特許第6011780号(P6011780)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6011780青果物用容器及びこれを用いた青果物の保存方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011780
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】青果物用容器及びこれを用いた青果物の保存方法
(51)【国際特許分類】
   A23B 7/148 20060101AFI20161006BHJP
   A23B 7/00 20060101ALI20161006BHJP
   B65D 81/20 20060101ALN20161006BHJP
【FI】
   A23B7/148
   A23B7/00 101
   !B65D81/20 G
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-127599(P2012-127599)
(22)【出願日】2012年6月4日
(65)【公開番号】特開2013-247944(P2013-247944A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2015年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人 千葉大学
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】小川 幸春
【審査官】 伊藤 良子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−085573(JP,A)
【文献】 実用新案登録第3110891(JP,Y2)
【文献】 実用新案登録第3099227(JP,Y2)
【文献】 特開2011−067161(JP,A)
【文献】 特開2005−193951(JP,A)
【文献】 特開2004−121160(JP,A)
【文献】 特開2003−333987(JP,A)
【文献】 特開平11−000103(JP,A)
【文献】 特開平09−140365(JP,A)
【文献】 特開平06−100045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23B 7/148
A23B 7/00
A23L 3/00−3/3598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス透過性の低い高分子化合物からなる青果物用袋カット加工されたピーマンを収納し、
逆止弁を備えた前記青果物用袋内に、濃度が15%以上となるよう炭酸ガスを充填させて、ビタミンC及び糖の含有量減少を抑えるピーマンの保存方法。
【請求項2】
前記炭酸ガスは、前記青果物用袋にドライアイスを収納させ、ドライアイスが昇華することによって前記青果物用袋を膨張させる請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青果物用容器及びこれを用いた青果物の保存方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット等の小売店の店頭で販売される野菜は、その野菜が生産される畑から市場、卸業者等を経由して消費者に渡る。この流通経路は長く、野菜が店頭に並ぶまでに鮮度を保つことは非常に重要である。
【0003】
野菜の鮮度を保つための技術として、例えば、二酸化炭素を用いる技術が下記特許文献1乃至8に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−67161号公報
【特許文献2】特開2005−193951号公報
【特許文献3】特開2004−121160号公報
【特許文献4】特開2003−333987号公報
【特許文献5】特開平11−103号公報
【特許文献6】特開平10−174552号公報
【特許文献7】特開平9−140365号公報
【特許文献8】特開平6−100045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記文献はいずれも、炭酸ガスを使用した鮮度保存法を実現しようとしている。しかしながら、上記文献では、炭酸ガスをどのように供給するのかといった点において課題が残り容易な炭酸ガス供給方法が望まれる、また、有機酸等の水溶液を添加物を用いることで鮮度保持を実現している等、野菜が含有する成分の変化については十分な考慮がなされたとはいえず、この点において課題が残る。
【0006】
そこで、本発明は上記課題を鑑み、炭酸ガス供給が可能で、青果物の含有する成分の変化の少ない青果物用容器及び青果物の保存方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する第一の観点に係る青果物用容器は、逆止弁を備え、内部に野菜が収納されるとともに炭酸ガスが充填されたものである。
【0008】
また、本発明の他の一観点に係る青果物の保存方法は、青果物用容器に野菜を収納し、内部からの気体排出を行う一方外部からの気体流入を防止する逆支弁を用いて前記青果物用容器内に炭酸ガスを充填させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、炭酸ガス供給が可能で、青果物の含有する成分の変化の少ない青果物用容器及び青果物の保存方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る青果物用容器の概略を示す図である。
図2】カット加工されたピーマンのビタミンCの含有量変化についての結果を示す図である。
図3】カット加工されたピーマンの糖の含有量変化についての結果を示す図である。
図4】炭酸ガス供給源としてドライアイスを用いた場合のカット加工されたピーマンのビタミンCの含有量変化についての結果を示す図である。
図5】炭酸ガス供給源としてドライアイスを用いた場合の糖の含有量変化についての結果を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態、実施例における例示にのみ限定されるものではない。
【0012】
図1は、本実施形態に係る青果物用容器(以下「本容器」という。)1の概略を示す図である。本図で示すように、本容器1は、逆止弁を備え、内部に野菜が収納されるとともに炭酸ガスが充填されている。内部に収容される青果物は特に限定されず、野菜であっても、果物であっても良い。ただし容器に収容されるため、容器の大きさにより適宜大きさが調整されていることが好ましい。また青果物は、未熟果であっても、完熟果であってもよい。また青果物はカット加工されたものであると、本容器本方法の効果が顕著となる。
【0013】
本容器1は、内部に野菜を収納する一方、炭酸ガスを閉じ込めることができるよう、閉じた空間を形成するものであることが好ましく、この限りにおいて限定されるわけではないが袋であることが好ましい。袋とすることで材料を薄く少なくすることができるとともに、ガスを充填させることで容器全体を膨張させて弾力を持たせ、外部との接触により野菜が傷ついてしまうことを防止できるといった効果がある。
【0014】
容器の材質としては、特に限定されるわけではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ビニル樹脂等の高分子であることが好ましい。高分子容器の厚さとしては、特に制限されるものではないが、ある程度自己の形状を保持することができる容器であれば、1mm以上厚さがあることが好ましいが、袋の場合、1mm以下として薄さを確保することが可能である一方、強度を確保する必要があるため、10μm以上1mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5mm以下である。またこの容器には、内部の温度を不必要に上昇させない、太陽光を直接青果物に照射させないようにするため、アルミニウム等の金属をコーティングすることとしても良い。
【0015】
また、本容器1には、逆止弁が備えられている。逆止弁を備えることで、閉じた空間を形成する一方、閉じた空間内に必要以上の圧力が発生してしまった場合に容器を破損しないよう圧力を調整することができる。逆止弁の構成は限定されるわけではなく、内部からの気体排出が可能である一方外部からの気体流入を防止することができるものであっても、外部からの気体流入が可能である一方内部からの気体排出を防止することができるものであってもよい。内部からの気体排出が可能である一方外部からの気体流入を防止することができるものであれば、ドライアイスが昇華することによって容器の耐圧以上の圧力が発生してしまうことを防止できる一方で容器内に外部の空気が残留、流入し保存状態が悪化してしまうことを防止することができるといった効果がある。この場合、ドライアイスが完全に昇華した後、逆止弁の口を閉じておくことが好ましい。なお、外部からの気体流入が可能である一方内部からの気体排出を防止することができるものは、容器が破裂しないように、内部の圧力が一定の圧力以上となった場合には内部の気体を外部に排出することができる程度のものを使用する必要があるが、外部から圧力が加わることによって内部の炭酸ガスが抜け出てしまい袋がつぶれてしまうことを防止できるといった効果がある。
【0016】
本容器内においては炭酸ガスが充填されている。炭酸ガスの濃度としては限定されるわけではないが高いほど好ましく、15%上であることが好ましく、より好ましくは30%である。このようにすることで、青果物を良好に保持することができる。
【0017】
以上、本容器は、より炭酸ガス供給が可能で、野菜の含有する成分の変化の少ない青果物用容器となる。
【0018】
次に、容器を用いた青果物の保存方法について説明する。本実施形態に係る青果物の保存方法(以下「本方法」という。)は、青果物用容器に野菜を収納し、逆支弁を備えた前記青果物用容器内に炭酸ガスを充填させる。
【0019】
本方法において、容器は上記に説明したとおりであるが、まず、容器に青果物を収納させる。この場合において、容器はある程度の大きさの開口部が形成されたものであり、この開口部から青果物を収納させた後、この開口部を閉じるといった工程を経由することが好ましい。より具体的に、容器が袋である場合、開放口から青果物とともにドライアイスを入れ、袋を圧着等の工程によって閉じる。なおこの袋には予め逆止弁が付されている。
【0020】
すると容器内は密封され、その内部でドライアイスは昇華し、炭酸ガスを発生させる。炭酸ガスにより容器内の圧力は高まり、容器が袋の場合膨張する。
【0021】
以上、本容器を用いることで、より炭酸ガス供給が可能で、野菜の含有する成分の変化の少ない青果物の保存方法を提供することができる。
【0022】
ここで本容器、本方法の効果についてより具体的に説明しておく。まず、収穫直後の青果物は呼吸等の生理作用が活発なため、水分やビタミンC等をはじめとした含有成分量の減少による品質低下が生じる。これら生理作用の抑制には、貯蔵中の温湿度調節に加えてMA(Modified Atmosphere)などガス環境の調節による手法の適用が試みられている。ガスによる生理作用の抑制効果はカット野菜に対しても同様に確認されており、例えばカットニンジンを高濃度CO環境中で保存した場合呼吸が抑制され、この結果糖含有量も保持されることや、異なるガス環境条件で保存した際のカットピーマン果実の呼吸速度が保存中のO濃度に関係すること、あるいは高CO濃度条件下では全糖や官能的特徴が変化しないこと等が報告されている。
【0023】
ピーマンはビタミンA、カロテン、ビタミンC等を豊富に含む野菜の一つで、一般に緑色果(未熟果)の状態で収穫、販売されている。近年では赤色果(完熟果)として収穫、販売される場合も多い。ピーマン果実は輪切りあるいは縦切りして保蔵した際のビタミンC量変化が少なく、その傾向は品種や果肉色にかかわらないが、細断(カット加工)ののち保蔵した場合は初期含有量から明らかに減少することが知られている。そうしたカット加工による含有成分量の減少を炭酸ガスによって手軽に解決することができるため、カット野菜の有効な鮮度保持法となる。またカット加工された食材の価値も高まる。
【0024】
そこで、本容器、本方法について実際にその効果を確認するための実験を行った。以下具体的に説明する。
【0025】
まず、炭酸ガスを封入した環境中でカットピーマンを保蔵した場合の外観評価、ビタミンCやBrix指標による糖の含有量変化を調査したビタミンCの含有量変化についての結果を図2に、糖の含有量変化についての結果を図3にそれぞれ示す。ビタミンCについては、Control(炭酸ガス0.03%)の場合、時間の経過とともに減少していることが確認できる一方、50%以上の炭酸ガス濃度の場合、時間とともに減少せず、観測期間(12日)中、100%を超える状態であることが確認でき、非常に有用であることが確認できた。一方、糖については、Control(炭酸ガス0.03%)の場合、Brix値が4日経過後、時間の経過とともに減少していることが確認できる一方、50%以上の炭酸ガス濃度の場合、時間が経過しても殆ど減少しないことが確認でき、非常に有用であることが確認できた。
【0026】
また、炭酸ガス供給源にドライアイスを用いた場合の効果について確認した。なお、この場合において炭酸ガスの濃度は19%であった。用いた野菜は完熟果カットピーマン(品種:土佐ひかりD、シグナル)である。この結果、ビタミンC(図4)、Brix値(図5)ともに良好な値を確保することができることを確認した。即ちドライアイスを昇華させることによって非常に簡便に青果物を良好に保存することを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、青果物用の保存容器、青果物の保存方法として産業上の利用可能性がある。
図1
図2
図3
図4
図5