特許第6011961号(P6011961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011961
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/12 20060101AFI20161011BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20161011BHJP
   H05B 37/02 20060101ALI20161011BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20161011BHJP
【FI】
   H05B33/12 B
   H05B33/12 C
   H05B33/14 A
   H05B37/02 L
   F21Y115:15
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-182094(P2012-182094)
(22)【出願日】2012年8月21日
(65)【公開番号】特開2014-41708(P2014-41708A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2015年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】501061319
【氏名又は名称】学校法人 東洋大学
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】佐野 勇司
【審査官】 本田 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−127563(JP,A)
【文献】 特開2006−032116(JP,A)
【文献】 特表2011−526414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50 − 51/56
H05B 33/00 − 33/28
F21Y 115/15
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤、青および緑の波長領域を有し、各波長領域に発光ピーク特性を有する発光素子と、
前記発光素子を駆動する駆動部と、
前記発光素子を制御するための情報を入力する操作部と、
前記操作部から入力された情報に応じて、照明の波長特性が、人の錐体感度に黒体輻射を掛け合わせて得られる波長特性に20%以内の精度で近付けるように前記駆動部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記発光素子は、発光面の領域を赤、青および緑に分割した有機EL素子から成ることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記発光素子は、発光層の領域を赤、青および緑に分割した有機EL素子から成ることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用や業務用として用いられる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
白熱電球や蛍光灯、電球型蛍光灯、白色LED(発光ダイオード)といった照明デバイスを用いた照明が家庭用照明として広く用いられている。業務用照明には、家庭用と同様の照明デバイスに加えて、各種の高効率な放電型の照明デバイスが用いられている。これらの照明デバイスを用いた照明装置の中には、複数種類の照明デバイスを使用用途に応じて切り替えたり同時に使用できる照明装置や、照明の明るさが可変できる照明装置も知られている。
【0003】
しかしながら、この照明装置は、照明デバイスの切り替えや明るさを制御できるのみであり、人間の視覚特性や使用用途に最適なものとは言えなかった。人間の視覚は照明装置からの照明光の明るさと波長特性に大きく依存している。例えば、眼球の光学系の焦点特性は照明光の色分散に依存して屈折率と焦点距離が変化する。網膜には4種類の視細胞があり、明るい状況においては赤、緑および青の波長領域に最高感度を有する3種類の錐体の異なった波長特性を利用して色を分別している。したがって、照明装置からの照明光の波長特性を制御することができれば、人間の視覚特性を向上させる照明光や使用用途に最適な照明光を得ることができる。
【0004】
このような照明装置として、特許文献1は、照明光の波長特性を制御して人間の視覚特性と使用用途に最適な照明装置を開示している。この照明装置は、赤、青および緑といった3種類の発光ダイオードと、各発光ダイオードを独立に駆動するパルス幅変調電流駆動回路と、人間の視覚特性または照明の使用用途に応じた情報を与えるための操作部と、操作部からの情報に応じてパルス幅変調電流駆動回路を制御する制御回路を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−204383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、照明装置の照明光の波長特性を制御する場合には、さらに考慮すべき条件がある。照明光の波長特性に広くレベルが低下しているか欠落している波長領域が存在すると、その部分の色彩情報が失われて異なった色が知覚されてしまう。
【0007】
そこで、一般の照明装置においては、黒体輻射のなめらかな波長特性を有する電球を用いた場合を基準として演色性という尺度によって色再現が評価されている。特に、おいしさ感への影響の大きい料理または食物の色や健康状態の尺度となる顔色などへの演色性の影響は大きい。
【0008】
照明光の波長特性を制御する照明装置において、波長特性に広くレベルが低下しているか欠落している波長領域が存在すると、演色性が低下して物体が異なった色に見えてしまうという課題がある。
【0009】
また、複数の照明デバイスによって赤、緑および青などの色域を分担している場合には、色域の境界波長領域における照明光の波長特性のレベルの低下や欠落を最小限に抑えなければならないという課題がある。
【0010】
本発明の課題は、照明光の波長特性を調整して人間の視覚特性と使用用途に最適な照明を実現するとともに、演色性に優れた照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明は、赤、青および緑の波長領域を有し、各波長領域に発光ピーク特性を有する発光素子と、発光素子を駆動する駆動部と、発光素子を制御するための情報を入力する操作部と、操作部から入力された情報に応じて、照明の波長特性が、人の錐体感度に黒体輻射を掛け合わせて得られる波長特性に20%以内の精度で近付けるように駆動部を制御する制御部を備えることを特徴とする。
【0012】
この構成において、照明光の波長特性における赤、緑または青の領域の少なくとも1つが制御部によって独立に制御されることにより、人間の視覚特性を向上させたり、使用用途に最適な照明光を得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、照明光の波長特性を制御して視覚特性と使用用途に最適な照明装置を提供できるとともに、演色性に優れた照明装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例1に係る照明装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施例1に係る照明装置で使用される照明デバイスの構造を簡略化して示す図である。
図3】本発明の実施例1に係る照明装置において、人の錐体感度と黒体輻射とで形成される波長特性を説明するための図である。
図4】本発明の実施例1に係る照明装置において高い演色性を得るための動作を説明するための図である。
図5】本発明の実施例1に係る照明装置の第1の変形例の構成を示すブロック図である。
図6】本発明の実施例1に係る照明装置の第2の変形例の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例1に係る照明装置の構成を示すブロック図である。この照明装置は、赤色領域発光素子11、緑色領域発光素子12、青色領域発光素子13、赤色領域発光素子駆動回路21、緑色領域発光素子駆動回路22、青色領域発光素子駆動回路23、制御回路30および操作部40を備えている。なお、本発明の照明装置や照明デバイスの使用用途や使用環境が固定されているなどして照明光の波長特性を調整する必要がない場合には、操作部40、あるいは操作部40と制御部30との両方については省略できることは言うまでもない。
【0017】
赤色領域発光素子11は赤の波長領域に発光ピーク特性を有し、緑色領域発光素子12は緑の波長領域に発光ピーク特性を有し、青色領域発光素子13は青の波長領域に発光ピーク特性を有する。赤色領域発光素子11、緑色領域発光素子12および青色領域発光素子13は、赤色領域発光素子駆動回路21、緑色領域発光素子駆動回路22および青色領域発光素子駆動回路23からの駆動信号によってそれぞれ駆動される。なお、明細書において単に発光素子という場合には、赤色領域発光素子11、緑色領域発光素子12および青色領域発光素子13を含むものとする。
【0018】
発光素子は、発光デバイスとしての有機EL素子を単体または複数種用いて構成される。複数種用いる場合は、発光デバイスを並べて発光素子を構成してもよく、反射構造を用いて光学的に重ねて発光素子を構成してもよい。
【0019】
発光デバイスとして有機EL素子を用いる場合には、発光材料やフィルタを適宜選択することにより広い波長帯域の発光が可能である。この場合、面光源が形成されるので眩しくなく、影の制御が可能になる。
【0020】
なお、発光素子は、基本的には、赤色、緑色および青色といった3種類の光を発生する発光デバイスから構成されるが、4種類以上の光を発生する発光デバイスで構成することもできる。また、2種類の発光デバイスを用いて黒体輻射を近似するように構成することもできる。
【0021】
図2は、有機EL素子を用いて赤色領域発光素子11、緑色領域発光素子12および青色領域発光素子13から構成される発光デバイスの構造を簡略化して示す図である。図2(a)は、発光面50をストライプ状の発光領域により色分割した構造を有する発光デバイスの例を示している。この例では、赤色領域発光素子11、緑色領域発光素子12および青色領域発光素子13を構成する3種類の有機EL素子を一組とし、この組を複数並べて構成されている。
【0022】
赤色領域発光素子11、緑色領域発光素子12および青色領域発光素子13といった3種類の有機EL素子を駆動する電極51〜53は、各有機EL素子の端部にそれぞれ形成されている。赤色領域発光素子11を構成する有機EL素子の電極51は赤色領域発光素子駆動回路21に接続され、緑色領域発光素子12を構成する有機EL素子の電極52は緑色領域発光素子駆動回路22に接続され、青色領域発光素子13を構成する有機EL素子の電極53は青色領域発光素子駆動回路23に接続されている。
【0023】
なお、赤色領域発光素子11、緑色領域発光素子12および青色領域発光素子13を構成する有機EL素子の各々の幅は等しくなくてもよい。例えば、青色および赤色は暗いので、これらを発生する有機EL素子の幅を広げるように構成することができる。また、図2(a)に示した例では、有機EL素子をストライプ状に並べて発光面50を形成しているが、これらに限定されず、例えば格子状、点状に並べて発光面50を形成するように構成することもできる。発光面50には、赤色領域発光素子11と緑色領域発光素子12と青色領域発光素子13との共通に通電する透明電極を設けることができる。また、発光面50の表面には保護層や発光素子内の全反射防止膜を設けることもできる。
【0024】
図2(b)は、発光層により色分担した構造を有する発光デバイスの例を示している。この例では、発光面60から順番に、保護膜あるいは全反射防止膜61、電極62、青色領域発光素子13を構成する有機EL素子、電極63、赤色領域発光素子11を構成する有機EL素子、電極64、緑色領域発光素子12を構成する有機EL素子および電極65が順次に積層されて構成されている。この発光デバイスでは、暗く見える色が発光面60に近くなるように有機EL素子が積層されている。
【0025】
3種類の有機EL素子の各々を駆動する電極62〜64は、赤色領域発光素子11、緑色領域発光素子12および青色領域発光素子13を構成する有機EL素子をそれぞれ挟むように形成されているので発光面60への光を妨げないように一般的には透明電極にする。各色領域発光素子は前後の電極間の電圧差によって発光が制御される。また、中間にある電極63と電極64を排除して、透明電極62と背面側の電極65によって青色領域発光素子13と赤色領域発光素子11と緑色領域発光素子12に共通電流を流して全素子を発光させることもできる。その際には領域発光素子の電流に対する発光の遮断及び飽和特性の相異によって、各色間の発光比を制御することができる。
【0026】
赤色領域発光素子11を構成する有機EL素子の電極62は赤色領域発光素子駆動回路21に接続され、青色領域発光素子13を構成する有機EL素子の電極63は青色領域発光素子駆動回路23に接続され、緑色領域発光素子12を構成する有機EL素子の電極64は緑色領域発光素子駆動回路22に接続されている。
【0027】
なお、各色の発光を制御する必要がない場合、つまり一定色の発光を固定的に継続させる場合には、電極63および電極64は除去することができる。また、電極65を金属で構成した場合は、赤色領域発光素子11、緑色領域発光素子12および青色領域発光素子13を構成する有機EL素子で発生された光は反射されて発光面60から射出される。一方、電極66を透明部材で構成した場合には、両面発光を行わせることができる。
【0028】
図1に示す赤色領域発光素子駆動回路21は、制御回路30からの制御信号に応じて、例えばパルス幅変調方式によって赤色領域発光素子11を電流駆動する。緑色領域発光素子駆動回路22は、制御回路30からの制御信号に応じて、パルス幅変調方式によって緑色領域発光素子12を電流駆動する。青色領域発光素子駆動回路23は、制御回路30からの制御信号に応じて、パルス幅変調方式によって青色領域発光素子13を電流駆動する。発光素子の制御においては、駆動電流をパルス幅変調するのみではなく、パルス密度変調やパルス振幅変調、直流制御しても良い。また、駆動電流でなく駆動電圧を制御してもよいことは言うまでもない。
【0029】
操作部40は、人間の視覚特性、照明の使用用途または所望の演色性を指示するための情報を入力するために使用される。
【0030】
制御回路30は、本発明の制御部に対応し、操作部40から入力された情報に応じた制御信号を生成して赤色領域発光素子駆動回路21、緑色領域発光素子駆動回路22および青色領域発光素子駆動回路23に送る。また、制御回路30は、白の領域の照明光が赤色領域発光素子11、緑色領域発光素子12および青色領域発光素子13によって発光されるように赤色領域発光素子駆動回路21、緑色領域発光素子駆動回路22、青色領域発光素子駆動回路23を制御する。白の領域としては、例えば相関色温度における白の領域を採用することができる。
【0031】
次に、このように構成される実施例1に係る照明装置の動作について説明する。この照明装置は、赤、緑および青の波長領域の各々に発光ピーク特性を有する3種類の発光素子、つまり赤色領域発光素子11、緑色領域発光素子12および青色領域発光素子13を備え、これらのうちの少なくとも1つが制御回路30によって制御される。
【0032】
制御回路30は、操作部40から入力された情報に応じた制御信号を生成し、赤色領域発光素子駆動回路21、緑色領域発光素子駆動回路22および青色領域発光素子駆動回路23に送る。制御回路30から制御信号を受け取った赤色領域発光素子駆動回路21、緑色領域発光素子駆動回路22および青色領域発光素子駆動回路23は、パルス幅変調方式によって、赤色領域発光素子11、緑色領域発光素子12および青色領域発光素子13をそれぞれ電流駆動する。
【0033】
この際、制御回路30は、制御信号によって、照明の波長特性の形状を黒体輻射に(例えば、10%程度以内の精度で)近付けるか、または、図3に示すような、人の錐体感度に黒体輻射を掛け合わせて得られる波長特性に(例えば、20%程度以内の精度で)近付けるように制御する。
【0034】
その際の照明色を基準に用いる黒体輻射の相関色温度に応じて制御するようにすれば、任意の照明色に対して演色性が確保される。また、制御回路30は、使用者が向上を必要とする視覚特性や照明の使用用途に応じて、赤色領域発光素子11、緑色領域発光素子12および青色領域発光素子13を独立に最適に制御する。
【0035】
すなわち、制御回路30は、図4(a)に示すような相関色温度の発光波長特性を、図4(b)に示すように各色の発光素子の発光特性によって近似する。この例では、赤色領域発光素子11および青色領域発光素子13の発光のレベルを変化させ、緑色領域発光素子12の発光のレベルは一定としている。図4(a)中の実線は、図4(b)に示すように、赤色、緑色および青色の比率が順次に小さくなる黒体輻射(例えば、電球など)の照明を示しており、破線は青色の比率がやや大きい照明、一点鎖線は青色の比率が非常に大きい照明を示している。これにより、広い範囲の相関色温度の照明が実現されている。
【0036】
このように、実施例1に係る照明装置によれば、人間の視覚特性を向上させたり、使用用途に最適な照明光を得たり、所望の演色性を有する照明光を得ることができる。例えば、老視(老眼)によって大きくなってしまった近点距離(ピント調節のできる最短視距離)を短縮して、書物や新聞などを見易い距離で読むことができるようになる。また、近視(近眼)によってぼやけて見えている細かい文字や小さな画像、離れたところにある小さな物体などの見え方を鮮明な方向に改善して、生活をより安全で便利な状況に近付けることもできる。このように、上述した照明装置を用いることにより、視覚解像度が向上する。
【0037】
また、照明光の赤領域の波長成分比を増して血色をより鮮やかに映し温かみを強調することによって、料理や肌の色をより健康的に見えるようにすることができる。照明光の青領域の波長成分比を増した場合には、心理状態を落ちついた方向に誘導できるので、学習活動や読書への集中力を高めたり、自殺行為等の軽率行動の抑止に効果がある。
【0038】
また、青領域の照明光は視感度の最も低い(最も目に鈍感な)波長領域を有するので、最も目に刺激が強い。そこで照明光の領域の成分を抑えることによって、目に優しい照明光を得ることができる。逆に、青領域の成分を増やした照明を起床したい時刻に発光させるように制御して目覚ましとして使用する照明光としても適している。照明光のうちで視感度の最も高い(最も目に敏感な)緑領域の波長成分比を増すことにより、眼への刺激を抑えながらも明るく感じられる照明を実現できるので、睡眠前に用いるソフトな照明や幼児や年寄りの目に優しい照明を実現することもできる。
【0039】
さらに、照明の波長特性の形状を黒体輻射に近付けるか、または人の錐体感度(即ち、人の錐体への刺激特性)に黒体輻射を掛け合わせて得られる波長特性に近付けることにより照明の演色性も確保でき、照射対象物の色彩が忠実に見えるようになる。その際の照明色の相関色温度に応じて制御することにより、既存の電球の照明色や蛍光灯の昼光色や昼白色を再現できるとともに、屋外の太陽光の任意の時刻や天候における照射色をも再現することができる。このような照明は一般家庭における照明のみならず、業務用の写真撮影スタジオや放送局の照明、劇場や屋外のスポットライトとしても活用できる。
【0040】
また、照明装置を、上述したように、人間工学に配慮した医療器具や生活アイテムとして用いることが可能となるので、社会上の波及効果は極めて高いと考えられる。
【0041】
なお、上述した実施例1に係る照明装置では、赤色領域発光素子11、緑色領域発光素子12および青色領域発光素子13として有機EL素子を使用した場合について説明したが、これに限らず、
(1)LED+蛍光体
(2)多種類のLED
(3)蛍光灯
といった発光デバイスを用いることもできる。
【0042】
発光デバイスとして(1)LED+蛍光体を用いる場合は、青や紫外光をLEDで発生させ蛍光体に照射する。この場合、広い波長領域の発光が可能になる。また、発光デバイスとして(2)多種類のLEDを用いた場合は、広い波長領域の発光が可能になる。さらに、発光デバイスとして(3)蛍光灯を用いた場合は、蛍光体を選べば広い波長領域の発光が可能になる。
【0043】
(変形例)
次に、実施例1の変形例を説明する。図5は、実施例1に係る照明装置の第1の変形例の構成を示すブロック図である。この第1の変形例に係る照明装置は、図1に示した実施例1に係る照明装置から緑色領域発光素子12および緑色領域発光素子駆動回路22を除去するとともに、赤色領域発光素子11および赤色領域発光素子駆動回路21を黄色領域発光素子14および黄色領域発光素子駆動回路24で置き換えて構成されている。この構成によれば、波長が短く屈折率の大きい青色領域発光素子13からの発光を制御して近点距離を短縮できるという点で実施例1に係る照明装置と同様の効果を得ることができ、しかも照明装置の部品点数が少なくなるので小型化を図ることができる。黄色領域発光素子14は青色領域発光素子13の補色を発光するので、これらの合成光は一般的な照明と同様の白色光になる。
【0044】
図6は、実施例1に係る照明装置の第2の変形例の構成を示すブロック図である。この第2の変形例に係る照明装置は、図1に示した実施例1に係る照明装置から緑色領域発光素子12および緑色領域発光素子駆動回路22を除去するとともに、青色領域発光素子13および青色領域発光素子駆動回路23をシアン色領域発光素子15およびシアン色領域発光素子駆動回路25で置き換えて構成されている。この構成によれば、波長が長く屈折率の低い赤色領域発光素子11からの発光を制御して視力を向上できるという点で実施例1に係る照明装置と同様の効果を得ることができ、しかも照明装置の部品点数が少なくなるので小型化を図ることができる。シアン色領域発光素子15は赤色領域発光素子11の補色を発光するので、これらの合成光は一般的な照明と同様の白色光になる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、家庭用や業務用の照明機器、照明回路、照明部品に利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
11 赤色領域発光素子
12 緑色領域発光素子
13 青色領域発光素子
14 黄色領域発光素子
15 シアン色領域発光素子
21 赤色領域発光素子駆動回路
22 緑色領域発光素子駆動回路
23 青色領域発光素子駆動回路
24 黄色領域発光素子駆動回路
25 シアン色領域発光素子駆動回路
30 制御回路
40 操作部
50、60 発光面
51〜53、62〜65 電極
61 保護層
図1
図2
図3
図4
図5
図6