特許第6012000号(P6012000)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012000
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】換気装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/10 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
   F24F7/10 101Z
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-68428(P2013-68428)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-190651(P2014-190651A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年6月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】力丸 光生
【審査官】 小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−101009(JP,A)
【文献】 特開平08−152165(JP,A)
【文献】 特開2010−121788(JP,A)
【文献】 特開2001−108287(JP,A)
【文献】 特開2003−106621(JP,A)
【文献】 特開2007−120873(JP,A)
【文献】 特開2010−190524(JP,A)
【文献】 特開2009−014251(JP,A)
【文献】 特開2005−106322(JP,A)
【文献】 特開2001−263940(JP,A)
【文献】 特開2000−274790(JP,A)
【文献】 特開2001−99477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の換気を行う換気装置であって、
前記室内の空気を吸い込む吸込口と、
前記吸込口から吸い込まれた空気の少なくとも一部を外部へ排出する排出流路と、
前記吸込口から吸い込まれた空気に流れを発生させるファンと、
設定された前記ファンの回転数になるように前記ファンの回転数を制御する回転数制御手段と、
前記ファンの駆動時における前記ファンの回転数を検出する回転数検出手段と、
前記回転数検出手段が検出した前記ファンの回転数が基準値に対して所定の範囲内にある時に、前記ファンの回転数が安定状態であることを使用者に報知する報知手段と、
前記換気装置の運転モードを操作する操作部を有するコントローラと、
を備え、
前記換気装置を設置現場にて検査するために換気風量の測定を実施する際に前記コントローラに対して操作指示を行うことで、前記操作指示に基づき前記ファンの回転数が安定状態であることを報知し、この報知に基づいて前記ファンの回転数が安定状態にあるタイミングでの前記換気風量の測定の実行を可能とすることを特徴とする換気装置。
【請求項2】
室内の換気を行う換気装置であって、
前記室内の空気を吸い込む吸込口と、
前記吸込口から吸い込まれた空気の少なくとも一部を外部へ排出する排出流路と、
前記吸込口から吸い込まれた空気に流れを発生させるファンと、
設定された前記ファンの回転数になるように前記ファンの回転数を制御する回転数制御手段と、
前記ファンの駆動時における前記ファンの回転数を検出する回転数検出手段と、
前記回転数検出手段が検出した前記ファンの回転数の単位時間あたりの変化量が所定の範囲内にある時に、前記ファンの回転数が安定状態であることを使用者に報知する報知手段と、
前記換気装置の運転モードを操作する操作部を有するコントローラと、
を備え、
前記換気装置を設置現場にて検査するために換気風量の測定を実施する際に前記コントローラに対して操作指示を行うことで、前記操作指示に基づき前記ファンの回転数が安定状態であることを報知し、この報知に基づいて前記ファンの回転数が安定状態にあるタイミングでの前記換気風量の測定の実行を可能とすることを特徴とする換気装置。
【請求項3】
前記報知手段は、前記コントローラに設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の換気装置。
【請求項4】
前記コントローラには、前記ファンの回転数が安定状態であることを表示する表示部が設けられることを特徴とする請求項3に記載の換気装置。
【請求項5】
前記コントローラに対して裏操作指示を行うことで、前記裏操作指示に基づき前記表示部に前記ファンの回転数が安定状態であることを表示することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の換気装置。
【請求項6】
前記裏操作指示に基づき前記表示部に表示される前記ファンの回転数が安定状態であることは、前記表示部に表示されて所定時間が経過後に消えることを特徴とする請求項5に記載の換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、室内の換気を行う換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、室内の換気を行う換気装置として、室内の空気を吸引して室外へと排出するものが知られている。このような換気装置には、低風量で24時間室内の換気を行う常時換気機能や、排気ダクトによる圧力損失又は建物外壁の排気口へ吹き込む外風圧などに対応して換気ファンの回転数制御を行う換気風量一定制御機能などを搭載するものがある。
【0003】
これらの機能を搭載する換気装置は、制御部からの電気的信号によりファンの回転数を目標回転数になるようにファンの制御が行われているため、瞬間的にファンの回転数を目標回転数にさせることが可能である。しかしながら、そのようなファンの制御が行われている時に、強い吹き込みなどが発生してファンの圧力損失が増加した場合、ファンの回転数が急上昇した後直に急下降するといった現象が繰り返し発生する。その結果、ファンの動作音に脈動が生じてしまい、それを聞いた使用者に不快感を与えてしまうという心配がある。
【0004】
上記の不具合を解消するために、これらの機能を搭載する換気装置は、ファンの回転数を目標回転数になるようにファンの制御が行われている時に、所定の時間に所定の回転数まで繰り返して段階的に上げることで目標回転数に近づけている。また、現在の回転数と目標回転数の差が大きい場合は、所定の回転数を大きくし、現在の回転数と目標回転数の差が小さい場合は、所定の回転数を小さくすれば、目標回転数に到達するまでの時間、すなわちファンの回転数が安定状態になるまでの時間がかかりすぎるという不具合も解消できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−045756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの機能を搭載する換気装置は、設置現場に換気装置を取付けた際に、これらの機能が発揮できる状態であるか検査するために、換気装置の設置現場の換気風量が所定の換気風量を満たしているかどうか確認する必要がある。
【0007】
しかしながら、換気風量の検査を行う者が、どのタイミングで換気風量を測定していいのか分かりにくく、換気ファンの回転数が安定していないにも関わらず換気風量の測定を行ってしまうこともあり、換気風量の測定を簡単に精度良く行うのが難しいという課題があった。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、換気装置の設置現場の換気風量が所定の換気風量を満たしているかどうか使用者が確認する際、換気風量の測定を簡単に精度良く行うことができる換気装置を提供することにある。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る換気装置は、室内の換気を行う換気装置であって、前記室内の空気を吸い込む吸込口と、前記吸込口から吸い込まれた空気の少なくとも一部を外部へ排出する排出流路と、前記吸込口から吸い込まれた空気に流れを発生させるファンと、設定された前記ファンの回転数になるように前記ファンの回転数を制御する回転数制御手段と、前記ファンの駆動時における前記ファンの回転数を検出する回転数検出手段と、前記回転数検出手段が検出した前記ファンの回転数が基準値に対して所定の範囲内にある時に、前記ファンの回転数が安定状態であることを使用者に報知する報知手段と、前記換気装置の運転モードを操作する操作部を有するコントローラと、を備え、前記換気装置を設置現場にて検査するために換気風量の測定を実施する際に前記コントローラに対して操作指示を行うことで、前記操作指示に基づき前記ファンの回転数が安定状態であることを報知し、この報知に基づいて前記ファンの回転数が安定状態にあるタイミングでの前記換気風量の測定の実行を可能とすることを特徴とする。
また、本発明に係る換気装置は、室内の換気を行う換気装置であって、前記室内の空気を吸い込む吸込口と、前記吸込口から吸い込まれた空気の少なくとも一部を外部へ排出する排出流路と、前記吸込口から吸い込まれた空気に流れを発生させるファンと、設定された前記ファンの回転数になるように前記ファンの回転数を制御する回転数制御手段と、前記ファンの駆動時における前記ファンの回転数を検出する回転数検出手段と、前記回転数検出手段が検出した前記ファンの回転数の単位時間あたりの変化量が所定の範囲内にある時に、前記ファンの回転数が安定状態であることを使用者に報知する報知手段と、前記換気装置の運転モードを操作する操作部を有するコントローラと、を備え、前記換気装置を設置現場にて検査するために換気風量の測定を実施する際に前記コントローラに対して操作指示を行うことで、前記操作指示に基づき前記ファンの回転数が安定状態であることを報知し、この報知に基づいて前記ファンの回転数が安定状態にあるタイミングでの前記換気風量の測定の実行を可能とすることを特徴とする。
【0010】
本発明の換気装置では、回転数検出手段が検出したファンの回転数が基準値に対して所定の範囲内にある時に、又は回転数検出手段が検出したファンの回転数の単位時間あたりの変化量が所定の範囲内にある時に、ファンの回転数が安定状態であることを使用者に報知する報知手段を備えるため、換気装置の設置現場の換気風量が所定の換気風量を満たしているかどうか使用者が確認する際、換気風量の測定を簡単に精度良く行うことができる。ここで、「使用者」については、換気装置を使用する者だけでなく、例えば、換気装置の施工作業やメンテナンスを行う者も含むとする。
【0011】
また、本発明に係る換気装置では、前記報知手段は、前記コントローラに設けられることを特徴とすることも好ましい。
【0012】
この好ましい態様では、使用者が換気風量を測定する時に、ファンの回転数が安定状態であることを使用者に報知する報知手段が、コントローラの換気運転を操作する操作部と共に設けられているので、ファンの回転数が安定状態である旨を使用者が簡単に把握しやすい。
【0013】
また、本発明に係る換気装置では、前記コントローラには、前記ファンの回転数が安定状態であることを表示する表示部が設けられることを特徴とすることも好ましい。
【0014】
この好ましい態様では、使用者がコントローラの表示部を目視で確認しながら、換気風量の測定のタイミングを決定することが可能となるので、使用者が換気風量の測定をより簡単に行うことができる。
【0015】
また、本発明に係る換気装置では、前記コントローラに対して裏操作指示を行うことで、前記裏操作指示に基づき前記表示部に前記ファンの回転数が安定状態であることを表示することを特徴とすることも好ましい。
【0016】
この好ましい態様では、ファンの回転数が安定状態である旨の表示を、使用者が換気風量を測定する時に表示させ、通常の使用時には表示されないため、通常の使用時における使用者の不必要な混乱を避けることが可能で使用者の使い勝手が良い。ここで、「裏操作指示」とは、コントローラに対する通常の操作ではなく、コントローラに対する通常の操作以外の操作である。
【0017】
また、本発明に係る換気装置では、前記裏操作指示に基づき前記表示部に表示される前記ファンの回転数が安定状態であることは、前記表示部に表示されて所定時間が経過後に消えることを特徴とすることも好ましい。
【0018】
この好ましい態様では、ファンの回転数が安定状態である旨の表示を使用者が解除し忘れたとしても、所定時間が経過することによって、通常の使用状態に復帰するので、使用者の作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、換気装置の設置現場の換気風量が所定の換気風量を満たしているかどうか使用者が確認する際、換気風量の測定を簡単に精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態にかかる換気装置を浴室に取り付けた状態を模式的に示す図である。
図2】本実施形態にかかる換気装置の要部構成を表すブロック図である。
図3】本実施形態にかかる換気装置の要部構成を表すブロック図である。
図4】本実施形態にかかる換気装置の断面を示す断面図である。
図5】本具体例の暖房運転時におけるダンパの位置を表す模式的断面図である。
図6】本具体例の温風乾燥運転および涼風乾燥運転時のダンパの位置を表す模式的断面図である。
図7】本具体例の換気運転時のダンパの位置を表す模式的断面図である。
図8】本実施形態にかかる浴室乾燥装置の断面を示す断面図である。
図9】本実施形態にかかる換気装置のコントローラを示す図である。
図10】本実施形態にかかる換気装置の動作の具体例を表すタイミングチャート図である。
図11】本実施形態にかかる報知手段の動作の具体例を表す模式的概略図である。
図12】本実施形態にかかる報知手段の動作の具体例を表す模式的概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0022】
本発明の実施形態に係る換気装置の浴室乾燥装置は、浴室内の空気を吸い込みヒータを経由させて浴室方向に吹き出す「暖房運転」と、浴室内の空気を吸い込みその一部はヒータを経由させて浴室方向に吹き出しながら、残りの空気は浴室外に排出する「乾燥運転」と、浴室内の空気を吸い込み浴室外に排出する「換気運転」と、を備える。
【0023】
この浴室乾燥装置の配置態様について図1を参照しながら説明する。図1に示すように、浴室乾燥装置100は、浴室10の天井11に取り付けられるものである。浴室乾燥装置100は、浴室10内の空気を吸い込みヒータ(図1においては明示しない)を経由させて浴室10方向に空気を吹き出すことができる。また、浴室乾燥装置100は、浴室10内の空気を吸い込み、少なくともその一部をダクト12を通して浴室外に排出することもできる。
【0024】
上記の通り乾燥モードは、浴室10内の空気を吸い込みその一部はヒータを経由させて浴室10の方向に吹き出しながら、残りの空気は浴室10外に排出する運転モードである。この乾燥モードにおいて浴室乾燥装置100は、ヒータを経由させた空気を浴室10の方向に吹き出すため、浴室10内の気温は上昇する。
【0025】
また、浴室10から吸い込まれた空気の一部は、浴室10内の水蒸気と共に浴室10外に排出される。その結果、浴室10内の湿度は効率的に低下することとなり、浴室乾燥装置100の下方に洗濯後の衣類を吊り下げた状態で乾燥モードによる運転を行えば、浴室10の壁面と共に衣類も短時間で乾燥させることができる。
【0026】
本実施形態にかかる浴室乾燥装置100は、例えば、浴室10のみの換気を行う「1ファンタイプ」などと呼ばれる浴室乾燥装置100aと、浴室10と浴室10に隣接する洗面所やトイレなどとの換気を行う「2ファンタイプ」などと呼ばれる浴室乾燥装置100bと、に分類される。
【0027】
図2に表したように、「1ファンタイプ」の浴室乾燥装置100aは、内部流路125と、センサ131と、ファン133と、ダンパ135と、ヒータ137と、排出経路127と、制御手段110と、を備える。内部流路125は、空気を吸い込む吸込口121と空気を吹き出す吹出口123とを連通し、吸込口121から吸い込まれた空気を吹出口123へ導くことができる。ファン133は、吸込口121から空気を吸い込み、吸込口121から吸い込まれた内部流路125の空気に流れを発生させる。
【0028】
ダンパ135は、適宜駆動することにより、ファン133から送られてきた空気を吹出口123へ向かう内部流路125へ送る割合と、排出経路127へ送る割合と、を変更する。排出経路127は、ダンパ135において内部流路125から分岐し、吸込口121から吸い込まれた内部流路125の空気の少なくとも一部を浴室10の外部へ排出する。センサ131は、内部流路125を流れる空気の温度を検出することができる。制御手段110は、ファン133と、ダンパ135と、ヒータ137と、の動作を制御することができる。
【0029】
図4は、本実施形態の浴室乾燥装置の具体例を例示する模式的断面図である。本具体例の浴室乾燥装置100aは、図2に関して前述したいわゆる「1ファンタイプ」の浴室乾燥装置である。図4図7に表したように、本具体例の浴室乾燥装置100aは、筐体101と、内部流路125と、センサ131と、ファン133と、ダンパ135と、ヒータ137と、排出経路127と、を備える。内部流路125と、センサ131と、ファン133と、ダンパ135と、ヒータ137と、排出経路127と、は、筐体101の内部に設けられている。
【0030】
ここで、浴室乾燥装置100aが「暖房運転」を実行する場合には、図5に表したように、ダンパ135は、排出経路127を塞いでいる。そのため、図5に表した矢印A12のように、吸込口121から吸い込まれた内部流路125の空気の全てが吹出口123へ向かう内部流路125へ導かれる。そして、吹出口123へ向かう空気は、ヒータ137により暖められて温風として浴室10の内部に送り込まれる。つまり、浴室乾燥装置100aが「暖房運転」を実行する場合には、浴室10の内部の空気の換気は行われない。
【0031】
また、浴室乾燥装置100aが「温風乾燥運転」および「涼風乾燥運転」を有する「乾燥運転」を実行する場合には、図6に表したように、ダンパ135は、排出経路127の一部を開放している。そのため、図6に表した矢印A13のように、吸込口121から吸い込まれた内部流路125の空気の一部は、排出経路127へ導かれ浴室10の外部へ排出される。また、図6に表した矢印A14のように、吸込口121から吸い込まれた内部流路125の空気の他の一部は、吹出口123へ向かう内部流路125へ導かれる。
【0032】
浴室乾燥装置100aが「乾燥運転」を実行する場合には、吸込口121から吸い込まれた内部流路125の空気の一部を換気する。「温風乾燥運転」の場合には、吹出口123へ向かう空気は、ヒータ137により暖められて温風として浴室10の内部に送り込まれる。「涼風乾燥運転」の場合には、制御手段110がヒータの出力を停止し、吹出口123へ向かう空気は、ヒータ137で暖められず涼風として浴室10の内部に送り込まれる。
【0033】
また、浴室乾燥装置100aが「換気運転」を実行する場合には、図7に表したように、ダンパ135は、排出経路127を全開とし、吹出口123へ向かう内部流路125を塞いでいる。そのため、図7に表した矢印A15のように、吸込口121から吸い込まれた内部流路125の空気の全てが排出経路127へ導かれ浴室10の外部へ排出される。
【0034】
図3は、本実施形態にかかる浴室乾燥装置の要部構成を表すブロック図である。また、図8は、本実施形態の浴室乾燥装置の具体例を例示する模式的断面図である。本具体例の浴室乾燥装置100bは、図3に示したいわゆる「2ファンタイプ」の浴室乾燥装置である。図8に表したように、本具体例の浴室乾燥装置100bは、第1の筐体101aと、第2の筐体101bと、内部流路125と、センサ131と、循環用ファン133aと、換気用ファン133bと、ダンパ135と、ヒータ137と、排出経路127と、を備える。
【0035】
内部流路125と、センサ131と、循環用ファン133aと、ヒータ137と、は、第1の筐体101aの内部に設けられている。また、換気用ファン133bと、排出経路127と、は、第2の筐体101bの内部に設けられている。また、ダンパ135は、第1の筐体101aと第2の筐体101bとの接続部に設けられている。
【0036】
第1の筐体101aと第2の筐体101bとは、図示しない接続口により互いに連通している。そのため、例えば、図8に表したダンパ135bおよびダンパ135cのように、ダンパ135が開いている場合には、吸込口121から吸い込まれた内部流路125の空気の少なくとも一部は、排出経路127へ流れることができる。その他の構成および構造は、図3に示した通りである。
【0037】
ここで、浴室乾燥装置100bが「暖房運転」を実行する場合には、図8に表したダンパ135aのように、ダンパ135は、接続口および排出経路127を塞いでいる。そのため、図8に表した矢印A21のように、吸込口121から吸い込まれた内部流路125の空気の全てが吹出口123へ向かう内部流路125へ導かれる。その他の空気の流れは、図4に関して前述した「1ファンタイプ」の浴室乾燥装置100aの「暖房運転」における空気の流れと同様である。
【0038】
また、浴室乾燥装置100bが「温風乾燥運転」および「涼風乾燥運転」を実行する場合には、図8に表したダンパ135bのように、ダンパ135は、接続口および排出経路127の一部を開放している。そのため、吸込口121から吸い込まれた内部流路125の空気の一部は、排出経路127へ導かれ、第2の筐体101bに設けられた排気用接続口129を通して浴室10の外部へ排出される。その他の空気の流れは、図6に関して前述した「1ファンタイプ」の浴室乾燥装置100aの「温風乾燥運転」および「涼風乾燥運転」における空気の流れと同様である。
【0039】
また、浴室乾燥装置100bが「換気運転」を実行する場合には、図8に表したダンパ135cのように、ダンパ135は、接続口および排出経路127を全開としている。そのため、吸込口121から吸い込まれた内部流路125の空気の全てが排出経路127へ導かれ、排気用接続口129を通して浴室10の外部へ排出される。
【0040】
なお、第2の筐体101bには、排気用接続口129と、吸気用接続口128と、が設けられている。前述したように、排出経路127へ導かれた空気は、排気用接続口129を通して浴室10の外部へ排出される。また、浴室10に隣接する洗面所やトイレなどから吸い込まれた空気は、吸気用接続口128を通して筐体101bの内部へ導かれ、換気用ファン133bにより排気用接続口129を通して浴室10の外部へ排出される。
【0041】
本実施形態にかかる浴室乾燥装置100のコントローラ200には、図9に示したように、「暖房運転」を操作する暖房ボタン210、「乾燥運転」を操作する乾燥ボタン220、「換気運転」を操作する換気ボタン230、「涼風乾燥運転」のみを操作する涼風ボタン240、「24時間換気運転」を操作する24時間換気ボタン250および浴室乾燥装置100の電源停止をする停止ボタン260が設けられている。また、コントローラ200には、夫々の運転における運転状態などを表示する表示部270、夫々の運転における開始時刻や運転時間を予約するための予約ボタン280、+ボタン290および−ボタン300が設けられている。
【0042】
例えば、「暖房運転」を予約したい場合、まず使用者が予約ボタン280を一度押して表示部270に「暖房運転」の開始時刻を表示させる。次に+ボタン290や−ボタン300を押して「暖房運転」の開始時刻を決めた後、予約したい「暖房運転」である暖房ボタン210を押して「暖房運転」を設定する。その後、表示部270に運転時間が表示されるので、+ボタン290や−ボタン300を押して「暖房運転」の運転時間を決めた後、予約ボタン280を押して「暖房運転」の予約運転を確定させる。尚、「暖房運転」以外の「換気運転」、「涼風乾燥運転」においても、同様の方法によってその運転の予約運転を設定することができる。
【0043】
「乾燥運転」を予約したい場合には、まず使用者が予約ボタン280を一度押して表示部270に「乾燥運転」の開始時刻を表示させる。次に+ボタン290や−ボタン300を押して「乾燥運転」の開始時刻を決めた後、予約したい「乾燥運転」である乾燥ボタン220を押して「乾燥運転」を設定する。その後、表示部270に運転時間が表示されるので、+ボタン290や−ボタン300を押して「乾燥運転」の運転時間を決める。所定時間が経過すると、表示部270に「温風乾燥運転」と「涼風乾燥運転」の時間比率が表示されるので、+ボタン290や−ボタン300を押してその時間比率を決める。そして、予約ボタン280を押して「暖房運転」の予約運転を確定させる。
【0044】
本実施形態にかかる浴室乾燥装置100では、ファン133の回転数を設定された回転数になるように制御する回転数制御手段とファン133の駆動時におけるファン133の回転数を検出する回転数検出手段とを有する制御手段110、回転数検出手段が検出したファン133の回転数が基準値に対して所定の範囲内にある時に、ファン133の回転数が安定状態であることを使用者に点灯して報知する表示部270のAMランプ310及びPMランプ320を備えている。本実施形態にかかる浴室乾燥装置100では、報知手段として表示部270のAMランプ310及びPMランプ320を述べているが、それらの代わりに例えば浴室乾燥装置100などに設けられた音声手段で使用者に報知しても良いものとする。
【0045】
図10〜12に表されるように、「換気運転」において、使用者が換気ボタン230を所定時間長押すと、浴室乾燥装置100は、コントローラ220の表示部270に設定されたファン133の回転数に対応する換気風量を点灯表示する。また、ファン133の回転数が第1範囲内(N6≦N≦N3)にある時には、表示部270のAMランプ310及びPMランプ320が点灯してファン133の回転数が安定状態であることを報知するため、使用者が換気風量の確認時に換気風量の測定を簡単に精度良く行える。本実施形態にかかる浴室乾燥装置100では、「裏操作指示」として換気ボタン230の所定時間長押しを述べているが、コントローラに対する通常の操作以外の操作も含むものとする。
【0046】
ファン133の回転数が第2範囲内(N5≦N<N6、N3<N≦N2)にある時には、表示部270のAMランプ310又はPMランプ320何れかを点灯してファン133の回転数が安定状態に近いことを報知する。また、ファン133の回転数が第3範囲内(N5N<N5、N2<N)にある時には、表示部270のAMランプ310又はPMランプ320何れかを点滅してファン133の回転数が安定状態から遠いことを報知する。このため、換気風量の確認時に換気風量がどの状態であるかどうか使用者が簡単に知ることができる。
【0047】
本実施形態にかかる浴室乾燥装置100では、回転数検出手段が検出したファン133の回転数が基準値に対して所定の範囲内にある時に、又は回転数検出手段が検出したファン133の回転数の単位時間あたりの変化量が所定の範囲内にある時に、ファン133の回転数が安定状態であることを使用者に報知する表示部270のAMランプ310及びPMランプ320を備えるため、換気装置の設置現場の換気風量が所定の換気風量を満たしているかどうか使用者が確認する際、換気風量の測定を簡単に精度良く行うことができる。
【0048】
また、本実施形態にかかる浴室乾燥装置100では、使用者が換気風量を測定する時に、ファン133の回転数が安定状態であることを使用者に報知する表示部270のAMランプ310及びPMランプ320が、コントローラ200の換気ボタン230と共に設けられているので、ファン133の回転数が安定状態である旨を使用者が簡単に把握しやすい。また、使用者がコントローラ200の表示部270を目視で確認しながら、換気風量の測定のタイミングを決定することが可能となるので、使用者が換気風量の測定をより簡単に行うことができる。
【0049】
また、本実施形態にかかる浴室乾燥装置100では、ファン133の回転数が安定状態である旨の表示を、使用者が換気風量を測定する時に表示させ、通常の使用時には表示されないため、通常の使用時における使用者の不必要な混乱を避けることが可能で使用者の使い勝手の良い。また、ファン133の回転数が安定状態である旨の表示を使用者が解除し忘れたとしても、所定時間が経過することによって、通常の使用状態に復帰するので、使用者の作業性を向上させることができる。
【0050】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0051】
10 :浴室
11 :天井
12 :ダクト
100:浴室乾燥装置
101a:第1の筐体
101b:第2の筐体
110:制御手段
121:吸込口
123:吹出口
125:内部流路
131:センサ
133:ファン
133a:循環用ファン
133b:換気用ファン
135:ダンパ
137:ヒータ
127:排出経路
200:コントローラ
210:暖房ボタン
220:乾燥ボタン
230:換気ボタン
240:涼風ボタン
250:24時間換気ボタン
260:停止ボタン
270:表示部
280:予約ボタン
290:+ボタン
300:−ボタン
310:AMランプ
320:PMランプ
図1
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図10
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図12