特許第6011749号(P6011749)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 堺化学工業株式会社の特許一覧

特許6011749酸化チタン粒子の有機溶媒分散体とその製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6011749
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】酸化チタン粒子の有機溶媒分散体とその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 17/00 20060101AFI20161006BHJP
   C09C 1/36 20060101ALI20161006BHJP
   C01G 23/047 20060101ALI20161006BHJP
   C09C 3/08 20060101ALI20161006BHJP
   C09C 3/12 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   C09D17/00
   C09C1/36
   C01G23/047
   C09C3/08
   C09C3/12
【請求項の数】3
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2016-539348(P2016-539348)
(86)(22)【出願日】2016年2月23日
(86)【国際出願番号】JP2016055310
【審査請求日】2016年6月15日
(31)【優先権主張番号】特願2015-38959(P2015-38959)
(32)【優先日】2015年2月27日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000174541
【氏名又は名称】堺化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079120
【弁理士】
【氏名又は名称】牧野 逸郎
(72)【発明者】
【氏名】森田 考則
(72)【発明者】
【氏名】宮田 篤
(72)【発明者】
【氏名】大西 香澄
【審査官】 牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/010533(WO,A1)
【文献】 特開2009−073685(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/052762(WO,A1)
【文献】 特表2012−521442(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/035689(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 17/00
C09C 1/36、3/08、3/12
C01G 23/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
10重量%以上の含有率にて酸化チタン粒子をメタノール及びエタノールを除く有機溶媒に分散させてなる酸化チタン粒子の有機溶媒分散体であって、
上記酸化チタン粒子が一般式(I)
(RO)n−Si−X4-n …(I)
(式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、nは2又は3を示し、Xはアルキル基、フッ化アルキル基、ビニル基又は(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を示す。)
で表されるシランカップリング剤と12−ヒドロキシステアリン酸を含む表面処理剤にて表面処理されており、
上記有機溶媒分散体における酸化チタン粒子のD50が1〜30nmの範囲にあり、上記有機溶媒分散体の波長500nmにおける透過率が2%以上であり、波長800nmにおける透過率が70%以上であり、25℃において、製造直後の粘度が10mPa・s以下であると共に、上記製造直後の粘度に対する7日後の粘度の増加量が40mPa・s以下である、酸化チタン粒子の有機溶媒分散体。
【請求項2】
酸化チタン粒子100重量部に対して上記シランカップリング剤1〜40重量部と12−ヒドロキシステアリン酸1〜80重量部を用いて酸化チタン粒子が表面処理されている請求項1に記載の酸化チタン粒子の有機溶媒分散体。
【請求項3】
前記有機溶媒がメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ジアセトンアルコール、ブタノール、プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N,2−トリメチルプロピオンアミド、γ―ブチロラクトン及び酢酸ブチルから選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2のいずれかに記載の酸化チタン粒子の有機溶媒分散体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は酸化チタン粒子の有機溶媒分散体とその製造方法に関し、詳しくは、酸化チタン粒子を高含有率で含みながら、低粘度を有し、しかも、安定性と透明性にすぐれる酸化チタン粒子の有機溶媒分散体とその製造方法に関する。本発明による酸化チタン粒子の有機溶媒分散体は、上述したような特性を有するので、例えば、光学分野における種々の用途、特に、LED封止樹脂や反射防止膜等の光学用の複合樹脂の材料として有用である。
【背景技術】
【0002】
従来、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化スズ、ジルコニア、チタニア等の無機酸化物粒子分散体は、種々の産業分野において用いられており、特に、光学分野においては屈折率を調節するために用いられている。なかでも、チタニアは屈折率が高いので、光学材料の屈折率を高めるために好ましく用いられている。
【0003】
従来、このような無機酸化物粒子分散体は、分散媒が水であるものが用いられている。しかし、多くの光学材料用途、例えば、光学用フィルムの製造においては、通常、水分散体は樹脂成分と混合して用いられるところ、水分散体は、特に非水溶性の樹脂成分との混練が容易ではないので、近年、分散媒が有機溶媒である分散体が強く求められるに至っている。
【0004】
酸化チタン粒子を含めて、無機酸化物粒子は、一般に、水性溶媒には概ね、良好な分散性を有するが、有機溶媒に対しては、分散性は一般に低い。
【0005】
そこで、無機酸化物微粒子の有機溶媒分散体を製造するに際しては、無機酸化物微粒子を親油性に改質するために、シランカップリング剤にて表面処理することが有効であることが既に知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0006】
酸化チタンの有機溶媒分散体の製造においても、このように、シランカップリング剤を用いる方法が提案されている。例えば、酸化チタン微粒子のアルコール分散体に酢酸の存在下にシランカップリング剤を混合し、撹拌して、上記酸化チタン微粒子を表面処理した後、上記酸化チタン微粒子のアルコール分散体の分散媒である上記アルコールをメチルエチルケトンのような親油性有機溶媒に置換し、かくして、酸化チタン微粒子の親油性有機溶媒分散体を得る方法が提案されている(特許文献3参照)。
【0007】
しかし、従来から知られている上述した方法によれば、得られる有機溶媒分散体は、用途によっては、透明性において十分に満足すべきでない場合があり、また、経時的に粘度が増加する等、安定性に欠ける問題もあり、一方において、近年、光学材料においても、より高性能化への要望が強まっており、酸化チタン粒子を高含有率で含みながら、低粘度を有し、しかも、安定性と透明性にすぐれる酸化チタン粒子の有機溶媒分散体が強く要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−307158号公報
【特許文献2】特開2009−35573号公報
【特許文献3】国際公開WO2011/052762号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、酸化チタン粒子の有機溶媒分散体における上述した問題を解決するためになされたものであって、酸化チタン粒子を高含有率で含みながら、低粘度を有し、しかも、安定性と透明性にすぐれる酸化チタン粒子の有機溶媒分散体とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、10重量%以上の含有率にて酸化チタン粒子をメタノール及びエタノールを除く有機溶媒に分散させてなる酸化チタン粒子の有機溶媒分散体であって、
上記酸化チタン粒子が一般式(I)
(RO)−Si−X4-n …(I)
(式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、nは2又は3を示し、Xはアルキル基、フッ化アルキル基、ビニル基又は(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を示す。)
で表されるシランカップリング剤と12−ヒドロキシステアリン酸を含む表面処理剤にて表面処理されており、
上記有機溶媒分散体における酸化チタン粒子のD50が1〜30nmの範囲にあり、上記有機溶媒分散体の波長500nmにおける透過率が2%以上であり、波長800nmにおける透過率が70%以上であり、25℃において、製造直後の粘度が10mPa・s以下であると共に、上記製造直後の粘度に対する7日後の粘度の増加量が40mPa・s以下である、酸化チタン粒子の有機溶媒分散体が提供される。
【0011】
更に、本発明によれば、上述した酸化チタン粒子の有機溶媒分散体の製造方法が提供される。
【0012】
即ち、本発明によれば、10重量%以上の含有率にて酸化チタン粒子をメタノール及びエタノールを除く有機溶媒に分散させてなる酸化チタン粒子の有機溶媒分散体の製造方法において、
上記有機溶媒分散体における酸化チタン粒子のD50が1〜30nmの範囲にあり、上記有機溶媒分散体の波長500nmにおける透過率が2%以上であり、波長800nmにおける透過率が70%以上であり、25℃において、製造直後の粘度が10mPa・s以下であると共に、上記製造直後の粘度に対する7日後の粘度の増加量が40mPa・s以下であり、
上記製造方法が酸化チタン粒子をメタノールとエタノールから選ばれる少なくとも1種のアルコール溶媒に分散させてなる酸化チタン粒子のアルコール分散体をシランカップリング剤と12−ヒドロキシステアリン酸を含む表面処理剤にて処理して、上記酸化チタン粒子を表面処理する表面処理工程と、
上記表面処理した酸化チタン粒子のアルコール分散体における分散媒である上記アルコール溶媒を上記アルコール溶媒以外の有機溶媒に置換する溶媒置換工程を含み、
上記シランカップリング剤が一般式(I)
(RO)−Si−X4-n …(I)
(式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、nは2又は3を示し、Xはアルキル基、フッ化アルキル基、ビニル基又は(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を示す。)
で表されるものである、酸化チタン粒子の有機溶媒分散体の製造方法が提供される。
【0013】
本発明においては、上述した酸化チタン粒子の有機溶媒分散体の製造方法の工程のうち、前記表面処理工程において用いる酸化チタン粒子のアルコール分散体は、次の工程(a)〜(c)、即ち、
(a)酢酸と硝酸の存在下に酸化チタン粒子の水スラリーを媒体撹拌ミル又は高圧分散機で湿式分散処理して、酸化チタン粒子の水分散体を得る工程、
(b)上記工程(a)で得られた酸化チタン粒子の水分散体を洗浄する工程、
(c)上記工程(b)で得られた酸化チタン粒子の水分散体の分散媒である水をメタノール及びエタノールから選ばれる少なくとも1種のアルコール溶媒に置換する工程、
を含む方法によって得られたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、酸化チタン粒子をメタノールとエタノールから選ばれる少なくとも1種のアルコール溶媒に分散させてなる酸化チタン粒子のアルコール分散体をシランカップリング剤と12−ヒドロキシステアリン酸を含む表面処理剤にて処理する工程と、上記アルコール分散体の分散媒である上記アルコール溶媒を上記アルコール以外の有機溶媒と置換する溶媒置換工程を行うことによって、酸化チタン粒子を高含有率で含みながら、低粘度を有するうえに、経時的な粘度の上昇、粒子の沈殿、透明性の低下等が起こらず、安定性にすぐれており、しかも、透明性にすぐれている酸化チタン粒子の有機溶媒分散体を容易に且つ安定して得ることができる。
【0015】
本発明による酸化チタン粒子の有機溶媒分散体は、上述したような特性を有するので、酸化チタン粒子を高含有率で含みながら、低粘度で、安定性と透明性にすぐれており、高屈折率のような酸化チタン粒子が本来、有する望ましい特性が損なわれることがなく、例えば、光学分野における種々の用途、特に、LED封止樹脂や反射防止膜等の光学用の複合樹脂の材料として好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明による酸化チタン粒子の有機溶媒分散体は、10重量%以上の含有率にて酸化チタン粒子をメタノール及びエタノールを除く有機溶媒に分散させてなる酸化チタン粒子の有機溶媒分散体であって、
上記酸化チタン粒子が一般式(I)
(RO)−Si−X4-n …(I)
(式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、nは2又は3を示し、Xはアルキル基、フッ化アルキル基、ビニル基又は(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を示す。)
で表されるシランカップリング剤と12−ヒドロキシステアリン酸を含む表面処理剤にて表面処理されており、
上記有機溶媒分散体における酸化チタン粒子のD50が1〜30nmの範囲にあり、上記有機溶媒分散体の波長500nmにおける透過率が2%以上であり、波長800nmにおける透過率が70%以上であり、25℃において、製造直後の粘度が10mPa・s以下であると共に、上記製造直後の粘度に対する7日後の粘度の増加量が40mPa・s以下である。
【0017】
このような本発明による酸化チタン粒子の有機溶媒分散体において、酸化チタン粒子は、結晶質であっても、非晶質であってもよく、結晶質である場合は、ルチル、アナターゼ、ブルカイト又はこれらの混合物であってもよく、また、結晶質と非晶質の混合物であってもよい。
【0018】
先ず、上述した本発明による酸化チタン粒子の有機溶媒分散体の製造方法について説明する。
【0019】
本発明による酸化チタン粒子の有機溶媒分散体の製造方法は、10重量%以上の含有率にて酸化チタン粒子をメタノール及びエタノールを除く有機溶媒に分散させてなる酸化チタン粒子の有機溶媒分散体の製造方法において、
上記有機溶媒分散体における酸化チタン粒子のD50が1〜30nmの範囲にあり、上記有機溶媒分散体の波長500nmにおける透過率が2%以上であり、波長800nmにおける透過率が70%以上であり、25℃において、製造直後の粘度が10mPa・s以下であると共に、上記製造直後の粘度に対する7日後の粘度の増加量が40mPa・s以下であり、
上記製造方法が酸化チタン粒子をメタノールとエタノールから選ばれる少なくとも1種のアルコール溶媒に分散させてなる酸化チタン粒子のアルコール分散体をシランカップリング剤と12−ヒドロキシステアリン酸を含む表面処理剤にて処理して、上記酸化チタン粒子を表面処理する表面処理工程と、
上記表面処理した酸化チタン粒子のアルコール分散体における分散媒である上記アルコール溶媒を上記アルコール溶媒以外の有機溶媒に置換する溶媒置換工程を含み、
上記シランカップリング剤が一般式(I)
(RO)−Si−X4-n …(I)
(式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、nは2又は3を示し、Xはアルキル基、フッ化アルキル基、ビニル基又は(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を示す。)
で表されるものである。
【0020】
上記酸化チタン粒子のアルコール分散体における分散媒であるアルコール溶媒は、前述したように、メタノールとエタノールから選ばれる少なくとも1種であり、特に、本発明においては、メタノールが好ましく用いられる。
【0021】
本発明において、上記酸化チタン粒子のアルコール分散体における酸化チタン粒子のD50は、得られる有機溶媒分散体が透明性にすぐれるように、1〜20nmの範囲にあるのが好ましく、2〜10nmの範囲にあるのがより好ましい。D90は40nm以下であることが好ましい。更に、上記酸化チタン粒子のアルコール分散体は、10重量%以上の酸化チタン粒子を含有するとき、波長500nmにおける透過率が40%以上であり、波長800nmにおける透過率が80%以上であることが好ましい。
【0022】
本発明において、酸化チタン粒子のD50は、動的光散乱法にて測定した分散体中の酸化チタン粒子の粒度分布から得られる体積基準の積算分布値が50%であるときの粒子径(即ち、平均粒子径又はメディアン径)をいい、同じく、D90及びD100は、体積基準の積算分布値がそれぞれ90%及び100%であるときの粒子径をいう。
【0023】
本発明において、上記酸化チタン粒子のアルコール分散体を表面処理する際の酸化チタン粒子の含有率は、前記シランカップリング剤と12−ヒドロキシステアリン酸を含む表面処理剤による酸化チタン粒子の表面処理が効率よく行うことができるように、通常、1〜40重量%の範囲であり、好ましくは、5〜30重量%の範囲である。
【0024】
本発明による酸化チタン粒子の有機溶媒分散体の製造方法は、上述したように、酸化チタン粒子をメタノールとエタノールから選ばれる少なくとも1種のアルコール溶媒に分散させてなる酸化チタン粒子のアルコール分散体を一般式(I)
(RO)−Si−X4-n …(I)
(式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、nは2又は3を示し、Xはアルキル基、フッ化アルキル基、ビニル基又は(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を示す。)
で表されるシランカップリング剤と12−ヒドロキシステアリン酸を含む表面処理剤にて処理して、上記酸化チタン粒子を表面処理する表面処理工程と、
上記表面処理した酸化チタン粒子のアルコール分散体における分散媒である上記アルコール溶媒を上記有機溶媒に置換する溶媒置換工程を含む。
【0025】
上記一般式(I)で表されるシランカップリング剤において、炭素原子数1〜4のアルキル基Rは、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基を示し、炭素原子数が3又は4であるアルキル基は直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。
【0026】
上記一般式(I)において、Xがアルキル基であるとき、炭素原子数は、通常、1〜20の範囲であり、好ましくは、1〜12の範囲である。従って、そのようなアルキル基の具体例として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、デシル基、ウンデシル基等を挙げることができる。炭素原子数が3以上であるアルキル基は直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。
【0027】
従って、上記一般式(I)において、Xがアルキル基である上記シランカップリング剤として、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等を挙げることができる。
【0028】
上記一般式(I)において、Xがフッ化アルキル基であるとき、そのアルキル基は、通常、炭素原子数1〜18の範囲であり、好ましくは、1〜10の範囲である。従って、そのようなフッ化アルキル基の具体例として、例えば、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、トリフルオロプロピル、パーフルオロオクチルエチル基等を挙げることができる。
【0029】
従って、Xがフッ化アルキル基であるシランカップリング剤として、例えば、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン等を挙げることができる。
【0030】
上記一般式(I)で表されるシランカップリング剤において、Xがビニル基であるとき、具体例として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
【0031】
また、上記一般式(I)で表されるシランカップリング剤において、Xが(メタ)アクリロイルオキシアルキル基であるシランカップリング剤としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルトリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等を挙げることができる。(メタ)アクリロイルとはアクリロイル又はメタクリロイルを意味する。
【0032】
本発明において、上記表面処理剤であるシランカップリング剤と12−ヒドロキシステアリン酸は、これらを酸化チタン粒子のアルコール分散体に同時に加えてもよく、また、いずれか一方を先に加えた後に、他を加えてもよい。
【0033】
更に、上記表面処理剤は、いずれか一方又は両方を適宜の有機溶媒、例えば、酸化チタン粒子のアルコール分散体の分散媒と同じアルコール溶媒(以下、簡単のために、単に、アルコール溶媒Aということがある。)や、又は目的とする酸化チタン粒子の有機溶媒分散体の分散媒と同じ有機溶媒(以下、簡単のために、単に、有機溶媒Sということがある。)に溶解させ、得られた溶液をアルコール分散体に加えてもよい。また、酸化チタン粒子のアルコール分散体に上記表面処理剤を加えた後、分散体に上記有機溶媒Sを加えてもよい。
【0034】
より詳細には、アルコール分散体中の酸化チタン粒子を上記シランカップリング剤と12−ヒドロキシステアリン酸を含む表面処理剤にて表面処理するには、例えば、以下のような方法で行うことができる。
【0035】
(表面処理方法1)
常圧下において、酸化チタン粒子のアルコール分散体に常温で、又は必要に応じて、その分散媒の沸点よりも低い温度に加熱した上記アルコール分散体にシランカップリング剤と12−ヒドロキシステアリン酸をそのまま加えて、混合、撹拌し、酸化チタン粒子を上記表面処理剤にて表面処理する。
【0036】
(表面処理方法2)
シランカップリング剤と12−ヒドロキシステアリン酸を適宜の有機溶媒、例えば、アルコール溶媒Aに溶解し、得られたアルコール溶液を常圧下において、酸化チタン粒子のアルコール分散体に常温で、又は必要に応じて、その分散媒の沸点よりも低い温度に加熱した上記アルコール分散体に加え、混合、撹拌し、かくして酸化チタン粒子の上記アルコール分散体を処理して、酸化チタン粒子を上記表面処理剤にて表面処理する。
【0037】
(表面処理方法3)
シランカップリング剤と12−ヒドロキシステアリン酸を適宜の有機溶媒、好ましくは、有機溶媒Sに溶解し、得られた溶液を常圧下において、酸化チタン粒子のアルコール分散体に常温で、又は必要に応じて、その分散媒の沸点よりも低い温度に加熱した上記アルコール分散体に加え、混合、撹拌して、かくして、酸化チタン粒子の上記アルコール分散体を上記有機溶媒の存在下に処理して、酸化チタン粒子を上記表面処理剤にて表面処理する。
【0038】
(表面処理方法4)
上記表面処理方法1〜3に記載したように、シランカップリング剤と12−ヒドロキシステアリン酸を酸化チタン粒子のアルコール分散体に加えた後、有機溶媒Sを加え、混合、撹拌し、かくして、酸化チタン粒子の上記アルコール分散体を上記有機溶媒Sの存在下に処理して、酸化チタン粒子を上記表面処理剤にて表面処理する。
【0039】
上記表面処理方法3及び4のように、上記酸化チタン粒子のアルコール分散体に、有機溶媒Sに上記表面処理剤を溶解させた溶液を加え、又は有機溶媒Sを加えることは、即ち、酸化チタン粒子の分散体の分散媒をアルコールと上記有機溶媒の混合物に変えることを意味し、従って、アルコールと上記有機溶媒Sの混合物を分散媒とする酸化チタン粒子の分散体を上記表面処理剤にて処理することによって、酸化チタン粒子を上記表面処理剤にて表面処理することを意味する。
【0040】
このように、表面処理工程において、上記有機溶媒の存在下に上記酸化チタン粒子のアルコール分散体を上記表面処理剤にて処理する方法、即ち、上記アルコールと上記有機溶媒Sの混合物を分散媒とする酸化チタン粒子の分散体を上記表面処理剤にて処理する方法は、本発明において、上記表面処理工程において好ましく用いることができる方法の1つである。
【0041】
本発明においては、上記表面処理剤は、酸化チタン粒子100重量部に対して、上記シランカップリング剤1〜40重量部と12−ヒドロキシステアリン酸1〜80重量部を含むように用いられる。特に、本発明によれば、シランカップリング剤は、酸化チタン粒子のアルコール分散体における酸化チタン粒子100重量部に対して、好ましくは、1〜10重量部の範囲で用いられる。同様に、12−ヒドロキシステアリン酸も、本発明においては、酸化チタン粒子のアルコール分散体における酸化チタン粒子100重量部に対して、好ましくは、1〜10重量部の範囲で用いられる。
【0042】
本発明においては、上記表面処理剤は、前記シランカップリング剤と12−ヒドロキシステアリン酸のみからなることが好ましい。即ち、本発明においては、表面処理剤は、前記シランカップリング剤と12−ヒドロキシステアリン酸以外の表面処理剤は含まないことが好ましい。
【0043】
更に、本発明によれば、上記表面処理剤は、酸化チタン粒子のアルコール分散体における酸化チタン粒子100重量部に対して、シランカップリング剤と12−ヒドロキシステアリン酸の合計量が2〜20重量部の範囲となるように用いられることが好ましく、5〜20重量部の範囲となるように用いられることがより好ましい。
【0044】
本発明によれば、このようにして、酸化チタン粒子のアルコール分散体における酸化チタン粒子を上記表面処理剤で表面処理する表面処理工程と、上記表面処理した酸化チタン粒子のアルコール分散体の分散媒である上記アルコール溶媒を前記有機溶媒と置換する溶媒置換工程を行うことによって、目的とする上記酸化チタン粒子の有機溶媒分散体を得る。
【0045】
ここに、本発明によれば、上記表面処理工程を行った後に上記溶媒置換工程を行ってもよく、また、上記表面処理工程を行いつつ、上記溶媒置換工程を行ってもよい。
【0046】
例えば、前者の方法の1つとして、前述したように、常温常圧下に酸化チタン粒子のアルコール分散体にシランカップリング剤と12−ヒドロキシステアリン酸を加えて、混合、撹拌し、上記酸化チタン粒子を上記表面処理剤にて表面処理した後、このアルコール分散体に連続的に又は間欠的に前記有機溶媒を加えて、アルコール分散体の分散媒であるアルコール溶媒と溶媒置換すれば、目的とする有機溶媒分散体を得ることができる。
【0047】
また、別の方法として、例えば、前述した表面処理方法3及び4のように、シランカップリング剤と12−ヒドロキシステアリン酸を有機溶媒Sに溶解し、得られた溶液を酸化チタン粒子のアルコール分散体に加え、又はシランカップリング剤と12−ヒドロキシステアリン酸と有機溶媒Sを酸化チタン粒子のアルコール分散体に加え、得られた酸化チタン粒子の分散体を上記有機溶媒の存在下に、即ち、アルコールと上記有機溶媒Sの混合物を分散媒とする酸化チタン粒子の分散体中において、酸化チタン粒子を上記表面処理剤にて表面処理した後、溶媒置換する、即ち、得られた分散体から上記アルコールを除くことによって、目的とする有機溶媒分散体を得ることができる。この方法は、溶媒置換工程において、好ましく用いることができる方法の1つである。
【0048】
後者の方法の1つとして、例えば、シランカップリング剤と12−ヒドロキシステアリン酸を有機溶媒Sに溶解し、得られた溶液を酸化チタン粒子のアルコール分散体に加え、又はシランカップリング剤と12−ヒドロキシステアリン酸と有機溶媒Sを酸化チタン粒子のアルコール分散体に加え、得られた酸化チタン粒子の分散体を上記有機溶媒の存在下に、即ち、アルコールと上記有機溶媒Sの混合物を分散媒とする酸化チタン粒子の分散体中において、酸化チタン粒子を上記表面処理剤にて表面処理しながら、一方において、上記分散体から上記アルコールを除いて、溶媒置換することによっても、目的とする有機溶媒分散体を得ることができる。
【0049】
本発明において、酸化チタン粒子の有機溶媒分散体における分散媒である上記有機溶媒はメタノール及びエタノールよりも親油性である有機溶媒が好ましく、そのような親油性有機溶媒としては、例えば、炭素原子数3以上のアルコール類、グリコール類、ケトン類、ケトンアルコール類、エステル類、エーテル類、炭化水素類、ハロゲン化炭素類、カルボン酸アミド類、スルホキシド類等を挙げることができる。
【0050】
具体的には、炭素原子数3以上のアルコール類としては、イソプロパノールのようなプロパノール類や1−ブタノールのようなブタノール類等を、グリコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール等を、ケトン類としては、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等を、ケトンアルコール類としてはジアセトンアルコールを、エステル類としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等を、エーテル類としては、ジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジオキサン等を、炭化水素類としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等を、また、ハロゲン化炭素水素類としては、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン等を、カルボン酸アミドとしては、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N,2−トリメチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等を、スルホキシド類としては、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド類等を挙げることができる。
【0051】
特に、本発明によれば、好ましい親油性有機溶媒として、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ジアセトンアルコール、ブタノール、プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N,2−トリメチルプロピオンアミド、γ―ブチロラクトン及び酢酸ブチルから選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
【0052】
本発明において、酸化チタン粒子のアルコール分散体の分散媒であるアルコール溶媒をこのアルコール溶媒以外の上記親油性有機溶媒と置換するには、方法それ自体は既によく知られている蒸留置換法や限外濾過濃縮置換法によることができる。
【0053】
蒸留置換法は、前述したように、表面処理剤で表面処理した酸化チタン粒子のアルコール分散体をその分散媒であるアルコールの沸点以上の温度に加熱して、上記アルコール分散体の分散媒であるアルコールを蒸留し、上記分散体から除去しながら、上記分散体に目的とする有機溶媒を加える方法である。
【0054】
例えば、1つの方法として、前記表面処理剤で表面処理した酸化チタン粒子のアルコール分散体を常圧下又は減圧下において加熱し、上記アルコール溶媒を蒸留しつつ、好ましくは、その留出速度と同じ速度にて有機溶媒を分散体に加えることによって、上記酸化チタン粒子のアルコール分散体の分散媒であるアルコール溶媒を上記有機溶媒に置換することができる。
【0055】
別の方法として、前述した表面処理方法3又は4のように、前記表面処理剤を前記有機溶媒に溶解させ、得られた溶液を酸化チタン粒子のアルコール分散体に加え、又は前記表面処理剤と前記有機溶媒を酸化チタン粒子のアルコール分散体に加え、酸化チタン粒子を上記有機溶媒の存在下に上記表面処理剤で表面処理した後、常圧下又は減圧下において加熱して、上記アルコール分散体の分散媒であるアルコールを蒸留によって除去して、上記酸化チタン粒子のアルコール分散体の分散媒である上記アルコール溶媒を上記有機溶媒に置換することもできる。
【0056】
従って、酸化チタン粒子のアルコール分散体の分散媒をこのように蒸留置換法によって有機溶媒と置換するには、用いる有機溶媒は、蒸留条件下において、上記アルコールと同程度か、より高い沸点を有することが望ましい。
【0057】
限外濾過濃縮置換法は、酸化チタン粒子のアルコール分散体を限外濾過に付して、そのアルコール溶媒を膜透過させて、分散体から上記アルコールを除去しながら、一方において、上記分散体に目的とする有機溶媒を加え、かくして、上記酸化チタン粒子のアルコール分散体の分散媒であるアルコール溶媒を上記有機溶媒と置換する方法である。
【0058】
例えば、酸化チタン粒子のアルコール分散体を前記表面処理剤で処理した後、得られたアルコール分散体を限外濾過モジュールに圧送し、そのアルコール溶媒を膜透過させることによってアルコール溶媒を上記分散体から除去しながら、一方において、段階的に又は連続的に目的とする前記有機溶媒を上記分散体に加えることによって、酸化チタン粒子のアルコール分散体の分散媒であるアルコール溶媒を上記有機溶媒に置換するものである。
【0059】
本発明によれば、このようにして、酸化チタン粒子のアルコール分散体を出発原料として用いて、アルコール分散媒中の酸化チタン粒子を前記表面処理剤で表面処理する工程と、上記表面処理した酸化チタン粒子のアルコール分散体の分散媒であるアルコール溶媒を前記有機溶媒に置換する溶媒置換工程を経ることによって、その酸化チタン粒子の凝集が殆どなしに、通常、酸化チタン粒子含有率が10重量%以上、好ましくは、15〜40重量%であって、D50が1〜30nm、好ましくは、1〜20nm、より好ましくは、2〜10nmであり、波長500nmにおける透過率が2%以上であり、波長800nmにおける透過率が70%以上であり、好ましくは、波長550nmにおける透過率が4%以上であり、波長600nmにおける透過率が8%以上であり、25℃において、製造直後の粘度が10mPa・s以下であると共に、上記製造直後の粘度に対する7日後の粘度の増加量が40mPa・s以下である有機溶媒分散体を得ることができる。
【0060】
即ち、本発明の方法によれば、出発原料として用いる上記酸化チタン粒子のアルコール分散体中の酸化チタン粒子を前述した表面処理剤で表面処理した後、又は表面処理剤で表面処理しながら、その分散媒であるアルコール溶媒を前記有機溶媒と置換することによって、上記アルコール分散体における酸化チタン粒子の微細な平均粒子径D50が本発明によって得られる酸化チタン粒子の有機溶媒分散体に承継され、かくして、分散体中の酸化チタン粒子のD50が小さく、低粘度で高い安定性と透明性を有する酸化チタン粒子の有機溶媒分散体を得ることができる。
【0061】
かくして、本発明による酸化チタン粒子の有機溶媒分散体は、酸化チタン粒子を高含有率で含みながら、低粘度を有し、安定性と透明性にすぐれており、しかも、酸化チタン粒子が本来、有する望ましい特性を保持している。
【0062】
本発明による酸化チタン粒子の有機溶媒分散体の製造方法において、前記表面処理工程において用いる酸化チタン粒子のアルコール分散体は、市販品であってもよい。しかし、本発明によれば、前記表面処理工程において用いる酸化チタン粒子のアルコール分散体は、酸化チタンの水スラリーに酸を加えて解膠し、湿式分散して、水分散体を得る際に、上記酸として酢酸と硝酸を併用して、水分散体を得、次いで、その水分散体の分散媒を前記アルコールと置換し、このようにして得たアルコール分散体であることが好ましい。
【0063】
以下に、本発明の方法における前記表面処理工程において、好ましく用いることができる酸化チタン粒子のアルコール分散体の製造について説明する。
【0064】
本発明の方法における前記表面処理工程において、好ましく用いることができる酸化チタン粒子のアルコール分散体は、
(a)酢酸と硝酸の存在下に酸化チタン粒子の水スラリーを媒体撹拌ミル又は高圧分散機で湿式分散処理して、酸化チタン粒子の水分散体を得る工程、
(b)上記工程(a)で得られた酸化チタン粒子の水分散体を洗浄する工程、
(c)上記工程(b)で得られた酸化チタン粒子の水分散体の分散媒である水をメタノール及びエタノールから選ばれる少なくとも1種のアルコール溶媒に置換する工程、
を含む方法によって得ることができる。
【0065】
上述した酸化チタン粒子のアルコール分散体の製造において、出発物質として用いる酸化チタン粒子の水スラリーは、その由来において、特に、限定されるものではない。従って、本発明においては、例えば、酸化チタン粉末を水に分散させて得られる酸化チタン粒子の水スラリーも用いることができる。
【0066】
しかし、本発明において、上述した酸化チタン粒子のアルコール分散体の製造において、出発物質として用いる酸化チタン粒子の水スラリーは、例えば、次の方法によって得られるものであることが好ましい。
【0067】
即ち、酸化チタン粒子のアルコール分散体の製造において、出発物質として用いる酸化チタンの水スラリーは、次のような方法、
(1)四塩化チタン水溶液の塩素イオン濃度を0.5モル/L以上、4.4モル/L未満に調整した後、25〜75℃の範囲の温度にて加熱し、四塩化チタンを加水分解して、析出したルチル型酸化チタン粒子を含む水スラリーを得る第1工程、
(2)上記第1工程で得られた水スラリーを濾過、水洗して、溶存する水溶性塩類を除去した水スラリーを得る第2工程、
(3)上記第2工程で得られた水スラリーを有機酸の存在下に水熱反応させる第3工程、
(4)上記第3工程で得られた水スラリーを濾過、水洗して、溶存する水溶性塩類を除去して、得られた酸化チタン粒子を水にリパルプする第4工程
によって得ることができる。
【0068】
そして、本発明の方法によれば、このようにして得られる酸化チタン粒子の水スラリーを上述した工程(a)から(c)に付し、その分散媒である水をアルコールと置換し、かくして、得られる酸化チタン粒子のアルコール分散体を前述した表面処理工程と溶媒置換工程に付して、目的とする酸化チタン粒子の有機溶媒分散体を得ることが好ましい。
【0069】
そこで、上述した酸化チタン粒子を含む水スラリーの製造工程について説明する。
【0070】
先ず、上記第1工程は、四塩化チタンを水中にて加水分解して、ルチル型酸化チタン粒子を析出させて、そのようなルチル型酸化チタン粒子を含むスラリーを得る工程である。即ち、第1工程においては、四塩化チタン水溶液を酸化チタン(TiO2、以下、同じ。)として含有率10〜100g/Lの範囲にあり、塩素濃度が0.5モル/L以上、4.4モル/L未満になるように、四塩化チタン水溶液に水を加えて調整した後、25〜75℃の範囲の温度にて、限定されるものではないが、1〜10時間加熱し、四塩化チタンを加水分解して、ルチル型酸化チタン粒子を析出させる。
【0071】
このような四塩化チタンの加水分解に際して、四塩化チタン水溶液の塩素濃度が4.4モル/L以上であるときは、加水分解温度75℃以下において四塩化チタン水溶液を実用的な速度で加水分解することが困難である。他方、四塩化チタン水溶液の塩素濃度が0.5モル/Lよりも小さいときは、四塩化チタン水溶液を工業的規模で加水分解するには、濃度が小さすぎて、非効率的、非実用的である。
【0072】
四塩化チタンの加水分解の温度が75℃を越えるときは、塩素イオン濃度を0.5モル/L以上、4.4モル/L未満の範囲としても、四塩化チタンの加水分解物にアナターゼ型酸化チタンやブルカイト型酸化チタンが混入することがある。
【0073】
四塩化チタンの加水分解速度は加水分解温度に依存しており、温度が高いほど、加水分解速度が速いので、工業上、有利である。四塩化チタンの加水分解速度が25℃よりも低いときは、四塩化チタン水溶液を実用的な速度で加水分解することが困難である。
【0074】
上記第1工程においては、特に、四塩化チタン水溶液の塩素濃度が1.0モル/L以上、4.3モル/L以下になるように、四塩化チタン水溶液に水を加えて調整した後、30〜75℃の範囲の温度にて、限定されるものではないが、1〜5時間加熱し、四塩化チタンを加水分解して、ルチル型酸化チタン粒子を析出させるのが好ましい。
【0075】
上記第2工程は、上記第1工程で得られたスラリーを濾過、水洗して、スラリーに溶存する水溶性塩類を除去する工程である。この第2工程において、スラリーを濾過、水洗するための手段、方法は、特に限定されるものではないが、濾過の前にスラリーに適宜のアルカリを加えて、スラリーのpHを酸化チタンの等電点にすることによって、スラリーを効率よく濾過、水洗することができる。
【0076】
上記第3工程は、上記第2工程で得られたスラリーを粒子成長抑制剤としての有機酸の存在下に水熱反応させて、ルチル型酸化チタン粒子の成長を抑制しながら、結晶性を高める工程である。上記有機酸としては、カルボン酸やヒドロキシカルボン酸が用いられ、これらカルボン酸やヒドロキシカルボン酸は塩であってもよい。そのような有機酸の具体例としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等のモノカルボン酸とその塩、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸等の多塩基酸とその塩、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のヒドロキシカルボン酸とその塩を挙げることができる。上記カルボン酸やヒドロキシカルボン酸の塩としては、例えば、ナトリウム塩やカリウム塩のようなアルカリ金属塩が好ましく用いられる。
【0077】
上記第3工程においては、上述したような有機酸を酸化チタン100モル部に対して75モル部以上用いることによって、水熱反応によって、得られるルチル型酸化チタン粒子の成長を抑えて、結晶性を効果的に高めることができる。有機酸の量が酸化チタン100モル部に対して75モル部よりも少ないときは、水熱反応において、ルチル型酸化チタン粒子の成長を抑制する効果がみられない。酸化チタン100モル部に対する有機酸のより好ましい量は85モル部以上である。一方、酸化チタンに対する有機酸の量の上限は特にないが、しかし、余りに多量を用いても、ルチル型酸化チタン粒子の結晶性を高める効果に変わりがないので、通常、有機酸の量は、酸化チタン100モル部に対して200モル部以下で十分である。
【0078】
上記第3工程において、上記水熱反応の温度は、120〜180℃の範囲である。水熱反応の温度が120℃よりも低いときは、ルチル型酸化チタン粒子の結晶性が高められず、他方、180℃よりも高いときは、粒子の成長が著しい。即ち、粒子の成長を抑制しながら、結晶性を高めることが困難となる。特に、水熱反応を140〜160℃の範囲で行うとき、ルチル型酸化チタン粒子の成長を抑制しながら、結晶性を高めるためのみならず、短時間の反応によって上記効果を得ることができることから有利である。
【0079】
上記第4工程は、上記第3工程において、水熱反応によって得られた酸化チタン粒子の水スラリーに適当なアルカリ、例えば、水酸化ナトリウム水溶液を加えて、上記水スラリー中の前記有機酸を中和した後、得られた水スラリーを濾過、水洗して、上記水スラリー中に溶存する水溶性塩類を除去して、得られた酸化チタン粒子を水にリパルプして、目的とする酸化チタン粒子の水スラリーを得る工程である。
【0080】
この第4工程においても、上記酸化チタン粒子の水スラリーを濾過、水洗するための手段、方法は何ら限定されるものではないが、上述したように、水熱反応によって得られた水スラリーに適当なアルカリを加えて、水スラリーのpHを酸化チタンの等電点にすることによって、効率よく濾過、水洗を行うことができる。特に、ルチル型酸化チタン粒子を100g/L濃度となるように水にリパルプしたときの電気伝導度が100μS/cm以下であるように濾過、水洗することが好ましい。
【0081】
本発明によれば、上述したようにして、酸化チタン粒子の水スラリーを得た後、前述したようにして、この酸化チタン粒子の水スラリーを前記(a)から(c)の工程に付して、酸化チタン粒子のアルコール分散体を得て、それを前述した表面処理工程と置換工程に付すことが好ましい。
【0082】
次に、本発明による前記表面処理工程において好ましく用いることができる酸化チタン粒子のアルコール分散体の製造工程について説明する。
【0083】
前記工程(a)は、上述した酸化チタン粒子の水スラリーの製造工程の第4工程で得られた水スラリーを酢酸と硝酸の存在下に解膠した後、湿式分散処理して、水分散体を得る工程である。
【0084】
即ち、本発明によれば、このように、酸化チタン粒子の水スラリーに酢酸と硝酸を加えて、酸化チタン粒子を解膠した後、湿式分散処理することによって、前記工程(c)において、酸化チタン粒子の水スラリーの分散媒である水をアルコールに置換する際に、得られる分散体において、分散媒であるアルコールの割合が増えても、分散体における酸化チタン粒子の凝集を抑えて、分散性と透明性にすぐれる酸化チタン粒子のアルコール分散体を得ることができる。
【0085】
酸化チタン粒子の水スラリーに硝酸のみを加えて、酸化チタン粒子を解膠した後、湿式分散処理したときは、水スラリーの分散媒である水をアルコールに置換する際に、得られる分散体において、分散媒であるアルコールの割合が増えるにつれて、分散体における酸化チタン粒子が凝集して、分散性と透明性が損なわれる。
【0086】
また、酸化チタン粒子の水スラリーに酢酸のみを加えて、酸化チタン粒子を解膠した後、湿式分散処理したときは、前記工程(b)において,水溶性塩類を除去するにつれて分散体の粘度が上昇し、遂には、流動性を失って、ゲル化する。
【0087】
本発明によれば、酸化チタン粒子の水スラリーに酢酸と硝酸を加えて、酸化チタン粒子を解膠する際、酸化チタン100モル部に対して、酢酸は15〜250モル部の範囲で、硝酸は15〜90モル部の範囲で、それぞれ用いることが好ましい。
【0088】
前記工程(a)における湿式分散処理は媒体撹拌ミル又は高圧分散機を用いるものであり、媒体撹拌ミルとしては、例えば、ビーズミルが好ましく用いられる。ビーズとしては、チタニアよりもモース硬度が高いものが好ましく、例えば、ジルコニアビーズが好ましく用いられる。好ましい態様によれば、15〜300μmの直径を有するジルコニアビーズをビーズミルに仕込み、分散処理して、ルチル型酸化チタン粒子の水分散体を得る。
【0089】
前記工程(b)は、上記工程(a)で得られた酸化チタン粒子の水分散体に分散安定性を与えるために、水分散体に溶存している水溶性塩類を除去する工程である。この水分散体中に溶存している水溶性塩類を除去するための手段、方法は特に限定されるものではないが、例えば、透析や限外濾過等によることができる。
【0090】
上記工程(a)で得られた酸化チタンの水分散体は、解膠剤として用いた酢酸と硝酸を含んでいるので、その電気伝導度は、通常、10mS/cmよりも大きいが、この工程(b)において、水分散体の電気伝導度を0.1〜5mS/cm、好ましくは、1〜3mS/cmの範囲とすることによって、ルチル型酸化チタン粒子の分散安定性にすぐれた水分散体を得ることができる。
【0091】
このように、本発明によれば、四塩化チタンを水溶液中で加水分解してルチル型酸化チタン粒子を析出させ、これを有機酸の存在下に水熱処理して、粒子の成長を抑制しながら、その結晶性を向上させ、次いで、このようにして得られたルチル型酸化チタン粒子の水スラリーに酢酸と硝酸の組み合わせを加えて解膠した後、湿式分散処理し、更に、余剰の酸と溶存する水溶性塩類を除去することによって、ルチル型酸化チタン粒子が凝集することなく、安定して水に分散している水分散体を得ることができる。
【0092】
このようにして、上述した方法によって、四塩化チタンから出発して、酸化チタン粒子含有率が10重量%以上であり、動的光散乱法によって測定した粒度分布において、酸化チタン粒子のD50が1〜20nm、好ましくは、2〜10nmの範囲にあり、D90が40nm以下であり、波長500nmにおける透過率が50%以上であり、波長800nmにおける透過率が90%以上であり、温度25℃における製造直後の粘度が20mPa・s以下、好ましくは、10mPa・s以下である酸化チタン粒子の水分散体を得ることができる。
【0093】
次いで、このようにして得られる酸化チタン粒子の水分散体の分散媒である水を前記アルコール溶媒に置換することによって、本発明による酸化チタン粒子の有機溶媒分散体の製造方法において好ましく用いることができる酸化チタン粒子のアルコール分散体、即ち、10重量%以上の酸化チタン粒子を含有し、D50が1〜20nm、好ましくは、2〜10nmの範囲にあり、D90が40nm以下であり、波長500nmにおける透過率が40%以上であり、波長800nmにおける透過率が80%以上であり、温度25℃における製造直後の粘度が20mPa・s以下、好ましくは、10mPa・s以下である酸化チタン粒子のアルコール分散体を得ることができる。
【0094】
本発明によれば、このような酸化チタン粒子のアルコール分散体を出発物質として用いることによって、目的とする酸化チタン粒子の有機溶媒分散体を容易に且つ安定して得ることができる。
【実施例】
【0095】
以下の参考例は、酸化チタン粒子の水分散体及びアルコール分散体の調製例を示す。これらの参考例において、限外濾過には旭化成ケミカルズ(株)製「マイクローザ」(型式ACP−1010D、分画分子量13000)を用いた。
【0096】
以下の実施例及び比較例は、上記参考例において得られた酸化チタン粒子のアルコール分散体を用いる酸化チタン粒子の有機溶媒分散体の調製例を示す。
【0097】
上記酸化チタン粒子の水分散体、アルコール分散体及び有機溶媒分散体中の酸化チタン粒子の分散径、即ち、分散体中に分散している粒子の大きさ(直径)、上記有機溶媒分散体の濁度計透過率、波長500nm、550nm、600nm及び800nmにおける透過率及び粘度は下記のようにして測定した。
【0098】
酸化チタン粒子の分散径は動的光散乱法(日機装(株)製UPA−UT)によって測定した。
【0099】
濁度計透過率は、ヘーズメーター(日本電色工業(株)製NDH4000)を用いて、光路長10mmのセルにイオン交換水を充填して全光線透過率(ブランク値)T0を測定し、同様にセルに分散体を充填して光線透過率Tを測定し、(T/T0)×100として求めた。
【0100】
波長500nm、550nm、600nm及び800nmにおける透過率は、光路長が10mmのセルに分散体を充填して、可視紫外分光光度計(日本分光(株)製 V−570)にて測定した。
【0101】
粘度は音叉型振動式SV型粘度計(エー・アンド・デイ(株)製 SV−1A(測定粘度範囲0.3〜1000mPa・s))にて測定した。
【0102】
また、以下において用いた有機溶媒の略語は下記のとおりである。
【0103】
MEK:メチルエチルケトン
MIBK:メチルイソブチルケトン
IPA:イソプロピルアルコール
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
DMAC:N,N−ジメチルアセトアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
DMIB:N,N,2−トリメチルプロピオンアミド
【0104】
参考例1
(ルチル型酸化チタン粒子の水分散体(I)の調製)
還流装置を備えたセパラブルフラスコに塩素イオン濃度2.3モル/L、チタンイオン濃度に基づいて、酸化チタンとして50.7g/Lとなるように調整した四塩化チタン水溶液を3L仕込み、70℃で3時間加熱し、加水分解して、析出したルチル型酸化チタン粒子を含む水スラリーを得た。(第1工程)
【0105】
上記水スラリーを捕集径300nmのガラス繊維濾紙を用いて濾過し、未反応四塩化チタンと溶存成分を除去した。このようにして得られた酸化チタン粒子を水にリパルプし、得られた水スラリーに水酸化ナトリウム水溶液を水スラリーのpHが7.0となるまで加えた後、捕集径300nmのガラス繊維濾紙を用いて濾過した。この際、ルチル型酸化チタンを酸化チタンとして50g/Lとなるように水にリパルプしたときに、スラリーの電気伝導度が100μS/cm以下となるまで、濾過、水洗して、水溶性塩類を除去した。
【0106】
(第2工程)
上記第2工程によって得られたルチル型酸化チタン粒子を酸化チタンとして50g/Lとなるように水にリパルプし、このスラリーに酢酸を酸化チタン100モル部に対して150モル部加え、150℃で水熱反応を3時間行って、ルチル型酸化チタン粒子の結晶性を高めた。(第3工程)
【0107】
上記水熱反応によって得られたスラリーにそのpHが5.0となるまで水酸化ナトリウム水溶液を加えた後、捕集径300nmのガラス繊維濾紙を用いて濾過し、この際、ルチル型酸化チタン粒子を酸化チタンとして100g/Lとなるように水にリパルプしたときに、スラリーの電気伝導度が100μS/cm以下となるまで、濾過、水洗して、水溶性塩類を除去し、かくして得られたルチル型酸化チタン粒子を酸化チタンとして100g/Lとなるように水にリパルプして、酸化チタン粒子の水スラリーを得た。(第4工程)
【0108】
次いで、得られた酸化チタン粒子の水スラリーに酸化チタン100モル部に対して酢酸150モル部と硝酸50モル部を加えて、酸化チタン粒子を解膠した。このようにして得られた酸化チタン粒子の水スラリーを寿工業(株)製循環型ビーズミル「ウルトラアペックスミルUAM−05」を用いて10時間、湿式分散処理して、ルチル型酸化チタン粒子の水分散体を得た。この際、直径30μmのジルコニアビーズを用い、ビーズミルの回転数は2350rpmとした。(工程(a))
【0109】
上記ルチル型酸化チタン粒子の水分散体の電気伝導度が3.2mS/cmとなるまで限外濾過膜にて洗浄して、余剰の上記酸類と水溶性塩類を除去した後、濃縮して、ルチル型酸化チタン粒子の含有率15重量%の酸化チタン水分散体(I)を得た。(工程(b))
【0110】
このようにして得られた酸化チタン粒子の水分散体(I)は、波長500nmにおける透過率が65.1%、波長800nmにおける透過率が95.9%であり、温度25℃における製造直後の粘度が2mPa・sであった。
【0111】
また、得られた酸化チタン粒子の水分散体(I)から水を除去し、得られた酸化チタン粒子を乾燥した。得られた酸化チタン粒子粉末をTEM(透過型電子顕微鏡)にて観察したところ、酸化チタン粒子の平均一次粒子径は4nm程度であった。
【0112】
一方、上記酸化チタン粒子の水分散体(I)中の酸化チタン粒子の分散径D50は4nmであり、D90は6.4nmであった。従って、得られた酸化チタン粒子の水分散体(I)においては、酸化チタン粒子の凝集が殆ど生じていないことがわかった。
【0113】
(酸化チタンのメタノール分散体(II)の調製)
上記酸化チタン粒子水分散体(I)500gを限外濾過膜用いて濃縮し、濃縮濾液量と等量のメタノールを投入することにより、濃縮とメタノールによる希釈を連続的且つ同時に並行して行うことによって、分散体中の酸化チタン粒子の含有率を15重量%に維持しつつ、分散体の分散媒を水からメタノールに置換して(工程(c))、酸化チタン粒子含有率15重量%の酸化チタンのメタノール分散体(II)を得た。この際、希釈に用いたメタノール量は2Lであった。
【0114】
このようにして得られた酸化チタン粒子のメタノール分散体(II)は、波長500nmにおける透過率が57%であり、波長800nmにおける透過率が95%であり、温度25℃における製造直後の粘度が1mPa・sであった。
【0115】
また、この酸化チタン粒子のメタノール分散体(II)からメタノールを除去し、得られた酸化チタン粒子を乾燥した。得られた酸化チタン粒子粉末をTEM(透過型電子顕微鏡)にて観察したところ、酸化チタン粒子の平均一次粒子径は4nm程度であった。
【0116】
一方、上記酸化チタン粒子のメタノール分散体(II)中の酸化チタン粒子の分散径D50は4nmであり、D90は9.2nmであった。従って、得られた酸化チタン粒子のメタノール分散体(II)においては、酸化チタン粒子の凝集が殆ど生じていないことがわかった。
【0117】
参考例2
(アナターゼ型酸化チタン粒子の水分散体(III)の調製)
堺化学工業(株)製のアナターゼ型酸化チタン粒子の水スラリー(CSB−M)を水で希釈して、酸化チタン含有率を100g/Lとした。この酸化チタン粒子の水スラリーに酸化チタン100モル部に対して酢酸150モル部と硝酸50モル部とを加えて、解膠した。このようにして得られた酸化チタン粒子の水スラリーを寿工業(株)製循環型ビーズミル「ウルトラアペックスミルUAM−05」を用いて、10時間、湿式分散処理して、アナターゼ型酸化チタン粒子の水分散体を得た。この際、直径30μmのジルコニアビーズを用い、ビーズミルの回転数は2350rpmとした。(工程(a))
【0118】
上記アナターゼ型酸化チタン粒子の水分散体の電気伝導度が3.2mS/cmとなるまで限外濾過膜にて洗浄して、余剰の上記酸類と水溶性塩類を除去した後、濃縮して、アナターゼ型酸化チタン粒子の含有率15重量%の酸化チタン粒子の水分散体(III)を得た。(工程(b))
【0119】
このようにして得られた酸化チタン粒子の水分散体(III)は、波長500nmにおける透過率が77.2%、波長800nmにおける透過率が97.2%であり、温度25℃における製造直後の粘度が3mPa・sであった。
【0120】
また、上記酸化チタン水分散体(III)から水を除去し、得られた酸化チタン粒子を乾燥した。得られた酸化チタン粒子粉末をTEM(透過型電子顕微鏡)にて観察したところ、酸化チタン粒子の平均一次粒子径は5nm程度であった。
【0121】
一方、上記酸化チタン粒子の水分散体(III)中の酸化チタン粒子の分散径D50は5nm、D90は5.8nmであった。従って、得られた酸化チタン粒子の水分散体(III)においては、酸化チタン粒子の凝集が殆ど生じていないことがわかった。
【0122】
(酸化チタンのメタノール分散体(IV)の調製)
上記酸化チタン水分散体(III)500gを限外濾過膜を用いて濃縮し、濃縮濾液量と等量のメタノールを投入することにより、濃縮とメタノールによる希釈を連続的且つ同時に並行して行うことによって、分散体中の酸化チタン粒子含有率を15重量%に維持しつつ、分散体の分散媒を水からメタノールに置換して(工程(c))、酸化チタン粒子含有率15重量%の酸化チタンメタノール分散体(IV)を得た。この際、希釈に用いたメタノール量は2Lであった。
【0123】
このようにして得られた酸化チタン粒子のメタノール分散体(IV)は、波長500nmにおける透過率が66%であり、波長800nmにおける透過率が96%であり、温度25℃における製造直後の粘度が1mPa・sであった。
【0124】
また、この酸化チタン粒子のメタノール分散体(IV)からメタノールを除去し、得られた酸化チタン粒子を乾燥した。得られた酸化チタン粒子粉末をTEM(透過型電子顕微鏡)にて観察したところ、酸化チタン粒子の平均一次粒子径は5nm程度であった。
【0125】
一方、上記酸化チタン粒子のメタノール分散体(IV)中の酸化チタン粒子の分散径D50は5nm、D90は6.2nmであった。従って、得られた酸化チタン粒子のメタノール分散体(IV)においては、酸化チタン粒子の凝集が殆ど生じていないことがわかった。
【0126】
以下の実施例1〜39及び比較例1〜17において、用いた置換有機溶媒、用いた表面処理剤、表面処理温度、得られた有機溶媒分散体の固形分含有率と酸化チタン粒子含有率及び溶媒置換率を表1、表2及び表5に示し、得られた有機溶媒分散体の濁度計透過率、500nm、550nm、600nm及び800nmにおける透過率、得られた有機溶媒分散体中の酸化チタン粒子の粒度分布及び粘度を表3、表4及び表6に示す。溶媒置換方法は、実施例1、2、3及び4において説明する。
【0127】
表1、表2及び表5において、固形分含有率、酸化チタン粒子含有率及び溶媒置換率はそれぞれ、下記のようにして得られる値である。
【0128】
固形分含有率(S)
得られた分散体のW重量部を乾燥皿に取り、乾固させて、乾固分をw重量部得たとき、固形分含有率Sは次式
S=(w/W)x100
から求めることができる。
【0129】
酸化チタン粒子含有率(T)
酸化チタン粒子含有率Tは、得られた分散体中の固形分中の酸化チタン粒子の割合であるので、酸化チタン粒子100重量部に対して用いた表面処理剤の重量部数をpとしたとき、次式
T=Sx100/(100+p)
から求めることができる。
【0130】
溶媒置換率
得られた分散体を重クロロホルムに溶解させて試料を調製し、この試料について、核磁気共鳴装置(ブルカー・バイオスピン(株)製AV400M)を用いてプロトンの1次元NMRスペクトルを測定し、これに基づいて、各溶媒のピークの面積比(物質量比)を質量比に換算して溶媒比率を算出し、この溶媒比率に基づいて溶媒置換率を求めた。
【0131】
また、表1、表2及び表5において、表面処理剤の欄のHSAは12−ヒドロキシステアリン酸を示し、シランカップリング剤の欄の(a)から(m)はそれぞれ用いたシランカップリング剤を示し、表面処理剤の欄の数値は、用いた表面処理剤の酸化チタン100重量部に対する重量部数を示す。
【0132】
シランカップリング剤(a)から(m)はそれぞれ、下記のシランカップリング剤を示す。
(a):3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン
(b):3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン
(c):3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン
(d):ヘキシルトリメトキシシラン
(e):ビニルトリメトキシシラン
(f):3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン
(g):デシルトリメトキシシラン
(h):トリフルオロプロピルトリメトキシシラン
(i):メチルトリメトキシシラン
(j):ジメチルジメトキシシラン
(k):N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
(l):3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(m):2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
【0133】
実施例1
上記参考例1において得られた酸化チタン粒子のメタノール分散体(II)100gに3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン1.5g(酸化チタン100重量部に対して10.0重量部)と12−ヒドロキシステアリン酸1.5g(酸化チタン100重量部に対して10.0重量部)を加えて、温度26℃で5分間、攪拌して、上記分散体を表面処理剤で処理した。
【0134】
このように処理した酸化チタン粒子のメタノール分散体を常圧下に加熱して、メタノールを留出させつつ、上記メタノールの留出速度と同じ速度でMEKを上記分散体に滴下しながら加えて、溶媒置換を行って、酸化チタン粒子含有率約15重量%の酸化チタン粒子のMEK分散体を得た。
【0135】
上述したように、表面処理剤で処理した酸化チタン粒子のメタノール分散体を常圧下に加熱して、メタノールを留出させつつ、上記メタノールの留出速度と同じ速度で有機溶媒を上記分散体に滴下しながら加えて溶媒置換する方法を溶媒置換方法1とする。
【0136】
実施例2
上記参考例1において得られた酸化チタン粒子のメタノール分散体(II)100gに3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン1.5g(酸化チタン100重量部に対して10.0重量部)と12−ヒドロキシステアリン酸1.5g(酸化チタン100重量部に対して10.0重量部)を加えた後、MEKを加え、得られた酸化チタン粒子のメタノールとMEKの分散体を温度24℃で5分間、攪拌して、上記分散体を表面処理剤で処理した。
【0137】
このように処理した酸化チタン粒子の分散体を常圧下に加熱して、メタノールを留出させることによって溶媒置換を行って、酸化チタン粒子含有率約15重量%の酸化チタン粒子のMEK分散体を得た。
【0138】
上述したように、表面処理剤を酸化チタン粒子のメタノール分散体に加えた後、有機溶媒を加え、かくして、得られた分散体を表面処理剤で処理した後、メタノールを常圧下に蒸留して溶媒置換する方法を溶媒置換方法2とする。
【0139】
実施例3
上記参考例1において得られた酸化チタン粒子のメタノール分散体(II)100gに3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン1.5g(酸化チタン100重量部に対して10.0重量部)と12−ヒドロキシステアリン酸1.5g(酸化チタン100重量部に対して10.0重量部)を加えた後、MEKを加え、得られた酸化チタン粒子のメタノールとMEKの分散体を温度25℃で5分間、攪拌して、上記分散体を表面処理剤で処理した。
【0140】
このように処理した酸化チタン粒子の分散体を減圧下において加熱し、メタノールを留出させることによって溶媒置換を行って、酸化チタン粒子含有率約15重量%の酸化チタン粒子のMEK分散体を得た。
【0141】
上述したように、表面処理剤を酸化チタン粒子のメタノール分散体に加えた後、有機溶媒を加え、かくして、得られた分散体を表面処理剤で処理した後、メタノールを減圧下に蒸留して溶媒置換する方法を溶媒置換方法3とする。
【0142】
実施例4
上記参考例1において得られた酸化チタン粒子のメタノール分散体(II)100gにMEKに溶解させた3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン1.5g(酸化チタン100重量部に対して10.0重量部)と12−ヒドロキシステアリン酸1.5g(酸化チタン100重量部に対して10.0重量部)を加え、得られた酸化チタン粒子のメタノールとMEKの分散体を温度24℃で5分間、攪拌して、上記表面処理剤で処理した。
【0143】
このように処理した酸化チタン粒子の分散体を常圧下において加熱し、メタノールを留出させることによって溶媒置換を行って、酸化チタン粒子含有率約15重量%の酸化チタン粒子のMEK分散体を得た。
【0144】
上述したように、有機溶媒に表面処理剤を溶解させ、得られた溶液を酸化チタン粒子のメタノール分散体に加え、かくして、得られた分散体を表面処理剤で処理した後、メタノールを蒸留して溶媒置換する方法を溶媒置換方法4とする。
【0145】
実施例5〜37
上記参考例1において得られた酸化チタン粒子のメタノール分散体(II)100gにそれぞれ表1及び表2に示す量のシランカップリング剤と12−ヒドロキシステアリン酸(と有機溶媒)を加えて、得られた酸化チタン粒子のメタノール(と有機溶媒の)分散体を表1及び表2に示す温度で5分間、攪拌して、上記分散体を上記表面処理剤で処理した。
【0146】
このように処理した酸化チタン粒子の分散体を表1及び表2に示すように、溶媒置換方法1、2、3又は4にて溶媒置換を行って、酸化チタン粒子含有率約15重量%の酸化チタン粒子の有機溶媒分散体を得た。
【0147】
実施例38及び39
上記参考例2において得られた酸化チタン粒子のメタノール分散体(IV)100gにそれぞれ表2に示す量のシランカップリング剤と12−ヒドロキシステアリン酸(と有機溶媒)を加えて、得られた酸化チタン粒子のメタノール(と有機溶媒の)分散体を表2に示す温度で5分間、攪拌して、上記分散体を上記表面処理剤で処理した。
【0148】
このように処理した酸化チタン粒子の分散体を表2に示す溶媒置換方法にて溶媒置換を行って、酸化チタン粒子含有率約15重量%の酸化チタン粒子の有機溶媒分散体を得た。
【0149】
比較例1
上記参考例1において得られた酸化チタン粒子のメタノール分散体(II)に3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランと12−ヒドロキシステアリン酸のいずれも加えることなく、MEKのみを加えて、得られた酸化チタン粒子のメタノールとMEKの分散体を温度23℃で5分間、攪拌した。
【0150】
このように処理した酸化チタン粒子の分散体を溶媒置換方法3にて溶媒置換を行ったところ、分散体は途中で白濁し、酸化チタン粒子が凝集してMEK分散体を得ることができなかった。
【0151】
比較例2
上記参考例1において得られた酸化チタン粒子のメタノール分散体(II)100gに3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン1.5g(酸化チタン100重量部に対して10.0重量部)を加えた後、MEKを加え、得られた酸化チタン粒子のメタノールとMEKの分散体を温度24℃で5分間、攪拌して、上記分散体を上記表面処理剤で処理した。
【0152】
このように処理した酸化チタン粒子の分散体を溶媒置換方法3にて溶媒置換を行ったところ、分散体は途中で白濁し、酸化チタン粒子が凝集して、MEK分散体を得ることができなかった。
【0153】
比較例3
上記参考例1において得られた酸化チタン粒子のメタノール分散体(II)100gに12−ヒドロキシステアリン酸1.5g(酸化チタン100重量部に対して10.0重量部)を加えた後、MEKを加え、得られた酸化チタン粒子のメタノールとMEKの分散体を温度25℃で5分間、攪拌して、上記分散体を上記表面処理剤で処理した。
【0154】
このように処理した酸化チタン粒子の分散体を溶媒置換方法3にて溶媒置換を行ったところ、途中で流動性を失ってゲル化してMEK分散体を得ることができなかった。
【0155】
比較例4
上記参考例1において得られた酸化チタン粒子のメタノール分散体(II)100gに3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン3g(酸化チタン100重量部に対して20.0重量部)を加えた後、MEKを加え、得られた酸化チタン粒子のメタノールとMEKの分散体を温度26℃で5分間、攪拌して、上記分散体を上記表面処理剤で処理した。
【0156】
このように処理した酸化チタン粒子の分散体を溶媒置換方法3にて溶媒置換を行ったところ、途中で白濁し、酸化チタン粒子が凝集して、MEK分散体を得ることができなかった。
【0157】
比較例5〜7
上記参考例1において得られた酸化チタン粒子のメタノール分散体(II)100gに表5に示す量のシランカップリング剤と12−ヒドロキシステアリン酸の両方またはいずれか一方とMEKを加えて、得られた酸化チタン粒子のメタノールとMEKの分散体を表5に示す温度にてそれぞれ5分間攪拌して、上記分散体を上記表面処理剤で処理した。
【0158】
このように処理した酸化チタン粒子の分散体を溶媒置換方法3にて溶媒置換を行ったところ、途中で流動性を失ってゲル化してMEK分散体を得ることができなかった。
【0159】
比較例8及び9
上記参考例1において得られた酸化チタン粒子のメタノール分散体(II)100gに表5に示す量のシランカップリング剤と12−ヒドロキシステアリン酸とMEKを加えて、得られた酸化チタン粒子のメタノールとMEKの分散体を表5に示す温度にてそれぞれ5分間攪拌して、上記分散体を上記表面処理剤で処理した。
【0160】
このように処理した酸化チタン粒子の分散体を溶媒置換方法3にて溶媒置換を行って酸化チタン粒子含有率約15重量%の酸化チタン粒子の有機溶媒分散体を得たが、すぐにゲル化した。
【0161】
比較例10
上記参考例1において得られた酸化チタン粒子のメタノール分散体(II)100gに3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン1.5g(酸化チタン100重量部に対して10.0重量部)とステアリン酸1.5g(酸化チタン100重量部に対して10.0重量部)を加えた後、MEKを加え、得られた酸化チタン粒子のメタノールとMEKの分散体を温度22℃で5分間、攪拌して、上記分散体を上記表面処理剤で処理した。
【0162】
このように処理した酸化チタン粒子の分散体を溶媒置換方法3にて溶媒置換を行って、酸化チタン粒子含有率約15重量%の酸化チタン粒子のMEK分散体を得たが、すぐにゲル化した。
【0163】
比較例11
上記参考例1において得られた酸化チタン粒子のメタノール分散体(II)100gに3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン1.5g(酸化チタン100重量部に対して10.0重量部)を加えた後、MIBKを加え、得られた酸化チタン粒子のメタノールとMIBKの分散体を温度24℃で5分間、攪拌して、上記分散体を上記表面処理剤で処理した。
【0164】
このように処理した酸化チタン粒子の分散体を溶媒置換方法3にて溶媒置換を行ったところ、途中で白濁し、酸化チタン粒子が凝集して、MIBK分散体を得ることができなかった。
【0165】
比較例12
上記参考例1において得られた酸化チタン粒子のメタノール分散体(II)100gに12−ヒドロキシステアリン酸1.5g(酸化チタン100重量部に対して10.0重量部)を加えた後、MIBKを加え、得られた酸化チタン粒子のメタノールとMIBKの分散体を温度17℃で5分間、攪拌して、上記分散体を上記表面処理剤で処理した。
【0166】
このように処理した酸化チタン粒子の分散体を溶媒置換方法3にて溶媒置換を行って、酸化チタン粒子含有率約15重量%の酸化チタン粒子の有機溶媒分散体を得た。得られた有機溶媒分散体はいずれも、製造から7日後にはゲル化した。
【0167】
比較例13
上記参考例1において得られた酸化チタン粒子のメタノール分散体(II)100gを常圧下に加熱し、メタノールを完全に留出させた後、残留物を乾燥して、酸化チタン粉末を得た。
【0168】
得られた粉末に3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン1.5g(酸化チタン100重量部に対して10.0重量部)と12−ヒドロキシステアリン酸1.5g(酸化チタン100重量部に対して10.0重量部)を加え、乳鉢を用いて混合、即ち、乾式処理を行った。このようにして得られた酸化チタン粉末をMEKに加えて、攪拌し、放置したところ、酸化チタン粒子が沈降して、MEK分散体を得ることができなかった。
【0169】
比較例14
上記参考例1において得られた酸化チタン粒子のメタノール分散体(II)100gに3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン1.5g(酸化チタン100重量部に対して10.0重量部)と12−ヒドロキシステアリン酸1.5g(酸化チタン100重量部に対して10.0重量部)を加えて、温度25℃で5分間、攪拌して、上記分散体を上記表面処理剤で処理した。
【0170】
このように処理した酸化チタン粒子の分散体を常圧下に加熱し、メタノールを完全に留出させた後、残留物を乾燥して、酸化チタン粉末を得た。
【0171】
このようにして得られた酸化チタン粉末をMEKに加えて、攪拌し、放置したところ、酸化チタン粒子が沈降して、MEK分散体を得ることができなかった。
【0172】
比較例15
上記参考例1において得られた酸化チタン粒子のメタノール分散体(II)100gに3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン1.5g(酸化チタン100重量部に対して10.0重量部)と酢酸1.5g(酸化チタン100重量部に対して10.0重量部)を加えて、温度20℃で5分間、攪拌して、上記分散体を上記表面処理剤で処理した。
【0173】
このように処理した酸化チタン粒子の分散体を溶媒置換方法1にて溶媒置換を行ったところ、分散体は途中で白濁し、酸化チタン粒子が凝集してMEK分散体を得ることができなかった。
【0174】
比較例16
上記参考例1において得られた酸化チタン粒子のメタノール分散体(II)100gに3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン12g(酸化チタン100重量部に対して80.0重量部)と12−ヒドロキシステアリン酸1.5g(酸化チタン100重量部に対して10.0重量部)を加えて、温度24℃で5分間、攪拌して、上記分散体を上記表面処理剤で処理した。
【0175】
このように処理した酸化チタン粒子の分散体を溶媒置換方法1にて溶媒置換を行ったところ、得られた有機溶媒分散体は、透過率の低いものであった。
【0176】
比較例17
上記参考例1において得られた酸化チタン粒子のメタノール分散体(II)100gに3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン1.5g(酸化チタン100重量部に対して10.0重量部)と12−ヒドロキシステアリン酸15g(酸化チタン100重量部に対して100.0重量部)を加えて、温度21℃で5分間、攪拌して、上記分散体を上記表面処理剤で処理した。
【0177】
このように処理した酸化チタン粒子の分散体を溶媒置換方法1にて溶媒置換を行ったところ、分散体は途中で白濁し、酸化チタン粒子が凝集してMEK分散体を得ることができなかった。
【0178】
【表1】
【0179】
【表2】
【0180】
【表3】
【0181】
【表4】
【0182】
【表5】
【0183】
【表6】
【要約】
本発明によれば、10重量%以上の含有率にて酸化チタン粒子をメタノール及びエタノールを除く有機溶媒に分散させてなる酸化チタン粒子の有機溶媒分散体であって、
上記酸化チタン粒子が一般式(I)
(RO)−Si−X4-n …(I)
(式中、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、nは2又は3を示し、Xはアルキル基、フッ化アルキル基、ビニル基又は(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を示す。)
で表されるシランカップリング剤と12−ヒドロキシステアリン酸を含む表面処理剤にて表面処理されており、
上記有機溶媒分散体における酸化チタン粒子のD50が1〜30nmの範囲にあり、上記有機溶媒分散体の波長500nmにおける透過率が2%以上であり、波長800nmにおける透過率が70%以上であり、25℃において、製造直後の粘度が10mPa・s以下であると共に、上記製造直後の粘度に対する7日後の粘度の増加量が40mPa・s以下である、酸化チタン粒子の有機溶媒分散体が提供される。