(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
原稿より画像を読み取る画像読取機構と、該画像読取機構で読み取られた画像を記録紙に印刷する画像形成機構と、該画像形成機構で記録紙に印刷された画像を読み取る画像検査機構とを備えた画像形成装置において、
前記画像読取機構は、読取対象に対して光を照射する第1の光源と、読取対象からの反射光が入射されて光電変換動作を行う第1の固体撮像素子とを備え、
前記画像検査機構は、読取対象に対して光を照射する第1の光源とは異なる第2の光源と、読取対象からの反射光が入射されて光電変換動作を行う第1の固体撮像素子とは異なる第2の固体撮像素子とを備え、
前記画像読取機構及び前記画像検査機構それぞれの前記第1および第2の光源を構成する発光部材が同一の部品からなり、
前記画像読取機構及び前記画像検査機構はそれぞれ、前記第1および第2の光源の主走査方向における発光量のバラツキを検出する際に前記第1および第2の光源から光を照射させる基準板を備え、当該基準板が同一の材料で構成され、
前記画像読取機構及び前記画像検査機構それぞれからの出力を補正する出力補正部を、更に備え、
前記画像読取機構が、前記第1の光源による前記画像読取機構の基準板への照射光に基づいて前記第1の固体撮像素子で光電変換されて得られる電気信号を、第1基準データとして出力し、
前記画像検査機構が、前記第2の光源による前記画像検査機構の基準板への照射光に基づいて前記第2の固体撮像素子で光電変換されて得られる電気信号を、第2基準データとして出力し、
前記出力補正部が、前記第1及び第2基準データを一致させる補正値を算出し、当該補正値に基づいて、前記画像読取機構あるいは前記画像検査機構の出力を補正することを特徴とする画像形成装置。
前記画像読取機構及び前記画像検査機構それぞれの前記第1および第2の固体撮像素子を構成する光電変換素子が同一の部品からなることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
前記画像読取機構が読取対象からの反射光を前記第1の固体撮像素子に結像させる第1の結像レンズを更に備えるとともに、前記画像検査機構が読取対象からの反射光を前記第2の固体撮像素子に結像させる第1の結像レンズとは異なる第2の結像レンズを更に備え、
前記画像読取機構及び前記画像検査機構それぞれの前記第1および第2の結像レンズが同一の部品からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
前記画像読取機構及び前記画像検査機構それぞれの前記第1および第2の光源の発光部材が半導体発光素子によって構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
前記画像読取機構において、前記第1の光源による前記画像読取機構の基準板への照射光に基づいて前記第1の固体撮像素子で光電変換されて得られる電気信号が出力され、当該電気信号が前記画像読取機構より入力されたとき、当該電気信号に基づいて前記画像読取機構の前記第1の光源からの発光量を調整する第1発光量調整部と、
前記画像検査機構において、前記第2の光源による前記画像検査機構の基準板への照射光に基づいて前記第2の固体撮像素子で光電変換されて得られる電気信号が出力され、当該電気信号が前記画像検査機構より入力されたとき、当該電気信号に基づいて前記画像検査機構の前記第2の光源からの発光量を調整する第2発光量調整部と、
を更に備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<本発明を実施するための形態における基本構成>
以下、本発明の実施形態における基本構成につき、図面を参照しながら説明する。以下の図では、同一部分又は対応する部分に同一符号を付してある。又、本基本構成は、以下の各実施形態における構成において共通する構成を説明するものである。尚、以下の各実施形態を含め、本発明による画像形成装置は、画像読取機構及び画像検査機構の双方を備える装置であればよく、例えば、コピー機や、コピー機能を備えたプリンター又は複合機などであっても構わない。
【0019】
1.画像形成装置の機械構成
図1及び
図2を参照して、画像形成装置1の機械構成について説明する。
図1は、画像形成装置1の内部構成を示す概略構成図である。又、
図2は、
図1の画像形成装置1における画像読取機構の概略構成を示すブロック図であり、
図3は、
図1の画像形成装置1における画像検査機構の概略構成を示すブロック図である。
【0020】
図1に示す画像形成装置1は、原稿20から画像を読み取る画像読取機構2と、画像を印刷するための記録紙10を収納するとともに画像形成装置1内に当該記録紙10を給紙する給紙機構3と、画像読取機構2で読み取って得られた原稿画像データに基づいてトナーを記録紙10に転写する画像転写機構4と、画像転写機構4で記録紙10に転写されたトナーを定着させる画像定着機構5と、画像定着機構5によりトナーが定着されて画像形成された記録紙10の印刷状態を検査する画像検査機構6と、画像検査機構6で検査された印刷後の記録紙10を排紙する排紙機構7と、を備える。尚、
図1の構成において、画像転写機構4及び画像定着機構5によって、「画像形成機構」が構成される。
【0021】
画像読取機構2は、
図2に示すブロック図のように、原稿20へ光を照射する光源21と、原稿20からの反射光を受光して電気信号に変換する固体撮像素子22と、原稿20からの反射光を固体撮像素子22に結像させる結像光学系23とによって構成される。このとき、結像光学系23及び固体撮像素子22はそれぞれ、原稿20の読取方向(「副走査方向」に相当する。)に対して垂直な方向(「主走査方向」に相当する。)に複数の素子を画素毎に並べた素子群で構成される。又、固体撮像素子22は、各画素の受光面に、原色系又は補色系の色フィルターが設置されるため、この色フィルターを透過した光を各画素の素子が受光することによって、原稿20上の画像をカラー画像として読み取る。
【0022】
このように構成される画像読取機構2は、原稿20から画像を読み取る際、原稿載置台に載置された原稿20又は自動原稿搬送機構(ADF:Auto Document Feeder)により搬送された原稿20に対して、光源21から光を照射する。そして、原稿20から反射された反射光が、所定の光路によって誘導された後、結像光学系23を通じて固体撮像素子22に入射されると、固体撮像素子22において、その受光量に応じた電気信号を1ラインごとに出力する。この固体撮像素子22が、副走査方向に沿った読取幅に合わせた一定間隔で、上記の読取動作を行うことによって、原稿20上の画像に基づく二次元の原稿画像データが生成される。
【0023】
給紙機構3は、
図1に示すように、画像が印刷される記録紙10を収納する給紙カセット31と、給紙カセット31に収納された記録紙10を取り出す給紙ローラー対32と、を備える。又、給紙機構3の下流側には、給紙ローラー対32によって給紙カセット31から記録紙搬送路に給紙された記録紙10を画像転写機構4に搬送する搬送ローラー対33が設けられている。尚、記録紙搬送路は、画像形成機構で画像が印刷される記録紙10が搬送される、給紙カセット31から排紙トレイ72までの搬送経路を表す。このように構成される給紙機構3は、給紙ローラー対32が回転駆動することによって、給紙カセット31に収納された記録紙10を一枚ずつ取り出して、記録紙搬送路に供給する。そして、給紙カセット31から排紙された記録紙10は、記録紙10の搬送方向に沿って給紙機構3の下流側に設置される搬送ローラー33の回転により、画像転写機構4へ搬送される。
【0024】
画像転写機構4は、Y(Yellow)M(Magenta)C(Cyan)K(Key tone)の各色の静電潜像が形成される感光ドラム41〜44と、感光ドラム41〜44それぞれに担持されたYMCK各色のトナーが転写される中間転写部45と、中間転写部45に転写されたトナーを記録紙10に転写する二次転写ローラー46とを備える。このとき、感光ドラム41〜44のそれぞれは、不図示であるが、その周囲に、コロナ放電などにより感光ドラム41〜44を帯電させる帯電器と、帯電した感光ドラム41〜44にレーザー光などを照射して静電潜像を形成させる露光器と、YMCK各色のトナーを攪拌することで帯電して感光ドラム41〜44に付着させる現像器と、中間転写部45に転写後に感光ドラム41〜44に残留したトナーを除去するクリーニング部材とを備える。
【0025】
又、中間転写部45は、感光ドラム41〜44からYMCK各色のトナーが転写される中間転写ベルト451と、中間転写ベルト451を回転させる駆動ローラー452及び従動ローラー453と、感光ドラム41〜44それぞれに対して中間転写ベルト451を挟んで対向する位置に設置される一次転写ローラー454〜457とを備える。さらに、この中間転写部45は、記録紙10に転写されずに中間転写ベルト451に残留したトナーを中間転写ベルト451表面上から除去するために、不図示のクリーニング部材を備える。そして、二次転写ローラー46は、中間転写ベルト451を挟んで、駆動ローラー452と対向する位置に設置される。
【0026】
このように構成される画像転写機構4において、感光ドラム41〜44では、画像読取機構2で取得された原稿画像データに基づいて、感光ドラム41〜44それぞれの表面にYMCK各色の静電潜像が形成された後、帯電したYMCK各色のトナーが感光ドラム41〜44それぞれの静電潜像上に担持される。又、中間転写部45では、駆動ローラー452によって中間転写ベルト451が回転し、感光ドラム41〜44それぞれに担持されているYMCK各色のトナーが、所定電位に印加された一次転写ローラー454〜457の静電気力によって、中間転写ベルト451に転写される。
【0027】
このとき、中間転写ベルト451は、記録紙10に転写するトナー画像が形成される部分が感光ドラム41〜44と順次接触することによって、YMCKの順に各色のトナーが感光ドラム41〜44より転写される。又、感光ドラム41〜44表面におけるYMCK各色のトナー画像は、中間転写ベルト451にトナーを転写するタイミングにあわせて、感光ドラム41〜44の順に形成される。
【0028】
そして、中間転写ベルト451表面にYMCK各色のトナーが転写されて形成されたトナー画像は、当該トナー画像が形成された中間転写ベルト451表面が二次転写ローラー46に対向する位置まで移動したときに、中間転写ベルト451と二次転写ローラー46とによって挟持される記録紙10に転写される。記録紙10へのトナー画像の転写は、二次転写ローラー46への印加電圧によって、帯電された各色のトナーが二次転写ローラー46に引き寄せられることによって実現される。又、トナー画像が転写される記録紙10は、上述の給紙機構3より二次転写ローラー46まで搬送されるだけでなく、記録紙10を反転させる記録紙反転機構(不図示)を画像定着機構5よりも下流側に備える場合は、記録紙反転機構より二次転写ローラー46より搬送される。
【0029】
画像定着機構5は、記録紙10上のトナーを定着させるべく加熱するハロゲンランプなどを備えた加熱ローラー51と、加熱ローラー51と記録紙10を挟持して記録紙10を加圧する加圧ローラー52とを備える。この画像定着機構5は、画像転写機構4と画像定着機構5との間に設置された搬送ローラー対53などによる誘導によって、画像転写機構4でトナー画像が転写された記録紙10が搬送される。このトナー画像が転写された記録紙10は、加熱ローラー51と加圧ローラー52との間を通過することによって、加熱ローラー51による加熱と、加熱ローラー51及び加圧ローラー52による加圧とを受ける。これにより、転写されたトナー画像が記録紙10上に定着し、記録紙10に原稿画像データによる画像が印刷される。尚、加熱ローラー51は、電磁誘導によりその表面に渦電流を生じさせることによって、加熱ローラー51表面が加熱されるものであってもよい。
【0030】
画像検査機構6は、
図3に示すブロック図のように、
図2の画像読取機構2と同様、画像が印刷された記録紙10に光を照射する光源61と、記録紙10からの反射光を受光して電気信号に変換する固体撮像素子62と、記録紙10からの反射光を固体撮像素子62に結像させる結像光学系63とによって構成される。このように構成される画像検査機構6に対して、
図1に示すように、画像定着機構5と画像検査機構6との間に設置された搬送ローラー対54によって、画像定着機構5から排出された記録紙10が搬送されると、当該記録紙10が画像検査機構6を通過する。
【0031】
このとき、画像検査機構6における光源61、固体撮像素子62、及び結像光学系63それぞれが、上記の画像読取機構2の各部と同様の動作を行うことによって、記録紙10に印刷された画像を読み取る。この画像検査機構6によって読み取られた画像に基づいて、印刷状態を判定するための検査画像データが生成される。このようにして生成された検査画像データが、後述の画像処理機構8(
図4参照)において、画像読取機構2で得られた原稿画像データと比較されることで、記録紙10への印刷状態が判定される。
【0032】
排紙機構7は、検査画像データの生成のために画像検査機構6を通過した記録紙10を画像形成装置1外部に排紙するための排紙ローラー対71と、画像形成装置1外部に設けられるとともに排紙ローラー71によって排紙された記録紙10を受ける排紙トレイ72とを備える。このように構成される排紙機構7は、排紙ローラー71が駆動することにより、画像が印刷された記録紙10を画像検査機構6から誘導し、画像形成装置1外部の排紙トレイ72に排出する。
【0033】
2.画像形成装置の機能構成
上述の機械構成を有する画像形成装置1の機能構成について、
図4を参照して説明する。
図4は、
図1に示す画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。尚、
図4のブロック図では、印刷状態の判定機能として使用される、画像読取機構2及び画像検査機構6を中心にその構成を示す一方で、商用電源を各機構へ投入するために電圧変換する電源機構や、画像形成装置1を操作するための操作入力機構や、電話回線やネットワーク回線などと接続される通信制御機構などといった周辺の各種構成については不図示とする。
【0034】
図4に示すように、画像形成装置1は、画像読取機構2及び画像検査機構6それぞれから出力される電気信号を受けて原稿画像データ及び検査画像データそれぞれを生成する画像処理機構8と、画像形成装置1内の各機構2〜8それぞれの動作を制御する制御機構9と、を有する。
【0035】
画像処理機構8は、画像読取機構2及び画像検査機構6それぞれの固体撮像素子22,62から送出される電気信号を受けて2次元の画像データを生成するとともにシェーディング補正処理やガンマ補正処理などの各種画像処理を施す画像処理演算部81と、画像処理演算部81で生成された原稿画像データの画像メモリ84への書き込み及び読み出しを行うメモリ制御部82と、画像処理演算部81で生成された検査画像データの画像メモリ85への書き込み及び読み出しを行うメモリ制御部83と、原稿画像データ及び検査画像データそれぞれが一時的に記憶される画像メモリ84,85と、画像メモリ84,85に格納された原稿画像データ及び検査画像データとを比較して印刷状態を判定する印刷判定部86と、を備える。
【0036】
このように構成される画像処理機構8は、画像読取機構2による原稿画像の読取動作が行われているとき、副走査方向に移動する画像読取機構2の固体撮像素子22から出力される電気信号を1ライン毎に受信する。このとき、画像処理演算部81は、画像読取機構2の固体撮像素子22から主走査方向に連続した各画素の電気信号を1ラインの電気信号として受信し、その読取タイミングによって、当該電気信号によるラインの副走査方向の位置を確認する。これにより、画像処理演算部81では、画像読取機構2の固体撮像素子22から受信する各画素の電気信号について、読取対象となる原稿20上における画素位置を認識し、その認識した画素位置に応じた画像メモリ84のアドレス位置を指定し、メモリ制御部82により画像メモリ84に一時的に格納する。
【0037】
そして、画像処理演算部81は、画像メモリ84に一時的に格納した原稿画像に対応する電気信号を、メモリ制御部82を介して読み出し、各種画像処理にあわせたフィルター処理を行うことで、記録紙10へ画像を印刷するための原稿画像データを生成する。この原稿画像データは、画像処理演算部81のフィルター処理によって、YMCK各色毎に分離された画像データによって構成されるものであってもよい。このようにして画像読取機構2で原稿20より読み出された画像による原稿画像データが生成されると、メモリ制御部82によって画像メモリ84に格納される。
【0038】
このように画像メモリ84に原稿画像データが格納されると、この原稿画像データはメモリ制御部82によって読み出されて、画像転写機構4に送出される。従って、画像転写機構4は、画像処理機構8より与えられた原稿画像データに基づいて、感光ドラム41〜44それぞれの表面にYMCK各色の静電潜像を形成する。その結果、画像転写機構4は、中間転写ベルト451に原稿画像データに基づくYMCK各色のトナー画像を転写させた後、二次転写ローラー46を通過する記録紙10に当該トナー画像を転写させる。
【0039】
又、画像検査機構6による記録紙10上に印刷された画像の読取動作が行われているとき、その固体撮像素子62が副走査方向に移動する記録紙10から画像を読み出す。これにより、画像処理機構8は、固体撮像素子62から出力される電気信号を1ライン毎に受信する。従って、画像処理機構8の画像処理演算部81が、固体撮像素子22からの電気信号に基づいて原稿画像データを生成したときと同様の動作を行って、固体撮像素子62からの電気信号に基づき、検査画像データを生成する。この検査画像データが生成されるとき、画像処理演算部81は、原稿画像データを生成する場合と異なり、固体撮像素子62より受信した電気信号及び検査画像データそれぞれについて、メモリ制御部83により画像メモリ85に記憶させる。
【0040】
このようにして、検査画像データが画像メモリ85に記憶されると、メモリ制御部82,83それぞれが、画像メモリ84,85に格納されている原稿画像データ及び検査画像データそれぞれを読み出して印刷判定部86に送出する。印刷判定部86は、原稿画像データ及び検査画像データそれぞれを受信すると、原稿画像データと検査画像データとを比較するための演算処理を行い、記録紙10への印刷状態の良否を判定する。
【0041】
制御機構9は、例えば、各種演算処理や制御を実行するCPU(Central Processing Unit)、制御プログラムなどを記憶するROM(Read Only Memory)、演算データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)などから構成される。
【0042】
この制御機構9は、画像読取機構2及び画像検査機構6それぞれの光源21,61及び固体撮像素子22,62を制御することで、画像読取機構2及び画像検査機構6における画像の読取動作を制御し、給紙機構3の給紙ローラー対32及び搬送ローラー対33を制御することで、給紙機構3による記録紙10の給紙動作を制御し、画像転写機構4の感光ドラム41〜44、中間転写部45、及び二次転写ローラー46を制御することで、画像転写機構4における記録紙10へのトナー画像の転写動作を制御し、画像定着機構5の加熱ローラー51及び加圧ローラー52を制御することで、画像定着機構5における記録紙10への画像定着動作を制御し、排紙機構7の排紙ローラー対71を制御することで、排紙機構7における記録紙10の排紙動作を制御する。又、制御機構9は、画像処理機構8の画像処理演算部81、メモリ制御部82,83、及び印刷判定部86それぞれを制御することで、画像処理機構8による各画像データの生成動作及び印刷状態の判定動作を制御する。
【0043】
このようにして、機構2〜8それぞれの動作を制御する制御機構9が、記憶したプログラムに基づくタイミングによって、機構2〜8それぞれの各部を制御することで、画像形成装置1は、原稿20上の画像を記録紙10に印刷する。
【0044】
3.高精度な画像検査を行うための構成
上述したように、画像形成装置1は、印刷状態の判定に画像検査機構6による画像検査を行うが、この画像検査機構6による画像検査をより高精度に行うために、画像読取機構2及び画像検査機構6は、それぞれの分光特性の差異が緩和されるように構成される。この画像読取機構2及び画像検査機構6それぞれの分光特性の差異を緩和するために、それぞれの分光特性を特定する発光部品及び受光部品を、分光特性の近い部品によって構成する。
【0045】
画像読取機構2及び画像検査機構6それぞれの発光部品による分光特性の差異を緩和するために、光源21,61を構成する発光素子を共通のものとする。光源21,61を構成する発光素子を分光特性の近いもので構成した場合、画像読取の対象物へ照射する光の輝度分布や色分布が同一となるため、同一対象物から発色される色について同一色と判断されやすくなる。又、光源21,61の代わりに、結像光学系23,63を構成する光学レンズ又は光学素子を分光特性の近い部品で構成した場合、結像光学系23,63により透過が制限される色成分を同一のものとすることができる。これらのことから、光源21,61を構成する発光素子又は結像光学系23,63を構成する光学部品の少なくとも一方を共通のものとすることで、固体撮像素子22,62に入射される光の分光特性をほぼ同様のものとすることができる。
【0046】
一方、画像読取機構2及び画像検査機構6それぞれの受光部品による分光特性の差異を緩和するために、画像読取記憶2及び画像検査機構6は、固体撮像素子22,62を構成する部品のうち、少なくとも色フィルター及び光電変換素子(フォトダイオードやフォトトランジスタなどの)を共通のものとする。この固体撮像素子22,62それぞれの分光特性は色フィルター及び光電変換素子によって左右されるため、色フィルター及び光電変換素子それぞれを分光特性の近いもので構成することで、画像読取機構2及び画像検査機構6それぞれで光電変換される色成分の範囲をほぼ同等のものとできる。
【0047】
以下の各実施形態は、上述した画像形成装置1を基本構成とする画像形成装置を説明するものであり、高精度な画像検査を実現するための上記構成を、より詳細に説明するものである。よって、以下の各実施形態では、画像読取機構2及び画像検査機構6を中心に、その構成の詳細について説明する。
【0048】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態の画像形成装置について、以下に、図面を参照して説明する。
図5は、本実施形態の画像形成装置における画像読取機構の構成を示す図であり、
図6は、本実施形態の画像形成装置における画像検査機構の構成を示す図である。
【0049】
本実施形態の画像形成装置は、上述した基本構成において説明した、
図1の機械構成及び
図4の機能構成を備えるものであって、その画像読取機構及び画像検査機構に特徴を有するものである。尚、
図5における画像読取機構2Aは、
図1及び
図4における画像読取機構2に相当するとともに、
図6における画像検査機構6Aは、
図1及び
図4における画像読取機構6に相当する。又、
図5及び
図6に示す構成において、
図2及び
図3と同一の構成となる部分については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0050】
本実施形態の画像形成装置1に具備される画像読取機構2Aは、
図5に示すように、光源21と、固体撮像素子22と、縮小光学系による結像レンズ23A(
図2における結像光学系23に相当する。)と、原稿20が載置される原稿ガラス板24と、光源21からの光を反射して原稿20表面に照射させる第1反射鏡25と、原稿20からの反射光を結像レンズ23Aに誘導する第2〜第4反射鏡26A〜26Cと、シェーディング補正のための補正値を生成するための白基準板27と、を備える。
【0051】
又、画像読取機構2Aは、光源21と第1及び第2反射鏡25,26Aとを副走査方向に移動させる第1スライダー部211と、第3及び第4反射鏡26B,26Cを副走査方向に移動させる第2スライダー部212と、を備える。この第1及び第2スライダー部211,212が、レール及びモーターなどの不図示の移動機構により、同時に副走査方向に移動することで、原稿ガラス板24表面に載置された原稿20の副走査方向への読取が実行される。更に、画像読取機構2Aは、その表面に原稿ガラス板24が設けられた筐体で構成され、その筐体内部に、固体撮像素子22、結像レンズ23A、及び白基準板27それぞれが固設されるとともに、第1及び第2スライダー部211,212が内蔵される。
【0052】
このように構成される画像読取機構2Aでは、原稿20の画像を読み取る際、原稿20の読取位置P1に対して、光源21からの照射光と第1反射鏡25からの反射光とが第1スライダー部211より照射されると、この照射光に対する原稿20からの反射光が第1スライダー部211の第2反射鏡26Aに入射される。そして、第2反射鏡26Aから反射光は、第2スライダー部212の第3及び第4反射鏡26B,26Cをそれぞれ順に反射し、結像レンズ23Aに誘導される。このようにして、原稿20からの反射光が結像レンズ23Aを透過することで、固体撮像素子22の撮像領域に、原稿20の読取位置P1の画像が結像される。
【0053】
又、画像読取機構2Aは、この原稿20の画像の読取動作を行う前に、第1スライダー部211及び第2スライダー部212を移動させて、第1スライダー部211を白基準板27の直下位置まで移動させ、白基準板27の読取動作を行う。これにより、画像処理機構8(
図4参照)は、固体撮像素子22から出力される電気信号の出力値を主走査方向にシェーディング補正するための補正値を生成できる。従って、画像処理機構8では、固体撮像素子22から出力される電気信号に対して、この補正値に基づくシェーディング補正を施すことにより、光源21による主走査方向の光量のバラツキを抑制できる。
【0054】
一方、画像検査機構6Aは、
図6に示すように、光源61と、固体撮像素子62と、縮小光学系による結像レンズ63A(
図3における結像光学系63に相当する。)と、副走査方向(記録紙搬送路Qにおける搬送方向に相当する。)に移動する記録紙10の画像記録面が当接するガラス板64と、光源61からの光を反射して記録紙10表面に照射させる第1反射鏡65と、記録紙10からの反射光を結像レンズ63Aに誘導する第2〜第4反射鏡66A〜66Cと、シェーディング補正のための補正値を生成するための白基準板67と、を備える。又、画像検査機構6Aは、画像読取機構2Aと異なり、記録紙搬送路Q側の表面がガラス板64で覆われた筐体によって構成される。そして、光源61と、固体撮像素子62と、結像レンズ63Aと、第1〜第4反射鏡65,66A〜66Cとが、当該筐体内部に固設されるとともに、記録紙搬送路Qを介して第2反射鏡66Aの直下となる位置に、白基準板67が固設される。
【0055】
このように構成される画像検査機構6Aでは、記録紙10の画像を読み取る際、記録紙10の読取位置P2に対して、光源61からの照射光と第1反射鏡65からの反射光とが照射されると、この照射光に対する記録紙10からの反射光が第2反射鏡66Aに入射される。この第2反射鏡66Aから反射光は、第3及び第4反射鏡66B,66Cによって結像レンズ63Aに誘導されることで、固体撮像素子62の撮像領域に、記録紙10の読取位置P2の画像が結像される。又、画像検査機構6Aは、この記録紙10の画像の読取動作を行う前に、白基準板67の読取動作を行う。これにより、画像処理機構8(
図4参照)は、固体撮像素子62から出力される電気信号に対して、シェーディング補正を施すことにより、光源61による主走査方向の光量のバラツキを抑制できる。
【0056】
この画像検査機構6Aにおいて、光源61を、画像読取装置2Aにおける光源21と同等の分光特性を備えた発光素子で構成することで、光源61からの照射光の輝度分布や色分布を、光源21からの照射光とほぼ同等とできる。これにより、原稿20及び記録紙10を同一の用紙としたとき、原稿20及び記録紙10それぞれからの反射光の輝度分布及び色分布が同等となる。更に、画像読取機構2A及び画像検査機構6Aにおいて、第1反射鏡25,65それぞれを同等の反射率及び反射角を備えるものとすることにより、光源21,61からの照射光による反射光を、同等の分光特性の光として、原稿20及び記録紙10それぞれに照射することができる。このとき、読取位置P1に対する光源21及び第1反射鏡25の設置位置と、読取位置P2に対する光源61及び第1反射鏡65の設置位置とが、同一の位置関係となるように、光源21,61及び第1反射鏡25,65それぞれが設置される。
【0057】
又、画像検査機構6Aにおいて、結像レンズ63Aを、画像読取装置2Aにおける結像レンズ23Aと同等の分光透過率特性を備えた部品で構成することで、結像レンズ63Aの透過光の輝度分布や色分布を、結像レンズ23Aの透過光とほぼ同等とできる。更に、画像検査機構6Aにおける第2〜第4反射鏡66A〜66Cそれぞれの反射率及び反射角度を、画像読取機構2Aにおける第2〜第4反射鏡26A〜26Cそれぞれと同等とすることにより、結像レンズ63Aへの入射光を、結像レンズ23Aへの入射光と同等の分光特性の光とすることができる。このとき、読取位置P1から固体撮像素子22までの光路長と、読取位置P2から固体撮像素子62までの光路長とが等しくなるように、第2〜第4反射鏡26A〜26C,66A〜66C及び結像レンズ23A,63Aそれぞれが設置される。
【0058】
そして、画像検査機構6Aにおいて、固体撮像素子62を、画像読取装置2Aにおける固体撮像素子22と同等の分光感度特性を備えた素子で構成する。このように構成することにより、画像読取機構2A及び画像検査機構6Aそれぞれにおいて、受光部品となる固体撮像素子22,62で光電変換の対象となる光の輝度分布及び色分布を同等とすることができる。このとき、上述のように、光源21,61、結像レンズ23A,63A、第1〜第4反射鏡25,26A〜26C,65,66A〜66C,それぞれについても、画像読取装置2Aと画像検査機構6Aとの間で同一の部品で構成するものとすることで、画像読取機構2A及び画像検査機構6Aそれぞれの分光特性をほぼ同一とできる。
【0059】
上述のように画像読取機構2A及び画像検査機構6Aの構成部品が同等の分光特性を備えることで、スライダー部211,212の移動速度に基づく、画像読取機構2Aにおける読取速度と、記録紙10の搬送速度に基づく、画像検査機構6Aにおける読取速度とが異なる場合であっても、画像処理機構8(
図4)において、読取速度の違いに基づく補正演算処理を行うだけで、原稿画像データと検査画像データの分光特性を容易に一致させることができる。即ち、読取速度の違いにより固体撮像素子22,62それぞれへの露光量(露光時間)に差が生じるが、画像処理機構8において、原稿画像データ及び検査画像データのいずれかに対して、露光量の差に基づいて、固体撮像素子22,62それぞれの出力に対する輝度分布補正などのように、画像演算処理を施せばよい。このような画像演算処理を施すことで、画像検査機構6Aの検査画像データを利用した画像検査を高精度のものとできる。
【0060】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態の画像形成装置について、以下に、図面を参照して説明する。
図7は、本実施形態の画像形成装置における画像読取機構の構成を示す図であり、
図8は、本実施形態の画像形成装置における画像検査機構の構成を示す図である。
【0061】
本実施形態の画像形成装置1に具備される画像読取機構2Bは、
図7に示すように、光源21と、固体撮像素子22と、結像レンズ23Aと、原稿ガラス板24と、第1反射鏡25と、白基準板27と、原稿20からの反射光を結像レンズ23Aに誘導する第2反射鏡26と、を備える。そして、光源21と固体撮像素子22と結像レンズ23Aと第1及び第2反射鏡25,26とは、レール及びモーターなどの不図示の移動機構により副走査方向に移動される、スライダー部213内に設けられる。又、画像読取機構2Bは、その表面に原稿ガラス板24が設けられた筐体で構成され、その筐体内部において、白基準板27が固設されるとともに、スライダー部213が内蔵される。
【0062】
このように構成される画像読取機構2Bでは、原稿20の画像を読み取る際、原稿20の読取位置P1に対して、第1の実施形態における画像読取機構2A(
図5参照)と同様、光源21からの照射光と第1反射鏡25からの反射光とがスライダー部213より照射される。この照射光に対する原稿20からの反射光がスライダー部213の第2反射鏡26に入射されて、結像レンズ23Aに誘導される。よって、原稿20からの反射光が結像レンズ23Aを透過することで、固体撮像素子22の撮像領域に、原稿20の読取位置P1の画像が結像される。又、画像読取機構2Bは、第1の実施形態における画像読取機構2A(
図5参照)と同様、画像処理機構8(
図4参照)でシェーディング補正を実行させるために、原稿20の画像の読取動作の前に、白基準板27に対する読取動作を行う。
【0063】
一方、画像検査装置6Bは、
図8に示すように、光源61と、固体撮像素子62と、結像レンズ63Aと、ガラス板64と、第1反射鏡65と、白基準板67と、記録紙10からの反射光を結像レンズ63Aに誘導する第2反射鏡66と、を備える。又、画像検査機構6Bは、画像読取機構2Bと異なり、記録紙搬送路Q側の表面がガラス板64で覆われた筐体によって構成される。そして、光源61と、固体撮像素子62と、結像レンズ63Aと、第1及び第2反射鏡65,66が、当該筐体内部に固設されるとともに、記録紙搬送路Qを介して第2反射鏡66の直下となる位置に、白基準板67が固設される。
【0064】
このように構成される画像検査機構6Bでは、記録紙10の画像を読み取る際、記録紙10の読取位置P2に対して、光源61からの照射光と第1反射鏡65からの反射光とが照射されると、この照射光に対する記録紙10からの反射光が第2反射鏡66に入射される。この第2反射鏡66から反射光が、結像レンズ63Aを透過することで、固体撮像素子62の撮像領域に、記録紙10の読取位置P2の画像が結像される。又、画像検査機構6Aは、この記録紙10の画像の読取動作を行う前に、白基準板67の読取動作を行う。これにより、画像処理機構8(
図4参照)は、固体撮像素子62から出力される電気信号に対して、シェーディング補正を施すことにより、光源61による主走査方向の光量のバラツキを抑制できる。
【0065】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様、光源21,61それぞれが、同等の分光特性の発光素子で構成されることで、原稿20及び記録紙10への照射光の分光特性を同等とできる。このとき、第1反射鏡25,65それぞれの反射率及び反射角度を同等とすることで、第1反射鏡25,65それぞれからの照射光についても、同等の分光特性とすることが好ましい。更に、光源21,61及び第1反射鏡25,65それぞれは、読取位置P1,P2との位置関係が同一となるように、設置される。
【0066】
又、結像レンズ23A,63Aそれぞれについても、第1の実施形態と同様、同等の透過分光特性を有するものとすることで、固体撮像素子22,62それぞれへの透過光の分光特性を同等とすることができる。このとき、第2反射鏡26,66それぞれの反射率及び反射角度を同等とすることで、第2反射鏡26,66それぞれからの反射光についても、同等の分光特性とすることが好ましい。更に、結像レンズ23A,63A及び第2反射鏡26,66それぞれは、読取位置P1,P2との位置関係が同一となるように、設置される。
【0067】
そして、固体撮像素子22,62についても、第1の実施形態と同様、同等の分光感度特性を備えた素子で構成することで、固体撮像素子22,62で電気信号に変換される光の分光特性を同等とすることができる。
【0068】
このように、本実施形態においても、第1の実施形態と同様、画像読取機構2B及び画像検査機構6Bの構成部品が同等の分光特性を備えることで、画像読取機構2Bからの原稿画像データと画像検査機構6Bからの検査画像データの分光特性を一致させることができる。これにより、本実施形態の画像形成装置1は、画像検査機構6Bの検査画像データを利用した画像検査を高精度に実行できる。
【0069】
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態の画像形成装置について、以下に、図面を参照して説明する。
図9は、本実施形態の画像形成装置における画像読取機構の構成を示す図であり、
図10は、本実施形態の画像形成装置における画像検査機構の構成を示す図である。
【0070】
本実施形態の画像形成装置は、画像読取機構及び画像検査機構について、第1の実施形態のような縮小光学系ではなく、密着型等倍光学系で構成した点で異なるものであり、その他の構成については同一の構成とするものである。尚、
図9における画像読取機構2Cは、
図1及び
図4における画像読取機構2に相当するとともに、
図10における画像検査機構6Cは、
図1及び
図4における画像読取機構6に相当する。又、
図9及び
図10に示す構成において、
図5及び
図6と同一の構成となる部分については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0071】
本実施形態の画像形成装置1に具備される画像読取機構2Cは、
図9に示すように、光源21と、固体撮像素子22と、原稿ガラス板24と、白基準板27と、固体撮像素子22の各画素に対して結像させる結像素子を主走査方向に配設したレンズアレイで構成される結像レンズ23C(
図2における結像光学系23に相当する。)と、を備える。そして、光源21と固体撮像素子22と結像レンズ23Cとは、レール及びモーターなどの不図示の移動機構により副走査方向に移動される、スライダー部214内に設けられる。又、画像読取機構2Cは、その表面に原稿ガラス板24が設けられた筐体で構成され、その筐体内部において、白基準板27が固設されるとともに、スライダー部214が内蔵される。
【0072】
このように構成される画像読取機構2Cでは、原稿20の画像を読み取る際、原稿20の読取位置P1に対して、光源21からの照射光がスライダー部214より照射されると、この照射光に対する原稿20からの反射光がスライダー部214の結像レンズ23Cに入射される。そして、原稿20からの反射光が結像レンズ23Cを透過することで、固体撮像素子22の撮像領域に、原稿20の読取位置P1の画像が結像される。又、画像読取機構2Cは、第1の実施形態における画像読取機構2A(
図5参照)と同様、画像処理機構8(
図4参照)でシェーディング補正を実行させるために、原稿20の画像の読取動作の前に、白基準板27に対する読取動作を行う。
【0073】
一方、画像検査装置6Cは、
図10に示すように、光源61と、固体撮像素子62と、ガラス板64と、白基準板67と、結像レンズ23Cと同一のレンズアレイで構成される結像レンズ63C(
図3における結像光学系63に相当する。)と、を備える。又、画像検査機構6Cは、画像読取機構2Cと異なり、記録紙搬送路Q側の表面がガラス板64で覆われた筐体によって構成される。そして、光源61と、固体撮像素子62と、結像レンズ63Cとが、当該筐体内部に固設されるとともに、記録紙搬送路Qを介して結像レンズ63Cの直下となる位置に、白基準板67が固設される。
【0074】
このように構成される画像検査機構6Cでは、記録紙搬送路Qを通過する記録紙10の画像を読み取る際、記録紙10の読取位置P2に対して、光源61からの照射光が照射されると、この照射光に対する記録紙10からの反射光が結像レンズ63Cに入射される。そして、記録紙10からの反射光が結像レンズ63Cを透過することで、固体撮像素子62の撮像領域に、記録紙10の読取位置P2の画像が結像される。又、画像検査機構6Cは、第1の実施形態における画像検査機構6A(
図6参照)と同様、画像処理機構8(
図4参照)でシェーディング補正を実行させるために、記録紙10の画像の読取動作の前に、白基準板67に対する読取動作を行う。
【0075】
本実施形態においても、第1及び第2の実施形態と同様、原稿20及び記録紙10への照射光の分光特性を同等とするために、光源21,61それぞれが、同等の分光特性の発光素子で構成される。又、結像レンズ23C,63Cが、同等の透過分光特性を有するレンズアレイで構成されることで、固体撮像素子22,62に結像させる光の分光特性を同等できる。更に、固体撮像素子22,62についても、同等の分光感度特性を備えた素子とすることで、原稿画像データと検査画像データの分光特性を一致させることができる。
【0076】
尚、第1〜第3の実施形態において、画像読取機構2と画像検査機構6とを同一の構成のものとしたが、画像読取機構2Aを備えた画像形成装置1に画像検査機構6B,6Cのいずれかが具備されるものとしても構わないし、画像読取機構2Bを備えた画像形成装置1に画像検査機構6A,6Cのいずれかが具備されるものとしても構わないし、画像読取機構2Cを備えた画像形成装置1に画像検査機構6A,6Bのいずれかが具備されるものとしても構わない。このように、画像読取機構2と画像検査機構6とを異なる構成としたとしても、光源21,61、固体撮像素子22,62、結像光学系23,63それぞれについて、その分光特性が近い部品で構成することによって、画像読取機構2及び画像検査機構6の分光特性を同等とできる。
【0077】
<第4の実施形態>
本発明の第4の実施形態の画像形成装置について、以下に、図面を参照して説明する。
図11は、本実施形態の画像形成装置における画像処理機構の構成を示すブロック図である。尚、本実施形態の画像形成装置は、上述した基本構成において説明した、
図1の機械構成及び
図4の機能構成を備えるものであるとともに、画像読取機構及び画像検査機構が、第1〜第3の実施形態それぞれで説明した構成のいずれかを有するものである。又、
図11に示す構成において、
図4と同一の構成となる部分については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0078】
本実施形態の画像形成装置1に具備される画像処理機構8Aは、
図11に示すように、画像処理演算部81と、メモリ制御部82,83と、画像メモリ84,85と、印刷判定部86と、固体撮像素子22の出力を補正するための出力補正値を生成して画像読取機構2の出力増幅率を設定する読取側出力補正部87Aと、固体撮像素子62の出力を補正するための出力補正値を生成して画像検査機構6の出力増幅率を設定する検査側出力補正部87Bと、を備える。その他の構成については、第1〜第3の実施形態のいずれかの画像形成装置と同様の構成となるため、詳細な説明については省略する。
【0079】
図11に示す構成の画像処理機構8Aでは、画像読取機構2(第1〜第3の実施形態における画像読取機構2A〜2Cのいずれかに相当する)において白基準板27の読取動作を行った際の固体撮像素子22からの電気信号(以下、「原稿用基準データ」と呼ぶ。)が、画像処理演算部81を通じて、読取側出力補正部87Aに入力される。又、画像検査機構6(第1〜第3の実施形態における画像検査機構6A〜6Cのいずれかに相当する)において白基準板67の読取動作を行った際の固体撮像素子62からの電気信号(以下、「検査用基準データ」と呼ぶ。)が、画像処理演算部81を通じて、読取側出力補正部87Bに入力される。尚、画像読取機構2の白基準板27と、画像検査機構6の白基準板67とは、同一の部品によって構成される。
【0080】
原稿用基準データが入力される読取側出力補正部87Aは、予め記憶している基準値と原稿用基準データとを比較し、当該基準値と原稿用基準データとの比較結果に基づいて、固体撮像素子22用の出力補正値を算出する。このとき、原稿用基準データは、画像処理演算部81でシェーディング補正された後に読取側出力補正部87Aに与えられるものとしても構わないし、シェーディング補正が施されることなく画像処理演算部81から読取側出力補正部87Aに与えられるものとしても構わない。そして、読取側出力補正部87Aは、固体撮像素子22用の出力補正値を生成すると、この出力補正値に基づいて、固体撮像素子22の出力側に設けられたアンプ(不図示)の増幅率を設定し、固体撮像素子22の出力を調整する。
【0081】
一方、検査用基準データが入力される検査側出力補正部87Bは、予め記憶している基準値と検査用基準データとを比較し、当該基準値と検査用基準データとの比較結果に基づいて、固体撮像素子62用の出力補正値を算出する。このとき、検査用基準データについても、原稿用基準データと同様、画像処理演算部81でシェーディング補正された後に与えられるものとしても構わないし、シェーディング補正が施されることなく与えられるものとしても構わない。そして、読取側出力補正部87Bは、固体撮像素子62用の出力補正値を生成すると、この出力補正値に基づいて、固体撮像素子62の出力側に設けられたアンプ(不図示)の増幅率を設定し、固体撮像素子62の出力を調整する。
【0082】
このとき、読取側出力補正部87Aにおいて、原稿用基準データと基準値との比によって、固体撮像素子22用の出力補正値を算出する一方で、検査側出力補正部87Bにおいて、検査用基準データと基準値との比によって、固体撮像素子62用の出力補正値を算出する。従って、固体撮像素子22,62それぞれのアンプの増幅率がその出力補正値に基づいて設定されることで、固体撮像素子22からの電気信号による原稿画像データと固体撮像素子62からの電気信号による検査画像データそれぞれの階調再現性が等しくなる。よって、本実施形態では、第1〜第3の実施形態の画像形成装置と比べて、画像読取機構及び画像検査機構を利用した画像検査を、更に精度の高いものとすることができる。
【0083】
尚、原稿用基準データ及び検査用基準データのそれぞれは、例えば、固体撮像素子22,62における中心に位置する画素などのように、特定位置の画素から出力される電気信号によって生成されるものとしても構わない。又、原稿用基準データ及び検査用基準データのそれぞれが、固体撮像素子22,62から出力される各画素の電気信号の平均値により与えられるものとしても構わない。
【0084】
又、本実施形態において、上述したように、原稿用基準データ及び検査用基準データのそれぞれを、予め記憶した基準値と比較することによって、固体撮像素子22,62それぞれの出力を調整するものとしたが、このような構成に限定される必要はなく、原稿用基準データを検査用基準データに一致できる構成であればよい。従って、例えば、原稿用基準データと検査用基準データとを直接比較して、原稿用基準データを検査用基準データに一致させるための出力補正値を算出し、この出力補正値に基づいて固体撮像素子22のアンプの増幅率が設定されるものとしても構わない。逆に、検査用基準データを原稿用基準データに一致させるための出力補正値を算出し、この出力補正値に基づいて固体撮像素子62のアンプの増幅率が設定されるものとしても構わない。
【0085】
更に、原稿用基準データ及び検査用基準データそれぞれにより算出される出力補正値を、基準値との比により算出するものとしたが、基準値との差分により算出するものとしても構わない。この基準値との差分を出力補正値とした場合、固体撮像素子22,62それぞれから出力される電気信号のオフセットを出力補正値より算出し、固体撮像素子22,62それぞれの出力から除去するオフセットを調整することで、その出力調整を行う。
【0086】
<第5の実施形態>
本発明の第5の実施形態の画像形成装置について、以下に、図面を参照して説明する。
図12は、本実施形態の画像形成装置における画像処理機構の構成を示すブロック図である。尚、本実施形態の画像形成装置は、上述した基本構成において説明した、
図1の機械構成及び
図4の機能構成を備えるものであるとともに、画像読取機構及び画像検査機構が、第1〜第3の実施形態それぞれで説明した構成のいずれかを有するものである。又、
図12に示す構成において、第4の実施形態の画像形成装置における画像処理機構(
図11参照)と同一の構成となる部分については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0087】
本実施形態の画像形成装置1に具備される画像処理機構8Bは、
図12に示すように、第3の実施形態における画像処理機構8A(
図11参照)の構成に対して、画像読取機構2(第1〜第3の実施形態における画像読取機構2A〜2Cのいずれかに相当する)の光源21の明るさを調整する読取側発光量調整部89Aと、画像検査機構2(第1〜第3の実施形態における画像検査機構6A〜6Cのいずれかに相当する)の光源61の明るさを調整する検査側発光量調整部89Bと、を更に追加した構成となる。この読取側発光量調整部89Aは、光源21の明るさの読取側基準値を予め記憶するとともに、画像処理演算部81を介して原稿用基準データが入力される。同様に、検査側発光量調整部89Bは、光源61の明るさの検査側基準値を予め記憶するとともに、画像処理演算部81を介して検査用基準データが入力される。
【0088】
このように構成される画像処理機構8Bは、第4の実施形態における画像処理機構8A(
図11参照)と同様、読取側出力補正部87A及び検査側出力補正部87Bそれぞれで原稿用基準データ及び検査用基準データに基づいて出力補正値を生成して、固体撮像素子22,62それぞれの出力を調整する。そして、この画像処理機構8Bは、この固体撮像素子22,62それぞれの出力調整だけではなく、以下に説明する光源21,61の明るさの調整処理を行うことによって、画像読取機構2による原稿画像データ及び画像検査機構6による検査画像データそれぞれの分光特性を一致させる。
【0089】
画像処理機構8Bは、画像読取機構2において白基準板27の読取動作が行われ、画像処理演算部81において原稿用基準データを生成すると、この原稿用基準データを読取側発光量調整部89Aに送出する。読取側発光量調整部89Aは、予め記憶している読取側基準値と、画像処理演算部81からの原稿用基準データとを比較して、光源21の明るさを補正するための補正値を算出する。この補正値は、原稿用基準データと読取側基準値との差又は比に基づいて求められるものとしてもよい。そして、読取側発光量調整部89Aが、算出した補正値に基づいて、明るさを調整するための制御信号を光源21に出力することにより、光源21の明るさが調整される。
【0090】
一方、画像検査機構6において白基準板67の読取動作が行われ、画像処理演算部81において検査用基準データが生成されると、この原稿用基準データが検査側発光量調整部89Bに送出される。検査側発光量調整部89Bは、読取側発光量調整部89Aと同様にして、検査用基準データと予め記憶している検査側基準値とを比較して、光源61の明るさを補正するための補正値を算出する。そして、検査側発光量調整部89Bが、算出した補正値に基づいて、明るさを調整するための制御信号を光源61に出力することにより、光源61の明るさが調整される。
【0091】
このようにして、読取側発光量調整部89Aにより光源21の明るさが調整されるとともに、検査側発光量調整部89Bにより光源61が調整されることによって、画像読取機構2及び画像検査機構6それぞれから出力される電気信号について、白トビ(飽和)や黒ツブレなどのノイズのない画像データとすることができる。これにより、画像読取機構2からの原稿画像データ及び画像検査機構6からの検査画像データそれぞれを高品質な画像とすることができ、画像検査機構6を利用した画像検査を高精度のものとできる。
【0092】
(光源の構成の第1例)
本実施形態における画像処理機構8Bにより明るさが調整される光源21,61の構成の第1例を、以下に説明する。
図13(a)は、本例における光源の概略構成を示す回路図である。尚、
図13(a)の構成は、光源21,61で共通に使用される構成である。
【0093】
図13(a)に示すように、本例における光源21,61は、電源電位と接地電位との間で、LED素子L1と可変抵抗R1とが直列に接続された構成となる。このように光源21,61それぞれが構成されるとき、読取側発光量調整部89A及び検査側発光量調整部89Bのそれぞれからの制御信号に基づいて、可変抵抗R1の抵抗値が切り替えられる。これにより、LED素子L1に流れる電流量が調整されて、LED素子L1による発光量が調整されるため、結果、光源21,61の明るさが調整されることとなる。尚、
図13(a)の構成例では、LED素子L1に流れる電流量を制御することで、LED素子L1の発光量が調整されるものとしたが、LED素子L1へ印加する電圧を制御することで、LED素子L1の発光量が調整されるものとしても構わない。
【0094】
(光源の構成の第2例)
本実施形態における画像処理機構8Bにより明るさが調整される光源21,61の構成の第2例を、以下に説明する。
図13(b)は、本例における光源の概略構成を示す回路図である。尚、
図13(b)の構成は、光源21,61で共通に使用される構成である。
【0095】
図13(b)に示すように、本例における光源21,61は、電源電位と接地電位との間で、LED素子L2とスイッチング素子S1とが直列に接続された構成となる。このように光源21,61それぞれが構成されるとき、読取側発光量調整部89A及び検査側発光量調整部89Bのそれぞれからの制御信号に基づいて、スイッチング素子S1のON/OFFタイミング(デューティ比)が切り替えられる。これにより、LED素子L2が点滅動作を行い、単位時間におけるLED素子L2の点灯時間が調整されるため、結果、光源21,61の明るさが調整されることとなる。
【0096】
<第6の実施形態>
本発明の第6の実施形態の画像形成装置について、以下に、図面を参照して説明する。
図14は、本実施形態の画像形成装置における画像読取機構及び画像検査機構それぞれの光源の構成を示す概略図である。尚、本実施形態の画像形成装置は、上述した基本構成において説明した、
図1の機械構成及び
図4の機能構成を備えるものであり、その画像読取機構及び画像検査機構それぞれの光源に特徴を備えるものである。従って、以下では、本実施形態で特徴となる光源について詳細に説明するとともに、その他の構成については、上述の基本構成及び第1〜第5の実施形態を参照するものとして、省略する。
【0097】
本実施形態の画像形成装置1は、その画像読取機構2(
図2参照)及び画像検査機構6(
図3参照)それぞれの光源21,61として、
図14に示す構成の光源100が設けられる。この光源100は、長尺状の導光体101の両端にLED(Light Emitting Diode)光源102A,102Bが設置された構成となる。この光源100に用いられるLED光源102A,102Bはそれぞれ、1個以上の白色LED素子によって構成されるものであっても構わないし、赤色LED素子、青色LED素子、及び緑色LED素子を組み合わせて具備することで白色を発光する構成としても構わない。
【0098】
このように構成される光源100は、その発光源としてLED光源102A,102Bを用いることにより、蛍光灯やハロゲンランプを光源とした場合に比べ、省電力で且つ低発熱な光源とすることができる。ところで、蛍光灯やハロゲンランプなどのように発熱により発光させる光源は、明るくなるほど色温度が高くなるため、その明るさの違いにより分光特性が変化してしまう。一方で、LED光源102A,102Bの場合、半導体における電子と正孔の再結合による電気エネルギーを光に変換するものであり、発熱による発光ではないことから、明るさを変えても分光特性に影響を与えないだけでなく、上記の蛍光灯やハロゲンランプと比べて、経時による光量の劣化を抑制できる。
【0099】
従って、上述のように、この光源100が、画像読取機構2(
図2参照)及び画像検査機構6(
図3参照)それぞれの光源21,61の両方に使用されることにより、光源21,61の分光特性の差を抑制することができる。これにより、画像読取機構2及び画像検査機構6を利用した画像検査を、更に精度の高いものとすることができる。
【0100】
尚、本実施形態において、画像読取機構2(
図2参照)の光源21に用いられる光源100と、画像検査機構6(
図3参照)の光源61に用いられる光源100とについて、その主走査方向の固体撮像素子22,62による読取幅に合わせて導光体101の径(太さ)を異なるものとしても構わない。即ち、光源100による構成において、導光体101の径が太くなるほど、LED光源102A,102Bからの光が反射する回数が減少するので、導光体101の長手方向に沿って遠くまで導光させることができる。
【0101】
従って、固体撮像素子における読取幅が広くなれば導光体101の径を太くするなどのように、光源100の配光特性を、固体撮像素子における読取幅に合わせた特性とすることができる。即ち、光源21,61それぞれに用いられる光源100の導光体101を異なるものとすることで、例えば、画像読取機構2と画像検査機構6で、同じ用紙であっても、その縦方向と横方向の違う方向で画像を読み取る場合であっても、その読取幅に合わせたものとできる。
【0102】
又、本実施形態において、光源100として、
図14の構成のように、導光体101とLED光源102A,102Bとで構成されるものとしたが、
図15に示すように、複数のLED素子103を主走査方向に配列させることで構成されるものとしても構わない。
図11のように光源100を構成する場合、画像読取機構2(
図2参照)及び画像検査機構6(
図3参照)それぞれでの読取速度に合わせて、配列させるLED素子103の個数を変えることにより明るさを調節できるとともに、配列させるLED素子103の間隔を調節することで、固体撮像素子の読取幅に合わせることができる。
【0103】
このとき、結像光学系23,63(
図2及び
図3参照)の光学特性により、固体撮像素子22,62両端部への光量が減衰することから、光源100の両端に向かって、隣接するLED素子103の設置幅が狭くなるようにし、光源100の両端からの光量が中央位置からの光量よりも大きくなるようにしても構わない。
【0104】
更に、本実施形態において、光源100にLED光源102A,102Bが設けられるものとしたが、このLED光源102A,102Bの代わりに、LED光源と同様の半導体発光素子であって、省電力で且つ低発熱となる有機EL発光素子を用いるものとしても構わない。又、この有機EL発光素子を用いる場合は、長尺状の有機EL発光素子とすることにより、導光体101を省いた構成としても構わない。
【0105】
上述の基本構成及び第1〜第6の実施形態において、本発明における画像形成装置として、電子写真方式による画像形成装置を例に挙げて説明したが、上述した画像読取機構、画像検査機構、及び画像処理機構のそれぞれを備えるものであれば、電子写真方式に限られず、インクジェット方式など、他の方式による画像形成機構を備えた画像形成装置であっても構わない。