特許第6011895号(P6011895)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6011895銅薄膜付基材用アンダーコート剤、銅薄膜付基材及び銅薄膜付基材の製造方法、並びに導電性フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011895
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】銅薄膜付基材用アンダーコート剤、銅薄膜付基材及び銅薄膜付基材の製造方法、並びに導電性フィルム
(51)【国際特許分類】
   C09D 133/00 20060101AFI20161011BHJP
   B32B 15/095 20060101ALI20161011BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20161011BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20161011BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20161011BHJP
   C09D 4/00 20060101ALI20161011BHJP
   C09D 133/20 20060101ALI20161011BHJP
   C09D 133/26 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   C09D133/00
   B32B15/095
   B32B15/08 J
   B32B15/08 101
   C09D5/00 D
   C09D175/04
   C09D4/00
   C09D133/20
   C09D133/26
【請求項の数】17
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-191069(P2015-191069)
(22)【出願日】2015年9月29日
(65)【公開番号】特開2016-69653(P2016-69653A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2015年12月14日
(31)【優先権主張番号】特願2014-199934(P2014-199934)
(32)【優先日】2014年9月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山崎 彰寛
(72)【発明者】
【氏名】東本 徹
(72)【発明者】
【氏名】近藤 洋平
【審査官】 櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−61850(JP,A)
【文献】 特開2010−65124(JP,A)
【文献】 特開2008−239911(JP,A)
【文献】 特開2014−19153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 133/00
B32B 15/08
B32B 15/095
C09D 4/00
C09D 5/00
C09D 133/20
C09D 133/26
C09D 175/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基、アルキルエステル基及びニトリル基並びに場合により一級アミド基を有するアクリルコポリマー(A)と、
イソシアネート基を少なくとも3つ有するポリイソシアネート(B)と、
炭素−炭素二重結合含有基を少なくとも3つ有する活性エネルギー線重合型化合物(C)と、
一般式(1):X−Si(R(OR3−a(式(1)中、Xは、水酸基、イソシアネート基及び重合性炭素−炭素二重結合含有基からなる群より選ばれる少なくとも一種と反応する官能基を含む基を、Rは水素又は炭素数1〜8の炭化水素基を、Rは炭素数1〜8の炭化水素基を、aは0、1又は2を示す。)で表される反応性アルコキシシリル化合物(D)と、
を含有する、銅薄膜付基材用アンダーコート剤。
【請求項2】
(A)成分が、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a1)、アルキル(メタ)アクリレート(a2)(水酸基を有するものを除く。)及び(メタ)アクリロニトリル(a3)並びに必要により(メタ)アクリルアミド(a4)を反応させたものである、請求項1のアンダーコート剤。
【請求項3】
(A)成分の水酸基価が30〜150mgKOH/gであり、かつ、ガラス転移温度が0〜100℃である、請求項1又は2のアンダーコート剤。
【請求項4】
(B)成分が、ジイソシアネート化合物のアダクト体、イソシアヌレート体及びビウレット体からなる群より選ばれる1種の誘導体(b1)である、請求項1〜3のいずれかのアンダーコート剤。
【請求項5】
(A)成分に含まれる水酸基と(B)成分に含まれるイソシアネート基の当量比〔NCO/OH〕が0.2〜5である、請求項1〜4のいずれかのアンダーコート剤。
【請求項6】
(C)成分が、分子内に3〜6個の(メタ)アクリロイル基及び少なくとも1個の水酸基を有する活性エネルギー線重合型化合物(C1)並びに/又は分子内に3〜6個の(メタ)アクリロイル基を有しかつ水酸基を有さない活性エネルギー線重合型化合物(C2)である、請求項1〜5のいずれかのアンダーコート剤。
【請求項7】
(D)成分を表す前記一般式(1)のXにおける官能基が、イソシアネート基、チオール基、アミノ基、エポキシ基、酸無水物基、及びビニル基からなる群より選ばれる1種である、請求項1〜6のいずれかのアンダーコート剤。
【請求項8】
更に無機粒子(E)を含有する、請求項1〜7のいずれかのアンダーコート剤。
【請求項9】
更に光重合開始剤(F)を含有する、請求項1〜8のいずれかのアンダーコート剤。
【請求項10】
更に有機溶剤(G)を含有する、請求項1〜9のいずれかアンダーコート剤。
【請求項11】
基材の表面に、請求項1〜10のいずれかのアンダーコート剤が硬化してなるアンダーコート層及び銅薄膜層がこの順で積層されてなる、銅薄膜付基材。
【請求項12】
基材がプラスチックである請求項11の銅薄膜付基材。
【請求項13】
プラスチックがプラスチックフィルムである請求項12の銅薄膜付基材。
【請求項14】
プラスチックフィルムがポリエステルフィルムである請求項13の銅薄膜付基材。
【請求項15】
基材の表面に、
請求項1〜10のいずれかのアンダーコート剤を塗布し、
該基材に熱を加えた後、更に活性エネルギー線を照射することにより硬化アンダーコート層を形成し、
当該硬化アンダーコート層上に銅薄膜層を形成することを特徴とする、
銅薄膜付基材の製造方法。
【請求項16】
前記硬化アンダーコート層上に銅薄膜層を形成する方法が、真空蒸着法又はスパッタリング法である、請求項15の製造方法。
【請求項17】
請求項11〜14のいずれかの銅薄膜付基材又は請求項15〜16のいずれかの製造方法で得られる銅薄膜付基材を用いてなる導電性フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種基材の表面に銅薄膜を形成するために用いるアンダーコート剤、該アンダーコート剤からなる層を有する銅薄膜付基材及びその製造方法、並びに該銅薄膜付基材を用いてなる導電性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書において「銅薄膜付基材」とは、プラスチック成形品やプラスチックフィルム、金属、ガラス、紙、ナノセルロース紙、木材等の各種基材の表面に銅薄膜が形成されてなる物品をいう。以下、ITO(酸化インジウム錫)からなる導電層を表面に有するフィルム(以下、ITOフィルムともいう。)の代替品として位置づけられる、銅蒸着膜からなる導電層を表面に有するフィルム(以下、銅蒸着プラスチックフィルムともいう。)を例に挙げ、背景技術について説明する。
【0003】
ITOフィルムは、透明性と導電性に優れるため、スマートフォンやタブレットPC等のタッチパネル用の電極フィルムとして賞用されている。しかし、インジウムが高価なレアメタルであるためコストの面で問題があり、またITO層が一般に硬く脆いため曲げや変形に弱い等加工性の点で課題がある。
【0004】
そこで斯界では、ITOに代えて、成膜性を有する有機導電性高分子(例えば、ポリチオフェンやポリアニリン、ポリピロール等)を導電材として用いる試みもなされている。しかし、有機導電性高分子一般に強く着色しているため、それらを導電層とする導電性フィルムないし電極フィルムは色調の点で問題が残る。この点、色調を改善するためには有機導電性高分子の使用量を減らせば良いが、導電性が損なわれる。
【0005】
一方、斯界では、ITOフィルムに代えて銅蒸着プラスチックフィルムの検討がなされている。このものは、銅がITOよりも低抵抗率であることに起因し、ITOフィルムと遜色ない導電性を示し、また加工性も良好であり、何より安価である。そのため、銅蒸着プラスチックフィルムは各種電子機器の電極フィルムとして有用であり、例えばタッチパネルの更なる大画面化や、インタラクティヴ型のデジタル・サイネージとしての有効活用に寄与すると考えられている。
【0006】
銅蒸着プラスチックフィルムは、一般には、基材となるフィルム面にニッケルを真空蒸着させ、その上に更に銅を真空蒸着させることにより得られる。このニッケル蒸着層は、フィルムと銅蒸着層とをより強く密着させるためのアンカー層として機能する。そして、得られた銅蒸着プラスチックフィルムにレジストを塗布し、電極パターンを描写した後でエッチング液(アルカリ溶液及び/又は酸性溶液)に浸漬し、レジストを除去することによって、電極フィルムが得られる。
【0007】
ところが、前記銅蒸着プラスチックフィルムには、ニッケルが耐アルカリ性及び耐酸性に乏しいことから、エッチング処理後に銅蒸着層が基材フィルムから剥離したり、脱落したりする問題があった。
【0008】
また、前記したように銅蒸着プラスチックフィルムはITOフィルムと比較して安価であるとはいえ、アンカー層をなすニッケルが銅よりも高価であるため、そのぶん割高である。そこで斯界では、有機高分子を主成分とするアンダーコート剤をアンカー層とする銅蒸着プラスチックフィルムも検討されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平5−28835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、基材と銅薄膜との初期密着性のみならず、該銅薄膜基材をアルカリ溶液及び酸性溶液で処理した後の基材と銅薄膜との密着性(耐アルカリ密着性、耐酸密着性)においても優れる、新規なアンダーコート剤を提供することを主たる課題とする。
【0011】
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、所定の水酸基含有アクリルコポリマーを主剤とし、所定のポリイソシアネートを硬化剤とする組成物に、更に所定の活性エネルギー線硬化型化合物と反応性アルコキシシリル化合物を配合してなる、熱と活性エネルギー線の双方で硬化するアンダーコート剤によれば、前記課題を解決できることを見出した。
【0012】
即ち本発明は、水酸基、アルキルエステル基及びニトリル基並びに場合により一級アミド基を有するアクリルコポリマー(A)と、イソシアネート基を少なくとも3つ有するポリイソシアネート(B)と、炭素−炭素二重結合含有基を少なくとも3つ有する活性エネルギー線重合型化合物(C)と、一般式(1):X−Si(R(OR3−a(式(1)中、Xは、水酸基、イソシアネート基及び重合性炭素−炭素二重結合含有基からなる群より選ばれる少なくとも一種と反応する官能基を含む基を、Rは水素又は炭素数1〜8の炭化水素基を、Rは炭素数1〜8の炭化水素基を、aは0、1又は2を示す。)で表される反応性アルコキシシリル化合物(D)とを含有する、銅薄膜付基材用アンダーコート剤に関する。
【0013】
また、本発明は、当該アンダーコート剤からなる層を有する銅薄膜付基材及びその製造方法、並びに該銅薄膜付基材を用いてなる導電性フィルムに関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のアンダーコート剤は、前記したように、熱と活性エネルギー線の双方で硬化するタイプの組成物であり、これによれば、プラスチック等の各種基材と銅薄膜との初期密着性のみならず、耐アルカリ密着性及び耐酸密着性が良好になる(以下、これらを単に密着性と総称することがある。)。また、当該アンダーコート剤には活性エネルギー線で硬化する成分を含めているため、アンダーコート皮膜に優れた硬度を付与することもできる。
【0015】
また、本発明のアンダーコート剤を用いて得られる銅薄膜付基材は、特に耐アルカリ密着性及び耐酸密着性が良好である。そのため、該銅薄膜付基材をエッチング液に浸漬しても銅薄膜が脱落し難い。また、当該銅薄膜付基材は、アンダーコート層に優れた硬度を付与できるため、当該基材の製造工程において、銅薄膜面の耐傷付性が良好となる他、該銅薄膜面がメッシュ形状の場合には、欠損が生じ難くなる。
【0016】
本発明の銅薄膜プラスチックフィルムは、各種用途に供し得るが、そのうち特に銅蒸着フィルムや、スパッタリング法により銅の極薄膜を形成してなるフィルムは、ITOフィルムを代替する電極フィルムとして好適である。また、該電極フィルムは、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノートPC、オールインワンPC及びデジタル・サイネージ等に供し得る。
【0017】
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の銅薄膜付基材用アンダーコート剤(以下、単にアンダーコート剤ともいう。)は、水酸基、アルキルエステル基及びニトリル基並びに場合により一級アミド基を有するアクリルコポリマー(A)(以下、(A)成分ともいう。)と、イソシアネート基を少なくとも3つ有するポリイソシアネート(B)(以下、(B)成分ともいう。)、炭素−炭素二重結合含有基を少なくとも3つ有する活性エネルギー線重合型化合物(C)(以下、(C)成分ともいう。)、及び所定の式で表される反応性アルコキシシリル化合物(D)(以下、(D)成分ともいう。)を含む非水系の組成物である。
【0019】
(A)成分は、分子内に水酸基とニトリル基を極性基として有するため、前記密着性、特に前記耐酸密着性及び耐アルカリ密着性に寄与する。また、(A)成分に更に一級アミド基を導入した場合、前記耐酸密着性及び耐アルカリ密着性が一層向上する。
【0020】
(A)成分としては、各種公知のものを特に限定なく使用できるが、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a1)(以下、(a1)成分ともいう。)、アルキル(メタ)アクリレート(a2)(水酸基を有するものを除く。)(以下、(a2)成分ともいう。)及び(メタ)アクリロニトリル(a3)(以下、(a3)成分ともいう。)並びに必要により(メタ)アクリルアミド(a4)を反応成分とするものが好ましい。
【0021】
(a1)成分は、主剤である(A)成分に水酸基を導入し、これと専ら(B)成分とを反応させ、アンダーコート層内に架橋構造を導入するために使用する。架橋構造が導入された結果、該アンダーコート層は所期の密着性と硬度を奏するようになる。
【0022】
(a1)成分としては、分子内に(メタ)アクリロイル基とヒドロキシアルキルエステル基とを有する化合物であれば、各種公知のものを特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
(a2)成分としては、分子内に(メタ)アクリロイル基とアルキルエステル基(ヒドロキシアルキル基を除く。)を有する化合物であれば、各種公知のものを特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンタニル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも密着性の点より、アルキルエステル基の炭素数が1〜6程度のものが好ましい。
【0024】
(a3)成分としては、具体的には、例えばアクリロニトリル及び/又はメタクリロニトリルが挙げられる。
【0025】
(a4)成分としては、具体的には、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド及びN−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。
【0026】
前記各成分の使用量は特に限定されないが、密着性等の観点より、通常は以下の範囲とするのがよい。
【0027】
<(a4)成分を使用しない場合>
(a1)成分:通常5〜35モル%程度、好ましくは8〜25モル%程度
(a2)成分:通常10〜95モル%程度、好ましくは30〜70モル%程度
(a3)成分:通常5〜80モル%程度、好ましくは15〜65モル%程度
【0028】
<(a4)成分を使用する場合>
(a1)成分:通常5〜35モル%程度、好ましくは8〜25モル%程度
(a2)成分:通常10〜87モル%程度、好ましくは30〜70モル%程度
(a3)成分:通常5〜80モル%程度、好ましくは15〜65モル%程度
(a4)成分:通常3〜55モル%程度、好ましくは5〜40モル%程度
【0029】
なお、本発明においては、前記(a1)成分〜(a4)成分以外のビニルモノマーを(A)成分の反応成分に含めることができる。具体的には、例えば2,4,4−トリメチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、ビニルシクロヘキサン及び2−メチルビニルシクロヘキサン等のαオレフィン類;(メタ)アリルアルコール、4−ペンテン−1−オール、1−メチル−3−ブテン−1−オール及び5−ヘキセン−1−オール等の不飽和アルコール類;スチレン、α−メチルスチレン及びt−ブチルスチレン等のスチレン類;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル及び(メタ)アクリル酸4−メチルベンジル等のアリール(メタ)アクリレート類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート及びジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類並びにそれらの塩類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド並びにそれらの塩類;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸並びにそれらの塩類等の連鎖移動性モノマー類;ビニルアミン、(メタ)アクリル酸アミノエチル、アリルメルカプタン及びグリシジル(メタ)アクリレート等の他の単官能モノマー類;メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド及びヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド類;エチレングリコールジ(メタ)アクリルエステル及びジエチレングリコールジ(メタ)アクリルエステル等のジ(メタ)アクリルエステル類;アジピン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル等のジビニルエステル類;ジアリルジメチルアンモニウム、ジアリルフタレート、ジアリルクロレンデート及びジビニルベンゼン等の二官能性モノマー類;1,3,5トリアクリロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルアミン、トリアリルトリメリテート及びN,N−ジアリルアクリルアミド等の三官能性モノマー類;テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラアリルピロメリテート及びN,N,N’,N’−テトラアリル−1,4ジアミノブタン等の四官能性モノマー類等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの使用量も特に限定されないが、通常、前記(a1)成分〜(a4)成分に対して10モル%未満である。
【0030】
(A)成分は、各種公知の方法で製造できる。具体的には、例えば、(a1)成分、(a2)成分及び(a3)成分、並びに必要に応じて(a4)成分及びその他のモノマーを、無溶剤下、或いは、後述する有機溶剤(G)の中で、通常はラジカル重合開始剤の存在下、80〜180℃程度において、1〜10時間程度共重合反応させることにより得ることができる。また、有機溶剤(G)の使用量は、通常、(A)成分を含む溶液の固形分重量が10〜50重量%程度となる範囲である。
【0031】
ラジカル重合開始剤としては、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2、2’−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)及びジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、その使用量は通常、(A)成分を構成する反応成分の総重量に対して0.1〜2重量%程度となる範囲である。
【0032】
(A)成分の物性は特に限定されないが、初期密着性、耐酸密着性及び耐アルカリ密着性、並びに塗膜硬度等の観点より、通常水酸基価が30〜150mgKOH/g程度であり、かつ、ガラス転移温度が0〜100℃程度であるのがよく、特に水酸基価が50〜100mgKOH/g程度であり、かつ、ガラス転移温度が10〜70℃程度であるのが好ましい。
【0033】
(B)成分は、主剤である(A)成分の硬化剤として機能する成分であり、分子内イソシアネート基を少なくとも3つ有するポリイソシアネートであれば、各種公知のものを特に制限なく使用できる。また、(B)成分は、後述の(C)成分及び(D)成分のうちイソシアネート反応性官能基(水酸基、アミノ基等)を有するものとも反応し、本発明に係るアンダーコート層に架橋構造を与える。
【0034】
(B)成分の具体例としては、ジイソシアネート化合物のビウレット体、ヌレート体及びアダクト体からなる群より選ばれる1種の誘導体(b1)(以下、(b1)成分ともいう。)、該(b1)成分とジオール化合物との反応物(b2)(以下、(b2)成分ともいう。)、トリイソシアネート化合物(b3)((b1)成分及び(b2)成分に該当するものを除く。)(以下、(b3)成分ともいう。)、並びにその他のポリイソシアネート化合物(以下、(b4)成分ともいう。)からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0035】
(b1)成分を構成するジイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及びリジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、並びにジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート及び水添トリレンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートが挙げられる。
【0036】
なお、前記ジイソシアネート化合物のビウレット体は、下記構造式によって表される。
【0037】
(式中、Rは前記ジイソシアネート化合物の残基を表す。)
【0038】
また、前記ジイソシアネート化合物のヌレート体は、下記構造式によって表される。
【0039】
【化1】
(式中、Rは、前記ジイソシアネート化合物の残基を表す。)
【0040】
また、前記ジイソシアネート化合物のアダクト体は、下記構造式によって表される。
【0041】
【化2】
【0042】
(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基又はOCN−R−HN−C(=O)−O−CH−で示される官能基を表し、Rは前記ジイソシアネート化合物の残基を表す。)
【0043】
(b2)成分を構成するジオール化合物は、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特に炭素数2〜20程度、好ましくは4〜8程度のものが好ましい。
【0044】
(b2)成分は、各種公知の方法で製造できる。具体的には、例えば、前記(b1)成分と前記ジオール化合物とを、前者のイソシアネート基(NCO’)と後者の水酸基(OH’)との当量比[NCO’/OH’]が通常5〜20程度、好ましくは10〜20程度となる範囲で、通常40〜80℃の下、1〜5時間程度、ウレタン化反応させることによって、得ることができる。また、得られる(b2)成分は、そのイソシアネート基当量が通常1〜10meq/g程度、好ましくは3〜6meq/g程度である。
【0045】
(b3)成分としては、例えば、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニール)チオホスフェート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート及びビシクロヘプタントリイソシアネート等のトリイソシアネート、並びに6官能のポリイソシアネート(製品名「デュラネートMHG−80B」、旭化成ケミカルズ(株)製)等が挙げられる。
【0046】
(B)成分としては、前記初期密着性、耐酸密着性及び耐アルカリ密着性のバランスの観点より、前記(b1)成分が、特に前記脂肪族ジイソシアネートを構成成分とする(b1)成分が好ましい。
【0047】
(A)成分と(B)成分の使用量比は特に限定されないが、密着性及び塗膜硬度等の観点より、(A)成分の水酸基と(B)成分のイソシアネート基とのモル比(NCO/OH)が通常0.2〜5程度、好ましくは1〜2となる範囲であるのがよい。
【0048】
(C)成分としては、分子内に炭素−炭素二重結合含有基を少なくとも3つ有する活性エネルギー線重合型化合物であれば、各種公知のものを特に制限なく使用することができる。また、当該含有基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、アクリロイル基及びメタクリロイル基等が挙げられる。
【0049】
(C)成分の好ましい具体種としては、分子内に3〜6個の(メタ)アクリロイル基及び少なくとも1個の水酸基を有する活性エネルギー線重合型化合物(C1)(以下、(C1)成分ともいう。)、分子内に3〜6個の(メタ)アクリロイル基を有しかつ水酸基を有さない活性エネルギー線重合型化合物(C2)(以下、(C2)成分ともいう。)、分子内に3〜6個のアリル基及び少なくとも1個の水酸基を有する活性エネルギー線重合型化合物(C3)(以下、(C3)成分ともいう。)、並びに分子内に3〜6個のアリル基を有しかつ水酸基を有さない活性エネルギー線重合型化合物(C4)(以下、(C4)成分ともいう。)からなる群より選ばれる少なくとも一種が挙げられる。これらの中でも水酸基を有するものは、当該水酸基が前記(B)成分、及び後述の(D)成分のうち水酸基と反応するものと化学結合し、本発明のアンダーコート層に架橋構造を形成する結果、その硬度が高まるため一層好ましい。
【0050】
(C1)成分としては、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノヒドロキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
【0051】
(C2)成分としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート及びグリセロールトリ(メタ)アクリレート等の水酸基不含有(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
【0052】
(C3)成分としては例えばペンタエリスリトールモノヒドロキシトリアリルエーテルが、また(C4)成分としては例えばクエン酸トリアリル等のビニル化合物が挙げられる。
【0053】
(C)成分の使用量は特に限定されないが、通常、(A)成分及び(B)成分を100重量部(固形分換算)とした場合において、通常10〜500重量部程度、好ましくは30〜300重量部程度(いずれも固形分換算)となる範囲である。
【0054】
なお、(C)成分とともに、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート及びビスフェノールAのエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類、ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート及びポリエステルポリ(メタ)アクリレート等のオリゴマー、並びに2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート及びイソボニル(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート類を併用できる。
【0055】
(D)成分は、一般式(1):X−Si(R(OR3−a(式(1)中、Xは、水酸基、イソシアネート基及び重合性炭素−炭素二重結合含有基からなる群より選ばれる少なくとも一種と反応する官能基を含む基を、Rは水素又は炭素数1〜8の炭化水素基を、Rは炭素数1〜8の炭化水素基を、aは0、1又は2を示す。)で表される反応性アルコキシシリル化合物である。
【0056】
(D)成分を表す前記一般式(1)のXにおける官能基としては、例えば、イソシアネート基、チオール基、アミノ基、エポキシ基、酸無水物基、及びビニル基からなる群より選ばれる1種が挙げられる。
【0057】
における官能基がイソシアネート基の化合物としては、例えば、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランや、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン及び3−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0058】
における官能基がチオール基の化合物としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランや、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン及び3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0059】
における官能基がアミノ基の化合物としては、例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン及び3−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン等が挙げられる。
【0060】
における官能基がエポキシ基の化合物としては、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン及び3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0061】
における官能基が酸無水物基の化合物としては、例えば、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物が挙げられる。
【0062】
における官能基がビニル基の化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン及び3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0063】
(D)成分の使用量は特に限定されないが、通常、(A)成分及び(B)成分を100重量部(固形分換算)とした場合において、通常5〜50重量部程度、好ましくは20〜40重量部程度となる範囲である。
【0064】
本発明のアンダーコート剤には、必要に応じて各種公知の無機粒子(E)(以下、(E)成分ともいう。)を含めることができる。具体的には、例えば、シリカ、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛、酸化錫、ジルコニア、ITO(インジウム錫オキサイド)、ATO(アンチモン錫オキサイド)、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウム等の粒子が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特にシリカ及び/又はアルミナが好ましい。また、(E)成分の表面は各種処理が施されていてもよい。また、(E)成分のメディアン径(d50)は特に限定されないが、通常、10nm〜5μm程度である。
【0065】
(E)成分の使用量は特に限定されないが、通常、(A)成分及び(B)成分を100重量部(固形分換算)とした場合において、通常1〜20重量部程度、好ましくは5〜10重量部程度となる範囲である。
【0066】
本発明のアンダーコート剤には、更に光重合開始剤(F)(以下、(F)成分ともいう。)を含めることができる。
【0067】
(F)成分の具体種としては、例えば、ベンゾフェノン、4’−(メチルチオ)−α−モルホリノ−α−メチルプロピオフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルーベンジル)−1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルホルメート、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4−モルホリノブチロフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−1−フェニル−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(ヘキシル)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン及び2−エチル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1並びに特開2014−1390号公報に記載されている光重合開始剤等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、(F)成分としては、例えば、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア500、イルガキュア1000、イルガキュア149、イルガキュア261及びダロキュア1173等の市販品を使用できる。また、これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせることができる。
【0068】
(F)成分の使用量は特に限定されないが、通常、(C)成分を100重量部(固形分換算)とした場合において、通常0.1〜10重量部程度、好ましくは1〜5重量部程度となる範囲である。
【0069】
(F)成分の助剤として、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,4−ジエチルチオキサントン及び2,4−ジイソプロピルチオキサントン等を併用することができる。また、これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせることができる。
【0070】
本発明のアンダーコート剤には、更に有機溶剤(G)(以下、(G)成分ともいう。)を含めることができる。具体的には、例えば、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンの低級ケトン類、トルエン等の芳香族炭化水素類、エチルアルコール及びプロピルアルコール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びエチルセロソルブアセテート等のエーテルエステル類、酢酸エチル、クロロホルム及びジメチルホルムアミドが挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0071】
(G)成分の使用量は特に限定されないが、通常、本発明のアンダーコート剤の固形分濃度が通常1〜60重量%程度となる範囲である。
【0072】
本発明のアンダーコート剤には、更にウレタン化触媒を含めることができる。具体的には、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート及びオクチル酸ビスマス等の有機金属触媒や、ジアザビシクロオクタン、ジメチルシクロヘキシルアミン、テトラメチルプロピレンジアミン、エチルモルホリン、ジメチルエタノールアミン、トリエチルアミン及びトリエチレンジアミン等の有機アミン系触媒等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、該ウレタン化触媒の使用量は特に限定されないが、通常、(A)成分及び(B)成分を100重量部(固形分換算)とした場合において、通常0.01〜0.5重量部程度、好ましくは0.05〜0.2重量部程度となる範囲である。
【0073】
また、本発明のアンダーコート剤には、必要に応じてポリチオール化合物を含めることができる。具体的には、例えば、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)及びジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトブチレート)等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。該ポリチオール化合物の使用量は特に限定されないが、通常、(A)成分及び(B)成分を100重量部(固形分換算)とした場合において、通常1〜20重量部程度、好ましくは5〜10重量部程度となる範囲である。
【0074】
なお、ポリチオール化合物を使用する場合には、本発明のアンダーコート剤のポットライフを高めるため、各種公知のエン−チオール反応抑制剤を使用できる。具体的には、例えば、トリフェニルホスフィン及び亜リン酸トリフェニル等のリン系化合物、p−メトキシフェノ−ル、ハイドロキノン、ピロガロ−ル、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコ−ル、塩化第一銅、2、6ージ−tert−ブチル−p−クレゾ−ル、2、2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノ−ル)、2、2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノ−ル)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩及びジフェニルニトロソアミン等のラジカル重合禁止剤、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジアミノメチル)フェノール及びジアザビシクロウンデセン等の3級アミン類、並びに2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチルへキシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール及び1−シアノエチル−2‐メチルイミダゾール等のイミダゾール類等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0075】
本発明のアンダーコート剤には、その他、レベリング剤、酸化防止剤、重合禁止剤及び紫外線吸収剤等の添加剤を含めることができる。
【0076】
本発明の銅薄膜付基材は、各種基材の表面に、本発明のアンダーコート剤が硬化してなるアンダーコート層及び銅薄膜層がこの順で積層されてなる複合基材である。
【0077】
前記基材としては、例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレン及びポリプロピレン等のプラスチック素材のみならず、金属、ガラス、紙、ナノセルロース紙及び木材等の非プラスチック素材挙げられる。また、これら基材の形状も特に限定されず、例えば球状、円柱状、直方体状、板状、フィルム状であってよく、また、それらの表面の一部には凹凸や曲面が存在していてもよい。本発明の銅薄膜付基材を導電性フィルムとして用いる場合には、基材は、耐熱性や光学特性等の点よりプラスチックフィルムが、特にポリエステルフィルムが好ましい。また、該基材フィルムの厚みも特に限定されないが、通常、50〜200μm程度である。
【0078】
前記硬化アンダーコート層の厚みは特に限定されないが、通常0.1〜5μm程度である。
【0079】
前記銅薄膜層としては、例えば、銅蒸着膜、銅スパッタ膜及び銅CVD膜が挙げられる。本発明の銅薄膜付フィルムを電極フィルムに供する場合には、該銅薄膜としては、特に銅蒸着膜又は銅スパッタ膜が好ましい。また、該銅薄膜層の厚みは特に限定されないが、通常、0.1〜2μm程度である。
【0080】
本発明の銅薄膜付基材の製造方法は特に限定されない。例えば、(ア)基材の表面(基材が例えばフィルム状のものであれば片面又は両面)に本発明のアンダーコート剤を塗布し、(イ)該基材に熱を加えた後、(ウ)更に活性エネルギー線を照射することにより硬化アンダーコート層を形成し、(エ)当該硬化アンダーコート層上に銅薄膜層を形成する態様が挙げられる。
【0081】
工程(ア)に関し、前記基材の表面(基材が例えばフィルム状のものであれば片面又は両面)に本発明のアンダーコート剤を塗布する条件は特に限定されず、塗布手段としては、例えば、スプレー、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター及びドットコーター等が挙げられる。また、塗工量も特に限定されないが、通常、乾燥固形分として0.01〜10g/m程度である。
【0082】
工程(イ)に関し、該基材に熱を加える際の条件も特に限定されないが、通常、温度80〜150℃程度で、時間が10秒〜2分程度である。この処理により、半硬化のアンダーコート層から、有機溶剤(G)が使用される場合にはこれが揮発し、同時に当該層中で、(A)成分及び(B)成分がウレタン化反応し、架橋構造を形成する。また、当該ウレタン化反応には、(C)成分並びに、(D)成分のうち例えば水酸基やアミノ基、チオール基、イソシアネート基等を有するものも関与する。
【0083】
工程(ウ)に関し、半硬化のアンダーコート層に活性エネルギー線を照射する際の条件も特に限定されない。活性エネルギー線としては、例えば紫外線や電子線が挙げられる。紫外線の供給源としては例えば高圧水銀灯やメタルハライドランプ等が挙げられ、その照射エネルギーは通常100〜2,000mJ/cm程度である。電子線の供給方式としては例えばスキャン式電子線照射、カーテン式電子線照射法等が挙げられ、その照射エネルギーは通常10〜200kGy程度である。この処理により、加熱硬化したアンダーコート層中で(C)成分同士がラジカル重合反応し、架橋構造を形成する。該重合反応には、(D)成分のうち活性エネルギー線重合性官能基を有するものも関与する。
【0084】
工程(エ)に関し、該硬化アンダーコート層に銅薄膜層を形成する手段は特に限定されないが、所謂ドライコート法が好ましい。具体的には、例えば、真空蒸着法又はスパッタリング法等の物理的方法や、CVD等の化学的方法(化学的気相反応等)が挙げられる。
【0085】
本発明の導電性フィルムは、本発明の銅薄膜付基材を用いてなるフィルムである。特に、該銅薄膜付基材のうち銅蒸着プラスチックフィルム又は銅スパッタフィルムより得られるフィルムはITOフィルムの代替品として有用である。
【0086】
該導電性フィルムの製法は特に限定されないが、これを電極フィルムとして使用する場合には、前記銅蒸着プラスチックフィルム又は銅スパッタフィルムに各種レジストを塗布し、電極パターンを描写した後でエッチング液(アルカリ溶液)に浸漬し、レジストを除去する方法が挙げられる。電極パターンの形状は細線状、ドット状、メッシュ状及び面状等、如何なる形態であってよい。
【実施例】
【0087】
以下、実施例及び比較例を通じて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は重量基準を表す。また、水酸基価はJIS−0070に準拠して測定した値である。また、ガラス転移温度は、市販の測定器具(製品名「DSC8230B」、理学電機(株)製)を用いて測定した値である。
【0088】
<(A)成分の製造>
製造例1
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた反応容器に、(a1)成分としてヒドロキシエチルアクリレート(HEA)40.8部(13.6モル%)、(a2)成分としてメチルメタアクリレート(MMA)72.0部(約27.7モル%)及びブチルアクリレート(BA)79.2部(約23.8モル%)、並びに(a3)成分としてアクリロニトリル(AN)48.0部(約34.9モル%)、並びに(G)成分として酢酸エチル445.7部を仕込み、反応系を70℃に設定した。次いで、2、2‘―アゾビス(2、4―ジメチルバレロニトリル)(ABN―V)1.2部を仕込み、70℃付近で6時間保温した。次いで、ABN―V 2.4部を仕込み、反応系を同温度付近において更に6時間保温した。その後反応系を室温まで冷却することにより、ガラス転移温度が13℃及び水酸基価が80mgKOH/gのアクリルコポリマー(A−1)の溶液を得た。
【0089】
製造例2
製造例1と同様の反応容器に、(a1)成分としてHEA 51.0部(13.3モル%)、(a2)成分としてMMA 72.0部(約21.8モル%)及びBA 102.0部(約24.1モル%)、並びに(a3)成分としてAN60.0部(約34.3モル%)、並びに(a4)成分としてアクリルアミド(AM)15.0部(約6.4モル%)、並びに(G)成分として酢酸エチル557.1部を仕込み、反応系を70℃に設定した。次いで、ABN―V 1.5部を仕込み、70℃付近で6時間保温した。次いで、ABN―V 3.0部を仕込み、反応系を同温度付近において更に6時間保温した。その後反応系を室温まで冷却することにより、ガラス転移温度が13℃及び水酸基価が80mgKOH/gのアクリルコポリマー(A−2)の溶液を得た。
【0090】
製造例3
製造例1と同様の反応容器に、(a1)成分としてヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA) 59.2部(12.5モル%)、(a2)成分としてMMA 196.8部(約54.2モル%)並びに(a3)成分としてAN64.0部(約33.3モル%)、並びに(G)成分として酢酸エチル564.3部を仕込み、反応系を70℃に設定した。次いで、ABN―V 3.2部を仕込み、70℃付近で6時間保温した。次いで、ABN―V 3.2部を仕込み、反応系を同温度付近において更に6時間保温した。その後反応系を室温まで冷却することにより、ガラス転移温度が92℃及び水酸基価が80mgKOH/gのアクリルコポリマー(A−3)の溶液を得た。
【0091】
製造例4
製造例1と同様の反応容器に、(a1)成分としてHEA 25.5部(6.8モル%)、(a2)成分としてMMA 99.0部(約30.5モル%)及びBA 115.5部(約27.8モル%)並びに(a3)成分としてAN60.0部(約34.9モル%)、並びに(G)成分として酢酸エチル557.1部を仕込み、反応系を70℃に設定した。次いで、ABN―V 1.5部を仕込み、70℃付近で6時間保温した。次いで、ABN―V 3.0部を仕込み、反応系を同温度付近において更に6時間保温した。その後反応系を室温まで冷却することにより、ガラス転移温度が13℃及び水酸基価が40mgKOH/gのアクリルコポリマー(A−4)の溶液を得た。
【0092】
製造例5
製造例1と同様の反応容器に、(a1)成分としてHEA 76.5部(18.1モル%)、(a2)成分としてMMA 37.5部(約10.3モル%)及びBA 81.0部(約17.3モル%)並びに(a3)成分としてAN105.0部(約54.3モル%)、並びに(G)成分として酢酸エチル557.1部を仕込み、反応系を70℃に設定した。次いで、ABN―V 1.5部を仕込み、70℃付近で6時間保温した。次いで、ABN―V 3.0部を仕込み、反応系を同温度付近において更に6時間保温した。その後反応系を室温まで冷却することにより、ガラス転移温度が13℃及び水酸基価が120mgKOH/gのアクリルコポリマー(A−5)の溶液を得た。
【0093】
比較製造例1
製造例1と同様の反応容器に、(a1)成分としてHEA 40.8部(15.1モル%)、(a2)成分としてMMA 192.0部(約82.5モル%)及びBA 7.2部(約2.4モル%)、並びに(G)成分としてメチルエチルケトン445.7部を仕込み、反応系を80℃に設定した。次いで、2,2’―アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 1.2部を仕込み、80℃付近で5時間保温した。次いで、AIBN 2.4部を仕込み、反応系を同温度付近において更に4時間保温した。その後反応系を室温まで冷却することにより、ガラス転移温度が70℃及び水酸基価が80mgKOH/gのアクリルコポリマー(A’)の溶液を得た。
【0094】
【表1】
【0095】
<アンダーコート剤の調製>
実施例1
(A−1)成分の溶液286.0部、(B)成分としてヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体(商品名「デュラネート24A−100」、旭化成ケミカルズ(株)製)25.7部、(C1)成分としてペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(商品名「ビスコート#300」、大阪有機化学工業(株)製)50.0部、(D)成分として3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(商品名「KBE−9007」、信越シリコーン(株)製)40.0部、(E)成分としてアルミナ粒子分散体(商品名「NANOBYK3610」、ビックケミージャパン(株)製)5.0部、及び(F)成分として光重合開始剤(商品名「Irg907」、チバ・ジャパン(株)製)2.5部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0096】
実施例2
(A−1)成分の溶液286.0部、デュラネート24A−100 25.7部、ビスコート#300 100.0部、KBE−9007 40.0部、NANOBYK3610 5.0部、及びIrg907 5.0部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0097】
実施例3
(A−1)成分の溶液286.0部、デュラネート24A−100 25.7部、ビスコート#300 150.0部、KBE−9007 40部、NANOBYK3610 5.0部、及びIrg907 7.5部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0098】
実施例4
(A−1)成分の溶液286.0部、デュラネート24A−100 25.7部、ビスコート#300 150.0部、(D)成分として3―メルカプトプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM−803」、信越シリコーン(株)製) 40.0部、NANOBYK3610 5.0部、及びIrg907 7.5部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0099】
実施例5
(A−1)成分の溶液286.0部、デュラネート24A−100 25.7部、ビスコート#300 200部、KBM−803 40.0部、NANOBYK3610 5.0部及びIrg907 10.0部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0100】
実施例6
(A−2)成分の溶液286.0部、デュラネート24A−100 25.7部、ビスコート#300 100.0部、KBE−9007 40.0部、NANOBYK3610 5.0部、及びIrg907 5.0部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0101】
実施例7
(A−3)成分の溶液286.0部、デュラネート24A−100 25.7部、ビスコート#300 100.0部、KBE−9007 40.0部、NANOBYK3610 5.0部、及びIrg907 5.0部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0102】
実施例8
(A−4)成分の溶液286.0部、デュラネート24A−100 25.7部、ビスコート#300 100.0部、KBE−9007 40.0部、NANOBYK3610 5.0部、及びIrg907 5.0部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0103】
実施例9
(A−5)成分の溶液286.0部、デュラネート24A−100 25.7部、ビスコート#300 50.0部、KBE−9007 40.0部、NANOBYK3610 5.0部、及びIrg907 2.5部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0104】
実施例10
(A−1)成分の溶液286.0部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名「コロネートHX」、日本ポリウレタン工業(株)製) 28.4部、ビスコート#300 100.0部、KBE−9007 40.0部、NANOBYK3610 5.0部、及びIrg907 5.0部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0105】
実施例11
(A−1)成分の溶液286.0部、デュラネート24A−100 25.7部、ジペンタエリスリトールポリアクリレート(商品名「NKエステルA−9550W」、新中村化学工業(株)製) 100.0部、KBE−9007 40.0部、NANOBYK3610 5.0部、及びIrg907 5.0部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0106】
実施例12
(A−1)成分の溶液286.0部、デュラネート24A−100 25.7部、NKエステルA−9550W 50.0部、KBE−9007 40.0部、NANOBYK3610 5.0部、及びIrg907 2.5部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0107】
実施例13
(A−1)成分の溶液286.0部、デュラネート24A−100 25.7部、(C2)成分としてトリメチロールプロパントリアクリレート(商品名「ビスコート#295」、大阪有機化学工業(株)製)100.0部、KBE−9007 40.0部、NANOBYK3610 5.0部、及びIrg907 5.0部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0108】
実施例14
(A−1)成分の溶液286.0部、デュラネート24A−100 25.7部、ビスコート#295 50.0部、KBE−9007 40.0部、NANOBYK3610 5.0部、及びIrg907 2.5部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0109】
実施例15
(A−1)成分の溶液286.0部、デュラネート24A−100 25.7部、ビスコート#300 100.0部、(D)成分として3―アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM−5103」、信越シリコーン製)40.0部、NANOBYK3610 5.0部、及びIrg907 5.0部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0110】
実施例16
(A−1)成分の溶液286.0部、デュラネート24A−100 25.7部、ビスコート#300 100.0部、(D)成分として3―メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名「サイラーエースS710」、チッソ(株)製)40.0部、NANOBYK3610 5.0部、及びIrg907 5.0部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0111】
実施例17
(A−1)成分の溶液286.0部、デュラネート24A−100 25.7部、ビスコート#300 100.0部、(D)成分として3―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名「サイラーエースS510」、チッソ(株)製)40.0部、NANOBYK3610 5.0部、及びIrg907 5.0部をよく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0112】
比較例1
(A’)成分の溶液286.0部、デュラネート24A−100を25.7部、ビスコート#300を100.0部、KBE−9007を40.0部、NANOBYK3610を5.0部、及びIrg907を5.0部、よく混合し、アンダーコート剤を調製した。
【0113】
比較例2
(A−1)成分の溶液286.0部、デュラネート24A−100を25.7部、ビスコート#300を150.0部、NANOBYK3610を5.0部、及びIrg907を7.5部、よく混合し、(D)成分を含まないアンダーコート剤を調製した。
【0114】
比較例3
(A−1)成分の溶液286.0部、デュラネート24A−100を25.7部、ビスコート#300を200.0部、NANOBYK3610を5.0部、及びIrg907を10.0部、よく混合し、(D)成分を含まないアンダーコート剤を調製した。
【0115】
【表2】
【0116】
<銅蒸着プラスチックフィルムの作製>
実施例1のアンダーコート剤を市販のポリエステルフィルム(商品名「ルミラーU48」、東レ(株)製、100μm厚)に、乾燥膜厚が1.0μm程度となるようバーコーターで塗工し、120℃で1分間乾燥させた。次いで300mj/cmでUV硬化させることによって、硬化アンダーコート層を備える塗工フィルムを得た。他の実施例及び比較例のアンダーコート剤についても同様にして塗工フィルムを得た。
【0117】
次いで当該塗工フィルムのアンダーコート面に、市販の蒸着装置(製品名「NS−1875−Z」、西山製作所(株)製)を使用し、銅を蒸着させることにより(厚み約100nm)、銅蒸着プラスチックフィルムを得た。他の実施例及び比較例のアンダーコート剤についても同様にして銅蒸着プラスチックフィルムを得た。
【0118】
1.硬化アンダーコート層の硬度試験
実施例及び比較例の各塗工フィルムの硬化アンダーコート層の鉛筆硬度をJIS K 5600−5−4に準拠して評価した。結果を表1に示す。
【0119】
2.初期密着性
実施例及び比較例の各銅蒸着フィルムの銅蒸着膜について、JIS K 5600−5−6に準拠し、クロスカット試験を実施した。具体的には、当該銅蒸着面にカッターナイフで100個のマス目を入れ、粘着テープ(製品名「セロテープ(登録商標)」、ニチバン(株)製)を貼り付けた後、垂直方向に引き&#21085;がし、剥がれのないマス目の数をカウントした。他の実施例及び比較例に係る銅蒸着フィルムについても同様に初期密着性を評価した。結果を表1に示す。なお、剥がれのないマス目の数が100個であって、かついずれのマス目もその四辺が目視上完全に滑らかである場合には、密着性が最良と判断されるため、表1において、特別に“*”の記号を付した(以下、同様)。
【0120】
3.耐酸密着性
実施例及び比較例の銅蒸着フィルムを、40℃に加温した4%塩化水素水溶液に5分間浸漬した後、前記同様、銅蒸着膜の付着性を評価した。
【0121】
4.耐アルカリ密着性
実施例及び比較例の銅蒸着フィルムを、40℃に加温した4%水酸化ナトリウム水溶液に5分間浸漬した後、前記同様、銅蒸着膜の付着性を評価した。
【0122】
【表3】