特許第6012005号(P6012005)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6012005ガスセンサ、ガスセンサの製造方法、及びガス濃度の検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012005
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】ガスセンサ、ガスセンサの製造方法、及びガス濃度の検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/12 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
   G01N27/12 G
   G01N27/12 M
   G01N27/12 J
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-534038(P2015-534038)
(86)(22)【出願日】2014年6月12日
(86)【国際出願番号】JP2014065541
(87)【国際公開番号】WO2015029541
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2015年11月30日
(31)【優先権主張番号】特願2013-179530(P2013-179530)
(32)【優先日】2013年8月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100117477
【弁理士】
【氏名又は名称】國弘 安俊
(72)【発明者】
【氏名】中村 和敬
【審査官】 黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63-139241(JP,A)
【文献】 国際公開第93/14396(WO,A1)
【文献】 特開平5-80011(JP,A)
【文献】 特開昭62-90529(JP,A)
【文献】 崔勝哲 他,NiO−ZnO系セラミックスの粒界制御と感湿特性,日本化学会誌,1985年,No.6,p.1192-1193
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00−27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
NiOとZnOとの固溶体を主成分とする焼結体で形成されたp型半導体層と、ZnO及びTiOのうちの少なくともいずれか一方を主成分とし、前記p型半導体層の表面に形成されたn型半導体層とを備え、
前記p型半導体層は、NiとZnとのモル比率Ni/Znが6/4以上及び8/2以下であることを特徴とするガスセンサ。
【請求項2】
前記p型半導体層は、Mn及び希土類元素のうちの少なくともいずれか一方を含有すると共に、
前記NiOに対する前記Mnの含有量は、20mol%未満であり、前記NiOに対する前記希土類元素の含有量は5mol%未満であることを特徴とする請求項1記載のガスセンサ。
【請求項3】
前記Mnは過酸化物の形態で含有されることを特徴とする請求項2記載のガスセンサ。
【請求項4】
前記希土類元素は、La、Pr、Nd、Sm、Dy、及びErの中から選択された少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項2記載のガスセンサ。
【請求項5】
前記n型半導体層は、前記p型半導体層の一部が表面に露出した形態で形成されると共に、前記p型半導体層には内部電極が埋設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のガスセンサ。
【請求項6】
NiOとZnOとの固溶体を主成分とする成形体を作製する成形体作製工程と、
前記成形体を焼成して焼結体を作製し、p型半導体層を得る焼成工程と、
ZnO及びTiOのうちの少なくともいずれか一方を主成分とするターゲット物質を使用してスパッタ処理を行い、前記p型半導体層の表面にn型半導体層を形成するスパッタ工程とを含むことを特徴とするガスセンサの製造方法。
【請求項7】
NiOとZnOとの固溶体を主成分とする成形体を作製する成形体作製工程と、
ZnO及びTiOのうちの少なくともいずれか一方を主成分とするシート状部材を作製するシート状部材作製工程と、
前記成形体の主面に前記シート状部材を積層し、積層構造体を作製する積層構造体作製工程と、
前記積層構造体を焼成し、p型半導体層上にn型半導体層が形成された焼結体を作製する焼成工程とを含むことを特徴とするガスセンサの製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のガスセンサを使用して雰囲気ガスの濃度を検出するガス濃度の検出方法であって、
p型半導体層を正極側とし、n型半導体層を負極側としてパルス状に間欠的に電圧を印加し、前記電圧印加時に計測された電流値に基づいてガス濃度を検出することを特徴とするガス濃度の検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスセンサ、ガスセンサの製造方法、及びガス濃度の検出方法に関し、より詳しくは、酸化物半導体で形成されたp型半導体層とn型半導体層とをヘテロ接合させたpn接合型のガスセンサとその製造方法、及びこのガスセンサを使用して雰囲気ガスの濃度を検出するガス濃度の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大気中の水蒸気濃度を検出する湿度センサ等のガスセンサとしては、従来より種々の方式が提案されている。
【0003】
例えば、非特許文献1には、半導体開接合(ヘテロ接合)を使用したガスセンサが報告されており、p型半導体のCuOとn型半導体のZnOからなるpn接合型のガスセンサの感湿特性が記載されている。
【0004】
非特許文献1記載のpn接合型のガスセンサでは、湿度が高くなると、逆方向バイアスでは逆向きの電荷の放出が起こり難いため電流値は殆ど変化しないが、順方向バイアスでは整流作用によりp型半導体からn型半導体に大きな電流増加が生じ、この電流増加に基づいて湿度を検出することができる。
【0005】
この種のpn接合型のガスセンサは、他のガスセンサに比べて応答速度が速く、接触界面に物理吸着した水分子が電気分解して接触界面から脱離するため、リフレッシュという接触界面の加熱クリーニングが不要となる。尚、この非特許文献1では、p型半導体層とn型半導体層との組み合わせとして、CuOとZnOの他、NiOとZnOが記載されている。
【0006】
また、特許文献1には、上部電極、該上部電極に接合する第1物質からなる第1部材、該第1部材と接合する第2物質からなる第2部材、及び該第2部材と接合する下部電極とからなり、第1部材と第2部材との接合界面が露出している構造を有する接合型化学センサにおいて、前記上部電極と前記下部電極との間に交流電圧を印加する交流電圧印加手段を設けた接合型化学センサが提案されている。
【0007】
この特許文献1では、例えばp型半導体としてCuOを使用し、n型半導体としてZnOを使用し、p型半導体層及びn型半導体層を薄膜形成法で作製し、p型半導体層とn型半導体層とを接合させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−264490号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】宮山 勝著「半導体セラミックス 第4節半導体開接合を用いたガスセンサ−センサのインテリジェント化―」、(株)ティー・アイ・シー、平成10年9月21日発行、pp.214−219
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、非特許文献1及び特許文献1では、p型半導体材料にCuOやNiOを使用しているため、以下のような問題があった。
【0011】
すなわち、p型半導体材料にCuO系材料を使用した場合、長時間の稼働により、CuOの一部が分解してn型半導体層の表面にCuイオンが拡散するおそれがある。そしてその結果、接触界面にCuが付着して特性劣化等を招き、さらにはCuそのものの酸化によって腐食が生じ、耐久性に劣るという問題があった。
【0012】
また、p型半導体材料にNiO系材料を使用した場合、NiOを半導体化させるために、通常、1価のアルカリ金属元素をドープさせているが、この1価のアルカリ金属元素は強アルカリとして作用するため、NiO中に拡散させると腐食が促進される。したがって、この場合も耐久性に劣り、更には安全性にも劣るという問題があった。
【0013】
また、この種のpn接合型のガスセンサは、特許文献1にも記載されているように、通常、p型半導体層は薄膜形成法で作製することが多く、焼結体に比べて高温安定性にも欠けるという問題があった。
【0014】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、特性や高温安定性が良好で、耐久性に優れた高信頼性を有する高精度なpn接合型のガスセンサ、ガスセンサの製造方法、及びガス濃度の検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は上記目的を達成するために鋭意研究を行ったところ、p型半導体層としてNiとZnが所定比率に配合された(Ni,Zn)Oを主成分とする焼結体を使用し、n型半導体層としてZnO及び/又はTiOを主成分とする材料を使用することにより、(Ni,Zn)Oを酸化性雰囲気で安定させることができ、かつ半導体化剤として1価のアルカリ金属元素を使用する必要がないことから、特性や高温安定性が良好で、耐久性にも優れたガスセンサを得ることができるという知見を得た。
【0016】
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係るガスセンサは、NiOとZnOとの固溶体を主成分とする焼結体で形成されたp型半導体層と、ZnO及びTiOのうちの少なくともいずれか一方を主成分とし、前記p型半導体層の表面に形成されたn型半導体層とを備え、前記p型半導体層は、NiとZnのモル比率Ni/Znが6/4以上及び8/2以下であることを特徴としている。
【0017】
また、本発明のガスセンサは、前記p型半導体層が、Mn及び希土類元素のうちの少なくともいずれか一方を含有すると共に、前記NiOに対する前記Mnの含有量は、20mol%未満であり、前記NiOに対する前記希土類元素の含有量は5mol%未満であるのが好ましい。
【0018】
これによりp型半導体層の比抵抗をより低下させることができ、より高感度のガスセンサを得ることができる。
【0019】
また、本発明のガスセンサは、前記Mnは過酸化物の形態で含有されるのが好ましい。
【0020】
さらに、本発明のガスセンサは、前記希土類元素が、La、Pr、Nd、Sm、Dy、及びErの中から選択された少なくとも1種を含むのが好ましい。
【0021】
また、本発明のガスセンサは、前記n型半導体層が、前記p型半導体層の一部が表面に露出した形態で形成されると共に、前記p型半導体層には内部電極が埋設されているのが好ましい。
【0022】
これによりn型半導体層と前記p型半導体層との界面にはガス分子が容易に物理吸着し、電気分解による抵抗変化によってガス濃度を検知することができる。
【0023】
また、本発明に係るガスセンサの製造方法は、NiOとZnOとの固溶体を主成分とする成形体を作製する成形体作製工程と、前記成形体を焼成して焼結体を作製し、p型半導体層を得る焼成工程と、ZnO及びTiOのうちの少なくともいずれか一方を主成分とするターゲット物質を使用してスパッタ処理を行い、前記p型半導体層の表面にn型半導体層を形成するスパッタ工程とを含むことを特徴としている。
【0024】
さらに、本発明に係るガスセンサの製造方法は、NiOとZnOとの固溶体を主成分とする成形体を作製する成形体作製工程と、ZnO及びTiOのうちの少なくともいずれか一方を主成分とするシート状部材を作製するシート状部材作製工程と、前記成形体の主面に前記シート状部材を積層し、積層構造体を作製する積層構造体作製工程と、前記積層構造体を焼成し、p型半導体層上にn型半導体層が形成された焼結体を作製する焼成工程とを含むことを特徴としている。
【0025】
本発明に係るガス濃度の検出方法は、上記いずれかに記載のガスセンサを使用して雰囲気ガスの濃度を検出するガス濃度の検出方法であって、p型半導体層を正極側とし、n型半導体層を負極側としてパルス状に間欠的に電圧を印加し、前記電圧印加時に計測された電流値に基づいてガス濃度を検出することを特徴としている。
【発明の効果】
【0026】
本発明のガスセンサによれば、NiOとZnOとの固溶体を主成分とする焼結体で形成されたp型半導体層と、ZnO及びTiOのうちの少なくともいずれか一方を主成分とし、前記p型半導体層の表面に形成されたn型半導体層とを備え、前記p型半導体層は、NiとZnのモル比率Ni/Znが6/4以上及び8/2以下であるので、p型半導体層は酸化性雰囲気でも安定化し、かつ半導体化剤として1価のアルカリ金属元素を必要とすることもなく、特性や高温安定性が良好で耐久性に優れたガスセンサを得ることができる。
【0027】
また、本発明のガスセンサの製造方法によれば、NiOとZnOとの固溶体を主成分とする成形体を作製する成形体作製工程と、前記成形体を焼成して焼結体を作製し、p型半導体層を得る焼成工程と、ZnO及びTiOのうちの少なくともいずれか一方を主成分とするターゲット物質を使用してスパッタ処理を行い、前記p型半導体層の表面にn型半導体層を形成するスパッタ工程とを含むので、焼結体であるp型半導体層上にスパッタ法でn型半導体層を形成することができ、特性や高温安定性が良好で耐久性に優れたガスセンサを容易に得ることができる。
【0028】
さらに、本発明のガスセンサの製造方法によれば、NiOとZnOとの固溶体を主成分とする成形体を作製する成形体作製工程と、ZnO及びTiOのうちの少なくともいずれか一方を主成分とするシート状部材を作製するシート状部材作製工程と、前記成形体の主面に前記シート状部材を積層し、積層構造体を作製する積層構造体作製工程と、前記積層構造体を焼成し、p型半導体層上にn型半導体層が形成された焼結体を作製する焼成工程とを含むので、シート状部材と成形体とが共焼結されることとなる。したがって、この方法によっても、特性や高温安定性が良好で耐久性に優れたガスセンサを容易に得ることができる。
【0029】
また、本発明のガス濃度の検出方法によれば、上記いずれかに記載のガスセンサを使用して雰囲気ガスの濃度を検出するガス濃度の検出方法であって、p型半導体層を正極側とし、n型半導体層を負極側としてパルス状に間欠的に電圧を印加し、前記電圧印加時に計測された電流値に基づいてガス濃度を検出するので、センサ部であるp型半導体層とn型半導体層との接合界面へのガス分子の吸着速度に応じた電圧印加が可能となり、再現性の良好なガスセンサを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明に係るガスセンサとしての湿度センサの一実施の形態を模式的に示す断面図である。
図2】グリーン積層体の分解斜視図である。
図3】実施例の出力電流の測定方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら詳説する。
【0032】
図1は、本発明に係るガスセンサとしての湿度センサの一実施の形態を模式的に示す断面図である。
【0033】
この湿度センサは、NiOとZnOとの固溶体を主成分とする焼結体からなるp型半導体層1と、ZnOを主成分とするZnO系材料からなるn型半導体層2とを有し、n型半導体層2は、p型半導体層1の表面の一部が露出した形態でp型半導体層1に接合されている。
【0034】
また、p型半導体層1の両端には第1及び第2の端子電極3a、3bが形成されている。すなわち、p型半導体層1の上部には、一端が表面露出するように内部電極4が埋設されており、第1の端子電極3aは、内部電極4と電気的に接続されるようにp型半導体層1の一方の端部に形成されている。また、第2の端子電極3bは、n型半導体層2と電気的に接続されるようにp型半導体層1の他方の端部に形成されている。
【0035】
尚、第1及び第2の端子電極3a、3bは、Ag等からなる外部電極の表面にNi等からなる第1のめっき皮膜及びSn等からなる第2のめっき皮膜が順次形成されている。
【0036】
p型半導体層1は、一般式(Ni1-xZn)O(以下、(Ni,Zn)Oと表記する。)で表わすことができ、Znの配合モル比xは、0.2≦x≦0.4の範囲に設定されている。これはxが0.2未満になると、Niの含有量が過剰となって高抵抗化するおそれがあり、一方、xが0.4を超えると、Znの含有量が過剰となってZnO粒子が結晶粒界に析出し、n型に半導体化してしまうおそれがあるからである。
【0037】
したがって、Znの配合モル比xが、0.2≦x≦0.4、すなわちNiとZnとのモル比率Ni/Znが6/4以上及び8/2以下となるようにNiOとZnOとが配合されている。
【0038】
p型半導体層1は、(Ni,Zn)Oを主成分とする焼結体であればよく、微量の添加物を含有するのも好ましい。特に、p型半導体層1中に適量のMnや希土類元素を含有させると、更なる電流増加を促進して抵抗減少に寄与することから、より好ましい。すなわち、過酸化物の形態で含有されたMnや希土類元素は、p型半導体層1中の2価のNi酸化物を酸化させて価数を増加させる作用があり、さらに価数の増えたNi酸化物が酸素と結合することにより、キャリア(正孔・電子)が増加し、これにより、抵抗値がより低下したp型半導体層1を得ることができる。
【0039】
そして、このようなMnを含有したMn化合物としては、Mnを好んで使用することができ、希土類元素としては、La、Pr、Nd、Sm、Dy、及びErの中から選択された1種又はこれらの組み合わせを好んで使用することができる。
【0040】
ただし、Mnを含有させる場合は、NiOに対し20mol%未満とする必要がある。NiOに対しMnの含有量が20mol%以上になると、抵抗値が増加して応答感度が低下し、また耐久性も劣化するおそれがある。
【0041】
また、希土類元素を含有させる場合も、その含有量がNiOに対し5mol%を超えると、抵抗値が増加して応答感度が低下し、また耐久性も劣化するおそれがあることから、NiOに対し5mol%未満とする必要がある。
【0042】
また、n型半導体層2を形成するZnO系材料は、ZnOを主成分とするのであれば、微量の添加物が含まれていてもよい。例えば、ドープ剤として、Al、Co、In、Ga等を含有していてもよく、拡散剤として、Fe、Ni、Mn等を含有していてもよい。また、不純物として微量のZr、Si等を含有していても特性に影響を与えるものではない。特に、ドープ剤として、Al、Co、In、Ga等を含有させることにより、抵抗値をより一層低下させることができ、応答感度の向上を図ることが可能となる。
【0043】
内部電極4を形成する内部電極材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、Pd等の貴金属材料を主成分とした各種金属材料やLa等の希土類元素とNiを含有した低抵抗の複合酸化物等を使用することができる。
【0044】
このように形成された湿度センサでは、p型半導体層1とn型半導体層2との接合界面7(感湿部)に水分子が物理吸着しているときに、順方向バイアス下、第1の端子電極3aと第2の端子電極3bとの間に電圧が印加されると、水分子にはp型半導体層1からの正孔とn型半導体層2からの電子が与えられて電気分解が生じ、整流作用によりp型半導体層1からn型半導体層2に大きな電流増加が生じる。このような電気分解によって電流増加が生じ、抵抗が減少することから、抵抗変化を電気信号として取り出すことにより湿度を検出することができる。例えば、順方向に所定間隔(例えば、1.5秒)毎に間欠的にパルス状のバイアス電圧を印加すると、接触界面7に付着した水分子は電圧が印加される毎に電気分解し、電圧が印加されていない間に再び水分子が接触界面7に付着するため、再現性良く抵抗変化を測定でき、これにより雰囲気湿度を検出することができる。
【0045】
尚、本湿度センサでは、順方向であっても連続的にバイアス電圧を印加するのは好ましくない。すなわち、順方向に連続的にバイアス電圧を印加すると、接合界面7に物理吸着した水分子は連続的に電気分解される。このため水分子は接触界面7から脱離して接合界面7が乾燥し、抵抗が増加すると考えられることから、応答感度が低下し、好ましくない。また、本湿度センサは空気流速の速い場所に配して検出するのが好ましい。
【0046】
そして、本実施の形態では、p型半導体層1が(Ni,Zn)Oを主成分としており、斯かる(Ni,Zn)Oは大気雰囲気を含め酸化性雰囲気で安定していることから、CuO系材料のように酸化して特性劣化を招くのを抑制できる。また、NiO系材料では、半導体化剤として耐食性に劣る1価のアルカリ金属元素をドープする必要があるのに対し、(Ni,Zn)Oでは、1価のアルカリ金属元素をドープする必要もなく、したがって1価のアルカリ金属元素に起因した腐食が生じることもなく、良好な耐食性を得ることが可能となる。
【0047】
しかも、p型半導体層1は焼結体からなるので、薄膜形成法で形成した場合に比べ、良好な高温安定性を確保することができる。
【0048】
また、本湿度センサは、他の方式の湿度センサに比べて応答速度が速く、電気分解により水分子が飛散することから、接合界面7を乾燥した一定状態に保持することが可能であり、使い勝手の良い湿度センサを得ることができる。
【0049】
さらに、本湿度センサは、水分に対しては電気分解により電流増加が生じるが、アンモニアやエタノールには応答しないことが確認されており、したがってガス選択性に優れた高精度の湿度センサを得ることができる。
【0050】
次に、上記湿度センサの製造方法を詳述する。
【0051】
〔ZnO焼結体の作製〕
ZnO粉末、及び必要に応じて各種ドープ剤、拡散剤等の添加物を用意し、所定量秤量する。そして、これら秤量物に純水等の溶媒を加え、PSZ(部分安定化ジルコニア)等の玉石を粉砕媒体とし、ボールミルを使用して十分に湿式で混合粉砕し、スラリー状混合物を得る。次いで、このスラリー状混合物を脱水乾燥した後、所定粒径に造粒し、その後、所定温度で約2時間仮焼し、仮焼粉末を得る。次に、このようにして得られた仮焼粉末に、再び、純水等の溶媒を加え、玉石を粉砕媒体とし、ボールミルを使用して十分に湿式で粉砕し、スラリー状粉砕物を得る。次に、このスラリー状粉砕物を脱水乾燥した後、純水、分散剤、バインダ、可塑剤等を添加して成形用スラリーを作製する。そしてこの後、ドクターブレード法等の成形加工法を使用して成形用スラリーに成形加工を施し、所定膜厚のZnOグリーンシートを作製する。次いでこのZnOグリーンシートを所定枚数積層し、圧着して圧着体を作製する。その後、この圧着体を脱脂した後、焼成し、これによりZnO焼結体を得る。
【0052】
〔(Ni,Zn)Oグリーンシートの作製〕
NiO粉末及びZnO粉末を、NiとZnとのモル比率Ni/Znが8/2〜6/4となるように秤量し、この秤量物に純水等の溶媒を加え、玉石を粉砕媒体としてボールミル内で十分に湿式で混合粉砕し、スラリー状混合物を得る。次いで、この混合物を脱水乾燥し、所定粒径に造粒した後、所定温度で約2時間仮焼し、仮焼粉末を得る。次に、このようにして得られた仮焼粉末に、再び、純水等の溶媒を加え、玉石を粉砕媒体としてボールミル内で十分に湿式で粉砕し、スラリー状粉砕物を得る。次に、このスラリー状粉砕物を脱水乾燥した後、有機溶剤、分散剤、バインダ及び可塑剤等を加えて成形用スラリーを作製する。次いで、ドクターブレード法等の成形加工法を使用して成形用スラリーを成形加工し、これにより所定膜厚の(Ni,Zn)Oグリーンシートを得る。
【0053】
〔内部電極形成用ペーストの作製〕
バインダ樹脂と有機溶剤とを、例えば体積比率で、1:9〜3:7となるようにバインダ樹脂を有機溶剤に溶解させ、これにより有機ビヒクルを作製する。ここで、バインダ樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、エチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、又はこれらの組み合わせを使用することができる。また、有機溶剤についても特に限定されるものではなく、α―テルピネオール、キシレン、トルエン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等を単独、或いはこれらを組み合わせて使用することができる。
【0054】
そして、例えば、Pd等の良導電性を有する金属粉末を有機ビヒクルと混合し、三本ロールミルで混練し、これにより内部電極形成用ペーストを作製する。
【0055】
〔グリーン積層体の作製〕
グリーン積層体の作製方法について、図2を参照しながら説明する。
【0056】
まず、所定枚数の(Ni,Zn)Oグリーンシート5a、5b、5c、...5nを用意し、そのうちの1枚の(Ni,Zn)Oグリーンシート5bの表面に上述した内部電極形成用ペーストを塗付し、導電膜6を形成する。
【0057】
次に、導電膜の形成されていない所定枚数の(Ni,Zn)Oグリーンシート5c〜5nを積層し、その上に導電膜6が形成された(Ni,Zn)Oグリーンシート5bを積層し、さらに、その上に導電膜の形成されていない(Ni,Zn)Oグリーンシート5aを積層し、圧着してグリーン積層体を作製する。
【0058】
〔p型半導体層1の作製〕
グリーン積層体を十分に脱脂した後、1200℃前後の温度で約5時間焼成し、導電膜6と(Ni,Zn)Oグリーンシート5a〜5nとを同時焼成し、これにより内部電極4が埋設されたp型半導体層1を得る。
【0059】
〔n型半導体層2の形成〕
ZnO焼結体をターゲットとし、所定の開口部を有する金属マスクを介してスパッタリングを行い、p型半導体層1の一部が表面露出するように、ZnO系薄膜からなるn型半導体層2をp型半導体層1の表面に形成する。
【0060】
〔端子電極3a、3bの作製〕
n型半導体層2を含むp型半導体層1の両端部に外部電極形成用ペーストを塗布して焼付け処理を行い、これにより外部電極を形成する。ここで、外部電極形成用ペーストの導電性材料としては、良好な導電率を有するものであれば、特に限定されるものではなく、Ag、Ag−Pd等を使用することができる。
【0061】
そしてその後、電解めっきを施し、第1のめっき皮膜及び第2のめっき皮膜からなる二層構造のめっき皮膜を形成し、これにより第1及び第2の端子電極3a、3bを形成し、これにより湿度センサを得る。
【0062】
このように本実施の形態では、(Ni,Zn)Oを主成分とするグリーン積層体(成形体)を作製した後、該グリーン積層体を焼成してp型半導体層1を作製し、さらにZnO焼結体をターゲット物質としてスパッタ処理を行い、前記p型半導体層1の表面にn型半導体層2を形成するので、焼結体であるp型半導体層1上にスパッタ法でn型半導体層2を形成することができ、感湿特性や高温安定性が良好で耐久性に優れた湿度センサを容易に得ることができる。
【0063】
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態では、n型半導体層2として、ZnO系材料を使用しているが、ZnO系材料に代えて或いはZnO系材料に加えてTiOを主成分とするTiO系材料を使用しても、上述と同様の作用・効果を得ることができる。
【0064】
この場合、TiO系材料は、TiOを主成分とするのであれば、微量の添加物が含まれていてもよい。例えば、ドープ剤として、Nb等を含有するのも好ましく、このようなドープ剤を含有させることにより、抵抗値をより一層低下させることができ、応答感度の向上を図ることが可能となる。
【0065】
尚、スパッタのターゲット物質となるTiO焼結体は、上述したZnO焼結体と同様の方法・手順で作製することができる。
【0066】
また、上記実施の形態では、n型半導体層2をスパッタ法で作製しているが、上述したグリーン積層体の主面に所定寸法に切断されたZnOグリーンシート又はTiOグリーンシートを積層して積層構造体を作製し、この積層構造体を焼成してp型半導体層1とn型半導体層とを共焼結により形成するのも好ましい。
【0067】
また、n型半導体層2は、該n型半導体層2とp型半導体層1との接合領域に対しp型半導体層1の主面が充分に露出しているのが、低湿度時の応答感度を向上させる上で好ましく、そのためにはn型半導体層2は短冊状等に形成するのも好ましい。
【0068】
また、第1及び第2の端子電極3a、3bは、上述した露出している部分が存在するのであれば、n型半導体層2の全体を覆うような構造であってもよく、このような構造とすることにより、直列成分の抵抗値が減少し、応答感度を向上させることができる。
【0069】
また、上記実施の形態では、湿度センサを例示的に説明したが、水蒸気以外のガスに応答する各種ガスセンサについても同様に適用可能であり、本発明の検出方法を適用することにより、各種ガスの検出に応用することができる。
【0070】
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
【実施例1】
【0071】
(試料番号1)
〔ZnO焼結体の作製〕
主成分となるZnOとドープ剤としてのAlとを、配合比がモル%でそれぞれ99.99mol%、0.01mol%となるように秤量した。そして、これら秤量物に純水を加え、PSZビーズを粉砕媒体としてボールミル内で混合粉砕し、平均粒径0.5μm以下のスラリー状混合物を得た。次いで、このスラリー状混合物を脱水乾燥し、50μmの程度の粒径となるように造粒した後、1200℃の温度で2時間仮焼し、仮焼粉末を得た。
【0072】
次に、このようにして得られた仮焼粉末に、再び、純水を加え、PSZビーズを粉砕媒体としてボールミル内で混合粉砕し、平均粒径0.5μmのスラリー状粉砕物を得た。次に、このスラリー状粉砕物を脱水乾燥した後、有機溶剤及び分散剤を加えて混合し、さらにバインダ及び可塑剤を加えて成形用スラリーを作製し、ドクターブレード法を使用して厚みが20μmのグリーンシートを作製した。次いで、このグリーンシートを厚みが20mmとなるように所定枚数積層し、250MPaの圧力で5分間圧着処理を施し、圧着体を得た。次いで、この圧着体を脱脂した後、1200℃の温度で20時間焼成し、ZnO焼結体を得た。
【0073】
〔(Ni,Zn)Oグリーンシートの作製〕
NiO粉末及びZnO粉末を、モル比でNi:Zn=7:3となるように秤量し、これに純水を加え、PSZビーズを粉砕媒体としてボールミルで混合粉砕し、スラリー状混合物を得た。次いで、このスラリー状混合物を脱水乾燥し、50μmの程度の粒径となるように造粒した後、1200℃の温度で2時間仮焼し、仮焼粉末を得た。次に、このようにして得られた仮焼粉末に、再び、純水を加え、PSZビーズを粉砕媒体としてボールミル内で粉砕し、平均粒径0.5μmのスラリー状粉砕物を得た。次に、このスラリー状粉砕物を脱水乾燥した後、有機溶剤及び分散剤を加えて混合し、さらにバインダ及び可塑剤を加えて成形用スラリーを作製した。そして、ドクターブレード法を使用し、この成形用スラリーに成形加工を施し、膜厚10μmの(Ni,Zn)Oグリーンシートを得た。
【0074】
〔内部電極形成用ペースト〕
バインダー樹脂としてエチルセルロース樹脂30体積%、有機溶剤としてα―テルピネオール70体積%となるようにエチルセルロース樹脂とα―テルピネオールとを混合し、有機ビヒクルを作製した。そして、Pd粉末を、有機ビヒクルと混合させ、三本ロールミルで混練し、これにより内部電極形成用ペーストを作製した。
【0075】
〔グリーン積層体の作製〕
(Ni,Zn)Oグリーンシートのうちの1枚について、内部電極形成用ペーストを表面にスクリーン印刷して塗付し、60℃の温度で1時間乾燥させ、所定パターンの導電膜を形成した。
【0076】
次いで、導電膜の形成されていない(Ni,Zn)Oグリーンシートを20枚積層し、その上に導電膜が形成された(Ni,Zn)Oグリーンシートを積層し、さらに、その上に導電膜の形成されていない(Ni,Zn)Oグリーンシートを1枚順次積層した。そして、これらを20MPaの圧力で圧着した後、2.1mm×1.0mmの寸法に切断し、これによりグリーン積層体を作製した。
【0077】
〔p型半導体層の作製〕
グリーン積層体を300℃の温度で十分に脱脂した後、1250℃の温度で5時間焼成し、これによりp型半導体層を得た。
【0078】
〔n型半導体層の形成〕
ZnO焼結体をターゲット物質とし、p型半導体層の一方の主面の一部を覆うように金属マスクを使用してスパッタリングを行い、厚みが約0.5μmの所定パターンを有するn型半導体層を作製した。
【0079】
〔端子電極の作製〕
n型半導体層の一方の端部を含むp型半導体層の両端部にAgペーストを塗付して800℃の温度で焼付け処理を行い、第1及び第2の外部電極を作製した。そして、この第1及び第2の外部電極の表面に電解めっきを施してNi皮膜及びSn皮膜を順次形成し、これにより第1及び第2の端子電極を作製し、これにより試料番号1の試料を得た。
【0080】
(試料番号2)
試料番号1の〔ZnO焼結体の作製〕で述べたのと同様の方法・手順で、厚みが20μmのZnOグリーンシートを作製し、所定寸法に切断した。
【0081】
次に、試料番号1で作製したグリーン積層体上にZnOグリーンシートを積層し、これを20MPaの圧力で圧着した後、2.1mm×1.0mmの寸法に切断し、これにより積層構造体を作製した。
【0082】
そして、この積層構造体を300℃の温度で十分に脱脂した後、1250℃の温度で5時間焼成し、グリーン積層体とZnOグリーンシートとを共焼結させ、これによりp型半導体層上にn型半導体層を形成した。
【0083】
そしてその後は、試料番号1と同様の方法・手順で第1及び第2の端子電極を形成し、これにより試料番号2の試料を作製した。
【0084】
(試料番号3)
n型半導体材料にTiO焼結体を使用した以外は、試料番号1と同様の方法・手順で試料番号3の試料を作製した。
【0085】
尚、TiO焼結体は以下の方法で作製した。
【0086】
まず、主成分となるTiOとドープ剤としてのNbとを、配合比がmol%でそれぞれ99.0mol%、1.0mol%となるように秤量した。そして、これら秤量物に純水を加え、PSZビーズを粉砕媒体としてボールミル内で混合粉砕し、平均粒径0.5μm以下のスラリー状混合物を得た。次いで、このスラリー状混合物を脱水乾燥し、50μmの程度の粒径となるように造粒した後、1200℃の温度で2時間仮焼し、仮焼粉末を得た。
【0087】
次に、このようにして得られた仮焼粉末に、再び、純水を加え、PSZビーズを粉砕媒体としてボールミル内で混合粉砕し、平均粒径0.5μmのスラリー状粉砕物を得た。次に、このスラリー状粉砕物を脱水乾燥した後、有機溶剤及び分散剤を加えて混合し、さらにバインダ及び可塑剤を加えて成形用スラリーを作製し、ドクターブレード法を使用して厚みが20μmのグリーンシートを作製した。次いで、このグリーンシートを厚みが20mmとなるように所定枚数積層し、250MPaの圧力で5分間圧着処理を施し、圧着体を得た。次いで、この圧着体を脱脂した後、1200℃の温度で20時間焼成し、TiO焼結体を得た。
【0088】
(試料番号4)
試料番号3のTiO焼結体の作製過程で得られたTiOグリーンシートを使用し、グリーン積層体をTiOグリーンシートに積層して積層構造体を作製し、この積層構造体を焼成してグリーン積層体とTiOグリーンシートとを共焼結させた以外は、試料番号2と同様の方法で試料番号4の試料を作製した。
【0089】
(試料番号5〜8)
(Ni,Zn)Oグリーンシート中にNiOに対し0.1〜20mol%のMnO4/3を含有させた以外は、試料番号1と同様の方法・手順で試料番号5〜8の試料を作製した。
【0090】
(試料番号9〜11)
(Ni,Zn)Oグリーンシート中にNiOに対し0.1〜5mol%のLaO3/2を含有させた以外は、試料番号1と同様の方法・手順で試料番号9〜11の試料を作製した。
【0091】
(試料番号12〜16)
(Ni,Zn)Oグリーンシート中にNiOに対しPrO11/6、NdO3/2、SmO3/2、DyO3/2、ErO3/2を各々0.1mol%含有させた以外は、試料番号1と同様の方法・手順で試料番号12〜16の試料を作製した。
【0092】
(試料番号17)
(Ni,Zn)Oグリーンシート中にNiOに対しMnO4/3、及びLaO3/2をそれぞれ0.1mol%ずつ含有させた以外は、試料番号1と同様の方法・手順で試料番号17の試料を作製した。
【0093】
(試料番号18)
p型半導体層にNiOグリーンシートを使用した以外は、試料番号1と同様の方法・手順で試料番号18の試料を作製した。
【0094】
尚、NiOグリーンシートは以下の方法で作製した。
【0095】
すなわち、主成分となるNiOとドープ剤としてのLiOとを、配合比がmol%でそれぞれ99.0mol%、1.0mol%となるように秤量した。そして、この秤量物に純水を加え、PSZビーズを粉砕媒体としてボールミルで混合粉砕し、スラリー状混合物を得た。次いで、このスラリー状混合物を脱水乾燥し、50μmの程度の粒径となるように造粒した後、1200℃の温度で2時間仮焼し、仮焼粉末を得た。次に、このようにして得られた仮焼粉末に、再び、純水を加え、PSZビーズを粉砕媒体としてボールミル内で粉砕し、平均粒径0.5μmのスラリー状粉砕物を得た。次に、このスラリー状粉砕物を脱水乾燥した後、有機溶剤及び分散剤を加えて混合し、さらにバインダ及び可塑剤を加えて成形用スラリーを作製した。そして、ドクターブレード法を使用し、この成形用スラリーに成形加工を施し、膜厚10μmのNiOグリーンシートを得た。
【0096】
〔試料の評価〕
試料番号1〜18の各試料は、図3に示すように、いずれもp型半導体層51に内部電極52が埋設されると共に、前記p型半導体層51の両端には第1及び第2の端子電極53a、53bが形成され、かつp型半導体層51の表面には第2の端子電極53bと電気的接続が可能となるようにn型半導体層54が接合されている。そしてこれら各試料を恒温恒湿槽内に配し、第1の端子電極53aが正側、第2の端子電極53bが負側となるように、第1の端子電極53a及び第2の端子電極53b間に1.5Vの電源57を配し、回路上に電圧計55及び電流計56を設けた。
【0097】
そして、試料番号1〜18の各試料について、以下の方法で抵抗値を求めた。すなわち、第1の端子電極53a及び第2の端子電極53b間に1.5Vの電圧を順方向に印加し、かつ恒温恒湿槽が温度:20〜50℃、相対湿度:30〜90%となるように変化させ、各温度及び湿度での電流値を電流計56で測定した。具体的には、1.5Vの電圧を2秒間隔で間欠的にパルス状に印加し、電圧が印加されてから1.5秒後の電流値を電流計56で測定し、この電流値から抵抗を求めた。
【0098】
また、試料番号1〜18の各試料について、以下の方法で抵抗低下率を測定し、耐久性を評価した。
【0099】
まず、各試料の初期抵抗を求めた。すなわち、温度30℃、相対湿度80%に環境設定し、1.5Vの電圧を2秒間隔で間欠的にパルス状に印加し、電圧を印加してから1.5秒後の電流値を電流計56で測定した。そして、この測定値から温度30℃、相対湿度80%のときの抵抗、すなわち初期抵抗を求めた。
【0100】
その後、温度85℃、相対湿度95%に環境設定し、斯かる環境雰囲気下、試料を500時間放置し、次いで上記初期抵抗の導出方法と同様の方法・手順で電流値から放置後の抵抗値を求めた。そして、初期抵抗と放置後の抵抗値に基づいて抵抗低下率を算出し、これにより耐久性を評価した。
【0101】
表1は、試料番号1〜18の主な仕様と測定結果を示している。
【0102】
【表1】
【0103】
試料番号18は、p型半導体層の主成分がNiOで形成されており、しかもp型半導体層には耐食性に劣るLiが含有されており、500時間後には抵抗低下率が19.5%となり、耐久性に劣ることが分かった。
これに対し試料番号1〜17は、p型半導体層の主成分が、(Ni,Zn)Oで形成されており、各測定条件で10MΩ以下の低い抵抗値を示し、抵抗低下率も7%以下と良好な結果が得られた。
【0104】
また、p型半導体層中に添加物を含有させなかった試料番号1〜4とMn又は/及び希土類元素の添加物を含有させた試料番号5〜17では、添加物を含有させることにより、抵抗が低下する傾向にあり、より感度の良好な湿度センサが得られることが分かる。
【0105】
ただし、試料番号8では、NiOに対するMnO4/3の含有モル量が20mol%と過剰であることから、20〜30℃の温度が比較的低い場合は、抵抗値が上昇しており、また、抵抗低下率も5%を超えており、感湿特性及び耐久性が低下傾向となる。
【0106】
また、試料番号11では、NiOに対するLaO3/2の含有モル量が5mol%と過剰であることから、温度が20℃と低い場合は、抵抗値が上昇しており、また、抵抗低下率も5%を超えており、感湿特性及び耐久性が低下傾向となる。
【0107】
すなわち、Mnや希土類元素を適量添加することにより、抵抗値を低下させることができ、また、抵抗低下率も5%以下により抑制できるが、Mnの含有モル量がNiOに対し20mol%以上又は希土類元素の含有モル量がNiOに対し5mol%以上になると、感湿特性や耐久性が劣化することから、Mnや希土類元素を(Ni,Zn)O中に添加する場合は、Mnの場合はNiOに対し20mol%未満、希土類元素の場合はNiOに対し5mol%未満が好ましいことが分かった。
【実施例2】
【0108】
〔試料の作製〕
(試料番号21〜25)
(Ni,Zn)Oグリーンシートを作製する際に、NiとZnとのモル比率Ni/Znが表2のような配合比率となるように調製した以外は、試料番号1と同様の方法・手順で試料番号21〜25の試料を作製した。
【0109】
(試料番号26)
内部電極材料にLaNiOを使用した以外は、試料番号1と同様の方法・手順で試料番号26の試料を作製した。
【0110】
尚、LaNiOは以下のようにして作製した。
【0111】
すなわち、NiO粉末及びLa粉末を、モル比で2:1となるようにそれぞれ秤量し、この秤量物に純水を加え、PSZビーズを粉砕媒体としてボールミル内で混合粉砕し、スラリー状混合物を得た。次いで、このスラリー状混合物を脱水乾燥し、50μmの程度の粒径となるように造粒した後、1200℃の温度で2時間仮焼し、仮焼粉末を得た。次に、このようにして得られた仮焼粉末に、再び、純水を加え、PSZビーズを粉砕媒体としてボールミル内で粉砕し、平均粒径0.5μmのスラリー状粉砕物を得た。そして、このスラリー状粉砕物を脱水乾燥し、LaNiO粉末を得た。
【0112】
〔試料の評価〕
試料番号21〜26の各試料について、実施例1と同様の方法・手順で各温度・湿度下での抵抗及び抵抗変化率を測定した。
【0113】
表2はその測定結果を示している。
【0114】
【表2】
【0115】
試料番号21〜25は、内部電極材料にPdを使用し、NiとZnのモル比率Ni/Znを異ならせた試料である。
【0116】
試料番号21は、NiとZnのモル比率Ni/Znが9/1であり、Niの含有モル量が過剰であるため、高抵抗化することが分かった。
【0117】
一方、試料番号25は、NiとZnのモル比率Ni/Znが5/5であり、(Ni,Zn)O層がn型化し、湿度センサとしての機能を発揮できないことが分かった。
【0118】
これに対し試料番号22〜24は、NiとZnのモル比率Ni/Znが8/2〜6/4と本発明範囲内にあり、高湿度下でも所望の低抵抗を有し、さらには抵抗変化率も2.8〜4.2%と良好な結果を得た。
【0119】
さらに、試料番号26は、内部電極材料にLaNiOを使用しており、試料番号23との比較から明らかなように、抵抗低下率をより一層抑制できることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0120】
特性や高温安定性が良好で、耐久性に優れた高信頼性を有する高精度なpn接合型のガスセンサ、その製造方法、及びガス濃度の検出方法が可能となる。
【符号の説明】
【0121】
1 p型半導体層
2 n型半導体層
4 内部電極
図1
図2
図3