【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記目盛りを利用する液体計量器具の場合、液体はその表面張力によって液面が下に凸状となり、更には光の屈折のため、液面の位置を目視によって目盛りに合わせることは難しいという問題がある。従って、計量にバラツキが生じるという問題がある。
また、上記弾性部材の復元力を利用する液体計量器具の場合、弾性部材およびガスケットが外筒内壁面と摺動する際の摺動抵抗、更には採取する液体の物性値(比重、密度、粘度)等により、ピストンのストローク量のバラツキに起因して、上記目盛りを利用する液体計量器具と同様に計量に対しバラツキが生じるという問題がある。それに加えて、ピストンのストローク量にバラツキに起因して、計量の微調整が難しいという問題もある。
また、上記同芯多重式ピストン構造の注射筒の場合、ユーザは径のそれぞれ異なる3つのピストンを操作する必要があり、計量操作が複雑であるという問題がある。従って、上記液体計量器具と同様に計量に対するバラツキが生じるという問題がある。
そこで、本発明は、上記従来技術の課題に鑑みなされたものであって、計量のバラツキを抑えながら計量の微調整が可能であると同時に、所望の量を正確に計量することが可能な可変計量容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術的課題を解決するための本発明のうち、請求項1記載の発明の手段は、ロッドによってピストンをシリンダ内部の軸方向に沿って駆動し、所望の量の内容物を吸引/計量する可変計量容器であって、
前記シリンダの
開口には、
内周面に雌ねじが形成されたインサートが設けられ、該インサートは外周面に雄ねじが形成され且つ前記ロッドが内部を貫通するインナースリーブとネジ結合し、該インナースリーブの先端が、ネジ式の送り機構によって該シリンダ内部の軸方向に沿って位置決めされるストッパ
となり、前記ピストンを該シリンダの吸引口に当接する位置から前記ストッパに当接する位置に到る最大ストローク
量まで前記ロッドによって変位させることにより前記内容物を計量するように構成されていることを特徴とする。
【0006】
従来のシリンダ式計量容器では、液面の位置を目視により所望の目盛りに一致させることによって内容物を計量している。内容物の液面位置は表面張力によって下に凸状となり、更には光の屈折のため、液面位置を目視によって目盛りに合わせることは難しい。そのため、内容物の計量に対しバラツキが生じる。
しかし、請求項1記載の上記構成では、目盛りによって規定する対象が上記ストッパの位置
(インナースリーブの先端)であり、この位置を規定することは、ピストンの最大ストローク量、つまり、ピストンがシリンダの吸引口に当接する位置(最下点)から上記ストッパに当接する位置に到るピストンの最大ストローク量
(Lmax)を規定することに等しくなる。従って、ピストンを最下点からこの最大ストローク量まで変位させることは、シリンダの流路断面積
(S)が一定である場合、結果的にS×Lmax
で計算される容量の内容物を計量することに等しくなる。つまり、請求項1記載の上記構成では、ピストンの最大ストローク量
(Lmax)が後述のネジ式送り機構によって正確に規定される(位置決めされる)ため、ロッドによってピストンを最下点から上記ストッパに当接する位置に到る最大ストローク量
(Lmax)だけ変位させることにより、S×Lmaxの
容量の内容物を正確に計量することが可能となり、計量に対しバラツキが生じにくくなる。
【0007】
また、請求項1記載の上記構成では、上記ストッパはネジ式送り機構によって位置決めされる。ネジ式送り機構の場合、雄ねじの各山の表面と雌ねじの各谷の表面が隙間なく接触しながら一方のねじを送り出すように構成されている。そのため、上記ストッパの位置がネジ式送り機構によって一旦位置決めされると、上記ストッパの位置はネジ機構によって安定して保持されるようになる。つまり、上記ストッパの位置が安定して保持されることにより、ピストンの最大ストローク量
(Lmax)も安定して保持されることになり、その結果、ピストンを最下点から最大ストローク量
(Lmax)まで変位させる場合、最大ストローク量
(Lmax)に対応する
容量(S×Lmax)の内容物を正確に計
量することが出来るようになる。また、ネジ式送り機構の場合、ねじピッチを密にすることによって、1回転当たりの送り量を微細に設定することが出来るようになるため、上記ストッパの位置、つまり、ピストンの最大ストローク量
(Lmax)を精度良く規定することが出来るようになり、その結果、内容物を
より精度良く計
量することが出来るようになる。
【0009】
さらに、請求項
1記載の上記構成では、インサート及びインナースリーブはネジ式送り機構を構成し、インナースリーブの先端がピストンに対するストッパとして機能す
る。また、インナースリーブの内部はピストンを駆動するロッドが貫通する構造のため、ピストンの最大ストローク量
(Lmax)を規定するインナースリーブと、ピストンを駆動するロッドは互いに全く干渉しなくなる。これにより、ピストンの最大ストローク量(Lmax)を精度良く規定し、ピストンを最大ストローク量
(Lmax)だけ変位させることが可能となり、内容物を精度良く計
量することが出来るようになる。
【0010】
請求項
2記載の発明の手段は、前記インナースリーブの軸方向に対し一体となって移動するように構成された光透過性のアウタースリーブが前記インサートの外側に設けられている、ことにある。
【0011】
請求項
2記載の上記構成では、アウタースリーブ
が光透過性であるため、アウタースリーブの内部に位置するインサート及びインナースリーブは外部から目視可能となる。従って、アウタースリーブの外周面に目盛りを設定し、その指示器をインサートに設定することにより、
ストッパであるインナースリーブの先端
に当接するピスト
ンの位置、すなわちピストンの最大ストローク量
(Lmax)を外部から目視によって正確に規定することが出来るようになる。
【0012】
請求項
3記載の発明の手段は、前記アウタースリーブの外周面には目盛りが形成され、前記インサートの外周面には該目盛りを指示する周状突起が形成されている、ことにある。
【0013】
請求項
3記載の上記構成では、ピストンのストッパ
に対する当接位置、すなわちピストンの最大ストローク量
(Lmax)を外部から目視によって精度良く規定することが出来るようになる。
【0014】
請求項
4記載の発明の手段は、前記インナースリーブ
がフランジ部を備える、ことにある。
【0015】
請求項
4記載の上記構成では、作業者がインナースリーブを回転操作し易くなるため、ピストンのストッパ
に対する当接位置、すなわちピストンの最大ストローク量
(Lmax)を容易に精度良く規定することが出来るようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の可変計量容器によれば
、ネジ式のストッパ機構をシリンダの内部に備えるため、ピストンの最下点からストッパに当接する位置に到る最大ストローク量
(Lmax)を精度良く規定することが出来る。その後は、ピストンを最下点から最大ストローク量
(Lmax)まで変位させることにより、内容物を精度良く計
量することが出来るようになる。また、ネジ式のストッパ機構を構成するインサートの雌ねじ部およびインナースリーブの雄ねじ部のピッチを密にすることにより、1回転当たりのネジの送り量が微細となり、ピストンの最大ストローク量(Lmax)を更に精度良く規定することができ、その結果、計
量の精度を更に上げることが可能となる。