【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の携帯可能な情報端末装置の制御方法は、後払い方式又は先払い方式によっての決済機能を管理し且つ各々が異なる決済サービスシステムに属している複数の管理サーバのいずれかと通信回線を通じて接続され、店舗などの決済先に設置された決済端末装置の読取書込装置との間で、決済のための識別データと決済金額を示す決済データを送受信する携帯可能な情報端末装置の制御方法であって、
前記情報端末装置は、
前記読取書込装置との間でデータを無線通信によって送受信するための送受信部と、
日時データを出力可能な時計部と、
前記決済サービスシステムごとに前記管理サーバで決済を実行するための識別データを書き換え不可状態で記憶する一方、
前記決済端末装置で決済される単位取引の決済データを、前記送受信部と前記読取書込装置との間での無線通信により受信し、受信した時点の日時データに対応付けて、書き込み記憶可能
であり、
決済の結果に対応させてユーザが設定できる報知態様を記憶する記憶部と、
前記送受信部と前記読取書込装置との間での無線通信により受信して前記記憶部に書き込み記憶した前記決済データに関連する情報を表示する表示部と、
制御部と、を備えており、
前記制御部は、決済する決済サービスシステムの選択に基づいて、前記読取書込装置との間でのデータの無線通信に使用する識別データを設定し、
前記送受信部と前記読取書込装置との間での無線通信により受信して、前記決済端末装置で決済される単位取引の決済データを、前記記憶部に記憶し、
前記決済端末装置からの決済データを受信したときに、決済の結果に応じて選択された報知態様で決済に関する報知をし、
前記複数単位取引についての前記決済データに基づく情報を該表示順序に基づいて日時とともに並べて前記表示部に表示する制御処理を実行することを特徴としている。
なお、本発明の実施の形態に記載には、以下の発明が内在している。
第1の携帯可能な情報端末装置は、後払い方式によっての決済機能を管理する管理サーバと通信回線を通じて接続され、店舗などの決済先に設置された決済端末装置の読取書込装置との間で、決済のための識別データと決済金額を示す決済データを送受信する携帯可能な情報端末装置であって、
前記携帯可能な情報端末装置には、前記読取書込装置との間でデータを無線通信によって送受信するための送受信部と、
前記送受信部から前記管理サーバで決済を実行するための識別データを書き換え不可状態で記憶するとともに、前記決済端末で決済される単位取引の決済データを受信して書き込み記憶する記憶部と、
前記決済データに関連する情報を表示する表示部と、
前記記憶部に記憶した決済データを前記表示部に表示する制御部とからなることを特徴とする。
さらに、前記決済サービスシステムは、決済をするための第1のシステムと前記第1のシステムとは異なる第2のシステムとを含み、
前記制御部は、単位取引の決済データによる決済が前記第1のシステムではできない場合には、前記第2のシステムに切り替える。
【0011】
前記決済端末装置の読取書込装置にディスプレイを備えておいて、そのディスプレイに決済金額を表示する方法も考えられるが、このような表示は一瞬で消えてしまうことが問題である。しかし、情報端末装置、特に、上書きしないと消えない後述する電子ペーパーに記載するようにすれば、十分に時間をかけて確認することができる。また、電子ペーパーの場合には、複数回の決済の履歴を表示できるようにすれば、決済のための情報端末装置を店員にあずけた場合に、誤って複数回決済されてしまっていたり、悪意で勝手な決済が行われたりしても、情報端末装置の表示部にその履歴が表示されるので、誤決済の防止が可能となる。
【0012】
本発明の第2の携帯可能な情報端末装置の特徴は、第1の携帯可能な情報端末装置と異なり所定期間内の累積決済金額が表示部に表示される点にある。更に、その累積演算処理が携帯可能な情報端末装置内で独立して実行される点も特徴となる。
【0013】
具体的には、後払い方式によっての決済機能を管理する管理サーバと通信回線を通じて接続され、店舗などの決済先に設置された決済端末装置の読取書込装置との間で、決済のための識別データと決済金額を示す決済データを送受信する携帯可能な情報端末装置であって、
前記携帯可能な情報端末装置には、前記読取書込装置との間でデータを無線通信によって送受信するための送受信部と、
前記送受信部から前記管理サーバで決済を実行するための識別データを書き換え不可状態で記憶するとともに、前記決済端末で決済される単位取引の決済データを受信して書き込み記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶した単位取引の決済データを累積的に加算するとともに、この加算した累積決済金額を示す累積決済金額データを前記記憶部に記憶する制御部と、
前記記憶部に記憶した累積決済金額データを、前記制御部の制御の下で数値によって表示する表示部とからなることを特徴とする。
【0014】
携帯可能な情報端末装置によれば、情報端末装置のユーザは、累積決済金額について認識することができるので、使いすぎているか否かについて判断したり自覚したりすることができ、後払い方式においても適切にかつ計画的に使用できるように誘引することができる可能性がある。
【0015】
また、携帯可能な情報端末装置によれば、決済端末装置からの決済データを受信すると、情報端末装置自体で累積決済金額データを生成できるので、当該情報端末装置を所有する個人情報が漏洩することを防止できる。
【0016】
さらに、ユーザによって入力可能な入力部と時計部とを備え、この入力部によって累積決済金額の和を演算する所定期間が設定されると、前記記憶部に当該所定期間が記憶され、
前記制御部は、その所定期間経過時に累積決済金額データを自動的にゼロリセットすることを特徴とする。
【0017】
なお、携帯可能な情報端末装置内で、管理サーバなどの外部の管理装置の関与なしに独立して、決済した累積決済金額を累積加算し情報端末装置の表示部に表示する場合、例えば、カード会社の締め日から次の締め日の間で使用した月間の累積決済金額に相当する決済金額と、前記表示部に表示される累積決済金額データとが一致しないことが想定される。一致しない可能性のある理由は、後者のデータは、ユーザによって設定された期間での累積データであるためである。
【0018】
その一例としては、前述したように入力部への入力によってユーザが累積決済金額を加算する所定期間を設定する場合が想定される。この場合を想定して、累積決済金額データが第三者に漏れる可能性があることを予め承認しているユーザに対してカード会社で管理する累積決済金額を受信して前記携帯可能な情報端末装置の表示部に併記して表示することを創出した。
【0019】
具体的には、前記第2の携帯可能な情報端末装置の特徴に加え、前記携帯可能な情報端末装置とデータの送受信可能な前記管理サーバが、情報端末各々の識別データごとに予め設定された期間内で決済された決済金額の和を前記決済端末装置から受信した決済データに基づいて累積決済金額として算出し、この算出した累積決済金額を管理サーバの累積決済金額データとして前記情報端末装置に送信する累積決済金額制御装置を備えるように構成されていることを前提の構成とし、
前記管理サーバの累積金額データを前記携帯可能な情報端末装置の送受信部を介して受信するとともに記憶部に記憶し、前記制御部は前記記憶部に記憶した前記管理サーバの累積金額データを前記表示部に表示することを特徴とする。
【0020】
次に、前述した発明は、携帯可能な情報端末装置から見た観点での発明であるが、前述した管理サーバ側からの視点で発明を捉えれば、以下のような発明を提供することができる。
【0021】
すなわち、後払い方式によって精算する決済を管理する管理サーバであって、
情報端末装置と通信可能な決済端末装置との間の通信による決済に関する決済情報であって、決済端末装置から送信された決済情報を記憶する決済情報記憶装置と、
前記情報端末装置で表示する累積決済金額として、所定期間に決済された決済金額の和を前記決済情報に基づいて算出し、算出した累積決済金額を情報端末装置に送信する累積決済金額制御装置と、からなることである。
【0022】
前述した後払い方式とは、いわゆるポストペイ方式を意味し、決済をした後に、その清算処理を行う方式である。本明細書において、決済とは、ユーザが商品またはサービスの代価として金を支払う意思を示すデータを、決済端末を介して送信する電子決済を意味する。すなわち、後払い方式においては、決済の意思表示をした後に、商品またはサービスの代価として金を支払う場合に、硬貨や紙幣などの実際の現金で支払うのではなく、電子データを送受信することによって決済に対応した清算として支払いを行うことを意味する。
【0023】
また、決済情報は、決済を行ったユーザを識別する情報、決済が行われた日時、その決済で用いられるクレジット番号、決済が行われた加盟店(店舗)、決済の対象となった商品やサービス、決済金額などの決済に関連する情報をいう。
【0024】
上述した構成によれば、所定期間に決済された決済金額の総額(累積決済金額)を情報端末装置に送信する。情報端末装置のユーザは、累積決済金額について認識することができるので、使いすぎているか否かについて判断したり自覚したりすることができ、後払い方式においても適切にかつ計画的に使用することができる。
【0025】
また、管理サーバからの視点による他の特徴は、
管理サーバが、ユーザによって設定された期間を前記所定期間として記憶する決済期間記憶装置を有することである。
【0026】
この構成によれば、所定期間をユーザが設定できるので、ユーザの使用状況や清算のタイミングに応じて適宜定めることができる。
【0027】
さらに、算出した累積決済金額が所定の金額を超えたか否かを判断し、越えた場合には、累積決済金額とともに、超えたことを示す情報を情報端末装置に送信するようにしてもよい。このようにすることで、累積決済金額だけでなく、累積決済金額が所定の金額を超えたことも、情報端末装置を介してユーザに報知及び警告することができ、ユーザに自覚させる可能性を高めることができる。
【0028】
加えて、管理サーバからの視点による他の特徴は、
前記情報端末装置が、
前記累積決済金額制御装置から送信された累積決済金額を記憶する記憶装置と、
前記累積決済金額制御装置から送信された累積決済金額を表示する表示装置と、を有することである。
【0029】
この構成によれば、情報端末装置において累積決済金額を記憶することができるので、通信ができない状態や通信し難い状態のときにも累積決済金額を情報端末装置の表示装置に表示させることができ、通信状態に因ることなくユーザが所望するタイミングで随時、累積決済金額を表示させてユーザに認識させることができる。また、通信をすることなく累積決済金額を表示させることができるので、通信費を安価にすることもできる。
【0030】
さらにまた、管理サーバからの視点による他の特徴は、
前記情報端末装置は、決済毎の決済情報を前記表示装置に表示させることである。
【0031】
この構成によれば、決済金額の総額である累積決済金額のみを表示させるだけでなく、決済毎の決済情報も表示させることができるので、他人に不正に決済されたり誤った決済がされたりしたことがなかったかどうかをユーザが確認しやすくできる。
【0032】
また、管理サーバからの視点による他の特徴は、
前記決済期間記憶装置は、ユーザが所有する複数のクレジットカード毎に、ユーザによって設定された期間をカード対応所定期間として記憶し、
前記累積決済金額制御装置は、前記カード対応所定期間ごとに、前記カード対応所定期間に決済された決済金額の和を累積決済金額として算出し、算出した累積決済金額を情報端末装置に送信することである。
【0033】
この構成によれば、複数のクレジットカードを用いて決済をしている場合であっても、クレジットカード毎に期間を定めて、累積決済金額を算出できるので、情報端末装置において複数のクレジットカードについての決済を一括して管理できる。また、複数のクレジットカードの各々の累積決済金額の総額を算出して、情報端末装置に送信するようにしてもよい。このようにすることで、複数のクレジットカードを使い分けているような場合であっても、累積決済金額の総額を情報端末装置に表示させて、使用の状況をユーザに認識させることができる。
【0034】
さらに、管理サーバからの視点による他の特徴は、
後払い方式によって精算する決済に関する金額が表示される情報端末装置で実行されるプログラムであって、
決済を管理する管理サーバから累積決済金額を受信する処理であって、前記管理サーバにおいて、前記情報端末装置と通信可能な決済端末装置との間の通信による決済に関する決済情報に基づいて、所定期間に決済された決済金額の和から算出され、前記管理サーバから送信された前記累積決済金額を受信する処理と、
受信した累積決済金額を前記情報端末装置の表示装置に表示させる処理と、からなることである。
【0035】
この構成によれば、所定期間に決済された決済金額の総額(累積決済金額)を情報端末装置に送信する。情報端末装置のユーザは、累積決済金額について認識することができるので、使いすぎているか否かについて判断したり自覚したりすることができ、後払い方式においても適切にかつ計画的に使用することができる。
【0036】
さらにまた、管理サーバからの視点による他の特徴は、
前記情報端末装置の入力装置からユーザの操作によって入力された期間を前記所定期間として前記管理サーバに送信する処理を有することである。
【0037】
この構成によれば、所定期間をユーザが設定できるので、ユーザの使用状況や清算のタイミングに応じて適宜定めることができる。
【0038】
また、管理サーバからの視点による他の特徴は、
前記管理サーバから送信された累積決済金額を記憶する処理と、
前記管理サーバから送信された累積決済金額を表示する処理と、を有することである。
【0039】
この構成によれば、情報端末装置において累積決済金額を記憶することができるので、通信ができない状態や通信し難い状態のときにも累積決済金額を情報端末装置の表示装置に表示させることができ、通信状態に因ることなくユーザが所望するタイミングで、累積決済金額を表示させてユーザに認識させることができる。また、通信をすることなく累積決済金額を表示させることができるので、通信費を安価にすることもできる。
【0040】
さらに、管理サーバからの視点による他の特徴は、
決済毎の決済情報を前記表示装置に表示させる処理を有することである。
【0041】
この構成によれば、決済金額の総額である累積決済金額のみを表示させるだけでなく、決済毎の決済情報も表示させることができるので、他人に不正に決済されたり誤った決済がされたりしたことがなかったかどうかをユーザが確認しやすくできる。
【0042】
本発明は、更に、以下の構成を採用することができる。
(1) 後払い方式又は先払い方式によっての決済機能を管理し且つ各々が異なる決済サービスシステムに属している複数の管理サーバのいずれかと通信回線を通じて接続され、店舗などの決済先に設置された決済端末装置の読取書込装置との間で、決済のための識別データと決済金額を示す決済データを送受信する携帯可能な情報端末装置であって、
前記読取書込装置との間でデータを無線通信によって送受信するための送受信部と、
日時データを出力可能な時計部と、
前記決済サービスシステムごとに前記管理サーバで決済を実行するための識別データを書き換え不可状態で記憶するとともに、
前記決済端末装置で決済される単位取引の決済データを、前記送受信部と前記読取書込装置との間での無線通信により受信し、受信した時点の日時データに対応付けて、書き込み記憶可能な記憶部と、
前記送受信部と前記読取書込装置との間での無線通信により受信して前記記憶部に書き込み記憶した前記決済データに関連する情報を表示する表示部と、
ユーザによって入力可能な入力部と、
前記入力部を介して入力された決済サービスシステムの選択の指示に基づいて、前記読取書込装置との間でのデータの無線通信に使用する識別データを設定し、
前記送受信部と前記読取書込装置との間での無線通信により受信して前記記憶部に記憶した決済データを前記表示部に表示し、且つ
前記送受信部と前記読取書込装置との間での無線通信により受信して前記記憶部に記憶した単位取引の決済データを累積的に加算するとともに、この加算した累積決済金額を示す累積決済金額データを前記記憶部に記憶する制御部と、を備え、
前記記憶部は、複数単位取引の決済データを記憶可能であり、
前記制御部は、前記複数単位取引についての前記決済データに対応付けられた日時データに基づいて表示順序を決定し、前記複数単位取引についての前記決済データに基づく情報を該表示順序に基づいて並べて表示し、
前記記憶部は、前記累積決済金額データが示す累積決済金額と比較するための対比金額を示す対比金額データを記憶し、
前記制御部は、前記累積決済金額データが示す累積決済金額と前記対比金額データが示す対比金額との差額を数値的に表示するか、又は該差額を段階的に評価した評価結果をユーザが視認可能な態様で表示することを特徴とする携帯可能な情報端末装置。
【0043】
(1)の構成によれば、送受信部と読取書込装置との間での無線通信により受信して記憶部に書き込み記憶した決済データに関連する情報を表示する表示部に、複数単位取引の決済データに基づく情報が表示される。従って、ユーザは、過去複数回における取引の額を確認することができる。
また、累積決済金額と対比金額との差額が数値的に表示されるか、又は該差額を段階的に評価した評価結果が、ユーザが視認可能な態様で表示される。従って、ユーザは、表示内容を見て、累積決済金額と対比金額との差額を把握することができる。ここで、対比金額は、ユーザによって入力部を介して入力され、対比金額データとして記憶部に記憶されるように構成されることが望ましい。また、入力部を介して入力可能な対比金額は、ユーザの使用限度額により少ないことが望ましい。このような構成によれば、ユーザは、容易に且つタイムリーに自己の使用状況を把握することができる。
更に、ユーザは、1つの情報端末装置によって、複数の決済サービスシステムを利用することができ、その選択を情報端末装置によって決済前に行っておくことができる。
一般的に、決済端末装置はユーザの手の届くところに設置されるが、店舗によっては、例えばテーブル会計等、一旦店員に決済端末装置を預け、店員がユーザとして決済を代行する場合がある。このような場合に、ユーザは、例えば、同席者との関係等により、どの決済サービスシステムを用いるかを口頭で店員に伝え難い場合がある。本発明によれば、決済を行う前に、事前に、どの決済サービスシステムを利用するかを設定しておけるので、利便性に優れる。
【0044】
なお、本発明における先払い方式の決済サービスシステムは、使用可能額を情報端末装置で管理する(使用可能金額を示すデータを情報端末装置で記憶する)システムと、使用可能額を管理サーバで管理する(使用可能金額を示すデータを情報端末装置で記憶する)システムとを含む概念であり、本願明細書においては、特に区別する場合を除いて、両方のシステムを指すものである。
【0045】
本発明は、更に、以下の構成を採用することができる。
(2) 後払い方式又は先払い方式によっての決済機能を管理する管理サーバと通信回線を通じて接続され、店舗などの決済先に設置された決済端末装置の読取書込装置との間で、決済のための識別データと決済金額を示す決済データを送受信する携帯可能な情報端末装置であって、
前記読取書込装置との間でデータを無線通信によって送受信するための送受信部と、
前記管理サーバで決済を実行するための識別データを書き換え不可状態で記憶するとともに、前記決済端末装置で決済される単位取引の決済データを、前記送受信部と前記読取書込装置との間での無線通信により受信して書き込み記憶可能な記憶部と、
前記送受信部と前記読取書込装置との間での無線通信により受信して前記記憶部に書き込み記憶した前記決済データに関連する情報を表示する表示部と、
前記送受信部と前記読取書込装置との間での無線通信により受信して前記記憶部に記憶した決済データを前記表示部に表示する制御部と、を備え、
前記記憶部は、複数単位取引の決済データを記憶可能であり、
前記制御部は、前記複数単位取引についての前記決済データに基づく情報を表示することを特徴とする携帯可能な情報端末装置。
【0046】
(2)の構成によれば、送受信部と読取書込装置との間での無線通信により受信して記憶部に書き込み記憶した決済データに関連する情報を表示する表示部に、複数単位取引の決済データに基づく情報が表示される。従って、ユーザは、過去複数回における取引の額を確認することができる。
一般的に、決済端末装置はユーザの手の届くところに設置されるが、店舗によっては、例えばテーブル会計等、一旦店員に決済端末装置を預け、店員がユーザとして決済を代行する場合がある。このような場合に、ユーザは店員による決済が適正に行われたか否かを事後的に確認したいという要請がある。また、そのような事後的な確認機能を備えていれば、店員による不正決済を未然に防ぐ抑止力となり、延いては決済サービスの普及に寄与する。
【0047】
上記(2)の構成において、制御部が複数単位取引についての決済データに基づく情報を表示するタイミングは、特に限定されず、例えば、ユーザによって入力部を介して表示を要求する旨の指示が入力されたタイミング、決済データを受信してから所定時間が経過したタイミング等が挙げられる。
【0048】
本発明は、更に、以下の構成を採用することができる。
(2−1) (2)の構成において、更に、
日時データを出力可能な時計部を備え、
前記記憶部は、前記決済端末装置で決済される単位取引の決済データを、前記送受信部と前記読取書込装置との間での無線通信により受信し、受信した時点の日時データに対応付けて、書き込み記憶し、
前記制御部は、前記複数単位取引についての前記決済データに対応付けられた日時データに基づいて表示順序を決定し、前記複数単位取引についての前記決済データに基づく情報を該表示順序に基づいて並べて表示する。
【0049】
(2−1)の構成によれば、ユーザが、決済が行われた時間を確認することができるので、決済が適正に行われたか否かをより確実に確認することができ、店員による不正決済を未然に防ぐ抑止力をより高めることができる。
【0050】
本発明は、更に、以下の構成を採用することができる。
(3) 後払い方式又は先払い方式によっての決済機能を管理する管理サーバと通信回線を通じて接続され、店舗などの決済先に設置された決済端末装置の読取書込装置との間で、決済のための識別データと決済金額を示す決済データを送受信する携帯可能な情報端末装置であって、
前記読取書込装置との間でデータを無線通信によって送受信するための送受信部と、
前記管理サーバで決済を実行するための識別データを書き換え不可状態で記憶するとともに、前記決済端末装置で決済される単位取引の決済データを、前記送受信部と前記読取書込装置との間での無線通信により受信して書き込み記憶可能な記憶部と、
前記送受信部と前記読取書込装置との間での無線通信により受信して前記記憶部に記憶した単位取引の決済データを累積的に加算するとともに、この加算した累積決済金額を示す累積決済金額データを前記記憶部に記憶する制御部と、を備え、
前記記憶部は、前記累積決済金額データが示す累積決済金額と比較するための対比金額を示す対比金額データを記憶し、
前記制御部は、前記累積決済金額データが示す累積決済金額と前記対比金額データが示す対比金額との差額を数値的に表示するか、又は該差額を段階的に評価した評価結果をユーザが視認可能な態様で表示することを特徴とする携帯可能な情報端末装置。
【0051】
(3)の構成によれば、累積決済金額と対比金額との差額が数値的に表示されるか、又は該差額を段階的に評価した評価結果が、ユーザが視認可能な態様で表示される。従って、ユーザは、表示内容を見て、累積決済金額と対比金額との差額を把握することができる。ここで、対比金額は、ユーザによって入力部を介して入力され、対比金額データとして記憶部に記憶されるように構成されることが望ましい。また、入力部を介して入力可能な対比金額は、ユーザの使用限度額により少ないことが望ましい。このような構成によれば、ユーザは、容易に且つタイムリーに自己の使用状況を把握することができる。
【0052】
例えば、後払い方式により決済機能を有する決済サービスシステムにおけるユーザの使用限度額が50万円である場合、システム上では50万円まで使用することが可能であるが、実際にユーザが50万円まで使うことは稀であり、ユーザは、システム上での使用限度額とは別に、自分のなかでの限度額(例えば月極めのお小遣い等)を決めていることが多い。従来、その自分のなかでの限度額を決めていたのは「財布」であった。すなわち、ユーザは、財布に、使用可能な額の現金だけを入れることにより、事実上、自分のなかでの限度額を決めていたのである。しかし、情報端末装置を用いた決済では、「財布」の役割を担うものがなかったため、ユーザは、あとどれくらい使用してもよいのか(即ち、「財布」のなかの残金)を把握できないという問題があった。本発明は、この課題を見事に解決したものである。
【0053】
差額を数値的に表示することは、数値自体の表示だけではなく、例えば、目盛を用いた表示、絵柄の数による表示等、数値を可視化した表示を含む概念である。
また、差額を段階的に評価した評価結果としては、特に限定されず、例えば、対比金額に対する差額の割合が20%以上であれば、情報端末装置に設けられたランプが青色に点灯し、該割合が20%未満10%以下になると、ランプが黄色に点灯し、該割合が10%未満0%以上になると、ランプが赤色に点灯する、というように、対比金額に対する差額の割合を段階的に評価したものや、差額が1万円以上であれば、決済データを受信した際にランプが所定期間にわたって点灯し、差額が5000円以上1万円未満であれば、ランプが比較的低速で点滅し、差額が5000円未満であれば、ランプが比較的高速で点滅するというように、差額自体を段階的に評価したものであってもよい。なお、差額の評価は、累積決済金額と対比金額とを評価することによって行ってもよい。
【0054】
上記(3)の構成において、累積決済金額データが示す累積決済金額と対比金額データが示す対比金額との差額を数値的に表示するか、又は該差額を段階的に評価した評価結果をユーザが視認可能な態様で表示するタイミングは、特に限定されないが、決済データを受信したタイミングであることが望ましい。決済のタイミングでタイムリーに現在の使用状況を把握することができるからである。
【0055】
従来、「財布」の内容を確認するのは、通常、決済を行うタイミングであり、このときに、財布の内容が確認されていたので、別途、財布の内容を確認するために財布を開く必要はなかった。しかし、決済サービスシステムでは、決済時に残り使用可能金額を確認することができず、別途、インターネットを介して、ウェブ上で残り使用金額を確認しなければならないため、例えば、ログインのためのユーザ名やパスワードの入力、ダウンロードに要する時間等、アクセスの手間が煩雑であった。また、電波状況によっては、インターネットを介して、残り使用可能金額を行えない場合もあった。このような事態は、実際の「財布」に置き換えれば、「財布」を開いて内容を確認する手間が煩雑であったり、周辺環境によって「財布」を開いて内容を確認することができなかったりする事態であり、ユーザの利便性の観点から好ましい事態ではなかった。本願発明は、このような問題を見事に解決し、決済サービスシステムにおける情報端末装置を「財布」に近づけ、決済サービスシステムの利便性を高めるものである。
【0056】
本発明は、更に、以下の構成を採用することができる。
(4) 後払い方式又は先払い方式によっての決済機能を管理し且つ各々が異なる決済サービスシステムに属している複数の管理サーバのいずれかと通信回線を通じて接続され、店舗などの決済先に設置された決済端末装置の読取書込装置との間で、決済のための識別データと決済金額を示す決済データを送受信する携帯可能な情報端末装置であって、
前記読取書込装置との間でデータを無線通信によって送受信するための送受信部と、
前記決済サービスシステムごとに、前記管理サーバで決済を実行するための識別データを書き換え不可状態で記憶する記憶部と、
ユーザによって入力可能な入力部と、
前記入力部を介して入力された決済サービスシステムの選択の指示に基づいて、前記読取書込装置との間でのデータの無線通信に使用する識別データを設定する制御部と、を備えることを特徴とする携帯可能な情報端末装置。
【0057】
(4)の構成によれば、ユーザは、1つの情報端末装置によって、複数の決済サービスシステムを利用することができ、その選択を情報端末装置によって決済前に行っておくことができる。
一般的に、決済端末装置はユーザの手の届くところに設置されるが、店舗によっては、例えばテーブル会計等、一旦店員に決済端末装置を預け、店員がユーザとして決済を代行する場合がある。このような場合に、ユーザは、例えば、同席者との関係等により、どの決済サービスシステムを用いるかを口頭で店員に伝え難い場合がある。本発明によれば、決済を行う前に、事前に、どの決済サービスシステムを利用するかを設定しておけるので、利便性に優れる。
【0058】
なお、決済サービスシステムとしては、特に限定されず、既存のシステムとしては、例えば、Edy(登録商標)、Suica(登録商標)、nanaco(登録商標)、WAON(登録商標)、ICOCA(登録商標)、PASMO(登録商標)等の先払い方式(プリペイド)の決済サービスシステム、iD(登録商標)、QUICPay、PiTaPa(登録商標)等の後払い方式(ポストペイ)の決済サービスシステムを挙げることができる。
【0059】
本発明は、更に、以下の構成を採用することができる。
(5) 後払い方式によっての決済機能を管理する管理サーバと通信回線を通じて接続され、店舗などの決済先に設置された決済端末装置の読取書込装置との間で、決済のための識別データと決済金額を示す決済データを送受信する携帯可能な情報端末装置であって、
前記読取書込装置との間でデータを無線通信によって送受信するための送受信部と、
前記管理サーバで決済を実行するための識別データを書き換え不可状態で記憶するとともに、前記決済端末装置で決済される単位取引の決済データを、前記送受信部と前記読取書込装置との間での無線通信により受信して書き込み記憶可能な記憶部と、
前記送受信部と前記読取書込装置との間での無線通信により受信して前記記憶部に書き込み記憶した前記決済データに関連する情報を表示する表示部と、
前記送受信部と前記読取書込装置との間での無線通信により受信して前記記憶部に記憶した決済データを前記表示部に表示する制御部と、を備えることを特徴とする携帯可能な情報端末装置。
【0060】
(5)の構成によれば、表示部に、送受信部と読取書込装置との間での無線通信により受信して記憶部に書き込み記憶した決済データに関連する情報が表示されるため、決済データに関連する情報を容易に且つタイムリーに確認することができる。
【0061】
本発明は、更に、以下の構成を採用することができる。
(6) 後払い方式によっての決済機能を管理する管理サーバと通信回線を通じて接続され、店舗などの決済先に設置された決済端末装置の読取書込装置との間で、決済のための識別データと決済金額を示す決済データを送受信する携帯可能な情報端末装置であって、
前記読取書込装置との間でデータを無線通信によって送受信するための送受信部と、
前記管理サーバで決済を実行するための識別データを書き換え不可状態で記憶するとともに、前記決済端末装置で決済される単位取引の決済データを、前記送受信部と前記読取書込装置との間での無線通信により受信して書き込み記憶可能な記憶部と、
前記送受信部と前記読取書込装置との間での無線通信により受信して前記記憶部に記憶した単位取引の決済データを累積的に加算するとともに、この加算した累積決済金額を示す累積決済金額データを前記記憶部に記憶する制御部と、
前記記憶部に記憶した累積決済金額データを、前記制御部の制御の下で数値によって表示する表示部と、を備えることを特徴とする携帯可能な情報端末装置。
【0062】
(6)の構成によれば、累積決済金額を確認することができるので、携帯可能な情報端末装置によれば、情報端末装置のユーザは、累積決済金額について認識することができるので、使いすぎているか否かについて判断したり自覚したりすることができ、後払い方式においても適切にかつ計画的に使用できるように誘引することができる可能性がある。また、携帯可能な情報端末装置によれば、決済端末装置からの決済データを受信すると、情報端末装置自体で累積決済金額データを生成できるので、当該情報端末装置を所有する個人情報が漏洩することを防止できる。
【0063】
本発明は、更に、以下の構成を採用することができる。
(7) (6)の携帯可能な情報端末装置であって、
ユーザによって入力可能な入力部と時計部とを備え、前記入力部によって累積決済金額の和を演算する所定期間が設定されると、前記記憶部に当該所定期間が記憶され、
前記制御部は、その所定期間経過時に累積決済金額データを自動的にゼロリセットすることを特徴とする。
【0064】
本発明は、更に、以下の構成を採用することができる。
(8) (6)又は(7)の携帯可能な情報端末装置であって、
前記管理サーバは、各々の識別データごとに予め設定された期間内で決済された決済金額の和を前記決済端末装置から受信した決済データに基づいて累積決済金額として算出し、この算出した累積決済金額を管理サーバの累積決済金額データとして前記情報端末装置に送信する累積決済金額制御装置を備えており、
前記管理サーバの累積金額データを前記送受信部を介して受信するとともに前記記憶部に記憶し、前記制御部は前記記憶部に記憶した前記管理サーバの累積金額データを前記表示部に表示することを特徴とする。
【0065】
本発明は、更に、以下の構成を採用することができる。
(9) 複数の決済サービスシステムに属し、且つ店舗などの決済先に設置された決済端末装置の読取書込装置との間で、決済のための識別データと決済金額を示す決済データを送受信することができ、且つ
後払い方式の決済サービスシステムにおける決済機能を管理する管理サーバと通信回線を通じて接続され得る携帯可能な情報端末装置であって、
前記読取書込装置との間でデータを無線通信によって送受信するための送受信部と、
前記決済サービスシステムごとに前記管理サーバで決済を実行するための識別データを書き換え不可状態で記憶するとともに、前記決済端末装置で決済される単位取引の決済データを、前記送受信部と前記読取書込装置との間での無線通信により受信して書き込み記憶可能であり、更に、
前記先払い方式の決済サービスシステムで使用可能な金額に関する使用可能金額データを記憶する記憶部と、
複数の決済サービスシステムのいずれか1つの決済サービスシステムによって単位取引の決済を行う際に、該決済サービスシステムにおける当該ユーザの使用可能額が該単位取引の金額を超えた場合に、該単位取引の金額の一部の決済を、該決済サービスシステムによって行い、該単位取引の金額の残りの決済を、該決済サービスシステム以外の決済サービスシステムによって行うための処理を実行する制御部とを備えることを特徴とする情報端末装置。
【0066】
本発明は、更に、以下の構成を採用することができる。
(10) 先払い方式及び後払い方式の両方の決済サービスシステムに属し、且つ店舗などの決済先に設置された決済端末装置の読取書込装置との間で、決済のための識別データと決済金額を示す決済データを送受信することができ、且つ
後払い方式の決済サービスシステムにおける決済機能を管理する管理サーバと通信回線を通じて接続される携帯可能な情報端末装置であって、
前記読取書込装置との間でデータを無線通信によって送受信するための送受信部と、
前記決済サービスシステムごとに前記管理サーバで決済を実行するための識別データを書き換え不可状態で記憶するとともに、前記決済端末装置で決済される単位取引の決済データを、前記送受信部と前記読取書込装置との間での無線通信により受信して書き込み記憶可能であり、更に、
前記先払い方式の決済サービスシステムで使用可能な金額に関する使用可能金額データを記憶する記憶部と、
前記送受信部により、前記先払い方式の決済サービスシステムにおける単位取引の金額を示す取引金額データを受信し、該取引金額データが示す金額が、前記使用可能金額データが示す使用可能な金額を超える場合に、
前記取引金額データが示す単位取引の金額のうち、前記使用可能金額データが示す使用可能な金額以下の額について、前記先払い方式の決済サービスシステムでの決済を行い、
前記取引金額データが示す単位取引の金額のうち、前記先払い方式の決済サービスシステムで決済されなかった額について、前記送受信部と前記読取書込装置との間での無線通信により、前記後払い方式の決済サービスシステムでの決済を行う制御部とを備えることを特徴とする情報端末装置。
【0067】
本発明は、更に、以下の構成を採用することができる。
(11) 先払い方式及び後払い方式の両方の決済サービスシステムに属し、且つ店舗などの決済先に設置された決済端末装置の読取書込装置との間で、決済のための識別データと決済金額を示す決済データを送受信することができ、且つ
後払い方式の決済サービスシステムにおける決済機能を管理する管理サーバと通信回線を通じて接続される携帯可能な情報端末装置であって、
前記読取書込装置との間でデータを無線通信によって送受信するための送受信部と、
前記決済サービスシステムごとに前記管理サーバで決済を実行するための識別データを書き換え不可状態で記憶するとともに、前記決済端末装置で決済される単位取引の決済データを、前記送受信部と前記読取書込装置との間での無線通信により受信して書き込み記憶可能であり、更に、
前記先払い方式の決済サービスシステムで使用可能な金額に関する使用可能金額データを記憶する記憶部と、
前記後払い方式の決済サービスシステムの前記管理サーバから、前記送受信部により、前記後払い方式の決済サービスシステムにおける単位取引の金額が、該後払い方式の決済サービスにおける当該ユーザの使用可能額を超えた旨の信号を受信した際に、
前記取引金額データが示す単位取引の金額のうち、該後払い方式の決済サービスにおける当該ユーザの使用可能額以下の額について、前記前記送受信部と前記読取書込装置との間での無線通信により、前記後払い方式の決済サービスシステムでの決済を行い、
前記取引金額データが示す単位取引の金額のうち、前記後払い方式の決済サービスシステムで決済されなかった額について、前記先払い方式の決済サービスシステムでの決済を行う制御部とを備えることを特徴とする情報端末装置。
【0068】
本発明は、更に、以下の構成を採用することができる。
(12) (9)〜(11)のいずれか1の情報端末装置であって、
前記制御部は、複数の決済サービスシステムによって、1つの単位取引の決済を行うことをユーザに報知するための報知処理を行うことを特徴とする。
【0069】
報知処理としては、特に限定されず、例えば、画像、光、物理的動作若しくはこれらの組合せによる視覚的報知、音による聴覚的報知、振動等による物理的報知、又はこれらの組合せによる報知等が挙げられる。