【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施形態1に係る電力変換装置20の構成を示す斜視図である。電力変換装置20は、筐体が3つのパートに区分けされる構成になっている。すなわち、1つのパートは、頂辺部と脚部とによってT字形状を成す風洞22である。さらに、電力変換装置20の筐体は、風洞22のT字脚部によって、左右の2つのパートに区分けされる。風洞22のT字脚部の左右に区分けされた2つのパートには、それぞれ内部に電力変換ユニット21,23が収納されている。詳細は図示しないが、電力変換ユニット21,23は、一方の面に半導体素子が装着される受熱板と、この受熱板の他方の面に取り付けられる冷却フィンとからなる冷却器を備えている。電力変換ユニットの冷却フィン25(後述する)は、風洞22のT字頂辺部内(風洞22の空気吸入口22a,22c(不図示)側)に突出するように設けられている。
【0017】
なお電力変換ユニットのそれぞれは、筐体内において区画化され、区画内において上述の風洞22の頂辺部内に突出する冷却フィン25部分を除いてユニット部品が密閉収納される構造となっているためカバーで表面が覆われている。
【0018】
また風洞22のT字脚部には、上記した電力変換ユニットの冷却フィン25を経た空気を外部に排出する機構(後述する)が収納されるようになっている。
風洞22については、空気吸入口22aと空気排出口22bが図示されており、空気吸入口22aに対極する位置に存在する空気吸入口22c(後述する)は図示されていない。
【0019】
なお、冷却フィン25は板形状であり、風洞に沿って複数並行配置され、並行配置された冷却フィン25の間を冷却風が流れるようにされる。
図2は、本発明の実施形態1に係る電力変換装置の構成を説明する斜視図である。
図2では本発明の実施形態1に係る電力変換装置の風洞の構成を説明するために、
図1に示されたカバーを外して示したものである。
【0020】
図2に示されるように、風洞22は、2箇所の空気吸入口22a,22c(不図示)から吸入された冷却風が、冷却ファン24により吸引され、電力変換ユニット21,23から風洞22内に突出する冷却フィン25(不図示)に通風され、風洞22のT字脚端部に配置された空気排出口22bから空気を外部に排出する構造を備えている。外部に排出するための冷却ファン24は、風洞22のT字脚端部に配置されている。なお、冷却ファン24の位置は風洞22のT字脚端部に限定されるものではなく、T字脚部のいずれかの位置に配置されていればよい。
【0021】
なお電力変換ユニット21としては、例えばインバータが、また電力変換ユニット23としては、たとえばコンバータ(チョッパを含む)が想定されている。電力変換ユニット21,23としては上記の例に限定されないことは勿論であり、電力変換ユニット21,23が同じ種類の変換ユニットであっても良い。
【0022】
図3は、本発明の実施形態1に係る電力変換装置の構成を説明する三面図である。
図3において、風洞22に設けた空気吸入口22a,22cから吸入された冷却風が、冷却ファン24により吸引され、風洞22のT字頂辺部内に突出する冷却フィン25a、25b,25cに通風し、風洞22のT字脚端部の空気排出口22bから外部に排出される構造になっている。
【0023】
なお
図3の平面図(a)では、
図1には示されていたカバーが、空気吸入口22a,22cや風洞22内に突出している冷却フィン25a、25b,25cが見えるように外されているが、それ以外はカバーが付いた状態にされている。
【0024】
このように風洞22に配置された2箇所の空気吸入口22a,22cから吸入された冷却風が、冷却ファン24により吸引され、電力変換ユニット21,23から風洞22のT字頂辺部内に突出する冷却フィン25a、25b,25cに通風され、風洞22のT字脚端部から空気を外部に排出することで、冷却フィン25a、25b,25cの冷却性能を最大限維持することが可能となる。
【0025】
また、電力変換ユニット21の冷却フィン25aと電力変換ユニット23の冷却フィン25b,25cとが異なる空気吸入口から吸入された冷却風で冷却される構造を採用することで、電力変換ユニット相互間の熱干渉を防ぐことができる。
【0026】
図4は、
図3の右側面図(c)のA−Aから見た本発明の実施形態1に係る電力変換装置の構成を説明する断面図である。
図4に示す本発明の実施形態1に係る電力変換装置20では、電力変換ユニット21,23が収納される仕切りを除いてそれぞれの仕切りが分かるようにカバーが取り外されている。
【0027】
図4の平面断面図(a)に示されているように、風洞22の空気吸入口22a,22cから吸入された冷却風が、冷却ファン24により吸引され、電力変換ユニット21,23から突出する冷却フィン25a、25b,25cに通風し、風洞22の中央に配置されたT字脚端部の空気排出口22bに置かれた冷却ファン24から外部に排出される。
【0028】
図8は、
図3に示したA−Aから見た本発明の実施形態1に係る電力変換装置の平面断面図で、冷却風の流れを示す図である。
図8において、風洞22の空気吸入口22a,22cから吸入された右及び左方向の冷却風28が、冷却ファン24により吸引され、電力変換ユニット21,23から風洞22内に突出する冷却フィン25に通風し、風洞22の中央に配置されたT字脚部の空気排出口22bに置かれた冷却ファン24から外部に排出される様子が分かるであろう。
【0029】
なお
図8に示す冷却風の流れは、本発明の実施形態1に係る電力変換装置が屋内に設置されている場合におけるもので、屋外では、冷却風に加えて天候状態により吹き込む風により変化することもあるがそれにも対応可能である。
【実施例2】
【0030】
図5は、本発明の実施形態2に係る電力変換装置の構成を示す斜視図である。
図5に示した本発明の実施形態2に係る電力変換装置20は、上記した
図1に示された実施例1と同様に、筐体が3つのパートに区分けされる構成になっている。すなわち、1つのパートは、頂辺部と脚部とによってT字形状を成す風洞22である。さらに、電力変換装置20の筐体は、風洞22のT字脚部によって、左右の2つのパートに区分けされる。風洞22のT字脚部の左右に区分けされた2つのパートには、それぞれ内部に電力変換ユニット21,23が収納されている。電力変換ユニット21,23の構成は、実施形態1で説明したとおりである。そして、電力変換ユニットの冷却フィン25が風洞22のT字頂辺部内に突出するように設けられている。
【0031】
なお電力変換ユニットのそれぞれは、筐体内において区画化され、区画内において上述の風洞内に突出する冷却フィン25部分を除いてユニット部品が密閉収納される構造となっているためカバーで表面が覆われている。
【0032】
また風洞22のT字脚部には、上記した電力変換ユニットの冷却フィンを経た空気を外部に排出させる機構(後述する)が収納されるようになっている。
風洞22については、空気吸入口22aと空気排出口22bが図示されており、空気吸入口22aに対極する位置に存在する空気吸入口22c(後述する)は図示されていない。
【0033】
なお、冷却フィン25は、板形状であり、風洞に沿って複数並行配置され、並行配置された冷却フィン25の間を冷却風が流れるようにされる。
図6は、本発明の実施形態2に係る電力変換装置の構成を説明する斜視図である。
図6では本発明の実施形態2に係る電力変換装置の風洞の構成を説明するために、
図5に示されたカバーを外して示したものである。
【0034】
図6に示されるように、風洞22は、2箇所の空気吸入口22a,22c(不図示)から吸入された冷却風が、冷却ファン24により吸引され、電力変換ユニット21,23から風洞22内に突出する冷却フィン25(不図示)に通風され、風洞22のT字脚端部に配置された空気排出口22bから空気を外部に排出する構造を備えている。外部に排出するための冷却ファン24は、風洞22のT字脚端部に配置されている。なお、冷却ファン24の位置は風洞22のT字脚端部に限定されるものではなく、T字脚部のいずれかの位置に配置されていればよい。
【0035】
なお電力変換ユニット21としては、例えばインバータが、また電力変換ユニット23としては、たとえばコンバータ(チョッパを含む)が想定されている。電力変換ユニット21,23としては上記の例に限定されないことは勿論であり、電力変換ユニット21,23が同じ種類の変換ユニットであっても良い。
【0036】
そして吸入された空気の流れを整流するため上記T字形状を成す風洞22の頂辺部と脚部との接合部に整流板26を配置している。
なお整流板26の配置位置はこの例に限定されず、電力変換ユニット23の冷却フィン25b側に近づけて配置しても良く、さらには電力変換ユニット21の冷却フィン25a側に近づけて配置しても良い。つまり、電力変換ユニット21,23が放出する熱が偏ってしまい、冷却性能が十分発揮されない場合に配置位置が考慮されることになる。
【0037】
また整流板26の構造もこの例に限定されない。別の構造例については後述する。
整流板26は、風洞22のT字頂辺部から脚部側に突出する部分を備えるように構成して配置されている。
【0038】
このように構成・配置することにより、本発明の実施形態2に係る電力変換装置20を車両(不図示)に搭載した場合に車両の進行方向の空気吸入口22a,22c(不図示)から流入される走行風(後述する)が、空気吸入口22a,22c(不図示)から吸引される冷却風を阻害しないようになる。これにより、電力変換ユニット21,23の冷却フィン25a〜25cの冷却性能を最大限維持することができる。
【0039】
なお、車両(不図示)に本発明の実施形態2に係る電力変換装置を取付ける場合、風洞22のT字頂辺部を車両の進行する方向に並行に取付けることが常套と考えられるが、これのみに限定されず、風洞22のT字頂辺部を車両の進行する方向に直交する方向に取付けるようにしても良い。
【0040】
また車両(不図示)を鉄道車両とした場合は、電力変換装置を車両の床下部に取付けることが望ましい。
また、T字形状を成す風洞22の頂辺部は、風洞22の空気吸入口22a,22c(不図示)から脚部との結合部に向かって傾斜させるようにしても良い。また、T字形状を成す風洞22の脚部は、頂辺部との結合部から空気排出口22bに向かって下方に傾斜させるもしくは垂直とするようにしても良い。このように構成することにより、風洞22の頂辺部や底辺部に雨水等が滞留するのを防止することができる。
【0041】
また、風洞22の空気排出口22bは、車両の進行方向に対して逆方向に取付けるようにしても良い。
図7は、
図5に示した本発明の実施形態2に係る電力変換装置の構成を示す三面図である。
【0042】
図7に示す本発明の実施形態2に係る電力変換装置20では、
図5には示されていたカバーが、空気吸入口22a,22cや電力変換ユニット21,23から突出する冷却フィン25a、25b,25cが見えるように外されているが、それ以外はカバーが付いた状態にされている。
【0043】
図7の平面断面図(a)に示されているように、風洞22の空気吸入口22a,22cの断面幅よりも、冷却ファン24側に突出する部分を備える整流板26が配置されている。
【0044】
また電力変換ユニット21の冷却フィン25aが、風洞22に突き出されている。さらに電力変換ユニット23には、冷却フィン25b、25cが設けられている。
風洞22のT字頂辺部から脚部側に突出する部分を備えるように整流板26が配置されている。
【0045】
図9は、
図8と同様、A−Aから見た本発明の実施形態2に係る電力変換装置の平面断面図で、整流板に伴う冷却風の流れを示す図である。
空気吸入口22a、22cから吸入された冷却風28は、互いに相手の冷却風に阻害されることなく、整流板26から風洞22のT字脚部に流入し、冷却ファン24に吸引されて空気排出口22bから排出される。この過程で、電力変換ユニット21,23の冷却フィン25が冷却されるため、電力変換ユニット21,23の冷却フィンの冷却性能が最大限維持されるものである。
【0046】
整流板26の配置位置の変更は、上述したように、電力変換ユニット21,23が放出する熱が偏って冷却性能が十分発揮されない場合に考慮されるもので、例えば、電力変換ユニット21の放出する熱が、電力変換ユニット23が放出する熱よりも多い場合には、整流板26を電力変換ユニット23側に寄せて配置する。これにより、空気吸入口22a側から風洞22に吸入される冷却風を増やすことができる。
【0047】
図10は、本発明の実施形態2に係る電力変換装置の平面断面図で、整流板に伴う冷却風及び走行風の流れを示す図である。
図10では、
図5に示した電力変換装置の筐体が車両に搭載されて車両走行することを念頭にしている。
【0048】
いま、進行方向29(
図10の上部矢視方向参照)に車両が走行した場合、風洞22の空気吸入口22aから吸入された冷却風28とともに走行風27が流入する。
走行風27は、冷却風28とともに電力変換ユニット21の冷却フィン25を通風し、整流板26から風洞22のT字脚部に流入し、冷却ファン24に吸引されて、空気排出口22bから排出される。
【0049】
もう一方の空気吸入口22cから吸入された冷却風28は、進行方向から吹いてくる走行風27に阻害されずに、整流板26から風洞22のT字脚部に流入し、冷却ファン24に吸引されて、空気排出口22bから排出される。
【0050】
このように本発明の実施形態2に係る電力変換装置は、整流板26を設けることによって、走行風によって他方から流入する冷却風が阻害されることなく、電力変換ユニット21の冷却フィン25および電力変換ユニット23の冷却フィン25の冷却性能を最大限維持可能とするものである。
【0051】
図11は、本発明の実施形態2に係る電力変換装置の整流板の構成例を示す図で、上面から見た図である。
上述したように整流板26は、風洞22のT字頂辺部と脚部との接合部に配置されることを基本としている。
【0052】
図11(a)に示される整流板は、上記した平板状のもので構成され、風洞22のT字頂辺部から脚部側に突出する部分を備えるように配置される。
図11(b)に示される整流板は、平板状のものに代えて三角形状で構成され、
図11(a)と同様に、風洞22のT字頂辺部から脚部側に突出する部分を備えるように配置される。なお、三角形状としては図示例のように頂点が先鋭化されているものが望ましい。
【0053】
図11(c)に示される整流板は、平板状のものに代えて逆L字形状のもので構成され、
図11(a)と同様に、風洞22のT字頂辺部から脚部側に突出する部分を備えるように配置される。
【0054】
そして整流板26は、風洞部材に溶接、蝋付け、または、カシメ(リベット)等の方法により固着されることが望ましい。