特許第6012025号(P6012025)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6012025タップパネルを備える変圧器、乾式配電変圧器のタップパネルの電気絶縁方法、及び乾式配電変圧器用のタップパネル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012025
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】タップパネルを備える変圧器、乾式配電変圧器のタップパネルの電気絶縁方法、及び乾式配電変圧器用のタップパネル
(51)【国際特許分類】
   H01F 29/02 20060101AFI20161011BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20161011BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20161011BHJP
   H01F 27/36 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   H01F29/02 W
   H01F27/28 C
   H01F27/32 Z
   H01F27/36 K
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-504124(P2014-504124)
(86)(22)【出願日】2012年4月16日
(65)【公表番号】特表2014-515190(P2014-515190A)
(43)【公表日】2014年6月26日
(86)【国際出願番号】BR2012000106
(87)【国際公開番号】WO2012139187
(87)【国際公開日】20121018
【審査請求日】2015年3月16日
(31)【優先権主張番号】PI1101495-4
(32)【優先日】2011年4月15日
(33)【優先権主張国】BR
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・アルシナ・ナヴァッロ
【審査官】 ▲吉▼澤 雅博
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−095023(JP,U)
【文献】 実開平03−110818(JP,U)
【文献】 実開昭56−126832(JP,U)
【文献】 特開平07−106162(JP,A)
【文献】 特開平05−315126(JP,A)
【文献】 特表2000−501895(JP,A)
【文献】 特開平07−046726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/28
H01F 27/32
H01F 27/36
H01F 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(1’)内に配置された少なくとも1つのコイル(200)を備えるハウジング(1’)と、
前記ハウジング(1’)に関連付けられた密閉区画(100)であって、空洞(101)が設けられた、密閉区画(100)と、
前記密閉区画(100)の前記空洞(101)内に配置されたタップパネル(110)であって、巻線の巻きのための少なくとも2つの固定要素(111)と、接続ブリッジ(112)と、前記接続ブリッジを固定するための固定要素(113)とを備え、前記空洞(101)は除去可能な固体誘電体材料で充填される、タップパネル(110)と
前記空洞(101)内に配置された固定板(102)であって、前記密閉区画(100)の内側部分に関連付けられており、密閉部材(103)を挿入するための溝(130)を備える、固定板(102)と、
前記固定板(102)に動作的に関連付けられた密閉部材(103)であって、前記空洞(101)及びその内部の前記固体誘電体材料を密閉するように前記溝(130)内に配置された密閉部材(103)と、
前記空洞(101)を保護するカバー(120)と、
を備え、
前記密閉部材(103)が前記固定板(102)と前記カバー(120)との間の密閉を形成するために、前記固定板(102)と前記カバー(120)との間に配置されることを特徴とする、乾式配電変圧器。
【請求項2】
前記固定板(102)が接地されることを特徴とする請求項に記載の乾式配電変圧器。
【請求項3】
前記固定板(102)が金属材料から構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の乾式配電変圧器。
【請求項4】
前記カバー(120)が、前記カバーの固定要素(122)を用いて前記固定板(102)に締め付けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の乾式配電変圧器。
【請求項5】
前記カバー(120)が、その外側部分上に1対の充填流路(121)を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の乾式配電変圧器。
【請求項6】
前記充填流路(121)が、コネクタ(123)によって充填ダクト(125)及び空気出口ダクト(124)に動作的に関連付けられることを特徴とする請求項に記載の乾式配電変圧器。
【請求項7】
前記タップパネル(110)が静電遮蔽(107)を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の乾式配電変圧器。
【請求項8】
前記密閉区画(100)が除去可能な絶縁材料で充填されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の乾式配電変圧器。
【請求項9】
前記除去可能な絶縁材料がゼラチン軟度を有することを特徴とする請求項に記載の乾式配電変圧器。
【請求項10】
前記密閉部材(103)がOリングであることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の乾式配電変圧器。
【請求項11】
前記密閉部材(103)がポリマー材料から構成されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の乾式配電変圧器。
【請求項12】
前記コイル(200)の静電遮蔽(107)が前記タップパネル(110)の前記静電遮蔽(107)に電気的に関連付けられることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の乾式配電変圧器。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の乾式配電変圧器のタップパネルの電気絶縁方法であって、
充填ダクト(125)を前記カバー(120)の下側充填流路(121)に関連付けるステップと、
空気出口ダクト(124)を前記カバー(120)の上側充填流路(121)に関連付けるステップと、
前記充填ダクト(125)を通した絶縁樹脂で前記空洞(101)を充填し、同時に前記空気出口ダクト(124)を通して真空を適用するステップと、
前記空気出口ダクト(124)及び前記充填ダクト(125)を引き離すステップと、
前記下側充填流路(121)及び前記上側充填流路(121)をカバー(126)で密閉するステップと、
前記絶縁樹脂の硬化時間を待つステップと
を含むことを特徴とする、乾式配電変圧器のタップパネルの電気絶縁方法。
【請求項14】
脂が前記空気出口ダクト(124)から出て来るときに、前記密閉区画は前記樹脂で完全に充填されることを特徴とする請求項13に記載の乾式配電変圧器のタップパネルの電気絶縁方法。
【請求項15】
前記絶縁樹脂の前記硬化時間が前記除去可能な絶縁材料がゼラチン軟度に達するものであることを特徴とする請求項13又は14に記載の乾式配電変圧器のタップパネルの電気絶縁方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその内容が本明細書に組み込まれている、2011年4月15日出願のブラジル特許出願第PI1101495-4号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、地下又は水中の配電設備、あるいは内部又は外部設備で使用するように特に設計された、固体絶縁であり、遮蔽され接地されたコイルを有する3相又は単相電気変圧器用のタップパネルに関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術から知られているように、変圧器は電気エネルギーを変換するために広く使用されている。電気エネルギーの伝送は消費地のできるだけ近くまで高電圧で行われ、また消費地では変圧器を用いて消費者の機器に適した値まで低減される。電圧レベルの低減はタップを用いて行われ、タップは本質的にコイル巻線に沿った接続点であり、巻線に沿った所与の巻数を選択することを可能にする。このようにして変圧器は、ある割合で変化する巻線の巻きをもたらし、それにより出力電圧をたとえば通常の巻線電圧の+5%及び5%に調整することを可能にする。
【0004】
巻線の巻数を変えるためにタップを選択することは電圧を調整するための通常の手順であり、特性及び図面の表示板に、又は変圧器のマニュアルに示される。タップ及び接続ブリッジは外側からアクセス可能であり、タップは固定の導電体を用いてコイル巻線に接続され、各タップでの巻線上に存在する電圧は、各タップが接続された巻線の巻きに従って変化する。ナットも外側からアクセス可能であり、変圧器の動作時は、各ナットはナットが接続された巻線の巻きの電圧を有する。接地電位に対するナット及びブリッジの電圧は、巻線の巻きでの電圧と同じである。
【0005】
従来技術で多く使用され知られている、タップを利用する変圧器のタイプは乾式配電変圧器である。このタイプの変圧器の例は米国特許第5,621,372号に示され、この文書は湿気との接触を防止し結果として湿気の凝結時のアークの発生を防止する樹脂内に封入されたコイルを有する変圧器について述べている。樹脂は真空を用いて適用され、タップパネルは変圧器の外側部分上のままであり保護されない。
【0006】
従来技術で用いられる乾式配電変圧器の他の実施形態は図1、2、及び3に示される。このような図はタップパネル2を備えた1000kVA変圧器1を示し、タップパネル2は、樹脂内に封入されたたとえば13.8kVの高電圧コイルに関連付けられたナット3と、接続ブリッジ4とを備え、接続ブリッジ4は、低接触抵抗及び電気回路の良好な連続性を保証するように適正な工具によって締め付けられるねじ5を用いてナット3に関連付けられる。図3はさらにタップパネル2を含んだ変圧器1ハウジングの外部壁面上の突出部7を示す。通常はタップパネル2の各ナット3は1つの巻線タップに対応する。通常は特性表示板上に又は製造業者によって供給される変圧器1用のドキュメント内に示されるように、ナット3が識別され、接続ブリッジ4が配置される。
【0007】
ナット3の間の電気的距離、及び接続ブリッジ4と他のナット3の間の距離は、それらの間の電圧に適合するべきである。例として13,800ボルト巻線で±5%の変換範囲の場合は、両端のナット3の間の電圧は、13,800ボルトの10%、すなわち1,380ボルトとなる。パネル2上のタップ及び接続ブリッジ4の接地に対する電圧は、巻線上のタップの接地に対する電圧と同じである。
【0008】
ナット3と対をなす接地との間の絶縁は、内側部分にある樹脂によって及び外側部分での空気の距離によってなされる。
【0009】
これらの実施形態の欠点は、タップが保護されないことであり、これは、乾式配電変圧器が内部の保護された環境で用いられるからである。しかしタップは保護されないままであり、浸された条件では絶縁がなくなり、すなわちタップパネルはこのような環境で用いるのに適した構成をもたない。
【0010】
図4及び5にはこの問題を解決するための試みが示され、これらは13.8kV変圧器のタップパネルを示し、タップパネルはナット3、接続ブリッジ4、突出部7、及びねじ5を備え、ねじ5は接続ブリッジ4をナット3に関連付け、カバー(図示せず)を突出部7上に締め付ける機能を有する。図5はさらにナット3の間の絶縁6を示し、これはナット3と空気との間の表面距離を増加する機能をもつ。
【0011】
これらの実施形態の欠点は、変圧器がタップパネルを湿気及び水から保護するためにカバーを用いることである。しかるにこのカバーは塵埃の蓄積を防止するだけであり、電気絶縁の低度は低く、それにより突出部内部にある空気はイオン化されるので電気放電を起こす場合があり、したがって変圧器を損傷し得る。
【0012】
上記の問題に対する解決策は米国特許第3,175,148号で述べられており、この文書はタップがドアを有する区画内に分離される3相変圧器について述べている。このような区画は密閉され、タップを取り囲む誘電性流体で充填される。この文書はまた外側からアクセス可能なストラップについて述べており、ストラップは調整回路に関連するすべてのコイルの接地接続を可能にし、パネルを静電的に遮蔽する。
【0013】
この実施形態の欠点は変圧器が液体誘電体材料を用いていることであり、従来技術から知られているように液体誘電体材料は取り扱いが複雑で、さらに保守の場合に作業者が材料に触れた場合には汚染される可能性がある。
【0014】
液体誘電体材料の他の欠点は、正しく廃棄されなかった場合は環境への被害を生じ得ることである。
【0015】
この実施形態の他の問題点は、作業者が変圧器の接地されたステップに接地接続を行われなければならないことである。
【0016】
さらに乾式変圧器は保護された場所に、たとえばIEC60076-11などの規則に規定された変圧器が耐えることができる湿気のレベルで設置する必要がある。乾式変圧器の設置は、変圧器の部品と接地との間の電圧のクラスに従う最小電気的距離に適合しなければならない。接地に対するコイル、接続ブリッジ、及びタップパネルの距離は、絶縁クラスに適合しなければならない。この規則に対する例外は、本明細書が特に適用可能であるブラジル特許第0903695-4号で述べられている変圧器である。ブラジル特許第PI0903695-4号(その記述が参照により本明細書に組み込まれる)の教示によれば、地下又は水中での設備で、及びこれらの条件下の変圧器で動作させることが可能であり、本発明は以前の技術に比べて有利となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】ブラジル特許出願第PI1101495-4号
【特許文献2】米国特許第5,621,372号
【特許文献3】米国特許第3,175,148号
【特許文献4】ブラジル特許第PI0903695-4号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の一目的は、除去可能な固体樹脂によって絶縁され、静電的に遮蔽され、遮蔽されたコイル上のタップの変更を可能にするタップパネルを備え、それにより水中に沈め得る乾式変圧器でのタップパネルの使用を可能にする、気密密閉区画を有する変圧器を提供することである。
【0019】
また本発明の一目的は、タップの変更、設置場所での固体の最終の絶縁を用いたタップの絶縁を可能にするタップパネルを有する変圧器を提供して、タップ領域の静電的な遮蔽し、湿気又は水の浸入に対するタップ領域の密閉し、水中に沈め得る乾式変圧器上でのタップパネルの使用を可能にすることである。
【0020】
また本発明の一目的は、真空下で適用される絶縁樹脂を用いてタップを互いに及び接地から絶縁することを可能にするタップパネルを有する変圧器を提供することであり、このようなタップパネルの下の樹脂による絶縁は、材料の量を低減することによりコストの低減を可能にし、部分的放電を起こし、絶縁能力を低下させ、変圧器の故障を引き起こし得る気泡をなくすことによって機器の信頼性を向上する。
【0021】
より具体的には本発明の目的は次の通りである。
- 水及び湿気の浸入を防止するために覆うことを実現すること。
- 水及び湿気の浸入を防止することを目的として密閉を実現すること。
- 除去可能な固体誘電体材料で充填された区画を実現すること。
- 静電的に遮蔽されたタップパネルを実現すること。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の目的は、ハウジングと、コイルと、区画と、コイルに関連付けられたタップパネルとを備える乾式配電変圧器によって達成される。タップパネルは静電遮蔽を有し、固体誘電体材料で充填されカバーによって保護された区画の内側に配置される。
【0023】
さらに本発明の目的は、乾式配電変圧器のタップパネルの電気絶縁方法によって達成され、変圧器は区画を有し、区画はその内側にタップパネルを備え、カバーが設けられ、カバーは充填流路を有する。電気絶縁方法は次のステップを含むことにある。
- コネクタを用いて充填ダクトをカバーの下側充填流路に関連付けるステップと、
- コネクタを用いて空気出口ダクトをカバーの上側充填流路に関連付けるステップと、
- 充填ダクトを通して空洞を絶縁樹脂で充填するステップと、
- 空気出口ダクトを通して真空を適用するステップと、
- ダクトを引き離すステップと、
- 充填流路をカバーで密閉するステップと、
- 樹脂の硬化時間が終わるまで待つステップ。
【0024】
目的はまた乾式配電変圧器用のタップパネルによって達成され、変圧器は少なくとも1つの高電圧巻線タップと1つの密閉区画とを備え、密閉区画は変圧器ハウジングに関連付けられ、タップパネルがその中に収容される空洞が設けられ、変圧器はさらに区画内への水の侵入を防止するように構成された密閉部材と、カバーに電気的に接続された接地された静電遮蔽とを備え、カバーも接地され、密閉区画は除去可能な固体誘電体材料で充填される。
【0025】
次に本発明について図を参照して、より詳しく述べる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】タップパネルを備える従来技術の乾式配電変圧器の部分的正面図である。
図2】従来技術のタップパネルの正面図である。
図3】従来技術のタップパネルの正面図である。
図4】従来技術のタップパネルの正面図である。
図5】従来技術のタップパネルの正面図である。
図6】本発明のタップパネルの正面図である。
図7】カバーを備えるタップパネルの正面図である。
図8】誘電体材料で充填されたタップパネルの側面図である。
図9】タップパネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図6から9で分かるように変圧器1は、好ましくは樹脂で製造され、樹脂内に封入されたコイル200からなり、静電的に遮蔽107された、ハウジング1'を有する。タップパネル110は、変圧器の外部壁面近くに、密閉区画100の内側に配置される。
【0028】
前記密閉区画100は、変圧器1のハウジング1'にて始まり、外部壁面105及び内部壁面106を形成する、突出部として具現化される。
【0029】
内部壁面106は密閉区画100の内側に空洞101を形成し、その中には固定板102とカバー120が挿入され、後者は外部壁面105の端部部分116から凹まされる。
【0030】
この凹部は塵埃の蓄積及び空洞101内への水の侵入を防止することを目的とし、塵埃は外部壁面105上に蓄積するのでこの実施形態は特に有利であり、結果としてタップの変更時のより安全な作業をもたらし、これは塵埃の侵入、及び変圧器1を損傷し得る電弧の発生を防止する。
【0031】
密閉区画100の好ましい実施形態は図9に示され、ハウジング1'の外側部分上の突出部として製造される。しかしこのような突出部はハウジング1'の内側部分に向けることもでき、さらに変圧器1の最も内側の部分内に配置される。このようにして内部壁面106の寸法及びタップパネル110の深さは適合させるべきである。変圧器1の壁面105、106は凹部を受け入れるのに十分な厚さを有するべきであり、それにより、タップパネル110が挿入されることになる空洞101が形成される。
【0032】
密閉区画100は任意の幾何形状を有することができ、樹脂、好ましくはエポキシ樹脂から製造することができる。しかしこれを製造するには他のタイプの樹脂、たとえばポリウレタン、ポリエステル、シリコーンを用いることができる。
【0033】
密閉区画100の空洞101は、タップパネル110を受け入れる。図6及び9から分かるように巻線の巻きを固定するための少なくとも1つの固定要素111、接続ブリッジ112、及び接続ブリッジを固定するための固定要素113を備える。巻線の巻きの固定要素111は、コイル本体200と一緒に封入され、巻線の巻きに電気的に結合114され、巻線の巻きの2つの固定要素111の間の電気的接続を確立するために用いられる接続ブリッジ112は、接続ブリッジの固定要素113を用いて巻線の巻きの固定要素111に締め付けられる。
【0034】
巻線の巻きの固定要素111はナットであることが好ましいが、他のタイプの結合要素を用いることもできる。一方、接続ブリッジの固定要素113はねじであることが好ましいが、他のタイプの固定要素たとえばリベット、ピン、ボルトを用いることもできる。
【0035】
図9から詳しく分かるようにタップパネル110は静電遮蔽107を有し、これはコイル200の静電遮蔽107に電気的に接続114され、次いで静電遮蔽107は接地115に接続される。このような静電遮蔽107は空洞101の下側部分から空洞の外部壁面を含んで、空洞101の最も外側の部分、より正確には固定板102の領域にまで延び、区画100の内部壁面106と外部壁面105の間に配置される。内部壁面106は除去可能な樹脂と共に、接地115に対するタップの電圧を電気的に絶縁する。
【0036】
固定板102は図6及び9に示されるように密閉区画100の内側に、より具体的には空洞101内に配置される。固定板102は密閉区画100と共に封入され、固定板102の外部壁面と密閉区画100の内部壁面106の間の密着性を形成する。
【0037】
固定板102はその正面部分に溝130と、カバー104の関連付け要素を備え、空洞101の静電遮蔽107と、コイル200の静電遮蔽107とに電気的に接続114される。好ましい実施形態は金属材料から作製されるが、他のタイプの導電性材料たとえばアルミニウム、銅、半導電性塗料、半導電性樹脂を用いて製造することもできる。
【0038】
固定板102上にある溝130は密閉部材103によって充填され、これは空洞101を密閉する目的を有し、密閉区画100内への水及び湿気の浸入を防止する。密閉部材はカバー120を用いて固定板102に動作的に関連付けられ、固定板102はカバー120に関連付けられる。カバー120は密閉部材103を固定板102の溝130に対して押し付け、それにより空洞の入口を密閉する。
【0039】
密閉部材は図6及び9に示されるようにOリングであることが好ましいが、他のタイプの密閉材料たとえばシリコーン、ポリウレタンを使用することもできる。
【0040】
図7、8、及び9から分かるようにカバー120は、2つの充填流路121を有しその表面が、固定板102の表面と接触することによって静電的に遮蔽107され、固定板102は接地115に接続される。
【0041】
カバー120は、電気的接触によって固定板102により接地115され、さらにカバーの固定要素122を用いて接地115されており、これはカバー120と接地115された固定板102との間の電気的接続を確立することを目的とする。
【0042】
カバーのこのような固定要素122はねじであることが好ましいが、他のタイプの固定要素たとえば、リベット、ピン、ボルトなどを用いることもできる。一方、カバー120は好ましくは金属材料から構成されるが、たとえば導電性材料を有する樹脂から構成された材料など、他のタイプの材料を用いて製造することもできる。
【0043】
充填流路121は、除去可能な絶縁材料で空洞101を充填するために用いられ、カバー120の外面上に配置される。充填流路121はコネクタ123を有し、コネクタ123にはカバー126が関連付けら、カバー126は充填流路121を保護し、空洞101への水の侵入を防止する。
【0044】
除去可能な絶縁は、タップパネル110を隔離する目的を有し、タップパネル110をたとえば72.5kV又は138kVなどの高電圧変圧器に使用することを可能にする。除去可能な絶縁材料は例として3Mの解体可能型レジン・ハイ・ジェル8882(High Gel Re-Enterable Encapsulant 8882)のタイプの樹脂によって構成することができる。この除去可能な絶縁材料を用いることにより硬化時間は約60分となる。この時間後に材料はゼラチン軟度を有し、したがって容易に除去可能な材料になる。
【0045】
前述の樹脂の置き換えとして他のタイプの材料たとえば、ペースト状の絶縁材料、及び本発明が必要とする機能を満たす他のものを用いることができる。
【0046】
空洞101を充填するためにカバー120は、空気出口ダクト124に接続される第1のコネクタ123と、充填ダクト125に接続される第2のコネクタ123とを備える。空気出口ダクトは真空を適用するために用いられ、空洞101内にある空気の完全な抜き取りをもたらし、充填ダクト125は空洞101を充填することになる樹脂を運ぶ。
【0047】
空気出口ダクト125と第1のコネクタ123の間の接続、及び充填ダクト124と第2のコネクタ123の間の接続は、ねじ切りによって行われることが好ましい。しかし他のタイプの接続たとえば、係合接続を用いることもできる。
【0048】
このようなダクトを用いて空洞101を充填するための好ましい方法は、充填ダクト125を下側充填流路121に接続し、空気出口ダクト124を上側充填流路121に接続することにある。充填ダクト125を通して絶縁樹脂を空洞101内に適用し、空気出口ダクト124を通して真空を適用し空洞101から空気を抜き取り、それにより変圧器を損傷し得る電気放電を発生させる場合がある気泡の発生をなくす。
【0049】
用いられる他の方法は、充填ダクト125を下側充填流路121に接続し、空気出口ダクトを上側充填流路121に接続することにある。充填ダクト125を通して絶縁樹脂を空洞101内に適用し、空気出口ダクト124を通しては空気の通過のみが発生し、樹脂は重力によって適用される。
【0050】
したがってすでに述べたように本発明によるタップパネル110を用いることにより、たとえば水中環境での動作のために地下配電網で変圧器を使用することが可能になる。
【0051】
本発明の乾式配電変圧器の1つの利点は、タップパネルが静電的に遮蔽されることに関する。タップと接地の間に存在する電界は、タップと、接地された静電遮蔽との間に存在する絶縁内に限定される。タップは、タップが接続された巻線の巻きと同じ電位にあるが、タップは絶縁されて外側静電遮蔽は接地され、すなわちそれらは電気ショックに対して、及び設備への放電に対して保証され、それにより作業者の安全性を高め、機器の有用寿命が長くなる。
【0052】
さらに提案された乾式配電変圧器の構成は、固体樹脂によって絶縁され、静電的に遮蔽され、気密密閉された区画を備えるという、従来技術の変圧器に対する利点を有し、たとえば13.8kV又は24.2kVで500kVAから2000kVAの範囲の電力を有する変圧器などの、高電圧変圧器にタップパネルを用いることを可能にする。
【0053】
本発明の他の利点は、タップパネルは接地された金属カバーを備えることに関し、このカバーは、除去可能な絶縁樹脂で充填するためのダクトが関連付けられる2つのコネクタを有する。2つのコネクタは取り外し可能なカバーを有し、それにより水の侵入に対してタップパネルを密閉することが可能になる。
【0054】
本発明の乾式配電変圧器の他の利点は、正しく廃棄されないと環境を汚染する場合があり、又は変圧器の予防保守時に汚染される場合がありそれによりその初期絶縁特性が失われる、絶縁油がないことに関する。本発明の他の利点は、カバーは固定板にねじ止めされ、カバーと固定板の間には密閉部材があり、これはカバーによって固定板に対して押し付けられ、それによって要素の結合面を通した湿気の侵入に対する密閉が効果を受けることに関する。
【0055】
その表面にコネクタを有するカバーを使用することにより、除去可能な絶縁樹脂でタップパネルの空洞を充填することが可能になる。樹脂充填プロセス時には真空を適用することができ、それにより樹脂には気泡がなくなり、区画には気泡がなくなり、完全に絶縁樹脂で充填され、それによってそれらの誘電特性は強化され、機器の故障が防止される。したがってタップパネルは、より高い電圧たとえば、72,500ボルト又は138,000ボルトを有する変圧器に用いることができる。さらにタップパネルは、より良好な誘電特性を有するので、より縮小された寸法で製造することができ、それにより材料の節約を生じ、さらに密閉区画を充填するために、除去可能な絶縁樹脂を有する変圧器をもたらす。
【0056】
本発明の乾式配電変圧器の他の利点は、タップパネルの静電遮蔽及びコイルの静電遮蔽は接地に接続されることに関し、したがって変圧器と接触する人員及び物体、又はその近くのものへの電気放電の危険はなくなる。さらにコイルを取り囲む空気はイオン化されず、又は電界を受けない。
【0057】
さらに密閉部材と共に、タップパネル及びコイルに対して静電遮蔽を用いることにより、典型的には13,800ボルト又は24,200ボルト又は23,500ボルトで、典型的には500kVAから2,000kVAの電力の地下配電網での使用が見越される、水中での使用のための乾式配電変圧器にタップパネルを用いることが可能になる。
【0058】
好ましい実施形態について述べてきたが、本発明の範囲は他の可能な変形形態を包含し、可能な等価なものを含む添付の「特許請求の範囲」のみによって限定されることが理解されたい。
【符号の説明】
【0059】
1 変圧器
1' ハウジング
100 密閉区画
101 空洞
102 固定板
103 密閉部材
104 カバー
105 外部壁面
106 内部壁面
107 静電遮蔽
110 タップパネル
111 固定要素
112 接続ブリッジ
113 固定要素
114 電気的接続
115 接地
116 端部部分
120 カバー
121 充填流路
122 固定要素
123 コネクタ
124 空気出口ダクト
125 充填ダクト
126 カバー
130 溝
200 コイル
216 カバー
図1
図2
図3
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図9