(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、分散型電源の負荷追従運転によって商用系統への負担を軽減する「マイクログリッド」への取り組みが活発化している。マイクログリッドの思想を取り込んだ分散型電源によるエネルギー供給システム(以下、単にマイクログリッドという)には、通常時は系統連系により商用系統からの買電量が一定となるように発電量を制御する連系運転を行い、停電等の非常時はマイクログリッド系統内に高品質な(電圧・周波数の変動が小さい)電力を供給する自立運転を行う負荷追従運転が求められている。
【0003】
建物における電力供給の利便性を考慮すると、停電等の非常時において連系運転から自立運転への移行を、高品質な電力供給を保った状態で無瞬断で移行するシステムを構築することが望ましい。
これにより、例えばコンピュータのような電力品質(電圧・周波数の変動)に比較的敏感な機器を含め、マイクログリッド系統内では、外部の停電の影響を内部の電力供給に全く受けることなく建物の継続運用が可能となる。
【0004】
また、近年、CO2削減を目的として、太陽光発電や風力発電に代表される自然エネルギーの活用が各分野において盛んに行われている。例えば、上述したマイクログリッドにおいて太陽光発電を有効に利用する方法として、通常時には商用系統の電源と連系してピークカット運転を行い、商用系統の電源が停電するなどの非常時において、BCP(Business Continuity Plan、事業継続用計画)用の電源として利用することが考えられる。
【0005】
しかし、太陽光や風力などの自然エネルギーを用いた自然エネルギー発電は、天候や環境の変化により、発電する電力容量が大きく変動する。
このため、商用系統の電源と連系して運転する連系運転時に、確実なピークカットを行うためには、変動に応じて蓄電池(バッテリ)の出力を制御する必要がある。
例えば、特許文献1には、1台の蓄電池電源によって電力ピークカットと系統安定化を図り、しかも蓄電池の寿命を延ばす分散電源システムが開示されている。
【0006】
また、太陽光発電が今後商用系統に大量に導入された際、LFC(Load Frequency Contorol)の周波数帯域における需要電力の変動に対する調整力不足が懸念されており、その対応が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図5を参照して従来のマイクログリッドの構成例を説明する。
図5は、商用連系運転時のピークカット運転と停電時の無瞬断電力供給を行なうためのシステム構成の従来例を示す図である。
図5に示す電源システム90においては、商用系統との連系運転時は、第1遮断器191とACSW(交流半導体スイッチ)120が投入状態、第2遮断器192が開放状態となっており、太陽光発電や電力負荷の変動に応じて蓄電池130の出力制御を行うことにより、ピークカット運転を行う。
一方、停電時は第1遮断器191を開放し、第1遮断器191の状態信号によって非常用発電機190の起動を開始し、ACSWは電圧低下を検出して開放する。非常用発電機190の起動後は、第2遮断器192と交流スイッチ120とを投入することによって太陽光発電出力を活用しながら自立運転を行う。
【0009】
ここで、
図5に示す電源システム90では、次に説明する方法でピークカット運転を実行していた。
図6は、
図5に示すシステムにおけるピークカット運転を説明するための図である。
図5に示すシステムでは、
図6(a)に示すように、建物の負荷電力が目標電力以上になった場合、蓄電池130を定格出力で放電することによりピークカット運転を実行する。或いは、
図5に示すシステムでは、
図6(b)に示すように、
図5に示す受電点P1の受電点電力が目標電力以上となった場合、目標電力に対する超過電力を蓄電池130から放電することによりピークカット運転を実行する。なお、これらの
図6(a)、及び
図6(b)で示すピークカット運転では、蓄電池130から放電した電力を、夜間において商用電源200からの電力により蓄電する。
【0010】
しかしながら、従来の電源システムでは、ピークカット運転時の全ての電力を夜間に蓄電池に充電しておく必要性があり、そのため蓄電池の設備容量(kWh容量)が過大となり、蓄電池を導入するコストが高くなってしまうという問題がある。また、従来の電源システムでは、LFCの周波数帯域の変動を補償することができなかったという問題がある。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、主たる目的は、蓄電値の設備容量が過大となることを抑制して、蓄電池を導入するコストを低減することができる分散型電源システムの自立運転システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明の分散型電源の自立運転システムは、商用系統からの電力を軽減する分散型電源の自立運転システムであって、前記商用系統と系統連系して、前記商用系統からの電力の受電点における電力変動の補償を、蓄電池を用いて行う電力変換部と、前記受電点における電力が予め設定された目標電力値以上の場合、前記電力変換部を制御して前記蓄電池から電力を放電させ、前記受電点における電力が前記目標電力値未満の場合、前記電力変換部を制御して前記蓄電池に電力を充電する制御部と、を備え、前記制御部は、前記蓄電池が補償するべき前記受電点における電力変動の周波数帯域が予め設定され、前記受電点における受電点電力、及び前記蓄電池の出力電力の加算結果が入力され、前記蓄電池の前記周波数帯域における制御を行なうための信号を出力するバンドパスフィルタと、前記蓄電池が補償するべき前記受電点における電力変動の周波数帯域を構成する高い側の周波数が予め設定され、前記加算結果から前記目標電力値を減算した減算結果が入力され
るローパスフィルタであり、前記蓄電池の放電時において充電量が予め設定された第1の充電量以下になると放電を停止し、前記蓄電池の充電時において充電量が予め設定された第2の充電量以上になると充電を停止する制御を行なうための
信号を出力するリミッタに対して、前記高い側の周波数以下にある周波数成分が抽出された信号を出力するローパスフィルタと、を有し、前記
リミッタの出力信号と前記バンドパスフィルタの出力信号との加算値に応じて前記電力変換部を制御する蓄電池指令値を出力することを特徴とする。
この構成により、制御部が受電点における電力に応じて蓄電池からの充放電を制御するので、蓄電地への充電は夜間のみではなく、昼間のピークカット運転時においても行なわれる。そのため、蓄電池の設備容量を過大とする必要はなくなり、蓄電池を導入するコストを低減することができる。
【0013】
また
、この構成により、蓄電池の過放電、満充電がなくなり、蓄電池の寿命を延ばすことができ、蓄電池を導入するコストを低減することができる。
【0014】
また
、この構成により、受電点における電力においてLFC帯域の変動を蓄電池により補償するため、電力会社の需給調整のための負担を軽減できる。
【0015】
また、本発明の分散型電源の自立運転システムは、上記分散型電源の自立運転システムにおいて、前記目標電力値が複数の時間帯毎に変更される、ことを特徴とする。
この構成により、例えば、昼間に1回目のピークカット放電の後に蓄電池の充電を行い、さらに2回目のピークカット放電を行なうことも可能となるため、蓄電池の設備容量を過大とする必要はなくなり、蓄電池を導入するコストを低減することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、蓄電値の設備容量が過大となることを抑制して、蓄電池を導入するコストを低減した分散型電源システムの自立運転システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の一実施形態による分散型電源の自立運転システム(以下、自立運転システム10とする)の構成例を示す概略ブロック図である。
図1において、100は無停電電源装置、101は入力部、111は電力検出部、102は出力部、110は制御部、120は交流スイッチ(ACSW)、130は蓄電池、131は電力検出部、135はINV(インバータ)、140は太陽電池、をそれぞれ示す。また、145はPCS(パワーコンディショナ)、150は重要負荷、160は保安負荷、170は防災負荷、180は一般負荷、181は電力検出部、190は非常用発電機、191は第1遮断器、192は第2遮断器、をそれぞれ示す。また、200は商用電源、201は受電点遮断器、P1は受電点、400は給電ライン、をそれぞれ示す。なお、
図1において、重要負荷150を含み、停電直後と非常用発電機190が燃料枯渇により発電不能となった後との第1の自立範囲(A)、停電時に非常用発電機190の運転中に自立する範囲である第2の自立範囲(B)が定義される。第1の自立範囲(A)は、自立運転システム10のうち、商用電源200側からみて入力部101を含み、当該入力部101よりも後段側に接続される各構成を含んでいる。また、第2の自立範囲(B)は、第1遮断器191を含み、当該第1遮断器191よりも後段側に接続される各構成を含んでいる。
【0019】
自立運転システム10は、無停電電源装置100、PCS145、太陽電池140、重要負荷150、保安負荷160、防災負荷170、一般負荷180、電力検出部181、非常用発電機190、第1遮断器191、及び第2遮断器192を含んで構成される。
一般負荷180は、商用系統である商用電源200による給電ラインに受電点P1を介して接続され、給電ラインが停電その他の異常状態に陥った時には、受電点遮断器201により給電が遮断される。
保安負荷160、及び防災負荷170は、保安用途の負荷や防災用途の負荷などであり、重要度の高い負荷であって、給電ライン400に接続されている。給電ライン400は、第1遮断器191を介して一般負荷180と同様に、受電点P1に接続される。
【0020】
この給電ライン400には、第2遮断器192を介して非常用発電機190が接続されるとともに、交流スイッチ120を介して重要負荷150が接続される。この重要負荷150は、給電ライン400が停電したときには非常用発電機190から電力が供給される。重要負荷150は、例えばサーバーなど、保安負荷160、及び防災負荷170よりさらに重要度の高い負荷である。この重要負荷150の接続ラインには、給電ラインが停電し、さらに非常用発電機190が停止しても自立運転を可能にするため、インバータ135を介して蓄電池130が接続されるとともに、パワーコンディショナ145を介して太陽電池140が接続される。
【0021】
非常用発電機190は、重油やその他の燃料を動力源とし、商用電源200の給電ラインが異常状態に陥った時(すなわち停電時)に起動される。非常用発電機190は、異常発生中は継続して運転され、商用電源200に代わって保安負荷160・防災負荷170及び重要負荷150に電力供給を継続する。また、商用電源200の給電ラインが長時間にわたり異常状態が継続して、非常用発電機190が長時間運転を継続すると、燃料枯渇(燃料切れ)になり、運転停止に至る。なお、非常用発電機190の燃料切れ後においても、太陽電池140による発電が維持され、蓄電池130が蓄電している状態である限りは、重要負荷150への電力供給が継続される。
【0022】
蓄電池130は、繰り返し充放電が可能なコンデンサや二次電池などであり、インバータ135を介して重要負荷150の接続ラインに接続される。蓄電池130は、商用電源200、太陽電池140、及び非常用発電機190により適宜充電され、一般負荷180、保安負荷160、防災負荷170、及び重要負荷150に対して放電する。
【0023】
インバータ135(電力変換部)は、交流と直流との間を双方向に電力変換する双方向型の電力変換装置である。インバータ135は、商用電源200、太陽電池140、及び非常用発電機190から蓄電池130を充電するときの動作モードでは交流を直流に変換し、重要負荷150に蓄電池130から放電するときの動作モードでは直流を交流に変換する。なお、このインバータ135は、二次電池の充放電を制御するための充放電制御回路を内蔵する。この充放電制御回路は、後述する制御部110からの蓄電池指令値(制御指令値)が入力され、蓄電池指令値に応じて蓄電池130を構成する二次電池の充放電をコントロールする。
【0024】
太陽電池140は、パワーコンディショナ145を介して重要負荷150の接続ラインに接続され、一般負荷180、保安負荷160、防災負荷170、及び重要負荷150に独立して発電出力を供給するものである。パワーコンディショナ145は、重要負荷150の接続ラインの所定の周波数や電圧に適合していない太陽電池140の直流出力を所定の交流電力に変換し、周波数や電圧を給電ラインの電力に適合させる。
【0025】
第1遮断器191は、一般負荷180が接続される商用電源200の給電ラインが給電状態にある通常の負荷運転時に投入され、商用電源200の給電ラインが停電状態になると開放(遮断)される。
第2遮断器192は、第1遮断器191が投入されて商用電源200の給電ラインが給電状態にあるとき開放され、商用電源200の給電ラインが停電状態となって非常用発電機190の電圧が確立すると投入される。この第2遮断器192が投入されると、非常用発電機190の発電出力が保安負荷160、防災負荷170、及び重要負荷150に給電される。また、非常用発電機190が停止すると第2遮断器192は開放される。
【0026】
電力検出部181は、商用電源200の給電ラインが停電しているか否かの検出を行い、第1遮断器191、第2遮断器192の投入/開放、非常用発電機190の起動/停止の制御を行う。電力検出部181は、商用電源200の給電ラインが停電すると、受電点遮断器201の非導通を検出して、第1遮断器191を開放するとともに、非常用発電機190を起動し、非常用発電機190の電圧確立後、第2遮断器192を投入する。電力検出部181は、商用電源200の給電ラインの停電が復旧すると、受電点遮断器201の導通を検出して、第1遮断器191を投入するとともに、第2遮断器192を開放して非常用発電機190を停止する。
さらに、電力検出部181は、受電点P1において、重要負荷150を含む総負荷(ただし、蓄電池130、太陽電池140、非常用発電機190からの電力供給分は除く)による消費電力を検出する総負荷消費電力検出手段として機能する。電力検出部181は、検出した検出値(受電点電力とする)を制御部110に送信する。
【0027】
第1の自立範囲(A)内には、交流スイッチ120、インバータ135、蓄電池130、及び重要負荷150が含まれる。商用電源200が健全な状態(復帰状態も含む)であり、第1の自立範囲(A)に電力供給が必要であるとき、交流スイッチ120において順方向に潮流が流れる。これにより、蓄電池130、重要負荷150は、交流スイッチ120を介して、商用電源200からの交流電力が供給される。
一方、商用電源200が停電状態になると、交流スイッチ120が遮断状態になり、商用電源200からの交流電力の供給が停止される。また、商用電源200に異常が発生すると、停電状態と同様に交流スイッチ120が遮断状態になり、商用電源200からの交流電力の供給が停止される。この場合、蓄電池130からの電力が出力部102を介して重要負荷150に対して供給される。その後、非常用発電機190が発電を開始すると、非常用発電機190からの電力が第2遮断器192、交流スイッチ120を介して重要負荷150に対して一旦供給される。また、第2の自立範囲(B)における保安負荷160、及び防災負荷170には、非常用発電機190からの電力が供給される。その後、非常用発電機190が発電を停止すると、交流スイッチ120が遮断され、再び蓄電池130からの電力が出力部102を介して重要負荷150に対して供給される。
【0028】
また、第1の自立範囲(A)内において、蓄電池130が放電し、或いは太陽電池140が出力して余剰電力が発生している場合、交流スイッチ120において逆方向に潮流が流れる。これにより、商用電源200からの交流電力の供給が停止されている場合であっても、蓄電池130、太陽電池140から第2の自立範囲(B)における保安負荷160、防災負荷170に対する給電を行うことができる。また、商用電源200からの交流電力の供給が停止されていない場合、蓄電池130、太陽電池140から保安負荷160、防災負荷170、一般負荷180に対する給電を行うことができる。
【0029】
無停電電源装置100は、入力部101と出力部102との間に設けられた交流スイッチ120、蓄電池130、交流スイッチ120と蓄電池130との間に設けられたインバータ135、制御部110、電力検出部111、及び電力検出部131を含んで構成される。この制御部110は、より上位のコントローラなどによる制御を受けるように構成することもできるが、本実施形態では制御部110が無停電電源装置100の制御を行うものとする。
インバータ135と交流スイッチ120との間には、電力検出部131が設けられる。電力検出部131は、蓄電池130における充放電電力を検出し、検出した検出値(蓄電池出力とする)を制御部110に送信する。
また、パワーコンディショナ145と交流スイッチ120との間には電力検出部111が設けられる。電力検出部111は、太陽電池140と重要負荷150との合算の電力量を検出し、検出した検出値を制御部110に送信する。
【0030】
制御部110は本発明に係る自立運転システム10の各制御を行うためのメインコントローラである。制御部110は、例えばCPU(中央処理演算装置)やRAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリーメモリ)等を備える汎用の情報処理装置により構成される。制御部110は、CPUが予めROMに記憶させたプログラムをRAM上で実行することにより、入力された所定情報(検出値)に基づいて所定ブロックへの命令(制御指令値等)を出力する動作を行う。
制御部110は、交流スイッチ120、パワーコンディショナ145、インバータ135の充放電制御回路に対して、制御信号、制御指令値を出力し、それぞれを制御する。
【0031】
上述のように構成される自立運転システム10における制御について説明する。
図2は、
図1に示すシステムにおける制御ブロック図である。制御部110は、制御ブロック図に基づく処理を実行する。
制御部110は、加算器21、減算器22、BPF(バンドパスフィルタ)23、LPF(ローパスフィルタ)24、リミッタ(制限器)25、加算器26、及びリミッタ27を含んで構成される。
【0032】
加算器21は、電力検出部131の検出値である蓄電池出力(蓄電池の出力電力)と、電力検出部181の検出値である受電点電力とを加算して、加算結果をBPF23、及び減算器22に対して出力する。
減算器22は、加算器21の加算結果から買電目標値(目標電力値)を減算して、減算結果をLPF24に対して出力する。
BPF23は、高域遮断周波数FHと低域遮断周波数FLとが予め設定され、これらの周波数の範囲にある周波数成分を抽出し、抽出後の信号を加算器26に対して出力する。高域遮断周波数FHと低域遮断周波数FLとの間の周波数帯域が、受電点P1におけるLFC帯域の周波数である。BPF23による抽出後の信号に応じて生成される蓄電池指令値が、蓄電池130の充放電制御回路に入力される。充放電制御回路は、この蓄電池指令値に応じて蓄電池130を構成する二次電池の充放電をコントロールし、受電点P1におけるLFC帯域の周波数の変動を補償する。なお、高域遮断周波数FHは、例えば10mHzであり、低域遮断周波数FLは、例えば1mHzである。
【0033】
LPF24は、高域遮断周波数FHが予め設定され、高域遮断周波数FH以下にある周波数成分を抽出し、抽出後の信号をリミッタ(制限器)25に対して出力する。
リミッタ(制限器)25は、上限値と下限値が設定され、入力信号であるLPF24による抽出後の信号に対して上限値と下限値との間で制限をかけて出力信号を生成し、生成した出力信号を加算器26に対して出力する。ここで、リミッタ25の上限値、及び下限値は、蓄電池130の充電量(State Of Charge;以下SOCとする)が以下の値となるように設定される。
すなわち、リミッタ25の上限値は、満充電状態(SOC100%)に対して、充電時における蓄電池130のSOCが70〜100%の間の予め設定される値(第2の充電量)となるように設定される。この上限値に応じて生成される蓄電池指令値が、インバータ135の充放電制御回路に入力される。インバータ135の充放電制御回路は、この蓄電池指令値に応じて蓄電池130を構成する二次電池の充電をコントロールし、蓄電池130のSOCが第2の充電量以上となり、蓄電池130が過充電状態となることを防止する。
【0034】
また、リミッタ25の下限値は、蓄電池130の仕様により放電時におけるSOCがX%〜(X+Y%)の間の予め設定される値(第1の充電量)となるように設定される。この下限値に応じて生成される蓄電池指令値が、インバータ135の充放電制御回路に入力される。インバータ135の充放電制御回路は、この蓄電池指令値に応じて蓄電池130を構成する二次電池の放電をコントロールし、蓄電池130のSOCが第1の充電量以下となり、蓄電池130が過放電状態となることを防止する。このように、リミッタ25に上限値、及び下限値を設定することにより、蓄電池130が過充電状態、若しくは過放電状態になることを防止し、蓄電池130の寿命を延ばすことができ、蓄電池を導入するコストを低減することができる。
【0035】
加算器26は、BPF23による抽出後の信号と、リミッタ25による制限後の信号とを加算して、加算結果をリミッタ27に対して出力する。
リミッタ27は、上限値と下限値が設定され、加算器26による加算結果に対して上限値と下限値との間で制限をかけて蓄電池指令値を生成し、生成した蓄電池指令値をインバータ135の充放電制御回路に対して出力する。ここで、リミッタ27の上限値、及び下限値は、次のように設定される。
すなわち、上限値は、(交流スイッチ120の上限値)−(太陽電池140出力)+(重要負荷150消費電力)、下限値は、(交流スイッチ120の下限値)−(太陽電池140出力)+(重要負荷150消費電力)と設定される。ここで、(交流スイッチ120の上限値)、及び(交流スイッチ120の下限値)は交流スイッチの規格に応じて予め設定される。また、(太陽電池140出力)、及び(重要負荷150消費電力)は電力検出部111により得られる検出値(合算の電力量)が用いられる。
【0036】
制御部110は、上述したロジック構成を有し、蓄電池130の充放電を制御することにより、自立運転システム10における受電点電力P1の電力を一定とする潮流一定制御を行う。この潮流一定制御により、自立運転システム10においては、受電点電力が買電目標値以上(予め設定された目標電力値以上)となる場合、蓄電池130からの放電によりピークカット運転を可能とする。また、潮流一定制御により、自立運転システム10においては、受電点電力が買電目標値未満(予め設定された目標電力値未満)となる場合、蓄電池130を充電しておく。これにより、以降の時間帯における蓄電池130からの放電を可能にし、当該時間帯での蓄電池130からの放電によるピークカット運転を可能とする。
【0037】
図3は、ピークカット運転の一例(目標電力一定)を説明するための図である。
図3において、縦軸は負荷電力、受電点電力などの電力量を表し、横軸は時刻tを表す。負荷電力は、一般負荷180、防災負荷170、保安負荷160、重要負荷150において消費される電力の総電力量を示し、受電点電力は、受電点P1で電力検出部181により検出される電力量を示す。また、
図3において、目標電力は買売目標値を示す。
時刻t1以前においては、受電点電力は目標電力未満であるが、このとき蓄電池130は満充電の状態にあるので、蓄電池130への充電は行われない。また、受電点電力と負荷電力とが等しい状態で推移する。
時刻t2において、負荷電力が目標電力以上となり受電点電力も目標電力以上となる傾向があるが、制御部110がインバータ135の充放電制御回路に対して蓄電池指令値を送信し、蓄電池130を構成する二次電池からの放電をコントロールする。これにより、時刻t1〜時刻t2において、受電点電力は潮流一定制御により一定に維持され、その結果、ピークカット運転が実行される。なお、この潮流一定制御と併せて、受電点電力のLFC帯域の電力変動についても蓄電池からの放電制御により補償される。
【0038】
時刻t2において、負荷電力が目標電力未満となり受電点電力も目標電力未満となる傾向があるが、制御部110がインバータ135の充放電制御回路に対して蓄電池指令値を送信し、蓄電池130を構成する二次電池への充電をコントロールする。これにより、時刻t2〜時刻t3において、受電点電力は潮流一定制御により一定に維持され、負荷電力の不要分、すなわち受電点電力と負荷電力との差分の電力が、蓄電池130への充電電力となる。なお、この潮流一定制御と併せて、受電点電力のLFC帯域の電力変動についても蓄電池130への受電制御により補償される。
【0039】
時刻t3から時刻t4にかけて蓄電池130の充電が進むにつれて、蓄電池130への充電電力は蓄電池130が満充電状態に近づいていくため徐々に不要となり、受電点電力と負荷電力との差分が徐々に狭まっていく。
時刻t4において、蓄電池130が満充電状態になると、制御部110がインバータ135の充放電制御回路に対して蓄電池指令値を送信し、蓄電池130への充電を停止する。この時刻t4から時刻t5にかけては、受電点電力と負荷電力とが等しい状態で推移する。
【0040】
時刻t5になって、再び負荷電力が目標電力以上となる。時刻t5〜時刻t6における動作、及び時刻t6以降の動作は、上述した時刻t1〜時刻t2における動作、及び時刻t2〜時刻t5における動作がそれぞれ繰り返される。
つまり、時刻t2〜時刻t4において蓄電池130に充電された電力を、時刻t5〜時刻t6におけるピークカット運転に用いることが出来る。
【0041】
図4は、ピークカット運転の他の例(目標電力変更)を説明するための図である。
図4は、実建物の一日、すなわち24時間におけるピークカット運転の一例を示している。
図4において、縦軸は負荷電力、受電点電力などの有効電力量を表し、横軸は一日における時刻tを表す。負荷電力は、一般負荷180、防災負荷170、保安負荷160、重要負荷150において消費される電力の総電力量を示し、受電点電力は、受電点P1で電力検出部181により検出される電力量を示す。また、買電目標値(目標電力値)が、8:00〜11:00では375kW、11:00〜17:00では410kW、17:00〜21:00では200kWと、目標電力値が複数の時間帯毎に変更される場合を示す。また、
図4において、蓄電池出力は蓄電池130の充放電電力を示し、蓄電池SOCは蓄電池130のSOCを示す。
【0042】
8:00以前においては、前日に蓄電池130への充電は完了しており、蓄電池130のSOCは90%であり、蓄電池130は満充電の状態にある。そのため、受電点電力は目標電力以上であるが、蓄電池130への充電は行われず、負荷電力と受電点電力は等しい状態にある。
8:00において買電目標値が375kWとなり、8:00過ぎの時刻t1において、負荷電力が目標電力以上となり受電点電力も目標電力以上となる傾向がある。しかし、制御部110がインバータ135の充放電制御回路に対して蓄電池指令値を送信し、蓄電池130を構成する二次電池からの放電をコントロールする。これにより、時刻t1〜時刻11:00において、受電点電力は潮流一定制御により一定に維持され、また、蓄電池130からの放電電力により負荷電力と受電点電力との差分を補償するピークカット運転が実行される。なお、この潮流一定制御と併せて、受電点電力のLFC帯域の電力変動についても蓄電池からの放電制御により補償される。
【0043】
時刻11:00において、負荷電力が目標電力未満となり、受電点電力も目標電力未満となるが、負荷電力>受電点電力の関係にあるので、蓄電池130のSOCの値が下限値(30%)になるまで蓄電池130からの放電が続く。
時刻t2(12:00)になると、負荷電力<受電点電力の関係になり、受電点電力と負荷電力との差分の電力が、蓄電池130への充電電力となる。なお、この潮流一定制御と併せて、受電点電力のLFC帯域の電力変動についても蓄電池への受電制御により補償される。
時刻t3において、蓄電池130のSOCの値が上限値(90%)になると蓄電池130への充電が終了する。
【0044】
この後、負荷電力と受電点電力とが等しい状態が17:00まで続く。17:00において買電目標値が210kWとなり、負荷電力が目標電力以上となり受電点電力も目標電力以上となる傾向がある。しかし、制御部110がインバータ135の充放電制御回路に対して蓄電池指令値を送信し、蓄電池130を構成する二次電池からの放電をコントロールする。これにより、時刻t4(18:00)まで、蓄電池130からの放電電力により負荷電力と受電点電力との差分を補償するピークカット運転が実行される。なお、この潮流一定制御と併せて、受電点電力のLFC帯域の電力変動についても蓄電池からの放電制御により補償される。
この後、蓄電池130の放電分を充電する動作が、22:00〜23:00の間に行われ、蓄電池130のSOCが満充電状態である90%まで回復する。
【0045】
このように、本発明の自立運転システム10によれば、夜間充電だけではなく、昼間のピークカット時、つまり上述した例では時刻t2〜時刻t3において、追加で蓄電池130を充電するため、建物に接地する蓄電池130の設備容量を削減できる。これにより、蓄電池導入のためのコストを削減することができる。
また、本発明の自立運転システム10によれば、受電点P1のLFC帯域の周波数変動を蓄電池130の充放電により補償するため、電力会社の需給バランス調整のための負担を軽減できる。
【0046】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。