(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両の運転支援機能としてそれぞれが互いに関連する複数の機能のオン/オフ状態が設定される第1〜第nモードと、機能オフと、を少なくとも選択するための単一の操作子と、
現在の状態が前記第1〜第nモードのいずれかであるときは、現在のモードに応じた遷移順序を選択し、該遷移順序に基づいて、前記操作子の操作を検知する毎に、現在のモード以外の1又は複数の各モード、機能オフ、を順次選択する運転支援制御部と、を備えた
車両制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<1.実施の形態の運転支援機能>
以下、車両に搭載される運転支援制御装置の実施の形態を説明する。
なお実施の形態では、運転支援機能に関して第1モード、第2モード、機能オフを1つの操作子で選択可能とする例(第1例)と、第1モード、第2モード、機能オフ、非関連モードを1つの操作子で選択可能とする例(第2例)をそれぞれ述べる。
【0012】
第1モードと第2モードは、互いに関連する複数の機能のオン/オフ状態が設定されるモードである。複数の機能の具体例として、車間距離制御付クルーズコントロール(ACC:Adaptive Cruise Control)機能と車線中央維持(ALK:Active Lane Keep)機能を挙げる。それぞれ「ACC」「ALK」と略称表記する。
そして第1モードとはACCがオン、第2モードはACCとALKの両方がオンとされるものとする。
一方、非関連モードとは、第1、第2モードでオンとなる機能(ACC、ALK)とは同時に機能オンとならない機能をオンとするモードであるとする。具体的にはスピードリミッタ機能とする。これを「スピードリミッタ」又は「Lim」と略称表記する。
【0013】
ACCは、自車両前方に車両(先行車)を捕捉していない場合は、運転者が設定した車速(セット車速)を目標車速として定速走行し、先行車を捕捉しれた場合、この先行車の車速がセット車速以下のときは、先行車に対し所定の車間距離を開けた状態で追従する追従走行制御を行う機能である。
ALKは、車線中央維持及び車線逸脱抑制を行う機能である。車線中央維持は、所定速度以上で走行している場合、車線内中央を維持するようステアリング操作のアシストを行うものであり、車線逸脱抑制は、車線からはみ出しそうになると注意を促し、それと同時にステアリング操作のアシストを行い、車線からの逸脱を抑制するものである。
スピードリミッタ(Lim)は、ACCやALKの制御を行っていない場合において、運転者のアクセル操作によっても、設定した所定の速度以上とならないようにする機能である。例えば100km/hにリミッタ設定した場合、運転者がアクセルを踏み込んでも100km/h以上とはならないようにする制御を行う。
【0014】
<2.システム全体構成>
図1Aは、本発明に係る実施の形態としての車両制御装置を含む車両制御システム1の構成を示している。なお
図1Aでは、車両制御システム1の構成のうち主に本発明に関連する要部の構成のみを抽出して示している。
車両制御システム1は、自車両に設けられた撮像部2、画像処理部3、メモリ4、運転支援制御部5、センサ類10、ナビゲーションシステム11、操作部12、発音制御部21、表示制御部22、エンジン制御部23、トランスミッション制御部24、ブレーキ制御部25、ステアリング制御部26、ランプ制御部27、発音部31、表示部32、エンジン関連アクチュエータ33、トランスミッション関連アクチュエータ34、ブレーキ関連アクチュエータ35、ステアリングモータ36、ランプ部37及びバス15を備えている。
【0015】
画像処理部3は、撮像部2が自車両の進行方向(本例では前方)を撮像して得られた撮像画像データに基づき、車外環境の認識に係る所定の画像処理を実行する。画像処理部3による画像処理は、例えば不揮発性メモリ等とされたメモリ4を用いて行われる。
撮像部2には、2つのカメラ部が設けられる。各カメラ部は、それぞれカメラ光学系とCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子とを備えて構成され、前記カメラ光学系により前記撮像素子の撮像面に被写体像が結像され、該撮像素子にて受光光量に応じた電気信号が画素単位で得られる。
各カメラ部は、いわゆるステレオ撮像法による測距が可能となるように設置される。そして各カメラ部で得られた電気信号はA/D変換や所定の補正処理が施され、画素単位で所定階調による輝度値を表すデジタル画像信号(撮像画像データ)として画像処理部3に供給される。
そして画像処理部3は、ステレオ撮像により得られた各撮像画像データに基づく各種の画像処理を実行する。これにより、車線検出、先行車両検出、障害物検出、交通信号機等を行うことができる。
【0016】
運転支援制御部5は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータで構成され、画像処理部3による画像処理の結果、センサ類10で得られる検出情報、操作部12からの操作入力情報、ナビゲーションシステム11からの経路情報や道路情報等に基づき、運転支援のための各種の制御処理を実行する。
運転支援制御部5は、同じくマイクロコンピュータで構成された発音制御部21、表示制御部22、エンジン制御部23、トランスミッション制御部24、ブレーキ制御部25、ステアリング制御部26、ランプ制御部27とバス15を介して接続されており、これら各制御部との間で相互にデータ通信を行うことが可能とされる。運転支援制御部5は、上記の各制御部のうち必要な制御部に対して指示を行って運転支援に係る動作を実行させる。
具体的には運転支援制御部5は、上述のACC、ALK、スピードリミッタなどの各種機能を実現させるための制御処理を行うことになる。
【0017】
センサ類10は、自車両に設けられた各種のセンサや操作子を包括的に表している。センサ類10が有するセンサとしては、自車両の速度を検出する速度センサ10A、ブレーキペダルの操作/非操作に応じてON/OFFされるブレーキスイッチ10B、アクセルペダルの踏込み量からアクセル開度を検出するアクセル開度センサ10C、操舵角を検出する舵角センサ10D、ヨーレート(Yaw Rate)を検出するヨーレートセンサ10E、加速度を検出するGセンサ10Fがある。また自車両の周囲状況を検出するための周囲センサ10Gも設けられている。周囲センサ10Gとしては、例えば自車両の後方や側方の物体(他の車両や障害物等)を検出するためのレーダーやカメラ等が用いられる。
また、図示は省略したが、他のセンサとして、例えばエンジン回転数センサ、吸入空気量を検出する吸入空気量センサ、吸気通路に介装されてエンジンの各気筒に供給する吸入空気量を調整するスロットル弁の開度を検出するスロットル開度センサ、エンジン温度を示す冷却水温を検出する水温センサ、車外の気温を検出する外気温センサ等も有する。
【0018】
操作部12は、運転者が操作する各種操作子を包括的に示している。
例えば操作子としては、エンジンの始動/停止を指示するためのイグニッションスイッチや、AT(オートマティックトランスミッション)車における自動変速モード/手動変速モードの選択や手動変速モード時におけるシフトアップ/ダウンの指示を行うためのセレクトレバーや、後述する表示部32に設けられたMFD(Multi Function Display)における表示情報の切り換えを行うための表示切換スイッチ、ウインカー点滅を指示するウインカーレバーなどがある。
操作部12における操作子の1つとして、例えば
図1Bに示すように、運転支援制御部5による所要の機能を実行させるモード選択のためのモードスイッチ12aが、例えばステアリング50上に設けられている。
運転者はモードスイッチ12aを操作することで、上述の第1モード(ACC)、第2モード(ACC+ALK)、機能オフを選択できる(後述の第1例)。或いは運転者はモードスイッチ12aを操作することで、第1モード、第2モード、機能オフ、非関連モード(Lim)を選択できる(後述の第2例)。
【0019】
ナビゲーションシステム11は、ナビゲーション処理のための構成を包括的に示しており、経路案内や現在地表示の処理を行うマイクロプロセッサー、地図データベース、表示装置、入力装置、音声出力装置などを有する。ナビゲーションシステム11の構成及び処理については公知のものであるとして詳細説明を省くが、運転支援制御部5はナビゲーションシステム11から道路情報、車線情報を取得することができる。
【0020】
発音部31は、車両の乗員に対してガイド音声、メッセージ音声等を出力する。このため発音部には音源部、音声増幅回路部、スピーカ等が設けられている。発音部31は発音制御部21の制御により、必要なガイド音声等をスピーカ出力する。例えば発音部31による音声出力として、自動運転中の車線逸脱警告、車線変更提案、右左折、走行経路、状況などを運転者に伝達することが行われる。
なお発音部31や発音制御部21は、ナビゲーションシステム11の機能による音声出力や、カーオーディオシステムの音声出力と兼用されるものでも良い。
【0021】
表示部32は、運転者の前方に設置されたメータパネル内に設けられるスピードメータやタコメータ等の各種メータやMFD、及びその他運転者に情報提示を行うための表示デバイスを包括的に表している。MFDには、自車両の総走行距離や外気温、瞬間燃費等といった各種の情報を同時又は切り換えて表示可能とされる。
またモードスイッチ12aの操作に応じた表示として、例えばMDFの一部に、選択操作用画像が示される。本例の場合、選択操作用画像は後述するように、現在の状態に応じた状態遷移順序が明示されるとともに、モードスイッチ12aの操作に応じて選択中とされている状態が提示される。
表示制御部22は、センサ類10における所定のセンサからの検出信号や操作子による操作入力情報、さらにHが運転支援制御部5からの指示等に基づき、表示部32による表示動作を制御する。例えば、運転支援制御部5からの指示に基づき、運転支援の一環として表示部32(例えばMFDの所定領域)に所定の注意喚起メッセージ、自動運転状況、モード選択のための選択操作用画像等を表示させることが可能とされている。
【0022】
エンジン制御部23は、センサ類10における所定のセンサからの検出信号や操作部12の操作子による操作入力情報等に基づき、エンジン関連アクチュエータ33として設けられた各種アクチュエータを制御する。エンジン関連アクチュエータ33としては、例えばスロットル弁を駆動するスロットルアクチュエータや燃料噴射を行うインジェクタ等のエンジン駆動に係る各種のアクチュエータが設けられる。
例えばエンジン制御部23は、前述したイグニッションスイッチの操作に応じてエンジンの始動/停止制御を行う。また、エンジン制御部23は、エンジン回転数センサやアクセル開度センサ10C等の所定のセンサからの検出信号に基づき、燃料噴射タイミング、燃料噴射パルス幅、スロットル開度等の制御も行う。
さらに運転支援制御が行われている場合、エンジン制御部23は運転支援制御部5からの加速/減速指示に基づいて必要なエンジン関連アクチュエータ33の制御を行う。
【0023】
トランスミッション制御部24は、センサ類10における所定のセンサからの検出信号や操作部12の操作子による操作入力情報等に基づき、トランスミッション関連アクチュエータ34として設けられた各種のアクチュエータを制御する。トランスミッション関連アクチュエータ34としては、例えば自動変速機の変速制御を行うコントロールバルブや、ロックアップクラッチをロックアップ動作させるロックアップアクチュエータ等のトランスミッション関連の各種アクチュエータが設けられる。
例えばトランスミッション制御部24は、前述したセレクトレバーによって自動変速モードが選択されている際には、所定の変速パターンに従い変速信号をコントロールバルブに出力して変速制御を行う。
また、トランスミッション制御部24は、手動変速モードの設定時には、セレクトレバーによるシフトアップ/ダウン指示に従った変速信号をコントロールバルブに出力して変速制御を行う。
さらに運転支援制御が行われている場合、トランスミッション制御部24は運転支援制御部5からのシフトアップ/ダウン指示に基づいて変速信号をコントロールバルブに出力して変速制御を行う。
【0024】
ブレーキ制御部25は、センサ類10における所定のセンサからの検出信号や操作部12の操作子による操作入力情報等に基づき、ブレーキ関連アクチュエータ35として設けられた各種のアクチュエータを制御する。ブレーキ関連アクチュエータ35としては、例えばブレーキブースターからマスターシリンダへの出力液圧やブレーキ液配管内の液圧をコントロールするための液圧制御アクチュエータ等、ブレーキ関連の各種のアクチュエータが設けられる。例えばブレーキ制御部25は、運転支援制御部5よりブレーキをONする指示が為された場合に上記の液圧制御アクチュエータを制御して自車両を制動させる。またブレーキ制御部25は、所定のセンサ(例えば車軸の回転速度センサや車速センサ10A)の検出情報から車輪のスリップ率を計算し、スリップ率に応じて上記の液圧制御アクチュエータにより液圧を加減圧させることで、所謂ABS(Antilock Brake System)制御を実現する。
【0025】
ステアリングモータ36は、ステアリング機構に取り付けられて運転者のステアリング操作とは別に操舵を実現するモータである。
ステアリング制御部26は、運転支援制御部5からの指示に基づいてステアリングモータ36を駆動し、自動操舵や運転者の操舵補助を実行する。例えば自動運転制御の際の自動操舵や、ALKによるレーンキープ走行のための自動操舵の実行制御を行う。
【0026】
ランプ部37は、車両に搭載された各種灯具、例えばヘッドライト、バックライト、ウインカーランプ、ブレーキランプ等を包括的に示している。
ランプ制御部27は、センサ類10における所定のセンサからの検出信号や操作部12の操作子による操作入力情報等に基づき、ランプ部37における必要な灯具の点灯(点滅)制御を行う。また運転支援制御部5からの指示によりランプ制御部27がランプ部37の点灯点滅制御を行う場合もある。
【0027】
<3.モード操作対応処理(第1例)>
モードスイッチ12aが操作された場合の運転支援制御部5のモード操作対応処理(第1例)を説明する。第1例は、運転者がモードスイッチ12aを押すことにより、第1モード(ACCオン)、第2モード(ACC及びALKオン)、機能オフを選択できるようにする例とする。
【0028】
図2Aに第1例での状態遷移を示している。本実施の形態では、現在の状態に応じて遷移順序が異なるものとなる。
現在が機能オフの場合、運転者がモードスイッチ12aを押すと第1モードに遷移し(S1)、もう一度押すと第2モードに遷移する(S2)。
現在が第1モードの場合、運転者がモードスイッチ12aを押すと第2モードに遷移し(S11)、もう一度押すと機能オフに遷移する(S12)。
現在が第2モードの場合、運転者がモードスイッチ12aを押すと第1モードに遷移し(S21)、もう一度押すと機能オフに遷移する(S22)。
つまり、第1モード又は第2モードであるときは、1回の操作で他方のモードへの切替が行われる。また第1,第2モードのいずれの場合も2回操作することで機能オフとすることができる。運転者は1回操作で切替、2回操作でオフと認識できる。
【0029】
このようなモード操作対応を実現するための運転支援制御部5の処理を
図3に示す。運転支援制御部5は、自動運転制御として実行する各種の処理の1つとして、
図3のモードスイッチ12aの検知に応じた処理を、例えば所定タイミング毎に繰り返し実行する。
【0030】
運転支援制御部5はステップS101で、モードスイッチ12aの操作有無を監視する。操作が検知されなければ、そのまま処理を終える。
モードスイッチ12aの操作を検知した場合、運転支援制御部5はステップS102に進み、現在の状態に応じて遷移順序を設定し、ステップS103で遷移順序の設定に応じた選択操作用画像を表示部32に表示させるように表示制御部22に指示する。例えばMDF上に
図4上段のいずれかの画像を表示させる。さらに現在の状態もカーソルKにより提示させるようにする。
なおALKはACCがオン状態で追加的にオンとなる機能としていることを考慮して、
図4(及び後述の
図5)においては、第1モードを「ACC」、第2モードを「ALK」と表記している。
図4,
図5は運転者が視認する選択操作用画像の例である。
次の遷移順序の説明では「ALK」とは第2モードを指す。
【0031】
上記のステップS102で運転支援制御部5が設定する遷移順序は、2回操作までは少なくとも
図2Aで説明した順序であり、例えば次のようにする。
現在が機能オフであれば、モードスイッチ12aの操作毎に、OFF→ACC→ALK・・・と遷移するものとする(「→」が操作を示す)。つまり現在の機能オフから1回操作で第1モード、2回操作で第2モードに遷移する。
現在が第1モード(ACC)であれば、モードスイッチ12aの操作毎に、ACC→AALK→OFF・・・と遷移するものとする。つまり現在の第1モードから1回操作で第2モード、2回操作で機能オフに遷移する。
現在が第2モード(ALK)であれば、モードスイッチ12aの操作毎に、ALK→ACC→OFF・・・と遷移するものとする。つまり現在の第2モードから1回操作で第1モード、2回操作で機能オフに遷移する。
【0032】
このように、遷移順序を現在の状態に応じてステップS103の表示を行う。つまり、その時点の状態に応じて、
図4の上段のいずれかが表示されるようにする。
図4の上段の各図に示すように、遷移順序(OFF、ACC、ALKの表示順序)が現在の状態に応じて異なるものとなっている。
さらにこの表示上では、カーソル90により、現在の状態を提示するようにする。
つまりこのステップS103の処理によれば、最初のモードスイッチ12aの操作は、モード選択の開始の操作とすることとし、
図4上段の選択操作用画像を表示させる。その後のモードスイッチ12aの操作を実際のモード選択操作として扱うものである。
運転者にとっては、
図4上段の選択操作用画像を見ることで、現在の状態が認識でき、しかもモードスイッチ12aの操作によって順番にカーソル90が移動されていくことでモード選択ができることが容易に理解される。
【0033】
運転支援制御部5は、ステップS104でモード選択操作終了のタイミングとなったかを確認する。またステップS105でモードスイッチ12aの操作を監視する。
例えば最後にモードスイッチ12aの操作が検知されてから5秒或いは10秒などの所定時間以上、次のモードスイッチ12aの操作が検知されない場合、運転支援制御部5はモード選択操作の終了と認識する。
【0034】
モード選択操作の終了の判断がされる前にモードスイッチ12aの操作が検知された場合、運転支援制御部5はその都度ステップS105からS106に進み、表示制御部22に指示して、現在の状態の提示を変更させる。例えば
図4の上段の状態から中段の状態となるようにカーソル90を移動させる。
モードスイッチ12aの操作に応じてカーソル90が移動されていくことで、運転者は状態遷移の操作で選択中の状態が変化していくことを認識できる。
【0035】
ステップS104で表示終了(モード選択操作の終了)と判断した場合は、運転支援制御部5はステップS107に進んで、選択操作用画像の表示終了を表示制御部22に指示する。これにより、その時点で
図4のいずれかの表示状態となっている操作用画像の表示が終了される。
そして運転支援制御部5はステップS108でモード変更処理を行う。即ちその時点で最終的に選択されている状態(表示終了時にカーソル90で選ばれていたモード状態)が最終的に選択決定されたものと認識し、その状態となるようにモード変更処理を行い、変更に応じた所要機能の開始又は停止を制御する。
また運転支援制御部5はステップS109で変更された現在の(最新の)モード状態(機能オフ、第1モード、第2モードのいずれか)を記憶する。例えば運転支援制御部5の内部の不揮発性記憶領域に記憶する。これは、次回にステップS101でモードスイッチ12aの操作が検知された際に、現在の状態を認識できるようにするためである。またこれにより例えば一旦エンジンを切った後の再運転時にも、最終的に選択されているモード状態が認識できるようにもしている。
【0036】
運転支援制御部5が以上の
図3の処理を行うことで、運転者にとっては、まず1回の操作で操作用画像の表示を指示した後、その表示が終了するまでの期間に、所要回数の操作で任意のモード状態を選択できることになる。
【0037】
なお、現在の状態に応じた遷移順序として、ステップS104で操作終了と判断されるまでの一連の操作のうちの3回目以降の操作に応じた遷移は、各種考えられる。
例えば
図4の下段の状態までカーソルが進んだ後のモードスイッチ12aによっては、上段の状態に戻るようにしてもよいし、中段の状態にもどるようにしてもよい。
3回目の操作で下段から上段に戻るとした場合の遷移順は次のようになる。
現在状態がオフ:OFF→ACC→ALK→OFF→ACC→ALK・・・
現在第1モード:ACC→ALK→OFF→ACC→ALK→OFF・・・
現在第2モード:ALK→ACC→OFF→ALK→ACC→OFF・・・
【0038】
3回目の操作で下段から中段に戻るとした場合の遷移順は次のようになる。
現在状態がオフ:OFF→ACC→ALK→ACC→OFF・・・
現在第1モード:ACC→ALK→OFF→ALK→ACC・・・
現在第2モード:ALK→ACC→OFF→ACC→ALK・・・
【0039】
<4.モード操作対応処理(第2例)>
モードスイッチ12aが操作された場合の運転支援制御部5のモード操作対応処理(第2例)を説明する。第2例は、運転者がモードスイッチ12aを押すことにより、第1モード(ACCオン)、第2モード(ACC及びALKオン)、機能オフ、及び非関連モード(スピードリミッタオン)を選択できるようにする例である。
【0040】
図2Bに第2例での状態遷移を示している。この場合も、現在の状態に応じて遷移順序が異なるものとなる。
現在が第1モードの場合、運転者がモードスイッチ12aを押すと第2モードに遷移し(S31)、もう一度押すと機能オフに遷移する(S32)。さらにもう一度押すと非関連モードに遷移する(S33)。
現在が第2モードの場合、運転者がモードスイッチ12aを押すと第1モードに遷移し(S41)、もう一度押すと機能オフに遷移する(S42)。さらにもう一度押すと非関連モードに遷移する(S43)。
現在が非関連モードの場合、運転者がモードスイッチ12aを押すと機能オフに遷移する(S51)。さらに押すと第1モードに遷移し(S52)、もう一度押すと第2モードに遷移する(S53)。
現在が機能オフの場合については図示していないが、例えば機能オフから第1モード→第2モード→非関連モードというように遷移する例や、機能オフから第1モード→第2モード→機能オフ→非関連モードというように遷移する例が考えられる。さらには機能オフから非関連モード→第1モード→第2モードというように遷移する例も考えられる。
【0041】
この第2例でも、第1モード又は第2モードであるときは、1回の操作で他方のモードへの切替が行われる。また第1,第2モードのいずれの場合も2回操作することで機能オフとすることができる。運転者は1回操作で切替、2回操作でオフと認識できる。
さらに、第1モード又は第2モードであるときは、機能オフとした後の操作(3回の操作)で非関連モードに遷移させることができ、非関連モードであるときは、機能オフとした後の操作(2回の操作)で第1モードに遷移させることができる。つまり機能オフではない場合に、互いに関連しない他種のモードを選択したい場合は、運転者は、一旦現在の機能オフとした後の操作で、その関連しないモードに遷移させることができると認識できる。
【0042】
このようなモード操作対応を実現するための運転支援制御部5の処理は上述の
図3と同様である。
異なるのはステップS102の現在の状態に応じた遷移順序の設定処理となる。
なお、次の遷移順序の説明では「ALK」とは第2モードを指し、「Lim」とは第3モード(スピードリミッタ機能オン)を指す。
【0043】
ステップS102で運転支援制御部5が設定する遷移順序は、3回操作までは少なくとも
図2Bで説明した順序であり、例えば次のようにする。
現在が第1モード(ACC)であれば、モードスイッチ12aの操作毎に、ACC→AALK→OFF→Lim・・・と遷移するものとする。
現在が第2モード(ALK)であれば、モードスイッチ12aの操作毎に、ALK→ACC→OFF→Lim・・・と遷移するものとする。
現在が非関連モード(Lim)であれば、モードスイッチ12aの操作毎に、Lim→OFF→ACC→ALK・・・と遷移するものとする。
現在が機能オフであれば、モードスイッチ12aの操作毎に、OFF→ACC→ALK→Limと遷移するものとする。
【0044】
そして運転支援制御部5は、このような遷移順序の設定に応じて、ステップS103で、
図5の上段のいずれかの状態の選択操作用画像を表示部32に表示させる。
図5の上段の各図に示すように、遷移順序(OFF、ACC、ALK、Limの表示順序)が現在の状態に応じて異なるものとなっている。
さらにこの表示上では、カーソル90により、現在の状態を提示するようにする。
運転者にとっては、
図5上段の選択操作用画像を見ることで、現在の状態が認識でき、しかもモードスイッチ12aの操作によって順番にカーソル90が移動されていくことでモード選択ができることが容易に理解される。
【0045】
その後の処理は
図3のステップS104〜S109として同様に行われる。運転支援制御部5が
図3の処理を行うことで、運転者にとっては、第1モード(ACCオン)、第2モード(ACC及びALKオン)、機能オフ、及び非関連モード(スピードリミッタオン)をわかりやすい状態で選択していくことができる。
【0046】
なお、現在の状態に応じた遷移順序として、ステップS104で操作終了と判断されるまでの一連の操作のうちの4回目以降の操作に応じた遷移は、各種考えられる。
例えば
図5の下段の状態までカーソルが進んだ後のモードスイッチ12aによっては、上段の状態に戻るようにしてもよいし、中段の状態にもどるようにしてもよい。
4回目の操作で下段から上段に戻るとした場合の遷移順は次のようになる。
現在状態がオフ:OFF→ACC→ALK→Lim→OFF→ACC→・・・
現在第1モード:ACC→ALK→OFF→Lim→ACC→ALK→・・・
現在第2モード:ALK→ACC→OFF→Lim→ALK→ACC→・・・
現在非関連モード:Lim→OFF→ACC→ALK→Lim→OFF→・・・
【0047】
4回目の操作で下段から中段に戻るとした場合の遷移順は次のようになる。
現在状態がオフ:OFF→ACC→ALK→Lim→ALK→ACC→OFF・・・
現在第1モード:ACC→ALK→OFF→Lim→OFF→ALK→ACC・・・
現在第2モード:ALK→ACC→OFF→Lim→OFF→ACC→ALK・・・
現在非関連モード:Lim→OFF→ACC→ALK→ACC→OFF→Lim・・
【0048】
また、非関連モードから第1又は第2モード、或いは第1又は第2モードから非関連モードに遷移する過程では、全ての場合で必ず機能オフを介するようにしてもよい。その場合、
現在状態がオフ:OFF→ACC→ALK→OFF→Lim→OFF→ACC→・・・
現在第1モード:ACC→ALK→OFF→Lim→OFF→ACC→ALK→・・・
現在第2モード:ALK→ACC→OFF→Lim→OFF→ALK→ACC→・・・
現在非関連モード:Lim→OFF→ACC→ALK→OFF→Lim→OFF→・・
というような遷移順序も考えられる。
【0049】
<5.まとめ及び変形例>
以上の実施の形態によれば以下の効果が得られる。
上述の第1例の場合、モードスイッチ12aは、車両の運転支援機能としてそれぞれが互いに関連する複数の機能(ACC、ALK)のオン/オフ状態が設定される第1モード、第2モードと、機能オフとを選択するための単一の操作子とされている。
運転支援制御部5は、現在の状態が第1、第2モードのいずれかであるときは、現在のモードに応じた遷移順序を選択し、該遷移順序に基づいて、モードスイッチ12aの操作を検知する毎に、現在のモード以外のモード、機能オフ、を順次選択するようにしている。
つまり1回操作で第1モードと第2モードを切り替え可能で、互いにモードを切り替える頻度が高いことを想定した場合に好適となる。また第1モード、第2モードのいずれであっても、操作子を2回操作すれば機能オフ状態となる。
これにより、運転者は直感的にモード選択や、モードオフを選択操作できる。また1つの操作子で直感的に操作できることで、運転者は操作子や表示(選択操作用画像)を注視する必要は少ない。これにより運転者の視線移動時間を最小限とすることができ、安全面でも好適である。
【0050】
また第2例の場合、モードスイッチ12aは第1モード、第2モードと、機能オフに加えて非関連モード(Lim)も選択できる単一の操作子とされている。運転支援制御部5は、現在の状態が第1、第2モードのいずれかであるときは、現在のモードに応じた遷移順序を選択し、該遷移順序により、モードスイッチ12aの操作を検知する毎に、第1、第2モードにおける現在のモード以外のモード、機能オフ、非関連モード、を順次選択する。現在の状態が非関連モードであるときは、非関連モードに応じた遷移順序を選択し、該遷移順序により、モードスイッチ12aの操作を検知する毎に、機能オフ、第1モード、第2モードを順次選択する。
この場合も、現在が第1,第2モードのいずれかであれば、1回操作で第1モードと第2モードを切り替え可能で、2回操作すれば機能オフ状態となる。そしてオフを選択した次の操作で非関連モードに切り替え可能である。
現在が非関連モードの場合も、機能オフを選択した次のモードで第1モード(又は第2モード)となる。
このため運転者は直感的に第1,第2モードの選択や、モードオフを選択操作、非関連モードの選択操作ができる。また第1,第2モードの時点に非関連モードに移行する場合、或いは非関連モードの時点に第1,第2モードに移行する場合には、機能オフが介在されるため運転者にとって状態遷移がわかりやすいものとなる。
【0051】
また表示部32には、選択操作用画像を表示させる。その選択操作用画像は、現在の状態に応じて遷移順序が反映された表示とされている。さらに該選択操作用画像においてはモードスイッチ12aの操作に応じて選択中とされている状態がカーソル90により提示される。
これにより運転者に対してモードスイッチ12aの操作によるモード切替をよりわかりやすくできる。一方で、上述のように直感的な操作が可能であるため、運転者は、実際にはあまり選択操作用画像を注視する必要はない。従って、選択操作用画像は必要最小限の確認ができるものとなる。
また
図3の処理例の場合、最初のモードスイッチ12aの操作で選択操作用画像を表示させ、選択操作用画像が表示されていく期間におけるモードスイッチ12aの操作が状態選択のための操作となるようにしている。運転者にとっては、選択操作用画像の表示期間中の操作回数で、所望のモード状態を選択できると認識でき、操作性を向上させることができる。
なお、最初のモードスイッチ12aの操作(ステップS101で検知される操作)も状態遷移を指示する1回目の操作と認識するようにする例も考えられる。
【0052】
また実施の形態のACC、ALKについての第1,第2モードとスピードリミッタ機能をオンとする非関連モードとした。この場合、第1,第2モードは頻繁に切替が行われることが予想されるため、実施の形態の状態遷移順序は非常に適している。またスピードリミッタ機能はACC,ALKとは同時にオンとはならない機能のため、第2例のように選択できるようにすることで、操作子の数を最小限化することに適している。
【0053】
なお、それぞれが互いに関連する複数の機能のオン/オフ状態が設定される第1モード、第2モードの実際の例は他にも考えられる。
例えば車線逸脱時に警報を発する車線逸脱警報機能と、ステアリング制御等を加えて実際に車線中央に戻るように制御する車線戻し制御機能を考えた場合、第1モードは車線逸脱警報機能をオン、第2モードは車線逸脱警報機能と車線戻し制御機能の両方をオンとするような例も考えられる。また第2モードは車線逸脱警報機能をオフで車線戻し制御機能をオンとするような例も考えられる。
【0054】
また互いに関連する複数の機能のオン/オフ状態が設定される第1〜第nモードとして3以上のモードを設ける場合にも本発明は適用できる。例えばn=3とすると、
現在第1モード:第1モード→第2モード→第3モード→OFF・・・
現在第2モード:第2モード→第3モード→第1モード→OFF・・・
現在第3モード:第3モード→第1モード→第2モード→OFF・・・
というような遷移順序を設定する例が考えられる。即ち、現在の状態が第1〜第3モードのいずれかであるときは、現在のモードに応じた遷移順序を選択し、該遷移順序に基づいて、操作子の操作を検知する毎に、現在のモード以外の複数の各モード、機能オフ、を順次選択するものである。
或いは、
現在第1モード:第1モード→第2モード→第3モード→OFF→非関連モード・・・
現在第2モード:第2モード→第3モード→第1モード→OFF→非関連モード・・・
現在第3モード:第3モード→第1モード→第2モード→OFF→非関連モード・・・
現在非関連モード:非関連モード→OFF→第1モード→第2モード→第3モード・・
というような遷移順序を設定する例も考えられる。即ち、現在の状態が第1〜第3モードのいずれかであるときは、現在のモードに応じた遷移順序を選択し、該遷移順序により、操作子の操作を検知する毎に、第1〜第3モードにおける現在のモード以外の複数の各モード、機能オフ、非関連モード、を順次選択するようにし、現在の状態が非関連モードであるときは、非関連モードに応じた遷移順序を選択し、該遷移順序により、操作子の操作を検知する毎に、機能オフ、第1〜第nモードにおける各モード、を順次選択するようにする例である。
【0055】
さらに非関連モードを複数設ける場合も想定される。
例えば第1モード、第2モード、機能オフ、第1非関連モード、第2非関連モード、を1つの操作子で選択できるようにする例である。第1非関連モードと第2非関連モードは互いに関連する複数の機能のオン/オフ状態が設定されるモードとする。この場合に、
現在第1モード:第1モード→第2モード→OFF→第1非関連モード→第2非関連モード・・・
現在第2モード:第2モード→第1モード→OFF→第1非関連モード→第2非関連モード・・・
現在第1非関連モード:第1非関連モード→第2非関連モード→OFF→第1モード→第2モード・・・
現在第2非関連モード:第2非関連モード→第1非関連モード→OFF→第1モード→第2モード・・・
というような遷移順序を設定する例も考えられる。つまり第1非関連モードと第2非関連モードも、第1モードと第2モードと同様に扱うようにする遷移順序設定である。