特許第6011935号(P6011935)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6011935車載カメラシステムおよびカメラレンズ異常検知方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011935
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】車載カメラシステムおよびカメラレンズ異常検知方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20161011BHJP
   G06T 7/60 20060101ALI20161011BHJP
   B60R 1/00 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   H04N7/18 J
   H04N7/18 K
   G06T7/60 200J
   B60R1/00 A
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-269282(P2012-269282)
(22)【出願日】2012年12月10日
(65)【公開番号】特開2014-115814(P2014-115814A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081282
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 俊輔
(74)【代理人】
【識別番号】100085084
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 高英
(74)【代理人】
【識別番号】100095326
【弁理士】
【氏名又は名称】畑中 芳実
(74)【代理人】
【識別番号】100115314
【弁理士】
【氏名又は名称】大倉 奈緒子
(74)【代理人】
【識別番号】100117190
【弁理士】
【氏名又は名称】前野 房枝
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】酒井 重之
【審査官】 佐田 宏史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−293672(JP,A)
【文献】 特開平8−202998(JP,A)
【文献】 特開2000−069921(JP,A)
【文献】 特開2011−223075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G06T 1/00,7/00−7/60
B60R 1/00,21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された複数の車載カメラを備えた車載カメラシステムであって、
前記車載カメラの撮影画像に基づいて認識された道路区画線の信頼度の履歴を前記車載カメラ毎に作成する信頼度履歴作成手段と、
この信頼度履歴作成手段によって作成された前記車載カメラ毎の前記信頼度の履歴同士を比較して、相対的に前記信頼度の低下が示された前記車載カメラに、レンズへの異物の付着および/またはレンズの曇りを含むレンズの異常が生じていると判定する異常判定手段と
を備えたことを特徴とする車載カメラシステム。
【請求項2】
前記異常判定手段は、前記信頼度の低下が一定期間分または前記道路区画線の所定認識回数分示された前記車載カメラに、前記異常が生じていると判定すること
を特徴とする請求項1に記載の車載カメラシステム。
【請求項3】
前記異常判定手段は、前記複数の車載カメラのうち、同一の前記道路区画線の同一の部位を同時または前記車両の進行に応じて時間差で撮影可能な前記車載カメラ同士の前記信頼度の履歴を比較すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載カメラシステム。
【請求項4】
前記異常判定手段によって前記信頼度の履歴が比較される前記車載カメラは、前記車両の前方を撮影するフロントカメラ、前記車両の側方を撮影するサイドカメラおよび前記車両の後方を撮影するリアカメラのうちの少なくとも2つであること
を特徴とする請求項3に記載の車載カメラシステム。
【請求項5】
前記異常判定手段は、前記フロントカメラの前記信頼度の履歴と前記リアカメラの前記信頼度の履歴とを、前記フロントカメラが前記道路区画線の所定の部位を撮影してから前記リアカメラが当該部位を撮影するまでに要するとみなされる遅延時間分だけずらして比較すること
を特徴とする請求項4に記載の車載カメラシステム。
【請求項6】
前記異常判定手段は、車速に基づいて前記遅延時間を判断すること
を特徴とする請求項5に記載の車載カメラシステム。
【請求項7】
前記信頼度履歴作成手段は、
前記認識された道路区画線の形状に基づいて算出された前記信頼度の履歴を作成すること
を特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の車載カメラシステム。
【請求項8】
前記異常判定手段によって前記異常が生じていると判定された前記車載カメラに対応する画像認識機能を自動的にオフにする画像認識制御手段を備えたこと
を特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の車載カメラシステム。
【請求項9】
前記異常判定手段によって前記異常が生じていると判定された場合に、該当する前記車載カメラについての前記異常を通知する異常通知手段を備えたこと
を特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の車載カメラシステム。
【請求項10】
車載カメラのレンズへの異物の付着および/またはレンズの曇りを含むレンズの異常を検知するためのカメラレンズ異常検知方法であって、
複数の前記車載カメラの撮影画像に基づいてそれぞれ認識された道路区画線の信頼度の履歴を前記車載カメラ毎に作成する第1のステップと、
この第1のステップにおいて作成された前記車載カメラ毎の前記信頼度の履歴同士を比較して、相対的に前記信頼度の低下が示された前記車載カメラに、レンズの異常が生じていると判定する第2のステップと
を含むこと特徴とするカメラレンズ異常検知方法。
【請求項11】
前記第2のステップは、前記信頼度の低下が一定期間分または前記道路区画線の所定認識回数分示された前記車載カメラに、前記異常が生じていると判定するステップであること
を特徴とする請求項10に記載のカメラレンズ異常検知方法。
【請求項12】
前記第2のステップは、前記複数の車載カメラのうち、同一の前記道路区画線の同一の部位を同時または前記車両の進行に応じて時間差で撮影可能な前記車載カメラ同士の前記信頼度の履歴を比較するステップであること
を特徴とする請求項10または請求項11に記載のカメラレンズ異常検知方法。
【請求項13】
前記第2のステップは、前記車載カメラとしてのフロントカメラの前記信頼度の履歴と前記車載カメラとしてのリアカメラの前記信頼度の履歴とを、前記フロントカメラが前記道路区画線の所定の部位を撮影してから前記リアカメラが当該部位を撮影するまでに要するとみなされる遅延時間分だけずらして比較するステップであること
を特徴とする請求項12に記載のカメラレンズ異常検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラシステムおよびカメラレンズ異常検知方法に係り、特に、車載カメラのレンズの異常を検知するのに好適な車載カメラシステムおよびカメラレンズ異常検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車線逸脱警告(LDW:Lane Departure Warning)システム等の映像を出力しない車載カメラシステムにおいては、ユーザが車載カメラのレンズへの異物(汚れや水滴等)の付着を映像に基づいて発見することができないため、異物付着の自動検知の有用性が高かった。
【0003】
この種のシステムにおいては、これまでにも、例えば、特許文献1に示すように、カメラの一部に写った車両の一部分の実画像と、カメラに異物が付着していないときの基準画像とを比較し、画像の変化の有無を検出することによって、異物付着の有無を判断することが行われていた。
【0004】
しかし、このような技術では、図14に示すように、基準画像に対して多様なシーン(夜間、車両等の影が映り込んでいる状況、雨天等)の実画像が想定されるため、このことを考慮して、異物付着を誤検知しないための基準画像および判断基準の設定が困難であり、異物付着を検知するための専用処理を追加する必要があるといった問題が生じていた。
【0005】
これに対して、特許文献2においては、車載カメラの撮影画像の白線認識信頼度を判定する技術が提案されており、また、特許文献3においては、広画角の複数の車載カメラによる重複撮影領域の画像同士を比較する技術が提案されているので、これらの技術を組み合わせれば、基準画像を用意せずとも、重複撮影領域における両カメラの白線の認識度の違いによって異物付着を検知することも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−265727号公報
【特許文献2】特開2010−69921号公報
【特許文献3】特開2011−223075号公報
【特許文献4】特開2008−60874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3では、重複撮影領域のみを異物付着の判断領域とし、重複撮影領域において、「所定以上の輝度変化がある(請求項2)」または「白線検出結果が異なる」場合に、異物付着有りと判断していた。
【0008】
このため、重複撮影領域に対応するレンズ部分に異物が付着していなければ異常判断することができなかった。
【0009】
そこで、本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、車載カメラのレンズの異常(異物付着や曇り)を検知する際に、異常の発生場所の多様性に簡便かつ柔軟に対応することができ、ひいては、検知精度を低コストで向上させることができる車載カメラシステムおよびカメラレンズ異常検知方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するため、本発明に係る車載カメラシステムは、車両に搭載された複数の車載カメラを備えた車載カメラシステムであって、前記車載カメラの撮影画像に基づいて認識された道路区画線の信頼度の履歴を前記車載カメラ毎に作成する信頼度履歴作成手段と、この信頼度履歴作成手段によって作成された前記車載カメラ毎の前記信頼度の履歴同士を比較して、相対的に前記信頼度の低下が示された前記車載カメラに、レンズへの異物の付着および/またはレンズの曇りを含むレンズの異常が生じていると判定する異常判定手段とを備えたことを特徴としている。
【0011】
また、本発明に係るカメラレンズ異常検知方法は、車載カメラのレンズへの異物の付着および/またはレンズの曇りを含むレンズの異常を検知するためのカメラレンズ異常検知方法であって、複数の前記車載カメラの撮影画像に基づいてそれぞれ認識された道路区画線の信頼度の履歴を前記車載カメラ毎に作成する第1のステップと、この第1のステップにおいて作成された前記車載カメラ毎の前記信頼度の履歴同士を比較して、相対的に前記信頼度の低下が示された前記車載カメラに、レンズの異常が生じていると判定する第2のステップとを含むこと特徴としている。
【0012】
そして、このような本発明によれば、車載カメラ毎の道路区画線の認識結果の信頼度の履歴を比較することによって車載カメラのレンズの異常を検知することができるので、車載カメラのレンズの異常の検知を、異常の発生場所を他の車載カメラとの重複撮影領域に対応するレンズ部分に拘束することなく簡便かつ正確に行うことができる。
【0013】
なお、道路区画線とは、車道中央線、車線境界線(レーンマーク)、車道外側線等の道路上に描かれた実線のことをいう(以下、同様)。
【0014】
また、本発明の車載カメラシステムにおいて、前記異常判定手段は、前記信頼度の低下が一定期間分または前記道路区画線の所定認識回数分示された前記車載カメラに、前記異常が生じていると判定してもよい。同様に、本発明のカメラレンズ異常検知方法において、前記第2のステップは、前記信頼度の低下が一定期間分または前記道路区画線の所定認識回数分示された前記車載カメラに、前記異常が生じていると判定するステップであってもよい。
【0015】
そして、このような本発明によれば、一時的な信頼度の低下のみを以て異常であると判定することを回避することができるので、判定精度を向上させることができる。
【0016】
さらに、本発明の車載カメラシステムにおいて、前記異常判定手段は、前記複数の車載カメラのうち、同一の前記道路区画線の同一の部位を同時または前記車両の進行に応じて時間差で撮影可能な前記車載カメラ同士の前記信頼度の履歴を比較してもよい。この場合に、前記異常判定手段によって前記信頼度の履歴が比較される前記車載カメラは、前記車両の前方を撮影するフロントカメラ、前記車両の側方を撮影するサイドカメラおよび前記車両の後方を撮影するリアカメラのうちの少なくとも2つであってもよい。同様に、本発明のカメラレンズ異常検知方法において、前記第2のステップは、前記複数の車載カメラのうち、同一の前記道路区画線の同一の部位を同時または前記車両の進行に応じて時間差で撮影可能な前記車載カメラ同士の前記信頼度の履歴を比較するステップであってもよい。
【0017】
そして、このような本発明によれば、各車載カメラの間で、同一の道路区画線の同一の部位に基づく信頼度の履歴同士を比較することができるので、判定精度をさらに向上させることができる。
【0018】
さらにまた、本発明の車載カメラシステムにおいて、前記異常判定手段は、前記フロントカメラの前記信頼度の履歴と前記リアカメラの前記信頼度の履歴とを、前記フロントカメラが前記道路区画線の所定の部位を撮影してから前記リアカメラが当該部位を撮影するまでに要するとみなされる遅延時間分だけずらして比較してもよい。同様に、本発明のカメラレンズ異常検知方法において、前記第2のステップは、前記車載カメラとしてのフロントカメラの前記信頼度の履歴と前記車載カメラとしてのリアカメラの前記信頼度の履歴とを、前記フロントカメラが前記道路区画線の所定の部位を撮影してから前記リアカメラが当該部位を撮影するまでに要するとみなされる遅延時間分だけずらして比較するステップであってもよい。
【0019】
そして、このような本発明によれば、フロントカメラとリアカメラのように、重複撮影領域を有さずに道路区画線の同じ部位を時間差で撮影するカメラ同士については、遅延時間を考慮した履歴比較を行うことができるので、判定精度を更に向上させることができる。
【0020】
また、本発明の車載カメラシステムにおいて、前記異常判定手段は、車速に基づいて前記遅延時間を判断してもよい。
【0021】
そして、このような構成によれば、遅延時間を、車速に基づいて簡便に把握することができる。
【0022】
さらに、本発明の車載カメラシステムにおいて、前記信頼度履歴作成手段は、前記認識された道路区画線の形状に基づいて算出された前記信頼度の履歴を作成してもよい。
【0023】
そして、このような構成によれば、道路区画線の信頼度の判断基準として、適切な基準を用いることができる。
【0024】
さらにまた、本発明の車載カメラシステムにおいて、前記異常判定手段によって前記異常が生じていると判定された前記車載カメラに対応する画像認識機能を自動的にオフにする画像認識制御手段を備えてもよい。
【0025】
そして、このような構成によれば、異常が検知された車載カメラについて無意味な画像処理を行わないようにすることができる。
【0026】
また、本発明の車載カメラシステムにおいて、前記異常判定手段によって前記異常が生じていると判定された場合に、該当する前記車載カメラについての前記異常を通知する異常通知手段を備えてもよい。
【0027】
そして、このような構成によれば、ユーザが異常を確実に認識することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、車載カメラのレンズの異常を検知する際に、異常の発生場所の多様性に簡便かつ柔軟に対応することができ、ひいては、検知精度を低コストで向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の第1実施形態において、車載カメラシステムを示すブロック図
図2】道路区画線の認識処理を説明するための第1の説明図
図3】道路区画線の認識処理を説明するための第2の説明図
図4】道路区画線の認識処理を説明するための第3の説明図
図5】道路区画線の認識結果の信頼度の履歴を示す概念図
図6】異常有無の判定処理を示す模式図
図7】異常有無の判定処理を説明するために用いる道路区画線の認識結果の信頼度の変化特性を示すグラフ
図8】異常有無の判定処理に用いる場合がある遅延時間を説明するための説明図
図9】遅延時間を考慮した異常有無の判定処理を説明するために用いる道路区画線の認識結果の信頼度の変化特性を示すグラフ
図10】本発明の第1実施形態において、カメラレンズ異常検知方法を示す第1のフローチャート
図11】カメラレンズ異常検知方法を示す第2のフローチャート
図12】本発明の第2実施形態において、車載カメラシステムを示す概略ブロック図
図13】本発明の第2実施形態において、信頼度の比較評価の態様を示す図
図14】従来の問題点を説明するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔第1実施形態〕
(車載カメラシステム)
以下、本発明に係る車載カメラシステムの第1実施形態について、図1乃至図9を参照して説明する。
【0031】
図1に示すように、本実施形態における車載カメラシステム1は、車両に搭載された2つの車載カメラ2f、2rを有している。これらのうち、一方の車載カメラ2fは、車両の前部(例えば、エンブレム部等)に車両の前方の路面を斜め方向から見下ろすような姿勢で取り付けられた車両の前方を中心とした所定の撮影領域を撮影するフロントカメラ2fとされている。また、他方の車載カメラ2rは、車両の後部(例えば、リアライセンスガーニッシュ部等)に自車の後方の路面を斜め方向から見下ろすような姿勢で取り付けられた車両の後方を中心とした所定の撮影領域を撮影するリアカメラ2rとされている。各車載カメラ2f、2rは、CCDやCMOS等の固体撮像素子(撮像面)を備えるとともに、対応する撮影領域を所定のフレームレートで逐次撮影するようになっている。
【0032】
また、図1に示すように、フロントカメラ2fにはフロント側撮影画像取得部3fが、リアカメラ2rにはリア側撮影画像取得部3rがそれぞれ接続されており、これら撮影画像取得部3f、3rは、対応する車載カメラ2f、2rの撮影画像を取得するようになっている。なお、撮影画像取得部3f、3rは、バッファ等によって具現化してもよい。
【0033】
さらに、図1に示すように、フロント側撮影画像取得部3fには、フロント側道路区画線認識部4fが、リア側撮影画像取得部3rには、リア側道路区画線認識部4rが、それぞれ接続されている。これら道路区画線認識部4f、4rには、対応する撮影画像取得部3f、3rから、対応する車載カメラ2f、2rの撮影画像がそれぞれ入力されるようになっている。
【0034】
そして、各道路区画線認識部4f、4rは、入力された撮影画像に基づいて、道路区画線の認識(画像認識)を行うようになっている。
【0035】
ここで、道路区画線の認識方法の一例について説明すると、まず、道路区画線認識部4f、4rは、入力された撮影画像から、グレースケールの輝度画像を生成する。そして、道路区画線認識部4f、4rは、図2に示すように、生成された輝度画像を水平方向にスキャンして、閾値以上の輝度が一定間隔続く水平部分をラインとして取り出す。このようなラインの取り出しは、輝度画像全体に対して行う。このようにして取り出されたラインの1つ1つは、スライスと称される。
【0036】
次に、道路区画線認識部4f、4rは、図3に示すように、取り出された各スライスに対して、垂直方向に隣接するスライス同士で水平方向の座標値の少なくとも一部が重複している複数のスライスをグルーピングする。図3に示す例では、撮影画像内からスライスの3つのグループG1〜G3が抽出されている。
【0037】
このようにしてグルーピングを行った後に、道路区画線認識部4f、4rは、図4に示すように、各グループG1〜G3のスライスを3次元座標の路面(Z=0)に投影し、各スライスの中点から、最小2乗法で道路区画線の直線式Y=aGiX+bGi(Z=0)を抽出する。但し、aGiは、グループGi(i=1〜グループ総数)毎の直線式の傾き、bGiは、グループGi毎の直線式のY切片である。なお、3次元座標の路面への投影とは、撮影画像を、車両上方の仮想視点からの俯瞰画像に視点変換することをいう。このとき、3次元座標の原点を車両の中心位置とし、X軸におけるプラス側を車両の前方として、Y軸におけるプラス側を車両の左方としてもよい(図4参照)。
【0038】
このような直線式の抽出の過程で、道路区画線認識部4f、4rは、傾きaGiおよびY切片bGiの値が所定の範囲内に入る複数の直線式がある場合には、それらの直線式に該当するグループを1つのグループとしてまとめる。図4の例では、グループG2とグループG3とを1つのグループG4にまとめている。そして、道路区画線認識部4f、4rは、このようにして1つにまとめたグループについて、その中に含まれる各スライスの情報から、直線式の再抽出を行う。図4の例では、Y=aG4X+bG4が再抽出された直線である。
【0039】
また、道路区画線認識部4f、4rは、前述した各スライスの中点を基準とした直線式の導出と同じ要領で、各スライスの左端点を基準とした直線式、各スライスの右端点を基準とした直線式をそれぞれ抽出する。そして、このようにして抽出されたスライス左端点に基づく直線式とスライス右端点に基づく直線式とを、スライス中点に基づく直線式の左右に引くことによって、スライス幅を算出する。このとき、複数のグループが1つまとめられた場合には、当該1つのグループについてのスライス幅を算出する。
【0040】
以上のようにして、道路区画線の認識が完了する。
【0041】
なお、道路区画線認識部4f、4rによる認識処理は、1フレームごとの撮影画像に基づいて行うことが困難であれば、複数フレーム分の撮影画像に基づいて行ってもよい。また、道路区画線認識部4f、4rは、これの機能を実現するためのプログラムをCPU等の演算処理装置が実行することによって具現化してもよい。演算処理装置が実行すべきプログラムについては、ROM等のプログラム記憶部に格納しておき、また、演算処理装置の処理には、RAM等の作業領域を利用してもよい。
【0042】
図1に戻って、車載カメラシステム1は、フロント側信頼度算出部5fおよびリア側信頼度算出部5rを有している。フロント側信頼度算出部5fは、フロント側道路区画線認識部4fの認識結果(認識された道路区画線)を、リア側信頼度算出部5rは、リア側道路区画線認識部4rの認識結果を、それぞれ取得するようになっている。そして、信頼度算出部5f、5rは、対応する認識結果の信頼度を算出するようになっている。このとき、信頼度算出部5f、5rは、図4に示したように、撮影画像から複数の道路区間線(同図におけるG1、G4に対応する2つの道路区間線)が認識されている場合には、道路区間線毎に信頼度を算出するようになっている。
【0043】
ここで、信頼度の算出は、例えば、道路区画線の形状を反映した以下の評価値に基づいて行うようにしてもよい。
【0044】
<直線性評価値>
直線性評価値は、道路区画線認識部4f、4rの認識結果の直線性についての評価値であり、具体的には、図4のようにして求められた直線式Y=aGiX+bGiとスライス中点とのずれの大きさに基づく算出値である。直線性評価値MatchingValueは、例えば、次式のように表すことができる。
【0045】
MatchingValue=1.0-Difference/MaxDifference (1)
但し、(1)式において、Differenceは、直線式と各スライス中点との距離の平均値であり、MaxDifferenceは、距離誤差の閾値である。
【0046】
このようにして算出された直線性評価値MatchingValueは、0.0〜1.0の範囲内の値をとることになる。
【0047】
<平行性評価値>
平行性評価値は、道路区画線認識部4f、4rによって認識された道路区画線の左右のエッジ同士の平行性に関する評価値であり、具体的には、前述したスライス左端点に基づく直線式とスライス右端点に基づく直線式との2つの直線式同士の平行性を定量化したものである。平行性評価値EdgeMatchigValueは、例えば、次式のように表すことができる。
【0048】
EdgeMatchigValue=EdgeDifference/MaxEdgeDifference (2)
但し、(2)式において、EdgeDifferenceは、2つの直線式の傾きの差であり、MaxEdgeDifferenceは、各スライスの左端点および右端点の差の最大値である。
【0049】
このようにして算出された平行性評価値EdgeMatchigValueも、0.0〜1.0の範囲内の値をとることになる。
【0050】
そして、信頼度は、これらの評価値MatchingValue、EdgeMatchigValueのいずれか一方、両評価値の平均値、両評価値に加えてまたは替えて他の要素(例えば、認識された道路区画線の矩形性、幅の均一性、輝度分布、縦横比等)を考慮した値であってもよい。この他にも、信頼度の算出には、特願2012−057155号に記載の技術を適宜用いてもよい。
【0051】
なお、信頼度算出部5f、5rは、これの機能を実現するためのプログラムを演算処理装置が実行することによって具現化してもよい。
【0052】
また、図1に示すように、車載カメラシステム1は、信頼度履歴作成手段としてのフロント側信頼度履歴作成部6fおよびリア側信頼度履歴作成部6rを有している。フロント側信頼度履歴作成部6fは、フロント側信頼度算出部5fの算出結果を、リア側信頼度履歴作成部6rは、リア側信頼度算出部5rの算出結果を、それぞれ取得するようになっている。そして、信頼度履歴作成部6f、6rは、対応する信頼度算出部5f、5rの算出結果の履歴をそれぞれ作成・保持するようになっている。
【0053】
ここで、信頼度の履歴は、図5(a)に示すように、信頼度と時刻との対応関係が記述されたものであってもよく、または、図5(b)に示すように、信頼度と道路区画線の認識回数(何回目の認識か)との対応関係が記述されたものであってもよく、あるいは、時刻および認識回数の双方との対応関係が記述されたものであってもよい。この場合に、時刻については、タイマ等の不図示の計時手段の計測結果から取得し、認識回数については、道路区画線認識部4f、4rから取得してもよい。また、図4に示したように、認識結果が複数存在する場合には、履歴についても複数作成すればよい。
【0054】
なお、信頼度履歴作成部6f、6rは、これの機能を実現するためのプログラムを演算処理装置が実行することによって具現化してもよい。履歴の保持には、各種の外部記憶装置(ハードディスクドライブ等)やメインメモリ等を用いてもよい。
【0055】
図1に戻って、車載カメラシステム1は、異常判定手段としての異常判定部7を有しており、この異常判定部7は、信頼度履歴作成部6f、6rによって作成された車載カメラ2f、2r毎の信頼度の履歴を取得するようになっている。そして、異常判定部7は、取得された車載カメラ2f、2r毎の信頼度の履歴同士を比較して、相対的に信頼度の低下が示された車載カメラに、このカメラのレンズへの異物の付着およびレンズの曇りの少なくとも一方を含むレンズの異常が生じていると判定するようになっている。
【0056】
図6は、このような異常判定部7の動作を示す模式図である。図6においては、リアカメラ2rに対応する信頼度が90%であるのに対して、フロントカメラ2fに対応する信頼度が30%と低下しているので、フロントカメラ2fにレンズの異常が生じていると判定している。
【0057】
また、図7(a)は、フロントカメラ2fに対応する信頼度の履歴を、時間または道路区画線の認識回数(横軸)に応じた信頼度(縦軸)の変化として示したものである。同様に、図7(b)は、リアカメラ2rに対応する信頼度の履歴を、時間または道路区画線の認識回数に応じた信頼度の変化として示したものである。ただし、両履歴は、同一の道路区画線の認識結果の信頼度を対象としたものである。
【0058】
ここで、図7(b)に示すように、リアカメラ2rに対応する信頼度は、時間/認識回の増加にかかわらず安定している一方で、図7(a)に示すように、フロントカメラ2fに対応する信頼度は、或る横軸値v(時間/認識回)以降、時間/認識回の増加にともなってリアカメラ2rに対応する信頼度に対して相対的に低下している。
【0059】
このような場合に、異常判定部7は、フロントカメラ2fのレンズに異常が生じていると判定する。
【0060】
なお、異常判定部7による信頼度の履歴の取得は、異常判定部7による判定周期ごとに行うようにしてもよく、または、履歴の更新タイミングごとに行うようにしてもよい。
【0061】
また、図4に示したように、撮影画像から複数の道路区画線が認識された場合には、両車載カメラ2f、2r同士の間で、互いに同一の道路区画線の履歴同士を比較した判定を行えばよい。同一の道路区画線の履歴であることについては、道路区画線の認識座標範囲および前後のカメラ2f、2rの撮影方向の違い等に応じて簡便に把握することができる。このように、両車載カメラ2f、2rの間で、複数の道路区画線のそれぞれの信頼度履歴同士を比較した判定を行う場合には、レンズの異常発生の判定範囲が、レンズの部分ごとに細分化されることになる。具体的には、例えば、フロントカメラ2fの撮影画像の右側に認識された道路区画線については、リアカメラ2rの撮影画像の左側に認識された道路区画線に対して信頼度の低下がみられたため、フロントカメラレンズ右側部分に異常が発生していると判定し、フロントカメラ2fの撮影画像の左側に認識された道路区画線については、リアカメラ2rの撮影画像の右側に認識された道路区画線に対して信頼度の低下がみられないため、フロントカメラレンズ左側部分に異常が発生していないと判定することができる。
【0062】
さらに、異常判定部7は、これの機能を実現するためのプログラムを演算処理装置が実行することによって具現化してもよい。
【0063】
このような構成によれば、車載カメラ2f、2r毎の道路区画線の認識結果の信頼度の履歴を比較することによって車載カメラ2f、2rのレンズの異常を検知することができるので、当該異常の検知を、当該異常の発生場所が重複撮影領域に対応するレンズ部分に限定されることなく、簡便かつ正確に行うことができる。
【0064】
上記構成に加えて、更に、本実施形態において、異常判定部7は、一方の車載カメラに対応する信頼度に対する他方の車載カメラに対応する信頼度の相対的な低下が、一定期間分(例えば、1分等)または道路区画線の所定認識回数分継続して示された場合に、当該他方の車載カメラにレンズの異常が生じていると判定するようにしてもよい。
【0065】
このような構成によれば、一時的な信頼度の低下のみを以て異常であると判定することを回避することができるので、判定精度を向上させることができる。
【0066】
上記構成に加えて、更に、本実施形態において、異常判定部7は、フロントカメラ2fに対応する信頼度の履歴とリアカメラ2rに対応する信頼度の履歴とを、図8に示すように、フロントカメラ2fが道路区画線の所定の部位Pを撮影してからリアカメラ2rが当該部位Pを撮影するまでに要するとみなされる遅延時間DT分だけずらして相対比較するようにしてもよい。
【0067】
ここで、図9は、このような場合の例を示したものである。図9(a)は、フロントカメラ2fに対応する信頼度の履歴を、時間または道路区画線の認識回数(横軸)に応じた信頼度の変化として示したものであり、図9(b)は、リアカメラ2rに対応する信頼度の履歴を、時間または道路区画線の認識回数に応じた信頼度の変化として示したものである。図9(a)に示すように、フロントカメラ2fに対応する信頼度は、或る横軸値v1以降において低下しているのに対して、同時点v1におけるリアカメラ2rに対応する信頼度は安定している。したがって、このような同時点v1の信頼度同士を比較評価した場合には、フロントカメラ2f側のみに信頼度の低下が生じたものと判断されてしまう。しかし、図9(b)に示すように、横軸値v1に対して遅延時間DT分ずらした横軸値v2においては、リアカメラ2rに対応する信頼度についても、フロント側と同様の低下が生じている。このような場合には、道路区画線の実際の形状自体が正規なものからずれている、すなわち、カメラ2fに異物は付着されていないと判定する方が寧ろ妥当である。
【0068】
したがって、このような構成によれば、フロントカメラ2fとリアカメラ2rのように、重複撮影領域を有さずに道路区画線の同じ部位を時間差で撮影するカメラ2f、2r同士については、遅延時間を考慮した履歴比較を行うことができるので、判定精度を更に向上させることができる。なお、遅延時間DTについては、車速センサによって検出された車速、カメラ2f、2rの外部パラメータ(取り付け位置、取り付け角度等)および内部パラメータ(焦点距離等)等に基づいて判断してもよい。
【0069】
上記構成に加えて、更に、本実施形態において、車載カメラシステム1は、図1に示すように、画像認識制御手段としてのフロント側画像認識制御部8fおよびリア側画像認識制御部8rを有している。これらの画像認識制御部8f、8rは、異常判定部7による対応する車載カメラ2f、2rについての判定結果を取得するようになっている。そして、画像認識制御部8f、8rは、取得された判定結果が異常の発生を示すものである場合には、対応する道路区画線認識部4f、4rの認識機能を自動的にオフにするようになっている。
【0070】
なお、画像認識制御部8f、8rは、これの機能を実現するためのプログラムを演算処理装置が実行することによって具現化してもよい。
【0071】
このような構成によれば、異常が検知された車載カメラについて無意味な画像処理を行わないようにすることができる。
【0072】
上記構成に加えて、更に、本実施形態において、車載カメラシステム1は、図1に示すように、異常通知手段としての異常通知部9を有している。この異常通知部9は、異常判定部7によって異常が生じていると判定された場合に、該当する車載カメラについての異常の発生を、画像および/または音声の出力によってユーザに通知するようになっている。
【0073】
このような構成によれば、ユーザが異常を確実に認識することができる。
【0074】
(カメラレンズ異常検知方法)
次に、本発明に係るカメラレンズ異常検知方法の第1実施形態として、車載カメラシステム1の動作を、図10および図11を参照して説明する。
【0075】
本実施形態においては、まず、図10のステップ1(ST1)において、画像取得部3f、3rにより、車載カメラ2f、2rの撮影画像を取得する。
【0076】
次いで、ステップ2(ST2)において、道路区画線認識部4f、4rにより、ステップ1(ST1)において取得された撮影画像に基づいた道路区画線の認識を行う。
【0077】
次いで、ステップ3(ST3)において、信頼度算出部5f、5rにより、ステップ2(ST2)における認識結果の信頼度を算出する。
【0078】
次いで、ステップ4(ST4)において、信頼度履歴作成部6f、6rにより、ステップ3(ST3)において算出された信頼度を履歴に追加する。
【0079】
次いで、ステップ5(ST5)において、異常判定部7により、ステップ4(ST4)において作成された信頼度の履歴に基づいて、レンズの異常の有無を判定する。そして、ステップ5(ST5)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ6(ST6)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ1(ST1)に戻る。
【0080】
次いで、ステップ6(ST6)において、画像認識制御部8f、8rにより、対応する道路区画線認識部4f、4rの画像認識機能を自動的にオフにする。
【0081】
次いで、ステップ7(ST7)において、異常通知部9により、レンズの異常をユーザに通知して処理を終了する。
【0082】
次に、ステップ5(ST5)の詳細な処理を説明すると、まず、図11のステップ51(ST51)において、車載カメラ2f、2r毎の信頼度の履歴を比較する。
【0083】
次いで、ステップ52(ST52)において、一方のカメラ側の信頼度が他方のカメラ側の信頼度に対して相対的に低くなっているか否かを判定する。この判定に際しては、相対的に低いとみなすための信頼度の差分の閾値を設定してもよい。そして、ステップ52(ST52)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ53(ST53)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ1(ST1)に進む。
【0084】
次いで、ステップ53(ST53)において、信頼度が低い状態(継続状態)が一定期間または道路区画線の所定認識回数に達したか否かを判定する。そして、ステップ53(ST53)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ6(ST6)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ1(ST1)に進む。
【0085】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について、図12および図13を参照して説明する。
【0086】
図12に示すように、本実施形態における車載カメラシステム1は、フロントカメラ2fおよびリアカメラ2rに加えて、更に、2台のカメラ2rs、2lsを備えている。これらのうちの1台2rsは、車両の左側部(例えば、左サイドミラー部等)に車両の左側方の路面を斜め方向から見下ろすような姿勢で取り付けられた車両の左側方を中心とした所定の撮影領域を撮影する左サイドカメラ2rsとされている。また、他の1台2lsは、車両の右側部(例えば、右サイドミラー部等)に車両の右側方の路面を斜め方向から見下ろすような姿勢で取り付けられた車両の右側方を中心とした所定の撮影領域を撮影する右サイドカメラ2lsとされている。
【0087】
そして、本実施形態においては、これら2台のサイドカメラ2rs、2lsの撮影画像に基づいて認識された道路区画線の信頼度の履歴も、異常判定部7による判定に用いるようになっている。そのための構成として、本実施形態の車載カメラシステム1には、サイドカメラ2rs、2lsについても、フロント/リアカメラ2f、2rと同様に、撮影画像取得部3、道路区画線認識部4、信頼度算出部5および信頼度履歴作成部6が備えられている。
【0088】
異常判定部7の判定に際しては、同一の道路区画線の同一の部位を同時または車両の進行に応じて時間差で撮影可能な車載カメラ同士の信頼度の履歴を比較する。
【0089】
このような車載カメラの組み合わせとしては、図13に示すように、複数通りの組み合わせが考えられる。例えば、フロントカメラ2fの履歴とリアカメラ2rの履歴とを比較すれば、道路区画線としての左白線および右白線の信頼度を比較評価した上で、異常の有無を判断することができる。このような態様は、第1実施形態において既に説明した。また、フロントカメラ2fまたはリアカメラ2rの履歴と左サイドカメラ2rsの履歴とを比較すれば、左白線の信頼度を比較評価した上で、異常の有無を判断することができる。さらに、フロントカメラ2fまたはリアカメラ2rの履歴と右サイドカメラ2lsの履歴とを比較すれば、右白線の信頼度を比較評価した上で、異常の有無を判断することができる。ただし、サイドカメラ2rs、2ls同士については、同一の道路区画線の同一の部位を撮影し得ないので、比較対象にはしない。また、フロント、サイドおよびリアの3台のカメラの信頼度の履歴同士を比較評価してもよい。
【0090】
このような構成によれば、同一の道路区画線の同一の部位に基づく信頼度の履歴同士を比較することができるので、異常判定を高精度に行うことができ、また、判定対象となるカメラを増やすことができる。
【0091】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定される必要はなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更してもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 車載カメラシステム
2 車載カメラ
6 信頼度履歴作成部
7 異常判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図7
図9
図10
図11
図12
図13
図6
図8
図14