特許第6011913号(P6011913)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011913
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】可変計量容器
(51)【国際特許分類】
   G01F 11/06 20060101AFI20161011BHJP
   B01L 3/02 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   G01F11/06
   B01L3/02 D
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-147727(P2012-147727)
(22)【出願日】2012年6月29日
(65)【公開番号】特開2014-10084(P2014-10084A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100076598
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一豊
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 明彦
【審査官】 山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭05−009857(JP,Y1)
【文献】 実開昭53−003055(JP,U)
【文献】 特開昭54−034891(JP,A)
【文献】 特表2004−509731(JP,A)
【文献】 特表2010−527665(JP,A)
【文献】 特開2001−299913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 11/02 − 11/06
B01L 3/02
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッド(3)によってピストン(2)をシリンダ(1)内部の軸方向に沿って駆動し、所望の量の内容物を吸引/計量する可変計量容器であって、
前記シリンダ(1)の開口には、内周面に雌ねじ(4a)が形成されたインサート(4)が設けられ、該インサート(4)は外周面に雄ねじ(5b)が形成され且つ前記ロッド(3)が内部を貫通するインナースリーブ(5)とネジ結合し、該インナースリーブ(5)の先端が、ネジ式の送り機構によって該シリンダ(1)内部の軸方向に沿って位置決めされるストッパ(5a)となり、前記ピストン(2)を該シリンダ(1)の吸引口(1a)に当接する位置から前記ストッパ(5a)に当接する位置に到る最大ストローク量(Lmax)まで前記ロッド(3)によって変位させることにより前記内容物を計量するように構成されていることを特徴とする可変計量容器。
【請求項2】
前記インナースリーブ(5)の軸方向に対し一体となって移動するように構成された光透過性のアウタースリーブ(6)が前記インサート(4)の外側に設けられている請求項1記載の可変計量容器。
【請求項3】
前記アウタースリーブ(6)の外周面には目盛りが形成され、前記インサート(4)の外周面には該目盛りを指示する周状突起(4d)が形成されている請求項1又は2記載の可変計量容器。
【請求項4】
前記インナースリーブ(5)がフランジ部(5e)を備える請求項1、2又は3記載の可変計量容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変計量容器、特に計量のバラツキを抑えながら計量の微調整が可能であると同時に、所望の量を正確に計量することが可能な可変計量容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ピペット、シリンダ、スポイト等の目盛りによる液体計量器具が知られている。これらの液体計量器具を用いた計量では、ユーザが内容物の液面の位置を目視により所望の目盛りに一致させることによって行っている。
また、上記目盛りを利用する液体計量器具の他に、ロッド(プランジャー)を押圧して、シリンダ(外筒)の先端側に設けられた弾性部材をピストン(ガスケット)で圧縮し、その後ロッドの押圧を解除し、弾性部材の復元力によりプランジャーおよびガスケットが後退し、それにより外筒内部が真空となって必要採取量の血液を血沈測定チューブ内に導入させる血沈測定器具用吸引具に係る考案が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
また、上記弾性部材の復元力を利用する液体計量器具の他に、1つのシリンダに対して、径のそれぞれ異なる3つの中空構造のピストンが順に同芯多重で配設されている注射筒に係る考案が知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
この注射筒では、この同芯多重式ピストン構造によって、大容積注射筒での容積の誤差が生じることなどを解決し、1本の注射筒で広い範囲の容積で被採取体を採取したり、計量でき、従って作業性が向上する等の注射筒の利用範囲を広げる優れた効果があるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−22959号公報
【特許文献2】実公昭62−34281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記目盛りを利用する液体計量器具の場合、液体はその表面張力によって液面が下に凸状となり、更には光の屈折のため、液面の位置を目視によって目盛りに合わせることは難しいという問題がある。従って、計量にバラツキが生じるという問題がある。
また、上記弾性部材の復元力を利用する液体計量器具の場合、弾性部材およびガスケットが外筒内壁面と摺動する際の摺動抵抗、更には採取する液体の物性値(比重、密度、粘度)等により、ピストンのストローク量のバラツキに起因して、上記目盛りを利用する液体計量器具と同様に計量に対しバラツキが生じるという問題がある。それに加えて、ピストンのストローク量にバラツキに起因して、計量の微調整が難しいという問題もある。
また、上記同芯多重式ピストン構造の注射筒の場合、ユーザは径のそれぞれ異なる3つのピストンを操作する必要があり、計量操作が複雑であるという問題がある。従って、上記液体計量器具と同様に計量に対するバラツキが生じるという問題がある。
そこで、本発明は、上記従来技術の課題に鑑みなされたものであって、計量のバラツキを抑えながら計量の微調整が可能であると同時に、所望の量を正確に計量することが可能な可変計量容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術的課題を解決するための本発明のうち、請求項1記載の発明の手段は、ロッドによってピストンをシリンダ内部の軸方向に沿って駆動し、所望の量の内容物を吸引/計量する可変計量容器であって、
前記シリンダの開口には、内周面に雌ねじが形成されたインサートが設けられ、該インサートは外周面に雄ねじが形成され且つ前記ロッドが内部を貫通するインナースリーブとネジ結合し、該インナースリーブの先端が、ネジ式の送り機構によって該シリンダ内部の軸方向に沿って位置決めされるストッパとなり、前記ピストンを該シリンダの吸引口に当接する位置から前記ストッパに当接する位置に到る最大ストローク量まで前記ロッドによって変位させることにより前記内容物を計量するように構成されていることを特徴とする。
【0006】
従来のシリンダ式計量容器では、液面の位置を目視により所望の目盛りに一致させることによって内容物を計量している。内容物の液面位置は表面張力によって下に凸状となり、更には光の屈折のため、液面位置を目視によって目盛りに合わせることは難しい。そのため、内容物の計量に対しバラツキが生じる。
しかし、請求項1記載の上記構成では、目盛りによって規定する対象が上記ストッパの位置(インナースリーブの先端)であり、この位置を規定することは、ピストンの最大ストローク量、つまり、ピストンがシリンダの吸引口に当接する位置(最下点)から上記ストッパに当接する位置に到るピストンの最大ストローク量(Lmax)を規定することに等しくなる。従って、ピストンを最下点からこの最大ストローク量まで変位させることは、シリンダの流路断面積(S)が一定である場合、結果的にS×Lmaxで計算される容量の内容物を計量することに等しくなる。つまり、請求項1記載の上記構成では、ピストンの最大ストローク量(Lmax)が後述のネジ式送り機構によって正確に規定される(位置決めされる)ため、ロッドによってピストンを最下点から上記ストッパに当接する位置に到る最大ストローク量(Lmax)だけ変位させることにより、S×Lmaxの容量の内容物を正確に計量することが可能となり、計量に対しバラツキが生じにくくなる。
【0007】
また、請求項1記載の上記構成では、上記ストッパはネジ式送り機構によって位置決めされる。ネジ式送り機構の場合、雄ねじの各山の表面と雌ねじの各谷の表面が隙間なく接触しながら一方のねじを送り出すように構成されている。そのため、上記ストッパの位置がネジ式送り機構によって一旦位置決めされると、上記ストッパの位置はネジ機構によって安定して保持されるようになる。つまり、上記ストッパの位置が安定して保持されることにより、ピストンの最大ストローク量(Lmax)も安定して保持されることになり、その結果、ピストンを最下点から最大ストローク量(Lmax)まで変位させる場合、最大ストローク量(Lmax)に対応する容量(S×Lmax)の内容物を正確に計量することが出来るようになる。また、ネジ式送り機構の場合、ねじピッチを密にすることによって、1回転当たりの送り量を微細に設定することが出来るようになるため、上記ストッパの位置、つまり、ピストンの最大ストローク量(Lmax)を精度良く規定することが出来るようになり、その結果、内容物をより精度良く計量することが出来るようになる。
【0009】
さらに、請求項記載の上記構成では、インサート及びインナースリーブはネジ式送り機構を構成し、インナースリーブの先端がピストンに対するストッパとして機能する。また、インナースリーブの内部はピストンを駆動するロッドが貫通する構造のため、ピストンの最大ストローク量(Lmax)を規定するインナースリーブと、ピストンを駆動するロッドは互いに全く干渉しなくなる。これにより、ピストンの最大ストローク量(Lmax)を精度良く規定し、ピストンを最大ストローク量(Lmax)だけ変位させることが可能となり、内容物を精度良く計量することが出来るようになる。
【0010】
請求項記載の発明の手段は、前記インナースリーブの軸方向に対し一体となって移動するように構成された光透過性のアウタースリーブが前記インサートの外側に設けられている、ことにある。
【0011】
請求項記載の上記構成では、アウタースリーブが光透過性であるため、アウタースリーブの内部に位置するインサート及びインナースリーブは外部から目視可能となる。従って、アウタースリーブの外周面に目盛りを設定し、その指示器をインサートに設定することにより、ストッパであるインナースリーブの先端に当接するピストンの位置、すなわちピストンの最大ストローク量(Lmax)を外部から目視によって正確に規定することが出来るようになる。
【0012】
請求項記載の発明の手段は、前記アウタースリーブの外周面には目盛りが形成され、前記インサートの外周面には該目盛りを指示する周状突起が形成されている、ことにある。
【0013】
請求項記載の上記構成では、ピストンのストッパに対する当接位置、すなわちピストンの最大ストローク量(Lmax)を外部から目視によって精度良く規定することが出来るようになる。
【0014】
請求項記載の発明の手段は、前記インナースリーブフランジ部を備える、ことにある。
【0015】
請求項記載の上記構成では、作業者がインナースリーブを回転操作し易くなるため、ピストンのストッパに対する当接位置、すなわちピストンの最大ストローク量(Lmax)を容易に精度良く規定することが出来るようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の可変計量容器によれば、ネジ式のストッパ機構をシリンダの内部に備えるため、ピストンの最下点からストッパに当接する位置に到る最大ストローク量(Lmax)を精度良く規定することが出来る。その後は、ピストンを最下点から最大ストローク量(Lmax)まで変位させることにより、内容物を精度良く計量することが出来るようになる。また、ネジ式のストッパ機構を構成するインサートの雌ねじ部およびインナースリーブの雄ねじ部のピッチを密にすることにより、1回転当たりのネジの送り量が微細となり、ピストンの最大ストローク量(Lmax)を更に精度良く規定することができ、その結果、計量の精度を更に上げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の可変計量容器を示す要部断面説明図である。
図2図1のA部詳細図である。
図3図2のB−B断面図である。
図4】本発明の可変計量容器を使用しての計量の一例を示す説明図である(計量の最大値=7mlの場合)。
図5】本発明の可変計量容器を使用しての計量の一例を示す説明図である(計量の中間値=5mlの場合)。
図6】本発明の可変計量容器を使用しての計量の一例を示す説明図である(計量の最小値=3mlの場合)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の可変計量容器100を示す要部断面説明図である。
この可変計量容器100は、内容物を収容するシリンダ1と、内容物を吸引/圧縮するピストン2と、ピストン2をシリンダ1の軸方向に沿って駆動するロッド3と、シリンダ1の吸引口1aと反対側に設けられた開口に取り付けられるインサート4と、インサート4とネジ結合しながらその先端5aがピストン2のストッパとして機能するインナースリーブ5と、インナースリーブ5とシリンダ1の軸方向に対し一体となってインサート4の外部に沿って下降するアウタースリーブ6とを具備して構成される。
【0020】
なお、詳細については後述するが、インサート4の雌ねじ部4aとインナースリーブ5の雄ねじ部5bが噛み合うことにより、インサート4がシリンダ1に固定された状態でインナースリーブ5がシリンダ1の軸方向に送り出されるように構成されている。つまり、インサート4及びインナースリーブ5はネジ式送り機構(ネジ式ストッパ機構)を成している。従って、インナースリーブ5の先端5aがネジストッパ機構によって一旦位置決めされると、その先端5aの位置はネジ式ストッパ機構によって安定して保持されるようになる。その結果、ピストン2の最大ストローク量(Lmax)も安定して保持されることになり、ピストン2がシリンダ1の吸引口1aに当接する位置から、ストッパとしてのインナースリーブ5の先端5aに当接する位置に到る最大ストローク量(Lmax)までロッド3によって変位させる場合、最大ストローク量(Lmax)に対応する容量(S×Lmax)の内容物を正確に計量することが出来るようになる。また、ネジ式ストッパ機構の場合、ねじピッチを密にすることによって、1回転当たりのねじの送り量を微細に設定することが出来るようになるため、上記ストッパとしての先端5aの位置、つまり、ピストンの最大ストローク量(Lmax)を精度良く規定することが出来るようになり、その結果、内容物をより精度良く計量することが出来るようになる。
以下、各構成について更に詳しく説明する。
【0021】
図2に示すように、シリンダ1にはインサート4を受ける台座部1bと、インサート4の周状凹部4cと嵌合するための周状凸部1cが形成されている。これにより、インサート4はシリンダ1に対し軸方向への移動を拘束されることになる。
【0022】
また、図3に示すように、シリンダ1にはインサート4の切り欠き部4bと嵌合する爪部1dが形成されている。これにより、インサート4は、シリンダ1に対し軸方向周りの回転を拘束されることになる。インサート4はシリンダ1の軸方向及びその周りの回転に対し固定される。なお、本実施例では、爪部1d及びそれに嵌合する切り欠き部4bは一対であるが、それに限定されず複数対あっても良い。
【0023】
図2に戻って、インサート4の内周面には雌ねじ部4aが形成され、インナースリーブ5の外周面には雄ねじ部5bが形成されている。従って、インサート4の雌ねじ部4aとインナースリーブ5の雄ねじ部5bがネジ結合した状態から、インナースリーブ5を回転させると、インナースリーブ5はインサート4に対し下降または上昇し、その先端5aがピストン2に対するストッパとして機能する。
【0024】
図1に戻って、インナースリーブ5及びアウタースリーブ6はロッド3に対し中空同芯構造を成している。インナースリーブ5とアウタースリーブ6は、インナースリーブ5の周状リブ5cとアウタースリーブ6の周状溝6aが嵌合することにより、互いにシリンダ1の軸方向および周方向に対し一体となって移動するように構成されている。
【0025】
アウタースリーブ6の外周面には、吸引した内容物の量を示す目盛りが記されている。目盛りの指示は、インサート4の周状突起4dによって成される。従って、アウタースリーブ6は光透過性のプラスチックから成る。インナースリーブ5の先端5aの位置(ピストン2の最下点から先端5aに当接する位置に到る最大ストローク量Lmax)と、インサート4の周状突起4dの目盛りの指示位置(内容物の計量)が1対1に対応している。因みに、図1の場合、インサート4の周状突起4dは7(ml)の計量値を指示している。従って、ピストン2を最下点からインナースリーブ5の先端5aに当接するまでロッド3によって変位させることによって、7(ml)の内容物を精度良く計量することが出来る。
【0026】
図2に戻って、インサート4及びアウタースリーブ6は、アウタースリーブ6の周状フック6bとインサート4の周状突起4dが係合することにより、アウタースリーブ6がシリンダ1から分離することを防止すると共に、インナースリーブ5の先端5aの上限位置、すなわちピストン2の最大ストローク量(Lmax)の最大値、すなわち計量の最大値を規定している。他方、図1に示すように、インナースリーブ5の環状プレート部5dがインサート4に当接することにより、インナースリーブ5の先端5aの下限位置、すなわちピストン2の最大ストローク量(Lmax)の最小値、すなわち計量の最小値を規定している。因みに、本実施例では説明の便宜上、計量の最大値は7(ml)に、計量の最小値は3(ml)にそれぞれ設定されている。
【0027】
インナースリーブ5の軸方向上端部にはフランジ部5eが形成され、ユーザはインナースリーブ5を容易に回転操作することができ、これによりピストン2の最大ストローク量(Lmax)を容易に精度良く規定することが出来るようになる。
【0028】
図4−6は、可変計量容器100を使用しての計量の一例を示す説明図である。なお、図4は計量の最大値の場合を、図5は計量の中間値の場合を、図6は計量の最小値の場合をそれぞれ示している。
【0029】
図4(a)に示すように、先ずピストン2をシリンダ1の最下点に位置する状態にする。次に、シリンダ1を持ってアウタースリーブ6又はフランジ部5eを回転操作してインサート4の周状突起4dがアウタースリーブ6の目盛りの7(ml)を指示するまで(本実施例では、周状突起4dと周状フック6bが係合するまで)、インナースリーブ5をシリンダ1に対し移動させる。
次に、図4(b)に示すように、ロッド3を上方に引き上げて内容物7をシリンダ1に充填する。
次に、図4(c)に示すように、ピストン2がインナースリーブ5の先端5aに当接したら、ロッド3の引き上げを停止する。
上記操作によって、内容物7の7mlを正確に計量することが出来たことになる。
【0030】
図5(a)に示すように、先ずピストン2をシリンダ1の最下点に位置する状態にする。次に、シリンダ1を持ってアウタースリーブ6又はフランジ部5eを回転操作してインサート4の周状突起4dがアウタースリーブ6の目盛りの5(ml)を指示するまで、インナースリーブ5をシリンダ1に対し移動させる。
次に、図5(b)に示すように、ロッド3を上方に引き上げて内容物7をシリンダ1に充填する。
次に、図5(c)に示すように、ピストン2がインナースリーブ5の先端5aに当接したら、ロッド3の引き上げを停止する。
上記操作によって、内容物7の5mlを正確に計量することが出来たことになる。
【0031】
図6(a)に示すように、先ずピストン2をシリンダ1の最下点に位置する状態にする。次に、シリンダ1を持ってアウタースリーブ6又はフランジ部5eを回転操作してインサート4の周状突起4dがアウタースリーブ6の目盛りの3(ml)を指示するまで(本実施例では、インサート4とインナースリーブ5の環状プレート部5dが当接するまで)、インナースリーブ5をシリンダ1に対し移動させる。
次に、図6(b)に示すように、ロッド3を上方に引き上げて内容物7をシリンダ1に充填する。
次に、図6(c)に示すように、ピストン2がインナースリーブ5の先端5aに当接したら、ロッド3の引き上げを停止する。
上記操作によって、内容物7の3mlを正確に計量することが出来たことになる。
【0032】
以上の通り、本発明の可変計量容器によれば、ネジ式のストッパ機構をシリンダの内部に備えるため、ピストン2の最下点からストッパとなるインナースリーブ5の先端5aに当接する位置に到る最大ストローク量(Lmax)を精度良く規定することが出来る。その後は、ロッド3によってピストン2を最下点から最大ストローク量(Lmax)まで変位させることにより、内容物を精度良く計量することが出来るようになる。また、ネジ式のストッパ機構を構成するインサート4の雌ねじ部4aおよびインナースリーブ5の雄ねじ部5bのピッチを密にすることにより、1回転当たりのネジの送り量が微細となり、ピストン2の最大ストローク量(Lmax)を更に精度良く規定することができ、その結果、計量の精度を更に上げることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の可変計量容器は、液状内容物の精密計量に対し好適に適用される。
【符号の説明】
【0034】
1 シリンダ
2 ピストン
3 ロッド
4 インサート
4a 雌ねじ部
4b 切り欠き部
4c 周状凹部
4d 周状突起
5 インナースリーブ
5a 先端(ストッパ)
5b 雄ねじ部
5c 周状リブ
5d 環状プレート部
5e フランジ部
6 アウタースリーブ
6a 周状溝
6b 周状フック
7 内容物
100 可変計量容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6