献4】特開2005−048198号公報
【特許文献5】特開昭53−060332号公報
【特許文献6】特開平03−191093号公報
【特許文献7】特開平03−249182号公報
【特許文献8】特開2010−265525号公報
【特許文献9】特開平10−306361号公報
【特許文献10】国際公開第2010/089910号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、従来技術の現状に鑑み、プレス成形時の耐フレーキング性(表面摺動性)と耐パウダリング性が両立する合金化溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
合金化溶融亜鉛めっきの合金化処理において、高合金化処理を行えば、Γ相およびΓ1相が多く生成され、プレス成形時の耐フレーキング性(表面摺動性)は良好となるが、耐パウダリング性が劣ることとなる。
【0021】
一方、合金化処理において低合金化処理を行えば、Γ相およびΓ1相の生成が少なくなって、ζ相が多くなり、プレス成形時の耐パウダリング性は良好となるが、表面摺動性(耐フレーキング性)が劣ることとなる。合金化溶融亜鉛めっき鋼板においては、Γ相およびΓ1相の生成は避けることができない。
【0022】
そこで、本発明者らは、鋼板近傍のめっき微細組織に着目し、亀裂の伝播し難い組織を形成することについて鋭意研究した。その結果、プレめっきを適用して合金化時の入熱を調整し、Γ相内に含有されるプレめっき金属の含有比率を一定値以上に保つことで、加工時の亀裂伝播を抑制し耐パウダリング性に優れためっき組織を実現でき、さらにめっき層の鉄含有率を所定の範囲に制御すれば、耐フレーキング性にも優れためっきが得られることを知見した。
【0023】
更に、めっき鋼板が受ける加工程度に応じて付与するプレめっき量を調整すれば、耐パウダリング性を十分に向上させる効果を付与できることを知見した。
【0024】
本発明は上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は、次の通りである。
【0025】
(1)地鉄と、Feを7.2〜10.6質量%、Alを0.2〜0.4質量%、および、Ni、Co、CuおよびInからなる群から選ばれる1種又は2種以上を合計で0.1質量%以上含有し、残部がZn及び不純物からなるめっき層とを有し、前記めっき層は前記地鉄の表面に形成され、前記めっき層の垂直断面にて、ζ相の平均厚みが0.2μm以下で、前記地鉄に接して存在するΓ相の平均厚みが0.5μm以下で、前記Γ相内において、前記Ni、Co、CuおよびInからなる群から選ばれる1種又は2種以上を合計で前記Γ相内での割合で0.5質量%以上含有し、前記Γ相に接して存在する相がΓ1相とδ相との混合相であり、下記式(1)で定義するδ相比率が10%以上であることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
【0026】
δ相比率=(δ相/Γ相接触界面長さ)/(δ相/Γ相接触界面長さ
+Γ相/Γ相接触界面長さ)×100 ・・・(1)
ここで、δ相/Γ相接触界面長さは、δ相とΓ相とが接触している界面の長さで、Γ相/Γ相接触界面長さは、Γ相とΓ相とが接触している界面の長さである。
【0027】
(2)板厚減少率(%)が5%以上のプレス加工を受ける合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する製造方法であって、
下記式(2)に従い、前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板のプレス加工時の板厚減少率(%)に基づいて必要プレめっき量(g/m2)を算出する工程と
地鉄に、Ni、Co、Cu、およびInからなる群から選ばれる1種又は2種以上を含有するプレめっきを合計で、前記算出した必要プレめっき量(g/m2)以上施してから、Alを0.1〜0.3質量%含有するめっき浴に浸漬して亜鉛めっきを施して亜鉛めっき鋼板を得る工程と、
前記亜鉛めっき鋼板を加熱炉で加熱する工程と、
前記加熱炉出側で前記亜鉛めっき鋼板の温度が最高到達温度に達した後、保熱炉で前記亜鉛めっき鋼板を徐冷し、下記式(3)で算出する温度積分値Sを300以上800未満の範囲で調整して前記亜鉛めっき鋼板に合金化処理を施す工程とを有することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
必要プレめっき量(g/m2)=0.0222×板厚減少率(%)−0.0625 ・・・(2)
S=(T11−T0)×t1/2
+((T11−T0)+(T12−T0))×t2/2
+((T12−T0)+(T21−T0))×Δt/2
+((T21−T0)+(T22−T0))×t3/2
+(T22−T0)×t4/2 ・・・(3)
ここで、T0 :420(℃)、
11:加熱炉出側の鋼板温度(℃)、
12:保熱炉の冷却帯入側の鋼板温度(℃)、
21:冷却帯出側の鋼板温度(℃)、
22:保熱炉出側の鋼板温度(℃)、
1 :T0から加熱炉出側までの処理時間(秒)、
2 :加熱炉出側から保熱炉の冷却帯入側までの処理時間(秒)、
Δt:保熱炉の冷却帯入側から冷却帯出側までの処理時間(秒)、
3 :保熱炉の冷却帯出側から保熱炉出側までの処理時間(秒)、
4 :急冷帯入側からT0までの処理時間(秒)
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、プレス成形時の耐パウダリング性及び耐フレーキング性(表面摺動性)が両立する合金化溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、Zn−Fe合金めっき層の相構造を模式的に示す図である。
図2図2は、温度積分値(S)とめっき層のFe濃度(質量%)との関係を示す図である。
図3図3は、成形高さ(mm)と加工後の板厚減少率(%)との関係を示す図である。
図4図4は、板厚減少率(%)とプレめっき量(g/m2)との関係におけるパウダリング評価結果を示す図である。
図5A図5Aは、プレめっきを施した場合の地鉄とめっき層との界面近傍におけるめっき層の微細組織の態様を示す図である。
図5B図5Bは、プレめっきを施さない場合の地鉄とめっきとの界面近傍におけるめっき層の微細組織の態様を示す図である。
図6図6は、プレめっき量(g/m2)とδ相比率(%)との関係を示す図である。
図7図7は、プレめっき量(g/m2)を変化させた場合の温度積分値SとΓ相内に含有されるプレめっき金属の濃度との関係を示す図である。
図8図8は、Γ相内のプレめっき金属含有率とδ相比率との関係を示す図である。
図9図9は、プレめっき量(g/m2)を変化させた場合のめっき層に含有されるプレめっき金属の含有率とζ相の厚みとの関係を示す図である。
図10図10は、Niを含有る場合と含有しない場合とのFe−Al−Zn系の状態を示す図である。
図11図11は、プレめっき量(g/m2)と、めっき層におけるプレめっき金属の濃度との関係を示す図である。
図12図12は、めっき層におけるFe濃度と、Γ相の厚みとの関係を示す図である。
図13図13は、板厚減少率ごとでの耐パウダリング性が良好なδ相比率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、通常、焼鈍炉で焼鈍した鋼板を、溶融亜鉛浴(ポット)に浸漬して、鋼板表面に亜鉛めっきを施した後、加熱炉にて最高到達温度まで加熱し、加熱後、保熱炉にて徐冷し、冷却帯にて急冷して製造される。
【0031】
この場合、合金化処理時の合金化温度等により合金化度が決まる。合金化度が低い場合、ζ相が多量に生成し、Γ相およびΓ1相の生成が抑制される。その結果、ζ相が厚くなり、Γ相およびΓ1相が薄くなる。一方、合金化度が高い場合、Γ相およびΓ1相が多量に生成し、ζ相の生成が抑制される。この結果、Γ相およびΓ1相が厚くなり、ζ相が薄くなる。
【0032】
そして、合金化度が高い場合、Γ相およびΓ1相は、地鉄との界面に厚く成長するため、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のプレス成形時に発生するパウダリングの原因となる。即ち、合金化度が高く、めっき層のFe濃度が11.0質量%を超えると、Γ相およびΓ1相が厚く成長して、パウダリング発生の原因となる。図12に示すように、めっき層のFe濃度が高くなると、Γ相の厚みがパウダリング発生の原因となる境界である0.5μmを超えて大きくなることがわかる。一方、合金化度が低いと、ζ相の生成量が多くなり、めっき層の表面に成長して、プレス成形時に発生するフレーキングの原因となる。
【0033】
本発明者らは、パウダリング及びフレーキングの根本的な原因は、めっき層の組織にあるとの発想のもとで、地鉄とめっき層との界面近傍におけるめっき層の微細組織に着目し、プレス加工時、亀裂伝播が起こり難い組織を形成する手法について鋭意研究した。
【0034】
また、本発明者は熱力学を駆使して解析を行ったところ、図10に示すように、Ni等の元素をめっき層に加えるとΓ相、Γ1相、δ相及びζ相の生成が制御出来る可能性があることを見出した。図10に示すようにNiを含有しない場合と、Niを0.5質量%含有する場合とで比較すると、Niを含有する場合には、FeAlからFeAl+NiAlへ変化し、合金化が促進する。また、Niの影響により、Γ相が生成しにくくなり、δ相が出現する領域がやや拡大する。さらには、ζ相も生成しにくくなる。以上の結果から、Ni等の元素をめっき層に加えることによって、地鉄との界面近傍に生成されるΓ相およびΓ1相の微細組織を制御することに着目した。
【0035】
その結果、鋼板にプレめっきを施すこととし、プレめっき量を、プレス加工時の加工程度に応じて調整すれば、地鉄との界面近傍に生成されるΓ相およびΓ1相の微細組織を制御することが可能となり、加工性に優れためっき層を形成できることを見いだした。
【0036】
更に、合金化時の入熱量を適正に調整し、めっき層のFe濃度を制御すれば、耐パウダリング性と耐フレーキング性とを両立させることができることを見いだした。本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、以下、詳細に説明する。
【0037】
本発明においては、めっきを施す鋼板として、極低炭素鋼、例えば、IF鋼、Ti、Nb含有の極低炭素Ti鋼、極低炭素Ti−Nb鋼等の鋼板を用いることができる。また、強化元素であるSi、Mn、またはPを適量含有する高強度鋼板を用いてもよい。
【0038】
まず、Fe濃度の違いによる耐パウダリング性および耐フレーキング性の違いを確認するために、以下のような実験を行った。
代表例として極低炭素Ti−Nb鋼の鋼板を用い、該鋼板に、プレめっきを施さないものと、予め硫酸Ni浴を用いてNiプレめっきを0.2g/m2施したものとを用意した。その後、10%H2−N2雰囲気中で、800℃にて90秒、還元・焼鈍処理を施し、次いで、Alを0.13質量%含有する460℃のZnめっき浴に3秒間浸漬して、Znめっきを施した。
【0039】
その後、ガスワイピング法で、Znの付着量を45g/mの一定に調整し、Znが付着された鋼板を加熱炉に装入し、加熱炉出側の鋼板温度(T11)が最高到達温度に達した後、保熱炉にて徐冷する際、下記式(3)にて算出する温度積分値Sを変えて合金化処理を行った。
【0040】
S=(T11−T0)×t1/2
+((T11−T0)+(T12−T0))×t2/2
+((T12−T0)+(T21−T0))×Δt/2
+((T21−T0)+(T22−T0))×t3/2
+(T22−T0)×t4/2 ・・・(3)
ここで、T0 :420(℃)
11:加熱炉出側の鋼板温度(℃)
12:保熱炉の冷却帯入側の鋼板温度(℃)
21:冷却帯出側の鋼板温度(℃)
22:保熱炉出側の鋼板温度(℃)
1 :T0から加熱炉出側までの処理時間(秒)
2 :加熱炉出側から保熱炉の冷却帯入側までの処理時間(秒)
Δt:保熱炉の冷却帯入側から冷却帯出側までの処理時間(秒)
3 :保熱炉の冷却帯出側から保熱炉出側までの処理時間(秒)
4 :急冷帯入側からT0までの処理時間(秒)
【0041】
続いて、合金化処理を施しためっき鋼板から35φの試験片を切り出し、インヒビター入りの塩酸中でめっき層を溶解して化学分析し、めっき層中のFe、Ni及びAlの量を測定した。
【0042】
めっき層の耐パウダリング性及び耐フレーキング性を、以下の方法で評価した。
【0043】
(耐パウダリング性)
まず、めっき鋼板から、幅40mm、長さ250mmの試験片を切り出した。そして、クランクプレスを用い、試験片を、r=5mmの半丸ビードの金型にて、パンチ肩半径5mm、ダイ肩半径5mm、成形高さ35mmで加工した。次に、プレス加工後の板厚をマイクロメーターで測定し、(元板厚−加工後板厚)×100/(元板厚)で、プレス加工時の板厚減少率(%)を算出したところ、板厚減少率は10%であった。また、加工の際、めっきの剥離量を測定し、以下の基準で耐パウダリング性を評価した。
【0044】
評価基準
めっき剥離量5g/m2未満:◎
めっき剥離量5g/m2以上10g/m2未満:○
めっき剥離量10g/m2以上15g/m2未満:△
めっき剥離量15g/m2以上:×
【0045】
(耐フレーキング性)
まず、めっき鋼板から、幅17mm、長さ300mmの試験片を切り出した。そして、試験片に、塗油として、ノックスラスト530F−40(パーカー興産株式会社)を、塗油量1g/m2で塗布した。その後、角ビート肩R1.0/3.0mmの金型を用い、面圧100〜600kgfで摺動試験を行い、引抜き加重を測定した。そして、面圧と引抜き加重との関係から摩擦係数を求めた。なお、摺動長さは200mmとした。求めた摩擦係数を以下の基準で評価した。
【0046】
評価基準
摩擦係数0.5未満:◎
摩擦係数0.5以上0.6未満:○
摩擦係数0.6以上0.8未満:△
摩擦係数0.8以上:×
【0047】
更に、めっき層の相構造を調査する目的で、めっき層の垂直断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、めっき層中のΓ相およびζ相の平均厚みを測定した。また、EPMA(Electron Probe MicroAnalyzer)による分析を行いΓ相内に含有されるNi量を測定した。さらに、めっき層をインヒビター入り塩酸で溶解し、化学分析を行うことでめっき相の平均Ni濃度を求めた。
【0048】
表1に、温度積分値S毎に、めっき層のFe濃度(質量%)(以下、めっき層におけるFe含有量をFe濃度と称す)、めっき層の平均Ni濃度(質量%)(以下、めっき層におけるNi含有量と称す)、Γ相内での割合であるΓ相に含有されるNi濃度(質量%)、Γ相の平均厚み、ζ相の平均厚み、耐パウダリング性の評価、及び、耐フレーキング性の評価と併せて評価結果を示す。
【0049】
【表1】
【0050】
プレめっきを行わない場合には温度積分値Sの値が低くて、めっき層のFe濃度が8.5質量%を下回ると、軟質のζ相の厚みが増加し、耐フレーキング性が低下する。逆に、温度積分値Sが高くなり、めっき層のFe濃度が上昇すると耐フレーキング性は改善するがΓ相の厚みが増加し、耐パウダリング性が低下する。このようにプレめっきを施さない場合は耐フレーキング性および耐パウダリング性の両方を満足する条件は見いだせなかった。一方、プレめっきを行うと合金化が促進し、より低い温度積分値Sでめっき層のFe濃度が上昇する。耐フレーキング性を満足するためにはめっき層のζ相厚みが0.2μm以下であることが必要であり、その時のFe濃度を8.2質量%以上確保することが必要である。また耐パウダリング性は温度積分値Sが800以上となると劣化した。
【0051】
めっき相の平均Ni濃度は温度積分値Sが増加すると緩やかに上昇し、温度積分値Sが800で最大値をとった後再度減少する。一方、Γ相内におけるNi濃度は温度積分値Sが800で急激に減少し0.5質量以下となってしまう。これは合金化の進行に伴いプレめっきを含有した地鉄とZn相とが反応し合金化しためっき相を形成していくが、温度積分値Sが800以上になるとプレめっきした金属の消費が終わり、プレめっきの金属を含有しない地鉄との反応に移行するため、めっき相の平均Ni濃度は徐々に減少し、地鉄に最も近い側にできるΓ相内のNi濃度は急激に減少すると考えられる。以上からプレめっきを0.2g/m施した場合に耐フレーキング性および耐パウダリング性の両方を満足するためには、めっき層のFe濃度を8.2質量%以上確保し、温度積分値Sを800未満の条件で合金化処理し、さらにΓ相内におけるNi濃度をΓ相内での割合で2.0質量%以上確保することが必要で有ることが分かる。
【0052】
次に、プレめっきの効果を確認する目的で、以下のような実験を行った。まず、プレめっき種として、Ni、Co、Cu、およびInからなる群から選ばれる1種又は2種以上を含有するプレめっきを、電解処理で、プレめっき量を0〜2.0g/m2の範囲で変化させて、鋼板に施した。プレめっきを施した後、上記めっき方法で溶融めっきを行い、上記式(3)で算出する温度積分値Sを変化させて合金化処理を行った。
【0053】
Znめっきを施す方法としては、鋼板にプレめっきを焼鈍前に施し、焼鈍後、直接、溶融めっきを施す方法と、焼鈍後に一旦鋼板を冷却してプレめっきを施し、その後、還元雰囲気内で鋼板温度を上げて溶融めっきを施す方法とで行った。
【0054】
合金化処理を施しためっき鋼板から、35φの試験片を切り出し、インヒビター入りの塩酸に浸漬してめっき層を溶解して化学分析し、めっき層のFe濃度を測定した。
【0055】
図2に、測定結果を示す。温度積分値Sが大きい程、また、プレめっき量が多い程、合金化が促進されることが解る。また、プレめっき量が1.0g/m2を超えると、合金化促進効果は飽和することが解る。温度積分値Sが800未満の条件で、めっき層のFe濃度が10.6質量%を超える場合ないため、めっき層におけるFe濃度の上限は10.6質量%となる。また、Fe濃度が7.2未満の場合は、プレめっき量によらず、ζ相の厚みを0.2μm以下に抑えることができないため、Fe濃度の下限は7.2質量%とする。
【0056】
Ni、Co、Cu、およびInからなる群から選ばれる1種又は2種以上を混合してプレめっきを施しても、全体として、プレめっき量が同じであれば、プレめっきの効果に差はない。また、プレめっきに、他のCr、Mo、Nb、Fe等からなる群から選ばれる1種又は2種以上を添加しても、プレめっきの効果に変化はない。
【0057】
また、電解処理方法によるプレめっきが均一性に最も優れ、プレめっきの効果が最も良く発現するが、置換めっき方法でも、同等のプレめっきの効果を確認することができた。プレめっきに用いる液は、めっきする元素を含んでいればよく、特に限定されない。
【0058】
例えば、プレめっきに用いる液は、硫酸塩、塩化物塩、硝酸塩、蟻酸塩、および酢酸塩の中のいずれでもよく、プレめっきの効果に差はない。また、プレめっきを焼鈍前に行う場合と、焼鈍後に行う場合とで、プレめっきの効果に差はなかった。
【0059】
次に、実際の部品に加工する際の変形が加わった状況下におけるプレめっきの効果を確認する目的で、プレめっき後めっきを施しためっき鋼板の耐パウダリング性を、以下の方法で評価した。
【0060】
めっき鋼板から、幅40mm×長さ250mmの試験片を切り出し、r=5mmの半丸ビードの金型にて、パンチ肩半径5mm、ダイ肩半径5mm、成形高さ20〜65mmで加工した。
【0061】
プレス加工後の板厚をマイクロメーターで測定し、(元板厚−加工後板厚)×100/(元板厚)で、プレス加工時の板厚減少率(%)を算出した。
【0062】
また、プレス加工の際、剥離しためっきの量を測定し、以下の基準で、耐パウダリング性を評価した。
【0063】
評価基準
めっき剥離量5g/m2未満:◎
めっき剥離量5g/m2以上10g/m2未満:○
めっき剥離量10g/m2以上15g/m2未満:△
めっき剥離量15g/m2以上:×
【0064】
図3に、成形高さ(mm)と板厚減少率(%)との関係を示す。図3に示すように、成形高さ(mm)が大きくなると、板厚減少率(%)が増加し、加工の程度が厳しくなることが解る。また、実部品に相当する加工が加わった場合の板厚減少率は5%以上であることが解る。
【0065】
図4に、板厚減少率(%)とプレめっき量(g/m2)との関係における耐パウダリング性の評価結果を示す。
【0066】
図4に示すように、加工の程度が低い場合、即ち、板厚減少率(%)が小さい場合は、少量のプレめっき量で良好な耐パウダリング性が得られるが、板厚減少率(%)が増加すると、良好な耐パウダリング性を得るために必要なプレめっき量は増加することが解る。
【0067】
また、図4において、良好な耐パウダリング性を得るために必要なプレめっき量(g/m2)と板厚減少率(%)との関係を求めると、以下の式が成り立つことが解った。
必要プレめっき量(g/m2)=0.0222×板厚減少率(%)−0.0625
【0068】
更に、プレめっきで耐パウダリング性が向上するメカニズムを明確にする目的で、プレめっき量を変化させた場合における地鉄とめっき層との界面の組織を調査した。まず、集束イオンビーム装置(Focused Ion Beam System)を用いて、上記試験片から、組織観察用の薄片を切り出し、200kV−電界放射型透過電子顕微鏡(FE−TEM)で、地鉄とめっき層との界面近傍におけるめっき層の微細組織を観察した。
【0069】
界面近傍のめっき層の微細組織を撮影した後、次に、めっき層の結晶粒毎にX線回折を用いて構造解析を行い、エネルギー分散型X線分析(EDS)を用いて成分分析を行い、めっき層を構成する相(Γ相、Γ相、δ相、ζ相)を同定した。
【0070】
図5Aおよび図5Bに、地鉄とめっき層との界面近傍におけるめっき層の微細組織の態様を示す。図5Aに、プレめっきを施した場合の微細組織を示し、図5Bに、プレめっきを施さない場合の微細組織を示す。なお、プレめっきを施した場合には、Niを0.6g/m2施した。
【0071】
図5Aおよび図5Bに示すように、地鉄とめっき層との界面には、プレめっきを施さない場合とプレめっきを施した場合との両方において、Γ相が連続的に存在していた。
【0072】
Γ相に接する相について着目すると、プレめっきを施さない場合は、図5Bに示すように全てΓ相であった。一方、プレめっきを施した場合は、図5Aに示すようにΓ相とδ相との2つの相が混在していた。
【0073】
そこで、Γ相と接するδ相の比率(以下、δ相比率)を、以下の定義式に従って測定した。
δ相比率(%)=(δ相/Γ相接触界面長さ)/(δ相/Γ相接触界面長さ
+Γ相/Γ相接触界面長さ)×100
ここで、δ相/Γ相接触界面長さは、δ相とΓ相とが接触している界面の長さで、Γ相/Γ相接触界面長さは、Γ相とΓ相とが接触している界面の長さである。
【0074】
プレめっきを施さない場合は、δ相比率が0%であるのに対し、プレめっきとしてNiを0.6g/m2施した場合は、δ相比率が約50%であった。
【0075】
また、プレめっき量(g/m2)を変えて作製された試験片についても同様に組織観察用の薄片を切り出し、δ相比率(%)を測定した。図6に、温度積分値Sを600で合金化処理を行った際のプレめっき量(g/m2)とδ相比率(%)との関係を示す。また、図7に、プレめっき量(g/m2)を変化させた場合の温度積分値SとΓ相内に含有されるプレめっき金属の濃度との関係を示す。さらに、図8に、Γ相内のプレめっき金属含有率とδ相比率との関係を示す。また、プレめっき量(g/m2)を変えて作製された試験片について、めっき層中の平均のプレめっき金属の濃度を調べた結果を図11に示す。
【0076】
図6に示すように、温度積分値Sを600として合金化処理を行った場合はプレめっき量(g/m2)の増加に伴いδ相比率(%)が増加し、プレめっき量が1g/m2ではδ相比率が100%に達し、プレめっき量が1g/m2以上では、δ相比率(%)が一定であった。また、この傾向は、Ni、Co、Cu、およびInからなる群から選ばれる1種又は2種以上を含有するプレめっきを施しても同じであった。また図7から分かるように温度積分値Sが800未満で合金化処理をおこなうと、Γ相内のプレめっき金属の含有量の比率がプレめっき付与量に伴い増加することがわかる。そして図8に示すように、Γ相内のプレめっき金属の含有量の比率に応じてδ相比率が増加することがわかる。
【0077】
上記4元素の少なくとも1種を含有するプレめっきを施した場合に、δ相比率(%)が増加する理由は明らかではないが、上記4元素は、熱力学的に、Γ相を不安定にし、δ相を安定にする作用を有していると推定される。
【0078】
一方、プレめっきを施した後にZnめっきを施しためっき鋼板のプレス加工後のめっき層の断面を観察すると、パウダリングの原因となるめっき層の亀裂は、Γ相とΓ相との接触界面を優先的に伝播し、Γ相とδ相との接触界面では停滞することが解った。
【0079】
これは、Γ相の硬度がビッカース硬さで約505Hvと非常に固いのに対し、δ相のビッカース硬さが284〜300Hvで、Γ相のビッカース硬さが326Hvであり、硬さの差が大きいΓ相とΓ相との接触界面で亀裂が最も進行し易いためであると考えられる。
【0080】
また、板厚減少率(%)に応じて、良好な耐パウダリング性を得るために必要なプレめっき量が増加する理由は、板厚減少率(%)が大きい場合、δ相比率(%)を高めて、亀裂が伝播し難い接触界面を形成する必要があるからであると考えられる。更に、検討した結果、プレス時の板厚減少率により良好な領域は変化するが、δ相比率としては図13に示すように最小でも10%必要なことがわかった。なお、この詳細については後述する。
【0081】
また、プレめっきを施した場合におけるめっき層の耐フレーキング性(耐表面摺動性)を、前述と同様の方法で調査した。プレめっき量(g/m2)を変化させた場合のめっき層に含有されるプレめっき金属の含有率とζ相の厚みとの関係を図9に示す。プレめっきを施さない場合では、めっき層のFe濃度が8.5質量%を下回ると、軟質のζ相の厚みが0.2μmを超えて増加して、耐フレーキング性が低下する。したがって、ζ相の厚みが0.2μm以下にすることが耐フレーキング性を向上させる為に必要である。
【0082】
一方、プレめっきを施した場合は、めっき層に含有されるプレめっき金属濃度に応じて、同じFe濃度におけるζ相の厚みが減少する。良好な耐フレーキング性を確保すための条件であるζ相厚みが0.2μm以下であるという条件を満足するFe濃度も、めっき層に含有されるプレめっき金属濃度に応じて低くなることが解った。
【0083】
Znめっきを施す場合には、Alを適量に含有するめっき浴にて行うようにする。めっき層のAl含有量が0.4質量%を超えると、過剰なAlにより合金化が抑制されるので、温度積分値Sを上げても合金化が進行せず、めっき層のFe濃度が低くなってζ相の厚みが大きくなるため、耐フレーキング性が低下する。一方、めっき層のAl含有量が0.2質量%未満の場合は、ζ相が成長し易い低温で合金化反応が進行してしまうので、めっき層のFe濃度を所定の値に保っても、ζ相が残存し、耐フレーキング性が低下してしまう。以上のようにめっき層のAl含有量は0.2質量%〜0.4質量%とする。また、AlはZnよりも地鉄に吸着しやすいため、Al含有量を上記の範囲にするためには、Alを0.1質量%〜0.3質量%含有するZnめっき浴に浸漬してZnめっきを行う。
【0084】
また、図8に示すようにプレめっき量(g/m2)を大きくし、Γ相内におけるNi、Co、Cu、およびInからなる群から選ばれる1種又は2種以上の含有量がΓ相内の割合で10質量%を超えると、δ相比率が100%と一定値を示し、プレめっきの効果が飽和する。したがって、Ni、Co、Cu、およびInからなる群から選ばれる1種又は2種以上のΓ相内における含有量の合計の上限をΓ相内の割合で10質量%とすることが好ましく、そのためにプレめっき量の上限は、図7から分かるように1g/m2に調整する必要がある。また、前述したように、温度積分値Sが800以上となると、耐パウダリング性が劣化することから、図7に示すように、Ni、Co、Cu、およびInからなる群から選ばれる1種又は2種以上のΓ相内における含有量の合計の下限をΓ相内での割合で0.5質量%とする。
【0085】
以上のような元素がめっき層に含まれており、残部はZn及び不純物である。ここで、不純物としては、製造工程において含まれるもの等が例示される。
【0086】
表1に示した例では、Niプレめっき無しの場合と、Niプレめっきを0.2g/m2施した場合との例について説明した。図2に示したように、目的とするFe濃度のめっき層を得るためには、プレめっき量(g/m2)と、温度積分値Sとを調整する必要がある。プレめっきを施した場合に良好な耐フレーキング性を発揮するためには、ζ相の厚み0.2μm以下にする必要があり、図9に示す関係から必要なめっき層のFe濃度を求めることが出来る。その際、めっき層内におけるプレめっき金属の含有率は、プレめっき付与量に応じて図11に示す関係から決定出来る。このようにして求めた必要なFe濃度を得るための温度積分値Sの下限値はプレめっき量に応じて図2に示す関係から求めることが出来る。すなわち、温度積分値Sの下限値は、ζ相の平均厚みが0.2μm以下とするために前記施すプレめっきの量に応じて算出されるめっき層内のFe濃度の下限値に対応する温度積分値とする。その際、温度積分値Sが800以上となると耐パウダリング性が劣化するため、温度積分値Sは800未満の範囲で求める必要がある。尚、プレめっき量が1g/m以上の時に、ζ相厚みが0.2μm以下になるのは図9からFeが7.2質量%以上であり、この時の温度積分値Sは図2から300程度である。この事から本発明で使用する温度積分値Sの下限は300とした。
【0087】
以上のように本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する為には製造に先駆けて、上記の様にプレめっき条件と合金化の条件とを決める必要がある。次に、具体例を挙げて製造方法での条件の決め方を説明する。
【0088】
まず、加工する部位の形状が決まれば、加工に伴う板厚減少率が分かる。ここで、2つの部材(部位A、B)を考え、部位Aの板厚減少率を10%、部位Bの板厚減少率を20%とする。この場合、図4の点A、Bに示すように、プレス加工後に良好な耐パウダリング性を得る(○以上の領域に入る)ために必要な必要プレめっき量は、前述の式(2)から算出することができ、部位Aの場合は0.16g/mであり、部位Bの場合は0.38g/mであることがわかる。これにより、例えば、部位Aではプレめっき量を0.2g/m、部位Bではプレめっき量を0.4g/mと決定する。
【0089】
また、前述したように、温度積分値Sが800以上であると、耐パウダリング性が劣化する。さらにζ相の厚みが0.2μmを超えると、耐フレーキング性が劣化することから、これらの条件を満たすことを前提として製造条件を決定する。
【0090】
まず、ζ相の厚みが0.2μm以下となる条件を決定する。前述した手順でプレめっき量を求めると、図11に示す関係からめっき層中のプレめっき金属の含有量を求めることができる。このとき、プレめっき金属の含有量はめっき層内にプレめっき金属がほぼ均一に拡散しているとみなす。図11の点A、Bに示すように、部位Aの場合はプレめっき金属を約0.44質量%含有し、部位Bの場合はプレめっき金属を約0.88質量%含有することになる。
【0091】
めっき層中のプレめっき金属が決まると、ζ相が0.2μm以下となるめっき層におけるFe濃度の下限値を図9に示す関係から求めることができる。図9の点A、Bに示すように、部位Aの場合はFe濃度の下限値が約7.6質量%であり、部位Bの場合はFe濃度の下限値が約7.3質量%となる。
【0092】
以上のようにFe濃度の下限値が決まると、それを達成するための温度積分値Sの下限値を図2に示す関係から求めることができる。図2の点A、Bに示すように、部位Aの場合は、プレめっき量が0.2g/mでFe濃度の下限値が約7.6質量%であることから、温度積分値Sの下限値は約480となる。一方、部位Bの場合は、プレめっき量が0.4g/mでFe濃度の下限値が約7.3質量%であることから、温度積分値Sの下限値は約400となる。
【0093】
以上のことから、部位Aの場合は、温度積分値Sを480以上800未満に設定することができ、部位Bの場合は、温度積分値Sを400以上800未満に設定することができる。したがって、例えば合金化処理において部位Aで温度積分値Sを600とし、部位Bで温度積分値Sを750とした場合、図2の点A’、B’に示すように、部位Aの場合はめっき層のFe濃度が約8.2質量%となり、部位Bの場合はめっき層のFe濃度が約9.3質量%となる。
【0094】
また、部位Aで温度積分値Sを600とし、部位Bで温度積分値Sを750とした場合、Γ相内におけるプレめっき金属の濃度は、図7の点A、Bに示すように、Γ相内の割合で部位Aの場合は約2.1質量%となり、部位Bの場合は約4.1質量%となる。また、Γ相内におけるプレめっき金属の濃度が求まると、図8に示す関係から、δ相比率を求めることができる。図8の点A、Bに示すように、部位Aの場合はδ相比率が約25%で、部位Bの場合はδ相比率が約44%となる。
【0095】
以上のように、製造方法での条件を決定することができる。ここで、加工の程度(板厚減少率)に応じて、良好な耐パウダリング性を得るための界面構造が決まる点について、図13を参照しながら説明する。図13に示す関係は、図4に示した板厚減少率ごとの耐パウダリング性の評価結果と図6に示したプレめっき量とδ相比率との関係から計算される。板厚減少率が大きくなるに従い、良好な耐パウダリング性を得るためには、脆弱な界面を減少させ、δ相比率を上昇させる必要があることがわかる。例えば、部位Aの場合は板厚減少率が10%であるため、良好な耐パウダリング性を得るためにはδ相比率を約18%以上にし、部位Bの場合は板厚減少率が20%であるため、良好な耐パウダリング性を得るためにはδ相比率を約42%以上にする。このような界面構造を得るために、図6に示す関係から、プレめっき量を求めることができ、図4に示した値とほぼ一致する。このことから、必要プレめっき量は図13及び図6に示す関係から求めることもできる。
【0096】
以上のように上記の条件を決めた上で合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する。まず、適正な熱処理を行った後に、上記の様に定めたプレめっきを行う。次に溶融亜鉛メッキを行った後に、上記の様な定めた条件で合金化処理を行う。合金化に際しては、加熱速度{(T11−T)/t}は30℃/sから60℃/sの範囲が好ましい。加熱速度(平均加熱速度)が30℃/s未満では、めっき層のFe濃度が増加してζ相が厚くなり、耐パウダリング゛性、耐フレーキング性ともに劣ることがある。また、加熱速度が60℃/sを超えるとプレめっき金属の濃度が低くなりやすく、δ相比率が適正に制御出来ないことがある。
【実施例】
【0097】
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
【0098】
(プレめっき)
プレめっきを施す方法として、試料によって電解処理方法または置換めっき方法を用いた。電解処理方法では、Ni、Co、Cu、およびInからなる群から選ばれる1種又は2種以上のイオンを含有する硫酸浴又は塩化物浴を用いて電解処理を行い、鋼板にプレめっきを施した。また、置換めっき方法では、Ni、Co、Cu、およびInからなる群から選ばれる1種又は2種以上のイオンを含有する50℃の水溶液を、硫酸でpH=1.5に調整し、この水溶液に鋼板を10秒間浸漬して、金属を置換析出させて、鋼板にプレめっきを施した。なお、プレめっきは、試料によって鋼板の焼鈍前または焼鈍後に実施した。
【0099】
(溶融めっき)
プレめっきが施された鋼板に、10%H−N雰囲気中で、800℃、90秒、還元・焼鈍処理を施し、Alを0.1〜0.3質量%含有する、460℃のZnめっき浴に3秒浸漬してZnめっきを施した。
【0100】
めっきを施した後、ガスワイピング法でZnめっきの付着量を45g/mの一定に調整し、めっき鋼板を、加熱炉出側の鋼板温度(T11)が最高到達温度に達した後、保熱炉にて徐冷する際、前記式(3)にて算出する温度積分値Sを変えて合金化処理を行った。また、加熱炉出側の鋼板温度(T11)が最高到達温度に達するまでの加熱速度は30℃/s以上の範囲で行った。
【0101】
(めっき層の相構造)
めっき層の垂直断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、めっき層のΓ相およびζ相の平均厚みを測定した。
【0102】
(地鉄・めっき界面のめっき微細組織)
集束イオンビーム装置(Focused Ion Beam System)を用いて、試験片から組織観察用の薄片を切り出し、200kV−電界放射型透過電子顕微鏡(FE−TEM)で、地鉄とめっき層との界面近傍におけるめっき層の微細組織を観察した。
【0103】
地鉄とめっき層との界面近傍におけるめっき層の微細組織を撮影した後、めっき層の結晶粒毎にX線回折で構造解析を行い、また、エネルギー分散型X線分析(EDS)を用いて成分分析を行い、めっき層の相(Γ相、Γ相、δ相、およびζ相)を同定した。また、めっき層をインヒビター入り塩酸で溶解し、化学分析を行うことでめっき相の平均Ni濃度を求めた。
更に、Γ相と接するδ相の比率を、以下の定義式に従って測定した。
δ相比率(%)=(δ相/Γ相接触界面長さ)/(δ相/Γ相接触界面長さ
+Γ相/Γ相接触界面長さ)×100
【0104】
(耐パウダリング性)
めっき鋼板から、幅40mm×長さ250mmの試験片を切り出し、クランクプレスを用い、r=5mmの半丸ビードの金型にて、パンチ肩半径5mm、ダイ肩半径5mm、成形高さ5〜65mmで加工した。加工の際、剥離しためっきの量を測定し、以下の基準にて評価した。
【0105】
評価基準
めっき剥離量5g/m2未満:◎
めっき剥離量5g/m2以上10g/m2未満:○
めっき剥離量10g/m2以上15g/m2未満:△
めっき剥離量15g/m2以上:×
【0106】
(板厚減少率(%))
加工後のめっき鋼板の板厚を、マイクロメーターを用いて測定し、(元板厚−加工後板厚)×100/(元板厚)で、板厚減少率(%)を算出した。
【0107】
(摺動性)
摩擦係数は、サンプルサイズ=17mm×300mm、引張り速度:500mm/min、角ビート肩R:1.0/3.0mm、摺動長:200mm、塗油:ノックスラスト530F−40(パーカー興産株式会社)塗油量1g/mの条件で、面圧100〜600kgfの間で摺動試験を行った。
【0108】
引抜き加重を測定し、面圧と引抜き加重の関係から摩擦係数を求めた。求めた摩擦係数を以下の基準で評価した。
【0109】
評価基準
摩擦係数0.5未満:◎
摩擦係数0.5以上0.6未満:○
摩擦係数0.6以上0.8未満:△
摩擦係数0.8以上:×
【0110】
表2に、以上の試験結果を纏めて示す。
【0111】
【表2】
【0112】
No.1〜11の発明例で示すように、板厚減少率に対応した必要プレめっき量(g/m2)を確保し、温度積分値Sを800未満の適切な範囲に調整し、めっき層のFe濃度を8.0以上確保した。この結果、ζ相の厚みを目標値以下に制御でき、耐パウダリング性および耐フレーキング性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができた。
【0113】
また、No.12〜18の発明例で示すように、プレめっき量を必要量以上に増加しても、プレめっきの効果に違いはなく、耐パウダリング性および耐フレーキング性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができた。
【0114】
一方、プレめっきを施さないめっき鋼板においては、No.19のように、板厚減少率を5%とすると、めっき層のFe濃度を所定の範囲に保っても、十分な加工性は得られなかった。
【0115】
また、No.20及び21の比較例に示すように、温度積分値Sが低く、合金化が不十分な場合は、めっき層のFe濃度が低く、ζ相の厚みが増すため、耐フレーキング性が低下した。
【0116】
逆に、No.22及び23の比較例に示すように、温度積分値Sが800を超えた場合は、Γ相内のプレめっき金属含有率が0.5%を下まわり、δ相比率が10%を確保出来ないため耐パウダリング性が低下した。
【0117】
No.24の比較例に示すように、めっき層のAl濃度が高い場合、過剰なAlにより合金化が抑制された。その結果、温度積分値Sを上げても合金化が進行せず、めっき層のFe濃度が低く、ζ相の厚みが厚いため、耐フレーキング性が低下した。
【0118】
No.25の比較例に示すように、めっき層のAl濃度が低い場合、ζ相が成長し易い低温で合金化反応が進行した。その結果、めっき層のFe濃度を所定の値に保っても、ζ相が残存し、耐フレーキング性が低下した。
【0119】
また、No.27の比較例に示すように、プレめっきの金属として、Ni、Co、Cu、Inより選択される元素以外のものを用いた場合は、耐パウダリング性が低下した。
【0120】
No.26は、板厚減少率(%)に対してプレめっき量が不足しているため、許容量を超えた加工を行うと、耐パウダリング性が不足するという結果となった。
【0121】
また、比較例であるNo.28は、合金化時の加熱速度を25℃/sまで低下しており、Γ相の厚みがより大きいにも関わらず、ζ相も厚く残存し、耐パウダリング性、耐フレーキング性ともに劣る結果となってしまった。これは極度に加熱速度を下げて合金化反応を進めた場合には、鋼鈑界面近傍の拡散反応が極度に進行し、Γ相が成長する一方で、めっき表層近傍の拡散反応が進まないため、ζ相が残存したものと推定される。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明によれば、自動車、家電製品、建築材料等の分野において貢献できる。
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