(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般に、圧力流体(例えば、圧力気体)の供給により可動部が変位するアクチュエータでは、経験則から判断される使用頻度や動作回数(動作時間、使用期間)に到達したときに、故障前のメンテナンスが実施される。
【0003】
しかしながら、従来は、劣化が進んでいない正常なアクチュエータであってもメンテナンスにより交換されるので、無駄なコストが発生していた。また、市場では、アクチュエータの可動部の移動時間(タクト)をより短くして、高タクト化を図ることにより、アクチュエータを用いた設備の生産性を向上して、当該設備で生産される製品のコストを低く抑えることが要求されている。そのためには、作業者の判断でメンテナンス時期を設定するのではなく、自動的且つ数値的にアクチュエータを管理し、メンテナンス性を向上させることが望ましい。
【0004】
また、一般的に、圧力流体を利用したアクチュエータの劣化は、当該アクチュエータにかかる負荷の条件や、アクチュエータを含めた空気圧機器等の流体圧機器の経年変化によって発生すると考えられている。さらに、タクトの変化に起因した劣化等によるアクチュエータの故障が発生する前に、当該アクチュエータに異常が発生したことを検出できれば、流体圧機器をライフアウト直前まで利用することができ、設備を効率よく稼働させることが可能となる。
【0005】
そこで、上記のような使用頻度や動作回数(動作時間、使用期間)に基づきメンテナンスを実施する方法に代えて、アクチュエータの異常を自動的且つ数値的に検出する故障予知機能を備えた異常検出システムが種々提案されている。
【0006】
図9の異常検出システム100は、圧力流体の流量や圧力の変動を測定することにより、アクチュエータの異常を検出するものである。この異常検出システム100において、流体圧源102から方向切替弁104を介してアクチュエータ106に圧力流体が選択的に供給される。シリンダであるアクチュエータ106の内部では、ピストンロッド108に連結されたピストン110がアクチュエータ106の一端部116と他端部118との間で、
図9の左右方向に変位する。
【0007】
方向切替弁104は、ソレノイド112及びスプリング114を有する4方向5ポートの単動式電磁弁である。すなわち、外部からの制御信号(動作指令)の供給によってソレノイド112が励磁されると、方向切替弁104は、流体圧源102からの圧力流体を、ポート120を介してアクチュエータ106の一端部116に供給すると共に、他端部118の流体(圧力流体)を、ポート122を介して外部に排気する。これにより、ピストン110は、一端部116から他端部118に向かって変位する。
【0008】
一方、制御信号の供給が停止すると、方向切替弁104は、スプリング114の作用により、流体圧源102からの圧力流体を、ポート122を介して他端部118に供給すると共に、一端部116の圧力流体を、ポート120を介して外部に排気する。これにより、ピストン110は、他端部118から一端部116に向かって変位する。
【0009】
なお、方向切替弁104とポート120、122とを接続する配管123、125の途中には、絞り及び逆止弁を並列接続して構成される継手124、126がそれぞれ配設されている。
【0010】
この場合、破線の矢印で図示するように、(1)流体圧源102、方向切替弁104及びアクチュエータ106間の各配管123、125、127、(2)方向切替弁104、(3)ピストンロッド108及び該ピストンロッド108とシリンダとの間の図示しないパッキン、並びに、(4)継手124、126、から外部に圧力流体がリークする可能性がある。また、アクチュエータ106の内部においても、ピストン110及び該ピストン110とシリンダとの間の図示しないパッキンを介して、一端部116と他端部118との間で圧力流体がリークする可能性がある。
【0011】
そこで、異常検出システム100では、各配管123、125、127に図示しない流量計及び圧力計を配設し、各流量計で圧力流体の流量を測定すると共に、各圧力計で圧力流体の圧力を測定する。これにより、圧力流体の流量及び圧力の変動を測定することができるので、圧力流体がリークする箇所での異常を検出し、故障前に部品交換を行うことが可能となる。
【0012】
一方、
図10の異常検出システム130は、ピストン110の移動時間に基づいてアクチュエータ106の異常を検出するものである。この異常検出システム130は、前述の異常検出システム100の各構成要素に加え、出力部132aからソレノイド112に制御信号を供給するPLC(Programmable Logic Controller)等の制御装置132と、アクチュエータ106の一端部116に配置された第1センサ134と、他端部118に配置された第2センサ136とをさらに有する。なお、異常検出システム130には、継手124、126が配設されておらず、一方で、アクチュエータ106の一端部116又は他端部118からの圧力流体の排気経路には、サイレンサ138が配設されている。
【0013】
第1センサ134は、一端部116に変位したピストン110を検知し、一方で、第2センサ136は、他端部118に変位したピストン110を検知する。制御装置132の入力部132bには、第1センサ134又は第2センサ136でのピストン110の検知結果を示す検知信号が入力される。これにより、制御装置132は、方向切替弁104に制御信号を出力した時点から検知信号が入力されるまでの時点(ピストン110の変位動作が完了する時点)までの時間(ピストン110の移動時間)を計測し、計測した移動時間に基づいて、アクチュエータ106の異常を検出する。
【0014】
また、
図10の異常検出システム130と同様に、アクチュエータの可動部の移動時間を利用して、アクチュエータの異常を検出する技術が特許文献1及び2に開示されている。
【0015】
特許文献1には、アクチュエータ及び被駆動体の動作指令時からの移動速度及び移動時間を計測し、計測した移動速度及び移動時間と、正常動作時の移動速度及び移動時間とを比較して、アクチュエータ及び被駆動体が正常か否かを判断することが開示されている。
【0016】
特許文献2には、電磁弁の通電時から複動シリンダのピストンがストロークエンドに到達するまでの時間を作動時間として計測し、作動時間の値が所定値以上であれば警報を行うことが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、
図9の異常検出システム100では、アクチュエータ106を含む設備全体を一旦停止させた状態で、劣化等の異常を検出する必要がある。すなわち、設備の稼働中にアクチュエータ106の異常を検出することができない。従って、異常検出システム100では、メンテナンスを実施することにより、設備の生産性が却って低下するおそれがある。
【0019】
図10の異常検出システム130では、制御装置132、第1センサ134及び第2センサ136の組み合わせにより、アクチュエータ106の応答(ピストン110の移動時間)を計測するものであり、設備の稼働中でもアクチュエータ106の異常を検出することが可能である。この場合、応答の精度は、制御装置132の処理速度に依存する。そのため、小型且つ高速動作のアクチュエータ106での異常を検出する場合には、高い処理速度を有する制御装置132を含めた計測システムを構築する必要があり、コストが高くなる。また、制御装置132にPLCを用いるため、ユーザ(作業者)が異常検出システム130を構築して、PLC用のコントローラプログラムを作成する必要があり、作業者の負担が増大する。
【0020】
しかも、1つの設備に複数のアクチュエータが用いられている場合、ユーザは、全てのアクチュエータの移動時間を測定するためのコントローラプログラムを作成してPLCに設定する必要があり、手間がかかる。また、このようなコントローラプログラムや測定結果を記憶するために、大容量のメモリや、高度なプログラミング能力を持つPLCが必要となるので、異常検出システム130の構築にコストがかかる。
【0021】
なお、特許文献1及び2の技術についても、
図10の異常検出システム130と同様の問題が惹起されるものと考えられる。
【0022】
本発明は、上記の問題を解消するためになされたものであり、設備を停止させることなく、アクチュエータの異常を簡易的に検出することにより、メンテナンス性を向上させることができるアクチュエータの異常検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明に係るアクチュエータの異常検出システムは、当該アクチュエータの可動部の移動時間に基づいて、前記アクチュエータの異常を検出するシステムであり、下記の第1〜第9の特徴を有する。
【0024】
すなわち、第1の特徴において、前記異常検出システムは、第1のセンサ、第2のセンサ及び異常検出装置を備える。前記第1のセンサは、前記可動部の変位方向に沿った前記アクチュエータの一端部に配置され、該一端部に変位した前記可動部を検知する。前記第2のセンサは、前記変位方向に沿った前記アクチュエータの他端部に配置され、該他端部に変位した前記可動部を検知する。
【0025】
前記異常検出装置は、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサの検知結果に基づいて、前記アクチュエータの異常を検出する。
【0026】
具体的に、前記異常検出装置は、前記各検知結果に基づいて、前記一端部と前記他端部との間で前記可動部が移動する前記移動時間を算出する移動時間算出部と、前記移動時間に対して所定の統計演算を行う統計演算処理部と、前記統計演算処理部の処理結果に基づいて、前記アクチュエータの異常が発生したか否かを検出する異常検出部とを有する。
【0027】
上記の第1の特徴によれば、前記可動部の移動時間に対して前記統計演算を行い、その処理結果に基づいて、前記アクチュエータの異常が発生したか否かを検出する。そのため、前記アクチュエータを含む設備が稼働中であっても、当該設備を停止させることなく、前記アクチュエータの異常を検出することができる。この結果、前記設備の生産性を維持しつつ、前記アクチュエータの異常をオンライン且つリアルタイムで検出することが可能となる。
【0028】
また、従来、作業者の判断で設定(定義)されたメンテナンス時期を、自動的且つ数値的に管理することが可能となる。すなわち、作業者が定期的にメンテナンスを実施しなくても、前記異常検出システムは、前記設備の稼働中に自動的にメンテナンスを実施し、前記アクチュエータからの応答情報である前記移動時間に基づいて、前記アクチュエータの異常の発生を簡易的に判定する。しかも、前記異常検出システムでは、前記可動部の移動時間に対する前記統計演算の処理結果に基づき、前記アクチュエータの異常の発生の有無を、数値的に判定(管理)することができる。
【0029】
この結果、本発明では、メンテナンスにかかる工数が削減され、作業者の負担を著しく軽減することができ、前記アクチュエータを含む前記設備のメンテナンス性を向上させることができる。また、数値的に管理されることで、メンテナンスを担当する作業者に対する教育も容易になる。
【0030】
さらに、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサの検知結果に基づいて前記可動部の移動時間を算出するため、既存のセンサをそのまま利用することができる。すなわち、既存のシステムに対して前記異常検出装置を追加するだけで、前記異常検出システムを構築することができる。従って、本発明では、前記アクチュエータの異常を簡易的且つ低コストで検出することが可能となる。
【0031】
第2の特徴において、前記異常検出装置は、前記移動時間を記憶する第1の記憶部と、前記処理結果を記憶する第2の記憶部とをさらに有する。この場合、前記異常検出部は、前記第2の記憶部に記憶された前記処理結果を少なくとも読み出し、読み出した前記処理結果に基づいて、前記アクチュエータの異常が発生したか否かを検出することが好ましい。
【0032】
第2の特徴によれば、前記第1の記憶部に前記移動時間が記憶(蓄積)されるので、前記可動部が前記一端部と前記他端部との間で移動(往復移動)する場合でも、前記統計演算処理部は、前記第1の記憶部から前記移動時間を逐次読み出して前記統計演算を実行することができる。また、前記第2の記憶部に前記処理結果が記憶(蓄積)されるので、前記異常検出部は、前記第2の記憶部から前記処理結果を適宜読み出して検出処理を行うことも可能となる。
【0033】
第3の特徴において、前記可動部の正常な移動時間が正常値として前記第1の記憶部に予め記憶されていることが好ましい。この場合、前記統計演算処理部は、前記移動時間算出部で算出された移動時間と、前記正常値との偏差を少なくとも算出し、算出した前記偏差を統計演算値として前記第2の記憶部に記憶する。また、前記異常検出部は、前記統計演算値を前記第2の記憶部から読み出し、読み出した前記統計演算値に基づいて、前記アクチュエータの異常が発生したか否かを判定する。
【0034】
第3の特徴によれば、予め設定された前記正常値と、実際に算出された前記移動時間との比較に基づいて、前記アクチュエータの異常が発生したか否かが判定されるので、前記アクチュエータの異常の発生を正確に判定することができる。すなわち、前記アクチュエータが劣化すれば、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサの各検知結果に基づき前記移動時間を算出する毎に、前記偏差のバラツキが大きくなる。従って、例えば、前記偏差が所定の閾値よりも大きければ、前記アクチュエータの異常が発生したと容易に判定することができる。
【0035】
なお、前記可動部の正常な移動時間とは、前記アクチュエータの劣化や故障等の異常が発生していない状態(例えば、設置直後又は交換直後のアクチュエータの動作初期状態)における前記一端部と前記他端部との間の前記可動部の移動時間をいう。前記正常な移動時間は、作業者が予め設定してもよいし、又は、前記異常検出装置の製造時に前記第1の記憶部に記憶させてもよい。
【0036】
また、前記異常検出装置は、第3の特徴に代えて、下記の第4の特徴のように構成されていてもよい。
【0037】
すなわち、第4の特徴において、前記可動部が前記変位方向に沿って移動する毎に、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサが前記可動部を検知する場合に、前記移動時間算出部は、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサから前記各検知結果が入力される毎に、前記移動時間を算出して前記第1の記憶部に記憶する。
【0038】
この場合、前記統計演算処理部は、前記移動時間算出部が前記移動時間を前記第1の記憶部に記憶する毎に、前記第1の記憶部に記憶されている全ての前記移動時間のデータを読み出し、読み出した前記データの平均値、標準偏差又は分散を算出し、算出した前記平均値、前記標準偏差又は前記分散を統計演算値として前記第2の記憶部に記憶する。
【0039】
そして、前記第2の記憶部には、前記可動部の正常な移動時間の平均値、標準偏差又は分散が正常値としてさらに記憶されていることが好ましい。
【0040】
これにより、前記異常検出部は、前記統計演算処理部が前記統計演算値を前記第2の記憶部に記憶する毎に、前記統計演算値及び前記正常値を前記第2の記憶部から読み出し、前記統計演算値と前記正常値との比較に基づいて、前記アクチュエータの異常が発生したか否かを検出することができる。
【0041】
従って、第4の特徴によれば、前記アクチュエータの稼働中(前記変位方向に沿った前記可動部の往復移動中)に、前記アクチュエータの異常が発生したか否かを、リアルタイムで且つ容易に検出することができる。すなわち、前記統計演算処理部は、実際に算出された前記移動時間のデータを用いて、当該データの平均値、標準偏差又は分散を逐次算出し、前記統計演算値として前記第2の記憶部に記憶する。また、前記異常検出部は、前記第2の記憶部に記憶された前記統計演算値と前記正常値との比較に基づいて、前記アクチュエータの異常の発生を逐次判定することができる。
【0042】
さらに、前記アクチュエータが劣化すれば、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサの各検知結果に基づき前記移動時間を算出する毎に、前記平均値、前記標準偏差又は前記分散のバラツキが大きくなる。そのため、例えば、前記平均値、前記標準偏差又は前記分散が所定の閾値よりも大きければ、前記アクチュエータの異常が発生したと容易に判定することができる。
【0043】
第5の特徴は、第4の特徴の一部構成を具体的に特定したものである。すなわち、第5の特徴において、前記アクチュエータの動作初期状態の一定期間、前記可動部を前記変位方向に沿って往復移動させる場合に、前記移動時間算出部は、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサから各検知結果が入力される毎に、前記可動部の移動時間を算出し、算出した前記移動時間を前記第1の記憶部に記憶する。
【0044】
この場合、前記統計演算処理部は、前記第1の記憶部に記憶されている全ての前記移動時間のデータを読み出し、読み出した前記データの平均値、標準偏差又は分散を算出し、算出した前記平均値、前記標準偏差又は前記分散を前記正常値として前記第2の記憶部に記憶する。
【0045】
第5の特徴によれば、設備への前記アクチュエータの設置直後又は交換直後の前記動作初期状態において、前記正常値が自動的に算出され、前記第2の記憶部に記憶される。これにより、前記正常値を効率よく設定することができる。
【0046】
第6の特徴は、第2〜第5の特徴を具体的に特定したものである。
【0047】
すなわち、第6の特徴において、前記異常検出システムは、外部からの制御信号の供給に基づいて、圧力流体を前記アクチュエータの一端部又は他端部に選択的に供給する方向切替弁をさらに備える。この場合、前記可動部は、前記アクチュエータの一端部又は他端部への前記圧力流体の選択的な供給により、前記変位方向に沿って変位する。
【0048】
そして、前記移動時間算出部は、前記方向切替弁への前記制御信号の供給開始時点から前記第1のセンサ及び前記第2のセンサのうち一方のセンサが前記可動部を検知できなくなった時点までの第1の検知時間と、前記供給開始時点から他方のセンサが前記可動部の検知を開始した時点までの第2の検知時間との時間差を、前記可動部の移動時間として算出する。
【0049】
第6の特徴によれば、前記第1の検知時間と前記第2の検知時間との時間差を前記移動時間として算出することで、当該移動時間を容易に且つ正確に算出することができる。
【0050】
第7の特徴において、前記移動時間算出部は、前記第1の検知時間、前記第2の検知時間及び前記移動時間を前記第1の記憶部に記憶する。また、前記統計演算処理部は、前記第1の検知時間に対して所定の統計演算を行い、前記統計演算の処理結果を前記第2の記憶部に記憶する。これにより、前記異常検出部は、前記第2の記憶部に記憶された前記第1の検知時間に対する処理結果を読み出し、読み出した前記処理結果に基づいて、前記方向切替弁と前記アクチュエータとの間で異常が発生したか否かを検出することができる。
【0051】
このように、第7の特徴によれば、前記アクチュエータの異常に加え、前記方向切替弁と前記アクチュエータとの間の異常も検出することが可能となる。なお、前記第1の検知時間に対する統計演算は、前記移動時間に対する統計演算と同様の処理(平均値、標準偏差又は分散の算出)であればよい。
【0052】
第8の特徴において、前記異常検出システムは、前記方向切替弁に前記制御信号を供給する制御装置をさらに備える。この場合、前記異常検出装置は、前記制御装置からの前記制御信号を前記方向切替弁に供給し、一方で、前記異常検出部での検出結果を前記制御装置に出力する出力処理部をさらに有する。
【0053】
第8の特徴によれば、PLC等からなる前記制御装置は、前記異常検出装置を介して前記方向切替弁に前記制御信号を供給し、一方で、前記異常検出装置から前記検出結果を受け取る。この結果、前記制御装置は、前記アクチュエータの異常をオンラインで把握(検出)することが可能となり、前記検出結果に基づいて、前記制御信号の供給を停止する等の適切な対応を採ることができる。
【0054】
また、前記異常検出装置において前記アクチュエータの異常を検出し、前記制御装置には、前記検出結果のみ出力される。そのため、作業者は、前記アクチュエータの異常を検出するための前記制御装置用のコントロールプログラムを作成することが不要となる。この結果、前記異常検出システムの構築にかかる作業者の負担を低減することができる。
【0055】
第9の特徴において、前記異常検出システムは、前記第1の記憶部に記憶された前記移動時間、前記第2の記憶部に記憶された前記処理結果、及び、前記異常検出部での検出結果を表示する表示部をさらに有する。
【0056】
第9の特徴によれば、作業者は、前記表示部の表示内容を視認することにより、前記アクチュエータの異常の発生等を把握することができ、設備の停止や前記アクチュエータの交換等の適切な対応を迅速に採ることができる。
【発明の効果】
【0057】
本発明によれば、設備を停止させることなく、アクチュエータの異常を簡易的に検出することができると共に、メンテナンス性を向上させることも可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本発明に係るアクチュエータの異常検出システムの好適な実施形態について、図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0060】
[異常検出システムの全体構成]
本実施形態に係るアクチュエータの異常検出システム10(以下、本実施形態に係る異常検出システム10ともいう。)は、
図1に示すように、PLC等の制御装置12と、故障検出装置14(異常検出装置)と、4方向5ポートの複動式電磁弁である方向切替弁16と、流体圧シリンダ等のアクチュエータ18と、アクチュエータ18の外周面に配設された第1センサ20(第1のセンサ)及び第2センサ22(第2のセンサ)とを備える。
【0061】
なお、異常検出システム10は、図示しない設備に組み込まれ、当該設備を停止させることなく、前記設備の稼働中(製品の製造中)に、アクチュエータ18の劣化又は故障等の異常を自動的に検出することが可能な故障予知機能を備えたシステムである。
【0062】
制御装置12は、出力部12a、入力部12b及び検出結果入力部12cを有する。出力部12aは、故障検出装置14を介して方向切替弁16のソレノイド16a、16bに制御信号(制御指令)を供給する。入力部12bには、第1センサ20及び第2センサ22での検知結果を示す検知信号が、故障検出装置14を介して入力される。検出結果入力部12cには、故障検出装置14において各検知信号に基づき判定されたアクチュエータ18の異常の発生の有無(検出結果)を示す検出信号が入力される。
【0063】
方向切替弁16は、制御装置12から故障検出装置14を介してソレノイド16a、16bに供給される制御信号によって、流体圧源24から供給される圧力流体をアクチュエータ18の一端部26又は他端部28に選択的に出力する。すなわち、ソレノイド16aに制御信号が供給された場合、方向切替弁16は、
図1で当該方向切替弁16を図示した2つのブロックのうち、上側のブロックの状態となる。また、ソレノイド16bに制御信号が供給された場合、方向切替弁16は、下側のブロックの状態となる。
【0064】
アクチュエータ18は、前述のように、方向切替弁16からの圧力流体の供給により、ピストンロッド30に連結されたピストン32(可動部)が
図1の左右方向(変位方向)に変位する流体圧シリンダである。
【0065】
前述のように、ソレノイド16aに制御信号が供給され、当該ソレノイド16aが励磁されると、方向切替弁16は、上側のブロックの状態になる。これにより、流体圧源24から方向切替弁16、配管33
(第1の配管)及びポート36を介して一端部26に圧力流体が供給されると共に、他端部28からポート38、配管35
(第2の配管)及び方向切替弁16を介して該他端部28内の圧力流体が外部に排気される。この結果、ピストン32及びピストンロッド30は、一端部26から他端部28に向かって、一体的に変位する。
【0066】
また、ソレノイド16bに制御信号が供給され、当該ソレノイド16bが励磁されると、方向切替弁16の状態が下側のブロックの状態になる。これにより、流体圧源24から方向切替弁16、配管35及びポート38を介して他端部28に圧力流体が供給されると共に、一端部26からポート36、配管33及び方向切替弁16を介して該一端部26内の圧力流体が外部に排気される。この結果、ピストン32及びピストンロッド30は、他端部28から一端部26に向かって、一体的に変位する。
【0067】
従って、制御装置12から故障検出装置14を介してソレノイド16aとソレノイド16bとに交互に制御信号を供給すると、一端部26と他端部28との間で、ピストン32及びピストンロッド30を
図1の左右方向に往復移動させることができる。
【0068】
なお、一端部26又は他端部28からの圧力流体の排出経路の先には、サイレンサ34が配設されている。
【0069】
アクチュエータ18を構成する流体圧シリンダの一端部26側の外周面には、第1センサ20が配設され、一方で、流体圧シリンダの他端部28側の外周面には、第2センサ22が配設されている。第1センサ20及び第2センサ22は、リミットスイッチ又は磁気式スイッチであり、ピストン32が第1センサ20及び第2センサ22に対向する位置に変位したときに、当該ピストン32を検知し、その検知結果を検知信号として故障検出装置14に出力する。また、ピストン32の変位によって、当該ピストン32と第1センサ20及び第2センサ22とが対向しなくなったときに、第1センサ20及び第2センサ22は、検知信号の出力を停止する。
【0070】
故障検出装置14は、後述するように、第1センサ20及び第2センサ22からの検知信号を用いて一端部26と他端部28との間におけるピストン32の移動時間を算出し、算出した移動時間に基づいてアクチュエータ18の劣化又は故障等の異常の発生の有無を検出する。そして、故障検出装置14は、アクチュエータ18に異常が発生したことを示す検出結果を、検出信号として検出結果入力部12cに出力する。すなわち、故障検出装置14は、制御装置12から供給される制御信号と、第1センサ20及び第2センサ22からの各検知信号とをリアルタイムでモニタすると共に、設備の稼働時には、アクチュエータ18等の異常の検出処理を連続的に行うことが可能である。
【0071】
なお、
図1は、制御装置12が出力部12a、入力部12b及び検出結果入力部12cを有することにより、制御装置12と故障検出装置14との間で、各種の信号がパラレル通信で送受信される場合を図示している。異常検出システム10は、
図1の構成に限定されることはなく、
図2に示すように、制御装置12に通信部39を設け、当該通信部39と故障検出装置14との間をフィールドバス等によりシリアル接続し、各種の信号をシリアル通信により送受信してもよい。
【0072】
[故障検出装置の構成]
故障検出装置14は、
図3に示すように、センサ入力部40、出力信号入力部42、検出時間演算部44(移動時間算出部)、内部タイマ46、データ記憶処理部48、第1データ記憶部50(第1の記憶部)、統計処理部52(統計演算処理部)、第2データ記憶部54(第2の記憶部)、異常応答検出部56(異常検出部)、表示処理部58、表示部60、出力処理部62、及び、操作入力部64を有する。
【0073】
センサ入力部40には、第1センサ20及び第2センサ22(
図1及び
図2参照)から検知信号が入力される。センサ入力部40は、第1センサ20又は第2センサ22から検知信号が入力されたとき(検知信号の信号レベルがローレベルからハイレベルに切り替わったとき)、検知信号の立ち上がりエッジを検出し、検出結果を検出時間演算部44に出力する。また、センサ入力部40は、第1センサ20又は第2センサ22からの検知信号の入力が停止したとき(検知信号の信号レベルがハイレベルからローレベルに切り替わったとき)、検知信号の立ち下がりエッジを検出し、検出結果を検出時間演算部44に出力する。
【0074】
出力信号入力部42には、制御装置12の出力部12aから出力された制御信号が入力される。出力信号入力部42は、入力された制御信号を検出時間演算部44及び出力処理部62に出力する。出力処理部62は、入力された制御信号をソレノイド16a又はソレノイド16bに出力する。
【0075】
検出時間演算部44は、内部タイマ46の計時機能を利用して、制御信号が入力された時点から立ち下がりエッジの検出結果が入力された時点までの第1時間T1(第1の検知時間)を算出する。また、検出時間演算部44は、制御信号が入力された時点から立ち上がりエッジの検出結果が入力された時点までの第2時間T2(第2の検知時間)を算出する。そして、検出時間演算部44は、第1時間T1と第2時間T2との時間差(T2−T1)を、一端部26と他端部28との間のピストン32の移動時間T3として算出する。
【0076】
ここで、第1時間T1、第2時間T2及び移動時間T3は、一端部26と他端部28との間でのピストン32の変位方向に応じて、下記のように定義される。
【0077】
出力処理部62からソレノイド16aに制御信号が出力されることに起因して、一端部26側に位置するピストン32が他端部28に向かって変位する場合、第1センサ20は、ソレノイド16aに制御信号が供給されてから所定時間経過後にピストン32を検知できなくなり、検知信号の出力が停止に至る。これにより、センサ入力部40は、第1センサ20からの検知信号の立ち下がりエッジを検出することができる。
【0078】
従って、制御装置12からソレノイド16aまでの間、制御信号の供給にかかる時間遅れが小さければ、一端部26から他端部28に向かってピストン32が変位するときの第1時間T1は、制御装置12からの制御信号の供給開始時点から第1センサ20がピストン32を検知できなくなった時点までの時間とみなすことができる。
【0079】
また、他端部28へのピストン32の移動によって、当該ピストン32と第2センサ22とが対向すると、第2センサ22は、ピストン32を検知し、検知信号の出力を開始する。これにより、センサ入力部40は、第2センサ22からの検知信号の立ち上がりエッジを検出することができる。従って、一端部26から他端部28に向かってピストン32が変位するときの第2時間T2は、制御装置12からの制御信号の供給開始時点から第2センサ22がピストン32の検知を開始した時点までの時間とみなすことができる。
【0080】
そのため、一端部26から他端部28に向かってピストン32が変位するときのピストン32の移動時間T3は、第1センサ20からの検知信号の立ち下がりエッジの時点と、第2センサ22からの検知信号の立ち上がりエッジの時点との間の時間となる。
【0081】
一方、出力処理部62からソレノイド16bに制御信号が出力されることに起因して、他端部28側に位置するピストン32が一端部26に向かって変位する場合、第2センサ22は、ソレノイド16bに制御信号が供給されてから所定時間経過後にピストン32を検知できなくなり、検知信号の出力が停止に至る。これにより、センサ入力部40は、第2センサ22からの検知信号の立ち下がりエッジを検出することができる。
【0082】
従って、制御装置12からソレノイド16bまでの間、制御信号の供給にかかる時間遅れが小さければ、他端部28から一端部26に向かってピストン32が変位するときの第1時間T1は、制御装置12からの制御信号の供給開始時点から第2センサ22がピストン32を検知できなくなった時点までの時間とみなすことができる。
【0083】
また、一端部26へのピストン32の移動によって、当該ピストン32と第1センサ20とが対向すると、第1センサ20は、ピストン32を検知し、検知信号の出力を開始する。これにより、センサ入力部40は、第1センサ20からの検知信号の立ち上がりエッジを検出することができる。従って、他端部28から一端部26に向かってピストン32が変位するときの第2時間T2は、制御装置12からの制御信号の供給開始時点より第1センサ20がピストン32の検知を開始した時点までの時間とみなすことができる。
【0084】
そのため、他端部28から一端部26に向かってピストン32が変位するときのピストン32の移動時間T3は、第2センサ22からの検知信号の立ち下がりエッジの時点と、第1センサ20からの検知信号の立ち上がりエッジの時点との間の時間となる。
【0085】
このように算出された第1時間T1、第2時間T2及び移動時間T3は、検出時間演算部44からデータ記憶処理部48に出力される。データ記憶処理部48は、第1時間T1、第2時間T2及び移動時間T3を第1データ記憶部50に記憶(蓄積)する。
【0086】
なお、前述のように、異常検出システム10は、図示しない設備に組み込まれている。ここで、制御装置12から故障検出装置14を介してソレノイド16a、16bに交互に制御信号が供給されることにより、方向切替弁16は、アクチュエータ18の一端部26及び他端部28に対して選択的に圧力流体を供給する。これにより、ピストン32は、アクチュエータ18の内部において、
図1及び
図2の左右方向に往復移動する。
【0087】
そのため、実際に、第1センサ20及び第2センサ22は、ピストン32をそれぞれ検知し、検知結果を示す検知信号をセンサ入力部40に出力する。センサ入力部40は、各検知信号の立ち下がりエッジ又は立ち上がりエッジを検出し、検出結果を検出時間演算部44に出力する。従って、検出時間演算部44は、ソレノイド16a、16bに制御信号が交互に供給される毎に、第1時間T1、第2時間T2及び移動時間T3を算出し、データ記憶処理部48は、算出された第1時間T1、第2時間T2及び移動時間T3を第1データ記憶部50に逐次記憶する。
【0088】
統計処理部52は、第1データ記憶部50に記憶されている全ての第1時間T1及び移動時間T3のデータを、データ記憶処理部48を介して読み出し、読み出した第1時間T1及び移動時間T3のデータに対して所定の統計演算処理を実行する。統計演算処理の結果は、統計演算値として第2データ記憶部54に記憶される。異常応答検出部56は、第2データ記憶部54に記憶された統計演算値を少なくとも読み出し、読み出した統計演算値が所定の閾値を超えていれば、アクチュエータ18等の異常が発生したと判定する。異常応答検出部56での判定結果は、表示処理部58及び出力処理部62に出力される。表示処理部58は、前記判定結果に対して所定の表示処理を行い、表示部60に表示させる。出力処理部62は、入力された判定結果を検出信号として制御装置12に出力する。
【0089】
ここで、統計処理部52における統計演算処理、及び、異常応答検出部56における判定処理に関する2つの具体例(第1の具体例、第2の具体例)について説明する。
【0090】
[第1の具体例]
第1の具体例は、予め設定した値と第1時間T1又は移動時間T3とを用いて統計処理部52で統計演算処理を行い、前記統計演算処理で得られた統計演算値を用いて異常応答検出部56で判定処理を行うものである。
【0091】
第1の具体例において、予め設定した値とは、ピストン32の正常な移動時間T3n及び正常な第1時間T1n(正常値)とをいう。この場合、正常な移動時間T3nとは、アクチュエータ18の劣化や故障等の異常が発生していない状態(例えば、設置直後又は交換直後のアクチュエータ18の動作初期状態)における一端部26と他端部28との間のピストン32の移動時間T3をいう。また、正常な第1時間T1nとは、アクチュエータ18の劣化や故障等の異常が発生していない状態における第1時間T1をいう。
【0092】
すなわち、
図4に示すように、劣化や故障等の異常が発生していない正常なアクチュエータ18(実線で示す「正常品」)であれば、ピストン32の動作回数に関わりなく、移動時間T3は、概ね一定の時間となる。一方、異常が発生しているアクチュエータ18(破線で示す「異常発生品1」及び一点鎖線で示す「異常発生品2」)の場合、ピストン32の動作回数が所定回数を経過すると、正常品と比較して、移動時間T3が長くなる。
【0093】
つまり、異常発生品1及び異常発生品2の場合、正常品と比較して、ピストン32の動作回数が増えると、移動時間T3のバラツキが大きくなる。従って、正常品の移動時間T3と異常発生品1及び異常発生品2の移動時間T3との偏差は、動作回数が増加するほど大きくなる。また、異常発生品1及び異常発生品2の移動時間T3の平均値、標準偏差及び分散についても、動作回数が増加するほど、正常品の移動時間T3の平均値、標準偏差及び分散に対するバラツキが大きくなることが予想される。
【0094】
そこで、本実施形態では、正常な移動時間T3n及び正常な第1時間T1nが予め分かっている場合、テンキー等からなる操作入力部64を作業者が操作して、正常な移動時間T3n及び正常な第1時間T1nを予め設定する。設定された正常な移動時間T3n及び正常な第1時間T1nは、正常値として、第1データ記憶部50に記憶される。また、正常な移動時間T3n及び第1時間T1nは、表示処理部58を介して表示部60に表示され、さらには、出力処理部62を介して制御装置12に出力される。
【0095】
そのため、第1の具体例において、ピストン32が
図1及び
図2の左右方向に沿って往復移動することにより、検出時間演算部44で第1時間T1及び移動時間T3が逐次算出される。統計処理部52は、算出された第1時間T1及び移動時間T3が第1データ記憶部50に記憶される毎に、今回記憶された第1時間T1及び移動時間T3と、予め記憶された正常な第1時間T1n及び移動時間T3nとを第1データ記憶部50から読み出す。
【0096】
次に、統計処理部52は、第1時間T1と正常な第1時間T1nとの偏差の絶対値εT1(=|T1−T1n|)と、移動時間T3と正常な移動時間T3nとの偏差の絶対値εT3(=|T3−T3n|)とを算出する。算出された各絶対値εT1、εT3は、統計演算値として第2データ記憶部54に記憶される。
【0097】
次に、異常応答検出部56は、第2データ記憶部54に記憶された各絶対値εT1、εT3を読み出し、読み出した各絶対値εT1、εT3と所定の閾値TH1、TH3とを比較する。
【0098】
この場合、異常応答検出部56は、絶対値εT3が閾値TH3以内に納まっていれば(εT3≦TH3)、移動時間T3が正常な応答情報であるため、アクチュエータ18が正常であると判定する。一方、絶対値εT3が閾値TH3を超えていれば(εT3>TH3)、異常応答検出部56は、移動時間T3が異常な応答情報であるため、アクチュエータ18の異常が発生したと判定する。
【0099】
また、異常応答検出部56は、絶対値εT1が閾値TH1以内に納まっていれば(εT1≦TH1)、第1時間T1が正常な応答情報であるため、方向切替弁16とアクチュエータ18との間の配管33、35が正常であると判定する。一方、絶対値εT1が閾値TH1を超えていれば(εT1>TH1)、異常応答検出部56は、第1時間T1が異常な応答情報であるため、方向切替弁16とアクチュエータ18との間の配管33、35に異常が発生したと判定する。
【0100】
異常応答検出部56での上記の判定結果は、表示処理部58を介して表示部60に表示されるので、作業者は、アクチュエータ18の異常の有無や、方向切替弁16とアクチュエータ18との間の配管33、35の異常の有無を把握することができる。前述のように、第1データ記憶部50には、第1時間T1、T1n、第2時間T2及び移動時間T3、T3nが記憶され、第2データ記憶部54には、絶対値εT1、εT3が記憶されている。そのため、表示部60は、異常応答検出部56の判定結果と共に、第1時間T1、T1n、第2時間T2、移動時間T3、T3n、絶対値εT1、εT3及び閾値TH1、TH3を表示してもよい。
【0101】
また、異常応答検出部56での上記の判定結果は、出力処理部62を介して制御装置12に検出信号として出力される。これにより、制御装置12は、アクチュエータ18の異常、又は、方向切替弁16とアクチュエータ18との間の配管33、35の異常を示す判定結果であれば、ソレノイド16a、16bに対する制御信号の供給を停止することができる。この場合、出力処理部62は、検出信号に併せて、第1時間T1、T1n、第2時間T2、移動時間T3、T3n、絶対値εT1、εT3及び閾値TH1、TH3の各種の情報を制御装置12に出力してもよい。
【0102】
[第2の具体例]
図4に示すように、ピストン32の動作回数が増えると、正常品と比較して、異常発生品1及び異常発生品2の移動時間T3のバラツキが大きくなる。従って、異常発生品1及び異常発生品2の移動時間T3の平均値、標準偏差及び分散は、動作回数が増加するほど、正常品の移動時間T3の平均値、標準偏差及び分散に対するバラツキが大きくなることが予想される。
【0103】
そこで、第2の具体例では、第1時間T1及び移動時間T3に対する統計演算処理を統計処理部52で行い、異常応答検出部56では、統計演算処理により得られた統計演算値と、予め統計演算処理により得られた正常値とを比較することにより、アクチュエータ18等の異常の発生の有無を判定する。
【0104】
すなわち、第2の具体例において、第1時間T1及び移動時間T3に対する統計演算処理により得られる統計演算値とは、第1時間T1の平均値AVE1、標準偏差σ1又は分散σ1
2と、移動時間T3の平均値AVE3、標準偏差σ3又は分散σ3
2とをいう。
【0105】
また、予め統計演算処理により得られる正常値とは、正常なアクチュエータ18について、動作初期状態の一定期間をキャリブレーション時間とし、当該キャリブレーション時間内に得られた第1時間T1及び移動時間T3に対して統計演算処理により算出された平均値AVE1n、AVE3n、標準偏差σ1n、σ3n又は分散σ1n
2、σ3n
2をいう。従って、第2の具体例における正常値とは、
図4の正常品で得られる第1時間T1及び移動時間T3に応じた平均値、標準偏差又は分散をいう。これらの正常値は、第2データ記憶部54に記憶されている。
【0106】
そして、第2の具体例において、ピストン32が
図1及び
図2の左右方向に沿って往復移動することにより、検出時間演算部44で第1時間T1及び移動時間T3が逐次算出される。算出された第1時間T1及び移動時間T3が第1データ記憶部50に記憶される毎に、統計処理部52は、第1データ記憶部50に記憶されている全ての第1時間T1及び移動時間T3のデータを読み出す。
【0107】
次に、統計処理部52は、読み出した全ての第1時間T1のデータを用いて、平均値AVE1、標準偏差σ1又は分散σ1
2を算出すると共に、読み出した全ての移動時間T3のデータを用いて、平均値AVE3、標準偏差σ3又は分散σ3
2を算出する。算出された各平均値AVE1、AVE3、各標準偏差σ1、σ3、又は、各分散σ1
2、σ3
2は、統計演算値として第2データ記憶部54に一旦記憶される。
【0108】
次に、統計処理部52は、第2データ記憶部54から平均値AVE1n、AVE3n、標準偏差σ1n、σ3n又は分散σ1n
2、σ3n
2を読み出す。
【0109】
次に、統計処理部52は、平均値AVE1、AVE3と平均値AVE1n、AVE3nとの偏差の絶対値εAVE1(=|AVE1−AVE1n|)、εAVE3(=|AVE3−AVE3n|)を計算するか、標準偏差σ1、σ3と標準偏差σ1n、σ3nとの偏差の絶対値εσ1(=|σ1−σ1n|)、εσ3(=|σ3−σ3n|)を計算するか、又は、分散σ1
2、σ3
2と分散σ1n
2、σ3n
2との偏差の絶対値εσ1
2(=|σ1
2−σ1n
2|)、εσ3
2(=|σ3
2−σ3n
2|)を計算する。
【0110】
計算された各絶対値εAVE1、εAVE3、各絶対値εσ1、εσ3、又は、各絶対値εσ1
2、εσ3
2も、統計演算値として第2データ記憶部54に記憶される。
【0111】
異常応答検出部56は、第2データ記憶部54に記憶された各絶対値εAVE1、εAVE3、各絶対値εσ1、εσ3、又は、各絶対値εσ1
2、εσ3
2と、所定の閾値THAVE1、THAVE3、閾値THσ1、THσ3、又は、閾値THσ1
2、THσ3
2とを比較する。
【0112】
この場合、異常応答検出部56は、絶対値εAVE3、εσ3又はεσ3
2が閾値THAVE3、THσ3又はTHσ3
2以内に納まっていれば(εAVE3≦THAVE3、εσ3≦THσ3、又は、εσ3
2≦THσ3
2)、移動時間T3が正常な応答情報であるため、アクチュエータ18が正常であると判定する。一方、異常応答検出部56は、絶対値εAVE3、εσ3又はεσ3
2が閾値THAVE3、THσ3又はTHσ3
2を超えていれば(εAVE3>THAVE3、εσ3>THσ3、又は、εσ3
2>THσ3
2)、移動時間T3が異常な応答情報であるため、アクチュエータ18の異常が発生したと判定する。
【0113】
また、異常応答検出部56は、絶対値εAVE1、εσ1又はεσ1
2が閾値THAVE1、THσ1又はTHσ1
2以内に納まっていれば(εAVE1≦THAVE1、εσ1≦THσ1、又は、εσ1
2≦THσ1
2)、第1時間T1が正常な応答情報であるため、方向切替弁16とアクチュエータ18との間の配管33、35が正常であると判定する。一方、異常応答検出部56は、絶対値εAVE1、εσ1又はεσ1
2が閾値THAVE1、THσ1又はTHσ1
2を超えていれば(εAVE1>THAVE1、εσ1>THσ1、又は、εσ1
2>THσ1
2)、第1時間T1が異常な応答情報であるため、方向切替弁16とアクチュエータ18との間の配管33、35に異常が発生したと判定する。
【0114】
また、第2の具体例でも、異常応答検出部56での上記の判定結果は、表示処理部58を介して表示部60に表示されるので、作業者は、アクチュエータ18の異常の有無や、方向切替弁16とアクチュエータ18との間の配管33、35の異常の有無を把握することができる。また、第2の具体例でも、表示部60は、異常応答検出部56の判定結果と共に、第1時間T1、第2時間T2及び移動時間T3と、上記の統計演算値及び閾値とを表示してもよい。
【0115】
さらに、異常応答検出部56での上記の判定結果は、出力処理部62を介して検出信号として制御装置12に出力されるので、制御装置12は、アクチュエータ18の異常、又は、方向切替弁16とアクチュエータ18との間の配管33、35の異常を示す判定結果であれば、ソレノイド16a、16bに対する制御信号の供給を停止することができる。この場合、出力処理部62は、検出信号に併せて、第1時間T1、第2時間T2、移動時間T3と上記の統計演算値及び閾値との各種の情報を制御装置12に出力してもよい。
【0116】
なお、第2の具体例において、統計処理部52は、各平均値AVE1、AVE3、各標準偏差σ1、σ3、又は、各分散σ1
2、σ3
2のみ算出し、統計演算値として第2データ記憶部54に記憶してもよい。この場合、異常応答検出部56は、第2データ記憶部54から各平均値AVE1、AVE3、各標準偏差σ1、σ3、又は、各分散σ1
2、σ3
2と、正常値である各平均値AVE1n、AVE3n、標準偏差σ1n、σ3n、又は、分散σ1n
2、σ3n
2とを読み出し、読み出した統計演算値と正常値との偏差の絶対値を算出すればよい。従って、異常応答検出部56は、算出した偏差の絶対値と所定の閾値とを比較することで、アクチュエータ18の異常や、方向切替弁16とアクチュエータ18との間の配管33、35の異常を検知することができる。
【0117】
また、第2の具体例において、第2データ記憶部54に記憶された正常値としての平均値AVE1n、AVE3n、標準偏差σ1n、σ3n又は分散σ1n
2、σ3n
2は、正常なアクチュエータ18の動作初期状態の一定期間をキャリブレーション時間として、当該キャリブレーション時間内に、上述した平均値AVE1、AVE3、標準偏差σ1、σ3又は分散σ1
2、σ3
2の算出方法を適用することで、容易に取得することができる。
【0118】
但し、正常値を取得する場合には、キャリブレーション時間内に全ての第1時間T1及び移動時間T3のデータを第1データ記憶部50に記憶させた後、統計処理部52が、第1データ記憶部50に記憶されている全ての第1時間T1及び移動時間T3のデータを読み出し、読み出したデータの平均値AVE1n、AVE3n、標準偏差σ1n、σ3n又は分散σ1n
2、σ3n
2を算出して第2データ記憶部54に記憶すればよい。
【0119】
また、前述した第1の具体例では、作業者が操作入力部64を操作して正常値を設定しているが、第2の具体例と同様に、キャリブレーション時間内に平均値AVE1、AVE3を取得し、当該平均値AVE1、AVE3を正常値として第1データ記憶部50に設定してもよい。
【0120】
[異常検出システムの動作]
本実施形態に係る異常検出システム10は、以上のように構成される。次に、異常検出システム10の動作について、
図5を参照しながら説明する。なお、この動作説明では、必要に応じて、
図1〜
図4も参照しながら説明する。
【0121】
図5は、一端部26に位置するピストン32を他端部28まで変位させ、その後、ピストン32を一端部26まで変位させる当該ピストン32の一往復の動作を示すタイミングチャートである。
【0122】
この場合、「電磁弁A」及び「電磁弁B」は、ソレノイド16a、16bの動作(励磁、非励磁)、すなわち、ソレノイド16a、16bに供給される制御信号の波形を示す。また、「圧力A」及び「圧力B」は、アクチュエータ18における一端部26及び他端部28の内部圧力をそれぞれ示す。さらに、T1f、T2f、T3fは、一端部26から他端部28に向かってピストン32を変位させるときの第1時間T1、第2時間T2及び移動時間T3をそれぞれ示す。さらにまた、T1r、T2r、T3rは、他端部28から一端部26に向かってピストン32を変位させるときの第1時間T1、第2時間T2及び移動時間T3をそれぞれ示す。
【0123】
時点t0で制御装置12から故障検出装置14を介してソレノイド16aに制御信号が供給されると(制御信号の信号レベルがローレベルからハイレベルに変化すると)、方向切替弁16は、
図1及び
図2に示す上側のブロックの状態に切り替わる。これにより、流体圧源24から方向切替弁16、配管33及びポート36を介して、アクチュエータ18の一端部26に圧力流体が供給されると共に、他端部28からポート38、配管35、方向切替弁16及びサイレンサ34を介して外部に圧力流体が排出される。この結果、一端部26内の圧力は、時点t1から急激に上昇した後に緩やかに増加する。一方、他端部28内の圧力は、時点t1から急激に下降した後に、略一定となる。
【0124】
方向切替弁16から一端部26への圧力流体の供給によって、一端部26に位置するピストン32は、時点t2から他端部28に向かって変位する。この結果、時点t2において、第1センサ20は、ピストン32を検知することができなくなり、故障検出装置14のセンサ入力部40に対する検知信号の出力を停止する(検知信号の信号レベルがハイレベルからローレベルに変化する)。
【0125】
従って、センサ入力部40は、第1センサ20からの検知信号の立ち下がりエッジを検出し、検出結果を検出時間演算部44に出力する。検出時間演算部44は、内部タイマ46の計時機能により、ソレノイド16aに制御信号が供給される時点t0から立ち下がりエッジが検出された時点t2までの時間を第1時間T1fとして算出する。算出された第1時間T1fは、データ記憶処理部48を介して第1データ記憶部50に記憶される。
【0126】
その後、ピストン32が他端部28まで変位すると、第2センサ22は、時点t3においてピストン32を検知し、センサ入力部40に検知信号を出力する(検知信号の信号レベルがローレベルからハイレベルに変化する)。これにより、センサ入力部40は、第2センサ22からの検知信号の立ち上がりエッジを検出し、検出結果を検出時間演算部44に出力する。検出時間演算部44は、内部タイマ46の計時機能により、時点t0から立ち上がりエッジが検出された時点t3までの時間を第2時間T2fとして算出すると共に、第1時間T1fと第2時間T2fとの時間差をピストン32の移動時間T3f(=T2f−T1f)として算出する。算出された第2時間T2f及び移動時間T3fは、データ記憶処理部48を介して第1データ記憶部50に記憶される。
【0127】
これにより、統計処理部52は、第1データ記憶部50から第1時間T1f及び移動時間T3f等を読み出し、読み出した第1時間T1f及び移動時間T3f等に対して、前述した第1の具体例又は第2の具体例での所定の統計演算処理を実行し、演算処理後の統計演算値を第2データ記憶部54に記憶することができる。
【0128】
また、異常応答検出部56は、第2データ記憶部54から統計演算値を読み出し、読み出した統計演算値と所定の閾値とを比較することで、アクチュエータ18や、方向切替弁16とアクチュエータ18(のポート36)との間の配管33に異常が発生しているか否かを判定することができる。すなわち、移動時間T3fに関わる統計演算値が閾値を超えていれば、異常応答検出部56は、アクチュエータ18に劣化又は故障等の異常が発生していると判定する。また、第1時間T1fに関わる統計演算値が閾値を超えていれば、異常応答検出部56は、方向切替弁16とポート36との間の配管33に異常が発生していると判定する。なお、これらの判定結果は、表示部60に表示され、さらには、出力処理部62から制御装置12に検出信号として出力される。
【0129】
方向切替弁16は、
図1及び
図2に示すように、複動式電磁弁であるため、時点t4でソレノイド16aに対する制御信号の供給が停止しても、当該方向切替弁16の状態を維持することができる。
【0130】
その後、時点t5で制御装置12から故障検出装置14を介してソレノイド16bに制御信号が供給されると、方向切替弁16は、
図1に示す下側のブロックの状態に切り替わる。これにより、流体圧源24から方向切替弁16、配管35及びポート38を介して、アクチュエータ18の他端部28に圧力流体が供給されると共に、一端部26からポート36、配管33、方向切替弁16及びサイレンサ34を介して、外部に圧力流体が排出される。この結果、他端部28内の圧力は、時点t6から急激に上昇した後に一定値に落ち着く。一方、一端部26内の圧力は、時点t6から急激に下降した後に、緩やかに低下する。
【0131】
方向切替弁16から他端部28への圧力流体の供給によって、他端部28に位置するピストン32は、時点t7から一端部26に向かって変位する。この結果、時点t7において、第2センサ22は、ピストン32を検知することができなくなり、故障検出装置14のセンサ入力部40に対する検知信号の出力を停止する。
【0132】
従って、センサ入力部40は、第2センサ22からの検知信号の立ち下がりエッジを検出し、検出結果を検出時間演算部44に出力する。検出時間演算部44は、内部タイマ46の計時機能により、ソレノイド16bに制御信号が供給される時点t5から立ち下がりエッジが検出された時点t7までの時間を第1時間T1rとして算出する。算出された第1時間T1rは、データ記憶処理部48を介して第1データ記憶部50に記憶される。
【0133】
その後、ピストン32が一端部26まで変位すると、第1センサ20は、時点t8においてピストン32を検知し、センサ入力部40に検知信号を出力する。これにより、センサ入力部40は、第1センサ20からの検知信号の立ち上がりエッジを検出し、検出結果を検出時間演算部44に出力する。検出時間演算部44は、内部タイマ46の計時機能により、時点t5から立ち上がりエッジが検出された時点t8までの時間を第2時間T2rとして算出すると共に、第1時間T1rと第2時間T2rとの時間差をピストン32の移動時間T3r(=T2r−T1r)として算出する。算出された第2時間T2r及び移動時間T3rは、データ記憶処理部48を介して第1データ記憶部50に記憶される。
【0134】
これにより、統計処理部52は、第1データ記憶部50から第1時間T1r及び移動時間T3rを読み出し、読み出した第1時間T1r及び移動時間T3rに対して、第1の具体例又は第2の具体例での統計演算処理を実行し、演算処理後の統計演算値を第2データ記憶部54に記憶することができる。
【0135】
また、異常応答検出部56は、第2データ記憶部54から統計演算値を読み出し、読み出した統計演算値と所定の閾値とを比較することで、アクチュエータ18や、方向切替弁16とアクチュエータ18のポート38との間の配管35に異常が発生しているか否かを判定することができる。すなわち、移動時間T3rに関わる統計演算値が閾値を超えていれば、異常応答検出部56は、アクチュエータ18に劣化又は故障等の異常が発生していると判定する。また、第1時間T1rに関わる統計演算値が閾値を超えていれば、異常応答検出部56は、方向切替弁16とポート38との間の配管35に異常が発生していると判定する。なお、これらの判定結果も、表示部60に表示され、さらには、出力処理部62から制御装置12に検出信号として出力される。
【0136】
このように、ピストン32が一端部26と他端部28との間で一往復することにより、アクチュエータ18の異常の検出処理と、方向切替弁16とアクチュエータ18のポート36、38との間の配管33、35の異常の検出処理とを行うことができる。従って、異常検出システム10では、アクチュエータ18を含む設備が稼働中であっても、上記の異常の検出を行うことができる。
【0137】
[本実施形態の変形例]
図6及び
図7は、
図1及び
図2に示す複動式の方向切替弁16を単動式に置き換えたものである。従って、ソレノイド16bは、スプリング16cに置き換えられている。
図6及び
図7の構成では、ソレノイド16aに制御信号が供給されると、該ソレノイド16aが励磁され、方向切替弁16は、上側のブロックの状態となる。一方、ソレノイド16aに対する制御信号の供給が停止すると、ソレノイド16aが消磁され、方向切替弁16は、スプリング16cの作用により、下側のブロックの状態となる。
【0138】
ここで、
図6及び
図7の構成による動作は、
図5のタイミングチャートにおいて、一点鎖線で示すように、時点t5でソレノイド16aに対する制御信号の供給が停止する一方で、ソレノイド16bに対する制御信号の供給がない点で、
図1及び
図2の構成による動作とは異なる。すなわち、
図6及び
図7の構成は、ソレノイド16bがスプリング16cに置き換えられた点以外は、
図1及び
図2の構成と同様であるため、
図1及び
図2の構成と同様に動作する。
【0139】
図8は、特許文献2のシステムに異常検出システム10を適用した場合を図示したタイミングチャートである。このタイミングチャートは、特許文献2の
図10のタイミングチャートに、第1センサ20及び第2センサ22からの検知信号を追加したものである。従って、ピストン32の変位及び圧力の時間変化に関わる説明は、特許文献2に開示されているため、本明細書では、その詳細な説明を省略する。
【0140】
なお、T4〜T7は、特許文献2に記載されている「弁作動遅れ」、「充填域」、「加速域」及び「等速域」にそれぞれ対応する。また、時点t9は、
図5の時点t2に対応し、時点t10は、加速域から等速域に変化する時点であり、時点t11は、ピストン32が他端部28に到達して停止した時点である。
【0141】
このように、従来のシステムに異常検出システム10(を構成する故障検出装置14)を追加するだけで、アクチュエータ18の異常や、方向切替弁16とアクチュエータ18との間の配管33、35の異常を、容易に且つ簡易的に検出することができるので、当該異常検出システム10を低コストで構築することができる。
【0142】
[本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態に係る異常検出システム10によれば、ピストン32の移動時間T3、T3f、T3rに対して統計演算処理を行い、その処理結果に基づいてアクチュエータ18の異常が発生したか否かを検出する。そのため、アクチュエータ18を含む設備が稼働中であっても、当該設備を停止させることなく、アクチュエータ18の異常を検出することができる。この結果、設備の生産性を維持しつつ、アクチュエータ18の異常をオンライン且つリアルタイムで検出することが可能となる。
【0143】
また、従来、作業者の判断で設定(定義)されたメンテナンス時期を、自動的且つ数値的に管理することが可能となる。すなわち、作業者が定期的にメンテナンスを実施しなくても、異常検出システム10は、設備の稼働中に自動的にメンテナンスを実施し、アクチュエータ18からの応答情報である移動時間T3、T3f、T3rに基づいて、アクチュエータ18の異常の発生を判定する。しかも、異常検出システム10では、移動時間T3、T3f、T3rに対する統計演算処理の処理結果に基づき、アクチュエータ18の異常の発生の有無を、数値的に判定(管理)することができる。
【0144】
この結果、本実施形態では、メンテナンスにかかる工数が削減され、作業者の負担を著しく軽減することができ、アクチュエータ18を含む設備のメンテナンス性を向上させることができる。また、数値的に管理されることで、メンテナンスを担当する作業者に対する教育も容易になる。
【0145】
さらに、第1センサ20及び第2センサ22の検知信号に基づいて移動時間T3、T3f、T3rを算出するため、既存のセンサ(リミットスイッチ、磁気式スイッチ)をそのまま利用することができる。すなわち、既存のシステムに対して故障検出装置14を追加するだけで、異常検出システム10を構築することができる。従って、本実施形態では、アクチュエータ18の異常を簡易的且つ低コストで検出することが可能となる。
【0146】
また、第1データ記憶部50に移動時間T3、T3f、T3rが記憶(蓄積)されるので、ピストン32が一端部26と他端部28との間で往復移動する場合でも、統計処理部52は、第1データ記憶部50から移動時間T3、T3f、T3rを逐次読み出して統計演算処理を実行することができる。また、第2データ記憶部54に処理結果が記憶(蓄積)されるので、異常応答検出部56は、第2データ記憶部54から処理結果を適宜読み出して検出処理を行うことも可能となる。
【0147】
また、第1の具体例のように、予め設定された正常値(正常な移動時間T3n)と、実際に算出された移動時間T3、T3f、T3rとの比較に基づいて、アクチュエータ18の異常が発生したか否かが判定されるので、アクチュエータ18の異常の発生を正確に判定することができる。すなわち、アクチュエータ18が劣化すれば、第1センサ20及び第2センサ22の各検知信号に基づき移動時間T3、T3f、T3rを算出する毎に、偏差の絶対値εT3のバラツキが大きくなる。そのため、例えば、偏差の絶対値εT3が所定の閾値TH3よりも大きければ、アクチュエータ18の異常が発生したと容易に判定することができる。
【0148】
なお、正常な移動時間T3nは、アクチュエータ18の劣化や故障等の異常が発生していない状態(例えば、設置直後又は交換直後のアクチュエータ18の動作初期状態)における一端部26と他端部28との間のピストン32の移動時間T3であり、作業者が予め設定してもよいし、又は、故障検出装置14の製造時に第1データ記憶部50に記憶させてもよい。
【0149】
一方、第2の具体例では、アクチュエータ18の稼働中(ピストン32の往復移動中)に、アクチュエータ18の異常が発生したか否かを、リアルタイムで且つ容易に検出することができる。すなわち、統計処理部52は、実際に算出された移動時間T3、T3f、T3rのデータを用いて、当該データの平均値AVE3、標準偏差σ3又は分散σ3
2を逐次算出し、統計演算値として第2データ記憶部54に記憶する。
【0150】
また、異常応答検出部56は、第2データ記憶部54に記憶された統計演算値(平均値AVE3、標準偏差σ3又は分散σ3
2)と正常値(平均値AVE3n、標準偏差σ3n又は分散σ3n
2)との比較に基づいて、具体的には、統計演算値及び正常値の偏差の絶対値εAVE3、εσ3又はεσ3
2と、所定の閾値THAVE3、THσ3又はTHσ3
2とを比較することにより、アクチュエータ18の異常の発生を逐次判定することができる。
【0151】
また、アクチュエータ18が劣化すれば、第1センサ20及び第2センサ22の各検知信号に基づき移動時間T3を算出する毎に、平均値AVE3、標準偏差σ3又は分散σ3
2のバラツキが大きくなる。そのため、平均値AVE3、標準偏差σ3又は分散σ3
2に応じた絶対値εAVE3、εσ3又はεσ3
2が、所定の閾値THAVE3、THσ3又はTHσ3
2よりも大きければ、アクチュエータ18の異常が発生したと容易に判定することができる。
【0152】
第2の具体例では、設備へのアクチュエータ18の設置直後又は交換直後の動作初期状態において、一定期間をキャリブレーション時間とすることで、正常値が自動的に算出され、第2データ記憶部54に記憶される。これにより、正常値を効率よく設定することができる。
【0153】
また、第1時間T1と第2時間T2との時間差を移動時間T3として算出することにより、当該移動時間T3を容易に且つ正確に算出することができる。
【0154】
さらに、異常検出システム10では、アクチュエータ18の異常に加え、第1時間T1を利用して、方向切替弁16とアクチュエータ18との間の配管33、35の異常も検出することができる。なお、第1時間T1に対する統計演算は、移動時間T3、T3f、T3rに対する統計演算と同様の処理(平均値、標準偏差又は分散の算出)であればよい。
【0155】
また、PLC等からなる制御装置12は、故障検出装置14を介して方向切替弁16のソレノイド16a、16bに制御信号を供給し、一方で、故障検出装置14からアクチュエータ18等の異常の検出結果が検出信号として入力される。この結果、制御装置12は、アクチュエータ18等の異常をオンラインで把握(検出)することが可能となり、この検出結果に基づいて、制御信号の供給を停止する等の適切な対応を採ることができる。
【0156】
また、故障検出装置14は、アクチュエータ18等の異常を検出し、検出信号を制御装置12に出力するので、作業者は、アクチュエータ18等の異常を検出するための制御装置12用のコントロールプログラムを作成することが不要となる。この結果、異常検出システム10の構築にかかる作業者の負担を低減することができる。
【0157】
また、作業者は、表示部60の表示内容を視認することにより、アクチュエータ18の異常の発生等を把握することができ、設備の停止やアクチュエータ18の交換等の適切な対応を迅速に採ることができる。
【0158】
なお、本発明は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。