特許第6011735号(P6011735)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6011735
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20161006BHJP
   H02M 7/12 20060101ALI20161006BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
   H02M7/12 Z
   H02M3/00 Y
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-16424(P2016-16424)
(22)【出願日】2016年1月29日
【審査請求日】2016年1月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 潔
【審査官】 津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−274870(JP,A)
【文献】 特開2004−200283(JP,A)
【文献】 特開2008−295142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48− 7/98
H02M 3/00− 3/44
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に設置され、頂辺部と脚部とによりT字形状に形成された風洞と、
前記風洞の前記T字脚部を挟んで配置された複数の電力変換ユニットと、
を備え、
前記複数の電力変換ユニットの冷却フィンが、前記風洞のT字頂辺部内に突出していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置であって、
前記風洞は、
前記T字頂辺部の両端部に空気を吸入するための空気吸入口と、
前記T字脚部の端部に、前記空気吸入口から吸入した空気を外部に排出するための空気排出口と、
前記風洞の前記T字脚部に配置される冷却ファンと、を備える
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電力変換装置であって、
前記筐体内はT字形状をなす前記風洞部と、前記風洞の前記T字脚部の左右に位置する少なくとも2つの電力変換部とに区画され、
前記電力変換ユニットのそれぞれは、区画された前記電力変換部内において前記風洞の前記T字頂辺部内に突出する冷却フィン部分を除いてユニット部品が密閉収納されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電力変換装置であって、
前記冷却フィンは、板状に形成されており、前記風洞の前記T字頂辺部内を流れる冷却風と直交する方向に複数並行配置されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項1に記載の電力変換装置であって、
前記電力変換ユニットは、コンバータおよびまたはインバータであることを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
請求項2に記載の電力変換装置であって、
前記風洞は、さらに、
前記T字形状を成す風洞の頂辺部と脚部との接合部に、前記空気吸入口から吸入した空気を整流するための整流板を備える、ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電力変換装置であって、
前記整流板は、前記風洞の前記T字頂辺部から前記T字脚部側に突出していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電力変換装置であって、
前記整流板は、平板状であることを特徴とする電力変換装置。
【請求項9】
請求項7に記載の電力変換装置であって、
前記整流板は、三角形状であることを特徴とする電力変換装置。
【請求項10】
請求項7に記載の電力変換装置であって、
前記整流板は、逆L字状であることを特徴とする電力変換装置。
【請求項11】
請求項2に記載の電力変換装置であって、
前記風洞の前記T字頂辺部が進行方向と平行になるように車両の床下に搭載されることを特徴とする電力変換装置。
【請求項12】
請求項2に記載の電力変換装置であって、
前記風洞の前記T字頂辺部が進行方向と直交するように車両の床下に搭載されることを特徴とする電力変換装置。
【請求項13】
請求項2に記載の電力変換装置であって、
前記風洞の前記T字頂辺部は、前記風洞の前記空気吸入口から前記T字脚部との結合部に向かって傾斜していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項14】
請求項2に記載の電力変換装置であって、
前記風洞の前記T字脚部は、前記風洞の前記T字頂辺部との結合部から前記空気排出口に向かって下方に傾斜していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項15】
請求項2に記載の電力変換装置であって、
前記風洞の前記T字脚部は、前記風洞の前記T字頂辺部との結合部から垂直下方に形成されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項16】
請求項に記載の電力変換装置であって、
前記風洞の前記T字頂辺部が進行方向の前方となり、前記T字脚部の前記空気排出口が進行方向の後方となるように車両の床下に搭載されることを特徴とする電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風洞の2箇所の空気吸入口から吸入した空気を、T字形状を成す風洞の中央に設けた空気排出口から排出する構成にしてT字形状を成す風洞の左右に設けた電力変換ユニットの冷却器の性能を最大限維持可能とする電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図12は、下記特許文献1に記載された従来の半導体冷却装置の構成を示す図である。すなわち、図12において従来の半導体冷却装置は、装置筐体1中に取付けられた風洞2、半導体素子3が取付けられた冷却フィン4、左右(車両の進行方向の前後)に有る電動送風機5、6により構成されている。
【0003】
そして半導体素子3のスイッチング動作に伴って生じる熱は、風洞2に対して並行に取付けられた冷却フィン4を介し放熱される。
この半導体冷却装置では、例えば、車両が左方向8へ進行したことで前進による走行風10が発生する。この走行風10は、電動送風機5が駆動されることにより、装置筐体1の風洞2内に冷却風12として流入し、風洞2内の冷却フィン4を経て排出される。この冷却風12により、半導体素子3のスイッチング動作に伴って生じる熱は冷却フィン4、風洞2の排出口を経て大気に放熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−295142号公報(図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に示された従来技術では、進行方向によっては駆動されない冷却ファンが存在することになり、この駆動されない冷却ファンは通風圧力を高める方向に作用するため、冷却風量が減少するという課題があった。
【0006】
また、特許文献1に示された従来技術では、冷却風を取り入れるために車両の進行方向の冷却ファンのみを動作させる制御を行う必要があるという課題があった。
そこで本発明の目的は、複数の空気吸入口を備える電力変換装置において、電力変換ユニットの冷却器の冷却性能を最大限維持可能とする電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、筐体内に設置され頂辺部と脚部とによりT字形状に形成された風洞と、該風洞のT字脚部を挟んで配置される複数の電力変換ユニットとを備える電力変換装置であって、
複数の電力変換ユニットの冷却フィンが前記風洞のT字頂辺部内に突出していることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、
前記風洞に、
前記T字頂辺部の端部に空気を吸入するための空気吸入口と、
前記T字脚部の端部に前記空気吸入口から吸入した空気を外部に排出するための空気排出口と、
前記T字脚部に配置される冷却ファンと、を備えることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、T字形状にされた風洞の頂辺部と脚部との接合部に、前記空気吸入口から吸入した空気を整流する整流板を備える、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電力変換装置によれば、電力変換ユニットを、頂辺部と脚部とによりT字形状を成す風洞の脚部を挟んで左右に設けるようにしたので、電力変換ユニットの冷却器の性能を最大限維持することが可能となる。
【0011】
言い換えれば、電力変換装置を収納する筐体を区分けするT字形状の風洞を設け、風洞のT字脚部を挟んで左右に設けた電力変換ユニットの冷却器の冷却フィンが風洞のT字頂辺部に突出するようにしたので、電力変換ユニットの冷却器から発せられる熱が他の電力変換ユニットの冷却性能に悪影響を与えないようにすることができる。
【0012】
また本発明の電力変換装置によれば、T字形状を成す風洞の頂辺部と脚部との接合部に整流板を設けているので、車両に搭載した場合に、走行風が冷却風の邪魔をして電力変換ユニットの冷却器の冷却性能を弱めることが無く、走行中でも電力変換ユニットの冷却器の冷却性能を最大限維持可能となる。
【0013】
さらに整流板の構造及び取付けを簡単な構造としたことで、組立工数やコストをかけずに電力変換ユニットの冷却器の冷却性能を最大限維持でき、また整流板を設置したことで筐体の剛性を強くできるため、振動・衝撃性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態1に係る電力変換装置の構成を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態1に係る電力変換装置の構成を説明する斜視図である。
図3】本発明の実施形態1に係る電力変換装置の構成を説明する三面図である。
図4】本発明の実施形態1に係る電力変換装置の構成を説明する断面図である。
図5】本発明の実施形態2に係る電力変換装置の構成を示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態2に係る電力変換装置の構成を説明する斜視図である。
図7】本発明の実施形態2に係る電力変換装置の構成を説明する断面図である。
図8図3に示したA−Aから見た本発明の実施形態1に係る電力変換装置の平面断面図で、冷却風の流れを示す図である。
図9図8と同様、A−Aから見た本発明の実施形態2に係る電力変換装置の平面断面図で、整流板に伴う冷却風の流れを示す図である。
図10】本発明の実施形態2に係る電力変換装置の平面断面図で、整流板に伴う冷却風及び走行風の流れを示す図である。
図11】本発明の実施形態2に係る電力変換装置の整流板の構成例を示す図である。
図12】特許文献1に示された半導体冷却装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施形態1に係る電力変換装置20の構成を示す斜視図である。電力変換装置20は、筐体が3つのパートに区分けされる構成になっている。すなわち、1つのパートは、頂辺部と脚部とによってT字形状を成す風洞22である。さらに、電力変換装置20の筐体は、風洞22のT字脚部によって、左右の2つのパートに区分けされる。風洞22のT字脚部の左右に区分けされた2つのパートには、それぞれ内部に電力変換ユニット21,23が収納されている。詳細は図示しないが、電力変換ユニット21,23は、一方の面に半導体素子が装着される受熱板と、この受熱板の他方の面に取り付けられる冷却フィンとからなる冷却器を備えている。電力変換ユニットの冷却フィン25(後述する)は、風洞22のT字頂辺部内(風洞22の空気吸入口22a,22c(不図示)側)に突出するように設けられている。
【0017】
なお電力変換ユニットのそれぞれは、筐体内において区画化され、区画内において上述の風洞22の頂辺部内に突出する冷却フィン25部分を除いてユニット部品が密閉収納される構造となっているためカバーで表面が覆われている。
【0018】
また風洞22のT字脚部には、上記した電力変換ユニットの冷却フィン25を経た空気を外部に排出する機構(後述する)が収納されるようになっている。
風洞22については、空気吸入口22aと空気排出口22bが図示されており、空気吸入口22aに対極する位置に存在する空気吸入口22c(後述する)は図示されていない。
【0019】
なお、冷却フィン25は板形状であり、風洞に沿って複数並行配置され、並行配置された冷却フィン25の間を冷却風が流れるようにされる。
図2は、本発明の実施形態1に係る電力変換装置の構成を説明する斜視図である。図2では本発明の実施形態1に係る電力変換装置の風洞の構成を説明するために、図1に示されたカバーを外して示したものである。
【0020】
図2に示されるように、風洞22は、2箇所の空気吸入口22a,22c(不図示)から吸入された冷却風が、冷却ファン24により吸引され、電力変換ユニット21,23から風洞22内に突出する冷却フィン25(不図示)に通風され、風洞22のT字脚端部に配置された空気排出口22bから空気を外部に排出する構造を備えている。外部に排出するための冷却ファン24は、風洞22のT字脚端部に配置されている。なお、冷却ファン24の位置は風洞22のT字脚端部に限定されるものではなく、T字脚部のいずれかの位置に配置されていればよい。
【0021】
なお電力変換ユニット21としては、例えばインバータが、また電力変換ユニット23としては、たとえばコンバータ(チョッパを含む)が想定されている。電力変換ユニット21,23としては上記の例に限定されないことは勿論であり、電力変換ユニット21,23が同じ種類の変換ユニットであっても良い。
【0022】
図3は、本発明の実施形態1に係る電力変換装置の構成を説明する三面図である。
図3において、風洞22に設けた空気吸入口22a,22cから吸入された冷却風が、冷却ファン24により吸引され、風洞22のT字頂辺部内に突出する冷却フィン25a、25b,25cに通風し、風洞22のT字脚端部の空気排出口22bから外部に排出される構造になっている。
【0023】
なお図3の平面図(a)では、図1には示されていたカバーが、空気吸入口22a,22cや風洞22内に突出している冷却フィン25a、25b,25cが見えるように外されているが、それ以外はカバーが付いた状態にされている。
【0024】
このように風洞22に配置された2箇所の空気吸入口22a,22cから吸入された冷却風が、冷却ファン24により吸引され、電力変換ユニット21,23から風洞22のT字頂辺部内に突出する冷却フィン25a、25b,25cに通風され、風洞22のT字脚端部から空気を外部に排出することで、冷却フィン25a、25b,25cの冷却性能を最大限維持することが可能となる。
【0025】
また、電力変換ユニット21の冷却フィン25aと電力変換ユニット23の冷却フィン25b,25cとが異なる空気吸入口から吸入された冷却風で冷却される構造を採用することで、電力変換ユニット相互間の熱干渉を防ぐことができる。
【0026】
図4は、図3の右側面図(c)のA−Aから見た本発明の実施形態1に係る電力変換装置の構成を説明する断面図である。
図4に示す本発明の実施形態1に係る電力変換装置20では、電力変換ユニット21,23が収納される仕切りを除いてそれぞれの仕切りが分かるようにカバーが取り外されている。
【0027】
図4の平面断面図(a)に示されているように、風洞22の空気吸入口22a,22cから吸入された冷却風が、冷却ファン24により吸引され、電力変換ユニット21,23から突出する冷却フィン25a、25b,25cに通風し、風洞22の中央に配置されたT字脚端部の空気排出口22bに置かれた冷却ファン24から外部に排出される。
【0028】
図8は、図3に示したA−Aから見た本発明の実施形態1に係る電力変換装置の平面断面図で、冷却風の流れを示す図である。
図8において、風洞22の空気吸入口22a,22cから吸入された右及び左方向の冷却風28が、冷却ファン24により吸引され、電力変換ユニット21,23から風洞22内に突出する冷却フィン25に通風し、風洞22の中央に配置されたT字脚部の空気排出口22bに置かれた冷却ファン24から外部に排出される様子が分かるであろう。
【0029】
なお図8に示す冷却風の流れは、本発明の実施形態1に係る電力変換装置が屋内に設置されている場合におけるもので、屋外では、冷却風に加えて天候状態により吹き込む風により変化することもあるがそれにも対応可能である。
【実施例2】
【0030】
図5は、本発明の実施形態2に係る電力変換装置の構成を示す斜視図である。図5に示した本発明の実施形態2に係る電力変換装置20は、上記した図1に示された実施例1と同様に、筐体が3つのパートに区分けされる構成になっている。すなわち、1つのパートは、頂辺部と脚部とによってT字形状を成す風洞22である。さらに、電力変換装置20の筐体は、風洞22のT字脚部によって、左右の2つのパートに区分けされる。風洞22のT字脚部の左右に区分けされた2つのパートには、それぞれ内部に電力変換ユニット21,23が収納されている。電力変換ユニット21,23の構成は、実施形態1で説明したとおりである。そして、電力変換ユニットの冷却フィン25が風洞22のT字頂辺部内に突出するように設けられている。
【0031】
なお電力変換ユニットのそれぞれは、筐体内において区画化され、区画内において上述の風洞内に突出する冷却フィン25部分を除いてユニット部品が密閉収納される構造となっているためカバーで表面が覆われている。
【0032】
また風洞22のT字脚部には、上記した電力変換ユニットの冷却フィンを経た空気を外部に排出させる機構(後述する)が収納されるようになっている。
風洞22については、空気吸入口22aと空気排出口22bが図示されており、空気吸入口22aに対極する位置に存在する空気吸入口22c(後述する)は図示されていない。
【0033】
なお、冷却フィン25は、板形状であり、風洞に沿って複数並行配置され、並行配置された冷却フィン25の間を冷却風が流れるようにされる。
図6は、本発明の実施形態2に係る電力変換装置の構成を説明する斜視図である。図6では本発明の実施形態2に係る電力変換装置の風洞の構成を説明するために、図5に示されたカバーを外して示したものである。
【0034】
図6に示されるように、風洞22は、2箇所の空気吸入口22a,22c(不図示)から吸入された冷却風が、冷却ファン24により吸引され、電力変換ユニット21,23から風洞22内に突出する冷却フィン25(不図示)に通風され、風洞22のT字脚端部に配置された空気排出口22bから空気を外部に排出する構造を備えている。外部に排出するための冷却ファン24は、風洞22のT字脚端部に配置されている。なお、冷却ファン24の位置は風洞22のT字脚端部に限定されるものではなく、T字脚部のいずれかの位置に配置されていればよい。
【0035】
なお電力変換ユニット21としては、例えばインバータが、また電力変換ユニット23としては、たとえばコンバータ(チョッパを含む)が想定されている。電力変換ユニット21,23としては上記の例に限定されないことは勿論であり、電力変換ユニット21,23が同じ種類の変換ユニットであっても良い。
【0036】
そして吸入された空気の流れを整流するため上記T字形状を成す風洞22の頂辺部と脚部との接合部に整流板26を配置している。
なお整流板26の配置位置はこの例に限定されず、電力変換ユニット23の冷却フィン25b側に近づけて配置しても良く、さらには電力変換ユニット21の冷却フィン25a側に近づけて配置しても良い。つまり、電力変換ユニット21,23が放出する熱が偏ってしまい、冷却性能が十分発揮されない場合に配置位置が考慮されることになる。
【0037】
また整流板26の構造もこの例に限定されない。別の構造例については後述する。
整流板26は、風洞22のT字頂辺部から脚部側に突出する部分を備えるように構成して配置されている。
【0038】
このように構成・配置することにより、本発明の実施形態2に係る電力変換装置20を車両(不図示)に搭載した場合に車両の進行方向の空気吸入口22a,22c(不図示)から流入される走行風(後述する)が、空気吸入口22a,22c(不図示)から吸引される冷却風を阻害しないようになる。これにより、電力変換ユニット21,23の冷却フィン25a〜25cの冷却性能を最大限維持することができる。
【0039】
なお、車両(不図示)に本発明の実施形態2に係る電力変換装置を取付ける場合、風洞22のT字頂辺部を車両の進行する方向に並行に取付けることが常套と考えられるが、これのみに限定されず、風洞22のT字頂辺部を車両の進行する方向に直交する方向に取付けるようにしても良い。
【0040】
また車両(不図示)を鉄道車両とした場合は、電力変換装置を車両の床下部に取付けることが望ましい。
また、T字形状を成す風洞22の頂辺部は、風洞22の空気吸入口22a,22c(不図示)から脚部との結合部に向かって傾斜させるようにしても良い。また、T字形状を成す風洞22の脚部は、頂辺部との結合部から空気排出口22bに向かって下方に傾斜させるもしくは垂直とするようにしても良い。このように構成することにより、風洞22の頂辺部や底辺部に雨水等が滞留するのを防止することができる。
【0041】
また、風洞22の空気排出口22bは、車両の進行方向に対して逆方向に取付けるようにしても良い。 図7は、図5に示した本発明の実施形態2に係る電力変換装置の構成を示す三面図である。
【0042】
図7に示す本発明の実施形態2に係る電力変換装置20では、図5には示されていたカバーが、空気吸入口22a,22cや電力変換ユニット21,23から突出する冷却フィン25a、25b,25cが見えるように外されているが、それ以外はカバーが付いた状態にされている。
【0043】
図7の平面断面図(a)に示されているように、風洞22の空気吸入口22a,22cの断面幅よりも、冷却ファン24側に突出する部分を備える整流板26が配置されている。
【0044】
また電力変換ユニット21の冷却フィン25aが、風洞22に突き出されている。さらに電力変換ユニット23には、冷却フィン25b、25cが設けられている。
風洞22のT字頂辺部から脚部側に突出する部分を備えるように整流板26が配置されている。
【0045】
図9は、図8と同様、A−Aから見た本発明の実施形態2に係る電力変換装置の平面断面図で、整流板に伴う冷却風の流れを示す図である。
空気吸入口22a、22cから吸入された冷却風28は、互いに相手の冷却風に阻害されることなく、整流板26から風洞22のT字脚部に流入し、冷却ファン24に吸引されて空気排出口22bから排出される。この過程で、電力変換ユニット21,23の冷却フィン25が冷却されるため、電力変換ユニット21,23の冷却フィンの冷却性能が最大限維持されるものである。
【0046】
整流板26の配置位置の変更は、上述したように、電力変換ユニット21,23が放出する熱が偏って冷却性能が十分発揮されない場合に考慮されるもので、例えば、電力変換ユニット21の放出する熱が、電力変換ユニット23が放出する熱よりも多い場合には、整流板26を電力変換ユニット23側に寄せて配置する。これにより、空気吸入口22a側から風洞22に吸入される冷却風を増やすことができる。
【0047】
図10は、本発明の実施形態2に係る電力変換装置の平面断面図で、整流板に伴う冷却風及び走行風の流れを示す図である。
図10では、図5に示した電力変換装置の筐体が車両に搭載されて車両走行することを念頭にしている。
【0048】
いま、進行方向29(図10の上部矢視方向参照)に車両が走行した場合、風洞22の空気吸入口22aから吸入された冷却風28とともに走行風27が流入する。
走行風27は、冷却風28とともに電力変換ユニット21の冷却フィン25を通風し、整流板26から風洞22のT字脚部に流入し、冷却ファン24に吸引されて、空気排出口22bから排出される。
【0049】
もう一方の空気吸入口22cから吸入された冷却風28は、進行方向から吹いてくる走行風27に阻害されずに、整流板26から風洞22のT字脚部に流入し、冷却ファン24に吸引されて、空気排出口22bから排出される。
【0050】
このように本発明の実施形態2に係る電力変換装置は、整流板26を設けることによって、走行風によって他方から流入する冷却風が阻害されることなく、電力変換ユニット21の冷却フィン25および電力変換ユニット23の冷却フィン25の冷却性能を最大限維持可能とするものである。
【0051】
図11は、本発明の実施形態2に係る電力変換装置の整流板の構成例を示す図で、上面から見た図である。
上述したように整流板26は、風洞22のT字頂辺部と脚部との接合部に配置されることを基本としている。
【0052】
図11(a)に示される整流板は、上記した平板状のもので構成され、風洞22のT字頂辺部から脚部側に突出する部分を備えるように配置される。
図11(b)に示される整流板は、平板状のものに代えて三角形状で構成され、図11(a)と同様に、風洞22のT字頂辺部から脚部側に突出する部分を備えるように配置される。なお、三角形状としては図示例のように頂点が先鋭化されているものが望ましい。
【0053】
図11(c)に示される整流板は、平板状のものに代えて逆L字形状のもので構成され、図11(a)と同様に、風洞22のT字頂辺部から脚部側に突出する部分を備えるように配置される。
【0054】
そして整流板26は、風洞部材に溶接、蝋付け、または、カシメ(リベット)等の方法により固着されることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の電力変換装置は、屋内,屋外を問わず、適所に設置することが可能である。例えば、屋外では、鉄道車両、陸上車両(トレーラ、保冷車)、太陽光発電装置におけるPCS(Power Conditioning System)等に設置可能である。
【符号の説明】
【0056】
20 電力変換装置
21 電力変換ユニット
22 風洞
23 電力変換ユニット
24 冷却ファン
25、25a〜25c 冷却フィン
26 整流板
27 走行風
28 冷却風
29 車両の進行方向
【要約】
【課題】電力変換ユニットの冷却器の冷却性能を最大限維持可能とする電力変換装置を提供する。
【解決手段】筐体内に設置され頂辺部と脚部とによりT字形状にされた風洞22と、風洞のT字脚部を挟んで筐体内に収納される複数の電力変換ユニット21,23とから成り、風洞22は、T字頂辺端部から空気を吸入する空気吸入口22aと、筐体の中央に位置し且つT字脚端部に配置される冷却ファン24と、冷却ファン24により吸引した空気を外部に排出する空気排出口22bと有し、複数の電力変換ユニット21,23は、風洞22のT字頂辺部内に突出する冷却フィン(不図示)をそれぞれ有するようにされている。
【選択図】図2
図1
図2
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図12