(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バラストタンクに貯留されるバラスト水の水位が基準水位を下回る場合に、前記制御部は、バラスト水の排出モードを水頭圧排出モードから圧送排出モードに切り換える、
請求項1〜3のいずれかに記載のバラスト水処理装置。
前記バラストタンクに貯留されるバラスト水の水位が基準水位を下回る場合に、前記制御工程は、バラスト水の排出モードを水頭圧排出モードから圧送排出モードに切り換える、
請求項5〜7のいずれかに記載のバラスト水処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水頭圧による排水は、バラストタンクが満水に近いときに、ポンプによる排水よりも先に行われる。その理由は次の通りである。バラストタンクが満水に近いときには、ポンプによる排水よりも水頭圧による排水の方が、排水量を多くすることができる。一方、バラストタンクの貯水量が少なくなってくると、水頭圧が低くなるため、水頭圧による排水よりもポンプによる排水の方が、排水量を多くすることができる。そのため、水頭圧による排水を先に行い、その後適当なタイミングでポンプによる排水に切り換えて、排水処理全体としての排水時間を短縮することができる。
【0006】
また、紫外線照射部による殺菌効果は、ある程度以下の流量に対して有効であり、過大な流量に対しては不十分となる。バラストタンクからの排水を水頭圧による排水とポンプによる排水とに切り換えられるように構成されるバラスト水処理装置において、バラストタンクからの排水経路に紫外線照射部を配置して、排水に紫外線の照射を行う構成が考えられる。
【0007】
このような構成に、水頭圧による排水を先に行い、その後ポンプによる排水に切り換える構成を組み合わせた場合、紫外線照射部による殺菌効果を排水に対して適切に奏させることは難しい。バラストタンクが満水に近いときには水頭圧による排水が行われるため、排水流量が大きい。そのため、満水に近いときには紫外線照射部の処理能力に対して排水流量が過大な状態になりやすい。このような過大な排水流量の状態にも対応しようとすれば、紫外線照射部を大容量のものにしなければならない。その場合、紫外線照射部の電力消費量も増加するため、好ましくない。
【0008】
水頭圧による排水の流量を小さく抑えれば、紫外線照射部の処理能力に対して排水流量が過大な状態となることを抑制することができる。しかし、その場合、「水頭圧による排水を先に行い、その後ポンプによる排水に切り換えて、排水処理全体としての排水時間を短縮することができる。」という効果が奏されなくなる。
以上の内容は、バラストタンクに貯留されるバラスト水が、フィルタによる濾過処理や紫外線照射部による紫外線処理が行われていないバラスト水の場合であっても、同様に当てはまる。
【0009】
本発明は、水頭圧による排水を先に行い、その後ポンプ等による排水に切り換える場合に、排水処理全体としての排水時間の短縮を維持しつつ、紫外線照射部による殺菌効果を適切に奏させることができるバラスト水処理装置、及びバラスト水処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、バラスト水を貯留するバラストタンクと、前記バラストタンクから流出するバラスト水に対して紫外線の照射を行う紫外線照射部と、前記紫外線照射部により紫外線を照射されたバラスト水を系外へ排出するラインと、前記バラストタンクに貯留されるバラスト水を前記紫外線照射部に向けて圧送する圧送部と、前記ラインを流通する水の流量を調整する流量調整部と、前記ラインを流通する水の流量を測定する流量測定部と、流量を調整するように前記流量調整部を制御すると共に、バラスト水の排出モードを切り換える制御部であって、バラスト水の排出モードを、前記バラストタンクに貯留されるバラスト水が、水頭圧により、前記紫外線照射部及び前記ラインを介して系外へ排出される水頭圧排出モードと、前記バラストタンクに貯留されるバラスト水が、前記圧送部により、前記紫外線照射部及び前記ラインを介して系外へ排出される圧送排出モードと、に切り換え可能であると共に、水頭圧排出モードで排出処理を実行させた後に、圧送排出モードで排出処理を実行させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記ラインを流通する水の流量が、前記紫外線照射部の処理能力を担保できる流量である能力担保流量よりも小さい小流量状態から、水頭圧排出モードにおいて前記ラインを流通する水の流量を能力担保流量に近づけるように、前記流量調整部を制御する、バラスト水処理装置に関する。
【0011】
また、前記制御部は、バラスト水の排出処理の初期に、前記流量測定部により測定される流量に基づいて前記小流量状態を形成するように、前記流量調整部を制御してもよい。
【0012】
また、前記制御部は、バラスト水の排出処理の初期に、予め決定されている前記小流量状態を形成可能な状態に、前記流量調整部を制御してもよい。
【0013】
また、前記バラストタンクに貯留されるバラスト水の水位が基準水位を下回る場合に、前記制御部は、バラスト水の排出モードを水頭圧排出モードから圧送排出モードに切り換えてもよい。
【0014】
本発明は、バラストタンクから流出するバラスト水を、紫外線照射部により紫外線の照射を行った後に、ラインを介して系外へ排出するバラスト水処理方法であって、前記ラインを流通する水の流量を調整する流量調整工程と、前記ラインを流通する水の流量を測定する流量測定工程と、前記流量調整工程において流量を調整するように制御すると共に、バラスト水の排出モードを切り換える制御工程であって、バラスト水の排出モードを、前記バラストタンクに貯留されるバラスト水が、水頭圧により、前記紫外線照射部及び前記ラインを介して系外へ排出される水頭圧排出モードと、前記バラストタンクに貯留されるバラスト水が、前記バラストタンクに貯留されるバラスト水を前記紫外線照射部に向けて圧送する圧送部により、前記紫外線照射部及び前記ラインを介して系外へ排出される圧送排出モードと、に切り換える共に、水頭圧排出モードで排出処理を実行させた後に、圧送排出モードで排出処理を実行させる制御工程と、を備え、前記制御工程は、前記ラインを流通する水の流量が、前記紫外線照射部の処理能力を担保できる流量である能力担保流量よりも小さい小流量状態から、水頭圧排出モードにおいて前記ラインを流通する水の流量を能力担保流量に近づけるように制御する、バラスト水処理方法に関する。
【0015】
また、前記流量調整工程は、バラスト水の排出処理の初期に、前記流量測定工程において測定される流量に基づいて前記小流量状態を形成するように、流量を調整してもよい。
【0016】
また、前記流量調整工程は、バラスト水の排出処理の初期に、予め決定されている前記小流量状態を形成するように、流量を調整してもよい。
【0017】
また、前記バラストタンクに貯留されるバラスト水の水位が基準水位を下回る場合に、前記制御工程は、バラスト水の排出モードを水頭圧排出モードから圧送排出モードに切り換えてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、水頭圧による排水を先に行い、その後ポンプ等による排水に切り換える場合に、排水処理全体としての排水時間の短縮を維持しつつ、紫外線照射部による殺菌効果を適切に奏させることができるバラスト水処理装置、及びバラスト水処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のバラスト水処理装置の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明のバラスト水処理装置の一実施形態を示すフロー図である。
図2は、バラスト水の濾過処理時における水の経路を示すフロー図である。
図3は、水頭圧排出モードにおける水の経路を示すフロー図である。
図4は、圧送排出モードにおける水の経路を示すフロー図である。
図5は、ストリッピング排出モードにおける水の経路を示すフロー図である。
図6は、排水流量の変化を示すグラフである。
【0021】
図1に示すように、本実施形態のバラスト水処理装置1は、フィルタ2を有するバラスト水濾過装置20と、紫外線照射部としての紫外線リアクタ3と、エゼクタ5と、流量測定部としての流量計61と、制御部9と、を備える。制御部9は、制御対象の各機器を制御可能に、各機器に信号線(不図示)により接続されている。
【0022】
バラスト水処理装置1は、ラインとして、ラインL1と、ラインL11と、ラインL12と、ラインL13と、ラインL21と、ラインL22と、ラインL23と、ラインL24と、を備える。「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0023】
バラスト水濾過装置20は、フィルタ2と、フィルタ2を収納するケーシング(図示せず)と、フィルタ回転手段(図示せず)と、を備える。
フィルタ2は、全体視で円筒状であり、内部に流入した被処理水としてのバラスト水W1(主に海水)を濾過して、バラスト水(濾過処理水)W2として外部へ流出させる。フィルタ回転手段は、フィルタ2を、その軸心を中心に回転させる。
【0024】
紫外線リアクタ3は、フィルタ2により濾過されて得られたバラスト水(濾過処理水)W2に対して紫外線を照射し、殺菌を行う。
バラストタンク4は、紫外線リアクタ3により紫外線の照射が行われたバラスト水W2を、貯留処理水W3として貯留する。バラストタンク4には、水位検出部42が設けられている。バラストタンク4は、水頭圧排出モード(後述)において水頭圧により、バラストタンク4に貯留されるバラスト水(貯留処理水W3)を船外(系外)に排出可能なように、船体SHにおいてバラスト水処理装置1よりも上方に配置される。
また、紫外線リアクタ3は、バラストタンク4に貯留されるバラスト水W3を船外へ排出する際に、バラスト水W3に対して紫外線の照射を行う。
【0025】
「バラスト水」については、バラストタンク4に導入(流入)される前又はバラストタンク4から排出(流出)された後に拘わらず、また、フィルタ2に導入(流入)される前又はフィルタ2から排出(流出)された後に拘わらず、更には、紫外線リアクタ3に導入(流入)される前又は紫外線リアクタ3から排出(流出)された後に拘わらず、「バラスト水」と表現する。また、状況に応じて適宜に「バラスト水」について「被処理水」、「濾過処理水」、「貯留処理水」、「排水」等と表現する。また、バラスト水は、海水、淡水、汽水を含む。
【0026】
エゼクタ5は、吸入口51と吐出口52と供給口53とを備え、供給口53から供給される駆動水W34に基づく駆動力により、水を吸入口51から吸入し、吐出口52から吐出する。
流量計61は、ラインL12を流通する排水としてのバラスト水W3の流量を測定する。
【0027】
次に、各ライン、及びラインの各所に設けられているバルブ、ポンプ等について説明する。ラインは、機能に基づいて区別しており、そのため、ライン同士に共用部分(重複部分)が存在する場合が有る。例えば、ラインL1とラインL22とは、接続部J2と接続部J5との間において共用されている(重複している)。ラインL21とラインL22とは、接続部J22と接続部J3との間以外の部分において共用されている(重複している)。
【0028】
図2に示すように、ラインL1の一端部は、船体SHの第1シーチェストSH1に接続されている。ラインL1は、一端部からバラスト水W1(主に海水)が導入され、他端部においてバラスト水濾過装置20の被処理水導入口に接続しているラインであって、バラスト水W1がバラスト水濾過装置20のフィルタ2の内部に向けて流通するラインである。ラインL1には、第1シーチェストSH1、接続部J1、バルブV2、接続部J2、圧送部としてのポンプP1、接続部J3、接続部J4、接続部J5、バルブV1、バラスト水濾過装置20がこの順で設けられている。
【0029】
ポンプP1は、ラインL1の一端部からバラスト水W1(主に海水)を汲み上げる。ポンプP1は、ラインL1(ラインL22)を流通する水(被処理水の濾過処理時における被処理水W1、及び圧送排出モードにおける貯留処理水W3)を圧送する(吸引して加圧し、吐出して送り出す)圧送部として機能する。
【0030】
ラインL11は、一端部においてバラスト水濾過装置20の処理水流出口に接続しており、他端部においてバラストタンク4に接続しているラインであって、バラスト水濾過装置20のフィルタ2で濾過処理されたバラスト水(濾過処理水)W2がバラストタンク4に向けて流通するラインである。ラインL11には、バラスト水濾過装置20、接続部J11、紫外線リアクタ3、バルブV11、接続部J12、接続部J13、バルブV12、接続部J15、バラストタンク4の内部の水出入口41がこの順で設けられている。
【0031】
ラインL12の他端部は、船体SHの第2シーチェストSH2に接続されている。ラインL12は、一端部において紫外線リアクタ3に接続しており、他端部からバラスト水(貯留処理水、排水)W3を系外(船外)へ排出するラインである。ラインL12には、紫外線リアクタ3、バルブV11、接続部J12、接続部J13、バルブV41、流量計61、第2シーチェストSH2がこの順で設けられている。
【0032】
ラインL12に設けられるバルブのうちのいずれか一つ以上は、ラインL12を流通する水の流量を調整する流量調整部として機能することできる。本実施形態においては、通常動作においてはバルブV11が流量調整部として機能し、動作によってはバルブV41が流量調整部として機能する。
なお、ラインL12を流通する水の流量を調整することができれば、ラインL12以外のラインに設けられるバルブを流量調整部として用いることもできる。また、バルブ以外で流量調整部を構成することができる。
【0033】
ラインL11とラインL12とは、紫外線リアクタ3と接続部J13との間において共用されている(重複している)。
【0034】
図3〜
図5に示すように、ラインL21、ラインL22及びラインL23は、いずれも、一端部にバラストタンク4の内部の水出入口41が設けられており、他端部において紫外線リアクタ3に接続しているラインである。水出入口41は、バラストタンク4の内部(詳細には底部の近傍)に配置されている。ラインL21、ラインL22及びラインL23には、いずれも、バラストタンク4に貯留されるバラスト水W3が、水出入口41から吸い込まれて流出し、紫外線リアクタ3に向けて流通する。
【0035】
図3に示すように、ラインL21には、水頭圧排出モードにおいて水頭圧により、バラストタンク4に貯留されるバラスト水W3が流通する。
図4に示すように、ラインL22には、圧送排出モードにおいてポンプP1による吸引・圧送力により、バラストタンク4に貯留されるバラスト水W3が流通する。
図5に示すように、ラインL23には、ストリッピング排出モードにおいてエゼクタ5による吸引・駆動力により、バラストタンク4に貯留されるバラスト水W3が流通する。
【0036】
ラインL21、ラインL22及びラインL23は、それぞれ両端部を含む部分に、共用部分が存在している。それぞれの中間部分は、共用されていない(重複していない)。
【0037】
図3に示すように、ラインL21には、水出入口41、接続部J15、接続部J21、接続部J22、バルブV21、接続部J3、接続部J4、接続部J5、バルブV25、接続部J14、バルブV26、接続部J11、紫外線リアクタ3がこの順で設けられている。
【0038】
図4に示すように、ラインL22には、水出入口41、接続部J15、接続部J21、接続部J22、バルブV22、接続部J2、ポンプP1、接続部J3、接続部J4、接続部J5、バルブV25、接続部J14、バルブV26、接続部J11、紫外線リアクタ3がこの順で設けられている。
【0039】
図5に示すように、ラインL23には、水出入口41、接続部J15、接続部J21、バルブV23、エゼクタ5の吸入口51、エゼクタ5の吐出口52、バルブV24、接続部J4、接続部J5、バルブV25、接続部J14、バルブV26、接続部J11、紫外線リアクタ3がこの順で設けられている。エゼクタ5よりも下流側のラインL23には、貯留処理水W3及び駆動水W34が流通する。
【0040】
ラインL24の一端部は、船体SHの第1シーチェストSH1に接続されている。ラインL24は、一端部から駆動水W34(主に海水)が導入され、他端部においてエゼクタ5の供給口53に接続しているラインである。ラインL24には、第1シーチェストSH1、接続部J1、バルブV27、ポンプP21、エゼクタ5の供給口53がこの順で設けられている。ポンプP21は、ラインL24を流通する駆動水W34を、吸引して加圧し、吐出して送り出す。ラインL24には、駆動水W34が流通する。
【0041】
ラインL13は、一端部において接続部J14に接続しており、他端部において接続部J12に接続しているラインである。ラインL13には、バルブV42が設けられている。ラインL13は、非常時、紫外線リアクタ3をパイパスさせて水を流す際などに用いられる。
【0042】
各ラインにおける共用部分(重複部分)について更に説明する。ラインL21とラインL22とは、接続部J22と接続部J3との間以外の部分において、共用されている(重複している)。ラインL22とラインL23とは、接続部J21と接続部J4との間以外の部分において、共用されている(重複している)。
【0043】
第1シーチェストSH1と接続部J1との間は、ラインL1とラインL24との共用部分である。接続部J2と接続部J3との間は、ラインL1とラインL22との共用部分である。接続部J3と接続部J4との間は、ラインL1とラインL22とラインL21との共用部分である。接続部J4と接続部J5との間は、ラインL1とラインL22とラインL21とラインL23との共用部分である。接続部J11と紫外線リアクタ3との間は、ラインL11とラインL21とラインL22とラインL23との共用部分である。
【0044】
エゼクタ5は、ラインL24及び供給口53を介して供給される駆動水W34の運動エネルギーにより、バラストタンク4の底部に残る貯留処理水W3を、エゼクタ5よりも上流側のラインL23を介して、吸い上げる。また、エゼクタ5は、貯留処理水W3及び駆動水W34を混合状態で、吐出口52から、エゼクタ5よりも下流側のラインL23へ吐出する。
【0045】
バルブ(V11,V41)は、ラインL12を流通する排水(バラスト水、貯留処理水)W3(W31,W32,W33)の流量を調整する。バルブ(V11,V41)は、流量を無段階に調整できるものであってもよく、段階的に調整できるものであってもよい。流量計61は、ラインL12におけるバルブ(V11,V41)よりも下流側に設けられており、ラインL12を流通する排水W3の流量を測定する。
【0046】
水位検出部42は、バラストタンク4に貯留される貯留処理水W3の水位(検出水位Hs)を検出し、例えば、検出水位Hsが特定の水位(例えば、後述の第1基準水位H1、第2基準水位H2、第3基準水位H3)に達していることを検出する。水位検出部42は、バラストタンク4の内部の水位が特定の水位に達していることを検出したときに、制御部9へ検出信号を発信するように構成される。
【0047】
制御部9は、制御対象の各機器を制御する。例えば、制御部9は、流量計61により測定される排水W3(W31,W32,W33)の流量に基づいて、排水W3の流量を調整するようにバルブ(V11,V41)を制御する(流量フィードバック制御)と共に、貯留処理水W3の排出モードを切り換える。また、制御部9は、流量計61により測定される排水W3の流量に基づかずに、排水W3の流量を調整するようにバルブを制御することもできる。
【0048】
第1基準水位H1は、水頭圧排出モードにおける排水流量が圧送排出モードにおける排水流量よりも小さくなる水位であり、排出モードを水頭圧排出モードから圧送排出モードに切り換える水位である。
第2基準水位H2は、それよりもバラストタンク4の内部の水位が低くなって圧送排出モードでは貯留処理水W3をスムーズに吸引できなくなる水位であり、排出モードを圧送排出モードからストリッピング排出モードに切り換える水位である。
第3基準水位H3は、それよりもバラストタンク4の内部の水位が低くなると、ストリッピング排出モードによっても、バラストタンク4の底部に残る貯留処理水W3を吸引して排出できなくなる水位であり、排水処理を終了させる水位である。
【0049】
本実施形態では、以下の3つの排出モードが設定されている。
(a)水頭圧排出モード
図3に示すように、水頭圧排出モードは、バラストタンク4に貯留されるバラスト水(貯留処理水)W3が、水頭圧により送り出され、ラインL21、紫外線リアクタ3等を介して、排水W31として系外(船外)へ排出される排出モードである。
(b)圧送排出モード
図4に示すように、圧送排出モードは、バラストタンク4に貯留される貯留処理水W3が、ポンプP1による吸引・圧送力により送り出され、ラインL22、ポンプP1、紫外線リアクタ3等を介して、排水W32として系外へ排出される排出モードである。
(c)ストリッピング排出モード
図5に示すように、ストリッピング排出モードは、バラストタンク4に貯留される貯留処理水W3が、エゼクタ5による吸引・駆動力により送り出され、ラインL23、エゼクタ5、紫外線リアクタ3等を介して、排水W33として系外へ排出される排出モードである。
【0050】
制御部9は、バラスト水(貯留処理水)W3の排出モードを、水頭圧排出モード、圧送排出モード又はストリッピング排出モードに切り換える。また、
図6に示すように。制御部9は、貯留処理水W3の排出処理の最初において水頭圧排出モードで排出処理を実行させ、その後、圧送排出モードで排出処理を実行させ、その後、ストリッピング排出モードで排出処理を実行させる。
【0051】
制御部9は、貯留処理水W3の排出処理の最初において、ラインL12を流通する排水の流量を、能力担保流量Fs(
図6参照)よりも小さくなるようにバルブ(V11,V41)を制御し、その後、水頭圧排出モードにおいてラインL12を流通する排水の流量を能力担保流量Fsに近づけるようにバルブ(V11,V41)を制御する。能力担保流量Fsは、紫外線リアクタ3の処理能力を担保できる流量であり、例えば、定格流量の110%や120%である。ラインL12を流通する排水の流量が能力担保流量Fsよりも小さい前述の状態を「小流量状態」ともいう。
【0052】
(第1の小流量状態形成制御)
制御部9は、バラスト水W3の排出処理の初期に、流量計61により測定される流量に基づいて前記小流量状態を形成するように、流量調整部としてのバルブ(V11,V41)を制御することができる。
【0053】
(第2の小流量状態形成制御)
また、制御部9は、バラスト水W3の排出処理の初期に、流量計61により測定される流量に基づかずに、予め決定されている前記小流量状態を形成可能な状態に、流量調整部としてのバルブ(V11,V41)を制御することができる。具体的には、バルブの開度を、予め決定されている小流量状態を形成可能な開度に設定することにより、バルブ(V11,V41)を、前記小流量状態を形成可能な状態にすることができる。
【0054】
なお、
図6において、実線は、本発明における排水流量の変化を示し、水頭圧排出モードにおける破線は、従来技術における排水流量の変化を示す。排水の流量を能力担保流量Fsよりも小さくするタイミングは、貯留処理水W3の排出処理の最初に制限されず、貯留処理水W3の排出処理の初期全般(最初からある程度の期間)であってもよい。
【0055】
制御部9は、水位検出部42により検出される検出水位Hsが第1基準水位H1を下回る場合に、貯留処理水W3の排出モードを水頭圧排出モードから圧送排出モードに切り換える。制御部9は、水位検出部42により検出される検出水位Hsが第2基準水位H2を下回る場合に、貯留処理水W3の排出モードを圧送排出モードからストリッピング排出モードに切り換える。制御部9は、水位検出部42により検出される検出水位Hsが第3基準水位H3を下回る場合に、貯留処理水W3の排出処理を終了させる。
【0056】
次に、本実施形態のバラスト水処理装置1の通常運転における主な処理動作について簡単に説明する。
(1)バラスト水濾過装置20によるバラスト水(被処理水)W1の濾過処理(バラスト水処理運転)
図2に示すように、バルブV2、バルブV1、バルブV11及びバルブV12を開き、バルブV27、バルブV22、バルブV21、バルブV24、バルブV25、バルブV26、バルブV42、バルブV41及びバルブV23を閉じる。この状態で、ポンプP1を駆動させる。これにより、ラインL1の一端部から流入したバラスト水(被処理水)W1は、ラインL1を介してバラスト水濾過装置20に導入される。バラスト水濾過装置20に導入された被処理水W1は、フィルタ2で濾過処理され、濾過処理水W2としてバラスト水濾過装置20から排出される。濾過処理水W2は、ラインL11を流通し、紫外線リアクタ3により紫外線処理され、バラストタンク4に貯留処理水W3として貯留される。
【0057】
(2−1)バラストタンク4から外部へのバラスト水(貯留処理水)W3の排水処理(水頭圧排出モード)
図3に示すように、バルブV21、バルブV25、バルブV26、バルブV11及びバルブV41を開き、バルブV12、バルブV23、バルブV22、バルブV2、バルブV24、バルブV1及びバルブV42を閉じる。この状態にすることにより、バラストタンク4に貯留されるバラスト水(貯留処理水)W3は、水頭圧により、ラインL21を介してバラストタンク4の外部に排出され、更に、紫外線リアクタ3により紫外線処理され、ラインL12を介して排水W31として船外に排出される。
【0058】
(2−2)バラストタンク4から外部へのバラスト水(貯留処理水)W3の排水処理(圧送排出モード)
図4に示すように、バルブV22、バルブV25、バルブV26、バルブV11及びバルブV41を開き、バルブV12、バルブV23、バルブV21、バルブV2、バルブV24、バルブV1及びバルブV42を閉じる。この状態でポンプP1を稼働させる。これにより、バラストタンク4に貯留されるバラスト水(貯留処理水)W3は、ポンプP1による吸引・圧送力により、ラインL22を介してバラストタンク4の外部に排出され、紫外線リアクタ3により紫外線処理され、ラインL12を介して排水W32として船外に排出される。
【0059】
(2−3)バラストタンク4から外部へのバラスト水(貯留処理水)W3の排水処理(ストリッピング排出モード)
図5に示すように、バルブV23、バルブV24、バルブV25、バルブV26、バルブV11、バルブV41及びバルブV27を開き、バルブV12、バルブV21、バルブV22、バルブV2、バルブV1及びバルブV42を閉じる。この状態でポンプP21を駆動させる。これにより、バラストタンク4の底部に残るバラスト水(貯留処理水)W3は、駆動水W34による吸引・駆動力により、ラインL23を介してバラストタンク4の外部に排出され、更に、紫外線リアクタ3により紫外線処理され、ラインL12を介して排水W33として船外に排出される。
【0060】
本実施形態のバラスト水処理装置1は、排水処理時に以下のように動作し、バラスト水処理方法の一実施形態を実行する。
図7は、実施形態における排水処理の制御を示すフローチャートである。
図7に示すように、まず、ステップS1において、バラスト水処理装置1は、排水処理の開始の指示を受ける。
【0061】
ステップS2において、制御部9は、水頭圧排出モードで貯留処理水W3の排水処理を開始する。具体的には、制御部9は、貯留処理水W3の排出処理の最初(
図6における時刻t0)において、ラインL21を介してラインL12を流通する排水の流量を、能力担保流量Fs(
図6参照)よりも小さくなるように(小流量状態を形成するように)、バルブ(V11,V41)を制御する。なお、小流量状態は、前述の第1の小流量状態形成制御や第2の小流量状態形成制御により、形成することができる。その後、制御部9は、ラインL12を流通する排水の流量を能力担保流量Fsに近づけるようにバルブ(V11,V41)を制御する(
図6における時刻t0〜時刻t1〜時刻t2)。
【0062】
ステップS3において、バルブ(V11,V41)の制御を停止する。具体的には、水頭圧排出モードにおいて排水が進行すると、水頭圧が小さくなるため、バルブ(V11,V41)を全開しても排水流量が能力担保流量よりも小さくなり始める時点(
図6における時刻t2)で、バルブ(V11,V41)を全開にした状態で、バルブ(V11,V41)の制御を停止する。
図6に示すように、時刻t2〜時刻t3において、水頭圧の減少に伴って、排水流量は徐々に減少する。
【0063】
ステップS4において、制御部9は、水位検出部42により検出される水位(検出水位Hs)が第1基準水位H1を下回るか否かについて判定する。制御部9は、検出水位Hsが第1基準水位H1を下回ることを判定した場合(ステップS4:YES。
図6に示す時刻t3)には、処理をステップS5に進める。また、制御部9は、その他の場合(ステップS4:NO)には、処理をステップS4に戻す。
【0064】
ステップS5において、制御部9は、検出水位Hsが第1基準水位H1を下回る場合に、貯留処理水W3の排出モードを水頭圧排出モードから圧送排出モードに切り換える。具体的には、バルブV21を閉じ、バルブV22を開き、ポンプP1を稼働させる。これにより、貯留処理水W3は、ポンプP1による吸引・圧送力により、ラインL22を介してラインL12に向けて流通する。
【0065】
ステップS6において、制御部9は、検出水位Hsが第2基準水位H2を下回るか否かについて判定する。制御部9は、検出水位Hsが第2基準水位H2を下回ることを判定した場合(ステップS6:YES。
図6に示す時刻t4)には、処理をステップS7に進める。また、制御部9は、その他の場合(ステップS6:NO)には、処理をステップS6に戻す。
【0066】
ステップS7において、制御部9は、検出水位Hsが第2基準水位H2を下回る場合に、貯留処理水W3の排出モードを圧送排出モードからストリッピング排出モードに切り換える。具体的には、バルブV22を閉じ、バルブV23、バルブV24及びバルブV27を開き、ポンプP21を稼働させる。これにより、貯留処理水W3は、エゼクタ5による吸引・駆動力により、ラインL23を介してラインL12に向けて流通する。
【0067】
ステップS8において、制御部9は、検出水位Hsが第3基準水位H3を下回るか否かについて判定する。制御部9は、検出水位Hsが第3基準水位H3を下回ることを判定した場合(ステップS8:YES。
図6に示す時刻t5)には、排水処理を終了する。また、制御部9は、その他の場合(ステップS8:NO)には、処理をステップS8に戻す。
【0068】
本実施形態のバラスト水処理装置1によれば、例えば、次のような効果を奏する。
本実施形態のバラスト水処理装置1は、ラインL1に設けられ、ラインL1を流通する水を圧送するポンプP1と、バラスト水(濾過処理水W2及び貯留処理水W3)に対して紫外線の照射を行う紫外線リアクタ3と、紫外線リアクタ3により紫外線を照射された貯留処理水W3を系外へ排出するラインL12と、バラストタンク4に貯留されるバラスト水(貯留処理水)W3(W31)が水頭圧により紫外線リアクタ3に向けて流通するラインL21と、バラストタンク4に貯留されるバラスト水(貯留処理水)W3(W32)が圧送部P1により紫外線リアクタ3に向けて流通するラインL22と、ラインL12を流通する水の流量を調整するバルブ(V11,V41)と、ラインL12を流通する水の流量を測定する流量計61と、流量を調整するようにバルブ(V11,V41)を制御すると共に、貯留処理水W3の排出モードを切り換える制御部9であって、貯留処理水W3の排出モードを、バラストタンク4に貯留される貯留処理水W3(W31)が、水頭圧により、ラインL21、紫外線リアクタ3及びラインL12を介して系外へ排出される水頭圧排出モードと、バラストタンク4に貯留される貯留処理水W3(W32)が、ポンプP1により、ラインL22、紫外線リアクタ3及びラインL12を介して系外へ排出される圧送排出モードと、に切り換え可能であると共に、水頭圧排出モードで排出処理を実行させた後に、圧送排出モードで排出処理を実行させる制御部9と、を備える。制御部9は、ラインL12を流通する水の流量が、紫外線リアクタ3の処理能力を担保できる流量である能力担保流量Fsよりも小さい小流量状態から、水頭圧排出モードにおいてラインL12を流通する水の流量を能力担保流量Fsに近づけるように、バルブ(V11,V41)を制御する。
【0069】
水頭圧排出モードにおいては、バラストタンク4が満水に近いときには、水頭圧による排水の流量が過大となり、流量が紫外線リアクタ3の能力担保流量Fsを超え、紫外線リアクタ3による殺菌効果が十分に奏されない可能性が有る。
これに対して、本実施形態においては、最初は、水頭圧による排水の流量を抑え、その後、流量を能力担保流量Fsに近づけているため、流量が過大な状態となりにくい。そのため、本実施形態によれば、水頭圧排出モードによる排水を先に行い、その後圧送排出モードによる排水に切り換える場合に、排水処理全体としての排水時間の短縮を維持しつつ、紫外線照射部による殺菌効果を適切に奏させることができる。
【0070】
本実施形態のバラスト水処理装置1においては、バラストタンク4に貯留されるバラスト水(貯留処理水)W3の水位が第1基準水位H1を下回る場合に、制御部9は、貯留処理水W3の排出モードを水頭圧排出モードから圧送排出モードに切り換える。そのため、本実施形態によれば、適切なタイミングで排出モードを水頭圧排出モードから圧送排出モードに切り換えることが容易である。
【0071】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
圧送部はポンプに制限されない。
【0072】
本発明においては、小流量状態(ラインL12を流通する水の流量が、能力担保流量よりも小さい状態)は、制御部9が流量調整部として機能するバルブを制御することにより、設定されてもよく、あるいは、制御部9の制御によらず、バラスト水の排出処理の開始前に、予め設定されてよい。後者については、例えば、バラスト水の排出処理の開始前に、作業者などが、流量調整部として機能するバルブを操作することにより、小流量状態を設定することができる。そして、この状態から、バラスト水の排出処理が開始され、また、制御部9による流量調整部として機能するバルブの制御が開始される。
【0073】
前記実施形態においては、バラストタンク4に貯留されるバラスト水は、フィルタ2による濾過処理及び紫外線リアクタ3(紫外線照射部)による紫外線処理が行われたバラスト水であるが、これに制限されない。バラストタンク4に貯留されるバラスト水は、濾過処理及び/又は紫外線処理が行われていないバラスト水であってもよい。
【0074】
前記実施形態においては、フィルタ2は、内部に流入したバラスト水W1を濾過して外部へ流出させる筒状のフィルタであるが、これに制限されない。フィルタは、外部から流入するバラスト水を濾過して内部から流出させる筒状のフィルタであってもよく、また、筒状ではないフィルタであってもよい。
バラスト水(W3)の排出モードを、バラスト水(W3)が、水頭圧により、紫外線照射部(3)及びライン(L12)を介して排出される水頭圧排出モードと、バラスト水(W3)が、圧送部(P1)により、紫外線照射部(3)及びライン(L12)を介して排出される圧送排出モードとに切り換え可能であり、水頭圧排出モードで排出処理を実行させた後に、圧送排出モードで排出処理を実行させる制御部(9)を備える。制御部(9)は、ライン(L12)を流通する水の流量が、紫外線照射部(3)の能力担保流量よりも小さい小流量状態から、水頭圧排出モードにおいてライン(L12)を流通する水の流量を能力担保流量に近づけるように、流量調整部を制御する。