(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外方に突出する爪部を有する挿入体と、前記挿入体を挿入した際に、前記爪部を乗り越えて前記爪部に係合して前記挿入体の抜け出しを防止する係止片を有する嵌合体とから構成されるコネクタの嵌合状態検査方法であって、
前記挿入体と前記嵌合体とが接続された状態の前記爪部及び前記係止片に光を照射して、前記挿入体及び前記嵌合体を撮像装置で撮像する撮像工程と、
前記撮像工程にて撮像された撮像画像から反射光の濃淡を示す濃淡画像パターンを作成する画像処理工程と、
前記画像処理工程にて作成された前記濃淡画像パターンに基づいて前記係止片の傾斜状態を検出し、該傾斜状態に基づいて前記コネクタが正常に嵌合しているか否かを判定する判定工程と、を備え、
前記撮像工程は、
前記嵌合体の前記係止片を有する面に対して光を直角に照射して、当該光の照射方向から前記挿入体及び前記嵌合体を撮像装置で撮像する径方向撮像処理と、
前記嵌合体の前記係止片を有する面に対して光を平行に照射して、当該光の照射方向から前記挿入体及び前記嵌合体を撮像装置で撮像する軸方向撮像処理と、を実行することを特徴とするコネクタの嵌合状態検査方法。
外方に突出する爪部を有する挿入体と、前記挿入体を挿入した際に、前記爪部を乗り越えて前記爪部に係合して前記挿入体の抜け出しを防止する係止片を有する嵌合体とから構成されるコネクタの嵌合状態検査装置であって、
前記挿入体と前記嵌合体とが接続された状態の前記爪部及び前記係止片に光を照射して、前記挿入体及び前記嵌合体を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置にて撮像された撮像画像より反射光の濃淡を示す濃淡画像パターンを作成する画像処理手段と、
前記画像処理手段にて作成された前記濃淡画像パターンに基づいて前記係止片の傾斜状態を検出し、該傾斜状態に基づいて前記コネクタが正常に嵌合しているか否かを判定する判定手段と、を備え
前記撮像装置は、
前記嵌合体の前記係止片を有する面に対して光を直角に照射して、当該光の照射方向から前記挿入体及び前記嵌合体を撮像装置で撮像する径方向撮像処理と、
前記嵌合体の前記係止片を有する面に対して光を平行に照射して、当該光の照射方向から前記挿入体及び前記嵌合体を撮像装置で撮像する軸方向撮像処理と、を実行することを特徴とするコネクタの嵌合状態検査装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した音の確認、目視等によるコネクタの嵌合状態の確認方法は、様々な作業音が発生している検査ラインの環境下で、且つ狭隘な作業スペース内で行っているために、全てのコネクタについて確実に行うことは困難である。このため、嵌合確認の十分な信頼性を担保することが難しく、また、目視による確認作業にも時間を要するため作業効率向上の妨げとなっている。
【0006】
また、特許文献1に記載の検査方法では、チューブとホースの連結部分とカメラとの距離は撮影毎に、即ち検査対象の車両毎に異なるため、当該連結部分とカメラとの距離に応じて寸法L1、L2を補正しなければならない。そして、補正した値に基づいて判定を行うため、判定結果の信頼性が低いという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、ケーブルを連結するコネクタの嵌合状態を効率良く、且つ正確に検査可能なコネクタの嵌合状態検査方法及び嵌合状態検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決する本発明に係るコネクタの嵌合状態検査方法は、外方に突出する爪部を有する挿入体と、前記挿入体を挿入した際に、前記爪部を乗り越えて前記爪部に係合して前記挿入体の抜け出しを防止する係止片を有する嵌合体とから構成されるコネクタの嵌合状態検査方法であって、
前記挿入体と前記嵌合体とが接続された状態の前記爪部及び前記係止片に光を照射して、前記挿入体及び前記嵌合体を撮像装置で撮像する撮像工程と、
前記撮像工程にて撮像された撮像画像から反射光の濃淡を示す濃淡画像パターンを作成する画像処理工程と、
前記画像処理工程にて作成された前記濃淡画像パターンに基づいて前記係止片の傾斜状態を検出し、該傾斜状態に基づいて前記コネクタが正常に嵌合しているか否かを判定する判定工程と、を備え
る。
【0009】
上記コネクタの嵌合状態検査方法によれば、接続された状態の挿入体及び嵌合体に照射された光の反射光の濃淡を示す濃淡画像パターンに基づいて係止片の傾斜状態を検出するとともに、当該検出された結果に基づいて挿入体と嵌合体との嵌合状態が正常か否かを判定するため、従来行っていたコネクタと撮像装置との距離に基づいた補正等を行う必要がない。このため、コネクタの嵌合状態を精度良く検査することができる。
また、撮像工程、画像処理工程及び判定工程は、PC等のコンピュータを用いて短時間で実施することができる。このため、従来、人が行っていた嵌合時の音確認作業や嵌合状態の目視確認作業を省くことができる。これにより、検査の作業効率を向上させることができる。
【0010】
また、前記撮像工程は、
前記嵌合体の前記係止片を有する面に対して光を直角に照射して、当該光の照射方向から前記挿入体及び前記嵌合体を撮像装置で撮像する径方向撮像処理と、
前記嵌合体の前記係止片を有する面に対して光を平行に照射して、当該光の照射方向から前記挿入体及び前記嵌合体を撮像装置で撮像する軸方向撮像処理と、を実行することとしてもよい。
【0011】
従来、嵌合された状態の挿入体及び嵌合体を撮像しても、光量不足であったり、ワイヤーハーネス等の他の部品の影になったりして、挿入体及び嵌合体が明瞭に撮像されていない場合があったが、本発明では、軸方向及び径方向から撮像するため、少なくとも何れか一方向から挿入体及び嵌合体を確実に撮像することができる。
また、係止片が爪部に正常に係合している場合、即ちコネクタの嵌合状態が異常の場合は、係止片によって反射する反射光が撮像装置に入力されるため、濃淡画像パターンには白色で表される。一方、係止片が爪部に正常に係合していない場合、即ちコネクタの嵌合状態が異常の場合、係止片から反射する反射光が撮像装置に入力されないため、濃淡画像パターンには黒色で表される。これにより、コネクタの嵌合状態を濃淡の違いによって容易に確認することができる。
【0012】
また、前記判定工程は、
前記径方向撮像処理にて撮像された画像に基づいて、前記係止片の傾斜状態が、予め正常であると設定された係止片の径方向正常傾斜条件と合致するかどうかを比較する径方向比較処理と、
前記軸方向撮像処理にて撮像された画像に基づいて、前記係止片の傾斜状態が、予め正常であると設定された係止片の軸方向正常傾斜条件と合致するかどうかを比較する軸方向比較処理と、を実行し、
前記径方向比較処理及び前記軸方向比較処理による比較結果のうち、少なくとも何れか一方向の比較結果が合致する場合に、前記コネクタの嵌合状態は正常であると判定することとしてもよい。
【0013】
このように、撮像された画像に基づいて挿入体と嵌合体との嵌合状態がコネクタ嵌合の正常条件と合致するか否かを各方向毎に比較し、少なくとも何れか一方向の比較結果が合致する場合に挿入体と嵌合体との嵌合状態は正常であると判定するため、コネクタの嵌合状態を正確に確認することができる。
そして、軸方向又は径方向のうち少なくとも何れか一方向の撮像画像に基づいて挿入体と嵌合体との嵌合状態は正常であると判定するため、挿入体及び嵌合体が明瞭に撮像されていないことによって検査ラインが停止することを防止できる。これにより、検査ラインが停止した際に作業員が検査箇所へ行って撮像できるように作業する等の手間を省くことができる。したがって、検査の作業効率を向上させることができる。
【0014】
前記径方向比較処理は、
前記画像処理工程にて作成された前記濃淡画像パターンの前記係止片に対応する白色部分が、予め正常な濃淡の画像パターンとして設定された合格画像パターンの前記係止片に対応する白色部分と合致するかどうかを確認する画像確認処理と、を実行することとしてもよい。
【0015】
このように、係止片に対応する白色部分が、合格画像パターンと合致するかどうかを確認するため、径方向による比較結果を精度よく導き出すことができる。
【0016】
前記径方向比較処理は、
前記挿入体の基端の前記撮像画像内における座標位置を検出する挿入体基端検出処理と、
前記嵌合体
の先端の前記撮像画像内における座標位置を検出する嵌合体先端検出処理と、
前記挿入体基端検出処理及び前記嵌合体先端検出処理によりそれぞれ検出された位置座標より、前記挿入体の基端から前記嵌合体の先端までの距離を算出する算出処理と、
前記算出処理により算出された距離が、予め規定された規定範囲内か否かを確認する距離確認処理と、を実行し、
前記画像確認処理による結果が合致し、且つ前記距離確認処理による確認結果が前記規定範囲内である場合に、前記挿入体と前記嵌合体との嵌合状態が、前記径方向正常
傾斜条件と合致するものとしてもよい。
【0017】
このように、係止片に対応する白色部分が合格画像パターンと合致し、且つ挿入体の基端から嵌合体の先端までの距離が規定範囲内である場合に、挿入体と嵌合体との嵌合状態が、径方向正常条件と合致するとしているため、径方向による比較結果を精度よく導き出すことができる。
【0018】
前記軸方向比較処理は、
前記画像処理工程にて作成された前記濃淡画像パターン内における前記係止片と前記爪部との係合部の濃淡が黒色部分の面積を計測する計測処理と、
前記計測処理により計測された前記黒色部分の面積が、予め規定された規定値未満か否かを確認する面積確認処理と、を実行し、
前記面積確認処理による確認結果が前記規定値未満である場合に、前記挿入体と前記嵌合体との嵌合状態が、前記軸方向正常
傾斜条件と合致するものとしてもよい。
【0019】
このように、挿入体の爪部と嵌合体の係止片との係合部分の濃淡画像パターン内の黒領域の面積が規定範囲内である場合に、挿入体と嵌合体との嵌合状態が軸方向正常条件と合致するとしているため、軸方向による比較結果を精度よく導き出すことができる。
【0020】
前記撮像装置は、前記挿入体と前記嵌合体とを接続して構築される組立て対象物の検査ラインの側方に設けられたロボットに搭載されており、
前記ロボットは、予め設定された前記挿入体と前記嵌合体との接続位置情報に基づいて、前記挿入体及び前記嵌合体を撮像可能な所定位置に前記撮像装置を移動させるとともに、前記撮像装置にて前記挿入体及び前記嵌合体を撮像することとしてもよい。
【0021】
このように、対象物の機種に応じて異なる挿入体及び嵌合体の撮像位置をそれぞれロボットに指示することで、多機種混合ラインでもコネクタの嵌合状態の検査に柔軟に対応することができる。
【0022】
上述した課題を解決する本発明に係るコネクタの嵌合状態検査装置は、外方に突出する爪部を有する挿入体と、前記挿入体を挿入した際に、前記爪部を乗り越えて前記爪部に係合して前記挿入体の抜け出しを防止する係止片を有する嵌合体とから構成されるコネクタの嵌合状態検査装置であって、
前記挿入体と前記嵌合体とが接続された状態の前記爪部及び前記係止片に光を照射して、前記挿入体及び前記嵌合体を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置にて撮像された撮像画像より反射光の濃淡を示す濃淡画像パターンを作成する画像処理手段と、
前記画像処理手段にて作成された前記濃淡画像パターンに基づいて前記係止片の傾斜状態を検出し、該傾斜状態に基づいて前記コネクタが正常に嵌合しているか否かを判定する判定手段と、を備え
、
前記撮像装置は、
前記嵌合体の前記係止片を有する面に対して光を直角に照射して、当該光の照射方向から前記挿入体及び前記嵌合体を撮像装置で撮像する径方向撮像処理と、
前記嵌合体の前記係止片を有する面に対して光を平行に照射して、当該光の照射方向から前記挿入体及び前記嵌合体を撮像装置で撮像する軸方向撮像処理と、を実行する。
【0023】
本発明のコネクタの嵌合状態検査装置によれば、接続された状態の挿入体及び嵌合体に照射された光の反射光の濃淡を示す濃淡画像パターンに基づいて係止片の傾斜状態を検出するとともに、当該検出された結果に基づいて挿入体と嵌合体との嵌合状態が正常か否かを判定するため、従来行っていたコネクタと撮像装置との距離に基づいた補正等を行う必要がない。このため、コネクタの嵌合状態を精度良く検査することができる。
従来、嵌合された状態の挿入体及び嵌合体を撮像しても、光量不足であったり、ワイヤーハーネス等の他の部品の影になったりして、挿入体及び嵌合体が明瞭に撮像されていない場合があったが、本発明では、軸方向及び径方向から撮像するため、少なくとも何れか一方向から挿入体及び嵌合体を確実に撮像することができる。
また、係止片が爪部に正常に係合している場合、即ちコネクタの嵌合状態が異常の場合は、係止片によって反射する反射光が撮像装置に入力されるため、濃淡画像パターンには白色で表される。一方、係止片が爪部に正常に係合していない場合、即ちコネクタの嵌合状態が異常の場合、係止片から反射する反射光が撮像装置に入力されないため、濃淡画像パターンには黒色で表される。これにより、コネクタの嵌合状態を濃淡の違いによって容易に確認することができる。
また、撮像工程、画像処理工程及び判定工程は、PC等のコンピュータを用いて短時間で実施することができる。このため、従来、人が行っていた嵌合時の音確認作業や嵌合状態の目視確認作業を省くことができる。これにより、検査の作業効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ケーブルを連結するコネクタの嵌合状態を効率良く、且つ正確に検査可能なコネクタの嵌合状態検査方法及び嵌合状態検査装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。なお、以下の実施形態では、イグニッションコイルのコネクタを用いた場合について説明するが、イグニッションコイルに限定されるものではなく、他のコネクタについても適用可能である。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係るコネクタ嵌合状態検査装置及びエンジンの検査ラインを示す斜視図である。
図1に示すように、エンジン11(組立て対象物に相当)の生産ライン12の終盤は、エンジン11にワイヤリングハーネス、各種配管などが組み付けられるドレスアップライン13と呼ばれ、このドレスアップライン13の中に、コネクタの嵌合状態を検査する検査ライン14が設けられ、この検査ライン14にコネクタ嵌合状態検査装置20が設置されている。
【0028】
検査ライン14は、複数のローラーを有するコンベア16と、このコンベア16上の所定軌道を搬送される複数のパレット17(図中には1台のみ図示)とを備え、各パレット17に機種の異なるエンジン11がそれぞれ1台ずつ位置決めされた状態で載置されている多機種混合ラインである。
検査ライン14では、各パレット17及びエンジン11は、一定の流れの途中でコネクタ42の嵌合状態の検査のために一時停止される。
【0029】
コネクタ嵌合状態検査装置20は、コネクタの嵌合状態を撮像する2台のカメラ(撮像装置に相当)21a、21bと、これらのカメラ21a、21bにそれぞれ付設されて撮像対象としてのコネクタを照らす照明灯22と、これらのカメラ21a、21b及び照明灯22をそれぞれ支持するために検査ライン14の両側に配置されたアーム型のロボット23a、23bと、これらのロボット23a、23b間でパレット17の位置を検知するとともにパレット17に載せられたエンジン11の各種情報を取得するパレットセンサ25と、ロボット23a、23bを制御するとともにカメラ21a、21bで撮像された画像に基づいて検査処理を行う検査処理装置26とからなる。
【0030】
カメラ21a、21bは、それぞれロボット23a、23bに設けられている。そして、カメラ21a、21bは、コネクタをそれぞれ径方向、軸方向(径方向及び軸方向については後述する)から撮像する。
【0031】
また、検査ライン14、カメラ21a、21b、照明灯22及びロボット23a、23bを囲う安全柵35が設けられている。安全柵35は、外部からの光がカメラ21a、21b及び撮像対象へ入射しないようにする外乱光防止柵を兼ねている。
【0032】
図2は、本発明の実施形態に係るコネクタ嵌合状態検査装置20及びエンジン11の検査ライン14を示す平面図である。
図2に示すように、検査ライン14の両側にロボット23a、23bが配置され、各パレット17及びエンジン11が一時停止中に、ロボット23a、23bの先端にそれぞれ取付けられたカメラ21a、21bが独立してエンジン11近傍の異なる所定位置(エンジン11の機種毎に定められた位置)に移動し、コネクタがカメラ21a、21bで撮像される。
【0033】
図3は、本発明の実施形態に係るコネクタを構成する挿入体及び嵌合体を説明する斜視図である。
図3に示すように、イグニッションコイル41のコネクタ42は、外方に突出する爪部43aを外周に有する挿入体43と、爪部43aに係合可能な係止片44aを有する嵌合体44と、を備えている。
挿入体43を嵌合体44の差込口44eから挿入すると、嵌合体44の係止片44aが爪部43aを乗り越えた後、係止片44aの穴44d内に爪部43aが係合することで挿入体43の抜け出しを防止する。係止片44aは、爪部43aを乗り越えることができるように外方へ向かって可動可能であり、合成樹脂により形成されている。
本明細書中では、
図3中に示すように、嵌合体44を挿入体43に差し込んだり、取り外したりする方向を軸方向という。また、軸方向と直交する方向を径方向という。
本実施形態では、イグニッションコイル41用のコネクタ42を用いたが、これに限定されるものではなく、爪部43aを有する挿入体43及び係止片44aを有する嵌合体44とからなるコネクタ42であればよい。
【0034】
挿入体43及び嵌合体44の内部には、それぞれ導電体のピン43b、端子台44bが設けられており、挿入体43を嵌合体44内に挿入することで、ピン43bと端子台44bとを接触させて導通可能とする。
【0035】
図4は、本発明の実施形態に係るコネクタ嵌合状態検査装置20のブロック図である。
図4に示すように、コネクタ嵌合状態検査装置20は、カメラ21a、21bと、パレットセンサ25と、検査処理装置26と、照明灯22と、ロボット23a、23bとを備えている。
【0036】
検査処理装置26は、検査司令部51と処理・制御部52とを備えている。
パレットセンサ25は、検査ライン14にパレットが到着して一時停止したことを検知したら、パレットが到達した旨のパレット位置信号PPSを検査司令部51へ出力する。
【0037】
検査司令部51は、パレット位置信号PPSが入力したら、照明灯22を点灯させる点灯信号TSSを作成し、照明灯22へ出力する。点灯信号TSSが入力した照明灯22は、点灯する。
また、検査司令部51は、パレット位置信号PPSが入力したら、各種処理及び制御(詳細は後述する)を指令する制御信号SSを作成し、処理・制御部52へ出力する。
【0038】
処理・制御部52は、カメラ21a、21bによって撮像されたコネクタ42の撮像画像GSa、GSbに基づいて、反射光の濃淡を示す濃淡画像パターンR1、R2、R3、A1を形成する画像処理部54と、エンジン機種毎の正常な状態のコネクタ42の濃淡を示す合格画像パターンPP、PQが保存された記憶部55と、画像処理部54から出力される濃淡画像パターンR1が、記憶部55から出力される合格画像パターンPPと一致するか否かを確認する画像確認部56と、を備えている。
【0039】
カメラ21aは、
図5(a)、
図5(b)及び
図6(a)に示すように、照明灯22の光が照射されたコネクタ42全体を径方向から撮像する。照明灯22は、嵌合体44の係止片44aを有する面に対して光を直角に照射している。
また、カメラ21bは、
図7(a)及び
図8(a)に示すように、照明灯22の光が照射されたコネクタ42全体を軸方向から撮像する。照明灯22は、嵌合体44の係止片44aを有する面に対して光を平行に照射している。
カメラ21a、21bによってそれぞれ撮像された撮像画像GSa、GSbは、カメラ21a、21bからそれぞれ画像処理部54に出力される。
【0040】
画像処理部54は、撮像画像GSa内の係止片44aと爪部43aとの係合部分(
図5(a)のI部分)を抽出し、反射光の濃淡を示す濃淡画像パターンR1を作成する。作成された濃淡画像パターンR1は、画像確認部56へ出力される。
また、画像処理部54は、撮像画像GSa内の挿入体43の基端43c部分(
図5(a)のII部分)を抽出し、反射光の濃淡を示す濃淡画像パターンR2を作成する。
さらに、画像処理部54は、撮像画像GSa内の嵌合体44の挿入体43に接続される先端44c部分(
図5(a)のIII部分)を抽出し、反射光の濃淡を示す濃淡画像パターンR3を作成する。作成された濃淡画像パターンR2、R3は、座標検出部60へ出力される。
【0041】
また、画像処理部54は、撮像画像GSb内の係止片44aと爪部43aとの係合部分(
図7(a)のIV部分)を抽出し、反射光の濃淡を示す濃淡画像パターンA1を作成する。作成された濃淡画像パターンA1は、面積計測部64へ出力される。
【0042】
<径方向の検査について>
画像確認部56は、入力した濃淡画像パターンR1と、記憶部55から出力される合格画像パターンPPとが一致するかを確認する。
図5(c)は合格画像パターンPPを示す図であり、
図6(b)は不合格画像パターンの一例を示す図である。合格画像パターンPPは、嵌合体44の係止片44aが挿入体43の爪部43aに正常に係合している状態(
図5(a)及び
図5(b))を示し、不合格画像パターンは、嵌合体44の係止片44aと挿入体43の爪部43aとの係合が正常でない状態(
図6(a))を示している。
【0043】
図5(c)に示すように、合格画像パターンPPは、反射光の有無によって白色と黒色との2種類の濃淡(明度)で表される。具体的に、係止片44aは、当該係止片44aからの反射光によって白色に、爪部43aは、当該爪部43aからの反射光がカメラ21aに入射しないので黒色に表される。
【0044】
一方、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、例えば、係止片44aが爪部43aの上に載置している場合、即ち係止片44aと爪部43aとの係合が正常でない場合は、爪部43aのみならず、多くの係止片44aからの反射光はカメラ21aに入射しないので全体的に黒色に表される。
【0045】
画像確認部56は、濃淡画像パターンR1が合格画像パターンPPと一致するかを確認する。そして、一致する場合には一致信号ASを作成し、不一致の場合(例えば、濃淡画像パターンR1が
図6(b)の場合)には不一致信号DSを作成する。一致信号AS又は不一致信号DSは、後述する径方向比較部63へ出力される。
【0046】
また、
図4に示すように、処理・制御部52は、座標検出部60と、距離算出部61と、距離確認部62と、径方向比較部63と、を備えている。
【0047】
座標検出部60は、入力した濃淡画像パターンR2、R3より、挿入体43の基端43c位置及び嵌合体44の先端44c位置のX座標をそれぞれ検出する。
座標検出部60は、挿入体43部分とイグニッションコイル41部分との濃淡の違いによって、挿入体43の基端43c位置のX座標を検出する。
また、挿入体43部分と嵌合体44部分との濃淡の違いによって、嵌合体44の先端44c位置のX座標を検出する。
検出された挿入体43の基端43c位置及び嵌合体44の先端44c位置のX座標値は、それぞれ距離算出部61に出力される。
【0048】
距離算出部61は、入力した挿入体43の基端43c位置及び嵌合体44の先端44c位置のX座標値に基づいて、挿入体43の基端43c位置から嵌合体44の先端44c位置までの距離Dを算出する。算出された距離Dは、距離確認部62に出力される。
【0049】
距離確認部62は、入力した距離Dが、記憶部55から出力される正常な嵌合状態のコネクタ42における挿入体43の基端43c位置から嵌合体44の先端44c位置までの距離の規定範囲内かを確認する。
距離Dが規定範囲内の場合は、挿入体43と嵌合体44が正常に嵌合している状態と考えられる。
一方、距離Dが規定範囲の下限値よりも短い場合は、挿入体43と嵌合体44が異常に接近している状態であり、何れか一方が破損していたり、間違ったコネクタ42が用いられたりしているおそれがある。また、距離Dが規定範囲の上限値よりも長い場合は、挿入体43が嵌合体44内に十分に挿入されていないおそれがある。このため、距離Dが規定範囲外の場合は、不良な嵌合状態である。
【0050】
そして、距離Dが規定範囲内である場合には、規定範囲内であることを示す範囲内信号IPを作成し、範囲外である場合には範囲外信号OPを作成する。範囲内信号IP又は範囲外信号OPは、径方向比較部63へ出力される。
なお、正常な嵌合状態のコネクタ42における挿入体43の基端43c位置から嵌合体44の先端44c位置までの距離の規定範囲は、予め設定されており、記憶部55内に記憶されている。
【0051】
径方向比較部63は、画像確認部56からの一致信号AS又は不一致信号DS、及び距離確認部62からの範囲内信号IP又は範囲外信号OPに基づいて、コネクタ42の嵌合状態が径方向の正常条件と合致するかを比較する。
具体的には、画像確認部56からの信号が一致信号ASで、且つ距離確認部62からの信号が範囲内信号IPの場合に、コネクタ42の嵌合状態は正常条件と合致するものとする。
一方、入力した信号に不一致信号DS及び範囲外信号OPのうち少なくとも何れか一方が含まれている場合は、コネクタ42の嵌合状態は正常条件と合致しないものとする。
そして、コネクタ42の嵌合状態が正常条件と合致する場合には、合致信号RASを作成し、合致しない場合には、非合致信号RUSを作成する。合致信号RAS及び非合致信号RUSは、後述する判定部57に出力される。
【0052】
<軸方向の検査について>
図4に示すように、処理・制御部52は、面積計測部64と、面積確認部65と、軸方向比較部66と、を備えている。
【0053】
面積計測部64は、画像処理部54からの濃淡画像パターンA1内の濃淡値が所定閾値以下の黒領域の面積Sを計測する。濃淡値が所定値以下の黒領域について以下で説明する。
図7(b)は合格画像パターンを示す図であり、
図8(b)は不合格画像パターンの一例を示す図である。合格画像パターンPQは、嵌合体44の係止片44aが挿入体43の爪部43aに正常に係合している状態(
図7(a))を示し、不合格画像パターンは、嵌合体44の係止片44aと挿入体43の爪部43aとの係合が正常でない状態(
図8(a))を示している。
【0054】
図7(b)に示すように、合格画像パターンPQは、
図7(a)のIV枠内の爪部43a、嵌合体44の上端面及び嵌合体44周辺の一部分が撮像され、これらのうち爪部43a及び嵌合体44の上端面は反射光によって白色に、嵌合体44周辺の一部分は反射しないため薄い黒色に表される。嵌合体44周辺は、工場内に設置されている蛍光灯等の照明によって明るいため、薄い黒色となる。係る場合に、係止片44aは、
図7(a)に示すように、嵌合体44上面に隠れているため撮像されない。
【0055】
一方、
図8(b)に示すように、例えば、係止片44aの先端44c部が爪部43aの上面に位置している場合は、係止片44aの先端44c部が嵌合体44の上端面よりも外方へ突出しているため(
図8(a)参照)、照射された光が係止片44aによってカメラ21bと異なる向きに反射されて嵌合体44に隣接する位置に濃い黒色で表される。
したがって、嵌合体44の係止片44aが挿入体43の爪部43aに正常に係合している場合、濃い黒色の領域はほとんど発生しない。
本実施形態では、薄い黒色と、濃い黒色との境界の濃淡値を所定閾値とする。なお、薄い黒色と、濃い黒色との境界の濃淡値は、各現場によって異なる値となるため、予め計測しておく。
そして、所定閾値以下の濃い黒色の領域の面積Sを計測する。計測された面積Sは、面積確認部65へ出力される。
【0056】
面積確認部65は、入力した面積Sが予め設定された規定値未満かを確認する。
面積Sが規定値未満の場合は、係止片44aが嵌合体44の外方に突出していない状態であり、係止片44aが爪部43aに正常に係合している状態である。
一方、面積Sが規定値以上の場合は、係止片44aが嵌合体44の外方に突出している状態であり、係止片44aが爪部43aに正常に係合していないおそれがある。
【0057】
面積Sが規定値未満である場合には、規定値未満であることを示す規定値未満信号VUを作成し、規定値以上の場合には、規定値外信号VOを作成する。作成された規定値未満信号VU又は規定値外信号VOは、軸方向比較部66に出力される。
【0058】
軸方向比較部66は、入力した信号に基づいて、コネクタ42の嵌合状態が軸方向の正常条件と合致するか否かを確認する。
具体的には、入力した信号が規定値未満信号VUの場合、コネクタ42の嵌合状態は正常条件と合致するものとする。一方、入力された信号が規定値外信号VOの場合、コネクタ42の嵌合状態は正常条件と合致しないものとする。
そして、コネクタ42の嵌合状態は正常条件と合致する場合には、合致信号AASを作成し、合致しない場合には、非合致信号AUSを作成する。合致信号AAS及び非合致信号AUSは、後述する判定部57に出力される。
【0059】
また、
図4に示すように、処理・制御部52は、判定部57と、表示部58とを備えている。
【0060】
判定部57は、径方向比較部63及び軸方向比較部66からの合致信号RAS、AAS又は非合致信号RUS、AUSに基づいて、コネクタ42の嵌合状態が正常か否かを判定する。
判定部57は、径方向比較部63及び軸方向比較部66からの信号のうち、少なくとも何れか一方の信号が合致信号RAS、AASであれば、コネクタ42の嵌合状態は正常であると判定する。
一方、径方向比較部63及び軸方向比較部66からの信号が共に非合致信号RUS、AUSの場合にのみコネクタ42の嵌合状態は異常であると判定する。
【0061】
判定部57は、コネクタ42の嵌合状態が正常であると判定した場合に合格信号PSを作成し、異常であると判定した場合に不合格信号RSを作成する。作成された合格信号PS又は不合格信号RSは、表示部58に出力される。
【0062】
表示部58は、入力した合格信号PS又は不合格信号RSを受けて、「合格」又は「不合格」を表示する。
【0063】
さらに、処理・制御部52は、パレットセンサ25からのパレット位置信号PPSに基づきパレットが一時停止したときに検査司令部51からの制御信号SSを受けてロボット23a、23bに駆動信号ESを送って制御するロボット制御部59を備えている。
【0064】
上述した構成からなるコネクタ嵌合状態検査装置20を用いたコネクタ42の嵌合状態検査方法について検査手順にしたがって以下で説明する。
【0065】
<コネクタ42の嵌合状態検査フローについて>
図9は、本発明に係るコネクタ42の嵌合状態検査方法を説明するフローチャートである。
図9に示すように、まず、検査ライン14を流れてきたエンジン機種の検査情報を取得する(ステップS1)。
【0066】
次に、パレット17に載置されたエンジン11が検査ライン14の所定位置に停止したかどうか判定する(ステップS2)。
エンジン11が検査ライン14の所定位置に停止していない(ステップS2:NO)と判定した場合は、再度、ステップS2を実行する。
一方、エンジン11が検査ライン14の所定位置に停止した(ステップS2:YES)と判定した場合は、続いて、カメラ21a、21bをロボット23a、23bによりそのエンジン機種の所定位置に移動させて、カメラ位置を固定する(ステップS3)。
その後、カメラ21a、21bをそのエンジン機種の所定の倍率までズームする。なお、ズーム機能のないカメラを使用してもよい。
【0067】
次に、カメラ21aでコネクタ42を径方向から撮像する(ステップS4)。
続いて、カメラ21bでコネクタ42を軸方向から撮像する(ステップS5)。
カメラ21a、21bによってそれぞれ撮像された撮像画像GSa、GSbは、それぞれ画像処理部54に出力される。
【0068】
次に、径方向の濃淡画像パターンR1と、合格画像パターンPPとを比較する(ステップS6)。
図10は、本発明に係る径方向の濃淡画像パターンR1と、合格画像パターンPPとの比較方法を説明するフローチャートである。
図10に示すように、画像処理部54は、濃淡画像パターンR1、R2、R3を作成する(ステップS11)。
画像処理部54は、ステップS4にて撮像された撮像画像GSa内の係止片44aと爪部43aとの係合部分(
図5(a)のI部分)を抽出し、濃淡画像パターンR1を作成する。作成された濃淡画像パターンR1は、画像確認部56へ出力される。
また、画像処理部54は、撮像画像GSa内の挿入体43の基端43c部分(
図5(a)のII部分)を抽出し、濃淡画像パターンR2を作成する。
さらに、画像処理部54は、撮像画像GSa内の嵌合体44の挿入体43に接続される先端44c部分(
図5(a)のIII部分)を抽出し、濃淡画像パターンR3を作成する。作成された濃淡画像パターンR2、R3は、座標検出部60へ出力される。
【0069】
続いて、画像確認部56は、濃淡画像パターンR1が、合格画像パターンPPと一致するかを確認する(ステップS12)。
そして、一致する場合には一致信号ASを作成し、不一致の場合(例えば、
図6(B)の場合)には不一致信号DSを作成する。一致信号AS又は不一致信号DSは、径方向比較部63へ出力される。
【0070】
次に、挿入体43の基端43c位置の座標を検出する(ステップS13)。
座標検出部60は、濃淡画像パターンR2より、挿入体43の基端43c位置のX座標を検出する。検出された挿入体43の基端43c位置のX座標値は距離算出部61に出力される。
【0071】
また、嵌合体44の先端44cのX座標を検出する(ステップS14)。
座標検出部60は、濃淡画像パターンR3より、嵌合体44の先端44c位置のX座標を検出する。検出された嵌合体44の先端44c位置のX座標値は距離算出部61に出力される。
【0072】
続いて、挿入体43の基端43cから嵌合体44の先端44cまでの距離Dを算出する(ステップS15)。
距離算出部61は、挿入体43の基端43c位置及び嵌合体44の先端44c位置のX座標値に基づいて、挿入体43の基端43cから嵌合体44の先端44cまでの距離Dを算出する。算出された距離Dは、距離確認部62に出力される。
【0073】
次に、距離Dが規定範囲内かを確認する(ステップS16)。
距離確認部62は、距離Dが予め規定された規定範囲内かを確認する。距離Dが規定範囲内である場合には、規定の範囲内であることを示す範囲内信号IPを作成し、範囲外である場合には範囲外信号OPを作成する。範囲内信号IP又は範囲外信号OPは、径方向比較部63へ出力される。
【0074】
次に、コネクタ42の嵌合状態が径方向正常条件と合致するかを比較する(ステップS17)。
径方向比較部63は、画像確認部56からの信号が一致信号ASで、且つ距離確認部62からの信号が範囲内信号IPの場合に、コネクタ42の嵌合状態は正常条件と合致するものとする。
一方、入力された信号に不一致信号DS及び範囲外信号OPのうち少なくとも何れか一方が含まれている場合は、コネクタ42の嵌合状態は正常条件と合致しないものとする。
そして、コネクタ42の嵌合状態が正常条件と合致する場合には、合致信号RASを作成し、合致しない場合には、非合致信号RUSを作成する。合致信号RAS又は非合致信号RUSは、判定部57に出力される。
【0075】
次に、
図9に示すように、軸方向の濃淡画像パターンA1と、合格画像パターンPQとを比較する(ステップS7)。
図11は、本発明に係る軸方向の濃淡画像パターンA1と、合格画像パターンPQとの比較方法を説明するフローチャートである。
図11に示すように、画像処理部54は、濃淡画像パターンA1を作成する(ステップS21)。
画像処理部54は、ステップS5にて撮像された撮像画像GSb内の係止片44aと爪部43aとの係合部分(
図7(A)のIV部分)を抽出し、濃淡画像パターンA1を作成する。作成された濃淡画像パターンA1は、面積計測部64へ出力される。
【0076】
次に、所定閾値以下の黒領域の面積Sを計測する(ステップS22)。
面積計測部64は、濃淡画像パターンA1内から濃淡値が、予め規定された所定閾値以下の濃い黒領域の面積Sを計測する。計測された面積Sは、面積確認部65へ出力される。
【0077】
次に、黒領域の面積Sが予め規定された規定値未満かを確認する(ステップS23)。
面積確認部65は、計測された黒領域の面積Sが、予め規定された規定値未満かを確認する。面積Sが規定値未満である場合には、規定値未満であることを示す規定値未満信号VUを作成し、規定値以上の場合には、規定値外信号VOを作成する。作成された規定値未満信号VU又は規定値外信号VOは、軸方向比較部66に出力される。
【0078】
次に、コネクタ42の嵌合状態が軸方向の正常条件と合致するかを比較する(ステップS24)。
軸方向比較部66は、面積確認部65からの信号に基づいて、コネクタ42の嵌合状態が軸方向の正常条件と合致するかを比較する。
面積確認部65からの信号が規定値未満信号VUの場合、コネクタ42の嵌合状態は正常条件と合致するものとして、合致信号AASを作成する。一方、規定値外信号VOの場合、コネクタ42の嵌合状態は正常条件と合致しないものとして、非合致信号AUSを作成する。合致信号AAS又は非合致信号AUSは、判定部57に出力される。
【0079】
次に、
図9に示すように、コネクタ42の接続状態が正常か否かを判定する(ステップS8)。
判定部57は、径方向比較部63及び軸方向比較部66からそれぞれ入力した信号のうち、少なくとも何れか一方の信号が合致信号RAS、AASであれば、コネクタ42の嵌合状態は正常であると判定する。
嵌合状態が正常であると判定した場合(ステップS8:YES)は、合格信号PSを作成する。作成された合格信号PSは、表示部58へ出力され、ステップS9にて「合格」と表示される。
一方、径方向比較部63及び軸方向比較部66からそれぞれ入力した信号が共に非合致信号RUS、AUSの場合、コネクタ42の嵌合状態は異常であると判定する。
嵌合状態が異常であると判定した場合(ステップS8:NO)は、不合格信号RSを作成する。作成された不合格信号RSは、表示部58へ出力され、ステップS10にて「不合格」と表示される。
【0080】
上述した本発明に係るコネクタ嵌合状態検査装置20及び検査方法によれば、嵌合された状態の挿入体43及び嵌合体44を径方向及び軸方向からそれぞれ撮像し、当該撮像された画像に基づいて挿入体43と嵌合体44との嵌合状態がコネクタ嵌合の正常条件と合致するか否かを各方向毎に比較し、少なくとも何れか一方向の比較結果が合致する場合に挿入体43と嵌合体44との嵌合状態は正常であると判定するため、コネクタ42の嵌合状態を精度良く確認することができる。
また、従来のように、撮像された画像に対してコネクタ42からカメラ21a、21bまでの距離に応じた補正を行う必要がない。このため、コネクタ42の嵌合状態を精度良く確認することができる。
【0081】
また、従来、嵌合された状態の挿入体43及び嵌合体44を撮像しても、光量不足であったり、ワイヤーハーネス等の他の部品の影になっていたりして、挿入体43及び嵌合体44が明瞭に撮像されていない場合があった。しかし、本発明では、軸方向及び径方向から撮像するため、少なくとも何れか一方向から挿入体43及び嵌合体44を確実に撮像することができる。そして、軸方向又は径方向の何れか一方向による撮像画像によって、挿入体43と嵌合体44との嵌合状態は正常であると判定するため、挿入体43及び嵌合体44が明瞭に撮像されていないことによって検査ラインが停止することを防止できる。これにより、検査ラインが停止した際に作業員が検査箇所へ行って撮像できるように作業する等の手間を省くことができる。したがって、検査の作業効率を向上させることができる。
【0082】
また、挿入体43の爪部43aと嵌合体44の係止片44aとの係合部分の濃淡画像パターンが合格画像パターンと合致し、且つ挿入体43の基端43cから嵌合体44の先端44cまでの距離が規定範囲内である場合に、挿入体43と嵌合体44との嵌合状態が、径方向正常条件と合致するとしているため、径方向による比較結果を精度よく導き出すことができる。
【0083】
そして、挿入体43の爪部43aと嵌合体44の係止片44aとの係合部分の濃淡画像パターン内の黒領域の面積が規定範囲内である場合に、挿入体43と嵌合体44との嵌合状態が軸方向正常条件と合致するとしているため、軸方向による比較結果を精度よく導き出すことができる。
【0084】
さらに、対象物の機種に応じて異なる挿入体43及び嵌合体44の撮像位置をそれぞれロボット23a、23bに指示することで、多機種混合ラインでもコネクタ42の嵌合状態の検査に柔軟に対応することができる。
【0085】
また、複数のロボット23a、23bで同時に異なる箇所の挿入体43及び嵌合体44を撮像することができる。これにより、検査時間を短縮して生産性を向上させることができる。
【0086】
なお、本実施形態では、径方向からコネクタ42を撮像(ステップS4、
図9参照)した後に軸方向からコネクタ42を撮像(ステップS5)する順番で説明したが、これに限定されるものではなく、軸方向から撮像した後に、径方向から撮像してもよいし、径方向からの撮像と軸方向からの撮像を並行して実施してもよい。
また、本実施形態では、径方向の濃淡画像パターンと合格画像パターンとを比較(ステップS6)した後に、軸方向の濃淡画像パターンと合格画像パターンとを比較(ステップS7)する順番で説明したが、これに限定されるものではなく、軸方向の比較を実行した後に、径方向の比較を実施してもよいし、径方向の比較と軸方向の比較を並行して実行してもよい。