(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011772
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】卵の中身抜け検査装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01V 3/12 20060101AFI20161006BHJP
G01N 22/02 20060101ALI20161006BHJP
G01N 22/00 20060101ALI20161006BHJP
G01N 33/08 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
G01V3/12 A
G01N22/02 A
G01N22/00 X
G01N22/00 M
G01N22/00 L
G01N33/08
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-80589(P2012-80589)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-210279(P2013-210279A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2015年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】592094519
【氏名又は名称】ダイオーエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(72)【発明者】
【氏名】住田 剛
【審査官】
後藤 大思
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−131243(JP,A)
【文献】
特開2004−013857(JP,A)
【文献】
特開昭52−112579(JP,A)
【文献】
特開2001−163308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00−99/00
G01N 22/00−22/04
G01N 33/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内部に複数の卵を整列状態でパック詰めしたパック詰め品を搬送する手段と、
卵列の斜め横上方と斜め横下方とを結ぶ方向にマイクロ波が横切る状態で、対地に対し固定配置のマイクロ波送信器とマイクロ波受信器とを有し、
前記マイクロ波送信器と前記マイクロ波受信器とは、両者を結ぶ仮想線分が前記容器の凹部より上方で前記卵列と交叉するが凹部の底面を交叉しない位置に対向配置され、
前記搬送手段によって走査される前記容器内部の前記卵の前記マイクロ波受信器から時系列透過マイクロ波受信信号レベル、及び、前記マイクロ波送信器から時系列マイクロ波送信信号レベルを受け、前記マイクロ波送信器からの送信信号レベルとマイクロ波受信器での受信信号レベルとの相対比に基づき中身抜けを判断可能である判定器を有する卵の中身抜け検査装置。
【請求項2】
容器内部に複数の卵を整列状態でパック詰めしたパック詰め品を搬送する手段と、
卵列の斜め横上方と斜め横下方とを結ぶ方向にマイクロ波が横切る状態で、対地に対し固定配置のマイクロ波送信器とマイクロ波受信器とを有し、
前記マイクロ波送信器からの送信信号レベルとマイクロ波受信器での受信信号レベルとの相対比に基づき中身抜けを判断する判定器を有する卵の中身抜け検査装置であって、
当該マイクロ波送信器及び当該マイクロ波受信器は、同一の指向方向となるように支持体に支持されている卵の中身抜け検査装置。
【請求項3】
容器内部に複数の卵を整列状態でパック詰めしたパック詰め品を搬送する手段と、
卵列の斜め横上方と斜め横下方とを結ぶ方向にマイクロ波が横切る状態で、対地に対し固定配置のマイクロ波送信器とマイクロ波受信器とを有し、
前記マイクロ波送信器と前記マイクロ波受信器とは、両者を結ぶ仮想線分が前記容器の凹部より上方で前記卵列と交叉するが凹部の底面を交叉しない位置に対向配置され、
前記搬送手段によって走査される前記容器内部の前記卵の前記マイクロ波受信器から時系列透過マイクロ波受信信号レベル、及び、前記マイクロ波送信器から時系列マイクロ波送信信号レベルを受け、前記マイクロ波送信器からの送信信号レベルとマイクロ波受信器での受信信号レベルとの相対比に基づき中身抜けを判断可能である判定器を有する卵の中身抜け検査装置であって、
当該マイクロ波送信器及び当該マイクロ波受信器は、同一の指向方向となるように固定配置されている卵の中身抜け検査装置。
【請求項4】
前記支持体は水平軸芯周りに回転自在とされ、マイクロ波の卵列に対する横切り方向角度が調整できるように構成されている、請求項2に記載の卵の中身抜け検査装置。
【請求項5】
前記支持体は対地に対し固定配置の保持体に上下に移動自在とされ、マイクロ波の卵列に対する横切り高さ位置が調整できるように構成されている、請求項2又は4記載の卵の中身抜け検査装置。
【請求項6】
容器内部に複数の卵を整列状態でパック詰めしたパック詰め品を搬送させるとともに、
卵列の斜め横上方と斜め横下方とを結ぶ方向にマイクロ波が横切る状態で、マイクロ波送信器とマイクロ波受信器とを、対地に対し固定配置し、
前記マイクロ波送信器からの送信信号レベルとマイクロ波受信器での受信信号レベルとの相対比に基づき中身抜けを判別する卵の中身抜け検査方法であって、
マイクロ波送信器及びマイクロ波受信器は、同一の指向方向となるように支持体に支持されている卵の中身抜け検査装置を用いる卵の中身抜け検査方法
【請求項7】
容器内部に複数の卵を整列状態でパック詰めしたパック詰め品を搬送させるとともに、
卵列の斜め横上方と斜め横下方とを結ぶ方向にマイクロ波が横切る状態で、マイクロ波送信器とマイクロ波受信器とを、対地に対し固定配置し、前記マイクロ波送信器と前記マイクロ波受信器とは、両者を結ぶ仮想線分が前記容器の凹部より上方で前記卵列と交叉するが凹部の底面を交叉しない位置に対向配置され、
前記搬送手段によって走査される前記容器内部の前記卵の前記マイクロ波受信器から時系列透過マイクロ波受信信号レベル及び前記マイクロ波送信器から時系列マイクロ波送信信号レベルを受け、
前記マイクロ波送信器からの送信信号レベルとマイクロ波受信器での受信信号レベルとの相対比に基づき中身抜けを判別する卵の中身抜け検査方法。
【請求項8】
容器内部に複数の卵を整列状態でパック詰めしたパック詰め品を搬送させるとともに、
卵列の斜め横上方と斜め横下方とを結ぶ方向にマイクロ波が横切る状態で、マイクロ波送信器とマイクロ波受信器とを、対地に対し固定配置し、前記マイクロ波送信器と前記マイクロ波受信器とは、両者を結ぶ仮想線分が前記容器の凹部より上方で前記卵列と交叉するが凹部の底面を交叉しない位置に対向配置され、
前記搬送手段によって走査される前記容器内部の前記卵の前記マイクロ波受信器から時系列透過マイクロ波受信信号レベル、及び、前記マイクロ波送信器から時系列マイクロ波送信信号レベルを受け、前記マイクロ波送信器からの送信信号レベルとマイクロ波受信器での受信信号レベルとの相対比に基づき中身抜けを判別する卵の中身抜け検査方法であって、
当該マイクロ波送信器及び当該マイクロ波受信器は、同一の指向方向となるように固定配置されている卵の中身抜け検査手段による卵の中身抜け検査方法。
【請求項9】
パック内にラベル類が存在した状態でラベル類を透過可能である周波数及び強度を有するマイクロ波を用い、中身抜けが判別可能である請求項5から8のいずれか1項に記載の卵の中身抜け検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵の中身抜け検査装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代においては、鶏卵はスーパーで販売されるいわゆるパック詰め鶏卵の購入率が多くなっている。
とりわけ、パック詰め鶏卵の包装形態は単一ではないが、比較的に多いのは、薄いポリエチレン製の容器の底部に形成した凹部列上に、たとえば片側5個ごと左右2列で合計10個の鶏卵を設置し、容器の上下中間のフランジを接合するなどして密封したものである。
【0003】
以下においては、主にこのパック詰め容器又は包装における検査の課題について説明することとする。
【0004】
パック詰めに先だって、鶏卵は暗室内で下から光を当てて、検査員が目視によりひび割れや卵や血卵などを検知し、これらを取り除き、その後に鶏卵を叩きその音による判断で選別する場合もある。
【0005】
しかし、パック詰めに先だって、種々の検査をしたとしても、ひび割れの検出漏れや出荷前の鶏卵の取扱過程での割れが原因で、主にパック詰め段階や後に、卵白や卵黄が抜けて卵殻のままの状態、いわゆる中身抜け状態のパック詰め製品が市場に出回ることがある。さりとて、パック詰め後の状態で中身抜けを目視で検知するのはきわめて困難である。
したがって、この種の中身抜け状態のパック詰め製品の販売者は、購入者による苦情トラブルに巻き込まれるので、製造者にとって、中身抜け状態のパック詰め製品は出荷させないように、確実な検査を行なうことが強く要請される。
【0006】
従来、たとえば特許文献(特開2001−13065号公報)に開示のように、照射光を鶏卵にその上方から直接的に照射し、同時に下方への透過光を検出し、光のレベル差に基づき検卵することなどは知られていた。
【0007】
しかし、この種の技術は、検卵工程のみで適用でき、パック詰め段階での中身抜けには適用できない。
すなわち、中身抜けによる卵白や卵黄は、パックの凹部に溜まったままの場合があり、透過光のレベル差に基づく限り、正常な鶏卵との相違を検出できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−13065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明が解決しようとする主たる課題は、パック詰め製品における中身抜け状態を確実に検出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題を解決するための本発明は、次の通りである。
〔請求項1記載の発明〕
容器内部に複数の卵を整列状態でパック詰めしたパック詰め品を搬送する手段と、
卵列の斜め横上方と斜め横下方とを結ぶ方向にマイクロ波が横切る状態で、対地に対し固定配置のマイクロ波送信器とマイクロ波受信器とを有し、
前記マイクロ波送信器と前記マイクロ波受信器とは、両者を結ぶ仮想線分が前記容器の凹部より上方で前記卵列と交叉するが凹部の底面を交叉しない位置に対向配置され、
前記搬送手段によって走査される前記容器内部の前記卵の前記マイクロ波受信器から時系列透過マイクロ波受信信号レベル、及び、前記マイクロ波送信器から時系列マイクロ波送信信号レベルを受け、前記マイクロ波送信器からの送信信号レベルとマイクロ波受信器での受信信号レベルとの相対比に基づき中身抜けを判断可能である判定器を有する卵の中身抜け検査装置。
〔請求項3記載の発明〕
容器内部に複数の卵を整列状態でパック詰めしたパック詰め品を搬送する手段と、
卵列の斜め横上方と斜め横下方とを結ぶ方向にマイクロ波が横切る状態で、対地に対し固定配置のマイクロ波送信器とマイクロ波受信器とを有し、
前記マイクロ波送信器と前記マイクロ波受信器とは、両者を結ぶ仮想線分が前記容器の凹部より上方で前記卵列と交叉するが凹部の底面を交叉しない位置に対向配置され、
前記搬送手段によって走査される前記容器内部の前記卵の前記マイクロ波受信器から時系列透過マイクロ波受信信号レベル、及び、前記マイクロ波送信器から時系列マイクロ波送信信号レベルを受け、前記マイクロ波送信器からの送信信号レベルとマイクロ波受信器での受信信号レベルとの相対比に基づき中身抜けを判断可能である判定器を有する卵の中身抜け検査装置であって、
当該マイクロ波送信器及び当該マイクロ波受信器は、同一の指向方向となるように固定配置されている卵の中身抜け検査装置。
【0011】
(作用効果)
仮に、本発明のマイクロ波センサのマイクロ波送信器を上方に配置し、マイクロ波受信器を下方に配置し、マイクロ波送信器からの送信信号レベルとマイクロ波受信器での受信信号レベルとの相対比に基づき中身抜けを判別しようとしても、確実な検出は困難である。
すなわち、
図1に示すように、ポリエチレン等の容器1内部に複数の卵Eを整列状態でパック詰めしたパック詰め品、たとえば片側5個ごと左右2列で合計10個の鶏卵を設置し、容器の上下中間のフランジをテープなどで接合するなどして密封した(完全密封であるか否か問われない)パック詰め品Xに対し、マイクロ波を上下に透過させても、目立ちにくい下部において、ひび割れが拡大し、割れに到った場合、内部の卵白や卵黄が抜けて卵殻のままの状態となるにも関わらず、抜け落ちた卵白や卵黄が容器1の凹部内に滞留する(
図1の右側列の最前の卵Eに中身抜けが発生した状態を示している。)ために、その抜け落ちた卵白や卵黄を検出してしまい、正常品と判断してしまうのである。
これに対し、本発明においては、卵列の斜め横上方と斜め横下方とを結ぶ方向にマイクロ波MWが横切る状態で、対地に対し固定配置のマイクロ波送信器とマイクロ波受信器とを設置し、マイクロ波送信器からの送信信号レベルとマイクロ波受信器での受信信号レベルとの相対比に基づき中身抜けを判別するものであるから、容器1の凹部内に抜け落ちた卵白や卵黄の滞留とは無縁に、いわゆる中身抜け状態を検出することができるので、検出確率が格段に高まる。
さらに、側面割れが生じたが、卵殻内部に卵白や卵黄の一部が滞留している場合においても、検出が可能である。
もちろん、容器内に卵そのものが存在しない「卵無し」状態も検出可能である。
さらに、本発明は、そもそもマイクロ波センサを使用しているために、一般的な光透過型の検出センサ方式に比較して、検出精度が高いものである。
【0012】
〔請求項2記載の発明〕
容器内部に複数の卵を整列状態でパック詰めしたパック詰め品を搬送する手段と、
卵列の斜め横上方と斜め横下方とを結ぶ方向にマイクロ波が横切る状態で、対地に対し固定配置のマイクロ波送信器とマイクロ波受信器とを有し、
前記マイクロ波送信器からの送信信号レベルとマイクロ波受信器での受信信号レベルとの相対比に基づき中身抜けを判断する判定器を有する卵の中身抜け検査装置であって、
当該マイクロ波送信器及び当該マイクロ波受信器は、同一の指向方向となるように支持体に支持されている卵の中身抜け検査装置。
【0013】
(作用効果)
マイクロ波送信器及びマイクロ波受信器を、同一の指向方向となるように支持体に支持させる構成であると、たとえば工場において予め支持体とともにマイクロ波送信器及びマイクロ波受信器を同一の指向方向となるようにセットし、その後、そのユニットを据え付け現場に搬入し、そのユニット状態で位置決めを行なえばよいので、現場での設置作業が容易となる。
【0014】
〔請求項
4記載の発明〕
前記支持体は水平軸芯周りに回転自在とされ、マイクロ波の卵列に対する横切り方向角度が調整できるように構成されている、請求項2に記載の卵の中身抜け検査装置。
【0015】
(作用効果)
支持体を水平軸芯周りに回転自在としておけば、マイクロ波の卵列に対する横切り方向角度をユニット状態で調整でき、調整作業が容易である。
【0016】
〔請求項
5記載の発明〕
前記支持体は対地に対し固定配置の保持体に上下に移動自在とされ、マイクロ波の卵列に対する横切り高さ位置が調整できるように構成されている、請求項2又は
4記載の卵の中身抜け検査装置。
【0017】
(作用効果)
マイクロ波の卵列に対する横切り高さ位置を容易に調整できる。
【0018】
〔請求項6記載の発明〕
容器内部に複数の卵を整列状態でパック詰めしたパック詰め品を搬送させるとともに、
卵列の斜め横上方と斜め横下方とを結ぶ方向にマイクロ波が横切る状態で、マイクロ波送信器とマイクロ波受信器とを、対地に対し固定配置し、
前記マイクロ波送信器からの送信信号レベルとマイクロ波受信器での受信信号レベルとの相対比に基づき中身抜けを判別する卵の中身抜け検査方法であって、
マイクロ波送信器及びマイクロ波受信器は、同一の指向方向となるように固定配置されている卵の中身抜け検査手段による卵の中身抜け検査方法。
〔請求項7記載の発明〕
容器内部に複数の卵を整列状態でパック詰めしたパック詰め品を搬送させるとともに、
卵列の斜め横上方と斜め横下方とを結ぶ方向にマイクロ波が横切る状態で、マイクロ波送信器とマイクロ波受信器とを、対地に対し固定配置し、前記マイクロ波送信器と前記マイクロ波受信器とは、両者を結ぶ仮想線分が前記容器の凹部より上方で前記卵列と交叉するが凹部の底面を交叉しない位置に対向配置され、
前記搬送手段によって走査される前記容器内部の前記卵の前記マイクロ波受信器から時系列透過マイクロ波受信信号レベル、及び、前記マイクロ波送信器から時系列マイクロ波送信信号レベルを受け、前記マイクロ波送信器からの送信信号レベルとマイクロ波受信器での受信信号レベルとの相対比に基づき中身抜けを判別する{ことを特徴とする}({}内削除)卵の中身抜け検査方法。
〔請求項8記載の発明〕
容器内部に複数の卵を整列状態でパック詰めしたパック詰め品を搬送させるとともに、
卵列の斜め横上方と斜め横下方とを結ぶ方向にマイクロ波が横切る状態で、マイクロ波送信器とマイクロ波受信器とを、対地に対し固定配置し、前記マイクロ波送信器と前記マイクロ波受信器とは、両者を結ぶ仮想線分が前記容器の凹部より上方で前記卵列と交叉するが凹部の底面を交叉しない位置に対向配置され、
前記搬送手段によって走査される前記容器内部の前記卵の前記マイクロ波受信器から時系列透過マイクロ波受信信号レベル、及び、前記マイクロ波送信器から時系列マイクロ波送信信号レベルを受け、前記マイクロ波送信器からの送信信号レベルとマイクロ波受信器での受信信号レベルとの相対比に基づき中身抜けを判別する卵の中身抜け検査方法であって、
当該マイクロ波送信器及び当該マイクロ波受信器は、同一の指向方向となるように固定配置されている卵の中身抜け検査手段による卵の中身抜け検査方法。
【0019】
(作用効果)
請求項1
〜3と同様の作用効果を奏する。
【0020】
〔請求項
9記載の発明〕
パック内に
ラベル類を透過可能である周波数及び強度を有するマイクロ波を用い、中身抜け
が判別
可能である請求項5
から8のいずれか1項に記載の卵の中身抜け検査方法。
【0021】
(作用効果)
マイクロ波センサを使用すると、マイクロ波がポリエチレンなどに対し、透過性が高いので、
図6のように、容器1内にラベル類2が存在しても、中身抜けを容易に判別することができる。また、容器1に貼着されたラベルが存在しても支障なく中身抜けを容易に判別することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、パック詰め製品における中身抜け状態を確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図6】パックインラベルのパック詰め品の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
本発明において、対象のパック詰め品Xにおける容器1の材質として、ポリエチレンであることに限定されない。容器1内部に複数の卵Eを整列状態でパック詰めしたパック詰め品の配置形態も限定されない。ただし、配列が1列か2列であることが条件である。
【0026】
本発明における検出装置の構成例を
図6に示した。マイクロ波送信器11は、ドライブ回路11Aとクロック発生器11Bを有し、送信ホーンアンテナ11Cを介してマイクロ波を送信する。他方で、対向配置のマイクロ波受信器12は、受信ホーンアンテナ12Cを介して受信し、直流バイアス回路12Aを付属した増幅回路12Bにて受信波を増幅し、フィルター回路12Dによりノイズを除去し、検出回路12Eにより受信波を検出する。ホーンアンテナに代えて、広幅な指向性を有するパッチアンテナなども使用できる。
【0027】
さらに、マイクロ波送信器11からの送信信号レベルとマイクロ波受信器12での受信信号レベルとの相対比に基づき中身抜けを判別する判定器13が設けられている。
【0028】
マイクロ波送信器11及びマイクロ波受信器12としては、モジュール化したものを使用でき、たとえばユピテル社製のモジュールを使用でき、特に「Kバンド」(24.2GHz帯)のものを使用できる。「Xバンド」(10.5GHz帯)なども使用できる。新日本無線社製「k−バンドドップラーセンサー」なども使用可能である。
【0029】
パック詰め品Xはコンベアなどの搬送する手段20上に乗せて搬送する。このコンベアラインに対して、マイクロ波送信器11及びマイクロ波受信器12を対地固定する。
【0030】
図示のパック詰め品Xは2列のパック詰め品Xであるので、各列に対応して、2基の検査装置YA、YBが設けられている。これらは、コンベアラインの搬送方向前後に設置されているのが相違するだけであり、同一構成とすることができる。よって、以下においては、一方の検査装置の構成の説明を中心に説明する。
【0031】
コンベアラインの側部に保持体21が対地固定に設けられ、その上部に長孔21aに沿って支持体22の支持軸23が上下に移動自在とされている。
【0032】
支持体22の前後には、マイクロ波送信器11及びマイクロ波受信器12が、調整ツマミ軸24を介して支持体22に形成された長孔22aに沿って、前後方向に位置調整可能に固定されている。
【0033】
さらに詳しくは、
図4に示されているように、支持軸23の基部には回転座体25が設けられ、回転座体25の中心線周りに支持軸23が回転可能となっている。回転座体25の背面の取り付け部分に固定されたボルト25a,25aが、長孔21aに沿うことにより、支持体22の支持軸23が上下に移動自在とされている。
【0034】
このように構成された装置を使用し、卵列の斜め横上方と斜め横下方とを結ぶ方向にマイクロ波MWが横切る状態で、対地に対し固定配置のマイクロ波送信器11とマイクロ波受信器12とを設置し、マイクロ波送信器11からの送信信号レベルとマイクロ波受信器12での受信信号レベルとの相対比に基づき中身抜けを判別するものである。通常は、信号レベルとの相対比は大きいが、相対比が閾値範囲より小さい場合には、中身抜け有りと判断できる。
なお、中身抜け判断に先立つパック詰め品Xの検知は、たとえばパック詰め品Xが所定位置に搬送されたことを光電スイッチなどのパック検出器30により行なうことができる。
本発明の形態によれば、容器1の凹部内に、抜け落ちた卵白や卵黄の滞留とは無縁に、いわゆる中身抜け状態を検出することができるので、検出確率が格段に高まる。
【0035】
他方、マイクロ波送信器11とマイクロ波受信器12の設置位置は逆にすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の対象の卵としては、主にはニワトリ鶏卵であるが、うずら等の他の卵に対しても適用できることは明らかであろう。
他方、上記例ではポリエチレン製容器1を例としたが、本発明では、マイクロ波を使用し、光透過性とは関係ないので、内部が視認できない紙製の容器などであっても、中身抜けを容易に判別することができる。
【符号の説明】
【0037】
X…パック詰め品
E…卵
波MW…マイクロ波
YA、YB…検査装置
1…容器
2…ラベル類
11…マイクロ波送信器
12…マイクロ波受信器
13…判定器
20…搬送する手段(コンベア)
21…保持体
22…支持体
23…支持軸
24…回転座体
30…パック検出器