特許第6011853号(P6011853)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011853
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】ファンフィルタユニット
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/42 20060101AFI20161006BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20161006BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   B01D46/42 Z
   F24F7/06 C
   F04D29/66 Q
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-240983(P2012-240983)
(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公開番号】特開2014-91056(P2014-91056A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 弥
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 良延
【審査官】 関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−117400(JP,A)
【文献】 特開2014−092032(JP,A)
【文献】 特開平09−094419(JP,A)
【文献】 特開平09−094420(JP,A)
【文献】 特開平06−159752(JP,A)
【文献】 ポリエステル繊維不織布を用いた吸音クサビの試作とその音響性能 Acoustic Characters of Absorption Wedge made by Polyester Nonwoven Fabric as Trial Case,日本音響学会研究発表会議講演論文集 秋II
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 46/42
F04D 29/66
F24F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風ファンと、フィルタと、吸音材と、モータと、これらを収容するケーシングとを備え、前記ケーシング内に吸い込んだ空気を前記フィルタで清浄処理して前記ケーシング外に吹き出すファンフィルタユニットであって、
前記送風ファンの羽根車を翼型羽根で構成するとともに、
前記吸音材をポリエチレンテレフタレートで構成し、前記ケーシング内の風路における前記送風ファンからの風が当たる位置と、前記羽根車に近接して前記ケーシング内に配設された風向板の背後であって前記風路を塞がずに吸音できる位置とに設けたことを特徴とするファンフィルタユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内に清浄空気を供給するファンフィルタユニット(Fan Filter Unit。以下、FFUということがある。)に関し、特にクリーンルームに設けられるFFUに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造施設のようなクリーンルームにおいては、室内の空気を清浄するためにファンフィルタユニット(FFU)を使用することがある(例えば、特許文献1および2を参照)。一般にFFUは、送風ファンと、この送風ファンを回転するモータと、ガス吸着および除塵フィルタとを、直方体状のケーシング内に収容した構造となっており、クリーンルームなどに設置される。
【0003】
図5は、特許文献1のクリーンルームの横側面図を示したものである。図5に示すように、このクリーンルームは、上下2階で構成されており、室内1の上部にファンコイルユニット(Fan Coil Unit。以下、FCUということがある。)2と、FFU3とが配置されている。FCU2は熱交換装置であり、室内1の空気を吸込んで冷暖房負荷を熱処理(熱除去)した空気を室内1に吹き出す。FFU3は、室内1の空気を吸い込んで清浄処理した空気を室内1に吹き出す。FFU3の吹き出し口には、図示しないHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタが設けてある。
【0004】
FFU3は、FCU2が吹き出した空気を吸い込むように配置される。FFU3が吹き出した空気は、室内1の下部の床面4に到達した後、室内1の上部に向けて流れる。FCU2は、FFU3が吹き出して室内1の上部に流れた空気を吸い込んで、処理した空気をFFU3に向けて吹き出す。このように、特許文献1のクリーンルームでは、FCU2で処理された空気をFFU3で処理し、2つの処理が行われた空気が室内1に吹き出されて室内1を循環する。室内1に2つの処理が行われた空気を適宜循環させるため、FCU2とFFU3は、図6に示すように配置される。ここで、図6(a)は縦側面図であり、図6(b)は平面図である。
【0005】
図6(a)の縦側面図に示すように、FCU2はFFU3よりも上方に配置される。FCU2は空気を下方から吸い込み、処理後の空気を側方または上方から吹き出す。FFU3は、FCU2が処理した空気を上方から吸い込み、処理後の空気を下方に吹き出す。また、図6(b)の平面図に示すように、1つのFCU2に対応して4つのFFU3が配置され、FCU2は、室内1に対して斜め4方に処理後の空気を吹き出す。
【0006】
図7は、特許文献2の空気清浄装置(FFUに相当)を示したものである。図7(a)の側断面図、図7(b)の平断面図に示すように、この空気清浄装置は、羽根車5とこの羽根車5を回転させるモータ6を有するターボファンと、ターボファンの吸込口に空気を供給するベルマウス7と、このターボファンから吹き出された空気を清浄化するフィルタ8と、ターボファンから吹き出された空気を加圧してフィルタ8に導くハウジング9とを備える。
【0007】
ターボファンはハウジング1内に格納され、ハウジング1はモータ6を固定するとともに羽根車5から吹き出された空気をフィルタ8に供給するよう吹き出す開口部を有するモータベース9aと、羽根車5に近接して配設された風向板9bとをその内部に備え、羽根車5は翼型形状羽根5aを有するとともに流路抵抗を小さくするため羽根枚数が4枚以下に設定されている。
【0008】
図8は、このターボファンの羽根車の構成を示す斜視図である。図8に示すように、羽根車5は、翼型羽根5aと、この翼型羽根5aを保持する芯板5bおよび側板5cとを有している。翼型羽根5aは芯板5bおよび側板5cの間に実質的に密着するよう、かしめ固定される。芯板5bおよび側板5cは翼型羽根5aの先端の外接円の径より大きい外径を有するよう形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4275969号公報
【特許文献2】特許第3774552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、従来のファンフィルタユニットには、下記(1)、(2)のような問題があった。
【0011】
(1)羽根形状が平板の小型ファンを高速で回転させる場合には、ファン単体が発生する音が大きい。
【0012】
(2)騒音対策として一般に使用されるグラスウール吸音材は、発塵量、アウトガス量が多く、ファンフィルタユニットなどのクリーンルーム用機器に使用することは難しい。
【0013】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、アウトガス量および発生音を抑制することができるファンフィルタユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るファンフィルタユニットは、送風ファンと、フィルタと、吸音材と、モータと、これらを収容するケーシングとを備え、前記ケーシング内に吸い込んだ空気を前記フィルタで清浄処理して前記ケーシング外に吹き出すファンフィルタユニットであって、前記送風ファンの羽根車を翼型羽根で構成するとともに、前記吸音材をポリエチレンテレフタレートで構成し、前記ケーシング内の風路における前記送風ファンからの風が当たる位置と、前記羽根車に近接して前記ケーシング内に配設された風向板の背後であって前記風路を塞がずに吸音できる位置とに設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、送風ファンと、フィルタと、吸音材と、モータと、これらを収容するケーシングとを備え、前記ケーシング内に吸い込んだ空気を前記フィルタで清浄処理して前記ケーシング外に吹き出すファンフィルタユニットであって、前記送風ファンの羽根車を翼型羽根で構成するとともに、前記吸音材を低発塵性で低アウトガス性の材料で構成し、前記ケーシング内の風路における前記送風ファンからの風が当たる位置に設けている。このため、翼型羽根で構成した羽根車が気流の乱れを小さくし、送風ファンの発生音を抑制することができる。ここで、発生音をより抑制するために、翼型羽根のブレード幅を大きくし、低速で回転させることが好ましい。また、低発塵性で低アウトガス性の吸音材によって、ケーシング内の風路を塞ぐことなく、効率よく送風ファンの発生音を吸収することができる。したがって、発塵量、アウトガス量および発生音を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明に係るファンフィルタユニットの実施例を示す側断面図である。
図2図2は、本発明に係るファンフィルタユニットの実施例を示す平断面図である。
図3図3は、本発明のファンフィルタユニットによるアウトガス発生量の測定結果の一例を示す図である。
図4図4は、本発明と従来のファンフィルタユニットによる騒音値を比較した一例を示す図である。
図5図5は、従来のクリーンルームの一例を示す横側面図である。
図6図6は、従来のクリーンルームの一例を示す図であり、(a)は縦側面図、(b)は平面図である。
図7図7は、従来のファンフィルタユニットの一例を示す図であり、(a)は側断面図、(b)は平断面図である。
図8図8は、図7のターボファンの羽根車の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係るファンフィルタユニットの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、下記の説明では、本発明に係るファンフィルタユニットをクリーンルームの上部空間に設けて使用する場合を例にとり説明するが、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0019】
図1および図2に示すように、本発明に係るファンフィルタユニット10は、羽根車12とこの羽根車12を回転させるモータ14を有する送風ファン16と、送風ファン16の吸込口18に空気を供給するベルマウス20と、この送風ファン16から吹き出された空気を清浄化するHEPAフィルタ22と、送風ファン16から吹き出された空気をフィルタ22に導くケーシング24とを備える。
【0020】
ケーシング24は、モータ14を固定するモータベース26と、羽根車12に近接して配設された風向板28とをその内部に備える。また、ケーシング24はフィルタ22を通過した空気を外部に吹き出すための吹出口30を有している。
【0021】
羽根車12は、翼型羽根12aと、この翼型羽根12aを保持する芯板32および側板34とを有している。翼型羽根12aは、芯板32および側板34の間に密着するよう、かしめ等の手段により固定されている。なお、図の例では翼型羽根12aの枚数が7枚の場合を示しているが、これに限るものではない。また、芯板32および側板34は、翼型羽根12aの先端の外接円の径より大きい外径を有するよう形成される。
【0022】
本発明のファンフィルタユニット10は、低発塵性で低アウトガス性の吸音材36をさらに有している。吸音材36は、ケーシング24内の風路を塞がずに、効率よく送風ファン16の発生音を吸収可能な位置に設けることが望ましい。ここで、風方向と音が伝わる方向が同じであると考えた場合には、風路内の風下側へ吸音材36を設置すれば、発生音を効率よく吸収することができる。本実施の形態では、吸音材36は、風路38における送風ファン12からの風が当たる位置40と、風路38を塞がずに吸音できる位置(風向板28の背後)とに設けている。吸音材36を構成する材料としては、アウトガス発生量および発塵量がグラスウールよりも少ないポリエチレンテレフタレート(PET)からなる不織布を用いることができる。
【0023】
次に、本発明に係るファンフィルタユニットにより得られる効果について、図3および図4を参照しながら説明する。
【0024】
図3は、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる吸音材の供試体(寸法60mm×60mm×50mm)のアウトガス発生量の測定結果を例示したものである。図3に示されるように、測定開始時および一週間後に測定された有機ガスのアウトガス発生量は検出下限値以下(0.07μgC/L/h以下)、シリコン吸着物質のアウトガス発生量は検出下限値以下(0.01μgC/L/h以下)であった。また、アンモニアも0.01μg/L/hと非常に少ない量であった。したがって、本発明のファンフィルタユニットに、こうした吸音材を用いれば、発塵量、アウトガス量を効果的に抑制することができる。
【0025】
図4は、図5に示すようなクリーンルームにおけるファンフィルタユニットの騒音値について、本発明と従来品とで比較した一例を示したものである。ここで、従来品のファンフィルタユニットは、平板形状の羽根からなる小型のファンを高速で回転するタイプである。また、各騒音値は、図5のFCU2の吸込口下1mの位置での観測値である。図4に示すように、本発明による騒音値は、従来品の騒音値に比べてA特性オーバーオール値で約10dB低減することが判る。
【0026】
したがって、本発明によれば、翼型羽根で構成した羽根車が気流の乱れを小さくし、送風ファンの発生音を抑制することができる。ここで、発生音をより抑制するために、翼型羽根のブレード幅を大きくし、低速で回転させることが好ましい。また、低発塵性で低アウトガス性の吸音材によって、ケーシング内の風路を塞ぐことなく、効率よく送風ファンの発生音を吸収することができる。このため、発塵量、アウトガス量および発生音を抑制することができる。
【0027】
ところで、上記の実施の形態において、ファンフィルタユニット10の吹出口30には、特許文献1に示されるように、パンチングメタルまたはメッシュなどからなる拡散部材を設けてもよい。拡散部材の周囲は、全体の開孔率より小さい開孔率のパンチングメタルを使用し、これによりフィルタ周辺の開口より斜め方向の気流を作りフィルタ下部に広い分布の清浄域を作る。拡散部材は、支持体を介してファンフィルタユニット10の吹出口30に取り付け可能である。
【0028】
このように、ファンフィルタユニット10の吹出口30に拡散部材を設けることにより、ファンフィルタユニット10の室内における設置高さに応じて吹き出す空気の風速を抑えたり、フィルタ下の気流分布を調整することが可能である。また、吹出口に設けてあるフィルタの表面を保護することが可能である。
【0029】
以上説明したように、本発明によれば、送風ファンと、フィルタと、吸音材と、モータと、これらを収容するケーシングとを備え、前記ケーシング内に吸い込んだ空気を前記フィルタで清浄処理して前記ケーシング外に吹き出すファンフィルタユニットであって、前記送風ファンの羽根車を翼型羽根で構成するとともに、前記吸音材を低発塵性で低アウトガス性の材料で構成し、前記ケーシング内の風路における前記送風ファンからの風が当たる位置に設けている。このため、翼型羽根で構成した羽根車が気流の乱れを小さくし、送風ファンの発生音を抑制することができる。ここで、発生音をより抑制するために、翼型羽根のブレード幅を大きくし、低速で回転させることが好ましい。また、低発塵性で低アウトガス性の吸音材によって、ケーシング内の風路を塞ぐことなく、効率よく送風ファンの発生音を吸収することができる。したがって、発塵量、アウトガス量および発生音を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上のように、本発明に係るファンフィルタユニットは、半導体製造施設などのクリーンルームに設けられるファンフィルタユニットに有用であり、特に、ファンフィルタユニット内部からの発塵量、アウトガス量および発生音を抑制するのに適している。
【符号の説明】
【0031】
10 ファンフィルタユニット
12 羽根車
12a 翼型羽根
14 モータ
16 送風ファン
18 吸込口
20 ベルマウス
22 フィルタ
24 ケーシング
26 モータベース
28 風向板
30 吹出口
32 芯板
34 側板
36 吸音材
38 風路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8