特許第6011828号(P6011828)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6011828アルミニウム薄膜付プラスチック用アンダーコート剤、アルミニウム薄膜付プラスチック、及びアルミニウム薄膜付プラスチックフィルム、並びにインモールド成型用加飾フィルム及びインサート成型用加飾フィルム
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  • 特許6011828-アルミニウム薄膜付プラスチック用アンダーコート剤、アルミニウム薄膜付プラスチック、及びアルミニウム薄膜付プラスチックフィルム、並びにインモールド成型用加飾フィルム及びインサート成型用加飾フィルム 図000004
  • 特許6011828-アルミニウム薄膜付プラスチック用アンダーコート剤、アルミニウム薄膜付プラスチック、及びアルミニウム薄膜付プラスチックフィルム、並びにインモールド成型用加飾フィルム及びインサート成型用加飾フィルム 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011828
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】アルミニウム薄膜付プラスチック用アンダーコート剤、アルミニウム薄膜付プラスチック、及びアルミニウム薄膜付プラスチックフィルム、並びにインモールド成型用加飾フィルム及びインサート成型用加飾フィルム
(51)【国際特許分類】
   C09D 133/14 20060101AFI20161006BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20161006BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20161006BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20161006BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20161006BHJP
   C08G 18/61 20060101ALI20161006BHJP
   C08G 18/62 20060101ALI20161006BHJP
   C09D 183/06 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   C09D133/14
   B32B15/08 H
   C09D175/04
   C09D5/00 D
   C08G18/10
   C08G18/61
   C08G18/62
   C09D183/06
【請求項の数】11
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-191070(P2015-191070)
(22)【出願日】2015年9月29日
(65)【公開番号】特開2016-74888(P2016-74888A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2015年12月14日
(31)【優先権主張番号】特願2014-199935(P2014-199935)
(32)【優先日】2014年9月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山崎 彰寛
(72)【発明者】
【氏名】東本 徹
【審査官】 櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−132521(JP,A)
【文献】 特開2004−131653(JP,A)
【文献】 特開2010−167648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 133/14
B32B 15/08
C08G 18/10
C08G 18/61
C08G 18/62
C09D 5/00
C09D 175/04
C09D 183/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシ基不含有アルキル(メタ)アクリレート類(a1)及びヒドロキシ基含有アルキル(メタ)アクリレート類(a2)の反応物であって、ガラス転移温度が0〜100℃であり、かつ水酸基当量が0.8〜3.5meq/gであるアクリルコポリマー(A)と、
トリイソシアネート類(b1)並びにジオール類及び/又は水(b2)の反応物を含み、かつイソシアネート基当量が1〜10meq/gであるイソシアネート組成物(B)と、
一般式(1):X−Si(R(OR3−a(式中、Xはエポキシ基を含む炭素数1〜8の炭化水素基を、Rは水素又は炭素数1〜8の炭化水素基を、Rは炭素数1〜8の炭化水素基を、aは0又は1を示す。)で表されるエポキシ基含有アルコキシシラン(c1)並びに/又はこれを加水分解反応及び縮合反応させてなるエポキシ基含有シルセスキオキサン(c2)からなるエポキシ基含有ケイ素化合物(C)と、
を含有する、アルミニウム薄膜付プラスチック用アンダーコート剤。
【請求項2】
(a1)成分のアルキル基の炭素数が1〜20である、請求項1のアンダーコート剤。
【請求項3】
(a2)成分のヒドロキシアルキル基の炭素数が1〜4である、請求項1又は2のアンダーコート剤。
【請求項4】
(b1)成分が芳香族ジイソシアネートの三量体であり、かつ(b2)成分が炭素数2〜8のアルキレンジオールである、請求項1〜3のいずれかのアンダーコート剤。
【請求項5】
(A)成分の水酸基当量と(B)成分のイソシアネート基当量の比〔NCO/OH〕が1〜6である、請求項1〜4のいずれかのアンダーコート剤。
【請求項6】
(A)成分及び(B)成分の合計を100重量部に対する(C)成分の使用量が3〜20重量部である、請求項1〜5のいずれかのアンダーコート剤。
【請求項7】
有機溶剤(D)の溶液として使用する、請求項1〜6のいずれかのアンダーコート剤。
【請求項8】
プラスチック基材(プラスチックフィルムを除く。)と、請求項1〜7のいずれかのアンダーコート剤からなる層と、アルミニウム薄膜層とを有する、アルミニウム薄膜付プラスチック。
【請求項9】
プラスチックフィルムと、請求項1〜7のいずれかのアンダーコート剤からなる層と、アルミニウム薄膜層とを有する、アルミニウム薄膜付プラスチックフィルム。
【請求項10】
請求項9のアルミニウム薄膜付プラスチックフィルムを部材とする、インモールド成型用加飾フィルム。
【請求項11】
請求項9のアルミニウム薄膜付プラスチックフィルムを部材とする、インサート成型用加飾フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック基材にアルミニウム薄膜を密着させるために使用するアンダーコート剤、並びに当該アンダーコート剤を用いて得られるアルミニウム薄膜付プラスチック及びアルミニウム薄膜付プラスチックフィルム、並びに該プラスチックフィルムを部材とするインモールド成型及びインサート成型用の加飾フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム薄膜付プラスチックとは、プラスチック基材の表面にアルミニウムからなる薄膜が形成されているものをいう。特に数十nm程度の厚みのアルミニウム薄膜をプラスチックフィルムに積層したものは、インモールド成型用又はインサート成型用の加飾フィルムの部材として賞用されており、成形品に金属調ないしミラー感等の意匠性を付与できることから、近年、例えば、携帯電話やオーディオ製品、パソコン、自動車内装部品等種々の電子製品の筐体に供されている。
【0003】
ところで、アルミニウム薄膜とプラスチック基材とを密着させるためには、各種ポリマーを主成分とするアンダーコート剤が使用されることが多い。
【0004】
例えば特許文献1には、所定のガラス転移温度及び水酸基当量を有するポリオールとポリイソシアネートとを含むアンダーコート剤が記載されており、このものによれば、プラスチックフィルムとアルミニウム薄膜との密着性が良好になるとされる。
【0005】
また、特許文献2には、特定のアルキル(メタ)アクリレートと水酸基含有(メタ)アクリレートとからなる所定水酸基濃度のアクリルコポリマー及びポリイソシアネートを含むアンダーコート剤が記載されている。そしてこのものによれば、プラスチックフィルムとアルミニウム蒸着膜との密着性が良好になるだけでなく、該アルミニウム薄膜付プラスチックフィルムを高温状態に置いてもアルミニウム薄膜に白化が生じないとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−227837号公報
【特許文献2】特開2011−132521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のアンダーコート剤を用いて得られるアルミニウム薄膜付プラスチックを高温高湿状態に置くと、プラスチック基材とアルミニウム薄膜との密着性が低下したり、アルミニウム薄膜に白化部分が生じたりする問題があった。
【0008】
また、特許文献2に係るアルミニウム薄膜付プラスチックを高温高湿状態に置くと、図2で示すように、アルミニウム薄膜に微小な透明部分(以下、「抜け」ともいう。)が多数生じる等の問題が見出された。
【0009】
本発明は、高温高湿下でもアルミニウム薄膜とプラスチック基材の密着性を低下させず、かつ、アルミニウム薄膜に白化部分や抜けを生じさせない新規なアンダーコート剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、前記「抜け」が、アルミニウムと水の何らかの反応物で形成されており、これが可視光領域で透明であることから、図2で示すように、あたかもアルミニウム薄膜に無数の微小な穴が生じているように見えるのであろうと考えた。
【0011】
そして、抜けの問題を解消しつつ、密着性及び耐白化性は維持する手段について検討した結果、所定のアクリルポリオールとポリイソシアネートを含むアンダーコート剤に所定のエポキシ基含有シラン化合物を更に添加することによって、前記課題を解決可能なアンダーコート剤が得られることを見出した。
【0012】
即ち本発明は、ヒドロキシ基不含有アルキル(メタ)アクリレート類(a1)及びヒドロキシ基含有アルキル(メタ)アクリレート類(a2)の反応物であって、ガラス転移温度が0〜100℃であり、かつ水酸基当量が0.8〜3.5meq/gであるアクリルコポリマー(A)と、トリイソシアネート類(b1)並びにジオール類及び/又は水(b2)(b2)の反応物を含み、かつイソシアネート基当量が1〜10meq/gであるイソシアネート組成物(B)と、一般式(1):X−Si(R(OR3−a(式中、Xはエポキシ基を含む炭素数1〜8の炭化水素基を、Rは水素又は炭素数1〜8の炭化水素基を、Rは炭素数1〜8の炭化水素基を、aは0又は1を示す。)で表されるエポキシ基含有アルコキシシラン(c1)並びに/又はこれを加水分解反応及び縮合反応させてなるエポキシ基含有シルセスキオキサン(c2)からなるエポキシ基含有ケイ素化合物(C)とを含有するアルミニウム薄膜付プラスチック用アンダーコート剤、に関する。
【0013】
また、本発明は、プラスチック基材(プラスチックフィルムを除く。)と、前記アンダーコート剤からなる層と、アルミニウム薄膜層とを有するアルミニウム薄膜付プラスチックにも関する。
【0014】
また、本発明は、プラスチックフィルムと、前記アンダーコート剤からなる層と、アルミニウム薄膜層とを有する、アルミニウム薄膜付プラスチックフィルムにも関する。
【0015】
また、本発明は、前記アルミニウム薄膜付プラスチックフィルムを部材とするインモールド成型用加飾フィルム及びインサート成型用の加飾フィルムにも関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明のアンダーコート剤は透明な組成物であり、室温でのポットライフも長い。当該アンダーコート剤によれば、アルミニウム薄膜とプラスチック基材との初期密着性(以下、単に初期密着性ともいう。)、高温高湿下におけるアルミニウム薄膜とプラスチック基材との密着性(以下、耐湿熱密着性ともいう。)、並びにアルミニウム薄膜面の耐白化性及び耐抜け性(以下、順に、単に耐白化性、耐抜け性ともいう。)が良好になる。
【0017】
本発明に係るアルミニウム薄膜付プラスチック(フィルム状のものを除く。)は、初期密着性、耐湿熱密着性、耐白化性及び耐抜け性が全て良好である。このものは、例えばボトルやキャップ、携帯電話やオーディオ製品、パソコン、自動車内装部品等種々の電子製品の筐体等の用途に供し得る。
【0018】
本発明に係るアルミニウム薄膜付プラスチックフィルムは、同じく初期密着性、耐湿熱密着性、耐白化性及び耐抜け性の全てが良好である。このものは、例えばインモールド成型用又はインサート成型用の加飾フィルムの部材に適する他、ガスバリアフィルム等の包装材や、透明導電シート、フィルムコンデンサ、表示用ラベルの部材として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例1に係るアルミニウム蒸着PETフィルムの蒸着面の顕微鏡写真(400倍)であり、極めて平滑であり、抜けが生じていないことが解る。
図2】比較例1に係るアルミニウム蒸着PETフィルムの蒸着面の顕微鏡写真(400倍)であり、蒸着面に抜けが生じていることが解る。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のアンダーコート剤は、所定のアクリルコポリマー(A)(以下、(A)成分ともいう。)、イソシアネート組成物(B)(以下、(B)成分ともいう。)及びエポキシ基含有ケイ素化合物(C)(以下、(C)成分ともいう。)を必須成分とする組成物である。
【0021】
(A)成分は、ヒドロキシ基不含有アルキル(メタ)アクリレート類(a1)(以下、(a1)成分ともいう。)及びヒドロキシ含有アルキル(メタ)アクリレート類(a2)(以下、(a2)成分ともいう。)を反応させてなる共重合体である。
【0022】
(a1)成分としては、分子内にヒドロキシ基を有しないアルキル(メタ)アクリレートであれば各種公知のものを特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸イコシル、(メタ)アクリル酸ドコシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロペンタニル及び(メタ)アクリル酸イソボルニル等が挙げられ、これらは一種を単独で、又は二種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、本発明のアンダーコート剤の特に耐抜け性の向上に寄与することから、アルキル基の炭素数が1〜20程度のアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。また、アルキル基の炭素数が異なる(a1)成分を併用することによって、(A)成分のガラス転移温度等の物性が調節可能となる。
【0023】
(a2)成分は、(A)成分にヒドロキシ基を付与し、これと(B)成分及び(C)成分とを反応させることを目的として必須使用するモノマーであり、分子内にヒドロキシ基を有するアルキル(メタ)アクリレートであれば、各種公知のものを特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル及び2−ヒドロキシプロピオン酸4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル等が挙げられ、これらは一種を単独で、又は二種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、本発明に係るアンダーコート剤のポットライフ等の観点より、ヒドロキシアルキル基の炭素数が1〜4程度のものが好ましい。
【0024】
なお、本発明では、(A)成分の構成モノマーとして、(a1)成分及び(a2)成分のいずれにも該当しないモノマー(以下、(a3)成分ともいう。)を併用できる。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、3−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、4−カルボキシブチル(メタ)アクリレート、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、マレイン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸等のα,β不飽和カルボン酸類;スチレン、α−メチルスチレン及びt−ブチルスチレン等のスチレン類;2,4,4−トリメチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、ビニルシクロヘキサン及び2−メチルビニルシクロヘキサン等のαオレフィン;(メタ)アリルアルコール、4−ペンテン−1−オール、1−メチル−3−ブテン−1−オール及び5−ヘキセン−1−オール等の不飽和アルコール;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル及び(メタ)アクリル酸4−メチルベンジル等のアリール(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート及びジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミ及びそれらの塩;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸及びそれらの塩等の連鎖移動性モノマー;ビニルアミン、(メタ)アクリル酸アミノエチル、アリルメルカプタン及びグリシジル(メタ)アクリレート等の他の単官能モノマー;メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド及びヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド;エチレングリコールジ(メタ)アクリルエステル及びジエチレングリコールジ(メタ)アクリルエステル等のジ(メタ)アクリルエステル;アジピン酸ジビニル及びセバシン酸ジビニル等のジビニルエステル;ジアリルジメチルアンモニウム、ジアリルフタレート、ジアリルクロレンデート及びジビニルベンゼン等の二官能性モノマー;1,3,5トリアクリロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルアミン、トリアリルトリメリテート及びN,N−ジアリルアクリルアミド等の三官能性モノマー;テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラアリルピロメリテート及びN,N,N’,N’−テトラアリル−1,4ジアミノブタン等の四官能性モノマー;アクリロニトリル及びメタクリロニトリル等のアクリロニトリル;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド及びN−メチロールメタクリルアミド等のアクリルアミドなどが挙げられる。
【0025】
(A)成分の構成モノマーとして(a1)成分及び(a2)成分のみを使用する場合、それらの使用比率は特に限定されないが、通常は以下の通りである。
(a1)成分:通常45〜97モル%程度、好ましくは65〜90モル%程度
(a2)成分:通常3〜45モル%程度、好ましくは10〜35モル%程度
【0026】
また、(a1)成分及び(a2)成分とともに(a3)成分を併用する場合、それらの使用比率も特に限定されないが、通常、以下の通りである。
(a1)成分:通常65〜90モル%程度、好ましくは70〜85モル%程度
(a2)成分:通常5〜35モル%程度、好ましくは10〜30モル%程度
(a3)成分:通常1〜20モル%程度、好ましくは1〜15モル%程度
【0027】
(A)成分は、各種公知の方法で製造できる。具体的には、例えば、(a1)成分及び(a2)成分並びに必要に応じて前記(a3)成分を、無溶剤下又は有機溶剤(D)(以下、(D)成分ともいう。)の中で、通常はラジカル重合開始剤の存在下、80〜180℃程度において、1〜10時間程度共重合反応させればよい。
【0028】
(D)成分としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン系溶剤;トルエン及びキシレン等の芳香族系溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール及びブチルアルコール等の低分子アルコール系溶剤;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブアセテート及びセロソルブアセテート等のエステル系溶剤;ソルベッソ#100及びソルベッソ#150(いずれも商品名。エクソン社製。)等の石油系溶剤;その他クロロホルム及びジメチルホルムアミド等が挙げられ、その使用量は、(A)成分を含む溶液の固形分重量が10〜50重量%程度となる範囲である。
【0029】
前記ラジカル重合開始剤としては、例えば、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル及びジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等が挙げられ、その使用量は通常、(A)成分を構成するモノマーの総重量に対して0.1〜2重量%程度となる範囲である。
【0030】
こうして得られる(A)成分は、ガラス転移温度が0〜100℃であり、且つ水酸基当量0.8〜3.5meq/gである。そのような(A)成分は、(B)成分及び(C)成分と良く相溶するため、本発明のアンダーコート剤が透明となり、かつ室温での長期保存も可能になる。また、そのような(A)成分と(B)成分及び(C)成分とを反応させることにより、前記初期密着性、耐湿熱密着性、耐白化性及び耐抜け性が良好になる。かかる観点より、(A)成分のガラス転移温度は好ましくは25〜80℃程度であり、水酸基当量は好ましくは1〜2.5meq/g程度である。
【0031】
また、前記(a3)成分を併用する場合、(A)成分の酸価は、特に耐白化性を考慮すると、通常0.06〜0.4meq/g程度、好ましくは0.09〜0.18meq/g程度である。
【0032】
また、(A)成分の他の物性は特に限定されないが、前記アンダーコート剤の初期密着性、耐湿熱密着性、耐白化性及び耐抜け性の観点より、重量平均分子量が通常3000〜100000程度、好ましくは10000〜80000程度である。
【0033】
(B)成分は、トリイソシアネート類(b1)(以下、(b1)成分ともいう。)及びジオール類(b2)(以下、(b2)成分ともいう。)の反応物を含む組成物である。
【0034】
(b1)成分としては、各種公知のジイソシアネートの多量体としてのトリイソシアネートが好ましい。該ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及びリジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、並びにジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート及び水添トリレンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートが挙げられる。また、多量体としては、イソシアヌレート体(1,3,5−トリアジン-2,4,6−(1H、3H、5H)トリオン体)やアダクト体が挙げられる。これらの中でも、特に耐湿熱性、耐白化性及び耐抜け性の観点より、芳香族ジイソシアネートのイソシアヌレート体及び/又はアダクト体が好ましい。
【0035】
(b2)成分としては、各種公知のジオール及び/又は水が挙げられる。ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等が挙げられる。これらの中でも、特にアルミニウム薄膜との密着性の観点より、炭素数2〜20程度、好ましくは2〜8程度、特に4〜8程度のアルキレンジオール、及び/又は水が好ましい。
【0036】
(B)成分は、各種公知のウレタン化反応により製造することができる。(b1)成分と(b2)成分の使用比率は特に限定されないが、特にアルミニウム薄膜との密着性の観点より、通常、(b1)成分のイソシアネート基(NCO’)と(b2)成分のうちジオール類の水酸基(OH’)との当量比[NCO’/OH’]が通常5〜20程度、好ましくは10〜20程度となる範囲であればよい。一方、(b2)成分として水(HO)を用いる場合には、(b1)成分のイソシアネート基と水分子が反応した後、脱炭酸(CO↑)過程を経て一級アミノ基(−NH)が生成する。次いで、この一級アミノ基と、別の(b1)成分のNCO’基とが反応する。ここに、この一連の反応過程において、水分子1モルによって(b1)成分のイソシアネート基2モルが消費される。そのため、(b2)成分として水(HO)を用いる場合は、これが水酸基を二つ有するものと見做して、前記当量比[NCO’/OH’]を計算する。反応の際、必要に応じてイソシアネート基と反応しない有機溶剤、例えば前記ケトン系溶剤やグリコールエーテル系溶剤、エステル系溶剤を使用できる。
【0037】
こうして得られる(B)成分は、本発明のアンダーコート剤の相溶性やポットライフ、初期密着性、耐湿熱密着性、耐白化性及び耐抜け性の観点より、そのイソシアネート基当量が1〜10meq/g程度、好ましくは3〜6meq/g程度である。
【0038】
なお、本発明においては、(B)成分とともに、必要に応じ、前記ジイソシアネートや、
リジントリイソシアネート等の(b1)成分以外のトリイソシアネート、6官能のポリイソシアネート(製品名「デュラネートMHG−80B」、旭化成ケミカルズ(株)製)等を使用できる。
【0039】
(A)成分及び(B)成分の使用比率は特に制限されないが、本発明のアンダーコート剤の相溶性やポットライフ、特に耐白化性及び耐抜性を考慮すると、通常、(A)成分の水酸基当量と(B)成分のイソシアネート基当量の比〔NCO/OH〕が1〜6程度、好ましくは2〜5程度となる範囲である。
【0040】
(C)成分としては、各種公知のエポキシ基含有ケイ素化合物を使用できる。具体的には、例えば、一般式(1):X−Si(R(OR3−a(式中、Xはエポキシ基を含む炭素数1〜8の炭化水素基を、Rは水素又は炭素数1〜8の炭化水素基を、Rは炭素数1〜8の炭化水素基を、aは0又は1を示す。)で表されるエポキシ基含有アルコキシシラン(c1)(以下、(c1)成分ともいう。)並びに/又はこれを加水分解反応及び縮合反応させてなるエポキシ基含有シルセスキオキサン(c2)(以下、(c2)成分ともいう。)が挙げられる。
【0041】
(c1)成分としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン及び3−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン等のグリシドキシプロピルトリアルコキシシランや、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン及び2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン等の(エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン等が挙げられ、これらは2種以上を組み合わせることができる。
【0042】
なお、(c1)成分に代えて、前記一般式(1)中のXが例えばイソシアネート基のものや、アルキル基及びフェニル基等の炭化水素基のものを用いると、前記耐湿熱密着性、耐白化性及び耐抜け性のバランスが不良になりやすい。
【0043】
(c2)成分は、(c1)成分を加水分解反応及び縮合反応させてなるシルセスキオキサンである。また、そのエポキシ基の含有量を調節する目的で、前記(c1)成分のみならず、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン及びフェニルトリエトキシシラン等のエポキシ基非含有アルキルトリアルコキシシラン(以下、(c1’)成分ともいう。)を原料としてもよい。
【0044】
(c2)成分を得るには、先ず、(c1)成分及び必要に応じて用いる(c1’)成分を加水分解反応させる。具体的には、例えば、(c1)成分及び必要に応じて用いる(c1’)成分を、水及び触媒の存在下に加水分解反応させればよい。なお、水の量は特に限定されないが、[加水分解反応に用いる水のモル数]/[(c1)成分及び必要に応じて用いる(c1’)成分に含まれるアルコキシ基の合計モル数](モル比)が通常0.4〜10程度、好ましくは1程度となる量である。また、触媒としては、例えば酸性触媒(塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、ギ酸、酢酸等の有機酸)や塩基性触媒(1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、2−エチル−4−メチルイミダゾール等の有機塩や、アンモニア及び水酸化ナトリウム等の無機塩)が挙げられ、その使用量は通常、(c1)成分及び必要に応じて用いる(c1’)成分の総重量に対して0.1〜25重量%程度、好ましくは1〜10重量%となる範囲である。加水分解反応の条件も特に限定されないが、通常、反応温度が0〜100℃程度、好ましくは20〜60℃程度であり、反応時間が1分〜2時間程度である。
【0045】
また、前記加水分解反応の際には、前記した有機溶剤を用いることができ、特に前記アルコール系溶剤やグリコールエーテルが好適である。
【0046】
得られた加水分解反応物を更に縮合反応させることにより、目的とする(c2)成分が得られる。縮合反応の条件は特に限定されず、通常、反応温度が40〜150℃程度、好ましくは60〜100℃であり、反応時間が30分〜12時間程度である。また、縮合反応時も前記有機溶剤を使用することができる。
【0047】
(c2)成分の恒数は特に限定されないが、例えば[(c2)成分中の未反応の水酸基及びアルコキシ基のモル数]/[(c1)成分及び必要に応じて用いる(c1’)成分にもともと含まれていたアルコキシ基のモル数]が通常0.3以下であり、またエポキシ基の当量が固形換算で100〜600g/eq程度であり、また不揮発分が50〜90重量%程度である。なお、得られた(c2)成分からは、必要により、残存アルコール、水、触媒及び溶剤等を減圧下に除去してもよい。
【0048】
なお、(c2)成分に代えて、前記一般式(1)中のXがメトキシ基やエトキシ基等のアルコキシ基のものの部分縮合物やその加水分解物、或いは各種公知のシリカ粒子を用いると、本発明の所期の効果、特に前記アンダーコート剤の初期密着性、耐湿熱密着性、耐白化性及び耐抜け性のバランスがとり難くなる。
【0049】
(C)成分の使用量は特に限定されないが、(A)成分及び(B)成分の合計100重量部(固形分換算)に対して通常3〜20重量部(固形分換算)程度、好ましくは通常5〜15重量部(固形分換算)程度である。かかる範囲の場合、前記アンダーコート剤の初期密着性、耐湿熱密着性、耐白化性及び耐抜け性が特に良好になる。
【0050】
本発明のアンダーコート剤は、前記(D)成分の溶液として使用するのが好ましく、その固形分重量は通常5〜50重量%程度である。また、本発明のアンダーコート剤には、他にも、ウレタン化触媒(スズ系、第3級アミン系等)、ルイス酸触媒、レベリング剤、酸化防止剤及び紫外線吸収剤等の添加剤や、希釈溶剤として前記(D)成分を加えることができる。
【0051】
本発明のアルミニウム薄膜付プラスチックは、各種公知のプラスチック基材(プラスチックフィルムを除く。)と、本発明に係るアンダーコート剤からなる層と、アルミニウム薄膜層とを有する構造体である。
【0052】
前記プラスチック基材としては、例えば、ポリエステル(PET等)、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ABS、ポリエチレン及びポリプロピレン等が挙げられる。これらの中でも、アンダーコート層との密着性等を考慮すると、ポリエステルが好ましい。また、該プラスチックの形状は特に限定されず、例えば球状、円柱状、円筒状、直方体状、板状であってよく、凹凸や曲面を有していてもよい。
【0053】
本発明のアルミニウム薄膜付プラスチックフィルムは、各種公知のプラスチックフィルムと、本発明のアンダーコート剤からなる層と、アルミニウム薄膜層とを有する複合基材である。
【0054】
前記プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンフィルム及びポリプロピレンフィルム等が挙げられる。これらの中でも、アンダーコート層との密着性等を考慮すると、ポリエステルフィルムが好ましい。
【0055】
なお、前記プラスチック基材及び前記プラスチックフィルムには、予め離型層、ハードコート層、ハードコート層用アンカー層、柄インキ層等の機能層が予め設けられていても良い。
【0056】
アンダーコート層は、前記プラスチック基材又は前記プラスチックフィルム上に、本発明のアンダーコート剤を、各種公知の塗工手段によって塗工し、通常80〜185℃程度において、10秒〜5分程度加熱硬化させることにより得ることができる。該塗工手段は特に限定されず、例えばスプレー、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター及びドットコーター等が挙げられる。また、アンダーコート剤の塗工量も特に限定されないが、通常は乾燥固形分として0.01〜10g/m程度である。
【0057】
アルミニウム薄膜層は、硬化アンダーコート層の上に、各種公知の薄膜形成法によりアルミニウム種を更に形成することにより得ることができる。該薄膜形成法としては、各種の物理的方法(真空熱蒸着、スパッタリング等)や、化学的方法(化学的気相反応等)が挙げられる。また、アルミニウム薄膜層の厚みは特に限定されないが、通常5〜500nm程度、好ましくは5〜50nm程度である。
【0058】
本発明のアルミニウム薄膜付プラスチック及びアルミニウム薄膜付プラスチックフィルムには、それらの用途に応じ、他の機能性層が設けられていてもよい。例えば当該フィルムをインモールド成型用加飾フィルム又はインサート成型用加飾フィルムに供する場合には、プラスチックフィルム層とアンダーコート層との間に離型層、ハードコート層、ハードコート層用アンカー層及び柄インキ層等を設けることができる。また、アルミニウム薄膜層の上には接着剤層を設けることもできる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例及び比較例を通じて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらによって限定されるものではない。
【0060】
また、実施例中の「部」は重量基準を表す。また、ガラス転移温度は、市販の測定器具(製品名「DSC8230B」、理学電機(株)製)を用いて測定した値である。水酸基当量及びイソシアネート基当量は、原料の仕込み部数から算出される計算値である。また、重量平均分子量は、市販のゲルパーミエーションクロマトグラフィー機器(製品名「HLC−8220GPC」、東ソー(株)製)を用いて測定した値である。また、図1〜2における顕微鏡写真は、市販の共焦点レーザー顕微鏡(製品名「VK−9500」、(株)キーエンス製)を用いて撮影したものである。
【0061】
<(A)成分の調製>
製造例1
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた反応容器に、メタクリル酸メチル192.0部、アクリル酸ノルマルブチル7.2部、及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル40.8部、並びにメチルエチルケトン360部を仕込み、反応系を80℃に設定した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル1.2部を仕込み、80℃付近で5時間保温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル2.4部を仕込み、反応系を同温度付近において更に4時間保温した。その後反応系を室温まで冷却することにより、ガラス転移温度70℃、水酸基当量1.42meq/g(水酸基価80mgKOH/g)、及び重量平均分子量50000のアクリルコポリマー(A−1)の溶液(不揮発分30%)を得た。
【0062】
製造例2
製造例1と同様の反応容器に、メタクリル酸メチル189.6部、アクリル酸ノルマルブチル4.8部、及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチル45.6部、並びにメチルエチルケトン360.0部を仕込み、反応系を80℃に設定した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル1.2部を仕込み、80℃付近で5時間保温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル2.4部を仕込み、反応系を同温度付近において更に4時間保温した。その後反応系を室温まで冷却することにより、ガラス転移温度90℃、水酸基当量1.42meq/g(水酸基価80mgKOH/g)、及び重量平均分子量50000のアクリルコポリマー(A−2)の溶液(不揮発分30%)を得た。
【0063】
製造例3
製造例1と同様の反応容器に、メタクリル酸メチル117.6部、アクリル酸ノルマルブチル81.6部、及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル40.8部、並びにメチルエチルケトン360.0部を仕込み、反応系を80℃に設定した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル1.2部を仕込み、80℃付近で5時間保温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル2.4部を仕込み、反応系を同温度付近において更に4時間保温した。その後反応系を室温まで冷却することにより、ガラス転移温度10℃、水酸基当量1.42meq/g(水酸基価80mgKOH/g)、及び重量平均分子量55000のアクリルコポリマー(A−3)の溶液(不揮発分30%)を得た。
【0064】
製造例4
製造例1と同様の反応容器に、メタクリル酸メチル194.4部、アクリル酸ノルマルブチル14.4部、及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル31.2部、並びにメチルエチルケトン360.0部を仕込み、反応系を80℃に設定した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル1.2部を仕込み、80℃付近で5時間保温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル2.4部を仕込み、反応系を同温度付近において更に4時間保温した。その後反応系を室温まで冷却することにより、ガラス転移温度70℃、水酸基当量1.07meq/g(水酸基価60mgKOH/g)、及び重量平均分子量50000のアクリルコポリマー(A−4)の溶液(不揮発分30%)を得た。
【0065】
製造例5
製造例1と同様の反応容器に、メタクリル酸メチル201.6部、アクリル酸ノルマルブチル4.8部、及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチル33.6部、並びにメチルエチルケトン360.0部を仕込み、反応系を80℃に設定した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル1.2部を仕込み、80℃付近で5時間保温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル2.4部を仕込み、反応系を同温度付近において更に4時間保温した。その後反応系を室温まで冷却することにより、ガラス転移温度90℃、水酸基当量1.07meq/g(水酸基価60mgKOH/g)、及び重量平均分子量52000のアクリルコポリマー(A−5)の溶液(不揮発分30%)を得た。
【0066】
製造例6
製造例1と同様の反応容器に、メタクリル酸メチル70.8部、アクリル酸ノルマルブチル84.0部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル64.8部、及びスチレン20.4部、並びにメチルエチルケトン360.0部を仕込み、反応系を80℃に設定した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル1.2部を仕込み、80℃付近で5時間保温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル2.4部を仕込み、反応系を同温度付近において更に4時間保温した。その後反応系を室温まで冷却することにより、ガラス転移温度0℃、水酸基当量2.31meq/g(水酸基価130mgKOH/g)、及び重量平均分子量55000のアクリルコポリマー(A−6)の溶液(不揮発分30%)を得た。
【0067】
製造例7
製造例1と同様の反応容器に、メタクリル酸メチル148.8部、アクリル酸ノルマルブチル60.0部、及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル31.2部、並びにメチルエチルケトン360.0部を仕込み、反応系を80℃に設定した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル1.2部を仕込み、80℃付近で5時間保温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル2.4部を仕込み、反応系を同温度付近において更に4時間保温した。その後反応系を室温まで冷却することにより、ガラス転移温度30℃、水酸基当量1.07meq/g(水酸基価60mgKOH/g)、及び重量平均分子量50000のアクリルコポリマー(A−7)の溶液(不揮発分30%)を得た。
【0068】
製造例8
製造例1と同様の反応容器に、メタクリル酸メチル166.8部、アクリル酸ノルマルブチル8.4部、アクリル酸ステアリル24.0部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル40.8部、並びにメチルエチルケトン360.0部を仕込み、反応系を80℃に設定した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル1.2部を仕込み、80℃付近で5時間保温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル2.4部を仕込み、反応系を同温度付近において更に4時間保温した。その後反応系を室温まで冷却することにより、ガラス転移温度60℃、水酸基当量1.42meq/g(水酸基価80mgKOH/g)、及び重量平均分子量53000のアクリルコポリマー(A−8)の溶液(不揮発分30%)を得た。
【0069】
製造例9
製造例1と同様の反応容器に、メタクリル酸メチル184.8部、アクリル酸ノルマルブチル7.2部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル40.8部、アクリル酸7.2部、並びにメチルエチルケトン360.0部を仕込み、反応系を80℃に設定した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル1.2部を仕込み、80℃付近で5時間保温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル2.4部を仕込み、反応系を同温度付近において更に4時間保温した。その後反応系を室温まで冷却することにより、ガラス転移温度70℃、水酸基当量1.42meq/g(水酸基価80mgKOH/g)、カルボキシル基当量0.41meq/g(酸価23mgKOH/g)及び重量平均分子量54000のアクリルコポリマー(A−9)の溶液(不揮発分30%)を得た。
【0070】
製造例10
製造例1と同様の反応容器に、メタクリル酸メチル184.8部、アクリル酸ノルマルブチル7.2部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル40.8部、メタクリル酸7.2部、並びにメチルエチルケトン360.0部を仕込み、反応系を80℃に設定した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル1.2部を仕込み、80℃付近で5時間保温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル2.4部を仕込み、反応系を同温度付近において更に4時間保温した。その後反応系を室温まで冷却することにより、ガラス転移温度70℃、水酸基当量1.42meq/g(水酸基価80mgKOH/g)、カルボキシル基当量0.34meq/g(酸価19mgKOH/g)及び重量平均分子量55000のアクリルコポリマー(A−10)の溶液(不揮発分30%)を得た。
【0071】
比較製造例1
製造例1と同様の反応容器に、メタクリル酸メチル177.6部、アクリル酸ノルマルブチル20.9部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル17.5部、及びスチレン24.0部、並びにメチルエチルケトン360.0部を仕込み、反応系を80℃に設定した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル1.2部を仕込み、80℃付近で5時間保温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル2.4部を仕込み、反応系を同温度付近において更に4時間保温した。その後反応系を室温まで冷却することにより、ガラス転移温度70℃、水酸基当量0.62meq/g(水酸基価35mgKOH/g)、及び重量平均分子量45000のアクリルコポリマー(イ)の溶液(不揮発分30%)を得た。
【0072】
比較製造例2
製造例1と同様の反応容器に、メタクリル酸メチル123.6部、アクリル酸ノルマルブチル16.8部、及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル99.6部、並びにメチルエチルケトン360.0部を仕込み、反応系を80℃に設定した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル1.2部を仕込み、80℃付近で5時間保温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル2.4部を仕込み、反応系を同温度付近において更に4時間保温した。その後反応系を室温まで冷却することにより、ガラス転移温度30℃、水酸基当量3.56meq/g(水酸基価200mgKOH/g)、及び重量平均分子量48000のアクリルコポリマー(ロ)の溶液(不揮発分30%)を得た。
【0073】
【表1】
【0074】
MMA:メタクリル酸メチル
nBA:アクリル酸n−ブチル
SMA:アクリル酸ステアリル
HEA:アクリル酸2−ヒドロキシエチル
HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
St:スチレン
【0075】
<(B)成分の調製>
製造例11
製造例1と同様の反応容器に、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(製品名「コロネート2030」、イソシアネート基当量3.8meq/g)を445.5部、1,6−ヘキサンジオールを5.0部、及びメチルエチルケトンを308.6部仕込み、60℃で3時間ウレタン化反応を実施した。その後室温に冷却することによって、イソシアネート組成物(B−1)(イソシアネート基当量3.3meq/g)を得た。
【0076】
製造例12
製造例1と同様の反応容器に、前記コロネート2030を445.5部、水を0.75部、メチルエチルケトンを273.5部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを25.2部仕込み、60℃で3時間ウレタン化反応を実施した。その後室温に冷却することによって、イソシアネート組成物(B−2)(イソシアネート基当量3.3meq/g)を得た。
【0077】
<(c2)成分の調製>
製造例1と同様の反応容器に、(c1)成分として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製:商品名「KBM−403」)300g、イオン交換水71.8g([加水分解反応に用いる水のモル数]/[3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランに含まれるアルコキシ基の合計モル数](モル比)=1.05)、95%ギ酸1.5g、トルエン100gを仕込み、室温で30分間加水分解反応させた。なお、加水分解反応における[3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを加水分解反応させたことにより生じる水酸基のモル数]/[3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランにもともと含まれるアルコキシ基のモル数](モル比)は0.9であった。加水分解反応後、反応系を70℃となるまで昇温させたところで、加水分解により発生したメタノールが系外に留去され始めた。30分かけて75℃まで昇温し、縮合反応によって発生した水を留去した。さらに30分、75℃で反応させた後、ジエチレングリコールジメチルエーテル100gを加え、50℃で3時間、段階的に圧力を下げながら減圧して、残存するメタノール、水、ギ酸、トルエンを留去した。固形分濃度が15%になるようさらにジエチレングリコールジメチルエーテルを加え、エポキシ基含有シルセスキオキサン(c2)(以下、(c2)成分ともいう。)の溶液1500gを得た。(c2)のエポキシ当量は1200g/eq(固形換算180g/eq)であった。
【0078】
<アンダーコート剤の調製>
実施例1
(A−1)成分10.0部、(B−1)成分8.6部(NCO/OH=2.0)、(c1)成分としてエポキシ基含有アルコキシシラン(商品名「KBM−403」、信越化学工業(株)製)0.56部、及びメチルエチルケトン10.6部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0079】
実施例2
(A−2)成分10.0部、(B−1)成分8.6部(NCO/OH=2.0)、KBM−403 0.56部、及びメチルエチルケトン10.6部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0080】
実施例3
(A−3)成分10.0部、(B−1)成分8.6部(NCO/OH=2.0)、KBM−403 0.56部、及びメチルエチルケトン10.6部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0081】
実施例4
(A−4)成分10.0部、(B−1)成分6.5部(NCO/OH=2.0)、KBM−403 0.5部、及びメチルエチルケトン10.2部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0082】
実施例5
(A−5)成分10.0部、(B−1)成分6.5部(NCO/OH=2.0)、KBM−403 0.5部、及びメチルエチルケトン10.2部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0083】
実施例6
(A−6)成分10.0部、(B−1)成分14.0部(NCO/OH=2.0)、KBM−403 0.72部、及びメチルエチルケトン14.8部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0084】
実施例7
(A−7)成分10.0部、(B−1)成分6.5部(NCO/OH=2.0)、KBM−403 0.5部、及びメチルエチルケトン10.2部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0085】
実施例8
(A−8)成分10.0部、(B−1)成分8.6部(NCO/OH=2.0)、KBM−403 0.56部、及びメチルエチルケトン10.6部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0086】
実施例9
(A−9)成分10.0部、(B−1)成分8.6部(NCO/OH=2.0)、KBM−403 0.56部、及びメチルエチルケトン10.6部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0087】
実施例10
(A−10)成分10.0部、(B−1)成分8.6部(NCO/OH=2.0)、KBM−403 0.56部、及びメチルエチルケトン10.6部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0088】
実施例11
(A−1)成分10.0部、(B−1)成分8.6部(NCO/OH=2.0)、前記調製例で得た(c2)成分0.7部、及びメチルエチルケトン11.4部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0089】
実施例12
(A−1)成分10.0部、(B−1)成分8.6部(NCO/OH=2.0)、前記調製例で得た(c2)成分0.35部、及びメチルエチルケトン10.7部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0090】
実施例13
(A−1)成分10.0部、(B−1)成分8.6部(NCO/OH=2.0)、KBM−403 0.28部、及びメチルエチルケトン10.4部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0091】
実施例14
(A−1)成分10.0部、(B−1)成分8.6部(NCO/OH=2.0)、KBM−403 0.84部、及びメチルエチルケトン12.6部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0092】
実施例15
(A−1)成分10.0部、(B−1)成分4.3部(NCO/OH=1.0)、KBM−403 0.21部、及びメチルエチルケトン8.3部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0093】
実施例16
(A−1)成分10.0部、(B−1)成分12.8部(NCO/OH=3.0)、KBM−403 0.34部、及びメチルエチルケトン12.7部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0094】
実施例17
(A−1)成分10.0部、(B−2)成分6.5部(NCO/OH=2.0)、KBM−403 0.5部、及びメチルエチルケトン10.6部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0095】
比較例1
(イ)成分10.0部、(B−1)成分3.8部(NCO/OH=2.0)、KBM−403 0.42部、及びメチルエチルケトン8.6部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0096】
比較例2
(ロ)成分10.0部、(B−1)成分10.7部(NCO/OH=2.0)、KBM−403 0.63部、及びメチルエチルケトン12.8部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0097】
比較例3
(A−1)成分10.0部、(B−1)成分8.6部(NCO/OH=2.0)、(c1)成分に代えて3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(商品名「KBE−9007」信越化学工業(株)製)0.56部、及びメチルエチルケトン11.5部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0098】
比較例4
(A−1)成分10.0部、(B−1)成分8.6部(NCO/OH=2.0)、(c1)成分に代えてトリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート(商品名「KBM−9659」信越化学工業(株)製)0.56部、及びメチルエチルケトン11.5部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0099】
比較例5
(A−1)成分10.0部、(B−1)成分8.6部(NCO/OH=2.0)、(c1)成分に代えてデシルトリメトキシシラン(商品名「KBM−3103」信越化学工業(株)製)0.56部、及びメチルエチルケトン11.5部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0100】
比較例6
(A−1)成分10.0部、(B−1)成分8.6部(NCO/OH=2.0)、(c1)成分に代えてフェニルトリメトキシシラン(商品名「KBM−103」信越化学工業(株)製)0.56部、及びメチルエチルケトン11.5部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0101】
比較例7
(A−1)成分10.0部、(B−1)成分8.6部(NCO/OH=2.0)、(c1)成分に代えてメチルトリメトキシシラン(商品名「KBM−13」信越化学工業(株)製)0.56部、及びメチルエチルケトン11.5部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0102】
比較例8
(A−1)成分10.0部、(B−1)成分8.6部(NCO/OH=2.0)、(c1)成分に代えてメチルシリケートオリゴマー(商品名「MKCシリケートMS−51」三菱化学(株)製)0.56部、及びメチルエチルケトン11.5部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0103】
比較例9
(A−1)成分10.0部、(B−1)成分8.6部(NCO/OH=2.0)、(c2)成分に代えてオルガノシリカゾル(商品名「MEK−ST」日産化学工業(株)製)1.86部、及びメチルエチルケトン10.2部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0104】
比較例10
(A−1)成分10.0部、コロネート2030 7.5部(NCO/OH=2.0)、KBM−403 0.68部、及びメチルエチルケトン10.6部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0105】
<試験用パネルの作製>
離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムに、市販のハードコート剤(商品名「アロニックスM305」、ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレートの混合物、東亜合成(株)製)を、バーコーターにて、乾燥・硬化後の膜厚が5μmとなるように塗工し、照度100mj/cm2にて硬化処理を実施した。次いで、ハードコート層上に、実施例1に係るアンダーコート剤を、バーコーターにて、乾燥膜厚が1μmとなるように塗工した。
【0106】
次いで、得られた塗工フィルムを、順風乾燥機にて硬化処理した(150℃、60秒間)。次いで当該塗工フィルムを市販の蒸着装置(製品名「NS−1875−Z」、西山製作所(株)製)を使用し、蒸着層の厚みが50nmであるアルミニウム蒸着フィルムを得た。
【0107】
次いで、アルミ蒸着層上に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系接着剤(商品名「カネビラックL−CM」 (株)カネカ製)を、バーコーターにて、乾燥膜厚が1μmとなるように塗工した。次いで、得られた塗工フィルムを、順風乾燥機にて乾燥処理した(80℃、10秒間)。これを市販のアクリル板に熱転写し、実施例1の試験用パネルとして用いた。他の実施例及び比較例のアンダーコート剤についても同様にして試験用パネルを作製した。
【0108】
(初期密着性)
各試験用パネルについてハードコート面にカッターナイフで100マスの碁盤目を入れ、粘着テープ(製品名「セロテープ(登録商標)」、ニチバン(株)製)を貼り付け、垂直方向に勢い良く引き剥がしたが、アルミニウム面は剥がれなかった。(各表において5と示した。)
【0109】
(耐湿熱密着性)
各試験用パネルを65℃、95%×24時間の恒温恒湿条件下に置いた後の密着性について、上記初期密着性と同様の方法に従い、以下の基準で評価した。
【0110】
5…剥離が認められない
4…アルミニウム面に5%未満の剥離が認められる。
3…アルミニウム面に5%以上〜20%未満の剥離が認められる。
2…アルミニウム面に20%以上〜50%未満の剥離が認められる。
1…アルミニウム面に50%以上〜100%の剥離が認められる。
【0111】
(耐白化性)
各試験用パネルを65℃、95%×24時間の恒温恒湿条件下に置いた後の白化状態を以下の規準で目視評価した。
5…アルミニウム面に白化が生じておらず、金属光沢を維持している。
4…アルミニウム面に部分的に白化が僅かに生じているが、ほぼ金属光沢を維持している。
3…アルミニウム面の全体に白化が僅かに生じており、若干の金属光沢の消失が見られる。
2…アルミニウム面の全体に白化が強く生じており、金属光沢の消失が見られる。
1…アルミニウム面の全体に白化がより強く生じており、金属光沢が完全に消失している。
【0112】
(耐抜け性)
各試験用パネルを65℃、95%×24時間の恒温恒湿条件下に置いた後のアルミニウム層の抜けの状態を以下の規準で目視評価した。
【0113】
5…アルミニウム面に抜けが生じていない。
4…アルミニウム面に部分的に抜けが僅かに生じている。
3…アルミニウム面の全体に抜けが僅かに生じている。
2…アルミニウム面の全体に抜けが多数生じている。
1…アルミニウム面の全体に大きな抜けが多数生じている。
【0114】
【表2】
図1
図2