特許第6011736号(P6011736)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6011736
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】昇圧チョッパ回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
   H02M3/155 Y
【請求項の数】9
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-49761(P2016-49761)
(22)【出願日】2016年3月14日
【審査請求日】2016年3月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】窪内 源宜
(72)【発明者】
【氏名】侯 昊
【審査官】 宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−217427(JP,A)
【文献】 特開2013−038921(JP,A)
【文献】 特開2005−310907(JP,A)
【文献】 特開2015−226438(JP,A)
【文献】 特開平04−054864(JP,A)
【文献】 特開2010−283236(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/065051(WO,A1)
【文献】 特開2006−184456(JP,A)
【文献】 特開平06−351113(JP,A)
【文献】 特開平09−084333(JP,A)
【文献】 特開2014−049726(JP,A)
【文献】 特開平08−167669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/29、
23/34−23/36、
23/373−23/427、
23/44、
23/467−23/473、
25/00−25/07、
25/10−25/11、
25/16−25/18
H02M3/00−3/44
H05K7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアクトルと、
前記リアクトルを介して直流出力回路の両端に接続されているスイッチング素子回路と、
前記スイッチング素子回路に接続されている逆流防止ダイオード回路と、
前記スイッチング素子回路の両端の間において、前記逆流防止ダイオード回路に直列に接続されているコンデンサ回路と、
前記スイッチング素子回路を収納する第1半導体パッケージと、
前記第1半導体パッケージとは別個に設けられ、前記逆流防止ダイオード回路を収納する第2半導体パッケージとを備え
前記第1半導体パッケージは、前記第1半導体パッケージを昇圧チョッパ回路本体部に対して脱着可能に取り付けるための複数の第1取付部を含むとともに、前記第2半導体パッケージは、前記第2半導体パッケージを前記昇圧チョッパ回路本体部に対して脱着可能に取り付けるための複数の第2取付部を含み、
前記複数の第1取付部同士の間隔と、前記複数の第2取付部同士の間隔とが異なるように構成されている、昇圧チョッパ回路。
【請求項2】
前記第1半導体パッケージと前記第2半導体パッケージとは、互いに異なる形状に形成されている、請求項1に記載の昇圧チョッパ回路。
【請求項3】
前記逆流防止ダイオード回路は、ワイドバンドギャップ半導体からなるダイオードを含む、請求項1または2に記載の昇圧チョッパ回路。
【請求項4】
前記スイッチング素子回路は、ワイドバンドギャップ半導体からなるスイッチング素子を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の昇圧チョッパ回路。
【請求項5】
前記スイッチング素子回路は、互いに直列に接続された第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを含み、
前記逆流防止ダイオード回路は、前記第1のスイッチング素子に直列に接続されている第1のダイオードと、前記第2のスイッチング素子に直列に接続されている第2のダイオードとを含み、
前記コンデンサ回路は、互いに直列に接続された第1のコンデンサと第2のコンデンサとを含み、
前記第1半導体パッケージは、前記第1のスイッチング素子を収納する一方第1半導体パッケージと、前記一方第1半導体パッケージとは別個に設けられ、前記第2のスイッチング素子を収納する他方第1半導体パッケージとを含み、
前記第2半導体パッケージは、前記第1のダイオードを収納する一方第2半導体パッケージと、前記一方第2半導体パッケージとは別個に設けられ、前記第2のダイオードを収納する他方第2半導体パッケージとを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の昇圧チョッパ回路。
【請求項6】
前記スイッチング素子回路は、互いに直列に接続された第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを含み、
前記逆流防止ダイオード回路は、前記第1のスイッチング素子に直列に接続されている第1のダイオードと、前記第2のスイッチング素子に直列に接続されている第2のダイオードとを含み、
前記コンデンサ回路は、互いに直列に接続された第1のコンデンサと第2のコンデンサとを含み、
前記第1半導体パッケージに前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子が共に収納されているか、または、前記第2半導体パッケージに前記第1のダイオードおよび前記第2のダイオードが共に収納されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の昇圧チョッパ回路。
【請求項7】
前記第2半導体パッケージには、前記第1のダイオードおよび前記第2のダイオードが共に収納されている、請求項6に記載の昇圧チョッパ回路。
【請求項8】
前記第1半導体パッケージには、前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子が共に収納されている、請求項6または7に記載の昇圧チョッパ回路。
【請求項9】
前記第1半導体パッケージに、同時に故障する可能性が高い前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子が共に収納されているか、または、前記第2半導体パッケージに、前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子よりも故障可能性の低い、前記第1のダイオードおよび前記第2のダイオードが共に収納されている、請求項6〜8のいずれか1項に記載の昇圧チョッパ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、昇圧チョッパ回路に関し、特に、スイッチング素子回路と逆流防止ダイオード回路とを備える昇圧チョッパ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スイッチング素子回路と逆流防止ダイオード回路とを備える昇圧チョッパ回路が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、スイッチング素子と逆流阻止用のダイオードとを含む昇圧チョッパ回路を備える誘導電動機の速度制御装置が開示されている。この速度制御装置では、誘導電動機からの2次電流を整流回路により整流し、整流された電流(電圧)を昇圧チョッパ回路により昇圧するように構成されている。そして、この速度制御装置には、電源が設けられており、昇圧チョッパ回路は、昇圧した誘導電動機からの電力を電源に回生するように構成されている。また、従来、このような昇圧チョッパ回路では、スイッチング素子と逆流阻止用のダイオードとは、同一のパッケージに収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−135589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スイッチング素子と逆流阻止用のダイオードとが同一のパッケージに収容されている従来の構造では、スイッチング素子と逆流阻止用のダイオードとのいずれか一方が故障した場合でも、パッケージ毎に交換される。このため、故障した素子とともに、故障していない素子も交換されてしまうという不都合がある。したがって、上記特許文献1に記載された昇圧チョッパ回路では、交換が不要なスイッチング素子または逆流阻止用のダイオード(逆流防止ダイオード)が交換されてしまうという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、交換が不要なスイッチング素子または逆流防止ダイオードが交換されてしまうのを抑制することが可能な昇圧チョッパ回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による昇圧チョッパ回路は、リアクトルと、リアクトルを介して直流出力回路の両端に接続されているスイッチング素子回路と、スイッチング素子回路に接続されている逆流防止ダイオード回路と、スイッチング素子回路の両端の間において、逆流防止ダイオード回路に直列に接続されているコンデンサ回路と、スイッチング素子回路を収納する第1半導体パッケージと、第1半導体パッケージとは別個に設けられ、逆流防止ダイオード回路を収納する第2半導体パッケージとを備え、第1半導体パッケージは、第1半導体パッケージを昇圧チョッパ回路本体部に対して脱着可能に取り付けるための複数の第1取付部を含むとともに、第2半導体パッケージは、第2半導体パッケージを昇圧チョッパ回路本体部に対して脱着可能に取り付けるための複数の第2取付部を含み、複数の第1取付部同士の間隔と、複数の第2取付部同士の間隔とが異なるように構成されている。なお、「回路」とは、一般的に導体を終端がないように接続したものをいうが、本願明細書では、「回路」を、終端がある場合も含む「電流の通路」を意味する広い概念として記載している。
【0008】
この発明の一の局面による昇圧チョッパ回路では、上記のように、昇圧チョッパ回路に、スイッチング素子回路を収納する第1半導体パッケージと、第1半導体パッケージとは別個に設けられ、逆流防止ダイオード回路を収納する第2半導体パッケージとを設ける。これにより、スイッチング素子回路または逆流防止ダイオード回路のいずれか一方が故障した場合に、故障したスイッチング素子回路を収納する第1半導体パッケージのみ、または、故障した逆流防止ダイオード回路を収納する第2半導体パッケージのみを交換することができるので、交換が不要なスイッチング素子回路または逆流防止ダイオード回路が交換されることを抑制することができる。なお、この場合には、交換が不要なスイッチング素子回路または逆流防止ダイオード回路が交換されることが抑制される分、交換コストが増大するのを抑制することができる。
【0009】
上記一の局面による昇圧チョッパ回路において、好ましくは、第1半導体パッケージと第2半導体パッケージとは、互いに異なる形状に形成されている。このように構成すれば、第1半導体パッケージと第2半導体パッケージとが同一の形状に形成されている場合と異なり、第1半導体パッケージまたは第2半導体パッケージが交換される際に、第1半導体パッケージと第2半導体パッケージとが取り間違えて交換されるのを抑制することができる。また、昇圧チョッパ回路の生産時においても、第1半導体パッケージと第2半導体パッケージとが取り間違えて取り付けられるのを抑制することができるので、昇圧チョッパ回路の生産性(生産効率)を向上させることができる。
【0010】
上記一の局面による昇圧チョッパ回路において、好ましくは、逆流防止ダイオード回路は、ワイドバンドギャップ半導体からなるダイオードを含む。このように構成すれば、ワイドバンドギャップ半導体からなるダイオードを用いることにより、一般的なシリコン半導体からなるダイオードを用いる場合に比べて逆回復損失を低減することができる。その結果、昇圧チョッパ回路を駆動させる際の電力損失を低減することができる。
【0011】
上記一の局面による昇圧チョッパ回路において、好ましくは、スイッチング素子回路は、ワイドバンドギャップ半導体からなるスイッチング素子を含む。このように構成すれば、ワイドバンドギャップ半導体からなるスイッチング素子を用いることにより、一般的なシリコン半導体からなるスイッチング素子を用いる場合に比べてスイッチング損失を低減することができる。その結果、昇圧チョッパ回路を駆動させる際の電力損失を低減することができる。
【0012】
上記一の局面による昇圧チョッパ回路において、好ましくは、スイッチング素子回路は、互いに直列に接続された第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを含み、逆流防止ダイオード回路は、第1のスイッチング素子に直列に接続されている第1のダイオードと、第2のスイッチング素子に直列に接続されている第2のダイオードとを含み、コンデンサ回路は、互いに直列に接続された第1のコンデンサと第2のコンデンサとを含み、第1半導体パッケージは、第1のスイッチング素子を収納する一方第1半導体パッケージと、一方第1半導体パッケージとは別個に設けられ、第2のスイッチング素子を収納する他方第1半導体パッケージとを含み、第2半導体パッケージは、第1のダイオードを収納する一方第2半導体パッケージと、一方第2半導体パッケージとは別個に設けられ、第2のダイオードを収納する他方第2半導体パッケージとを含む。このように構成すれば、昇圧チョッパ回路を、3レベル昇圧チョッパ回路として構成することができるとともに、第1のスイッチング素子、第2のスイッチング素子、第1のダイオード、および、第2のダイオードのうちのいずれかの素子が故障した場合に、その他の交換が不要な素子が交換されることを抑制することができる。
【0013】
上記一の局面による昇圧チョッパ回路において、好ましくは、スイッチング素子回路は、互いに直列に接続された第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを含み、逆流防止ダイオード回路は、第1のスイッチング素子に直列に接続されている第1のダイオードと、第2のスイッチング素子に直列に接続されている第2のダイオードとを含み、コンデンサ回路は、互いに直列に接続された第1のコンデンサと第2のコンデンサとを含み、第1半導体パッケージに第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子が共に収納されているか、または、第2半導体パッケージに第1のダイオードおよび第2のダイオードが共に収納されている。ここで、第1のダイオードおよび第2のダイオードは、制御回路に接続され能動素子として構成される第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子に比べて、故障可能性が低くなると考えられる。また、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子は、一方のスイッチング素子が故障する際に他方のスイッチング素子も故障する場合があると考えられる。この点に着目して、本発明では、第1半導体パッケージに第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子を共に収納するか、または、第2半導体パッケージに第1のダイオードおよび第2のダイオードを共に収納する。これにより、第2半導体パッケージに第1のダイオードおよび第2のダイオードが共に収納された場合でも、故障可能性が低い分、第2半導体パッケージの交換作業回数を低減することができる。また、第1半導体パッケージに第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子が共に収納された場合でも、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子が同時に故障する可能性が高い分、交換が不要なスイッチング素子が交換されるのを抑制することができる。そして、第1半導体パッケージまたは第2半導体パッケージに複数の素子を収納することにより、パッケージの数が増大するのを抑制することができるので、昇圧チョッパ回路の大型化(複雑化)を抑制することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、第2半導体パッケージには、第1のダイオードおよび第2のダイオードが共に収納されている。このように構成すれば、第1のダイオードと第2のダイオードとが別々のパッケージに収納されている場合に比べて、パッケージの数が増大しないので、昇圧チョッパ回路の大型化(複雑化)を抑制することができる。また、第2半導体パッケージに第1のダイオードおよび第2のダイオードが共に収納されている一方、故障可能性が低いので、第2半導体パッケージの交換作業回数を低減することができる。
【0015】
上記第1半導体パッケージに第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子が共に収納されているか、または、第2半導体パッケージに第1のダイオードおよび第2のダイオードが共に収納されている昇圧チョッパ回路において、好ましくは、第1半導体パッケージには、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子が共に収納されている。このように構成すれば、第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とが別々のパッケージに収納されている場合に比べて、パッケージの数が増大しないので、昇圧チョッパ回路の大型化(複雑化)を抑制することができる。また、第1半導体パッケージに第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子が共に収納されている一方、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子は同時に故障する可能性が高い分、交換が不要なスイッチング素子が交換されるのを抑制することができる。
【0016】
上記第1半導体パッケージに第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子が共に収納されているか、または、第2半導体パッケージに第1のダイオードおよび第2のダイオードが共に収納されている昇圧チョッパ回路において、好ましくは、第1半導体パッケージに、同時に故障する可能性が高い第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子が共に収納されているか、または、第2半導体パッケージに、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子よりも故障可能性の低い、第1のダイオードおよび第2のダイオードが共に収納されている。このように構成すれば、故障可能性および故障態様の少なくとも一方に対応することにより、適切に、交換が不要なスイッチング素子が交換されるのを抑制しながら、パッケージの数の増大を抑制することができる。




【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上記のように、交換が不要なスイッチング素子または逆流防止ダイオードが交換されてしまうのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態による昇圧チョッパ回路の全体構成を示す電気回路図である。
図2】本発明の第1実施形態による昇圧チョッパ回路の構成を模式的に示した平面図である。
図3】本発明の第2実施形態による昇圧チョッパ回路の全体構成を示す電気回路図である。
図4】本発明の第2実施形態による昇圧チョッパ回路の構成を模式的に示した平面図である。
図5】本発明の第3実施形態による昇圧チョッパ回路の全体構成を示す電気回路図である。
図6】本発明の第3実施形態による昇圧チョッパ回路の構成を模式的に示した平面図である。
図7】本発明の第4実施形態による昇圧チョッパ回路の全体構成を示す電気回路図である。
図8】本発明の第4実施形態による昇圧チョッパ回路の構成を模式的に示した平面図である。
図9】本発明の第5実施形態による昇圧チョッパ回路の全体構成を示す電気回路図である。
図10】本発明の第5実施形態による昇圧チョッパ回路の構成を模式的に示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
[第1実施形態]
図1および図2を参照して、第1実施形態による昇圧チョッパ回路100の構成について説明する。図1では、昇圧チョッパ回路100の電気回路図を示している。図2では、昇圧チョッパ回路100の構成を模式的に示した平面図を示している。
【0021】
(昇圧チョッパ回路の構成)
図1に示すように、昇圧チョッパ回路100は、直流出力回路1から出力される電圧を昇圧して負荷装置101に供給するように構成されている。また、第1実施形態では、昇圧チョッパ回路100は、いわゆる2レベル昇圧チョッパ回路として構成されている。また、直流出力回路1は、直流電源として構成されているか、交流電源および整流回路を含み、交流を整流した整流波形を有するように構成することにより、直流を出力可能に構成されている。
【0022】
そして、昇圧チョッパ回路100には、リアクトル2と、スイッチング素子回路3と、逆流防止ダイオード回路4と、コンデンサ5と、制御回路6とが設けられている。なお、「回路」とは、一般的に導体を終端がないように接続したものをいうが、本願明細書では、「回路」を、終端がある場合も含む「電流の通路」を意味する広い概念として記載している。
【0023】
ここで、第1実施形態では、図1に示すように、スイッチング素子回路3は、リアクトル2を介して直流出力回路1の両端に接続されている。また、スイッチング素子回路3は、スイッチング素子31を含む。詳細には、リアクトル2の一方端は、直流出力回路1の正極に接続されており、リアクトル2の他方端は、スイッチング素子回路3(スイッチング素子31)の一方端に接続されている。そして、スイッチング素子回路3(スイッチング素子31)の他方端は、直流出力回路1の負極に接続されている。
【0024】
また、第1実施形態では、スイッチング素子31は、ワイドバンドギャップ半導体からなる。具体的には、スイッチング素子31は、SiC、GaN、ダイヤモンド、AlN、または、ZnOなどのシリコン半導体よりもバンドギャップが大きい(広い)半導体素子からなる。そして、スイッチング素子31は、MOSFET、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、または、トランジスタなどのスイッチング素子として構成されている。
【0025】
また、逆流防止ダイオード回路4は、スイッチング素子回路3に接続されている。具体的には、逆流防止ダイオード回路4は、ダイオード41を含む。また、ダイオード41は、ワイドバンドギャップ半導体からなる。具体的には、ダイオード41は、スイッチング素子31と同種のワイドバンドギャップ半導体により構成されてもよいし、異なる種類のワイドバンドギャップ半導体により構成されてもよい。そして、逆流防止ダイオード回路4の一方端(ダイオード41のアノード)は、リアクトル2の他方端およびスイッチング素子回路3の一方端に接続されており、逆流防止ダイオード回路4の他方端(ダイオード41のカソード)は、コンデンサ5の一方端に接続されている。
【0026】
そして、コンデンサ5の他方端は、スイッチング素子回路3の他方端および直流出力回路1の負極に接続されている。すなわち、第1実施形態では、コンデンサ5は、スイッチング素子回路3の両端の間において、逆流防止ダイオード回路4に直列に接続されている。
【0027】
制御回路6は、スイッチング素子回路3に接続されており、スイッチング素子回路3のスイッチング素子31のオンオフ(スイッチング動作)の時比率を制御するように構成されている。そして、制御回路6は、スイッチング素子回路3のオンオフの時比率を制御することにより、昇圧チョッパ回路100の負荷装置101に対する電圧値(昇圧)および電流値(リアクトル2に流れる電流値)を調整(制御)することが可能に構成されている。
【0028】
負荷装置101は、たとえば、複数のスイッチング素子を含むインバータ101aおよび電動機101bを備えている。インバータ101aは、コンデンサ5の両端に接続されており、昇圧チョッパ回路100により昇圧された直流の電力を交流の電力に変換して、交流の電力を電動機101bに供給するように構成されている。電動機101bは、たとえば、回転電機として構成されており、インバータ101aからの交流の電力を消費して、回転駆動するように構成されている。
【0029】
〈第1半導体パッケージおよび第2半導体パッケージの構成〉
ここで、第1実施形態では、図2に示すように、昇圧チョッパ回路100には、第1半導体パッケージ7と、第2半導体パッケージ8とが設けられている。具体的には、昇圧チョッパ回路100には、昇圧チョッパ回路本体部100aが設けられている。昇圧チョッパ回路本体部100aは、たとえば、プリント基板として構成されていてもよいし、ヒートシンクとして構成されていてもよい。また、図2の例では、昇圧チョッパ回路本体部100aを単一の部材として図示しているが、昇圧チョッパ回路本体部100aは、単一のプリント基板やヒートシンクに限らず、複数のプリント基板および複数のヒートシンク(またはそれらの組み合わせ)から構成されていてもよい。
【0030】
そして、第1実施形態では、第1半導体パッケージ7は、スイッチング素子回路3を収納するように構成されている。詳細には、第1半導体パッケージ7は、たとえば、銅などの金属ベース上に絶縁層を介してスイッチング素子回路3を実装し、ワイヤで配線した後に、樹脂ケースを接着したものである。そして、第1実施形態では、第1半導体パッケージ7には、スイッチング素子回路3を構成するスイッチング素子31が収納されている。
【0031】
図2に示すように、第1半導体パッケージ7には、取付部71と第1端子72aと第2端子72bとが設けられている。取付部71は、たとえば、図示しないビス等の固定部材を配置することが可能な貫通穴として構成されている。これにより、第1半導体パッケージ7は、昇圧チョッパ回路本体部100aに対して脱着可能(交換可能)に構成されている。
【0032】
また、昇圧チョッパ回路100には、配線9a〜9cが設けられており、第1端子72aは、リアクトル2の他方端に接続されている配線9aに接続されている。また、第2端子72bは、直流出力回路1の負極に接続されている配線9bに接続されている。なお、第1端子72aと配線9aとの接続部分、および、第2端子72bと配線9bとの接続部分は、たとえば、導電体(半田等)を溶着することにより接合されていてもよいし、第1端子72aおよび第2端子72bの内部に設けられたナット部に、配線9aまたは9bを挟み込むように金属製のボルト等により固定するように構成してもよい。また、「配線」という表現を用いているが、ケーブル状(線状)のものに限らず、板状の配線用のプレートを用いてもよい。
【0033】
ここで、第1実施形態では、昇圧チョッパ回路100には、第1半導体パッケージ7とは別個に設けられ、逆流防止ダイオード回路4を収納する第2半導体パッケージ8が設けられている。具体的には、第2半導体パッケージ8には、第1半導体パッケージ7から離間して配置されており、逆流防止ダイオード回路4を構成するダイオード41が内部に収納されている。
【0034】
また、第1実施形態では、第1半導体パッケージ7と第2半導体パッケージ8とは、互いに異なる形状に形成されている。具体的には、図2に示すように、第1半導体パッケージ7と第2半導体パッケージ8とは、平面視において(Z1方向側から見て)、X軸に平行な方向の幅(W11とW21)、および、Y軸に平行な方向の幅(W12とW22)とが、互いに異なる大きさを有する。
【0035】
詳細には、第1半導体パッケージ7は、平面視において、矩形形状を有するように形成されている。そして、第1半導体パッケージ7は、たとえば、X軸に平行な方向の幅W11とY軸に平行な方向の幅W12とを有する。また、第2半導体パッケージ8は、平面視において、矩形形状を有するように形成されている。そして、第2半導体パッケージ8は、たとえば、X軸に平行な方向に幅W11よりも小さい幅W21を有するとともに、Y軸に平行な方向に幅W12よりも大きい幅W22を有する。
【0036】
また、第2半導体パッケージ8には、取付部81と第1端子82aと第2端子82bとが設けられている。取付部81は、取付部71と同様に構成されており、第2半導体パッケージは、取付部81により、昇圧チョッパ回路本体部100aに脱着可能(交換可能)に構成されている。そして、第1端子82aは、配線9aに接続されている。したがって、第2半導体パッケージ8の第1端子82aと第1半導体パッケージ7の第1端子72aとリアクトル2の他方端とは、配線9aを介して接続されている。また、第2端子82bは、配線9cに接続されている。
【0037】
そして、第1実施形態では、第1半導体パッケージ7と第2半導体パッケージ8とは、昇圧チョッパ回路100(昇圧チョッパ回路本体部100a)に対して、個別に交換可能に構成されている。
【0038】
コンデンサ5には、図2に示すように、一方端子5aと他方端子5bとが設けられている。一方端子5aと配線9cとが接続されており、他方端子5bと配線9bとが接続されている。すなわち、コンデンサ5は、配線9cを介して、第2半導体パッケージ8の第2端子82bに接続されているとともに、配線9bを介して、直流出力回路1の負極に接続されている。これにより、コンデンサ5は、スイッチング素子回路3の両端の間において、逆流防止ダイオード回路4に直列に接続されている状態となる。
【0039】
(昇圧チョッパ回路の動作)
次に、図1を参照して、第1実施形態による昇圧チョッパ回路100の動作について説明する。昇圧チョッパ回路100の動作は、制御回路6の制御処理により実行される。
【0040】
まず、スイッチング素子31がオフにされると、直流出力回路1とリアクトル2とコンデンサ5との直列共振回路となり、コンデンサ5の電圧が上昇していく。この時、コンデンサ5の電圧はスイッチング素子31に印加されている。また、ダイオード41は導通状態となり、電圧は印加されていない。
【0041】
そして、スイッチング素子31がオンにされると、直流出力回路1はリアクトル2を介して短絡状態となり、コンデンサ5への電流の流入がなくなる。この時、コンデンサ5の電圧が、ダイオード41に印加される。そして、コンデンサ5から後段の負荷装置101側に電流が流れることにより、コンデンサ5の電圧が低下する。
【0042】
そして、定常的に運転している状態においては、一定の時比率でスイッチング素子31のオフとオンとが切り替えられ、スイッチング素子31をオフとしたときのコンデンサ5の電圧の上昇量と、スイッチング素子31をオンとしたときのコンデンサ5の電圧の低下量とが釣り合い、入力電源電圧以上の略一定の昇圧された直流電圧になる。
【0043】
ここで、装置(負荷装置101)が停止されるときは、スイッチング素子31がオフにされる。また、負荷装置101の内部のインバータ101aのスイッチがオフされ、負荷装置101の側に電流が流れない状態にされる。この場合、直流出力回路1とリアクトル2とコンデンサ5とは、直列共振回路となる。
【0044】
この時、コンデンサ5の電圧が上昇する。そして、スイッチング素子31がオンではない(オフである)ので、コンデンサ5の電圧が、定常運転時よりも上昇する。共振電流が0になったときには、コンデンサ5の放電は、ダイオード41と、オフしているスイッチング素子31とによって妨げられる。そして、スイッチング素子31の電圧は、コンデンサ5が充電している間はコンデンサ5の電圧と等しなる一方、共振電流が0になったときには直流出力回路1の電圧と等しくなる。コンデンサ5の充電中では、ダイオード41は電圧が比較的低くなる一方、共振電流が0になったときにはコンデンサ5の電圧からスイッチング素子31の電圧(直流出力回路1の電圧)を引いた値の電圧がダイオード41にかかるようになる。
【0045】
なお、上記のように動作を行う昇圧チョッパ回路100においては、スイッチング素子31が故障することがあり得る。また、スイッチング素子31が故障するときであっても、ダイオード41が故障するとは限らない。このような場合には、昇圧チョッパ回路100において、第2半導体パッケージ8は交換されずに、故障したスイッチング素子31が収納されている第1半導体パッケージ7のみが交換される。この場合、ダイオード41がワイドバンドギャップ半導体から構成されている場合には、後述するように、交換コスト増大を抑制する効果が顕著となる。
【0046】
また、上記のように動作を行う昇圧チョッパ回路100においては、逆回復サージなどが生じた場合、ダイオード41が故障することがあり得る。また、ダイオード41が故障するときであっても、スイッチング素子31が故障するとは限らない。たとえば、スイッチング素子31が短絡耐量を超える前に制御回路6によりオフされれば、スイッチング素子31は故障しない。このような場合には、昇圧チョッパ回路100において、第1半導体パッケージ7は交換されずに、故障したダイオード41が収納されている第2半導体パッケージ8のみが交換される。この場合、スイッチング素子31がワイドバンドギャップ半導体から構成されている場合には、後述するように、交換コスト増大を抑制する効果が顕著となる。
【0047】
[第1実施形態の効果]
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0048】
第1実施形態では、上記のように、昇圧チョッパ回路100に、スイッチング素子回路3を収納する第1半導体パッケージ7と、第1半導体パッケージ7とは別個に設けられ、逆流防止ダイオード回路4を収納する第2半導体パッケージ8とを設ける。これにより、スイッチング素子回路3または逆流防止ダイオード回路4のいずれか一方が故障した場合に、故障したスイッチング素子回路3を収納する第1半導体パッケージ7または逆流防止ダイオード回路4を収納する第2半導体パッケージ8のみを交換することができるので、交換が不要なスイッチング素子回路3または逆流防止ダイオード回路4が交換されることを抑制することができる。なお、交換が不要なスイッチング素子回路3または逆流防止ダイオード回路4が交換されることが抑制される分、交換コストが増大するのを抑制することができる。
【0049】
また、第1実施形態では、上記のように、第1半導体パッケージ7と第2半導体パッケージ8とを、互いに異なる形状に形成する。これにより、第1半導体パッケージ7と第2半導体パッケージ8とが同一の形状に形成されている場合と異なり、第1半導体パッケージ7または第2半導体パッケージ8が交換される際に、第1半導体パッケージ7と第2半導体パッケージ8とが取り間違えて交換されるのを抑制することができる。また、昇圧チョッパ回路100の生産時においても、第1半導体パッケージ7と第2半導体パッケージ8とが取り間違えて取り付けられるのを抑制することができるので、昇圧チョッパ回路100の生産性(生産効率)を向上させることができる。
【0050】
また、第1実施形態では、上記のように、逆流防止ダイオード回路4に、ワイドバンドギャップ半導体からなるダイオード41を設ける。これにより、ワイドバンドギャップ半導体からなるダイオード41を用いることにより、一般的なシリコン半導体からなるダイオードを用いる場合に比べて逆回復損失を低減することができる。その結果、昇圧チョッパ回路100を駆動させる際の電力損失を低減することができる。
【0051】
また、第1実施形態では、上記のように、スイッチング素子回路3に、ワイドバンドギャップ半導体からなるスイッチング素子31を設ける。これにより、ワイドバンドギャップ半導体からなるスイッチング素子31を用いることにより、一般的なシリコン半導体からなるスイッチング素子31を用いる場合に比べてスイッチング損失を低減することができる。その結果、昇圧チョッパ回路100を駆動させる際の電力損失を低減することができる。
【0052】
[第2実施形態]
次に、図3および図4を参照して、第2実施形態による昇圧チョッパ回路200の構成について説明する。第2実施形態では、2レベル昇圧チョッパ回路として構成されていた昇圧チョッパ回路100と異なり、3レベル昇圧チョッパ回路として構成されている。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0053】
(第2実施形態による昇圧チョッパ回路の構成)
図3および図4に示すように、第2実施形態による昇圧チョッパ回路200には、スイッチング素子回路203と、逆流防止ダイオード回路204と、コンデンサ回路205と、制御回路206とが設けられている。昇圧チョッパ回路200は、3レベル昇圧チョッパ回路として構成されている。
【0054】
また、昇圧チョッパ回路200には、第1半導体パッケージ207aおよび207bと、第2半導体パッケージ208aおよび208bとが設けられている。なお、第1半導体パッケージ207aは、特許請求の範囲の「一方第1半導体パッケージ」の一例である。また、第1半導体パッケージ207bは、特許請求の範囲の「他方第1半導体パッケージ」の一例である。また、第2半導体パッケージ208aは、特許請求の範囲の「一方第2半導体パッケージ」の一例である。また、第2半導体パッケージ208bは、特許請求の範囲の「他方第2半導体パッケージ」の一例である。
【0055】
図3に示すように、スイッチング素子回路203は、互いに直列に接続された第1スイッチング素子231aと第2スイッチング素子231bとを含む。また、逆流防止ダイオード回路204は、第1スイッチング素子231aに直列に接続されている第1ダイオード241aと、第2スイッチング素子231bに直列に接続されている第2ダイオード241bとを含む。コンデンサ回路205は、互いに直列に接続された第1コンデンサ251aと第2コンデンサと251bを含む。
【0056】
第1半導体パッケージ207aは、第1スイッチング素子231aを収納するように構成されている。また、第1半導体パッケージ207bは、第1半導体パッケージ207aとは別個に設けられ、第2スイッチング素子231bを収納するように構成されている。
【0057】
第2半導体パッケージ208aは、第1ダイオード241aを収納するように構成されている。また、第2半導体パッケージ208bは、第2半導体パッケージ208aとは別個に設けられ、第2ダイオード241bを収納するように構成されている。
【0058】
すなわち、第2実施形態では、第1スイッチング素子231a、第2スイッチング素子231b、第1ダイオード241a、および、第2ダイオード241bは、互いに別々のパッケージに収納されている。
【0059】
〈第1半導体パッケージおよび第2半導体パッケージの構成〉
図4に示すように、第1半導体パッケージ207aおよび207bは、互いに略同一の形状に形成されている。また、第2半導体パッケージ208aおよび208bは、互いに略同一の形状に形成されている。第1半導体パッケージ207aと、第2半導体パッケージ208aとは、互いに異なる形状に形成されている。たとえば、第1半導体パッケージ207aおよび207bは、第1実施形態による第1半導体パッケージ7と同様の形状を有するように形成されている。また、第2半導体パッケージ208aおよび208bは、第1実施形態による第2半導体パッケージ8と同様の形状を有するように形成されている。
【0060】
また、昇圧チョッパ回路200には、昇圧チョッパ回路本体部200aが設けられており、昇圧チョッパ回路本体部200aには、第1半導体パッケージ207aおよび207b、および、第2半導体パッケージ208aおよび208bが、個別に取り付けられている。また、第1半導体パッケージ207aおよび207b、および、第2半導体パッケージ208aおよび208bは、互いに離間して配置されている。そして、第1半導体パッケージ207aおよび207b、および、第2半導体パッケージ208aおよび208bは、昇圧チョッパ回路本体部200aに対して、それぞれ個別に交換可能(取り外し可能)に構成されている。
【0061】
そして、昇圧チョッパ回路200には、配線209a〜209eが設けられている。配線209aには、リアクトル2と第1半導体パッケージ207aと第2半導体パッケージ208aとが接続されている。また、配線209bには、直流出力回路1と第1半導体パッケージ207bと第2半導体パッケージ208bとが接続されている。また、配線209cには、第1半導体パッケージ207aと第1半導体パッケージ207bと第1コンデンサ251aと第2コンデンサ251bとが接続されている。また、配線209dには、第2半導体パッケージ208aと第1コンデンサ251aとが接続されている。また、配線209eには、第2半導体パッケージ208bと第2コンデンサ251bとが接続されている。
【0062】
また、第2実施形態による昇圧チョッパ回路200のその他の構成は、第1実施形態における昇圧チョッパ回路100と同様である。
【0063】
(第2実施形態による昇圧チョッパ回路の動作)
次に、図3を参照して、第2実施形態による昇圧チョッパ回路200の動作について説明する。なお、昇圧チョッパ回路200の動作は、制御回路206の制御処理により実行される。
【0064】
まず、第1スイッチング素子231aがオンされ、かつ、第2スイッチング素子231bがオフされると、直流出力回路1とリアクトル2と第2コンデンサ251bの直列共振回路となり、第2コンデンサ251bの電圧が上昇していく。この時、第2コンデンサ251bの電圧が、第2スイッチング素子231bに印加される。また、第2ダイオード241bは導通状態であり、電圧は印加されない。そして、直流出力回路1からの電流が流れ込まない第1コンデンサ251aの電圧が第1ダイオード241aに印加される。
【0065】
また、第1スイッチング素子231aがオフされ、かつ、第2スイッチング素子231bがオンされると、直流出力回路1は第1コンデンサ251aを充電し、第1コンデンサ251aの電圧はオフにしている第1スイッチング素子231aに印加される。
【0066】
また、第1スイッチング素子231aと第2スイッチング素子231bとが共にオンされると、直流出力回路1はリアクトル2を介して短絡となり、第1コンデンサ251a、第2コンデンサ251bには直流出力回路1から電流は流れ込まない。第1コンデンサ251aおよび第2コンデンサ251bの電圧は、それぞれ第1ダイオード241aおよび第2ダイオード241bに印加される。そして、第1コンデンサ251aおよび第2コンデンサ251bから後段の負荷装置101c(なお、図3では負荷装置101cをハーフブリッジ単相インバータとして図示しているが、これに限られない)に電流が流れることにより、第1コンデンサ251aおよび第2コンデンサ251bの電圧は低下する。
【0067】
また、第1スイッチング素子231aと第2スイッチング素子231bとが共にオフされると、直流出力回路1からの電流により、第1コンデンサ251aおよび第2コンデンサ251bが充電される。そして、第1コンデンサ251aおよび第2コンデンサ251bの電圧が、それぞれ、第1スイッチング素子231aおよび第2スイッチング素子231bに印加される。
【0068】
そして、定常的に運転している状態においては、一定の時比率で第1スイッチング素子231aと第2スイッチング素子231bとのオフとオンとが切り替えられて、第1コンデンサ251aおよび第2コンデンサ251bの電圧の上昇量と、第1スイッチング素子231aおよび第2スイッチング素子231bをオンとしたときの第1コンデンサ251aおよび第2コンデンサ251bの電圧の低下量とが釣り合うようにされ、略一定の直流電圧が得られる。
【0069】
そして、装置(負荷装置101c)を停止する場合には、第1スイッチング素子231aおよび第2スイッチング素子231bが共にオフされる。また、後段の負荷装置101c(インバータのスイッチ)もオフし、負荷装置101cの側に電流が流れなくなる。この場合、直流出力回路1と、リアクトル2と、第1コンデンサ251aおよび第2コンデンサ251bとの直列共振回路となり、第1コンデンサ251aおよび第2コンデンサ251bの電圧は上昇する。第1スイッチング素子231aおよび第2スイッチング素子231bが共にオンされない(オフの状態である)ので、第1コンデンサ251aおよび第2コンデンサ251bの電圧が、定常運転時よりも上昇する。なお、第1コンデンサ251aおよび第2コンデンサ251bの耐圧は、このとき上昇する電圧よりも高い。
【0070】
そして、共振電流が0になったときには、第1コンデンサ251aおよび第2コンデンサ251bの放電は、第1ダイオード241aおよび第2ダイオード241bと、オフされている第1スイッチング素子231aおよび第2スイッチング素子231bとによって妨げられる。第1スイッチング素子231aおよび第2スイッチング素子231bの電圧は、コンデンサ回路205が充電している間は第1コンデンサ251aまたは第2コンデンサ251bの電圧と等しくなるが、共振電流が0になったときには直流電圧回路1の電圧の半分と等しくなる。第1ダイオード241aおよび第2ダイオード241bの電圧は、第1コンデンサ251aおよび第2コンデンサ251bの充電している間は電圧を有しない(電位差が略0)が、第1コンデンサ251aおよび第2コンデンサ251bの電圧から第1スイッチング素子231aおよび第2スイッチング素子231bの電圧(直流出力回路1の電圧の半分を引いた値の電圧)が印加される状態になる。
【0071】
なお、上記のように動作を行う昇圧チョッパ回路200においては、第1スイッチング素子231aまたは第2スイッチング素子231bのうちの一方(たとえば、第1スイッチング素子231a)が故障することがあり得る。この場合、第1スイッチング素子231aまたは第2スイッチング素子231bのうちの他方(第2スイッチング素子231b)、第1ダイオード241aおよび第2ダイオード241bが故障するとは限らない。このような場合には、昇圧チョッパ回路200において、第1半導体パッケージ207b、第2半導体パッケージ208aおよび208bは交換されずに、故障した第1スイッチング素子231aが収納されている第1半導体パッケージ207aのみが交換される。
【0072】
また、上記のように動作を行う昇圧チョッパ回路200においては、逆回復サージが生じた場合に、第1ダイオード241aおよび第2ダイオード241bのうちの一方(たとえば、第1ダイオード241a)が故障することがあり得る。この場合、故障した第1ダイオード241aが収納されている第2半導体パッケージ208aのみが交換される。
【0073】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0074】
第2実施形態では、上記のように、スイッチング素子回路203に、互いに直列に接続された第1スイッチング素子231aと第2スイッチング素子231bとを設ける。また、逆流防止ダイオード回路204に、第1スイッチング素子231aに直列に接続されている第1ダイオード241aと、第2スイッチング素子231bに直列に接続されている第2ダイオード241bとを設ける。また、コンデンサ回路205に、互いに直列に接続された第1コンデンサ251aと第2コンデンサ251bとを設ける。また、昇圧チョッパ回路200に、第1スイッチング素子231aを収納する第1半導体パッケージ207aと、第1半導体パッケージ207aとは別個に設けられ、第2スイッチング素子231bを収納する第1半導体パッケージ207bとを設ける。また、昇圧チョッパ回路200に、第1ダイオード241aを収納する第2半導体パッケージ208aと、第2半導体パッケージ208bとは別個に設けられ、第2ダイオード241bを収納する第2半導体パッケージ208bとを設ける。これにより、昇圧チョッパ回路200を、3レベル昇圧チョッパ回路として構成することができるとともに、第1スイッチング素子231a、第2スイッチング素子231b、第1ダイオード241a、および、第2ダイオード241bのうちのいずれかの素子が故障した場合に、その他の交換が不要な素子が交換されることを抑制することができる。
【0075】
また、第2実施形態による昇圧チョッパ回路200のその他の効果は、第1実施形態における昇圧チョッパ回路100と同様である。
【0076】
[第3実施形態]
次に、図5および図6を参照して、第3実施形態による昇圧チョッパ回路300の構成について説明する。第3実施形態では、昇圧チョッパ回路300は、第2実施形態と同様に3レベル昇圧チョッパ回路として構成されている。一方、第3実施形態では、第1ダイオード241aおよび第2ダイオード241bが別々の半導体パッケージに収納されていた第2実施形態と異なり、第1ダイオード341aおよび第2ダイオード341bが共に第2半導体パッケージ308に収納されている。なお、上記第1実施形態および上記第2実施形態と同一の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0077】
(第3実施形態による昇圧チョッパ回路の構成)
図5および図6に示すように、第3実施形態による昇圧チョッパ回路300には、第1半導体パッケージ207aおよび207bと、第2半導体パッケージ308とが設けられている。第2半導体パッケージ308には、第1ダイオード341aおよび第2ダイオード341b(逆流防止ダイオード回路304)が共に収納されている。第2半導体パッケージ308は、昇圧チョッパ回路本体部300aに対して交換可能に取り付けられている。
【0078】
ここで、第1ダイオード341aおよび第2ダイオード341b(受動素子)の故障可能性は、制御回路206に接続され、能動素子として機能する第1スイッチング素子231aおよび第2スイッチング素子231bの故障可能性に比べて低くなると考えられる。すなわち、第1ダイオード341aおよび第2ダイオード341bの交換頻度は、第1スイッチング素子231aおよび第2スイッチング素子231bの交換頻度よりも小さくなると考えられる。
【0079】
そこで、第3実施形態では、第1ダイオード341aおよび第2ダイオード341bの上記の故障可能性に対応させて、第2半導体パッケージ308に、第1ダイオード341aおよび第2ダイオード341bが共に収納されている。
【0080】
図6に示すように、第3実施形態においても、第1半導体パッケージ207aおよび207bと、第2半導体パッケージ308とは、別個で、かつ、異なる形状に構成されている。第2半導体パッケージ308は、取付部381と端子382a〜382dとを含む。第2半導体パッケージ308は、取付部381により昇圧チョッパ回路本体部300aに取り付けられるように構成されている。端子382aおよび382bは、第1ダイオード341aに接続されており(図5参照)、端子382cおよび端子382dは、第2ダイオード341bに接続されている(図5参照)。また、昇圧チョッパ回路300には、配線309a〜309eが設けられおり、配線309a〜309eによる接続により、図5に示す回路構成が形成されている。
【0081】
また、第3実施形態による昇圧チョッパ回路300のその他の構成は、第2実施形態における昇圧チョッパ回路200と同様である。また、第3実施形態による昇圧チョッパ回路300の動作は、第2実施形態における昇圧チョッパ回路200の動作と同様である。
【0082】
[第3実施形態の効果]
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0083】
第3実施形態では、上記のように、第2半導体パッケージ308に、第1ダイオード341aおよび第2ダイオード341bが共に収納されている。ここで、第1ダイオード341aおよび第2ダイオード341bは、制御回路206に接続され能動素子として構成される第1スイッチング素子231aおよび第2スイッチング素子231bに比べて、故障可能性が低くなると考えられる。この点に着目して、第3実施形態では、上記のように構成することにより、第2半導体パッケージ308に第1ダイオード341aおよび第2ダイオード341bが共に収納された場合でも、故障可能性が低い分、第2半導体パッケージ308の交換作業回数を低減することができる。また、第1ダイオード341aおよび第2ダイオード341bを、別々のパッケージに収納する場合に比べて、パッケージの数が増大しないので、昇圧チョッパ回路300の大型化(複雑化)を抑制することができる。
【0084】
また、第3実施形態では、上記のように、第2半導体パッケージ308に、第1ダイオード341aおよび第2ダイオード341bの故障可能性および故障態様の少なくとも一方(故障可能性)に対応して、第1ダイオード341aおよび第2ダイオード341bが共に収納されている。これにより、故障可能性および故障態様の少なくとも一方に対応することにより、適切に、交換が不要な素子が交換されるのを抑制しながら、パッケージの数の増大を抑制することができる。
【0085】
また、第3実施形態による昇圧チョッパ回路300のその他の効果は、第1実施形態における昇圧チョッパ回路100と同様である。
【0086】
[第4実施形態]
次に、図7および図8を参照して、第4実施形態による昇圧チョッパ回路400の構成について説明する。第4実施形態では、昇圧チョッパ回路400は、第2実施形態と同様に3レベル昇圧チョッパ回路として構成されている。一方、第4実施形態では、第1スイッチング素子231aおよび第2スイッチング素子231bが別々の半導体パッケージに収納されていた第2実施形態と異なり、第1スイッチング素子431aおよび第2スイッチング素子431bが共に第1半導体パッケージ407に収納されている。なお、上記第1〜第3実施形態と同一の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0087】
(第4実施形態による昇圧チョッパ回路の構成)
図7および図8に示すように、第4実施形態による昇圧チョッパ回路400には、第1半導体パッケージ407と、第2半導体パッケージ208aおよび208bとが設けられている。第1半導体パッケージ407には、第1スイッチング素子431aおよび第2スイッチング素子431b(スイッチング素子回路403)が共に収納されている。第1半導体パッケージ407は、昇圧チョッパ回路本体部400aに対して交換可能に取り付けられている。
【0088】
ここで、昇圧チョッパ回路400では、第1スイッチング素子431aおよび第2スイッチング素子431bのうちの一方が短絡故障した時(たとえば、第1スイッチング素子431a)、他方のスイッチング素子(第2スイッチング素子431b)および負荷装置101cのインバータのスイッチをオフにすると、直流出力回路1とリアクトル2と第2コンデンサ251bとの直列共振回路となる。このような場合には、第2コンデンサ251bの電圧は通常の動作範囲の電圧や、通常に装置(昇圧チョッパ回路400の動作)を停止したときよりはるかに高くなる。
【0089】
この時、第2コンデンサ251bの電圧が上昇する際に、この電圧と同じ電圧が第2スイッチング素子431bに印加される。そのため、運転時の入力電圧、出力電圧によっては、第2スイッチング素子431bの耐圧に到達するまで電圧が上昇しうる。この場合、第2スイッチング素子431bは降伏、耐圧破壊する。すなわち、第1スイッチング素子431aおよび第2スイッチング素子431bのうちの一方が故障した場合に、第1スイッチング素子431aおよび第2スイッチング素子431bの他方も故障して、両方が故障する。
【0090】
そこで、第4実施形態では、第1スイッチング素子431aおよび第2スイッチング素子431bの両方が同時に故障する可能性が高いという上記のような故障態様に応じて、第1半導体パッケージ407には、第1スイッチング素子431aおよび第2スイッチング素子431bが共に収納されている。
【0091】
また、図8に示すように、第1半導体パッケージ407には、取付部471と、端子472a〜472cとが設けられている。そして、第1半導体パッケージ407は、取付部471により、昇圧チョッパ回路本体部400aに交換可能に取り付けられている。また、昇圧チョッパ回路400には、配線409a〜409eが設けられおり、配線409a〜409eによる接続により、図7に示す回路構成が形成されている。
【0092】
また、第4実施形態による昇圧チョッパ回路400のその他の構成は、第2実施形態における昇圧チョッパ回路200と同様である。また、第4実施形態による昇圧チョッパ回路400のその他の動作は、第2実施形態における昇圧チョッパ回路200の動作と同様である。
【0093】
[第4実施形態の効果]
第4実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0094】
第4実施形態では、上記のように、第1半導体パッケージ407に、第1スイッチング素子431aおよび第2スイッチング素子431bを共に収納する。これにより、第1スイッチング素子431aと第2スイッチング素子431bとが別々のパッケージに収納されている場合に比べて、パッケージの数が増大しないので、昇圧チョッパ回路400の大型化(複雑化)を抑制することができる。また、第1半導体パッケージ407に第1スイッチング素子431aおよび第2スイッチング素子431bが共に収納されている一方、第1スイッチング素子431aおよび第2スイッチング素子431bは同時に故障する可能性が高い故障態様である分、交換が不要なスイッチング素子が交換されるのを抑制することができる。
【0095】
また、第4実施形態による昇圧チョッパ回路400のその他の効果は、第1実施形態における昇圧チョッパ回路100と同様である。
【0096】
[第5実施形態]
次に、図9および図10を参照して、第5実施形態による昇圧チョッパ回路500の構成について説明する。第5実施形態では、3レベル昇圧チョッパ回路として構成されている。また、第1スイッチング素子531aおよび第2スイッチング素子531bが共に第1半導体パッケージ407に収納され、第1ダイオード541aおよび第2ダイオード541bが共に第2半導体パッケージ308に収納されている。なお、上記第1〜第4実施形態と同一の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0097】
(第5実施形態による昇圧チョッパ回路の構成)
図9および図10に示すように、第5実施形態による昇圧チョッパ回路500には、第1半導体パッケージ407と、第2半導体パッケージ308とが設けられている。第2半導体パッケージ407には、第1スイッチング素子531aおよび第2スイッチング素子531b(スイッチング素子回路503)が共に収納されている。また、第2半導体パッケージ308には、第1ダイオード541aおよび第2ダイオード541b(逆流防止ダイオード回路504)が共に収納されている。
【0098】
また、第1半導体パッケージ407と、第2半導体パッケージ308とは、互いに異なる形状に形成され、昇圧チョッパ回路本体部500aに交換可能に取り付けられている。また、第5実施形態では、第1ダイオード541aおよび第2ダイオード541bの耐圧は、第1半導体スイッチング素子531aおよび第2半導体スイッチング素子531bの耐圧よりも高い。また、第5実施形態では、第1ダイオード541aおよび第2ダイオード541bの短絡耐量は、第1半導体スイッチング素子531aおよび第2半導体スイッチング素子531bの短絡耐量よりも大きい。
【0099】
そして、図10に示すように、昇圧チョッパ回路500には、配線509a〜509eが設けられおり、配線509a〜509eによる接続により、図9に示す回路構成(3レベル昇圧チョッパ回路)が形成されている。
【0100】
また、第5実施形態による昇圧チョッパ回路500のその他の構成および動作は、第2実施形態における昇圧チョッパ回路200と同様である。
【0101】
[第5実施形態の効果]
第5実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0102】
第5実施形態では、上記のように、第1半導体パッケージ407には、第1スイッチング素子531aおよび第2スイッチング素子531bが共に収納されているとともに、第2半導体パッケージ308には、第1ダイオード541aおよび第2ダイオード541bが共に収納されている。そして、第1ダイオード541aおよび第2ダイオード541bの耐圧を、第1半導体スイッチング素子531aおよび第2半導体スイッチング素子531bの耐圧よりも高く構成する。ここで、たとえば、第2スイッチング素子531bが耐圧破壊して短絡したとき、電圧が第2ダイオード541bに印加される。そして、この電圧が第2ダイオード541bの耐圧より低い場合は、第2ダイオード541bは故障しないが、この電圧が第2ダイオード541bの耐圧よりも高い(電流値が短絡耐量よりも大きい)場合は、第2ダイオード541bは降伏、耐圧破壊する。このように、第2ダイオード541bの耐圧(および短絡耐量)が第2スイッチング素子531bよりも高くない場合は、第4実施形態による昇圧チョッパ回路400のように、第1ダイオード241aと第2ダイオード241bとを別々の半導体パッケージに収納することが好ましい。
【0103】
一方、第5実施形態では、上記のように、第1ダイオード541aおよび第2ダイオード541bの耐圧および短絡耐量は、第1半導体スイッチング素子531aおよび第2半導体スイッチング素子531bの耐圧および短絡耐量よりも大きいので、第1スイッチング素子531aまたは第2スイッチング素子531bが耐圧破壊して短絡した際に、同時に第1ダイオード541aまたは第2ダイオード541bが故障する可能性が低くなる。したがって、第1ダイオード541aまたは第2ダイオード541bの故障可能性が第1スイッチング素子531aおよび第2スイッチング素子531bに比べて低い状態を維持することができるため、第2実施形態の昇圧チョッパ回路200と同様に、第2半導体パッケージ308に、第1ダイオード541aおよび第2ダイオード541bを共に収納した場合でも、交換が不要なダイオードが交換されるのを抑制することができる。
【0104】
また、第5実施形態による昇圧チョッパ回路500のその他の効果は、第1実施形態における昇圧チョッパ回路100と同様である。
【0105】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0106】
たとえば、上記第1〜第5実施形態では、昇圧チョッパ回路を2レベル昇圧チョッパ回路および3レベル昇圧チョッパ回路として構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、昇圧チョッパ回路を、4レベル以上の昇圧チョッパ回路として構成してもよい。
【0107】
また、上記第1〜第5実施形態では、第1半導体パッケージと第2半導体パッケージとを、互いに異なる形状に形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1半導体パッケージと第2半導体パッケージとを昇圧チョッパ回路本体部に対する取付間違いが生じにくい製造方法の場合には、第1半導体パッケージと第2半導体パッケージとを同一の形状(外形)に構成してもよい。
【0108】
また、上記第1〜第5実施形態では、第1半導体パッケージと第2半導体パッケージとが互いに異なる形状を有する例として、図2に示すように、平面視において、互いに異なる幅を有するように形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1半導体パッケージと第2半導体パッケージとは、幅(大きさ)に限らず、異なる形状として視認可能な形状であればよい。
【0109】
また、上記第1〜第5実施形態では、ダイオードおよびスイッチング素子をワイドバンドギャップ半導体から構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、ダイオードおよびスイッチング素子をワイドバンドギャップ半導体以外の半導体(たとえば、シリコン半導体)から構成してもよい。
【符号の説明】
【0110】
2 リアクトル
3、203、403、503 スイッチング素子回路
4、204、304、504 逆流防止ダイオード回路
5 コンデンサ(コンデンサ回路)
7、207a、207b、407 第1半導体パッケージ(一方第1半導体パッケージ、他方第1半導体パッケージ)
8、208a、208b、308 第2半導体パッケージ(一方第2半導体パッケージ、他方第2半導体パッケージ)
31 スイッチング素子
41 ダイオード
100、200、300、400、500 昇圧チョッパ回路
205 コンデンサ回路
231a、431a、531a 第1スイッチング素子
231b、431b、531b 第2スイッチング素子
241a、341a、541a 第1ダイオード
241b、341b、541b 第2ダイオード
251a 第1コンデンサ
251b 第2コンデンサ
【要約】
【課題】交換が不要なスイッチング素子または逆流防止ダイオードが交換されてしまうのを抑制することが可能な昇圧チョッパ回路を提供する。
【解決手段】この昇圧チョッパ回路100は、リアクトル2とスイッチング素子回路3と逆流防止ダイオード回路4とコンデンサ5と、スイッチング素子回路3を収納する第1半導体パッケージ7と、第1半導体パッケージ7とは別個に設けられ、逆流防止ダイオード回路4を収納する第2半導体パッケージ8とを備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10