特許第6011995号(P6011995)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011995
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】電動車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 3/00 20060101AFI20161011BHJP
   B62J 7/06 20060101ALI20161011BHJP
   B62J 7/08 20060101ALI20161011BHJP
   B62J 9/00 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   B62J3/00 E
   B62J7/06
   B62J7/08 D
   B62J9/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-174700(P2012-174700)
(22)【出願日】2012年8月7日
(65)【公開番号】特開2014-34217(P2014-34217A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080056
【弁理士】
【氏名又は名称】西郷 義美
(72)【発明者】
【氏名】新井 健太
【審査官】 鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−226650(JP,A)
【文献】 特開2006−327482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 3/00
B62J 7/06
B62J 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルポストにハンドルバーを回転自在に支持し、このハンドルバーの車両幅方向中央部に該ハンドルバーと一体に回転する操作ボックスを配置し、この操作ボックスの内部に音声又は警報音を発する発音部を配置し、前記操作ボックスの底面部に前記発音部で発生した音を外部に伝達する開口部を形成し、前記操作ボックスの前側部の下方にバスケットを設置した電動車両において、前記バスケットの上端後部には前記操作ボックスの下方を車両幅方向に横切るカバーを配置し、前記操作ボックスの底面部のうち前記カバーによって下方が覆われる部分に前記開口部を配置し、前記操作ボックスを車両幅方向から視た場合、前記操作ボックスの底面部には車両上方に湾曲した湾曲部を形成し、この湾曲部の頂部付近に前記開口部を配置したことを特徴とする電動車両。
【請求項2】
前記カバーを車両前方から視た場合、前記カバーを車両幅方向中央部が前記操作ボックスの底面部に最も近づく形状に形成し、前記開口部を前記カバーの車両幅方向中央部の上方に配置したことを特徴とする請求項1に記載の電動車両。
【請求項3】
前記発音部と前記開口部とは夫々複数個からなり、前記各開口部を前記カバーの車両幅方向中央部の上方で車両前後方向に並べて配置したことを特徴とする請求項2に記載の電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動車両に係り、特に音声又は警報音を発する発音部を備えた電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
ハンドル形の電気車いす等の電動車両においては、音声又は警報音を発する発音部を備えている。この発音部としては、ブザー又はスピーカ、あるいは、音声案内機能を有する機器等を用いている。また、この発音部は、一般的に、ハンドルバーと一体に回転する操作ボックスの内部に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−226650号公報
【0004】
特許文献1に係る電動車両は、発音部としてのブザーを防水するために、ブザーを操作ボックスの内部に配置された基板に取り付け、ブザーと操作ボックスの底面部に形成された開口部との間に音導管を配置したものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ハンドル形の電気車いすにあっては、ブザー又はスピーカ等からなる発音部を操作ボックスの内部に取り付ける際に、音を周囲に流すために、操作ボックスの底面部にはスリットや穴等の開口部を形成している。
このため、雨天時には、その開口部から操作ボックスの内部に雨水が浸入しやすくなり、操作ボックスの内部の発音部が故障しやすくなるという不都合があった。
【0006】
そこで、この発明の目的は、操作ボックスの内部に配置された発音部の防水性を向上させる電動車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、ハンドルポストにハンドルバーを回転自在に支持し、このハンドルバーの車両幅方向中央部に該ハンドルバーと一体に回転する操作ボックスを配置し、この操作ボックスの内部に音声又は警報音を発する発音部を配置し、前記操作ボックスの底面部に前記発音部で発生した音を外部に伝達する開口部を形成し、前記操作ボックスの前側部の下方にバスケットを設置した電動車両において、前記バスケットの上端後部には前記操作ボックスの下方を車両幅方向に横切るカバーを配置し、前記操作ボックスの底面部のうち前記カバーによって下方が覆われる部分に前記開口部を配置し、前記操作ボックスを車両幅方向から視た場合、前記操作ボックスの底面部には車両上方に湾曲した湾曲部を形成し、この湾曲部の頂部付近に前記開口部を配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明は、操作ボックスの内部に配置された発音部の防水性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は電動車両の正面図である。(実施例)
図2図2は電動車両の左側面図である。(実施例)
図3図3は操作ボックスの斜視図である。(実施例)
図4図4は操作ボックスの左側面図である。(実施例)
図5図5は操作ボックスの平面図である。(実施例)
図6図6図5のVI−VI線による操作ボックスの断面図である。(実施例)
図7図7図5のVII−VII線による操作ボックスの断面図である。(実施例)
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明は、操作ボックスの内部に配置された発音部の防水性を向上させる目的を、操作ボックスの底面部のうちカバーによって下方が覆われる部分に開口部を配置して実現するものである。
【実施例】
【0011】
図1図7は、この発明の実施例を示すものである。
図1図2において、1はハンドル形の電気車いすからなる電動車両、2はこの電動車両1の車体(フレーム)、3・3は前輪、4は後輪、5は座席(シート)である。
車体2には、後部で座席5の下方に駆動装置6が設置されているとともに、前部では筒部材7により覆われたハンドルポスト8が立設している。このハンドルポスト8の前方には、上方が開放状態になっているバスケット9が配置されている。また、ハンドルポスト8の上部には、ハンドルバー10が回転自在に支持されている。このハンドルバー10は、中央部位がハンドルポスト8の上部に支持されて車両幅方向Xに延びる中央側ハンドル部10Aと、左方で所定に曲げて形成された左側ハンドル部10Bと、右方で所定に曲げて形成された右側ハンドル部10Cとからなる。
【0012】
ハンドルバー10の中央側ハンドル部10Aの車両幅方向中央部には、該ハンドルバー10と一体に回転する操作ボックス11が配置されている。
図4図6に示すように、操作ボックス11は、アッパケース12とこのアッパケース12に接続したフロントスカート部13及びリヤスカート部14とからなり、また、底面部15を備えて内部空間16を形成している。また、この操作ボックス11の前側部の下方には、バスケット9が配置されている。
この操作ボックス11の底面部15には、操作ボックス11を車両幅方向Xから視た場合、車両上方に湾曲した湾曲部17が形成されている。
操作ボックス11のアッパケース12には、前端側で左ミラー18L及び右ミラー18Rが立設されているとともに、後端部でキー19を挿入するキー挿入部20が設置されている。
また、操作ボックス11には、アクセルレバー21が取り付けられる。このアクセルレバー21は、操作ボックス11を車両幅方向Xに貫通する中央側レバー部21Aと、左方で所定に曲げて形成された左側レバー部21Bと、右方で所定に曲げて形成された右側レバー部21Cとからなる。
更に、操作ボックス11には、左部でブレーキレバー22が取り付けられ、また、車速や各種インフォメーション等を表示する表示装置23が設置されている。
【0013】
図6図7に示すように、操作ボックス11の内部空間16には、基板24と、上下方向に延びる筒状部25と、音声又は警報音を発する発音部26とが配置されている。
筒状部25は、複数個として、例えば、底面部15の湾曲部17の頂部付近に配置される第1筒状部25Aと、この第1筒状部25Aよりも後方に配置される第2筒状部25Bとからなる。
発音部26は、複数個として、例えば、第1発音部としてのスピーカ26Aと、第2発音部としてのブザー26Bとからなる。スピーカ26Aは、第1筒状部25Aの上方に配置される。ブザー26Bは、第2筒状部25Bの上方に配置される。
スピーカ26Aの上方には、車両幅方向Xに延びるハンドルバー10の中央側ハンドル部10Aが配置される。また、操作ボックス11の後端部には、車両幅方向Xに延びるアクセルレバー21の中央側レバー部21Aが配置される。
また、操作ボックス11の底面部15には、発音部26で発生した音を外部に伝達する開口部27が形成されている。この開口部27は、複数個として、例えば、第1開口部27Aと第2開口部27Bとからなり、操作ボックス11を車両幅方向Xから視た場合、操作ボックス11の底面部15の湾曲部17の頂部付近に配置される。このような構造において、スピーカ26Aで発生した音は、第1筒状部25A内を経て第1開口部27Aから外部に流れる。また、ブザー26Bで発生した音は、第2筒状部25B内を経て第2開口部27Bから外部に流れる。
【0014】
バスケット9の上端後部9Aには、操作ボックス11の下方を車両幅方向Xに横切るカバー28が配置される。このカバー28は、図1に示すように、バスケットカバーとして機能するものであり、該カバー28を車両前方から視た場合、車両幅方向中央部が操作ボックス11の底面部15に最も近づく形状に形成されている。つまり、カバー28は、バスケット9の上端後部9Aで操作ボックス11の底面部15に対応する全面域を下方から覆うような形状のカバー本体29を備える。
このような構造により、図6図7に示すように、操作ボックス11の底面部15のうちカバー28によって下方が覆われる部分には、開口部27が配置される。そして、カバー28を車両前方から視た場合、開口部27は、カバー28の車両幅方向中央部の上方に配置される。また、開口部27を構成する第1開口部27Aと第2開口部27Bとは、カバー28の車両幅方向中央部の上方で車両前後方向Yに並べて配置される。
【0015】
以上、この発明の実施例について説明してきたが、上述の実施例の構成を請求項毎に当てはめて説明する。
先ず、請求項1に係る発明において、バスケット9の上端後部9Aには、操作ボックス11の下方を車両幅方向Xに横切るカバー28を配置した。また、操作ボックス11の底面部15のうちカバー28によって下方が覆われる部分には、開口部27を配置した。更に、操作ボックス11を車両幅方向Xから視た場合、操作ボックス11の底面部15には車両上方に湾曲した湾曲部17を形成し、この湾曲部17の頂部付近に開口部27を配置した。
このような構造により、操作ボックス11の底面部15のうち開口部27が配置された部分が最も高い位置にあり、これにより、底面部15の前側部分及び後側部分が開口部27が配置された部分よりも低くなるように傾斜して配置するため、車両前方や車両後方から開口部27に雨水が侵入し難い構造にできる。
請求項2に係る発明は、カバー28を車両前方から視た場合、カバー28を車両幅方向中央部が操作ボックス11の底面部15に最も近づく形状に形成し、開口部27をカバー28の車両幅方向中央部の上方に配置した。
このような構造により、操作ボックス11の底面部15に形成した開口部27とカバー28との間に形成される隙間を減少させ、開口部27に下方から雨水が侵入し難い構造にすることができる。
請求項3に係る発明は、発音部26と開口部27とは夫々複数個からなり、各開口部27をカバー28の車両幅方向中央部の上方で車両前後方向Yに並べて配置した。
このように、発音部26及び開口部27が複数個ある場合に、各開口部27A、27Bをカバー28の車両幅方向中央部の上方で車両前後方向Yに並べて配置することにより、これら開口部27A、27Bを下方から雨水が浸入し難い構造にできる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
この発明に係る防水構造を、電動車両のみならず、他の各種車両に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0017】
1 電動車両
8 ハンドルポスト
9 バスケット
9A バスケットの上端後部
10 ハンドルバー
11 操作ボックス
15 操作ボックスの底面部
17 操作ボックスの底面部の湾曲部
24 基板
25 筒状部
25A 第1筒状部
25B 第2筒状部
26 発音部
26A スピーカ
26B ブザー
27 開口部
27A 第1開口部
27B 第2開口部
28 カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7